G2プロデュースの第9回目の公演は、G2さんが作・演出するラブ・ストーリーです。あらすじと見所は公式サイトにはもちろん、こちらにも非常に詳しく書かれています。
舞台はとある石鹸工場。昭和30年代とその20年前とを行き来するお話で、社長の娘とガンコ職人の間にほんのり生まれる恋と、その職人の隠された過去の謎解きを軸に、何度も何度も時間を行ったりきたりしながら、時には明るく元気に、時には感傷たっぷりに昭和の時代の日本人を描くエンタテインメント作品でした。
チラシのビジュアルから王道のラブ・ストーリーかと想像していたのですが、オープニングのちょっとホラーめいた演出に驚かされました。今までのG2プロデュース作品とはちょっと違う、深刻な怖さがありました。
恋愛がもちろん中心にあるのですが、プライドを持って仕事に打ち込んだ昔ながらの職人の人生と、一途な若者の熱くて切ない青春を描いた作品だという印象が強く残りました。そして、とても悲しいお話でした。
ここからネタバレします。
2つの時代を頻繁に行き来して、しょっちゅう場面転換があり、すべてがスムーズに進んでいるようには見えませんでした。初日があけてすぐの回だったせいか、まだ役者さんの演技がこなれていなかったのかもしれません。
上演時間は2時間弱。石鹸職人の渡部(長谷川朝晴)が心を閉ざしてしまった原因が明かされるまでが、少し長く感じました。時代設定や物語の進行についての説明的なセリフやシーンが多かったようにも思います。
ラストが妙に素早い展開になり、あっという間に完全なハッピーエンドになってしまったのは拍子抜けでした。職人と芸術家の違いについて石鹸工場の社長(山西惇)が熱く語ったり、石鹸職人の親方(久保酎吉)が西洋石鹸の模倣をしていた自分を恥じて、自分が作った石鹸「牛若丸」の大切さに気づいたり、心にずしんと重く響くセリフやエピソードがありましたので、ラストは軽くせずにそのまま直球で悲劇になっても良かった気がします。
これはかなりミーハーな感想なのですが、ヒロイン美雪(須藤理彩)とガンコ石鹸職人の渡部(長谷川朝晴)とのキスシーンが良かったわ~。シャイで不器用な男の子が、和服の女の子を強引に抱き寄せてキスして押し倒す(!)のはたまりませんでした(笑)。この骨太でストイックな素晴らしいラブシーンが、不幸な事件を巻き起こしてしまうという展開が憎いですよね。ちょっと分かり易すぎる感もありましたが。
役者さんでは、社長役の山西惇さんと石鹸職人の親方役の久保酎吉さん、そして美雪の婚約者役の木下政治さんの演技がとてもよかったです。言葉に重さがあり、リアリティーを感じました。
録音機デンスケを持って登場するラジオ局員の菅原永二さん(猫のホテル)のギャグは最高でしたね。
《東京→福岡、大阪》
作・脚本:G2
出演:須藤理彩/長谷川朝晴/竹下宏太郎/新谷真弓/木下政治/内田滋/豊原里美/草野徹/菅原永二/廣川三憲/山西惇/陰山泰/久保酎吉
美術:横田あつみ 照明:倉本泰史 音楽:佐藤史朗 音響:井上正弘 スタイリスト:堀口健一 劇中歌:瓜生明希葉 演出助手:山田美紀 舞台監督:青木義博 木村力 宣伝美術:東學 宣伝写真:伊東俊介 衣裳協力:OKA MASATO ヘアメイク:高野健太郎 Web:河村公一 酒井元舟 橋本徹子 制作:千葉博美 尾崎裕子 伊東妙子 藤田早苗 プロデューサー:大西規世子 製作総指揮:G2 企画・製作・主催:ジーツープロデュース
全席指定:5800円
G2プロデュース内:http://www.g2produce.com/g2p/g2p09/
G2プロデュース内『Candy's』総力特集:http://www.g2produce.com/ms/hal/hal01.html
チケットぴあ特集1:http://t.pia.co.jp/news/candys/candys.jsp
チケットぴあ特集2:http://t.pia.co.jp/promo/play/g2_candys.jsp