2005年05月29日
ロック・ミュージカル『WE WILL ROCK YOU』05/27-08/24新宿コマ劇場
QUEENの名曲で作られたイギリス製ロック・ミュージカル。このまま8月末までのロングランです。新宿コマ劇場で103ステージなんて凄い規模ですね。
で、どうだったかというと・・・・歌が巧い!演奏が巧い!やっぱQUEENはスゴイ!!!ってことで、最後は特にQUEENのファンではない私も、類に洩れずにスタンディングでした。ミュージカルというよりライブ・コンサートだと思えばめちゃくちゃ楽しいです。コンサートってこういう楽しさなのか、って改めて知った気持ちです。
まず、劇場のエントランス付近がすでに熱気ムンムンで、「なんだかスゴイものを観にきちゃったのかも・・・もしかすると私は場違い!?」と、少し不安になりながら席につくと、「まもなく開演いたします」の場内アナウンスが流れただけで拍手が巻き起こりました。QUEENってスゴイ人気なんですね。

巨大なWWRY看板
ロック・ミュージカルということで、ちゃんとストーリーがあります。少しご紹介しますと↓
****あらすじ**** チラシから引用します。
時は2046年、地球上の全ての楽器は葬りさられ、音楽を作ることが禁止された。コンピューターによる画一的な音楽で人々をコントロールし、世界を握ろうとするキラークイーンと、それに立ち向かう若者たち。楽器がなくてもロックはできると刻みだしたリズム『WE WILL ROCK YOU』が、ロックを、自由な世界を呼び戻す。
**** 以上 ****
音楽が禁止されたのは2046年で、舞台はその300年後の2300年代の世界でした。公式サイトの「あらすじ」ページに物語の背景がすごくきちんと書かれていますが、ぶっちゃけ、ストーリーはどうでもいい!てゆーか気にしたら損(笑)!
とにかく歌がめちゃくちゃ巧いです。主要人物を演じる人たちはみんな抜群の歌唱力です。声量がある!パンチがある!ソウルがある!私はキラークイーンにゾッコンだぜ(爆笑)!バックコーラスもものすごい迫力で、きっと出演者全員のレベルが高いのだと思います。演奏もですねぇ・・・ガンガンのロックミュージックってこんなに心地よいものだったのかと開眼しちゃうほどでした。
私の連れの一人は、隣の席でずっと泣いてました。「わけわかんないけど涙が出る。だって本当にQUEENみたいなんだもの」。たしかにCMとかドラマの主題歌でよく聴くQUEENの曲と似てる、というか、めちゃくちゃイイ!聴き惚れる!QUEENのCD買おうかなって真剣に思ってます、私。

フレディーの像が!
終演後、興奮冷めやらぬ観客がリピーター割引チケットを買うためにチケットボックスの前に長い列を作っていました。これは、好きな人には堪えられない公演ですよね。開幕したばかりなのに「もう4回目!」っていう人もいました。スゴすぎ。
これから観に行かれる方への私の個人的な(非常に重要な)アドバイスですが、ストーリーを追うとあまりに大っぴらに破綻しているのでシラけちゃう可能性大です。歌詞も大々的に替えられていて、もう笑うしかないほど(笑)。だから何も考えずに、声に、音に身を任せればいいと思います。ノったもん勝ちです!あと、会場内が熱気で暑くなります(笑)。かなり汗かいちゃいました。
"WE WILL ROCK YOU" by QUEEN and Ben Elton
ミュージックスーパーバイザー:ブライアン・メイ ロジャー・テイラー 脚本・ベン・エルトン プロダクション・デザイナー:マーク・フィッシャー 照明デザイナー:ウィリー・ウィリアムス 衣裳デザイナー:ティム・グッドチャイルド
主催:WE WILL ROCK YOU実行委員会(アミューズ・日本テレビ・TOKYO FM・読売新聞・ぴあ・USEN・カンバセーション) 特別協賛:TOSHIBA 招聘・制作:アミューズ・カンバセーション
S席:12600円 A席9450円
公式サイト:http://www.wwry.jp/
2005年05月28日
tpt『nine THE MUSICAL』05/27-06/12アートスフィア
トニー賞も受賞しているデヴィッド・ルヴォーさん演出のブロードウェイ・ミュージカル『ナイン』日本版の再演です。
熱気ムンムンの東京初日を観て参りました。予想通り、初演よりもずっとずっと良かった!アーティスティック、スタイリッシュ、セクシー、ゴージャス、な、完全に大人向けのミュージカルです。デートにぴったり♪ 6/12(日)まで!
ほぼ日刊イトイ新聞の『ナイン』応援サイトに、作品についての詳しい解説や演出家へのインタビュー、キャスト紹介、そして舞台写真などが溢れんばかりに公開されています。これから観に行かれる方は、“『ナイン』勝手に観劇ガイド!”を読んでおけば、かなりスムーズに『ナイン』の世界に入っていけると思います。
ストーリーや舞台の概要は初演のレビューをご覧ください。
宣伝がだいぶん行き渡っていたからでしょうか、観客も一緒に『ナイン』を盛り上げようとしている雰囲気が劇場に満ちていました。嬉しかったな~。やっぱミュージカルはこうでなくっちゃ!
初演との一番大きな違いは、16人の美女に囲まれる主人公グイード・コンティーニ役が、別所哲也さんになったことです。わがままで嘘つきで夢想家で、女に目がない甘え上手の色男。女に、自分だけを必要として、愛してくれていると思わせるカサノバ。それがこのミュージカルの主人公の、世界的に有名なイタリア人映画監督グイード・コンティーニです。別所さんは甘いマスクで背が高くて体格もいいし、女性をエスコートする姿がすっごく板についていて、グイード役にぴったりでした。
歌も音楽も初演より確実にグレードアップしています。歌は、グイードの愛人カルラ役の池田有希子さん、映画プロデューサー役の大浦みずきさん、グイードのミューズである女優クラウディア役の純名りささん、9歳のグイードに愛を教えた海辺の女役の田中利花さん、グイードの母親役の花山佳子さんが良かったです。当然のことながらコーラスは全体的にレベルアップしています。
初演同様、やっぱりカルラ役の池田有希子さんは観ないとダメでしょう。必見です、必見!
初演では、目に入ってくる情報(美術、衣裳、美しい女たち)ばかりが印象に残っていましたが、今回はストーリーもじっくり味合うことができました。パーッと明るく描いていますが、実はすっごく退廃的な世界なんですね。
ここからネタバレします。
2幕がはじまってからすぐのグイードとクラウディアのシーンで、クラウディアの気持ちが痛いほど伝わってきました。彼女は理性的に自分の人生について考え、彼から去っていきます。だけど彼女もまた妻のルイザと同様に、グイードを心から愛していているんです。ルヴォーさんの「『ナイン』では、「ロマンティックなのは女性 男性は現実的」っていう固定観念が、実は逆だということを証明してる。」というお言葉に納得です(引用元:ほぼ日「ナイン」応援サイト)。
グイードは9歳の時に規則が厳しい教会学校に通っていながら、海辺の女に人間の愛(性)の真実を教えられてしまい、清らかなものと汚れたものが混ざり合う矛盾に包まれて育ったんですね。海辺の女役の田中利花さんが踊りながら堂々と歌う“Ti Voglio Bene/Be Italian”が甘くて切なかった。
映画のアイデアが全然浮かばなくなったグイードは、とうとう自分のあるがままの生活を映画に撮り始めてしまい、夢と現実が完全にひとつになってしまいます。自分のことを映画に撮られ、耐えられなくなった妻のルイザが「やめて!」と言っても、愛人のカルラが泣き続けても、グイードは「(カメラを)まわせ!」と言って撮影を続けます。このシーンは・・・悲しかったけど、すごく共感もしました。創作する人間は、自分の人生も素材(ネタ)にしてしまう、それがいかにつらい、残酷なことか、自分の大切な人たちを傷つけることかがわかっていても、止められないんですよね。
再演を観てわかったことは、グイドは最後に死んだんだってことです(あ、わかってなかったのがヘン??)。現実世界に生きるドライな女たちは次々とグイードから去っていき、グイードにそれを引き止める手立てはなく、彼はただ一人、取り残されます。しかし彼の生涯を彩るのはやはり美しい女たち。彼の人生の最後には天から螺旋階段をつたって女神達がグイードのもとへと舞い降りてきて、エンディングです。舞台下手奥の天へと向かって伸びる螺旋階段は、夢と現実との架け橋でもあり、天国への道でもあり、DNAにも見えますね。グイードのDNAには無数の女たちが刻まれている(笑)。
カーテンコールは3回ありましたね。2度目はデヴィッド・ルヴォーさんも登場してスタンディング・オベーションでした。私も観終わった時はかなりの満足感でした。それでもメルマガ号外にあと一歩いたらなかったのは、歌唱力です。本場のブロードウェイ・ミュージカルの歌手にはかなわないと思いました。そもそもこの音楽に日本語の歌詞はちょっと厳しいですしね。
子役の男の子は、たぶん初演時に私が観たのとは違う男の子でした。となると向笠揚一郎くんですね。残念ながら動きも歌もおぼつかなかったです。樋口真くんの回がお薦めです。
≪シアターガイドより≫
tpt『nine THE MUSICAL』制作発表
『ナイン THE MUSICAL』が六本木ヒルズに登場
tpt『ナイン THE MUSICAL』公開舞台稽古
≪大阪、東京≫
出演:別所哲也(グイード) 池田有希子 高橋桂 純名りさ 大浦みずき 花山佳子 田中利花 鳥居ひとみ 井料瑠美 剱持たまき 宮菜穂子 江川真理子 家塚敦子 福麻むつ美 高塚いおり 岡田静 山田ぶんぶん
リトルグイト(ダブルキャスト): 樋口真 向笠揚一郎
脚本:アーサー・コピット 作詞・作曲:モーリー・イェストン 翻案(イタリア語から):マリオ・フラッティ 翻訳・訳詞:青井陽治 演出:デヴィッド・ルヴォー 振付:ジョナサン・バトレル 振付:グスタヴォ・ザジャク 美術:スコット・パスク 照明:沢田祐二 衣裳:ヴィッキー・モーティマー ヘア&メイクアップ:鎌田直樹 音響:山本浩一 音楽監督:深沢桂子 音楽スーパーバイザー:樋口康雄 装置スーパーバイザー:礒沼陽子 衣裳スーパーバイザー:増田恵美 舞台監督:北條孝/有馬則純
S席:12,000円 A席:8,000円 B席:5,000円 ナインシート(1階前方両サイド):8,000円
tpt:http://www.tpt.co.jp/
イープラス特集:http://eee.eplus.co.jp/s/nine/
天王洲アイル:http://www.tennoz.co.jp/sphere/pickup/nine/f_topic.html
★「ほぼ日」応援サイト:http://www.1101.com/nine/index.html
2005年05月27日
大河ドラマ「新選組!」の続編が決定(シアターガイドより)
近藤勇没後の土方歳三を主人公に描くそうで、脚本は三谷幸喜さん。主役は大河ドラマ同様に山本耕史さんだそうです。来年1月放送。
シアターガイドのNEWSより。
新国立劇場演劇『箱根強羅ホテル』05/19-06/08新国立劇場 中劇場
内野聖陽さんと麻実れいさんが出演する井上ひさしさんの書き下ろし新作で、栗山民也さんが演出されます。文句なく今年の大注目公演です。舞台写真はこちら。
私が拝見したのは5/21(土)マチネですので、5/19(木)初日から数えて3ステージ目です。井上さんの脚本の仕上がりが遅かったため(ご本人もプログラムに挟まれたリーフレットに書かれています)、完成度が低いという悲しい結果でした。でも、井上さんの新作がオンタイムで観られる幸せを考えたら、そんなことは小さいことかな、と。
終盤になるにつれてぐんぐん面白くなっていくのは間違いありません。当日券(Z席)のお求め方法はボックスオフィスにお問い合わせください。
時は昭和20年4月。イタリアとドイツが降伏した今、49カ国を相手に戦っている日本にとって中立同盟国であるソビエト連邦は非常に大切な国となっている。そこでソ連の駐日大使館の疎開先として新しく選ばれたのが、箱根の山の上にある名門の箱根強羅ホテルだった。
外務省参事官の加藤(辻萬長)の指揮のもと、ロシア人学校の教師の山田智恵子(麻美れい)や植木係の国枝(内野聖陽)など、ホテルの従業員が集められるのだが、みな叩けば埃が出そうなどこか怪しい人物ばかり。戦争末期の日本人を描きつつ、次から次に珍事件が起こる2日間のお話。
井上ひさしさんのお芝居独特の「ドラマ・ウィズ・ミュージック(音楽付き戯曲)」という演出方法が部分的に成立しておらず、突然踊ったり歌ったりするのが妙な空気を生んでいました。また、具体的にセリフを間違えたりとか(私が観た回では、麻美さんのセリフが飛ばされたように見えるシーンがありました)、麻美さんと内野さんが姉と弟に見えなかったりとか、稽古不足が原因であることが明らかで、それにはただただ残念でした。
「みんな 人間よ」と歌う度に涙がこぼれました。ソビエト人だろうが日本人だろうが、愛国者だろうが非国民だろうが、目はふたつ、鼻と口はひとつずつ、手足は四本。夏は暑くて冬は寒い。
恥ずかしながら私は『花よりタンゴ』を観てはじめて、「接収」という言葉が絶対的な強制力を持ち、国民が国から無条件に私有財産を取り上げられること、突然に命を見捨てられることに怒りを覚えました。私は漠然と「戦争だから仕方がない」と思ってたんですよね、それまでは。「国家が国民を守ったくれたためしはこれまで一度もないんですよ」と井上さんは“通販生活2005年夏号”でおっしゃっています。この劇の中の歌にあります「綿素材のパジャマは気持ちがいい」とか「魚はスルメがいい いつまで噛んでももつよ」とか、そんな日常の小さな幸せを心から大切に思い、そう思う自由を主張し、守っていかなければと思いました。
シリーズ「笑い」の第三段ということで、もちろん笑いがふんだんに散りばめられています。ホテルの従業員を募集してみたら、ほぼ全員が陸軍や海軍のスパイだったのがバレたシーンは大爆笑でした。特に段田安則さんが弱視のフリをして部屋のそこここにぶつかるのが絶品。段田さんをはじめ、大鷹明良さん、酒向芳さん、内野聖陽さんの軍人4人組は素晴らしいコンビでした。軍人同士の確認のための“暗号歌”も笑えました。
舞台装置は堀尾幸男さんの美術と勝柴次朗さんの照明ということで力強く、美しく、古い木の懐かしい香りがしてきそうでした。上手側の壁の上の方に少し曇ったガラス窓がずらりと並んでおり、その窓から差し込む朝日や夕日がきれいでした。
シリーズ「笑い」3
作:井上ひさし 演出:栗山民也
出演:内野聖陽 段田安則 大鷹明良 酒向芳 藤木孝 辻萬長 麻実れい 梅沢昌代 中村美貴 吉田舞 平澤由美
演奏:朴勝哲 佐藤拓馬 佐藤桃 横内正代 杉野裕 船木喜行 山田貴之
音楽:宇野誠一郎 編曲:久米大作 美術:堀尾幸男 照明:勝柴次朗 音響:山本浩一 衣裳:前田文子 歌唱指導:伊藤和美 ステージング:前田清実 ヘアメイク:佐藤裕子 演出助手:北則昭 舞台監督:増田裕幸
S席7,350円 A席5,250円 B席3,150円 Z席=1,500円/当日学生券=50%割引
新国立劇場内:http://www.nntt.jac.go.jp/season/s265/s265.html
メルマガ号外 『その河をこえて、五月』
新国立劇場演劇『その河をこえて、五月』
05/13-29新国立劇場 小劇場
公演情報はこちら。
★メルマガへのご登録はこちらへ!
┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏
“しのぶの演劇レビュー” 号外 Vol.18 2005.5.27 430部 発行
┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏ http://www.shinobu-review.jp
今、面白い演劇はコレ! 年200本観劇人のお薦め舞台♪
★★ 号 外 ★★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「日韓友情年2005」記念事業
新国立劇場演劇『その河をこえて、五月』
05/13-29新国立劇場 小劇場
《東京公演後→大津、富山、北九州、神戸、富士見、ソウル》
☆日本と韓国の作家、演出家、俳優による共同製作。
2002年の初演時に朝日舞台芸術賞グランプリを受賞しています。
韓国でも権威ある演劇賞を受賞しているそうです。
・公演情報
http://www.nntt.jac.go.jp/season/s262/s262.html
・初演の舞台写真
http://www.nntt.jac.go.jp/frecord/play/2001%7E2002/sonokawa/sonokawa.html
◎観劇後のコメント◎
韓国はソウルのとある河原。花見に集まる人々。
韓国語学校の日本人生徒と、韓国人の家族との対話。
国も歴史も、文化も言葉も違う人間同士が、
なんとか気持ちを伝え合おうとします。
大河の悠久の流れのもとで、美しい桜の木の下で。
開幕して間もなくのシーンで早くも涙がほろりと流れ始め、、
笑いながら、うなづきながら、ハラハラしながら、涙がこぼれ続けました。
私が変わったのか、この作品が変わったのかはわかりませんが、
初演の時とは全く違う感想を持ちました。
もっと早くに観に行っていればよかったと、少し後悔しています。
※予定上演時間:約2時間30分(休憩なし)
《チケットについて》
・東京公演は残すところ3ステージです。
5/27(金)19:00、 5/28(土)14:00、 5/29(日)14:00
ご予約はお早めに!
・チケット料金(日時指定・全席指定)
A席4,200円 B席3,150円 Z席=1,500円 当日学生券=50%割引
Z席、学生券についてはボックスオフィスまでお問い合わせください。
新国立劇場ボックスオフィス TEL 03-5352-9999
http://www.nntt.jac.go.jp/season/boffice/index.html
・開場は開演の30分前です。開演の約10分前より舞台に俳優が登場します。
【お問い合わせ】
新国立劇場ボックスオフィス TEL 03-5352-9999
≪ご覧になった方のレビュー・お薦めコメントなど≫
ブンカな日々~演劇・映画・小説
http://blog.drecom.jp/kenichi-km/archive/126
現代パフォーミングアーツ入門
http://cparts.txt-nifty.com/cparts/2005/05/_vs__9cd7.html
長靴男の日記
http://d.hatena.ne.jp/kabachi/20050521/p1
+++ ココロ舞、ココロオドル +++
http://may.way-nifty.com/stage/2005/05/post_c549.html
★ストーリーや役柄についても詳しく書かれています。
≪ご参考≫
平田オリザ氏インタビュー(富山県富山市オーバード・ホ-ル)
http://i-toyama.com/uniqd.phtml?s=600.html&z=e626d0e7521f0e36173e67af3bf90cfb
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆ 【編集後記】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◎5月は面白いお芝居がいっぱいで、嬉し涙の日々でした。
号外も2回出せましたし、こんなハッピーな月もあるんですねぇ♪
『その河をこえて、五月』と完全に日程が被っていますが、
同じく家族のお話で『梅津さんの穴を埋める』もお薦めです。
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/0523233851.html
そうそう、本日5/27(金)はtpt『nine THE MUSICAL』の東京初日です。
ほぼ日刊イトイ新聞の応援ページに舞台写真が多数掲載されています。
http://www.1101.com/nine/index.html
◎パフォーミング・アーツ・マガジン[バッカス]02号
私が書いた劇評(Ort-d.d『四谷怪談』)が掲載された雑誌です。
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?W-NIPS=9978823190
◎皆様の観劇感想をお寄せ下さい!
このメルマガについてのご感想でももちろん結構です♪
ご感想は転用させていただくことがあります。
お便りはこちらへ→ 《 shinobu@mtr-standard.co.jp 》
※件名は「メルマガ感想」としてください。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆ 【このメルマガについての注意事項】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
今回の配信は“号外”です。
毎月1日発行のメルマガで、その月のお薦め舞台10本をご紹介します。
バックナンバーは全て公開中!
→ http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000134861
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
このメルマガは、高野しのぶの演劇への情熱で書かれています。
沢山の人に演劇に触れてもらいたい!ので、クチコミ・転送 大歓迎です♪
☆ご友人、お知り合いにどうぞこのメルマガをご紹介ください!
(以下をそのまま転送してくださいね♪)
【今、面白い演劇はコレ!年200本観劇人のお薦め舞台】
⇒ http://www.mag2.com/m/0000134861.htm
☆もしこのメルマガを観てお芝居に行かれたら、劇場でのアンケート用紙に
「高野しのぶのメルマガで知った」等、書いていただけると嬉しいです♪
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
◎東京および関東近郊の情報に限らせていただいております。
◎掲載内容には細心の注意を払っておりますが、
間違いがあることもあります。情報は主催者URLでご確認ください。
◎お薦めを観に行って面白くなかったらごめんなさい。
◎私の好みはこちらでご覧いただけます。
→ http://www.shinobu-review.jp/favorite.html
プロフィールはこちらです。
→ http://www.shinobu-review.jp/intro.html
◎購読・解除はこちらから簡単にできます。
まぐまぐ → http://www.mag2.com/m/0000134861.htm
////////////////////////////////////////////////////////////////
メルマガ 『今、面白い演劇はコレ!年200本観劇人のお薦め舞台』
発行人:高野しのぶ
メルマガ サイト:http://www.shinobu-review.jp/melmaga.html
Review サイト:http://www.shinobu-review.jp/
Eメール:shinobu@mtr-standard.co.jp
このメールマガジンは、まぐまぐから配信されています。
まぐまぐ:http://www.mag2.com/
Copyright(C)2004-2005 MTR standard corporation. All rights reserved.
許可無く転載することを禁じます。
////////////////////////////////////////////////////////////////
2005年05月26日
G-upプロデュース『Deep Forest』05/24-06/05新宿スペース107
期待の新人脚本家ほさかようさんの新作を、サードステージのプロデュース公演等で有名な板垣恭一さんが演出されます。最近だと『お父さんの恋』も板垣さんの演出ですね。
G-upプロデュースはキャストがすごく豪華なんですよね。俳優の所属劇団名を挙げますと(特に所属をしていない方は除いて)、演劇集団キャラメルボックス、NYLON100℃、扉座、Chintao Record、絶対王様、tsumazuki no ishiという多彩さです。さらに主演の楠見薫さんは元・遊気舎(所在地は大阪)ですから非常に意外な組み合わせです。
さて、作品は一言で表すならグリム童話『ヘンゼルとグレーテル』を題材にしたダーク・ファンタジーです。去年拝見したほさかさん作の『金魚鉢の中で』がサスンペンス・ホラーだったので、今回もその色が濃いのかしらと思っていたのですが、全く種類が違いましたね。こんなにボロボロと泣いちゃうとは思いませんでした。
話の筋道はとてもストレートでセリフもわかりやすく、ちょっと子供向けかも?と思うぐらいでしたが(そもそも童話ですしね)、主役の魔女ローザ役の楠見薫さんを通じて人間の素直な感情がびんびん伝わってきて、魔女のお話というよりは残酷な運命に翻弄されながらも必死で生き抜いた、ローザという一人の女を描いているように思われました。
私が拝見したのは初日でしたので序盤はリズムにうまく乗れていないようでしたが、技の有る役者さんの確実に楽しいネタやアドリブ(?)も上手く効いて来て、中盤以降からクライマックスにかけては、息を呑む展開と迫真の演技でお話の中にどっぷり浸かりこみました。場面転換のタイミング、そして照明効果の巧みさに舌を巻きました。
ここからネタバレします。これから観に行かれる方は読まれない方が良いですよ。
深い森の奥に盲目の女ローザ(楠見薫)がたった一人で暮らしている。道に迷った子供が2人、助けを求めて女の家にやってきた。名前はヘンゼル(山中崇)とグレーテル(新谷真弓)。ローザはグレーテルを見て彼女にそっくりな少女、一人娘のエデン(新谷真弓)のことを思い出す。ローザは昔、エデンと2人で幸せに暮らしていたのだ。
ヘンゼルとグレーテルがやってきた現在と、ローザとエデンが暮らしていた昔とが入れ替わるように演じられます。新谷さん演じる2人の登場人物は、演技はもちろんのこと衣裳の変化で区別されていました。
深い森の中に住む魔女が登場して、中世ヨーロッパの魔女狩りを想起させるような出来事が起こるあたりは、私達が昔からテレビアニメや絵本、教科書などで慣れ親しんできた、比較的わかりやすいオーソドックスな筋立てです。
黒い上下の服を着た謎の男(細見大輔)はおそらく「悪魔」で、ストーリーテラーという重大な役割を果たしていましたが、少し存在感が薄いように思いました。彼は自分の大好物である人間同士の憎しみ合い、殺し合いをむさぼるために、魔女ローザと娘のエデンを操っていた超悪者なのですが、それほど悪いヤツに見えなかったんですよね。細見さんが人間味のあるハンサムだからかもしれないですが(笑)、どうしても正義の味方っぽいというか、それほど殺し合いとか好きじゃなさそうに見えました。もっともっとギラギラしてる方がいいんじゃないかな。
真っ白い舞台装置は床が円形に張り出しており、舞台奥と上手側にその円形ステージを包むように大きな壁が巻かれています。2つの壁にはそれぞれ四角い窓とドアの大きさの穴が空いていて出はけ口になっており、その窓とドアに照明が当てられて、外枠だけがボーッと白く光っているのが美しかったです。色んなシーンでそれが生きていました。
チラシを見直してみたら、ビジュアルが舞台の内容としっかりリンクしていますね。真っ白な空間に丸いステージ、中央にぽつんとたたずむ赤い魔女。関係あるのかどうかわかりませんが(笑)。
ローザの女友達のベル役の判美奈子さん(扉座)はいつも通り、ハイクオリティーのコメディエンヌでした。疫病が蔓延しているのは魔女のせいだとシュプレヒコールを挙げる連中から、ローザとエデンを救い出そうとするシーンにはシビレましたね。
グレーテルとエデンの2役(?)を演じた新谷真弓さんは、少女を演じていることがすんなり受け入れられました。笑いの呼吸も絶妙だし大きな怒りや悲しみを表す時も安定していて、技術を感じます。
やっぱり今回の目玉はローザ役の楠見薫さんだと思います。あらゆる気持ちが表情からダイレクトに伝わってきました。娘のエデンさえも殺そうとしたような、コントロールができなくなった怒りも凄かったですが、家族にも他人にも惜しむことなく注ぎ込まれる無償の愛情がとんでもなく大きくて、優しかったです。そしてそれが観客にも向かっていることがわかりました。大好きな女優さんになりました。
ジャンルは全く違いますが、同じく童話を元にした舞台作品の『シンデレラストーリー』(現在上演中)思い出しました。『シンデレラストーリー』は、アンデルセン童話の『シンデレラ』の「なぜ??」と突っ込みたくなるところを、鴻上尚史さんが筋の通ったお話に作り変えています。例えばシンデレラのお父さんはなぜ家にいないのかとか、シンデレラの靴だけはなぜ夜の12時を過ぎても消えなかったか等の謎を解いていくのです。
この作品の場合は魔女を主役にして『ヘンゼルとグレーテル』のサイドストーリーを創作し、原作と一致している事実の理由付けをしています。観終わって思い出していくと、色々細かく書き込んである脚本です。2回観ても面白いかもしれません。
・なぜ魔女(ローザ)の家は「お菓子の家」だったのか
→娘(エデン)が屋根の上に母親特製の七色キャンディーを飾っていたから。
・屋根の上から宝石がたくさん見つかったのはどうしてか
→娘が母親からプレゼントされるたびに屋根の上に隠していたから。
・原作では「魔女はかまどに放り込まれて焼き殺された」となっているが、今作では・・・
→魔女がヘンゼルを突き飛ばした拍子にヘンゼルが持っていたランプが床に落ち、その炎が燃え移って、魔女は家ごと焼け死んだ。
作:ほさかよう 演出:板垣恭一
出演:楠見薫 細見大輔(演劇集団キャラメルボックス) 新谷真弓(NYLON100℃) 伴美奈子(劇団扉座) 井之上チャル 川渕良和 山中崇(Chintao Record) 小橋川健治(絶対王様) 松嶋亮太(tsumazuki no ishi) 浅野智 久水広太 若林亜紀
舞台監督:田中政秀(Team Cowboy) 舞台美術:秋山光洋 音響:小笠原康雅(office my on) 照明:正村さなみ(RISE) 演出助手:山崎総司(Playing unit 4989) 演出部:奥村亜紀 衣装:名村多美子 宣伝美術:石曽根有也 撮影:松井秀樹 音楽:仲野慶吾 制作:伊藤恭子 プロデューサー:赤沼かがみ 企画製作:G-up
前売 4200円 当日4500円
G-up:http://www.g-up.info/
2005年05月25日
森崎事務所『アイスクリームマン』05/11-29ザ・スズナリ
岩松了3本連続公演の第一弾。私は岩松さんの作品は苦手な方なので、ちょっと不安に思いながら土砂降りの中を劇場に向かったのですが・・・めっちゃくちゃ面白かったです!いっぱい笑ったし、興奮もしました(笑)。岩松さんが“日本のチェーホフ”とも称される所以がわかったような気がしました。
『アイスクリームマン』は1992年初演、1994年再演、そして今回が3演目です。でも演劇研修所の卒業公演などで多数上演されているようですね。
小島聖さん、高橋一生さん(扉座)をはじめ、大人計画でお馴染みの面々(荒川良々、近藤公園、平岩紙、少路勇介)やtpt等でも活躍している男優(池下重大、チョウソンハ)、岩松作品経験者が続々と出てきます。こりゃ人気なワケです。客席に阿部サダヲさんを発見。
今日は開演の15分前ぐらいに劇場に到着したのですが、当日券は完売でした。前売りチケットはぴあでもイープラスでも完売してますね。お問い合わせは森崎事務所(03-5475-3436)へどうぞ。
私みたいに前のめりになって楽しんでいる人も沢山いたと思いますが、すっかり眠ってしまっている人も数人見かけました。好みが分かれるのかもしれません。岩松作品に慣れ親しんでいない私にフィットしたということは、いつもの岩松作品よりもメジャー受けする作風なのかも。
舞台は、東京から新幹線で行くような田舎にある自動車教習所。おそらく東京より北方。季節は桜が咲く早春。時に激しく、時に淡々と描かれる、合宿所の中の若者たちの青春群像劇。
登場人物は全部で20人(+1人)居ますが、それぞれがとても個性的・・・と言うか、「こういう人いるよね」って思った途端に「こんなヤツいないよっ!」と思わされるような(笑)演技の応酬です。役者さんはところどころ凄く大げさにしたり、突然予想もしない方向にキャラクターを変化させたり、普段は決してしないような動きも連発します。その意外性に思わずワハハッと笑うのですが、同時に、なぜか登場人物がとても生き生きしてきて、リアルに、実際に存在するように感じられてくるのです。不思議な感覚でした。たぶん人間はこのお芝居の登場人物のようにめちゃくちゃ滑稽なことをしまくっているんだと思います。
ここからネタバレします。
合宿所に居ることを除いて何の共通点もなさそうな人々の集まりの中で、言葉や動きの端々からそれぞれの世界が少しずつ見えてきます。しかし、きちんと理解できるほどは教えてくれません。教習所事務員の早苗(平岩紙)とその姉(小島聖)の家庭環境や、女たらしの水野(高橋一生)とその元彼女の聡子(中込佐知子)と、水野を責めて聡子をかばう吉田(荒川良々)との関係など、具体的なことがわからず仕舞いでした。
だけど、一人一人の気持ちはきちんと伝わってきました。私達の現実の世界でも他人のことをこと細かく、正しく知ることなんてめったに出来ないし、出来ないながらも相手の気持ちを知ろうと努力するのがコミュニケーションです。だから意味を説明してもらってそこから類推するよりも、その時、その場の感情をそのままに受け止める方が、理解できるし、伝わるのかもしれないと思いました。
計算された笑いが見事に決まっていて、岩松さんの演出は凄いなって思いました。姉妹が大喧嘩している場から足早に立ち去ろうとしたのだけれど、床に置いてあったスリッパを思いっきり蹴飛ばして「スパーンッ!」と大きな音を出してしまい、めちゃくちゃ目立ってしまったりとか、勇気を出して誰かに手渡そうとしていたカメラのフィルムを、ジュースの自動販売機の下に自分で蹴り入れてしまったりとか。タイミングとバランスが絶妙だから爆笑できるのだと思います。
ド田舎の山の中の合宿所で恋がたくさんありました。6ヶ月も合宿所に居座っている“のつぼ”(チョウソンハ)と事務員の早苗(平岩紙)、バースデーパーティーを開いてもらった林田(塚本三直恵)とギター片手にフォークを歌う坊主頭の花輪(星野源)、水野(高橋一生)については、教習所でのにわか恋人の瀬川(坂井貴子)、元彼女の聡子(中込佐知子)、そして早苗の姉(小島聖)との四角関係が面白かったですね。他にゲイのカップルの三角関係(?)みたいなのもあったような。
水野役の高橋一生さんがスカっとするほど性格が悪い色男で、見るからに狂ってそうな悪女ルックスの小島聖さんと、力いっぱい抱き合い、紙コップに入ったコカコーラをバンバンこぼしながらキスしまくるのが痛快でした。バッカだね~って思いながら、かっちょい~っとも思ってました(笑)。
全身緑色のジャージを着たチョウソンハさんはやはり強烈でした。tpt『Angels in America』の天使役でも相当イっちゃってましたけど、今回もそのキャラクターが生かされていました。声が大きいし身体はよく動くし、阿部サダヲさんから可愛げを取ったらチョウソンハさん、かも(笑)。
暗転が3回か4回ぐらいあったかと思いますが、その時に流れていた音楽がすごく雰囲気に合っていて、特にギターのインストゥルメンタルがかかった時は、体がノってちょっぴり踊りたいような気持ちになりました。
こちらで過去の『アイスクリームマン』、『センター街』等の感想が読めます。
作・演出:岩松了
出演:荒川良々、小島聖、高橋一生、近藤公園、平岩紙、少路勇介、遠藤雅、星野源、佐藤直子、池下重大、チョウソンハ、中込佐知子、柳野コウセイ、杉内貴、鈴木リョウジ、塚本三直恵、早船聡、坂井貴子、三浦義徳、望月秀人
ダブルキャスト(家出娘):宮沢紗恵子 松本麻里(私が観たのは宮沢さんでした)
舞台監督:青木義博 舞台美術:磯沼陽子 照明:吉倉栄一 音響:井上直裕 衣裳:戸田京子 衣裳助手:梅田和加子 宣伝美術・パンフレットデザイン:坂本志保 写真:小木曽威夫
前売り 4500円/当日 4800円(全席指定・税込)
森崎事務所 M&Oplays:http://www.morisk.com/
岩松了3本連続公演:http://www.morisk.com/iwamatsu.htm
2005年05月24日
万作の会+(財)せたがや文化財団『まちがいの狂言』05/08-22世田谷パブリックシアター
世田谷パブリックシアターの芸術監督でいらっしゃる野村萬斎さんの演出です。『まちがいの狂言』は2001年初演でこれが3演目。やっとチケットを入手できたので観に行きました。萬斎さんの人気はホントに凄いですね。
この公演後にはアメリカ公演があります。2001年にはイギリスのグローブ座でも上演されました。
2001年初演の公演情報はこちら。あらすじや作品紹介が充実しています。
2002年再演(グローバル・バージョン)の公演情報はこちら。
「人生に一度は観た方がいい。」そうお薦めできる傑作だと思います。
劇場ロビーに入ると、フロアの床になにやら白黒のシールのようなものが貼ってあります。よく見るとそれはたんぽぽの花の形をしており、客席入り口のすべてに掛けられたのれんや、舞台美術に使われているモチーフ(紋)と同じデザインでした。劇場に足を踏み入れた瞬間から作品世界へと入っていける演出は嬉しいです。
客席に行くと、黒装束に怖いお面をかぶった人たちが「ややこしや ややこしや」と口々に語りながら、ぐるぐると歩き回っています。観客をじーっと見つめ(?)たり子供の手を握ったり、自由に遊んでいる雰囲気で、こちらの気持ちもリラックスしました。客席にはお子様もけっこう沢山いて、ややこしや星人たち(私はそう名づけました)に大喜び。NHK『にほんごであそぼ(いきなり音が鳴ります)』でお馴染みのようです。普通に見たらかなり怖いキャラなのにね(笑)。
ストーリーはシェイクスピアの『間違いの喜劇』を室町時代の日本のお話に翻案したもので、ドタバタ喜劇の部類に入ると思います。
***あらすじ***(こちらより引用しました)
白草の国の商人、直介(野村万作)には息子がおり、同じ頃近隣で生まれた父なし子の双子を従者として引き取り、一緒に育てていましたが、ある日、妻と赤ん坊四名を伴い旅に出たところ、瀬戸内海で嵐に巻き込まれ、妻と息子一人従者一人と生き別れになってしまいます。
***引用おわり***
商人の息子が双子で、その従者も双子。片方ずつセットで生き別れになり、5年後に4人がお互いのことを知らずに再会することから起こる大騒動。商人の息子の双子を野村万作さんがお一人で演じ、従者の双子を野村萬斎さんお一人で演じます。面を被ることで役を区別するのが狂言風で渋いです。
出演する役者さんの熟練の技はもちろん、ユーモアもたっぷりの演技と演出も満喫できました。
最後に萬斎さんが一人で舞台に立ち、被っていた面をステージ中央の床に置きます。置かれた面をまた拾って、その面と対話するようにセリフを言います。
「ややこしや ややこしや」
「わたしがそなたで そなたがわたし そも わたしとは なんぢゃいな」
私と他人、私と他人から成る世界、私という宇宙・・・を感じました。同一人物と間違われる2組の双子のドタバタ悲劇の形を借りて、狂言があらわす哲学的世界が、その時、その場に生まれていました。
日本の舞台芸術の最高レベルの作品だと言えるのではないでしょうか。これを海外で上演してくださるのは凄く嬉しいです。世田谷パブリックシアターのレパートリーですのでまた再演されることでしょう。後はチケット入手の難しさがナントカなってくれれば・・・・。
某日観劇録に舞台の内容が簡潔にまとめられています。
原作: ウィリアム.シェイクスピア「まちがいの喜劇」より 作:高橋康也 演出:野村萬斎
出演:野村万作 野村万之介 野村萬斎 石田幸雄 深田博治 高野和憲 月崎晴夫 野村遼太 中村修一 高山悠樹 破意志晋照 時田光洋 小美濃利明 野村良乍 宇貫貴雄
囃子方:松田弘之(笛)、槻宅聡(笛)、太鼓:桜井均
美術:堀尾幸男 照明:キムヨンス 演出助手:小美濃利明 舞台監督:山本園子 衣裳スーパーザイザー:阿部朱美 制作:奥山緑(アムアーツ)
一般 A席6,500円/B席4,000円、学生(3階)2,500円(くりっくチケットセンターのみ取扱い、要学生証)SePT倶楽部会員割引 <A席のみ>6,000円 世田谷区民割引 <A席のみ>6,300円
公演ページ:http://www.setagaya-ac.or.jp/sept/jouhou/04-2-4-78.html
2005年05月23日
演劇集団 円『梅津さんの穴を埋める』05/08-29ステージ円
演劇集団 円の企画「次世代の劇作家書下ろしシリーズ」3作品連続上演の最後です。 この方から「観なきゃだめだよ」と言われて必死でスケジュールを工面して観に行ったら、すっごく面白かった!5/29(日)までやってますので、どうぞご予約を!今日はアフタートークもあったからか、月曜日なのに満員でした。私は最前列のベンチシートで拝見いたしました。
あらすじはこちら。何も知らずに観に行くのも楽しいと思いますよ。
≪言及ブログ≫
腕P!の日々のつぶやき
幕が開いたらそこは少し古びた家の台所。ただし普通と違うのは、床に大きな穴が開いていること。その穴にダイニングテーブルが埋まっており、席についていた家族ともども家具ごと床の下に閉じ込められて、身動きができないのだ。原因は床板の老朽化。偶然その強烈な不運とめぐりあってしまったのは、家の主である母親と、珍しく実家に帰っていた長男、長女、次女、そして次女の彼氏とリフォーム会社の作業員。のどかな日曜日の夕方に助けを呼んでも誰も来そうになく、携帯電話は面白いように誰の手元にもなかった。にっちもさっちもいかない状況で語り合う内に、家族それぞれの境遇が明かされていく。
リアルっぽく装った少々大げさな演技が受け入れづらく(新劇っぽいというのかな)、最初の30分ぐらいは遠くから眺めるままでした。でも、登場人物一人一人が背負っているのっぴきならない人生がとても自然に浮き彫りにされていくので、徐々に自分自身や自分の家族とも重ね合わせながら観ることができました。それぐらい人物像の掘下げがしっかりと成されており、ストーリーに破綻がありません。
具体的にネタバレします。
主要人物がずっと出ずっぱりの1時間35分です。しかも全員幕開けからほぼ同じ姿勢のまま動き(け)ません。ワン・シチュエーションで途中の暗転もありません。だけどドッキリするような事件がたくさん起こるし、舞台も、心も揺れ動きます。少しずつ真相が明かされていくタイプの脚本ですので、もう一度観てもすごく楽しめるんじゃないかな。「あぁ、あの演技はこのためだったのか!」と気づくことが多いと思います。
どこから見ても良妻賢母の母親が、実は十数年前に不倫をしていたのがバレるのは衝撃です。小学校6年生の時に母親の裏切りを知り、自分たちは母親に捨てられたのだと思い続けながら、その事実を心の奥にずっとしまいこんでいた長男が、テーブルに挟まれながらも怒りと悲しみを爆発させるシーンでは涙が溢れました。
山乃廣美さんは、人生の酸いも甘いも、苦いも経験してきた母親役を、あくまでも明るく優しく演じられていました。どうして目を細めるんだろうと思っていたのですが、交通事故で視力がほぼゼロになってしまっていたことが終演間際に明かされます。さすがですね。
宅急便のお兄ちゃん役の佐藤せつじさんがいい味を出していました。アフタートークでも爆笑しちゃった(笑)。
【アフタートーク】
作・演出の土屋理敬さんと演出助手の森新太郎さん、そしてゲストに舞踏・演劇ジャーナリストの堤広志さんを迎えての和気あいあいのトークタイムでした。後から出演者も全員出てきて、皆さんそれぞれが一言ずつお話してくださって、すっごく楽しかったです。
土屋理敬さんは15年前に演劇集団 円の演劇研究所に所属されていました。それから現在の奥様である嶋崎佳美さんと一緒に劇団おばけおばけを旗揚げされて、十数本の作品を作・演出・出演されてきたそうです。私は残念ながら今までご縁がなかったですね。演劇◎定点カメラにも書かれていますが、タイトルに人の名前が使われているのが面白いですね。「杉山君たちは夜専門」とか「そして飯塚君だけが残った」とか(タイトルはうろ覚えなので正しいかどうかわかりません)。
堤さんによると、家族の話は珍しいとか。いつもは他人同士の、たとえば社会人が敬語で会話するようなシチュエーションで、けっこう社会派で厳しい現実がつきつけられるような内容だそうです。でもクオリティーはいつも通り、確かだったのでしょう。
さて、この作品の話ではないのですが、今シリーズ2作目の『東風』(グリングの青木豪さんの作・演出)は、堤さん曰く「このまま芸術座の舞台に乗ってもいいぐらい」だったそうです。う~ん、見逃したのは痛いですねぇ。やはり年配の役者さんが出演するのがミソのようです。若い作家の作品にはその同世代の役者さんが出演するのが普通ですからね。そういう意味でもこの企画は素晴らしいと評価されていました。またぜひやってもらいたいですね。そしてどんどん新しい作家を紹介していっていただきたいです。
作・演出:土屋理敬
出演:大竹周作 山乃廣美 米山奈穂 細越みちこ 佐々木睦 上杉陽一 佐藤せつじ
美術:長田佳代子 照明:樋口実 効果:斉藤美佐男 舞台監督:小野寺亮 演出助手:森新太郎 制作:桃井よし子
一般:4200円 電話予約の際に「HPを見た」と言えば一般券が3800円に!こちらをご覧ください。
劇団内:http://www.en21.co.jp/afurikanotaiyo.html#umezu
真心一座 身も心も 公演 第一章『流れ姉妹~たつことかつこ~』05/20-29青山円形劇場
河原雅彦さん、千葉雅子さん(猫のホテル)、村岡希美さん(ナイロン100℃)、坂田聡さん(元ジョビジョバ)の4人ユニットの旗揚げ公演です。
公演サイトによると、「たつこが恋するプリンスとかつこを凌辱するゲストレイパーを招くスタイルでシリーズ上演していくという試み」だそうで、今回はプリンス(ゲストラバー)が松重豊さん、ゲストレイパーが粟根まことさんという豪華キャスト。
ワケあり姉妹のたつことかつこ、そして妹のかつこを慕う谷村と、謎の男・末次の4人がいつも登場するシリーズもので、姉は毎回誰かと恋に落ち、妹は毎回誰かにレイプされるというのがルールのようです。続いていくと楽しそうですね。
上手い役者さんが揃った人情悲劇で、笑いのネタがふんだんに散りばめられています。私が観た回は、全体的にどこで笑ったらいいのかがわかりづらい仕上がりでした。たぶん公演の後半になったらもっと磨きがかかるのではないでしょうか。
河原雅彦さんの演出作品は今までに『世にも素敵なネバー・エンディング・ストーリー』、『鈍獣』、『バット男』を拝見しましたが、その中ではこの作品が一番面白かったです。演出の種類としてはにぎやかし的なものや運動会系のものも多いので、好みは分かれると思います。
あらすじを簡単に書きますが、これから観に行かれる方は読まれない方がいいと思います。
かつこ(村岡希美)は殺人罪で函館の女子刑務所に服役している。看守の谷村(坂田聡)は品行方正で優しく、誰からも慕われているかつこを見て、彼女は誰かの罪をかぶって刑務所に入ったに違いないと考えた。谷村は行方不明になっているかつこの姉のたつこ(千葉雅子)が真犯人だと見て、たつこの行方を追った。
たつこは、かつことは違ってかなりはねっ返りの強い性格だ。沖縄の牧場に流れ着いて生活をしていたが、旅行者の振りをしてたつこを偵察に来た谷村の正体に気づき、持ち前の喧嘩っ早さが炸裂する。暴れるたつこを止めたのは東京から来たもぐりの獣医、五十嵐(松重豊)だった。たつこは五十嵐とともに、出所したかつこが暮らす東京へと出発する。
出所したかつこの前に、彼女をレイプした歌川(粟根まこと)が「俺の子供に会いたい」と言って現れます。そこで回想シーンになってレイプの場面が再現されるのですが、粟根さんは体の動きがめちゃくちゃきびきびしていて迫力があり、レイプだけれどコミカルな演出が生きていて面白かったです。これがこれからのシリーズ上演で毎回あるのだと思うと面白いなって思いました。レイプされるのは村岡さんで、その相手は毎回違うんですよね。たつこと五十嵐の恋もほんのりいい感じでしたので、たつこの恋人役についても楽しみになりそうです。
“がや四人衆”として小林顕作さん(宇宙レコード)、政岡泰志さん(動物電気)、伊達暁さん(阿佐ヶ谷スパイダース)、信川清順さんがどんどん着替えて色んな役を演じます。舞台に立つことがすっかり板についている役者さんばかりですので観ていて不安になることはありませんでしたが、ちょっと大げさすぎたかな。キャラクター勝負のきらいがあるのが見えると、私は冷めてしまうんですよね。
政岡さんがかつこと同じ衣裳を着てかつこの回想シーンで代役をするのは笑えました。
伊達暁さんは最後のヤクザ役の時がカッコ良かったです。
家具などの大道具をたくさん出したり、しまったりして場面転換します。何人もの演出部のスタッフが装置を運ぶので転換の時間が自然と長くなるのですが、その間も役者さんの演技シーンになっているので、スムーズに次のシーンに進んでいました。
私はストーリーやメッセージ等よりも役者さんの演技やキャラクターを楽しんだという印象です。
≪東京→大阪≫
作:千葉雅子 演出:河原雅彦
出演:小林顕作(宇宙レコード) 政岡泰志(動物電気) 伊達暁(阿佐ヶ谷スパイダース) 信川清順 中嶋徹 伊藤一将
<初代・ゲストレイパー>粟根まこと (劇団☆新感線) <初代・ゲストラバー>松重豊
舞台監督:福澤諭志+至福団 音響:山本能久(SEシステム) 照明:倉本泰史(APS) 宣伝美術:Coa Graphics(藤枝憲 高橋有紀子 河野舞) 制作協力:キョードー大阪 製作助手:川辺美代 制作:伊藤達哉 花本理恵 那須みちの プロデュース:菅野重郎 製作:アール・ユー・ピー
公演ページ:http://www.rup.co.jp/200502nagare/index.html
2005年05月21日
六本木ヒルズで『ナイン』特別イベント
ほぼ日刊イトイ新聞から引用します。
5月22日(日)
六本木ヒルズのテレビ朝日本社ビル1F
「UMU(ウム)」にて
『ナイン』特別イベント開催決定!
5/22(日)
【1回目】13時~14時半ごろ
【2回目】16時~17時ごろ
※当日会場の状況により多少前後する場合があります。
入場無料!
ほとんどのキャストが参加!
『ナイン』の歌声を一部披露!
2005年05月19日
シアター21『グリマー・アンド・シャイン』05/13-22紀伊國屋ホール
ジャズメンたちのお話、でした。おじ様たちがめっちゃくちゃ渋くてかっこよくて“萌え”ましたね(笑)。シアター21って再演しませんよね。これ、再演してもらいたいなー・・・。
舞台は1990年のマンハッタン。1950年代に一世を風靡したジャズ・グループには双子の兄弟トランペッターがいた。ダニエル・グリマー(羽場裕一)とマーティン・グリマー(山路和弘)だ。ある事件から兄のダニエルはジャズからすっかり足を洗ってビジネスマンになっている。弟のマーティンは酒とタバコにおぼれたまま今も昔と同じアパートに住んでいるが、ダニエルの娘(真中瞳)と出会って・・・・。
脚本のウォーレン・ライトさんは1999年に『サイドマン』でトニー賞を受賞しています。これもジャズメンのお話でしたね。私はジャズについては外側から眺めているだけなのでよく知らないのですが、ジャズに魅せられた人たちってすごく魅力的に見えます。
「ドラム(奏者)に女を持っていかれる」って何度もセリフに出てたけれど、ホントなのかしら(笑)。
最後の最後のセリフで若い二人に残されたメッセージは「守りに入るな」でした。
美術は加藤ちかさん。思い切った構図でした。下手に弟の家、上手に兄の家があり、舞台は真ん中で真っ二つに分かれている状態。弟の家は35年前からずっと変わらずゴミ溜めのようになっているのですが、それに対して兄の家(会社で借りているセカンドハウス的な部屋)はきらびやかな豪邸。でも壁や柱が斜めに傾いているんです。自分の心のままに生きた弟の家はまっすぐどっしりと存在し、妻そして子供の流産がきっかけでジャズ人生と決別した兄の家は、見るからに不安定なのです。
なんとカーテンコールで男優3人がを本当に演奏されました!!羽場さんと山路さんがトランペット、高橋さんがトロンボーンを・・・がががーんっ、な、なんてカッコイイの!!・・・だめだ、この時ばかりは単なるミーハーになってしまったっ、真中さんがうらやましかったわ~(笑)。
≪東京、兵庫≫
"Glimmer, Glimmer, and Shine" by Warren Leight
作:ウォーレン・ライト 翻訳:小田島恒志 演出:宮田慶子
出演:真中瞳(ディーリアとマーサ)/高橋和也(ジョーダンとエディ)/山路和弘(マーティン・グリマー)/羽場裕一(ダニエル・グリマー)
美術:加藤ちか 照明:中川昭一 音響:高橋巖 衣裳:前田文子 ヘアメイク:佐藤裕子 演出助手:阿部洋平 舞台監督:澁谷壽久 宣伝美術:坂本拓也 宣伝写真:サト・ノリユキ 制作:相場未江 プロデューサー:三崎力 芸術監督:山崎正和
企画:シアター21制作実行委員会 製作:RUP
前売り5,500円
RUP:http://www.rup.co.jp/200504gli/index.html
フジテレビジョン『エデンの東』05/01-21東京グローブ座
ジャニーズ事務所所属の男の子が主演のお芝居です。鈴木裕美さんの演出で、松井るみさんの美術なので観に行くことにしました。脚本はグリングの青木豪さん。青木さんは4月に演劇集団円にも書き下ろされていますね。
ジェームス・ディーンの映画が有名です。私は母親から「弟が兄の恋人を盗っちゃう話だ」と聞かされていたので、幼心に「きっと不謹慎な話なのだ」と思い込み、映画は観ていません。というかジェームス・ディーン像が「不謹慎な若者」にFIXされたため、彼の映画は全く観ていないのです。ほんとのバカですね、私。大人なんだからちゃんと自分の目で確かめます。
閑話休題。あらすじはこちらでどうぞ。※音楽が鳴りますのでボリュームにご注意ください。
ストーリーを全く知らなかったのもあり、とても楽しく拝見しました。やっぱり鈴木裕美さんの演出は手堅いです。そして松井るみさんの美術は美しい。あと、音響が細やかに計算されていたように感じました。かすかに鳴り出す音(鳥の声とか民衆の声とかいろいろ)がとても心地よく、効果的でした。脚本については、構成はすごくスムーズで気持ちよかったです。セリフは少々クドかったところもあったかな。
役者さんは新劇っぽさが鼻につく感もありましたが、イヤにならずに最後まで観られました。主役のキャル役の松本潤さんはさすがジャニーズ、輝きがありましたね。ただ、体がいつもゆらゆら揺れているのは気になりました。
キャル(松本潤)とアロン(小橋賢児)、そして父親(浜畑賢吉)が暮らす家と、彼等を捨てて出て行った母親ケート(銀粉蝶)が経営する女郎宿への場面転換がかっこいい!セットは基本的にリアルなアメリカンハウスです。中央および上手側がキャル達の家で、下手側が女郎宿なのですが、仕切りも何もないんです。ただ互いの家具が置いてあるだけ。つまり、音響と照明の変化だけで場所が変わるんですね。キャルの家から女郎宿のある繁華街までは汽車で1時間ぐらいという設定でした。キャルとアロンが家の中で会話をしている時からすでに汽車のシュッポ、シュッポという音が鳴り始め、2人がふらりと下手へと移動したとたんに照明の色が変わって、そこはもう女郎宿・・・鮮やかでしたね~。
ここからネタバレします。
病に倒れた父親と不良息子キャルの心が通い合う、というのがラストですが、あまり感情移入はできなかったです。父親は、アロンからのプレゼント(恋人との婚約)には喜んだのに、自分が相当苦労して作ったプレゼント(現金)には喜びませんでした。そこでキャルは初めて「なんでアロンばっかり!?」と、兄のアロンに対する嫉妬の気持ちを言葉に表すのですが、その嫉妬心が感じられなかったからかもしれません。アロンのことすっごく好いているように見えていたので。
キャルの兄アロン役の小橋賢児さん。四面四角でヤな感じでちょっといけ好かない青年役、良かったです。たしか『若き日のゴッホ』でもそんな役だったような。女郎屋の女将になった実の母親に会って、志願兵になる決心をしたシーンには説得力がありました。
アロンの恋人アブラ役の水谷妃里さん。きれいな方なんでしょうけど、きびきびしすぎな印象でした。特に父親が脳溢血で倒れてからは、がみがみしゃべる声が聞き苦しかったです。
女郎宿の女将ケート役の銀粉蝶さん。ド迫力で渋い!でも、紋切り型な時もあって、それは楽しくなかったかも。
歌川椎子さんが超イラつく家政婦役なのですが(笑)、弟役の永滝元太郎さんとすっごくいいコンビでしたね。
≪東京、大阪≫
おそらく映画がもとになっていると思うので書いておきます。
映画『エデンの東』→ 製作:監督:エリア・カザン 原作:ジョン・スタインべック 脚本:ポール・オズボーン
演出:鈴木裕美 脚本:青木豪(グリング) 美術:松井るみ
出演:松本潤(嵐) 小橋賢児 水谷妃里 川原和久 歌川椎子 永滝元太郎 銀粉蝶 浜畑賢吉
照明:中川隆一 音響:井上正弘 衣裳:黒須はな子 小道具:石井みほ ヘアメイク:河村陽子 演出助手:坂本聖子 舞台監督:村田明
東京グローブ座:http://www.tglobe.net/
フジテレビ内:http://www.fujitv.co.jp/events/stage/st050501eden.html
2005年05月17日
Bunkamura・朝日新聞社『メディア』05/06-28シアターコクーン
蜷川さん演出のギリシア悲劇で上演時間が1時間50分というのは、とてもありがたいです。
予想通り、大竹しのぶさんの独壇場でした。
先日、静岡でタガンガ劇場というロシアの劇団の『メディア』を観たばかりだったので、ストーリーはあらかたわかっていました。5年前にク・ナウカの『王女メディア』も観てましたし。
なので、演出や役者さんの演技を楽しむことに集中できるわけなのですが、いやはや、蜷川さんおなじみの仕掛けがことごとく襲ってきたっっ!という感じ。
『メディア』のあらすじはこちらでどうぞ。
ここからネタバレしますので、これから観に行かれる方はお読みにならないでください。
ネタバレします。
とりあえず、舞台が水びたしです。完全に池になっています。舞台中央つらに島のように盛り上がった場所があって、そこは水に浸っていません。また、舞台奥の壁に沿って上に向かう階段があり、階段を上ったところに家のドアがありますので、その階段と、階段の下と上の踊り場も、濡れない演技スペースです。
池の中(つまり舞台全体)には、大きな蓮の花がにょきにょきと伸び、いっぱい咲いています。時々大竹さんがバキっと花の茎を折ったりします。
コロスは赤子を背負った老女が16人。なんとみんないっせいに同じセリフを怒鳴ります。ほとんど七五調で。
赤ん坊が泣く声が何度も流れます。メディアが自分の子供2人を殺すかどうか迷うのですが、そこがすっごく長い。じわじわ、べったりと、母が子を愛する気持ち・・・みたいなものを表すのですが、余計でした。
クライマックスは・・・出た!クレーン!!大きな羽が生えたドス黒い竜に乗って、メディアが飛びます。『唐版 滝の白糸』でも笑ったけど、今回も吹き出しちゃったな。私の近くの席の人、ごめんなさい。
そしてラストは、搬入口がオープンしました。もう充分です。お腹いっぱいです。
大竹しのぶさん。しゃべりっぱなしですね。やっぱりすごいな~・・・と眺めていました。さすがにクレーンの竜に乗っているときは少しニヤリとしてたように見えましたけど。
生瀬勝久さん。メディアの夫イアソン役。悪役です。いつもの生瀬さんでした。
クレオン王役の吉田鋼太郎さんが、頑丈そうな机に寝転がって出てきた時はかなり衝撃でした。机は4人のマッスル男が肩に乗せて持ち上げているんです。その机に立って、杖で机をバンバン叩きながら怒鳴りまくる鋼太郎さん。大迫力です。出番がそれだけだったのにもびっくり。
笠原浩夫さんが鋼太郎さんと同様に、男4人に持ち上げられた椅子に座って出てきました。きれいだったわ~。メディアに優しくする美男子役です。ぴったりです。つばが吹き飛ぶようなアッツイしゃべり方は、Studio Lifeでは観られない演技で面白かったです。
メディアが贈った装飾品を身につけたため、クレオン王の娘(つまりイアソンの新妻)は毒に犯されて壮絶な死に方をします。その一部始終をメディアに伝えに来た男の人の演技が、とっても上手だなーと思ったら、横田栄司さんでした。
作:エウリピデス 翻訳:山形治江 演出:蜷川幸雄
出演:大竹しのぶ 生瀬勝久 吉田鋼太郎 笠原浩夫 松下砂稚子 菅野菜保之 横田栄司
出演(コロス):市川夏江/土屋美穂子/井上夏葉/江幡洋子/羽子田洋子/難波真奈美/スズキマリ/太田馨子/関根えりか/栗田愛巳/坪井理奈 ほか
美術:中越司 照明:原田保 衣裳:前田文子 音楽:笠松泰洋 音響:井上正弘 ヘアメイク:佐藤裕子 振付:夏貴陽子 演出助手:井上尊晶 舞台監督:小林清隆
S席:9,000円 A席:7,500円 コクーンシート:4,500円(税込)
Bunkamura内:http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/event/media/index.html
まつもと市民芸術館『いとこ同志』05/13-22シアタートラム
串田和美さんが館長および芸術監督を務めるまつもと市民芸術館がプロデュースする作品の第三段。燐光群の坂手洋二さんの作・演出で、渡辺美佐子さん、串田和美さん、宮本裕子さん、佐藤アツヒロさんという豪華キャストの4人芝居。スタッフもすごく豪華です。
難解でしたがかなり面白い脚本で、じっくり集中しながら楽しめた1時間55分でした。すごいメイクをして出演される劇団☆新感線の印象が強くて、すっかり忘れていましたが、佐藤アツヒロさんは本当に美形です(笑)。
細かいところまでしっかりと作りこまれたセットの中で、いとこ同士(タイトルと漢字は違います)という少し特別な縁でつながった男女が、空間も時間も越えて、だけどいつも同じ“約束の場所”で、何度も(?)出会います。
観終わってしばらくしてから、ポール・オースターの作品みたいだなぁと思いました。私は小説は読んでいないのですが、『ルル・オン・ザ・ブリッジ』(監督・脚本:ポール・オースター)を映画で観て、『ムーン・パレス』(演出:白井晃)をお芝居で観ました。
ここからネタバレします。
舞台はリアルな夜行列車です。がっちり作られているので装置が動くことはありません。だけど、いろんな世界に飛ぶんです。これがすごく不思議な感覚でした。坂手さんの脚本なので、細かいところまでしっかり描写するセリフが流れ続けるのですが、どこからどこまでが現実で、何が本当なのかがわからなくなる、とても幻想的な作品でした。
説明のようなセリフが多すぎる気もしましたが、すぐに煙に撒かれるので(笑)、それもまた詩や散文のように味わえました。でも「いとこ・どうし」という言葉が連呼されるのは少し耳障りだった気も・・・。『心と意志』の時もそう思いました。
レトロな夜行列車の車内。サングラスをかけた女(渡辺美佐子)がボックス席に座っている。乗客は彼女一人だけ。そこに、同じくサングラスをかけた男(串田和美)が現れて、彼女に話しかけた。「ご一緒してもいいですか?よろしければ・・・。」
いい年の男女のロマンティックな恋の始まりかと思いきや、なんと2人は知り合いで、しかもいとこ同士だった。男の名はタックン。女の名はミイ。ミイは小説家で、最新刊が18巻まで出ている冒険小説「いとこ同志」の作者。「いとこ同志」はタックンの人生そのものを描いたものだった。というのも、タックンは突然に記憶をなくしてしまう謎の病にかかっており、「いとこ同志」を全巻カバンに入れて持ち歩いているのだ。記憶を失くしたらその本を読み、いつもミイがいるところ(=夜行列車)に会いに来る・・・ということを2人は繰り返している。
また、タックンは未来を予知できる超能力を持っており、その力を買われて政府の秘密工作員として働いているのだが、今(も昔も?)は追われる身らしい・・・。
ここまで書いてもまだ、開幕直後の10分間分ぐらいしか説明できていません(苦笑)。
久しぶりに再会した2人が昔の話、つまり小説「いとこ同志」の内容を話しはじめると、同じ車内で、佐藤アツヒロさんと土居裕子さんがタックンとミイの若い頃を演じます。これがとてもロマンティックなんです。
また、同じ夜行列車のとなりの車両に偶然(?)乗っていたミイの息子とそのフィアンセというカップルも、佐藤さんと土居さんが演じます。美男美女カップルがすごくみずみずしくて、観ていて幸せでした。キス・シーンにもうっとり♪
図らずして夜行列車に同乗していた男女4人は、ミイの列車型(!)の別荘で出会います。別荘でのシーンはほとんどが夢の中の世界のようでした。列車の奥に大きな木の影が見えるのが美しかったです。息子とフィアンセがいとこ同士の結婚について悩むところは、あまり熱心に観たい気にはならなかったんですが、それもまた彼らの妄想だと思えば、歌に耳を傾けるようにさらりと眺めていられました。
タックンの記憶がまた消え始めて、ミイが小説「いとこ同志」をとうとう完結させるのですが、タックン、消えちゃいましたね・・・。しかも太陽に溶けたとか、そういう最期(?)だった気がする。あれは面白かったな~。
ラスト直前に、ミイが小説には書かなかったタックンとの一番最初の“偶然の”出会いのシーンが、佐藤さんと土居さんによって演じられるのですが、とっても可愛らしくて超ときめいちゃうラブシーンでした。何度も思い出しちゃうわっ。
そしてラストは最初の夜行列車の車内に戻ります。消えちゃったはずのタックンが最初と同じように現れて、ミイに語りかけます。「ご一緒してもいいですか?よろしければ・・・。」
ミイの息子、またそのフィアンセは本当に居たのか、タックン(串田和美)だって果たして存在したのか、今となって曖昧です。全てミイの想像の産物かもしれません。例えばこのお芝居のタイトルが『いとこ同志』ですので、ミイが書いた小説「いとこ同志」は、このお芝居そのものだったのかもしれない・・・・と、想像は止まりません。
ミイの息子のフィアンセの名前はミミでした。息子の名前は何だったか忘れちゃった(涙)。(追記:息子の名前は「ノボル」だそうです。Naolinさんが教えてくださいました。ありがとうございました。)
坂手さんのロマンティックで幻想的なラブ・ストーリーを満喫いたしました。社会派の燐光群もいいけど、こういうのもすごく面白いですね。キーワードは夜行列車です。パンフレットに書いてあった言葉を引用します。おそらく章のタイトルだと思います。
≪夜行列車 夏の別れ 冬の夜汽車 花嫁 トレイン別荘 テレビ・ショウ 電車ごっこ 物語る意志 最終回 始まりの夏 終着駅≫
【アフタートーク】
終演後に串田和美さん、坂手洋二さん、そしてなぜか日比野克彦さんのお三方のアフタートークがありました。司会は今公演プロデューサーの渡辺弘さん。
『いとこ同志』の話はそっちのけで、なぜか、ずーっと日比野さんの話ばかりするんです。日比野さんにご自身の展覧会について話させたり、野田秀樹さんとの創作について聞いたり、坂手さんに日比野さんの美術(もしくは衣裳)についての感想を言わせたり・・・。日比野さんがお話している最中に最前列の人が席を立ったのですが、それでもまだ日比野さんに話を振り続けたのには呆然でした。日比野さんがお気の毒でした。
最後の最後に観客からの質問でやっと『いとこ同志』の話になったので、まあ残っていた価値がなかったわけではなかったですけど、1時間強もアフタートークがあって、ほとんどが全然作品に関係のない話題だったなんて、とても不満でした。
直接この作品とは関係のない日比野さんをわざわざ愛知県からお呼びたてしたから、日比野さんに気を使われたのかもしれません。結果、観客のためのアフタートークではなくなっていました。
≪長野、茨城、東京≫
作・演出:坂手洋二
出演:渡辺美佐子 串田和美 宮本裕子・佐藤アツヒロ
美術:堀尾幸男 照明:小笠原純 音響:市来邦比古 衣裳:前田文子 ヘアメイク:田中エミ 演出助手:城田美樹 舞台監督:大垣敏朗 イラスト:進藤恵子 宣伝美術:鳥井和昌 宣伝写真:加藤孝 制作助手:佐藤竜太郎 制作:長山泰久 佐藤マキ子 プロデューサー:渡辺弘 芸術監督:串田和美 企画製作:まつもと市民芸術館
全席指定 一般 6,500円 SePT倶楽部会員割引 6,000円 世田谷区民割引 6,300円
劇場内:http://www.setagaya-ac.or.jp/sept/jouhou/04-2-4-79.html
2005年05月16日
Shizuoka春の芸術祭2005・Ort-d.d『エレクトラ』05/14, 15静岡舞台芸術公園 稽古場棟 BOXシアター
エウリピデスの戯曲『エレクトラ』を題材にした、女、男、母が登場する3人芝居でした。最近の『エレクトラ』は、去年の朝日舞台芸術賞グランプリを受賞した『喪服の似合うエレクトラ』がありましたね。
およそ2500年前に書かれた戯曲中の登場人物であるエレクトラが、彼女が見ている夢の中から観客(=現代を生きる私たち)に語りかける55分間でした。プログラムに書かれた演出家の文章はこちら(日々の記録 2005/5/16)。
『エレクトラ』のストーリーは、母親が情夫と組んで父のアガメムノン王を暗殺し、その娘エレクトラと弟のオレステスが二人に復讐するといものです。3人の登場人物について、女(寺内亜矢子)はエレクトラ、男(山内健司)はエレクトラの弟のオレステス、母(三橋麻子)は2人の実の母親のクリテムネストラともなりますが、あくまでも男と女、親と子という人類全体を象徴する存在でもありました
BOXシアターは四角い箱型の空間でした。もともとは完全なフリースペースなのでしょう、客席は4段ぐらいのひな段で、椅子はなく、観客はたたみが敷いてある板の上にそのまま座ります。上演時間が短かったのでお尻はつらくはなかったです。
私は最前列中央に座ったのですが、私の足が着いている床がそのまま舞台スペースへとつながっており、大きさが約四畳半で、目算で高さ15cmぐらいのステージが目の前にあります。金属製の黒っぽい格子状の壁と、紙が貼られていない障子がステージを囲み、その座敷牢の中には、和ダンスや糸車などの和風の小物達と一緒に、赤いドレスの女が横たわっていました。
全体で3幕まである作品で、赤いドレスの女以外には燕尾服の男、派手な花柄のドレスの女(母)が登場します。声量や声色、セリフの語り口の変容を駆使するOrt-d.dならではの演技の手法により、言葉の意味に沿ったセリフはもちろんのこと、シュールで皮肉っぽい笑いや、耳の後ろが少しヒヤっとするぐらいの、ちょうど良い恐怖が俳優の発する言葉の中に織り込まれて、一瞬たりとも退屈しない対話が味わえました。
燕尾服の男が、天井に届くぐらいの高さの場所に開けられた(ように見える)、舞台奥の壁の丸い穴から、客席に向かって政治家のように演説するのが滑稽でした。男はオレステスでもありますが、男全体を象徴する存在でもあります。演説の最後に「エレクトラとオレステスは、父の敵である母と情夫を殺した。そして自らが、母と情夫の間に生まれた子供の敵となった」という意味のセリフがありました。今や私たちにとって身近なトピックとなっている戦争やテロは、まさにその繰り返しだと思います。
「復讐を果たし、家族はことごとく死んで、自分だけが生き残ってしまった」エレクトラが、観客に向かって最後に言うのが「私は待っています」というセリフでした(セリフは完全に正確ではありません)。全能の神ゼウスの子孫である我々は、エレクトラの時代以前から不貞、裏切り、人殺しなどの悪事を繰り返し、今まで生きてきました。もう十分だ、もうたくさんだと思うほどの罪を重ねてきながら、またそれを忘れて同じ事を繰り返している私たちを、エレクトラは遠い昔の真っ暗闇の中から見つめ、私たちがいつか気づき、変わることを待ち続けています。彼女は忘却の彼方に葬り去られながらも、決して消えない私たち自身の罪であり、祖先(すなわち私たち自身)でもあるように思いました。
照明と美術との競演が見事でした。完全暗転から明転する際、真っ暗闇の中からボーっと舞台や人影が見えるようになるまでの長い無音の暗闇を体感することで、瞬時に幻想世界へと入っていくことができます。
舞台上に置いてある糸車や、キャスター付きワゴンテーブルに小さな電球が仕込まれており、大掛かりな舞台転換の間も美しい劇場空間が保たれていました。特にワゴンは燕尾服の男が上手奥から下手へと転がしていくので、光が座敷牢の格子に当たり、劇場の壁に映った格子の影が、歩く男と足並みをそろえてぐるりと動いていくのがかっこ良かったです。
Ort-d.dは、その作品世界を作り上げるキャスト・スタッフの総合的な力が優れていると思います。誰がいいとか、どこがいいとかではなく、一人一人、ひとつひとつが作品全体を作り上げる必要不可欠な要素として存在し、またその役割を役割以上に果たしていると思います。
ブラックボックス(真っ暗の箱)用の演出なので、東京で上演できるかどうかはわからないそうです。ぜひともよい場所を見つけて再演してもらいたいですね。
東静岡小旅行レポートはこちら。
Shizuoka春の芸術祭2005〈ギリシア悲劇連続上演〉参加公演
原作:エウリピデス 構成・演出:倉迫康史
出演:寺内亜矢子(ク・ナウカ) 三橋麻子 山内健司(青年団)
衣装・美術:ROCCA WORKS 照明:木藤歩 舞台監督:弘光哲也
Shizuoka春の芸術祭2005:http://www.spac.or.jp/news/spring2005/index.htm
オルト・ディー・ディー:http://ort.m78.com/
Shizuoka春の芸術祭2005『<犯罪>をテーマとしたギリシア悲劇の連続上演』05/07-06/18 静岡芸術劇場ほか
東静岡駅前のポスター
本日(5/15)、初めて静岡芸術劇場に行ってきました。観劇のために遠出をするのは初体験。方向音痴で出不精の私は前日からかなりドキドキだったのですが、行ってみたら最高に楽しかったです♪
東京は雨だったようですが静岡はとっても良いお天気で、春の小旅行も満喫できました。
Shizuoka春の芸術祭2005は、ネットワークユニットDuoのコラムでも取り上げられているように、ものすごく豪華なラインナップなのです。5/1発行のメルマガで私もご紹介いたしました。3演目を6,000円で観られるというお得なチケット(3劇場ハシゴ券)もあります。東京から日帰りで3本観劇も可能なんですよ。
私が観たのはロシアから来日したタガンガ劇場の『メディア』@静岡芸術劇場と、Ort-d.dの『エレクトラ』@BOXシアターです。5/14(土)に行けてたら山の手事情社の『オイディプス王』も観られたのですが、どうしても都合が合わず断念・・・。
静岡芸術劇場は、静岡駅からJR東海道本線で一駅先の東静岡駅から徒歩3分のところにある、グランシップという劇場やギャラリーが入った大きな複合施設の中にあります。グランシップは新しくてきれいな建物でした。緑もいっぱい!芝生を横切り、街路樹に見守られながら、石造りの劇場へと向かう・・・なんて贅沢なんでしょう♪また静岡芸術劇場のホールも美しかった・・・。ロビーやカフェも品が良くて静かで、有名な演出家や俳優がわんさか談笑していて・・・理想的なサロンでした。

【グランシップ前景・静岡芸術劇場へ続くグランシップの横の道・静岡芸術劇場ロビー】
14時開演の『メディア』が終わったら、喫茶店でケーキセットをいただいて少し休んでから、バスで舞台芸術公園の中にあるBOXシアターへと向かいました。バスがぐんぐん道を登って行くので「一体どこまで連れて行かれるの?」と少し心細くなったのですが(笑)、10分ほどして到着したら、まずその景色の美しさに感動!雲がなければ富士山がはっきり見えるそうなんです(残念ながら今日は少し曇りでした)。5月のさわやかな風に吹かれながら、劇場をはしごする・・・あぁなんて幸せなのかしら♪東静岡バンザイ!

【いきなり茶畑が!・BOXシアターはこちら・小さく富士山が見えます】
17時開演のOrt-d.dの『エレクトラ』は、上演時間が55分間だったので18時にはもう終演していました。偶然にご一緒した方と観劇後の感想をポツリポツリと話しながら、バスが来るまでの30分間ほどを公園のベンチで過ごしたのですが、それはそれは幸せな時間でした。その後は、良いタイミングで駅に到着した電車に飛び乗りながら東京へと帰り、家に辿りついたのが夜9時前。いつもの観劇日よりも早く帰宅できたので、疲れも少なかったです。森林浴のおかげもあると思いますけど♪
タガンガ劇場の『メディア』のレビューは後ほどアップいたします。
Ort-d.dの『エレクトラ』のレビューはこちらです。
2005年05月13日
メルマガ号外 KAKUTA『南国プールの熱い砂』
KAKUTA『南国プールの熱い砂』
05/11-15青山円形劇場
http://www.kakuta.tv/nangoku/
★メルマガへのご登録はこちらへ!
┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏
“しのぶの演劇レビュー” 号外 Vol.17 2005.5.13 432部 発行
┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏ http://www.shinobu-review.jp
今、面白い演劇はコレ! 年200本観劇人のお薦め舞台♪
★★ 号 外 ★★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
KAKUTA『南国プールの熱い砂』
05/11-15青山円形劇場
☆期待の若手劇団をサポートするAoyama First Actの第6段。
作・演出・出演の桑原裕子さんは期待の注目株です。
http://www.kakuta.tv/nangoku/
◎観劇後のコメント◎
小学校時代の同級生の男女が、同窓会旅行に出かける。
6年生の頃の担任の先生の死を悼むために。
先生と過ごしたある夏の日の思い出と、その裏に隠されていた悲しい出来事。
それぞれの胸の奥にしまわれていた、祈りにも似た小さな願いが震えだす。
私は学校の思い出とか同窓会とか、昔を懐かしむようなテーマは
苦手な方なのですが、全く引きませんでした。
それどころか、悲しくて、優しくて、嬉しくて、涙が溢れました。
作・演出・出演される桑原裕子さんの深い、大きな愛情を感じます。
そして、KAKUTA(カクタ)という劇団だからできる、お芝居です。
Aoyama First Actはその将来が期待される団体を支援する企画です。
これからの演劇界を背負っていく若い輝きを、味わってください。
劇場ロビーも南国ムードいっぱいの明るい空間になっています。
《チケットについて》
チケット料金(日時指定・全席指定)
前売3,000円 当日3,500円
受付は開演の1時間前、開場は開演の30分前です。
当日券は受付開始時刻より販売を開始します。
※リピーター割引あり
前売3,000円 → 1,500円!
観劇後に劇場1階受付で購入できます。
電話・メールでも予約可能です。
予約の際にリピーターである旨を伝えて、
当日受付でチケットの半券を提示してください。
【お問い合わせ】
TEL:090-6311-1996
メール:info@kakuta.tv
URL:http://www.kakuta.tv/
★私が観た5/12(木)のソワレは満員でした。
急遽、追加席を用意したそうです。
チケットはけっこう売れているようですので、ご予約はお早めに!
《ご覧になった方のレビュー》
stage note archives
http://d.hatena.ne.jp/peat/20050512#p1
大阪在住のぴーとさんのレビューです。
以前にこのメルマガでもご紹介したことがありますが、
「ユリイカ!」も素敵なサイトですよ。
http://homepage3.nifty.com/yuriika/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆ 【編集後記】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◎春といっても寒くなったり暑くなったり。着る服に迷う日々です。
昨日、fringe blogでもご紹介いたしましたが、
http://fringe.jp/blog/archives/000305.html
tpt『nine the musical』、お薦めです。
ほぼ日刊イトイ新聞で応援ページが出来ています。
http://www.1101.com/nine/index.html
◎パフォーミング・アーツ・マガジン[バッカス]02号
私が書いた劇評(Ort-d.d『四谷怪談』)が掲載された雑誌です。
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?W-NIPS=9978823190
◎皆様の観劇感想をお寄せ下さい!
このメルマガについてのご感想でももちろん結構です♪
ご感想は転用させていただくことがあります。
お便りはこちらへ→ 《 shinobu@mtr-standard.co.jp 》
※件名は「メルマガ感想」としてください。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆ 【このメルマガについての注意事項】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
今回の配信は“号外”です。
毎月1日発行のメルマガで、その月のお薦め舞台10本をご紹介します。
バックナンバーは全て公開中!
→ http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000134861
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
このメルマガは、高野しのぶの演劇への情熱で書かれています。
沢山の人に演劇に触れてもらいたい!ので、クチコミ・転送 大歓迎です♪
☆ご友人、お知り合いにどうぞこのメルマガをご紹介ください!
(以下をそのまま転送してくださいね♪)
【今、面白い演劇はコレ!年200本観劇人のお薦め舞台】
⇒ http://www.mag2.com/m/0000134861.htm
☆もしこのメルマガを観てお芝居に行かれたら、劇場でのアンケート用紙に
「高野しのぶのメルマガで知った」等、書いていただけると嬉しいです♪
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
◎東京および関東近郊の情報に限らせていただいております。
◎掲載内容には細心の注意を払っておりますが、
間違いがあることもあります。情報は主催者URLでご確認ください。
◎お薦めを観に行って面白くなかったらごめんなさい。
◎私の好みはこちらでご覧いただけます。
→ http://www.shinobu-review.jp/favorite.html
プロフィールはこちらです。
→ http://www.shinobu-review.jp/intro.html
◎購読・解除はこちらから簡単にできます。
まぐまぐ → http://www.mag2.com/m/0000134861.htm
////////////////////////////////////////////////////////////////
メルマガ 『今、面白い演劇はコレ!年200本観劇人のお薦め舞台』
発行人:高野しのぶ
メルマガ サイト:http://www.shinobu-review.jp/melmaga.html
Review サイト:http://www.shinobu-review.jp/
Eメール:shinobu@mtr-standard.co.jp
このメールマガジンは、まぐまぐから配信されています。
まぐまぐ:http://www.mag2.com/
Copyright(C)2004-2005 MTR standard corporation. All rights reserved.
許可無く転載することを禁じます。
////////////////////////////////////////////////////////////////
2005年05月12日
KERA・MAP #003『砂の上の植物群』05/01-14シアターアプル
ナイロン100℃のケラリーノ・サンドロヴィッチさんの演劇ユニットKERA・MAP(ケラ・マップ)の第3弾は、キャストに大スターが勢ぞろい。常盤貴子さんは初の舞台出演です。
タイトルはパウル・クレーの絵画(Flora auf Sand)から来ているそうです。劇中にもクレーの話が出てきましたね。吉行淳之介さんの小説にも同タイトルの作品があります。
近未来のお話。日本に帰る途中の飛行機が南方の島に墜落し、奇跡的に数人の日本人男女が助かった。その島は戦争中で、廃墟でかくまわれた彼らが待てども待てども、日本からの救助隊が来る様子はない。
休憩10分を含む3時間半は、長かった・・・。もー疲れてきってしまって、終わったときは「やっと終わった・・・」と深いため息をついてしまいました。
演劇評論家の扇田昭彦さんが、作品自体についてかなり褒めながらも、最後に「3時間半におよぶ内容には削れるところもあるだろう」という意味のことを朝日新聞の劇評に書かれていましたが、同感です。
ここからネタバレします。
極限状態に陥った人間同士、どんどんと関係がすさんでいって、次々と登場人物が死んでいきます。深刻な状態にも関わらず軽い感覚で笑いもたくさん。ケラさんならではのナンセンスな世界でした。戦争の要素が入っているのは『ドント・トラスト・オーバー30』、『消失』からも続いていますね。
自称・未来から来た少女マリィ(つぐみ)は、屋上で遠くの町が爆撃されるのを眺めながら「戦争は遠くから見るときれい」と言い、部屋の中で道男(赤堀雅秋)が奈々(猫背椿)になぶり殺されるのを見ながら「これが戦争?近くで見る戦争は怖い」と言います(言葉は完全に正確ではありません)。爆撃も戦争ですが、無法・無秩序も戦争ですね。
今回初舞台で話題の常盤貴子さんについては、他の女優さんがものすごく強い個性を出していたせいもあると思いますが、きれいな人だとかスターだとか、そういうことを配慮しなければ、特に良いとも悪いとも思わない女優さんでした。簡単に言うと印象が薄かったですね。扇田さんが劇評で、常盤貴子さんの演技には「もっとふくらみが欲しい」と書かれていました。同感です。
性格最悪のエロにいちゃん、道男役の赤堀雅秋さんが凄かったです。何食わぬ顔でやらかす事がめちゃくちゃ汚くて怖い。いためつけられて、もがき苦しんでいる演技を見ても、全然助けたいと思わなかったです。それぐらい悪人が板についていました。道男の彼女(奈々)役の猫背椿さん、肉体関係を持つ真柴玲子役の西尾まりさんとのやりとりも良かったです。
池谷のぶえさん(脳に少し異常をきたしてしまった坊園婦人役)がとにかく確実に笑いを巻き起こしてらっしゃいました。私は池谷さんの大らかさに心奪われました。
キャストも豪華ですが美術(小松信雄)も豪華でした。大掛かりな舞台装置が動きながら転換するのは圧巻です。チケット代(8000円)が高くても納得です。『カメレオンズ・リップ』でもそう思いました。ただ、何度も何度も同じ転換方法だとちょっと飽きが来ちゃうかも。
ケラさんお馴染みの映像と音楽は、文字の分量が多かったものの、いつものクオリティーで楽しませていただきました。
は~・・・「とにかく疲れた」という言葉に尽きるかもしれません・・・ごめんなさい。他の方のレビューをぜひ参考にしていただけたらと思います。
≪言及ブログ≫
藤田一樹の観劇レポート
某日観劇録
デジログからあなろぐ
観劇?飲んだくれ?日記
臭い人
ひょりシアター
Sound and vision of Hide
街へ出よ、そして家へ帰ろう
偶然の音楽
easy Going
アロハ巡礼
makicom
作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演:筒井道隆/常盤貴子/渡辺いっけい/温水洋一/西尾まり/猫背椿/池谷のぶえ/赤堀雅秋/つぐみ/山本浩司/喜安浩平/他
舞台監督:福澤諭志+至福団 舞台美術:小松信雄 照明:関口裕二(blance, inc DESIGN) 音響:水越佳一(モックサウンド) 映像:上田大樹(INSTANT wife) スタイリスト:藤井亨子 ヘアメイク:武井優子 演出助手:小池宏史 大道具:C-COM舞台装置 小道具:高津映画装飾 宣伝美術:高橋歩 宣伝写真:中西隆良 宣伝スタイリスト:菊地ユカ 舞台写真:引地信彦 制作助手:市川美紀 土井さや佳 寺地友子 制作:花澤理恵 企画・製作:株式会社シリーウォーク
前売り:8000円 当日¥8,500
※未就学児童は入場不可。
劇団内:http://www.sillywalk.com/nylon/part-time/0505_8.html#kera1
イープラス特集:http://eee.eplus.co.jp/s/kera_map/
bird's-eye view『un_titled』05/11-22こまばアゴラ劇場
bird's-eye view(バーズ・アイ・ビュウ)は内藤達也さんが構成・演出するパフォーマンス・ユニットです。
当サイトのメルマガで「初日のみ500円引き」企画が実現いたしました。お申込くださった皆様、ありがとうございました!
※fringeのTOPICページの右側に宣伝バナーがありますね。
おしゃれな衣裳&メイクの役者さんが、ある制約のもとにコミュニケーションをしていく短編集でした。いつものbird's-eye view(以下、バーズ)のスタイルと言えますが、Second Line(ショート・コント集)とは違って、一つのテーマが常に流れているように感じました。それは「否定」とか「消去」とか、かな。
最初は硬さを感じたのですが、コミカルな短編の間にはさまれるイメージ・シーンが美しくて、一気にのめりこみました。多数の役者による日常の動きの連鎖から伝わってくるメッセージに、じわっと感動しました。
現代の若者のあくまでも個人的な熱狂と、常に身体で感じている孤独が、背中合わせになりながら共存して、不器用に愛を求めます。
否定して、削って、最後の最後まで自分を追い詰めて、無に到達するかというところまで行くのですが、か弱くなって消え去りそうになっていても自己は確かにそこ(舞台)に点るように存在します。そしてそれを見守る人(=愛)が在るんですね。
ここからネタバレします。
ポップな音楽とともにダンスで幕開けでした。クスっと笑っちゃうようなおどけた振付なのですが、雰囲気はクールでシックだったので少し違和感がありました。無表情のままで踊り続けていたのがヘンに感じたのかもしれません。顔の動きも加わっていたら良かったんじゃないかしら。
バーズの公演は三鷹市芸術文化センター星のホールや青山円形劇場、シアターサンモールなど、大きめの空間が続いていたので、アゴラ劇場の小さな四角い空間では舞台と客席との距離がすごく近くて、目の前に役者がズラリと並んでいるのは迫力でした。
舞台と客席が正面から向かい合うスタンダードなアゴラ劇場の使い方で、実はバーズ初のプロセニアム(額縁舞台)なんですね。
客席側を除く三方を半透明な壁で囲まれた舞台は、きれいだけれど少し息苦しい箱の中のようです。青と白、透明を基調としたポップな衣裳をまとった男女が、狭い空間の、ある“制約”の中をところ狭しと動き回ります。
「舞台上に3人いるのだけれど、1人だけは姿が見えない、もしくは存在しないことになっている」とか、「舞台上にいる1組の男女がいて、女は男の真似をし続ける」などの、現実世界にはありえない縛りが前提となって、その中で架空のカップルや親子が会話をします。
シーンでの約束ごとをしっかりと観客に見せておいて、それを守ること、破ること等から笑いやおかしみが生まれます。普通の会話の中からではなく、あくまでも設定・制約に対して起こす行動や言動から感情が生み出されるので、ちょっと頭の体操をしている気分です。観客はずっと架空の、あきらかに嘘の世界のコミュニケーションを味わっていきます。これはバーズの個性だと思います。
「コーヒー飲む?」「いや、飲まない」、「名前を忘れたの?」「いや、名前を忘れたわけではない」など、相手の言う言葉をことごとく否定していくという設定の短編は少し長かったかな。他にもくどいと感じたシーンはありましたが、最後にすべてが先に述べた意味(取り残される自己、かすかに愛を求める声、それに答える無言の抱擁)に集約されていくので、最後の最後には満足ができました。
役者さんは皆さん達者ですが、特に美しかったのは大内真智さん。iMacから線がつながったヘッドフォンを耳に当てて、音楽にノリまくって踊る姿にみとれました。櫻井智也さん(MCR) と2人で立っているシーンは素晴らしかったですね。
小手伸也さん(innerchild)の生々しい演技がコミカルなシーンにとてもフィットしていました。アドリブ(ですよね?)がすごく面白かったです。
※今回発行したメルマガに、バーズの過去の公演のレビューをまとめて掲載しています。
構成・演出:内藤達也
杉浦理史 小野ゆたか 大内真智 日栄洋祐 松下好 山中郁 近藤美月 後藤飛鳥 小手伸也(innerchild) 櫻井智也(MCR) 森下亮(クロムモリブデン)
[舞台美術] 秋山光洋 [音楽] 岡谷心平 [照明] 榊美香(l's) [音響] ヨシモトシンヤ SoundCube) 角張正雄(SoundCube) [振付] ピエール [舞台監督] 藤林美樹 [コスチューム] 伊藤摩美 [写真] 引地信彦 [宣伝美術] 石曽根有也 [演出助手] 明石修平 [プロデューサー] 赤沼かかみ [制作] 山崎華奈子 保田佳緒
前売 3,000円 当日 3,200円(全席自由席)
劇団:http://www.b-ev.net
劇場内:http://www.letre.co.jp/agora/line_up/2005_5/birds-eye_view.htm
2005年05月10日
ニッポン放送・シベリア少女鉄道『笑顔の行方』05/06-11紀伊國屋サザンシアター
シベリア少女鉄道は土屋亮一さんが作・演出(時には出演も)する劇団。私が説明する必要もないくらい小劇場界では有名です。毎回びっくりさせられつつ爆笑しちゃう“仕掛け”が見所。
今回はとうとう紀伊国屋サザンシアター進出!もう「小劇場」じゃないんですよね~。イープラスで平日2日間だけ得チケが出るなど、集客には苦戦したようです。やっぱり大きいですよね、サザンシアター。
さてさて、今回はどうだったかというと・・・私は楽しく爆笑させていただきました(笑)。
きちんとしたドラマを作りつつ、細かな伏線をまんべんなく張って、笑いも確実にちりばめて、最後にはお約束のネタ披露(笑)。今回は・・・後から書きますが、私は吹き出して笑えた人間でしたね。でも、アレを知らない人は楽しめないだろうなぁ。世代によるんじゃないかしら。あと、意図的なのかどうかはわかりませんが、ちょっとお稽古不足だとは思いました。
ストーリーがまた素晴らしくしっかり作られていて、感心しました。下記であらすじをご紹介しますが、読んでから観に行っても大丈夫な程度に書きますね。観に行くと決めている方はもちろん読まない方が良いですよ。
柳見(やなみ:前畑陽平)は何らかの精神的ショックで最近の記憶だけをすっかり無くしてしまい、入院して治療を受けている。柳見の恋人の柚梨(ゆり:篠塚茜)が自宅で何者かに暴行され、そばにいた柳見がその現場を見てしまったことが、記憶の部分的喪失の原因ではないかと考えられるのだが、柚梨の父親であり警視庁の捜査官である山本(吉田友則)の部下の志村(藤原幹雄)は、実は柳見自身がその暴行事件の犯人ではないかとにらんでいた。
柚梨は柳見にぞっこんで、何とかして自分のことを思い出して欲しい、そして柳見の潔白が証明されて欲しいと願っているのだが、柚梨に心を寄せる志村は、柳見が犯人であることをにらんで、彼の記憶の回復を待っていた。
柚梨はひょんなきっかけで知り合った自称占い師の女(出来恵美)と、事件があった自分の部屋へ行って現場検証をする。柳見は担当医の永井留美(佐々木幸子)の催眠治療で徐々に記憶を取り戻しつつあり、とうとう事件の真相が明らかに・・・。
登場人物それぞれの性格がその人物のバックグラウンドとともに細かく描写されるので、ドラマとしても、サスペンス仕立ての謎解きとしてもすごく面白いです。柚梨に暴行した犯人が誰なのか想像する時、自称占い師の女以外の全員が犯人でありうる設定になっているのが素晴らしいですね。
ここからネタバレします。
ドラマの伏線は下記のような感じです。
柚梨の父親と母親は柚梨が小さい頃に離婚していて、父親は柚梨を異常なほどに溺愛している。また、離婚の原因は母親による柚梨への虐待だった(だから柚梨自身が心に傷を持っていることが予想される)。柚梨に恋している志村は大人になってもいじめに合うような、ちょっと不幸な男で、柚梨に対して恋以上の執着心も持っている。柳見の治療をする女医は、柳見と柚梨が病院でデートをしているのを見て、あつあつの2人に嫉妬をしているようなそぶりを見せる・・・等。
女医が昔つきあっていて一方的にフラれた彼氏が、なんと柳見だったという展開はうまいなーと思いました。
自称占い師の浮浪者の女は本当は占いの力があるのではなく、観察力と洞察力が並外れて優れている人物だったことがわかるのですが、よく出来た推理小説みたいに「へ~っ」と感心させられる巧みな脚本でした。
で、今回のネタですが・・・・約15年前に大ヒットしたcapcomのテレビゲーム「ストリートファイターII(以下、スト2)」に、なるのです。登場人物の2人が舞台の上下(かみしも)に立って向かい合い、ゲーム同様に一対一でファイトするんです。そういえば一人一人の人生の回想シーンで、背後に映し出される風景画像にあわせてポーズをとっていたんですが、スト2(ストツー)に出て来るファイターのポーズに似せていたんですね。
舞台の手前ではお話の続きが上演され、奥の一段上に作られたステージではお話と同時進行でスト2バトルが繰り広げられます。バトルをしている役者さんは、ゲームの映像が映し出されるスクリーンの前で、映像に合わせながらファイターそっくりの動きをします。手前で本編を演じている役者さんは、お話の内容に沿ったセリフを、バトルしているファイターの声や動きに合わせた発声で話します。意味のあるセリフが「アチョー!」とか「アウッ」などの叫び声に似せて発音されるのがバカみたいで笑えます。技の名前を言いながらジャンプするのが一番ウケてたかな。これがシベ少の巧さですよね。スト2を知っている人には可笑しくてたまらないです。
そう、スト2を知っているなら楽しめるのですが、知らない人は面白さ半減以下ですよね。また、ファイトシーンでは音響が大きくなるし、しゃべる言葉もヘンになりますから、セリフがすごく聞こえづらくて意味がほとんどわからないんですよね。ファイターの動きとセリフがうまくかみ合ってないところが多かったのも残念です。
私はストーリー重視なので、今回はその点で満足でした。結末も渋かったですね。浮浪者の女の推理によって、暴力事件は被害者の柚梨が自作自演したもの(狂言)だった・・・となるのですが、最後の最後に柳見から柚梨に送られた携帯メールの内容がスクリーンに映されて、どんでん返しになります。実は柳見が真犯人で、柚梨は柳見をかばって嘘の自白をしたのです。メールには「自分の身代わりになって欲しい。柚梨ならできるよ!」と書いてありました(言葉は完全に正確ではありません)。
お芝居の終わりの音楽が篠原涼子さんの「恋(いと)しさと切なさと心強さと」でした。アニメ映画「ストリートファイターII」主題歌だったんですね。懐かしかったです。
でも、なんでタイトルが「笑顔の行方」だったのかなー。開場時間にちゃんとドリカムがかかってましたね。「決戦は金曜日」だと直接的すぎるから?
作・演出 土屋亮一
出演 藤原幹雄・前畑陽平・吉田友則・横溝茂雄・出来恵美・篠塚茜・佐々木幸子
舞台監督/谷澤拓巳 音響/中村嘉宏(atSound) 照明/伊藤孝(ART CORE design) 映像/冨田中理(Selfimage Produkts) 舞台美術/秋山光洋 音源製作/霜月若菜 宣伝美術/チラシックス(土屋亮一・冨田中理) 制作/渡辺大 制作助手/保坂綾子・安元千恵 製作/高田雅士 企画制作/シベリア少女鉄道 主催/ニッポン放送
前売3,000円 当日3,300円(全席指定)
劇団HP:http://www.siberia.jp/
2005年05月09日
“注目のウェブログから特別版~東京小劇場観劇速報”に選ばれました。
小劇場演劇の制作者を支援するサイトfringeの“注目のウェブログから特別版~東京小劇場観劇速報”の中の一つに、当サイト(しのぶの演劇レビュー)が選ばれました。
“注目のウェブログから”はfringeが厳選した演劇に関するブログ300サイトの更新状況がオンタイムでチェックできるページで、その中から「東京の小劇場観劇速報が公演期間中に書かれることの多いウェブログ」として、7サイトが選ばれました(2005/05/09時点)。
5/8(日)のお昼間にアクセス集中のため当サイトをご覧いただけない状態がございましたが、たぶんこのためだと思います。アクセスしてくださった皆様にはご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした。これからもこつこつと頑張っていきますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
騎馬オペラ・ジンガロ日本公演『ルンタ~Loungta~』2005年3/12-5/8木場公園内ジンガロ特設シアター
2005年の春、“フランスが生んだ、馬と人の織りなす、極限の芸術”、ジンガロ(ZINGARO)が日本にやってきました!
10年来の悲願が叶った、このアジア初上陸公演をどうぞお見逃しなく!
※公演終了まで、このスペースにジンガロ情報をまとめて掲載していきます。(私はジンガロ日本公演 実行委員会事務局に勤務しています。)
★おかげさまで大盛り上がりの中、千秋楽を迎えることが出来ました。
ありがとうございました!!
→ ご覧になった方のレビューのまとめ
★5/5(木)更新!
【公演詳細】
ジンガロ日本公演 公式サイト
ジンガロ公式HP(フランス)
【ジンガロ記事・開幕後】
ジンガロ「当日券情報(4月29日)」
ジンガロ「感動の声、続々 3」
ジンガロ「本日、特番放送!4/23(土)15:30~16:25@テレビ朝日」
ジンガロ「チケットのご予約はお早めに」
ジンガロ「オペラ・エケストル(騎馬オペラ)」5/4(水)18:00~WOWOW
ジンガロ「横内謙介さんの感想」
ジンガロ「ほんとに、夢のような時間で、とっても感動。」
ジンガロ「終わった後もうしばらくこの空間にいたいと思った」
ジンガロ「小泉首相がいらっしゃいました」
ジンガロ「感動の声、続々 2」
ジンガロ「感動の声、続々」
メルマガ号外 『騎馬オペラ ジンガロ「ルンタ~Loungta~」』
ジンガロ「ご覧になった方のレビュー」 ★随時更新します!
ジンガロ「プレビュー公演の夕べ②」03/11ジンガロ特設シアター
ジンガロ「プレビュー公演の夕べ①」03/11東京現代美術館
【ジンガロ記事・開幕前】
ジンガロ「ジンガロ特設シアターの内部写真(工事中)」
ジンガロ「リハーサル(ゲネプロ)を公開」3/10@ジンガロ特設シアター
ジンガロ「XEX CAFE & BAR が特設シアターにオープンします」
ジンガロ「特設シアターも完成!開幕まであと1週間です。」
ジンガロ「エルメスブティックがジンガロ特設シアター内にオープン!」
ジンガロ「馬たちが到着!!」2/24朝日新聞夕刊(東京版)
ジンガロ「2/5(土)15:30~16:25 テレビ朝日で特番放送!」
ジンガロ「マリ・クレール 2005年3月号 カラー8ページ」
ジンガロ「“詩的で野性的でエロティック”by ジェーン・バーキンさん」
ジンガロ「バルタバスへのインタビュー(by 鷲尾和彦さん)」
ジンガロ「11/26(金)朝日新聞朝刊 全面広告」
ジンガロ「アスパラクラブ会員限定 先行予約」
ジンガロ「フランス高等馬術の継承と、アートとの融合」
ジンガロ「チケット争奪戦が始まりました!」
ジンガロ on TV『騎馬劇団ジンガロの魔法』10/18NHK BSハイビジョン(BS-3)
ジンガロ「制作発表」10/04フランス大使公邸
【公演情報】
ジンガロ日本公演『ルンタ~Loungta~』
2005年 3/12-5/8 @木場公園内ジンガロ特設シアター
作・演出:バルタバス 出演者:25名 出演馬:25頭
上演時間1時間45分(休憩なし)
平日19:30開演/土.日.祝17:00開演 基本的に(月)・(木)休演。
※タイムテーブルは変則的ですのでウェブサイトをご参照ください。
ジンガロ日本公演公式サイト
【チケット】
プレミアムシート24,000円/SS席18,000円/S席14,000円/A席8,000円
※完全円形の舞台の周りをぐるっと囲む客席になりますので、
舞台に近いほどチケット価格が高い設定になっています。
【プレイガイド】
各サイトにジンガロについての写真や解説があります。
イープラス
電子チケットぴあ
ローソンチケット
CNプレイガイド
楽天
チケットスペース
予約・問合わせ:03-3234-9999
2005年05月08日
チェルフィッチュ ワークショップ 参加者募集
『三月の5日間』で岸田國士戯曲賞を受賞された脚本・演出家の岡田利規さんの演劇ユニット“チェルフィッチュ”のワークショップが開催されます。
第1回 5/17(火)&18(水) 両日とも19:00-21:30
第2回 5/24(火)&25(水) 両日とも19:00-21:30
(2日連続受講が基本)
会場:STスポット
参加費:1回1000円
定員:各回10名
募集要項はこちら
2005年05月07日
tpt『A Number』04/30-05/13ベニサン・ピット
tptで男2人芝居。スタッフ(翻訳・演出・美術・照明・音響・衣裳・舞台監督)は全員女性です。
二人芝居で6,300円はちょっと高いかも・・・と思っていたら、上演時間も50分という短さで驚きました。美術はすごく凝ってたしな~・・・と思いもしたのですが、終演後の帰り道はちょっと寂しかったです。
クローン人間のお話でした。脚本はすごく面白いと思います。
父親(小林勝也)が息子(手塚とおる)と話をしています。しかしその息子がどうやら複数人、居るのです。2人(?)がお互いの腹を探り合いながら会話する50分間。
開演15分前から一人ずつ劇場内へと案内されました。細くて暗い廊下をくぐって行くと真正面にドアが見えます。ドアは少し開いていて中にはベッドのようなものが見えます。カバーの派手な模様から予想するに、おそらく子供部屋かしら・・・と思いつつ、廊下が自然に右に曲がるのでドアを通り越して右に曲がると、暗がりの向こうに係員の女性が立っており、「ご案内いたします」の声。チケットを見せると座席の位置を教えてくれました。
舞台は真四角の小さなお部屋で、四方を客席に囲まれています。ボクシングのリングみたいだなぁと思いました。でもリングと明らかに違うのは、黒い網状の幕で、舞台の四方が囲まれていること。天井は空いていますが、四面ともに大きな幕のパネルがそびえています。俳優は2人とも板付き(開場した時から既に舞台上にいること)でした。
父と息子が話をしている内に、息子はクローン人間で、しかも息子と同じ遺伝子のクローンが複数居ることがわかってくるのですが、息子は自分が生まれた(作られた)経緯を知りたがります。父親はおずおずと出生について話していくのですが、途中で場面が転換し、もう一人の息子と父親が話すシーンに変わります。その「息子」たちを全て手塚とおるさんが演じます。
なぜか途中で眠くなってしまいました・・・。面白くなかったわけではないと思うんですが・・・たぶんセリフかな。The Japan Timesに掲載された演出家サーシャ・ウェアーズさんのインタビューを読んだのですが(ベニサン・ピットの入口に貼ってありました)、脚本を作る時にとても言葉にこだわったそうなんです。英語で「I thougut・・・」は、日本語だと「私は思った。」と断言する形になってしまいです。なので、「新しい日本語訳を作り出した」というようなことが書いてあったんですね。
なるほど、当日パンフレット(1000円)に脚本が全部掲載されていたのでそれを読み返してみると、確かにすっごくわかりづらい日本語です。セリフのほとんどが接続詞で終わっている、というか、最後までしゃべらないまま相手のセリフになっています。実際に2人がしゃべっている様子は脚本のようにブツ切れにはなっていないし、ちゃんと会話として流れていました。でも、やっぱり意味はわかりづらかったです。もともとの戯曲もきっとわかりやすさを狙ってはいないでしょうけど。
あと、黒い網が私にはつらかったです。だって顔が見えないんだもん!手塚とおるさんが同じ顔をした別人に変身しますので、わざとはっきりとは姿が見えないようにしたのかな。もやもやしたまま、本当の姿が一向に見えない人間像を表すというような意図もあったのかもしれません。でもね、最初から最後までずーっと幕の向こうの芝居を観続けるっていうのは、私には悲しかったです。
場面転換では部分的な光をストロボのようにピカピカと当てて、完全暗転はしませんでした。幕に光の模様が映るので、動きがあって良かったとは思います。
帰りの電車でパンフレットに掲載されている脚本を、キーワードにえんぴつで線を引きながら読んでいって、やっと登場人物の関係や、言葉の意味がわかりました。とても面白い脚本です。観てる時はわかんなかったんだけど(笑)。でも、観ていなかったら読んでも全然分からなかっただろうから、やっぱり高くても観に来て良かったです。
バーナード(手塚とおる)は父親のソルター(小林勝也)に、もう一人の自分と出会ってしまったこと、そして自分のクローンが複数居ることを話し、ソルターにそのことについて説明するよう求めます。ソルターは、バーナードが生まれる前にもう一人息子がいたこと、そしてその息子は4歳の時に母親と一緒に交通事故で死んでしまったことを告白します。息子がもう一度欲しかった、だから息子の細胞を取ってクローンを作ったのだ、そしてそのクローンは1人だけという約束だったのに、医者が勝手に複数作っていたのだと。
しかしながら話している内にさらに真相が明かされていきます。実の息子は死んでおらず、バーナードが出会ってしまった男こそ、4歳の時にソルターが施設に預けた(捨てた)息子であり、母親は息子が2歳の時に電車のホームから飛び降りて自殺していたのです。実の息子の名前はもちろんバーナード。
手塚さんが演じ分ける2人のバーナードと、小林さん演じるソルターの対話シーンが交互に繰り返されます。やがてクローンのバーナードは実の息子に殺されてしまい、実の息子も自殺してしまったことが、手塚さん演じる3人目のクローン、マイケル・ブラックとソルターとの対話の中で明かされます。
マイケル「僕らは誰でも99パーセント同じ遺伝子を持っているんです。チンパンジーとは90パーセント同じです。レタスとは30パーセント同じです。それで少しは元気が出ますか?レタスんとこは、大好きだな。自分が何かの一部なんだって気がするし。」
ソルター「俺はあいつが恋しい。2人とも恋しい。」
小林勝也さん。シリアスそうに見せかけてトボけた感じが良かったです。実はすごく悪い人間なんですよね、ソルターって。そこを見せないままでいたのが良かったです。
手塚とおるさん。最後に出てきた3人目の明るいマイケル・ブラック役がすっごく魅力的で、それまでの根暗な2人のバーナードとは全く違う人間でした。やっぱりすごい俳優さんだなと思いました。
作:キャリル・チャーチル(Caryl Churchill) 演出:サーシャ・ウェアーズ
出演:小林勝也 手塚とおる
訳:常田景子 美術:礒沼陽子 照明:西川園代 音響:長野朋美 衣裳スーパーバイザー:阿部朱美 舞台監督:平石尚子
一般6,300円/学生3,150円
tpt:http://www.tpt.co.jp
5月7日(土)夜にFM西東京「たけがき2」に出演しました。
FM西東京の演劇情報番組「たけがき2」に出演いたしました。またもや告知が遅れてしまいました。ごめんなさい。基本的に毎月第一土曜日に出演の予定です。
今回は前半と後半に3本ずつで計6本、5月のお薦めお芝居情報をお話しました。
西東京市およびその周辺地域でお聴き頂けます。
5月7日(土)21:30~22:00(のうちの約10分間)
FM 84.2MHz
たけがき2(ツー):http://takegaki.k-free.net/
メルマガ号外 bird's-eye view初日500円割引!(限定20名様)
bird's-eye view 『un_titled』
05/11-22こまばアゴラ劇場
http://www.b-ev.net
★5/11(水)19:30開演の回
前売り3,000円のところ → 2,500円!
(20名様限定です)
※お申し込み方法は続きをご覧ください↓
┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏
“しのぶの演劇レビュー” 号外 Vol.16 2005.5.7 429部 発行
┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏ http://www.shinobu-review.jp
今、面白い演劇はコレ! 年200本観劇人のお薦め舞台♪
★★ 号 外 ★★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
お薦めの小劇場公演が500円引き! ~5/11(水)夜 20名様限定~
・・・・・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★★★★★★
bird's-eye view 『un_titled』
05/11-22こまばアゴラ劇場
☆構成・演出:内藤達也
おしゃれで、リズミカルで、開放感溢れる自由な空気の中に、
ふと空虚な悲しみがよぎる、そんな舞台作品をプロデュースする集団。
色に例えると透明。今回はどんなのかしら。
http://www.b-ev.net
●○● 初日に限り、チケット価格を500円割引!! ●○●
bird's-eye view(バーズ・アイ・ビュウ)は2年ほど前に私が一度、
制作として参加した団体です。青山円形劇場が提携するAoyama First Actや、
三鷹市芸術文化センターのMITAKA"Next"Selection にも参加している
名実ともに力を伸ばしてきているパフォーマンス・ユニットです。
この度、2005年5月11日(水)の初日ステージに限り、
チケット代金を500円割引にてご提供いただくことになりました。
“しのぶの演劇レビュー”始まって以来、初めての企画です♪
bird's-eye view 『un_titled』
5月11日(水)19時30分開演
会場:こまばアゴラ劇場
劇場URL→ http://www.letre.co.jp/agora/
公演URL→ http://www.letre.co.jp/agora/line_up/2005_5/birds-eye_view.htm
★チケット価格 前売り3,000円のところ→2,500円!
※お申し込みの早い順番に限定20枚です。
【お申し込み方法】
bird's-eye view制作部宛てに、下記の情報をご記入の上、
5月9日(月)24:00(夜の12時)までにメールをお送りください。
→ bird's-eye view制作部メールアドレス:co@b-ev.net
メールの件名:『un_titled』初日企画
ご希望枚数: 枚
お名前:
ご連絡先(電話番号):
メールアドレス(PC&携帯メール可):
合言葉:「しのぶの演劇レビュー」のメルマガを見た。
※bird's-eye view制作部からのメールの返信を以ってご予約完了となります。
☆日時指定・全席自由です。
開演の1時間前から受付を開始します。
チケットは当日受付にご用意しておりますので、
まず受付に行かれて、お名前をおっしゃってください。
☆開演時間を過ぎてご来場された場合、演出の都合上、
ご入場をお待ちいただくことがございます。
■お問い合わせ
bird's-eye view制作部
メールアドレス:co@b-ev.net
電話番号:03-5791-3267(担当:保田)
≪bird's-eye viewの過去の公演のレビュー≫
私がbird's-eye viewに出会ったのは2000年12月の
第10回ガーディアンガーデン演劇フェスティバルでした。
それ以来、ほぼ全ての公演を拝見しています。
『nu』
2004年11/19-21シアターサンモール
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2004/1121192513.html
『girl girl boy girl boy』
2004年04/17-25三鷹市芸術文化センター 星のホール
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2004/0419003426.html
『UBU ROI dub』
2003年9/18-20法政大学学生会館大ホール
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2003/0919182957.html
『campus;full』
2003年7/18-21 青山円形劇場
(私が制作として参加していましたのでレビューはありません。)
http://www.lucy.ne.jp/~bev/2005_03/pastworks/campus.html
『soundsystem』
2002年10/9-15駒場アゴラ劇場
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2002/0603223714.html
『ON*OFF*ON』
2002年4/25-28 新宿107
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2002/0427224226.html
『Package』
2001年10/19-21三鷹市芸術文化センター
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2001/1019224757.html
『シンク/SYNCHRO』
2000年スフィアメックス12/8-10
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2000/1209225524.html
☆私も初日に伺います。
おトク価格でバーズ最新作を拝見しましょう!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆ 【 編集後記 & お詫び 】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◎お詫び
5/1(日)発行のメルマガで、reset-N『Valencia』@ザ・スズナリの
特別割引券の価格(東京都以外からのお客様および学生のお客様限定)
に、間違いがありました。
正:2000円
誤:2500円
謹んでお詫び申し上げます。 それにしても2000円って激安♪
レビューはこちら↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/0504025050.html
お薦めです。どうやら演出が大幅に変更されたらしいんですよね~。
5/8(日)まで!
◎メルマガ初のチケット割引企画でございました~。
演劇を観る人にも作る人にも、何らかの貢献がしたいと日々思っておりました。
これからもチャンスを見計らってメルマガを活用していきますので、
どうぞよろしくお願い申し上げます。
◎パフォーミング・アーツ・マガジン[バッカス]02号
私が書いた劇評(Ort-d.d『四谷怪談』)が掲載された雑誌です。
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?W-NIPS=9978823190
◎皆様の観劇感想をお寄せ下さい!
このメルマガについてのご感想でももちろん結構です♪
ご感想は転用させていただくことがあります。
お便りはこちらへ→ 《 shinobu@mtr-standard.co.jp 》
※件名は「メルマガ感想」としてください。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆ 【このメルマガについての注意事項】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
今回の配信は“号外”です。
毎月1日発行のメルマガで、その月のお薦め舞台10本をご紹介します。
バックナンバーは全て公開中!
→ http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000134861
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
このメルマガは、高野しのぶの演劇への情熱で書かれています。
沢山の人に演劇に触れてもらいたい!ので、クチコミ・転送 大歓迎です♪
☆ご友人、お知り合いにどうぞこのメルマガをご紹介ください!
(以下をそのまま転送してくださいね♪)
【今、面白い演劇はコレ!年200本観劇人のお薦め舞台】
⇒ http://www.mag2.com/m/0000134861.htm
☆もしこのメルマガを観てお芝居に行かれたら、劇場でのアンケート用紙に
「高野しのぶのメルマガで知った」等、書いていただけると嬉しいです♪
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
◎東京および関東近郊の情報に限らせていただいております。
◎掲載内容には細心の注意を払っておりますが、
間違いがあることもあります。情報は主催者URLでご確認ください。
◎お薦めを観に行って面白くなかったらごめんなさい。
◎私の好みはこちらでご覧いただけます。
→ http://www.shinobu-review.jp/favorite.html
プロフィールはこちらです。
→ http://www.shinobu-review.jp/intro.html
◎購読・解除はこちらから簡単にできます。
まぐまぐ → http://www.mag2.com/m/0000134861.htm
////////////////////////////////////////////////////////////////
メルマガ 『今、面白い演劇はコレ!年200本観劇人のお薦め舞台』
発行人:高野しのぶ
メルマガ サイト:http://www.shinobu-review.jp/melmaga.html
Review サイト:http://www.shinobu-review.jp/
Eメール:shinobu@mtr-standard.co.jp
このメールマガジンは、まぐまぐから配信されています。
まぐまぐ:http://www.mag2.com/
Copyright(C)2004-2005 MTR standard corporation. All rights reserved.
許可無く転載することを禁じます。
////////////////////////////////////////////////////////////////
2005年05月06日
通販生活「憲法九条大論争」2005年夏号(180円)
カタログハウスの雑誌「通販生活」に、井上ひさしさんと保岡興治さん(衆議院議員)の対談が載っています。下記は「通販生活」サイトからの引用です。
井上ひさしさん(作家・日本ペンクラブ会長)
「武力には武力で、と張り合っていくと、いつか悲劇を招いてしまう」
保岡興治さん(衆議院議員・自民党憲法調査会会長)
「武力による悲劇を未然に防ぐために、抑止力としての正規の軍隊を持つべきだ」
2005年05月05日
断念「ルーブル美術館展」4/9-7/18横浜美術館
横浜美術館前
こどもの日に朝から横浜に出かけたのですが、横浜美術館に到着したとたん「45分待ち」の看板と長蛇の列。
サクっとあきらめて場所移動。でもぜったい期間中に行くぞっ。 → ルーブル美術館展
2005年05月04日
オールツーステップスクール『メイキング・オブ・チェーンソー大虐殺』05/04-08こまばアゴラ劇場
オールツーステップスクールは笠木泉さんを中心に立ち上げたグループで、作・演出は浅野晋康さんです。
『トーキョー/不在/ハムレット』に出演していた笠木泉さんといせゆみこさんが気になっていたので初めて伺いました。
当日パンフレットに浅野晋康さんのあいさつ文が載っているのですが、チェルフィッチュの脚本みたいに現代の若者の口語調で書かれてるんですね。少し引用すると「なんだろう、あんまり物語は別にどうでもいいって感じがあって、それ嘘だからってことなんですけど、とりあえず何か嘘じゃないものって何だろうってことですけど、嘘が本当に?っていうのも含めて・・・・」という感じ。そしたら舞台が始まってからも役者さんが口語調で話し始めました。なので、「チェルフィッチュにすごく似てるなぁ」というのが第一印象でした。
舞台は東京ではないどこかさびれた田舎の町・・・なのかどうかは曖昧。登場するのはその場所に住む普通の人たち(主婦、教師、工場で働く頭の弱い男2人。女の子、など)。ドキュメンタリー映画(?)を撮影している怪しげな男女2人組。など。
最初はチェルフィッチュに似てると感じながらもけっこう刺激的な空間だったので、ただただ受身でその世界を浴びるように観ていたのですが、なめらかに流れない若者言葉が聞き入れづらく、役者さんそれぞれの演技の質に差がありすぎてどうしても集中できず、うつらうつらと眠ってしまいました。睡眠不足のせいでもあるのですが残念でした。
ここからネタバレします。
渋谷で売春する女の子が、自分がラブホテルで殺されたことを横になりながら解説したり、ビニール製のアニメキャラ系ダッチワイフが出てきたり、男の子が太い魚肉ソーセージをくわえたり、ハードな性描写がひょうひょうと出てくる辺りは今っぽいなーと思いました。でもあまり観ていて気持ちのよいものではないですね。
タイトルの『メイキング・オブ・チェーンソー大虐殺』はつまり、「チェーンソーによる大量殺人が生まれるまでの過程」の意味です。ダラダラと垂れ流される不謹慎な日常を、ぽつりぽつりと、ちょっとナンセンスに描いていき、学校の先生が元生徒にこっぴどくフラれたことをきっかけにチェーンソー殺戮をするクライマックスに至ります。それまでにドキュメンタリーを撮っている2人組とも意味が重なりますね。
舞台中央で先生がチェーンソーを振り回す傍らで、身長30cmぐらいの肌色の人形の手足をどんどん引っこ抜き、切れ目から洩れなく血がピュッと飛び出す様は、いい感じにクールに倒錯していて面白かったです。
登場人物の多くがウィッグを被っており、カーテンコールで役者さんがウィッグを脱いだり、めがねを取ったりしながらおじぎをします。つまり芝居という嘘の下にさらに嘘(ウィッグ・めがねなどの変装)が重ねられていたことがあらわになります。何が本当で嘘なのか、そもそも本当と嘘の区別が存在するのかという問いと、当日パンフレットに書かれている「とりあえず嘘と情熱は同じ色っていう話がありまして、ってまあそれはどうでもいいんですけど、」という浅野さんの言葉にもつながりました。私も(も、と言っていいのかどうかはわかりませんが)嘘と本当に境目なんてないよなって思ってまして、というか、嘘も本当も自分で決めることだよなって思っています。
前売・当日共に2,000円というのはお値打ち価格だとは思います。
今年の10月に三鷹市芸術文化センターのMitaka Next Selectionに出場するんですね。
作・演出:浅野晋康
出演:笠木泉 高山玲子 井苅イガリ 足立智充 本多麻紀 柳沢茂樹 いせゆみこ 関寛之 南波典子 佐伯新
音楽:桜井圭介
舞台監督:佐藤太治 照明:多賀啓ニ 音響:都築茂一 美術協力:遠藤智林 小道具:矢野愛 Web:笠木泉
宣伝デザイン:mee・takayama reiko 宣伝イラスト:高山玲子 制作:笠木泉 南波典子 高山玲子 制作助手:吉岡小夜 制作協力:永井有子 企画&製作:オールツーステップスクール (有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場 主催:(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場
前売・当日共 2,000円
劇団内:http://homepage3.nifty.com/alltwostep/index.html
劇場内:http://www.letre.co.jp/agora/line_up/2005_5/all_2_step_school.html
reset-N『Valencia』05/03-08ザ・スズナリ
reset-N(リセット・エヌ)は夏井孝裕さんが作・演出される劇団です。私は賛助会員(Support-N)に登録しています。
今回は小さな美容室が舞台。いつものスタイリッシュでクールな舞台空間で、最高に官能的な瞬間を味わわせていただきました。
舞台はトダ(平原哲)とツゲ(原田紀行)が共同経営している小さなヘアサロン。2人の他にはアシスタントの女の子アズサ(丸子聡美)が働いている。今どきの若者らしい、ひょうひょうとしたリラックスムードの店内。
閉店後の夜中にトダを訪ねてくる女がいる。その女はルミ(町田カナ)。ある仕事でトダに助けられて以来の縁。2人は急速に接近して・・・。
セクシー、エロティック、官能的などという言葉で表される、罪悪感を感じながらうっとり恍惚となる瞬間が山盛りでした。これだから病み付きなんです、reset-N(笑)。ヒリヒリするほど熱くて暴力的なシチュエーションを、極力ストイックにミニマムに凝縮するから、とんでもなくヤラしいんです。「秘すれば花」の世界ですね。だけど出すところはバシっと出す。そのさじ加減が絶妙です。
また、今回は笑いがたくさんありましたねー。すごくウケてたし、私もいっぱい笑ったなー。演技の間がいいし、脚本も最後の最後まで笑えるように詰められていて確実なのです。
ただ、ラストはどうも腑に落ちませんでした。「え?コレで(が)終わり??」と思ってしばらく拍手するのを躊躇しました。ラスト前までに「ここで終わるかな?」と思う瞬間はあったので、そこで終わっていたら私的にはすんなりスムーズな終幕だったと思うのですが。
音響、照明、衣装、舞台美術はグランドデザインというくくりで、演出の夏井さん以下、それぞれのスタッフが全体を担当するというスタイルになっています(massigla lab.)。作品全体をいつものスタッフが総合的な視点から作っているので、毎回完成度が高いです。特に今回のお気に入りは暗転のタイミングでした。ここで!と思う一瞬手前できっちり暗転してくれるんです。のどに刺さった魚の小骨が取れたような気持ちって言うか(笑)、めちゃ快感でした。
照明に蛍光灯を使うのがreset-Nの定番になっていますが、席にもよるのでしょうけれど、ものすごくまぶしかったです(私はおそらく前から6~7列目)。役者さんの顔も見えづらかったな。今まではそういうことを思ったことはなかったので、劇場の作りの問題なんですかね。
賛助会員は上演台本をいただけるのですが、その脚本は読んでみると本当にサラリとしたもので、実際に舞台で観ると文章を読んでいたときに想像していたものとは全然違うんです。お稽古で読み込んで、作りこんで、reset-N独特の笑いやエロスを生み出しているんですね。
ここからネタバレします。
まずオープニングで完全にヤラれました。トダとルミの濃厚なキスシーンから始まるんです。めっちゃくちゃセクシーで美しかった~。ルミは客席から登場したので町田カナさん(チラシ写真の女性)だとわかったのですが、相手の男優は舞台奥から出てきたし、キスシーンの時の照明がすごく暗いので誰なのかわからなかったんですね。それがまた良かった。「誰?誰?」ってあせって、釘付けでしたから(笑)。
次のシーンでトダを演じているのが平原哲さんだと分かってからは、平原さんがおそらく今回の主役というか、トラブルメーカーもしくはキーパーソンであることは間違いないので、ずっと平原さんを追っていたんですが、超~素敵なんです・・・ダメダメあんなの、私のタイプど真ん中(笑)。マジでやばかったですよ、ホレちゃいそうでした(笑)。でも、トダ自身がおかしな人だということが徐々に明らかになってきてからは、おかしいはずなのに演技にあまり変化が見られないことにちょっと違和感を覚えて、勝手な迷走がストップしました。・・・ので、私自身はホっとしました(ものすごく独りよがり)。
トダの魅力に影が落ちたことと、ラストに疑問がわいたのは、たぶんトダの彼女のメグミ(篠原麻美)の狂気が伝わってこなかったからだと思います。トダはルミが起こした大事件に巻き込まれ、廃人のようになってしまいます。メグミは無断外泊および無断欠勤をしたトダを問い詰めるのですが、トダはさっぱりメグミのことなど気にしておらず、はっきりと別れ話までしてしまう始末。トダと2人きりになった店内で、トダはソファにじっと座ったままですが、メグミはじーっと髪切りバサミを見つめています。音楽が静かに流れる中、メグミは徐々にうっとりした面持ちになり、鋭利なハサミをいじりはじめます。このセリフが無い長いシーンで、メグミが狂っていった(既に狂っていた)ことを表現しようと意図していたと思うのですが、私が観た回ではそれは伝わってきませんでした。ここで何かが伝わってくれば、最後に「マレーシア!」「バレンシア!」と叫ぶやりとりも、狂気と滑稽さが入り混じってグッと興奮しちゃうシーンになったと思います。
reset-Nの役者さんは全体的にとても安定しているというか、個性もあって技術もあって、魅力もある人が増えていると思います。
久保田芳之さん(実はゴルゴ13じゃなかった男役)が助演男優的な位置で強烈な印象を残していることや、町田カナさんが最重要ポイントを担っているけれど決して主役ではないことからもわかるように、看板役者さん以外の劇団員が成長してきているということですね。
客演の方々も面白かったなー。reset-Nには何度か出演されている奥瀬繁さん(美容室の下の事務所の職員役)はもちろんのこと、トダ目当てで美容室に通うちょっとオバサンっぽい女性客ホリカワ役の岩本幸子さんも上手かったですね。演技で確実に笑いを生んでいました。
今回は、主役の美容師トダ役の平原哲さんに悩殺されました。在り方が高圧的というか、言ってしまえば暴力的なんです。佇まいに静けさがあるのに。これがセクシーなんだな~。この上に、刺すような怒りとか、こちらが恐怖を感じるほどの熱さが瞬間的にでも見られれば、トダが私の中の悪のアイドルになっていたかもしれません(笑)。
作・演出:夏井孝裕
出演:町田カナ 久保田芳之 篠原麻美 原田紀行 平原哲 綾田將一 長谷川有希子 岩本幸子(イキウメ) 丸子聡美 奥瀬繁(幻の劇団見て見て)
グランドデザイン:massigla lab.(夏井孝裕/荒木まや/浅香実津夫/福井希) 舞台監督:小野八着(Jet Stream) 宣伝美術:quiet design production 宣伝写真:山本尚明 制作:秋本独人、森下富美子、河合千佳 照明協力:木藤歩(balance,inc) Web製作:松下好
日時指定・全席自由 前売・当日券:3000円 特別割引券:2000円(学生及び東京都以外からお越しのお客様)
reset-N内:http://www.reset-n.org/jp/valencia/index.html
2005年05月03日
映画『Shall we ダンス?』5/6(金)21:03~23:44日本テレビ
日本版の映画『Shall we ダンス?』が日本テレビで放送されます。
ただいま映画館で上映中のアメリカ版を観た私は、絶対に観たい。
ノーカットでかなり長時間ですね。ビデオに撮とうっと。
5月6日(金)日本テレビ 夜9:03~11:44
【金曜ロードショー】 映画『Shall we ダンス?』
ヒンドゥー五千回『ハメツノニワ』05/02-03シアタートラム
ヒンドゥー五千回は扇田拓也さんが構成・演出される劇団です。前作に比べると抽象的で実験的な要素の強い作品でした。私は今回の方が好みです。『ハメツノニワ』は2003年4月初演で、今作は再演です。
白くてきれいな砂がまんべんなく敷き詰められた、だだっぴろいステージ。シアタートラムの舞台の石壁がほぼ露出されています。天井まで長くのびる梯子が、舞台中央奥の壁に立てかけられており、舞台上には椅子が2脚向かい合った形でシンメトリーに置かれています。石と砂でできた空間にポツンと家具がたたずむ風景が美しいです。こちらに舞台写真(初演時)とあらすじがあります。
4つぐらいのそれぞれ独立したエピソードの組み合わせになっており、ほぼ全てが1人~2人芝居です(1つだけ3人芝居あり)。
最初は音にも声にもセリフにも、ずーっと違和感を感じて集中できず、非常につらい1時間だったのですが、後の1時間は面白く観られました。上演時間が2時間たっぷりあったのですが、1時間ちょいにまとまってくれたらなぁと思いました。
ここからネタバレします。引用するセリフはその大意を書いているだけで、完全に正確ではありません。
エピソードは、消火栓(消火器?)に向かって話しかける男、人を殴り殺してしまって死体を前にあせる男2人、同じ本を交互に音読して遊ぶ男2人、ろうそくに向かって語りかける男・・・など。
テーマは「人間は自分の都合の良いように記憶を消去してしまう」「人間は欲深で醜い。砂は美しい。」「だけど、人間は人間とつながり合いたい」というようなことでしょうか。
・消火栓に向かって話しかける男
開幕していきなりセリフが受け入れられず、役者さんの演技にも集中できませんでした。あの長い時間を一人で持たせるのは大変だとも思います。後から他のエピソードとつながるのですが、そこは面白かったです。
・死体を前にあせる男2人。
死体(扇田森也)が踊るシーンが美しかったです。死体はこれから静かに土に、砂になって美しくなっていくけれど、生きている2人は汚れたヒトであり続けるんですね。だからどっちが本当の意味で「生きている」と言えるのかと、問いかける演出だったように思います。あせる男2人のセリフのやりとりはまどろっこしいし、繰り返しも必要なかったんじゃないかと思います。そういうところが実験的というか、もっと方法はあると思います。
「今ここにある砂は、どれだけの死体から出来ているんだろう」というセリフが良かったです。(このシーンだったかな?)
・同じ本を交互に音読して遊ぶ男2人(後から関連エピソードあり)。
ガンガンと力任せに怒鳴り続けるので最初の方は苦痛でした。後から出てくるエピソードとつながってくるので、そこまで耐えて最後まで観て良かったです。
中島みゆきの“わかれうた”を思い出しました。 ~恋の終わりはいつもいつも 立ち去るものだけが美しい 残されて戸惑う者たちは 追いかけて焦がれて泣き狂う~ あんなに楽しい時間を過ごした2人だったのに、片方は楽しかった時間も、遊んだ相手のことさえすっかり忘れてしまっていた・・・・忘れずに待ち続けていた方にとっては死ぬほどつらいことだと思います。でも、執着するからつらいし未来がないんですよね。捨てられるには理由があると思います。でも、そういうみっともないのが人間だ、ということで・・・。
「口は災いの元」というセリフは聞きたくなかったな・・・。後のエピソードだけに出てくるようにする方が、スマートな気がします。でも本当に「口は災いの元」なんですよね。無言で遊び続けるシーンでそれがよくわかりました。
・ろうそくに向かって語りかける男
これも一人芝居だったのですが、言葉がとても聞きやすくて、はっきりと気持ちも意味も伝わってくるなぁと思ったら、主宰の扇田拓也さんでした。
「砂は美しい。人間は欲深い。」「死んだら身体はゆっくりと解けて骨だけになり、骨はさらに何年もかけて石(砂)になる。」「いつか土に、砂になりたい。だから自分が死んだら誰かに自分を埋めてもらいたい。」「君(ろうそく)にはムリだよね。人間には手があるんだ。だから、自分を埋めてくれる誰かに出会いたい・・・」という流れでした。このシーンを観ている時にふと気づきました。この作品は詩の朗読のようだな、と。演劇だと思って観ない方がいいな、と。演劇だと思ったらちょっとイライラしちゃうんです。だけどこれはポエムで、とても個人的なつぶやきなのだと思えばすんなり受け入れられました。
「石や砂はなんて美しいんだ。生きている人間のなんと醜いことか。」私もこういう気持ちになることがよくあります。たとえば、毎年秋になると約束どおりに黄金色に紅葉してくれるイチョウの木々に出会う度に、感謝の気持ちがこみ上げてきて涙が出そうになります。変わらずそこに在り続けること。これ以上の愛はないと思います。
音楽自体はすごく作品とマッチしていると思いましたが、音量が突然大きくなったり小さくなったりするのは、あまり心地よいものではなかったです。セリフについても、いきなり大声で怒鳴ったり、何かにつけて大笑いするようになりますし、動きについても突然踊ったり、走ったりします。急にポジティブな、ダイナミックな方向に変化して観客に噛み付いてくるような演出が多いです。それをヒンドゥー五千回の個性だと言うのも可能ですが、私にはまだまだ発展途上の実験段階で、これからもっと洗練させられる余地があるように感じられました。
世田谷パブリックシアター第9回くりっくフリーステージ演劇部門参加作品
構成・演出:扇田拓也
出演:谷村聡一・久我真希人・結縄久俊・向後信成・藤原大輔・宮沢大地・鈴木燦・谷本理・扇田森也
演出助手:藤原大輔 舞台監督:松下清永 美術:袴田長武(ハカマ団) 照明:吉倉栄一 音響:井上直裕(atSound) 宣伝写真:降幡岳 宣伝美術:米山菜津子 制作:関根雅治 山崎智子 企画・製作:ヒンドゥー五千回 主催:財団法人せたがや文化財団、フリーステージ実行委員会
全席指定 2500円
ヒンドゥー五千回:http://www.h5000.com/
2005年05月02日
映画『Shall we Dance?』05/01六本木Virgin CINEMAS
メルマガの予告どおり、朝から映画を観てきました。
リチャード・ギアは噂どおり、いつもどおり、ダンデイーで色男でした。ジェニファー・ロペスは信じられないほど美しい肢体の持ち主で、ダンスがめちゃくちゃ上手くて驚愕。演技も可愛かったです。
作品全体としては私の好みとはかけ離れたもので、ひとことで言うと日本版オリジナルの『Shall we ダンス?』とは全く違う作品でした。もう一度日本版を観たいな。もうすぐテレビで放送するらしいとも聞きましたが、そうだったらそれを観ちゃいたい。
予約が出来て指定席なのにやっぱり映画ファン感謝デーは1,000円なんですね。おトクでした。
2005年05月01日
メルマガ 2005年05月のお薦め舞台
2005年5月のお薦め舞台10本+αをご紹介します。
┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏
“しのぶの演劇レビュー” Vol. 11 2005.5.1 423部 発行
┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏ http://www.shinobu-review.jp/
今、面白い演劇はコレ! 年200本観劇人のお薦め舞台♪
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
◎ゴールデン・ウィークに突入!
・・・したのですが、やはり「騎馬オペラ・ジンガロ」スタッフとして
木場公園に通う日々でございます。インドア派の私が毎日公園を散歩できて
健康によろしいわん、などと強がりを言いながら園内を闊歩しております。
もうすぐ去ってしまうジンガロメンバー、もうすぐ無くなってしまう
ジンガロ特設シアターを名残惜しみつつ・・・。
◎このメルマガについて
年間200本以上の様々な舞台作品を観ている高野しのぶが発行する、
“今、東京で観られる面白い演劇”をご紹介するメルマガです。
ご登録いただきありがとうございます!
演劇は、その時その場所でしか味わえない、とっておきの感動体験です。
世界中で最も公演数が多いと言われている東京では、
毎日、たくさんの劇場で初日の幕が開いています。
そこで、過去6年間で1300本もの舞台作品を観てきた私の目で確かめて、
オンタイムでお薦め演劇情報をお届けするのが、このメルマガです。
毎月1日に私が観るお薦め公演10本のご紹介メールを配信します。
そして、実際に観に行って面白い作品に出会ったら、
その翌日の午前中までに、お薦め作品の“号外”を配信します。
これで、とっておきの公演を見逃すことはありません♪
○
○○ 今回のもくじ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
◆1【今月のお薦め10本+α】
◎No.1→ 新国立劇場演劇
『箱根強羅ホテル』
05/19-06/08新国立劇場 中劇場
http://www.setagaya-ac.or.jp/sept/jouhou/04-2-4-71.html
◆2【先月のベスト3】
◎No.1→ Bunkamura『キッチン』
02/25-03/06シアターコクーン
http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/event/kitchen/index.html
◆3【超豪華ラインナップ! shizuoka春の芸術祭2005】
東京で活躍する新世代の演出家が勢ぞろい!
http://www.spac.or.jp/news/spring2005/index.htm
◆4【お薦め舞台の前売り情報! ク・ナウカ『王女メディア』】
何度も再演されるク・ナウカの代表作が東京国立博物館で復活!
http://www.kunauka.or.jp/jp/
◆5【編集後記 & ジンガロ(ZINGARO)情報】
◎映画『Shall we Dance?』を観に行くことにしました♪
◎PR 騎馬オペラ・ジンガロ『ルンタ』、とうとう5/8まで!
全公演において前売り券は完売いたしました。
ありがとうございました!
http://www.zingaro.jp/
◆6【このメルマガについての注意事項】
◎はじめての方はどうぞお読みくださいね♪
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆1 【今月のお薦め10本+α】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
※★印がいちおし公演です(3本)。
※初日の早い順に並べています。
※掲載内容:主催・『タイトル』・日程・会場・URL・コメント
1.フジテレビジョン『エデンの東』
05/01-21東京グローブ座
≪東京、大阪≫
☆ジャニーズ事務所所属のスターが出演するお芝居。
鈴木裕美さんが演出ですから、きっと間違いないと思うのです。
http://www.tglobe.net/
★2.KERA MAP #3『砂の上の植物群』
05/01-14シアターアプル
☆作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演:筒井道隆 常盤貴子 ほか
ケラさんの新作はもう絶対に見逃せないです。
チケットぴあとイープラスで見たところ、まだ残席あるようです。
http://eee.eplus.co.jp/s/kera_map/
3.十八代目中村勘三郎襲名披露『五月大歌舞伎』
05/03-27歌舞伎座
☆夜の部に、野田秀樹さん脚本・演出の
『野田版 砥辰の討たれ』もラインナップ。
http://www.kabuki-za.co.jp/info/kougyou/0505/5kg_1.html
4.Bunkamura・朝日新聞社『メディア』
05/06-28シアターコクーン
☆作:エウリピデス 翻訳:山形治江 演出:蜷川幸雄
出演:大竹しのぶ 生瀬勝久 吉田鋼太郎 ほか
蜷川幸雄さんのギリシア悲劇には定評があります。
http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/event/media/index.html
5.パルコプロデュース(主催:TBSラジオ)
『最悪な人生のためのガイドブック』
05/13-29パルコ劇場
≪東京、大阪≫
☆作・演出:鈴木聡 音楽:本多俊之
出演:川平慈英 森山未來 ほか
ラッパ屋の鈴木聡さんが手がけるミュージカル・コメディ。
森山未來くんにも期待。
http://www.parco-play.com/web/page/information/saiaku/
6.シアター21『グリマー・アンド・シャイン』
05/13-22紀伊國屋ホール
≪東京、兵庫≫
☆作:ウォーレン・ライト 翻訳:小田島恒志 演出:宮田慶子
出演:真中瞳 高橋和也 山路和弘 羽場裕一
イイ男ばっかの翻訳劇。真中瞳さんも素敵な女優さんです。
http://www.rup.co.jp/200504gli/index.html
★7.tpt『nine(ナイン) THE MUSICAL』
05/17-06/12アートスフィア
≪大阪、東京≫
☆デヴィッド・ルヴォーさん演出の、大人のミュージカルの再演。
とにかく女がめちゃくちゃカッコイイ!!
主役のグイド役が別所哲也さんになりました。
http://eee.eplus.co.jp/s/nine/
初演のレビューはこちら
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2004/1104001142.html
8.『シンデレラストーリー A CINDERELLA STORY』
05/17-06/05ル テアトル銀座
≪東京、大阪、名古屋≫
☆脚本:鴻上尚史、演出:山田和也、作詞:斉藤由貴
小さなお子様とお母様が一緒に観に行って、
本気で一緒に楽しめるミュージカルの再演です。キャストも豪華。
http://www.dipps.co.jp/stage/0308_cinderella/
★9.新国立劇場演劇『箱根強羅ホテル』
05/19-06/08新国立劇場中劇場
☆シリーズ「笑い」3
作:井上ひさし 演出:栗山民也
出演:内野聖陽 麻実れい ほか
http://www.nntt.jac.go.jp/season/s265/s265.html
●お薦めポイント●
井上ひさしさんの書き下ろし新作を、栗山民也さんが演出。
内野聖陽さん、麻実れいさんが出演。これぞドリーム・キャスト!
文句なしに2005年の大注目作品です。
10.G-upプロデュース『Deep Forest』
05/24-06/05新宿107
☆作:ほさかよう 演出:板垣恭一
期待の新人脚本家ほさかようさんの新作を、サードステージの
showcaseシリーズ等で有名な板垣恭一さんが演出。
キャストもびっくりするほど豪華です。
http://www.g-up.info/
+α(ダンス公演です)
days『井手孤独【idesolo】』
05/26-29シアタートラム
☆イデビアン・クルー主宰の井手茂太さんの初ソロダンス公演。
最近だと北九州芸術劇場プロデュース『ルル』も
井手さんが振付を担当されています。
http://www.setagaya-ac.or.jp/sept/jouhou/05-2-4-1.html
★★★――――――――――――――――――――――――――――――
今月はチケット代が高い作品ばかりのお薦め10本でした。
3000円以下のお芝居も、特別に3本ご紹介します。
――――――――――――――――――――――――――――――★★★
●reset-N『Valencia』
05/03-08ザ・スズナリ
☆作・演出:夏井孝裕
リセット・エヌは私のいちおし劇団です。
学生さんと東京都以外からいらっしゃるお客様は2,000円で観られます。
http://www.reset-n.org/jp/valencia/index.html
●KAKUTA『南国プールの熱い砂』
05/11-15青山円形劇場
☆期待の若手劇団をサポートするAoyama First Actの第6段。
作・演出・出演の桑原裕子さんは期待の注目株です。
http://www.kakuta.tv/nangoku/
●bird's-eye view 『un_titled』
05/11-22こまばアゴラ劇場
☆構成・演出:内藤達也
おしゃれで、リズミカルで、開放感溢れる自由な空気の中に、
ふと空虚な悲しみがよぎる、そんな舞台作品をプロデュースする集団。
色に例えると透明。今回はどんなのかしら。
http://www.b-ev.net
◎しのぶの今月の全予定(25本+α)はscheduleに掲載しています。
キャスト・スタッフ情報あり!
http://www.shinobu-review.jp/schedule.html
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆2 【先月のベスト3】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1.Bunkamura『KITCHEN(キッチン)』
04/05-24シアターコクーン
http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/event/kitchen/index.html
☆舞台は厨房。人種、文化の異なる人間同士が、本気でぶつかり合います。
舞台上で全身全霊かけて戦う俳優達に感動しました。
*レビューはこちら↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/0410213202.html
2.青年座『妻と社長と九ちゃん』
04/08-17紀伊国屋ホール
http://www.seinenza.com/performance/178/
☆ラッパ屋の鈴木聡さんの脚本を宮田慶子さんが演出。
良くも悪くもべったり暖かい昭和の人間と、平成を生きる私達との
対話が生まれた空間でした。笑いもいっぱい。涙もいっぱい。
*レビューはこちら↓ (まだ書けていません)
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/0416121631.html
3.北九州芸術劇場プロデュース『ルル~破滅の微笑み~』
04/08-17世田谷パブリックシアター
http://www.setagaya-ac.or.jp/sept/jouhou/04-2-4-71.html
☆最高にクールな芸術空間に身も心もとろけました。
演劇は人と人とが協力して作り出すアートだということを心底実感。
*レビューはこちら↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/0417202303.html
◎メルマガのバックナンバーはこちら↓で全て公開中!
http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000134861
メルマガ号外は誰が観ても楽しめそうなものを選んで発行しています。
先月は残念ながら発行しませんでした。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆3 【超豪華ラインナップ! shizuoka春の芸術祭2005】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
毎年春に開催されている静岡芸術劇場のフェスティバルです。
私はまだ行ったことがないのですが、今年デビューを狙っています。
■shizuoka春の芸術祭2005
http://www.spac.or.jp/news/spring2005/index.htm
新世代の演出家たちによる<犯罪>をテーマとしたギリシア悲劇の連続上演。
私が観たことの有る劇団でお薦めは、
・中島諒人(ジンジャントロプスボイセイ)演出『アンティゴネー』5/7
・Ort-d.d『エレクトラ』5/14, 15
・山の手事情社『オイディプス王』5/14
・三条会『メディア』5/21
・ク・ナウカ/劇団旅行者『トロイアの女』6/18
芸術総監督の鈴木忠志さん演出の作品ももちろん観られます。
・『オイディプス王』5/28, 29、『幽霊』『病院長屋の日本人たち』5/7、
『別冊チェーホフ イワーノフとラネーフスカヤ』6/11
■開催期間: 5/7 (土)~ 6/18 (土)
■会場:静岡芸術劇場、静岡県舞台芸術公園
(野外劇場「有度」、屋内ホール「楕円堂」、稽古場棟「 BOX シアター」)
■チケットは発売中です。
静岡芸術劇場チケットセンター
Tel.054-202-3399
http://www.spac.or.jp/news/spring2005/ticket.htm#spring2005_ticket
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆4 【お薦め舞台の前売り情報! ク・ナウカ『王女メディア』】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
おぉっ!これは絶対観たい!!と思うお芝居がありましたので、
前売り情報をお伝えします。
◎ク・ナウカ 『王女メデイア』
7/19-8/1東京国立博物館 本館特別5室
http://www.kunauka.or.jp/jp/
私は2000年11月に青山円形劇場で上演されたものを桟敷席で観ました。
自分が演劇というものを全く知らなかったと思い知らされました。
「ク・ナウカの作品の中でも最も面白いものです。」
と当時、演出の宮城聰さんがどこかに書かれていたのを覚えています。
今となっては「最も面白い作品」もどんどん増えているので、No.1では
ないかもしれませんが、演出家ご自身がそうおっしゃったほどの
傑作であることは間違いありません。
ク・ナウカ独特の2人1役の演技手法も堪能できます。
“メディア”ですから有名なギリシア悲劇の息子殺しの話が本筋なのですが、
それだけではないのが宮城さんの演出の凄いところなのです。
ク・ナウカ『王女メデイア』
7/19-8/1東京国立博物館 本館特別5室
原作:エウリピデス 台本・演出:宮城聰 主演:美加理 ほか
★イープラスでプレオーダーが始まります。
5/2(月)12:00~5/7(土)18:00
http://click.eplus.co.jp/?5_179119_38_1
★一般発売開始:5/14(土)10:00~
★会場(東京):東京国立博物館 本館特別5室
http://www.tnm.jp/jp/guide/general/index.html
この会場も見所ですね~♪
★公演期間(東京):7/19(火)~8/1(月) 夜公演のみ
(大津):8/7(日)14:00開演@びわ湖ホール
※東京公演は夜公演のみで、7/25(月) が休演です。
※英語の字幕つき公演:7/21(木)、7/28(木)
※アフタートークあり:7/26(火)、7/27(水)
≪チケット価格≫
前売:S席5,300円 A席4,300円 自由席3,300円
当日:S席5,500円 A席4,500円 自由席4,500円
ユースチケット(25才以下):2,500円
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆5 【編集後記 & ジンガロ(ZINGARO)情報】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◎ゴールデン・ウィークも「ジンガロ」勤務なので旅行はムリ(涙)。
観劇も時間帯が「ジンガロ」に被っててムリ(号泣)。
だから早朝に映画ですよっ!
『Shall we Dance?』
http://www.shallwedance-movie.jp/
知り合いが試写会を見て「すっごく良かった!」と言っていたのと、
日本版が大好きだったから見に行くことにしました♪
本日5/1(日)は映画ファン感謝デーで、誰でも1,000円!
◎PR 騎馬オペラ ジンガロ『ルンタ』、とうとう5/8(日)まで!
おかげさまで全公演について、前売り券は完売いたしました。
当日券は開演の1時間半前より販売しております。
(プレミアム席:24000円 SS席:18000円 S席:14000円 A席:8000円)
当日券情報はこちら↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/0430013312.html
騎馬オペラ・ジンガロ『Loungta(ルンタ・風の馬)』
3/12-5/8木場公園内ジンガロ特設シアター
http://www.zingaro.jp/
※私はジンガロ日本公演実行委員会事務局に勤務しています。
ジンガロ情報は“しのぶの演劇レビュー”内でフォローしています。
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/0509000000.html
「ジンガロ」のメルマガ号外も発行いたしました。
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/0314235616.html
◎パフォーミング・アーツ・マガジン[バッカス]02号
私が書いた劇評(Ort-d.d『四谷怪談』について)が掲載された雑誌です。
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?W-NIPS=9978823190
◎「劇場に足を運ぶことが、日本人の習慣になって欲しい」
それが私の望みです。
これからもこつこつ、地道に進んで行きたいと思っております。
皆様、どうぞよろしくお願いいたします♪
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆5 【このメルマガについての注意事項】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
このメルマガは、高野しのぶの演劇への情熱で書かれています。
沢山の人に演劇に触れてもらいたい!ので、クチコミ・転送 大歓迎です♪
☆ご友人、お知り合いにどうぞこのメルマガをご紹介ください!
(以下をそのまま転送してくださいね♪)
【今、面白い演劇はコレ!年200本観劇人のお薦め舞台】
⇒ http://www.mag2.com/m/0000134861.htm
☆もしこのメルマガを観てお芝居に行かれたら、劇場でのアンケート用紙に
「高野しのぶのメルマガで知った」等、書いていただけると嬉しいです♪
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
◎東京および関東近郊の情報に限らせていただいております。
◎掲載内容には細心の注意を払っておりますが、
間違いがあることもあります。情報は主催者URLでご確認ください。
◎お薦めを観に行って面白くなかったらごめんなさい。
◎私の好みはこちらでご覧いただけます。
→ http://www.shinobu-review.jp/favorite.html
プロフィールはこちらです。
→ http://www.shinobu-review.jp/intro.html
◎購読・解除はこちらから簡単にできます。
まぐまぐ → http://www.mag2.com/m/0000134861.htm
////////////////////////////////////////////////////////////////
メルマガ 『今、面白い演劇はコレ!年200本観劇人のお薦め舞台』
発行人:高野しのぶ
メルマガ サイト:http://www.shinobu-review.jp/melmaga.html
Review サイト:http://www.shinobu-review.jp/
Eメール:shinobu@mtr-standard.co.jp
このメールマガジンは、まぐまぐから配信されています。
まぐまぐ:http://www.mag2.com/
Copyright(C)2004-2005 MTR standard corporation. All rights reserved.
許可無く転載することを禁じます。
////////////////////////////////////////////////////////////////