2005年06月30日
【キャストオーディション】ラフカット2005
ラフカット2005のキャストオーディション情報です。
詳細はプラチナ・ペーパーズの公式サイトでご覧ください。
★今年の脚本家
中島淳彦さん(劇団道学先生・劇団ハートランド)
樫田正剛さん(劇団方南ぐみ)
桑原裕子さん(KAKUTA)
堤泰之さん(鈴置洋考プロデュース、渡辺正行プロデュースなど)
公演日程=2005年11月23日(祝)~27日(日)
稽古期間=10月中旬より(週3-4日、1日3時間前後)
応募資格=公演に参加できる体力と時間的余裕のある方
〆切り=7月30日(土)必着
THE SHAMPOO HAT『事件』06/28-07/05ザ・スズナリ
THE SHAMPOO HATはKERA・MAP#003『砂の上の植物群』でも異彩を放つ演技をされていた、赤堀雅秋さんが作・演出をされる劇団です。前回の『ゴスペル・トレイン』を見逃して悔しい思いをしましたので、今回は余裕を持って早めに伺いました。
劇団員総出演で客演さんも2人いて、いつもより大人数がザ・スズナリの舞台に並び、装置も予想を超えた広さで驚きました。
上演時間は2時間。少し長い目です。でもラストシーンで身体にビビっと衝撃が走り、長いと感じたことも忘れられました。
≪あらすじ≫
真夏の街。中年女性だけを狙った通り魔殺人が横行している。刑事の高橋(野中孝光)と石井(日比大介)がつかんでいる犯人の手がかりは、現場に残された数本のネジのみ。近辺を聞き込みに回っていると、「もうすぐ大洪水が起きて、人類は滅んでしまう」とおかしなことを言う男・池田(福田暢秀)に行き当たった。池田はさらに「通り魔の犯人を知っている」と言い出して・・・。
刑事、医師、患者、スーパーの店員、無職のごろつきなど、小さな町に暮らす庶民が通り魔事件、およびその犯人を軸につながっていきます。礼儀知らずで、自己中心的な言動や態度が目立つ人物ばかりですが、それゆえの会話の不成立具合が可笑しさになります。生活感や日常の泥臭さがぷんぷんと匂ってくるリアルな演技で、その人物の感情がビタっと身体に染み付いてきて、まるでその人に触れたような気持ちになりました。
全体から伝わってきたのは孤独、でした。誰かに助けてもらいたい、どこかにもっと幸せになれる場所があるはず、などと思っていながら、言葉に出して助けを求めたり、実際に探しに行ったりすることが出来ず、とりあえずあきらめたり、一人でおろおろしている人間たち。それをつなぐのが“母親”であり“くじら”なのかなと思いました。
ここからネタバレします。
通り魔は金物屋の主人で、頭の怪我のために入院している春彦(黒田大輔)でした。池田に大洪水のことを吹き込んだのも春彦で、彼には明らかに妄想癖があり、くじらに尋常ではない憧れを抱いています。
小さい頃から春彦の生来の残虐性に気づいていた兄の夏彦(赤堀雅秋)は、「親父の金物屋を継げばずっとあの暗い空間に閉じこもっていられる」と考えて、春彦に店をまかせて自分はスーパーでバイトをしていたのでした。
しかしながら春彦は店から世界へと飛び出した(そして無差別殺人をしてしまった)。ラストシーンで夏彦はベッドの上の春彦に襲い掛かり、彼の首を絞めます。春彦は必死で抵抗しながら、あるものを発見し、叫びます。「くじら!」と。すると巨大なくじらが・・・!舞台の天井の方を泳いでいるかのように、舞台上の役者の上を黒い影が覆います。登場人物が全員天井を向いて、それぞれにくじらを目つめ、その影を視線で追いかけて、終幕。
舞台装置はワン・シチュエーションではなく、池田のアパート、病室、スーパーの店員用控え室、石井の家、ファミレス(デニーズ)、霊安室という6つの世界が具体的に作られていました。しかしながらそれらを隔てる壁はいっさいないので、役者さんは分かれているはずの空間を自由に横断します。大雨の中、2人の刑事が通り魔犯を捜し歩くシーンは、舞台全体を使っていてダイナミックでドキドキしました。
上手と下手の袖を隠す幕が青いビニールシートだったのがチープで物悲しくて良かったです。
池田役の福田暢秀さんは舞台美術家で、シャンプーハット公演の美術はいつも福田さんの作品です。汚いアパートでテレビを見て独り言を言ったり、泣きながら大洪水の話をしたり、しまいには万引きをしたスーパーの店員の女の子に「一緒に箱舟に乗ろう」と言い寄ってキスしちゃったり、真性のダメ男ぶりが最高に可愛らしかったです。アパートに居る時はずっとパンツ一丁に浮き輪のみというスタイルなんですが、それがスムーズに笑いにつながるのが凄いと思います。
一番不気味だったのは医師の青柳(児玉貴志)です。他の人は起こす行動の原因となるバックグラウンド(トラウマとか)が感じられたんですけど、彼については見つけられませんでした。医師の中でもエリートである外科医だっていうのも、なんか人間の肉の匂いがしそうで怖かったです。
≪東京、大阪≫
作・演出:赤堀雅秋
出演:日比大介 児玉貴志 多門勝 野中孝光 福田暢秀 黒田大輔 滝沢恵 赤堀雅秋 岩堀美紀 大和貴
照明:杉本公亮 音響:田上篤志(atSound) 舞台監督:川上大二郎(MDC) 舞台美術:福田暢秀 舞台製作:F.A.T STUDIO 宣伝美術:斉藤いづみ 宣伝PD:野中孝光 舞台写真:引地信彦 演出助手:岩堀美紀 大和貴 制作助手:相田英子 制作:HOT LIPS 協力:アカプルコ 東京書籍印刷 後援:(株)UZアドベックス 企画製作:THE SHAMPOO HAT
指定席 前売 3,300円 当日 3,500円
自由席 前売 3,000円 当日 3,200円
劇団内:http://www33.ocn.ne.jp/~shampoohat/jiken2.html
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2005年06月28日
劇団ダンダンブエノ『礎(いしずえ)』06/22-07/01青山円形劇場
劇団ダンダンブエノは近藤芳正さんを中心に結成された劇団です。今作で4公演目。ペンギンプルペイルパイルズの倉持裕さんの脚本を近藤さんが演出されます。お笑いコンビ(?)“オセロ”の松嶋尚美さんが出演されているのが話題ですね。近藤さんのスピーディーな演出が倉持さんの脚本にぴったり&しっくり!泣けちゃうシーンもあって、かな~り面白かったです。松嶋さんを盛りたてる3人の男優の演技が緻密で小気味よく、1時間30分強のぎゅっと凝縮されたお芝居でした。
東京公演は7/1(金)で終了。残り3ステージです。当日券については劇場(TEL 03-3797-5678)にお問い合わせください。
暗い舞台で緊張感のある対話が静かに始りました。てっきりサスペンスものかと思ったら、身近な知り合い同士の間のコミュニケーションがテーマになった、けっこうほんわかしたお話で驚きました。
やっぱり倉持さんの脚本は見逃せないなーと思います。ペンギンプルペイルパイルズ2月公演『機械』では「自分が探しているもの・目指すものは、自分の近く(中)にある」ということが表されていましたが、今作では「遠慮したり先入観を持ったまま腫れ物に触るように付き合っていては、いつまでたっても本当に心を伝え合うことが出来ない。いっそ勇気を出して本音を言ってみたら。相手が壊れてしまうかもしれないし、そのせいで自分も壊れるかもしれない。だけど、ぶつかってみて、壊れてみて、そこから何かが始るだろう」というメッセージを受け取りました。
大人同士のお付き合いって浅く広いものになりがちです。波風が立たないように気を使って本音を隠したり、むりやり穏やかに振舞ったりするために、かえって疑心暗鬼になったり、不必要な嘘をついたりして、予定外のトラブルが起こってしまったりします(自省もこめて告白。職場で特に起こりやすいですよね)。
4人の登場人物のように、格好悪くても本気でぶつかっていく対話スタイルを実践しなきゃと思いました。ただし、そのベースには「愛」があることが必須です。それが『礎』になるんじゃないかなと思います。
≪あらすじ≫
ちょっとわがままな女優の栗子(松嶋尚美)は、大人しい性格の大学教授の中森(酒井敏也)と結婚している。栗子のマネージャーの目黒(近藤芳正)は栗子にはヘコヘコしているが、金持ちの後輩・本郷(山西惇)に対しては先輩面をして威張っている。目黒はどうしても本郷に頼みたいことがあるのだが、本郷の腰が低すぎてなかなか聞き出せない。
ある日、中森は栗子に重大なことを打ち明けて・・・。
舞台全体を客席が囲む、円形劇場ならではの使い方でした(大阪公演は円形じゃないようです)。正方形のステージの中央に黒くて頑丈そうな石の台が置いてあります。栗子と中森の家のリビング・テーブルになったり、本郷が大切にしている古代の銅像(?)が置いてあった台座になったり、男3人の秘密スポットの遺跡(?)になったりします。
イスや靴、カバンなどの小道具はステージの脇に作られた蓋つきの箱にしまい、役者が舞台にいるまま照明の変化で場面転換します。これがスピーディーで視覚的にも面白く、ずーっと作品世界の浸かっていることが出来ました。
栗子と中森、中森と目黒、目黒と本郷、本郷と栗子・・・というように、登場人物が自分以外の3人と1対1で対話するシーンが全てのペアについてありました。脚本にある笑いにも演技で見せる笑いにも大満足。
秘密のUFO出現スポットに4人が集まって、全員が片足で立ってUFOを見つめるシーンには笑いながらじーんと来ました。本郷が持っている台座に4つの足(?)が乗っていた形跡があることにつながっているのですが、まさかこんなにメッセージが込められた感動的なシーンになるとは思いませんでした。
松嶋さんは声がかすれていて(もともと?)聞こえづらいセリフも少しありましたが、演技の切り替えや動きもてきぱきしていて、しかも美人なので、紅一点の重要な役割を十分に果たす魅力的な方でした。
周りの男性陣は皆さん息を呑むほど演技が上手い!近藤さん、酒井さん、山西さん全員のファンになりました。演技合戦を満喫。
日本語ヴォーカルの曲が2曲使われていました。HUMBERT HUMBERTというアーティスト(男女アコースティック・デュオ)の「11のみじかい話」というアルバムからの2曲で、優しい音色と歌声が心に沁みました。CDがロビーで販売されています。
≪東京、大阪≫
作:倉持裕 演出:近藤芳正
出演:松嶋尚美(オセロ) 酒井敏也 山西惇 近藤芳正
美術:松岡泉 照明:笠原俊幸 音響:鹿野英之 衣裳:花谷律子 演出助手:西祐子 舞台監督:村岡晋 宣伝美術:タカハシデザイン室 宣伝写真:清水博孝 篆刻:宮原康展 制作協力:ユニマテ 制作:TSP 製作:劇団ダンダンブエノ
劇団:http://www.dandanbueno.com/
公開舞台稽古(シアターガイド):http://www.theaterguide.co.jp/pressnews/2005/06/23.html
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2005年06月27日
新国立劇場演劇『うら騒ぎ/ノイゼズ・オフ』06/27-07/14新国立劇場 小劇場
イギリスの脚本家マイケル・フレインの爆笑バックステージものです。演出は白井晃さん。なんと演出家役として出演もされます。
予想をはるかに上回る面白さでした!いや~メルマガ号外まであと一歩っ。これは体験しなきゃ損ですよ!
「一度幕を開けた限り、舞台は続行されなければならない(ショウ・マスト・ゴー・オン)」の世界でのドタバタは、観てる方もかなりスリリング。これはもう笑うしかないと腹をくくって観に行ってください。「こんなことが実際に起こったら、私はたぶん激怒しちゃう・・・」とか思ってると楽しめません(笑)。
【ちょっぴり情報】
途中休憩が1度(15分)ありますが、すぐさまお席を立たず、どうぞ慎重に。そしてお早めにお席にお戻りください♪
≪あらすじ≫
『Nothing on(ナッシング・オン)』という芝居を上演するある一座。初日は明日だというのに、台本が遅れたため、俳優は段取りを覚えられずに四苦八苦。しかもスタッフは連日の徹夜で意識も朦朧。稽古は遅々として進まない。真夜中を過ぎて、演出家の我慢も限界に。それでも一座は何とか初日の幕を開けるべく、懸命に稽古を続けるのだった。
(~Stage Note 2005/6/7号より引用~ ※Stage Noteは新国立劇場が発行している無料パンフレットです。)
準備不足から当然起こるトラブルの上に、カンパニー内での恋愛関係のいざこざや、俳優たちのわがまま放題な行動も加わって、事態はどんどん悪化していきます。
白井「模型かなんかつくって人間の出入りを考えたんじゃないかと思うぐらいにウラオモテのことが、タイミングまで考えて書かれていますね。(笑)」(※公演プログラムの白井晃さんと栗山民也さんの対談から引用)というように、ものすごく細かいところまで計算された脚本です。脚本どおりやることも難しいと思うのですが、今作品では脚本を超えたところの演出ものびのび、生き生きしていて、もー楽しくって楽しくって仕方なかったです(特に第1幕)。
ここからネタバレします。
榊原郁恵さんが主演された2002年の『ノイズ・オフ』@ル・テアトル銀座は、あまり面白くなかったんです。いわゆる翻訳もの(洋物)芝居になっちゃってたので。だから正直なところ今回もあまり期待していなかったんですよね。だけど幕が開いた途端、舞台上にいる俳優を「沢田さん」「今井くん」と演出家(白井晃)がマイクを通して呼ぶのが聞こえて・・・そうか!舞台を日本にしたんだ!!超ウキウキですよっもうっ!
第1幕で登場人物の紹介をしながら劇中劇の全容を見せて、第2幕、第3幕でその崩壊が描かれるのですが、第2幕で描かれるのは初日から約一ヵ月後。一ヶ所目の旅公演の地で、劇場は九州の“北九州ゲイジュツ館”(笑)。そして第3幕で描かれる千秋楽の劇場は“新潟リューとピア”です♪
白井さんと井川遥さんが恋人同士で、白井さんは舞台監督助手の谷村実紀さんともデキてるっていうのが生々しくって、嘘だとわかっていてもちょっとドキドキします。沢田亜矢子さんの「私もいろいろあったから・・・」というセリフとかも(笑)。老齢の大御所俳優役として森塚敏さんが出てるのもリアル。森塚さんは何をやっても面白かったです。
第1幕が終わった時は、「これはメルマガ号外が出せる!」って確信していたんですけどね。第3幕の終わり方がどうも寂しかった。
色んな行き違いと勘違いの結果、舞台監督の大林洋平さんも演出家の白井さんも、泥棒役(本来は森塚さんの役)になって舞台上に出てきてしまいます。泥棒が3人も並んじゃって全く収集がつかなくなり、とうとう山崎美貴さんが白井さんに助けを求めます。そこから普通のお芝居になっちゃったんですよね。私が「ナッシング・オン」の観客ではなく、「うら騒ぎ」の観客になってしまったんです。もともとの脚本がどうなっているのかは知りませんが、最後の最後に世界がしょぼんとしぼんでしまったように感じました。
井川遥さんの演技に一番素直に笑わせてもらいました。井川さんはテレビのアイドルで舞台経験が少ないという役柄なので、アドリブに対応できない様子が可愛いらしいです。今井朋彦さんが必死で機転を利かせてトラブルを処理しようとしても、脚本のままのセリフを言い放つことしかできず、事態は好転しないどころかもっと泥沼にはまっていきます(笑)。一生懸命な演技だからこそ笑えるのが嬉しい。
客席に置いてある劇中劇のリーフレットの内容が面白すぎて、客席で肩を震わせながら読みました。「本リーフレットの内容はフィクションであり、ほとんど事実と異なる内容となっております。正しいプロフィール等は劇場ロビーで販売の公演プログラムをご参照ください。」とのこと(笑)。
それ以外にも細かいサービス(演出)がたくさんあって、劇場にいることを最大限に楽しませていただきました。白井さん、ありがとう!
シリーズ「笑い」④
出演=沢田亜矢子/井川遥/谷村実紀/山崎美貴/ 今井朋彦/羽場裕一/大林洋平/白井晃/森塚敏
作=マイケル・フレイン 翻訳=小田島恒志 演出=白井晃 美術=松井るみ 照明=高見和義 音響=井上正弘 衣裳=前田文子 ヘアメイク=佐藤裕子 演出助手=豊田めぐみ 舞台監督=矢野森一
A席5,250円 B席3,150円 Z席=1,500円 当日学生券=50%割引
劇場内:http://www.nntt.jac.go.jp/season/s268/s268.html
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2005年06月26日
KERA・MAP #004『ヤング・マーブル・ジャイアンツ』06/25-07/03吉祥寺シアター
KERA・MAP第4段には700人から選ばれた35人が出演。吉祥寺シアターのこけら落とし公演の第2作目です。
休憩なしの2時間45分でしたが、退屈せず楽しく最後まで拝見しました。やっぱり35人って大人数ですね(笑)。
全員に役とセリフを与えてそれぞれに少しでも見せ場を作っているため、この長時間になるのだと思いますが、嫌な気持ちには全くなりませんでした。別になくてもいいシーンもありましたが(笑)、脱線してもちゃんとどこかに収まる(または収まらないなりの結末がある)脚本で、大人数だからこそ見せ場になる演出も多々あり、感心しました。
吉祥寺シアターは2階、3階部分にキャットウォークがあり、それを使っていたのも楽しかったです。
配布された豪華パンフレットに“20代の若者が集まった企画”ということが強調されていますが、過酷なオーディションを勝ち残った方々ばかりですし、色んな劇場でよく観かける役者さんが多かったので、全体的に若い人が多いとは思わなかったなー。若さならではの熱さとかほとばしりも特になかったし。そういう意味ではおとなしすぎた感もあります。
700人のオーディションをするだけでも相当な労力だと思いますし、KERA・MAP #003の『砂の上の植物群』も終わったばかりです。ケラリーノ・サンドロヴィッチさんが激務の中、自らこんな企画を立ち上げて若者と一緒に創作して、ちゃんと商品にしてくれたのを見せ付けられ、帰り道は私、かなりの反省モードに入っちゃいました。もっと頑張らなきゃって。
ここからネタバレします。
中心になるのは消崎由香(宗清万里子)と健太郎(野部友視)の姉弟。交通事故で両親を亡くしたので二人暮しをしている。由香は前の恋人とのいざこざで自分で自分の左目をフォークでえぐり取ってしまった。今は職場の上司と不倫をしており、性格的にかなり問題があるOLだ。健太郎は14歳の中学生で、クラスメイトを脅して金を巻き上げる不良。リストカットをするのが癖になっており、自殺未遂で入院するのも回を重ねている。
健太郎の学校、入院先の病院、由香の職場などを舞台に、二人を取り巻く人々との不思議ワールドが続々と生まれていく。
オープニングと途中に挿入されたダンスは見ごたえがありました。特にオープニングは徐々に増えていくダンサーに圧倒されて、全員が舞台上に出てきた時は宝塚のラインダンスを最前列で観ている気分でした(笑)。振付(金崎敬江)は日常の動作やちょっとコミカルなポーズなどの組み合わせなど、ベターポーヅ作品で観られるダンスにも似ていました。違う振付で踊っている数個のチームが重なり合ったり、すれ違っていくのが見事です。
舞台の面側で演技が続けられる中、薄いスクリーンの向こうの舞台奥で数人がダンスするシーンでは、スクリーンに映し出される動画や文字映像とも合わせられ、空間全体を使ったダイナミックな演出を観られました。最後に3階のキャットウォークに立った由香がセリフ(「気づいたら死んでいる」だったかな?)をつぶやいて、暗転・・・かっこ良かったです。
結局すべてが由香の作り出した架空のお話だったというのは安易といえば安易ですが、どこまでが劇中の事実なのか空想なのかがわかりづらくなっているのが面白いです。ラストに無数の由香と健太郎が現れて、劇場から現実(建物の外)へと去っていくのを眺めながら、ちょっとブラックで恐ろしかったけど、楽しい夢を見させてもらったなぁと思いました。
健太郎をだまして金をむしりとる美少女転校生、夏川香江役の初音映莉子さんが目を引きました。ぶりっ子ぶりが独特でした。
あと、全裸になった人いっぱいいましたね(笑)。女の子まで脱いだのには驚きました。
KERA・MAP連続公演2 吉祥寺シアターオープニングステージ第二弾
出演=天野史朗、荒木秀行、荒巻信紀、井澤正人、いせゆみこ、市川訓睦、伊藤修子、猪岐英人、今井あかね、井本洋平、岩崎正寛、植木夏十、岡田昌也、緒川桐子、金崎敬江、眼鏡太郎、小林由梨、駒木根隆介、小宮山実花、近藤智行、主浜はるみ、鈴木里実、鈴木菜穂子、関絵里子、永田杏奈、音室亜冊弓、野部友視、初音映莉子、林雄一郎、三嶋義信、皆戸麻衣、宮本彩香、宗清万里子、横塚進之介、吉田真琴(五十音順)
作・演出=ケラリーノ・サンドロヴィッチ 舞台美術=福澤諭志+至福団 舞台美術=中根聡子 照明=関口裕二(balance,inc DESIGN) 音響=水越佳一(モックサウンド) 映像=上田大樹 冨田中理(iNSTANT WiFE) 衣裳=渡辺まり ヘアメイク=武井優子 振付=金崎敬江 振付助手=香川亮(air:man) 演出助手=相田剛志 端由紀子 宣伝美術=草野リカ(alon.) 制作助手=市川美紀 土井さや佳 寺地友子 制作=花澤理恵 主催=シリーウォーク (財)武蔵野文化事業団
前売り¥3,900(全席指定) 当日¥5,900(共に豪華パンフレット付き)
★完売しています。追加公演決定→6/30(木)14:00開演 前売3900円 当日5900円
シリーウォーク内:http://www.sillywalk.com/nylon/part-time/0505_8.html#kera2
(財)武蔵野文化事業団:http://www.musashino-culture.or.jp/theatre/
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シャウビューネ劇場 来日公演『火の顔』06/24-26世田谷パブリックシアター
『ノラ』に引き続きシャウビューネ劇場の公演です。父、母、姉、弟そして姉の恋人が登場する5人芝居でした。ある家族のお話。残念ながらポストパフォーマストークには伺えず。
ドイツでも日本と同じような事件、というか、家族があるんですね。
登場人物の役割や一人一人の気持ちについて言葉で説明してくれるし、ストーリーを順番に追っていくわかりやすい作品だったため、『ノラ』の時とは違って、演出や俳優、作品の空気感やビジュアル面よりも、脚本に書かれた家族の姿について考えがめぐりました。
陰鬱だし、夢なんかないし、率直に言って不快なお話です。それにどこかで聞いた事がある事件、想像したことが有る感情が多いので、引き込まれることはありませんでした。だからストーリーやセリフに主に集中して観劇することになり、ドイツでもこんな家族が、こんな事件があるんだなと思うと、私達が今生きている世界はオンタイムにつながっていて、同じようなことに悩んで苦しんでいるんだと感じました。
ここからネタバレします(公演は終了しています)。
エンジニアの父親に専業主婦の母親。思春期を迎えたあまり年の離れていない姉と弟。姉と弟は近親相姦の関係で、親子間のコミュニケーションは絶望的に断絶しています。
父親は家では新聞ばかり読んでいて家族のことは無視。母親は子供達を溺愛しているつもりだけれど、何か事件があったらいつも他人のせいにします。姉は恋人を作って改めてセックスを初体験するけれど、それも自分の人生を変えるための手段で、愛のためではありません。弟は爆弾を作って学校で爆発させ、顔中大やけどの重傷を負い、学校も退学になります。
子供たちはますます両親を無視する方向へ、親達はそんな子供達に恐怖を覚え、ますます彼等から心を遠ざけていきます。
上下(かみしも)に細長い八百屋舞台で、勾配はかなり急に作られています。舞台上に家具が置かれているだけのシンプルな空間で、下手はテーブルとイスが4脚ある居間、中央にはダブルベッドが一台、上手は洗面所で白い小さなシンクが一つ。舞台面側を2枚のパネルが移動してステージを隠し、場面転換します。その際、ビルの壁などの画像がプロジェクターでパネルおよび舞台全体に映し出されます。
上下に役者が移動するだけで時間が経っていたり、部屋が変わっている演出がスピーディーでかっこ良かったです。音楽は『ノラ』同様、大音量でロックがかかりました。姉と恋人の初めてのセックスシーンでたしかそういう音楽がずーっとかかってたと思います。大切な愛の営みであるはずのセックスが、ただの刺激や流行、好奇心を成就させるだけのものに成り下がっていることが伝わってきました。
中学生の頃に読んだ大友克洋の漫画にあったんですよね。一人のおばあさんがある小学生男児と知り合うんですが、その男児はベッドルームで寝ていた両親を撲殺して、その死体を放置したまま何事もなかったように暮らしているんです。2人がお別れする時、おばあさんが「あの子のことを結局なにも知ることができなかった」とつぶやきます。男児の家では死体が腐って腐乱臭が充満しており、おばあさんとさよならした男児は、動かなくなった両親に「ねえ、起きて」と話しかけつつ、嘔吐する。たしかそんなラストシーンでした。
もう10年以上前(もしかすると20年以上前)の漫画です。ドイツの20代の作家が同じような結末の作品を書いたと思うと、ドイツと日本のように、資本主義やそれに基づく合理主義が行き届いている国に住む人たちに、共通に起こっている現象なんじゃないかなって思いました。さらに大それたことを申しますと、道徳(モラル)がないことがこの不幸の原因なんじゃないかなって、私は思います。
姉の恋人役の金髪白人男性が、セックスシーンを客いじりもしつつコミカルに見せてくれたり、全裸になっておちんちんいじりまくったり(笑)、けっこう笑えました。なんか全裸になるお芝居が多くって、最近。すっかり慣れちゃったよ(苦笑)。あんまり好きじゃないんだけど。
"Feuergesicht"
出演=父親:ヴォルフ・アニオル/母親:グンディ・エラート/オルガ:ユーディト・エンゲル/クルト:ローベルト・バイアー/パウル=マルク・ヴァシュケ
作=マリウス・フォン・マイエンブルク 演出=トーマス・オスターマイアー 美術=ルーフス・ディドヴィシュス 衣裳=アルムート・エッピンガー 音楽=イェルク・ゴラシュ ドラマターグ=ティルマン・ラープケ
両公演ともにA席5,000円/B席3,000円/ジャーマン(G)シート(字幕の見えづらい席)4,500円/学生A席4,000円各種割引あり
劇場内:http://www.setagaya-ac.or.jp/sept/jouhou/05-2-4-4.html
公式サイト:http://www.setagaya-ac.or.jp/sept/jouhou/schaubuehne/
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世田谷パブリックシアター『エレファント・バニッシュ』05/25-06/08世田谷パブリックシアター
世田谷パブリックシアターの今年の目玉作品のうちの一つ。とりあげる演目が次々と話題を呼ぶ、すごい劇場ですね。
イギリスの人気劇団コンプリシテの芸術監督サイモン・マクバーニーさんの新作。しかも村上春樹の小説をモチーフに、というからにはチケットも売り切れるわけです。マクバーニーさんは日本が好きだそうで、三島由紀夫や谷崎潤一郎なども読んでいらっしゃいます。
最新の映像技術を駆使したスタイリッシュな舞台パフォーマンスでした。舞台奥の壁全体に映像を映し出し、舞台上ではドアや窓、TVにも映像が鮮明に映し出されます。机、冷蔵庫、TV、ふすま等のあらゆる装置と役者さんがシステマチックに動き、舞台奥の映像とあいまって、舞台全体が動くオブジェのようでした。映像と人のバランスが面白かったです。それだけで退屈しませんでした。
かなり多用されていたのが可動式の白いドア。動くと同時に映像もちゃんとついてくるんです。ドア自体にプロジェクターがくっ付いているみたい。舞台奥の壁全面にゾウの体が映写されていた時、その、ちょうどゾウの目の部分にゾウの目が写っているTVが重なったのには感心しました。舞台上でビデオカメラをまわして撮影した映像を、そのまま壁面の映していると思ったら事前に録画されたものが映っていたりしました。ある種のイリュージョンですよね。
あれ、全部計算してるんだろうな~って思うと気が遠くなります。そして本番のオペレーションがすごいと思いました。一体何人でやっているんだろう・・・・。やっぱり装置の動きは全てコンピュータ制御らしいです。バグが出まくって開演1時間押しの日があったとか?あなおそろしや。私が観た回では、あからさまなミスは1箇所だけだったので運が良かったのかも。
エピソードは3つ。村上春樹さんの文章ほぼそのままに表現されていました。私は、夫婦がマクドナルドを強盗するエピソードが一番好きでした。海の映像が舞台全面に映し出され、まるで水の底にいるような心地。上からロープで吊られた堺雅人さんが、空中(水中?)を自由自在に浮かびながら冷蔵庫の上にぽ~んと飛び上がったり、敷居の上に乗ったりするのは見事。あれ、上手と下手で手動でロープをひっぱっているんですよね。その様子を敢えて見せているのがデジタルとアナログの好対照でした。面白い。
世田谷パブリックシアターって、近未来的な装置がとってもよく似合いますよね。『ロベルト・ズッコ』の金属質な感じが良かったのを思い出しました。
吹越満さん。かっこいいおじさんでした。言葉がはっきりしていて聞きやすかったです。
高泉淳子さん。スタイルいいな~♪子供っぽい声と対照的。
堺雅人さん。気持ちよく体に入ってくる、凛とした声。セリフがさわやかなそよ風のように心に届きました。ぐるぐる宙で回る動きもただ回るだけではなく美しかった。運動神経抜群。
宮本裕子さん。もっと目立って欲しかったな~・・・。立ち姿が美しかった。
物販にものすごい人だかりでした。客層が演劇関係だけじゃないことが顕著ですよね。アイドル興行以外で、パンフや本の物販に人が群がるのを久し振りに見ました。私も蜷川さんの対談集『反逆とクリエイション』を買ってしまいました。
世田谷パブリックシアター : http://www.setagaya-ac.or.jp/sept/
2005年06月24日
新国立劇場オペラ『蝶々夫人』06/24-07/09新国立劇場 オペラ劇場
日本を舞台にしたプッチーニの超有名なオペラです。あらすじはこちら。『夕鶴』に続いて、栗山民也さんが新国立劇場で2度目のオペラ演出。
シンプルな舞台装置に照明が映えます。狂気にまで高まった蝶々さんの一途な愛と悲しみに、息をつくことができないほど。舞台写真はこちら。
島次郎さんの美術に勝柴次朗さんの照明、そして栗山民也さんの演出ですからスタッフは超豪華。そして衣裳は前田文子さんです。日本人が着る着物はやっぱり美しいです。アンサンブルの女性たちのステージングが見事。
日本人による演出で、日本人出演者だからこそ表現することができた日本の姿がありました。また、物語の大切なポイントを見逃して(聞き逃して)いたことにも気づきました。アメリカ人に嫁いだ蝶々さんは自分から進んで日本神道から改宗してキリスト教信者になったため、親戚から縁を切られたんですね。
蝶々夫人役の大村博美さん。ずっと「狂乱の場」みたいでした(歌の難易度の意味ではなく)。まさに蝶々さんの年齢(15歳)にふさわしい、可愛らしくて元気な佇まい。2幕からは・・・
※途中で執筆が止まっています。すみません。舞台美術および照明の素晴らしさについて言及するつもりが、力尽きてしまったようです(2007/07/08加筆)。
さて、これ以降は物足りなかったところ(ブーイング含む)です。
なんと、ピンカートン役のヒュー・スミスさんの声が私の席まで届いてこなかったんです。オペラの準主役の声がオケの音にかき消されて聞こえないなんて・・・。演技もいまいちで、心がこもってないんですよね。
第2幕になってからちょっとは頑張られたみたいですけど、調子が悪かったのかやる気がなかったのか・・・。とにかくオペラの質は下がっていました。カーテンコールでも彼にはブラボーの声がかかりませんでした。代役いなかったのかなぁ。
オケの質についても、バラバラで合ってないような気がしました。蝶々さんが一晩中立ったままピンカートンを待っていたシーンでは、幕が下りていてオケの音だけが聴こえるので、オペラよりもコンサートのようになります。大きなラッパ達の音が特に耳につきました。
第1幕と第2幕での装置の変化が、舞台上に散らばっていた枯葉が桜の花びらに変わるだけだったのは残念。装置が動く転換が、最後の最後に部屋が少し奥に引き込まれるだけっていうのも物足りないです。演出全体としては高い美意識が感じられるものでしたので、敢えてそれを際立たせる意図があったのかもしれませんが。あ、歌とオケの質が高かったらそういうものだと受け入れられたかも。
Giacomo Puccini : Madama Butterfly 【全2幕】<イタリア語上演>
出演=蝶々夫人:大村博美/ピンカートン:ヒュー・スミス/シャープレス:クラウディオ・オテッリ/スズキ:中杉知子/ゴロー:大野光彦/ボンゾ:志村文彦/神官:大森一英/ヤマドリ:工藤博/ケート:前田祐佳 /書記:柴田啓介 ほか
作曲=ジャコモ・プッチーニ 台本=ルイージ・イッリカ/ジュゼッペ・ジャコーザ 指揮=レナート・パルンボ 演出=栗山民也 美術=島次郎 衣裳=前田文子 照明=勝柴次朗 舞台監督=大澤裕 合唱指揮=三澤洋史 合唱=新国立劇場合唱団 管弦楽=東京フィルハーモニー交響楽団
チケット:21,000円 18,900円 15,750円 13,650円 10,500円 7,350円 6,300円 3,150円 1,500円
新国立劇場内:http://www.nntt.jac.go.jp/season/s263/s263.html
舞台写真:http://www.nntt.jac.go.jp/frecord/opera/2004%7E2005/butterfly/butterfly.html
2005年06月23日
ホリプロ/テレビ東京『愛と幻想のシルフィード』06/23-07/10東京芸術劇場 中ホール
マシュー・ボーン振付・演出の新作バレエです。『くるみ割り人形』『白鳥の湖』『PLAY WITHOUT WORDS』と拝見して、私はこれが4作目(『THE CAR MAN』は観ていません)。
目玉のウィル・ケンプ(Will Kemp)さんの出演日でした。ちょっと嬉しいっ。ハリウッド映画『ヴァン・ヘルシング』に出演されていた俳優さんですが、もともとバレエ・ダンサーなんですね。初日ということでマシュー・ボーンさんや出演者の方が数名、ロビーでファンにサインをしていました。華やかで良かったわ~。
舞台は現代のスコットランド。貧しい溶接工のジェームズ(Will Kemp)は失業中でドラッグに溺れる毎日。ある日クラブのトイレでブッ飛んでいると、白い妖精(Kerry Biggin)が姿を現した。仲間と共同住宅に戻ってからも妖精の幻覚は止まらない。婚約者(Mikah Smillie)との結婚の宴でもやはり妖精は現れ、とうとうジェームズは仲間の手を振り払って妖精を追って森へと入り込んでいく。

開演前、ファンにサインをするマシュー・ボーンさん。後方にはダンサーも。
カラフルで遊び心のある装置や衣裳、そしてセリフのように多弁な振付を楽しませていただきました。でもストーリーがちょっと軽すぎたかな・・・そんなにドキドキしなかったし、泣けてもこなかったのは残念。
『くるみ割り人形』はスウィーツ達の夢の世界、『白鳥の湖』では豪華絢爛なセレブの世界、『PLAY WITHOUT WORDS』は1960年代の超おしゃれなカップルの世界でしたから、今回はちょっとその方向からははずれていました。私は勝手にゴージャス&ビューティフルな世界を期待していたのかもしれません。チケット代(S席13,000円 A席10,000円 B席 5,000円)も高いですし・・・。そういう意味ではちょっとがっかりでした。
主役のウィル・ケンプさんは大柄で華のある方でした。ただ、演技はヴィヴィッドですごく魅力的なんですが、肝心の踊りがちょっとドタドタとしていて、私はあまり惹かれませんでした。今回は役柄が役柄なので、そういう演出かもしれませんが。
オーチャードホールで『白鳥の湖』を観たばかりだからか、東京芸術劇場 中ホールの舞台は狭く感じました。ダンサーが近く、大きく見えるという意味では良いかもしれませんが、私には窮屈そうに見えて、ぶつからないかしら、と無駄にハラハラしたりもしました。
でもカーテンコールは大きな拍手でしたよ。ブラボーの声も多数。スタンディングしている方もいらっしゃいました。
ここからネタバレします。
いきなり舞台が薄汚いトイレで、ドラッグに溺れてどんちゃん騒いでいるところから始ります。これだからマシュー・ボーン演出は面白いですね(笑)。ジェームズとその仲間達の中に白い妖精が入り込んできて、ジェームズにしかその妖精の姿が見えないのがまた楽しいです。妖精を追って家の窓から飛び降りるのはわくわくしました。
第二幕はジェームズが森に入っていくところから。一幕とは打って変わって、白い妖精ばかりの中に人間のジェームズが一人居るという世界になります。ここからはちょっと退屈だったかな。
衣裳や美術にはスコットランドが舞台ということで、タータンチェックが多用されています。それも赤と緑が基調なので派手で可愛い。白い妖精が出てくるのが良いコントラストになります。ただ、その妖精の白い衣裳は黒くうす汚れているんです。メイクも目の周りが黒く塗られていて、足にも汚しが入っています。ジェームズの家に居た時はかっこいいなーと思ったのですが、森の中でいっぱい出てくるとちょっと怖かった(笑)。
さてストーリーですが、妖精の仲間達となんとか仲良くなれたジェームズでしたが、やっぱり自分が森に残るのではなく、恋人の妖精を人間界に連れて行くことにします。そして森から出ようとしたその時に、はさみで彼女の羽をちょん切ってしまうのです。これにはびっくり。背中や手が血まみれになったまま妖精は踊り続け、息絶えます。仲間を殺された妖精たちは、皆怒ってジェームズを囲んで・・・殺した、のかな?最後にジェームズが背中に羽を付けて飛んでくるので、妖精になったのかもしれませんが。
ストーリーよりも振付などのヴィジュアル面でもっと楽しめばよかったのだと思いますが、私は今回はちょっと入り込めなかったです。
ダンサーで良かったのは妖精役のKerry Bigginさんと、トランプ占いをする女役のMireille Noi Tolmerさん。あ、二人とも妖精役を踊る方なんですね。
"Matthew Bourne's Highland Fling"
演出・振付=マシュー・ボーン 美術=レズ・ブラザーストン 照明=ポール・コンスタブル 音楽=ヘルマン・セヴェリン・ローヴェンスキョルド
出演=ニュー・アドベンチャーズ(Will Kemp/Kerry biggin/Mikah Smillie/James Leece/Shelby Williams/Lee smikle/Mireille Noi Tolmer/Matt Flint/Rose Carpenter/Gemma Payne/Hannah Vassallo/Kerry Biggin)
S席13,000円 A席10,000円 B席 5,000円
ホリプロオンラインチケット:http://www.horipro.co.jp/ticket/kouen.cgi?Detail=52
公式:http://www.LA-SYLPHIDE.INFO/
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ベルリナー・アンサンブル『アルトゥロ・ウイの興隆』06/22-30新国立劇場 中劇場
ベルトルト・ブレヒトが設立したドイツの劇場(劇団)ベルリナー・アンサンブルの来日公演です。脚本はブレヒト、演出はハイナー・ミュラーで、初演は1995年。ミュラーの遺作となった作品です。
主役のウイを演じるマルティン・ヴトケさんがとにかくスゴイということで楽しみにしていたのですが、確かにヴトケさんは強烈(笑)! 休憩20分を含む3時間という長い上演時間でしたが、演出も面白かったので最後まで緊張感を持って拝見できました。派手なところは派手ですが、全体をとおして非常にクール(冷静)な大人向けの作品でした。
「ベルリン演劇週間」プロジェクトという企画が実施中で、シャウビューネ劇場『ノラ』・『火の顔』と、『アルトゥロ・・・』のチケットを買うと色んな特典があります。先日の『ノラ』の会場では世田谷パブリックシアターが発行する劇場雑誌SPTをプレゼントしていただきました。『アルトゥロ・・・』では公演パンフレットをもらえるみたいです。他にも学生割引など色々あるので、ぜひ利用してください。
ありがたいことにドイツの有名な劇場の作品を3つ(フォルクスビューネ『終着駅アメリカ』、シャウビューネ『ノラ』、ベルリナー・アンサンブル『アルトゥロ・・・』)拝見することができました。3つとも完成度が高く、そして刺激的で、自分が知らない世界を教えてくれた貴重な体験でした。ドイツに行かずして劇場をハシゴしたってことですから、ものすごく得した気持ちです。“日本におけるドイツ年”に感謝です。
さてさて内容ですが、「アドルフ・ヒトラーのパロディ」とはっきり言えるような、とても直接的にヒトラーを描いた作品でした。まず正面入り口から劇場に入るやいなや、ドイツ語をしゃべる男性の声が響いてきます。なんと中劇場のロビー入り口に2mぐらいの高さの台が設営されており、黒ずくめのスーツに黒いハットを被った紳士が演説しているのです。内容はヒトラーの演説と私的遺言(だと思われます)。台のそばに資料が置かれてあったのでわかったのですが、いや~すごい内容でした。ヒトラーって本当に侵略者で独裁者だったんだなって思いました。
1920年代のシカゴを舞台にした物語。小さなギャング団のボスのアルトゥロ・ウイ(マルティン・ヴトケ)をヒトラーに見立て、彼が地べたからのし上がっていって、上り詰めるまでが主な流れです。詳しいあらすじはこちら。
『ノラ』を観た時も感じましたが、俳優の存在が日本の演劇とは違うなーと思いました。ウイを演じるマルティン・ヴトケさんにしても、ヴトケさんご自身ではなくウイが舞台に存在し、ウイが面白いから笑えるんです。歌舞伎役者さんが花道で見得を切って「よろず屋!」とか声がかかるような空気じゃないんですよね。俳優に注目するのではなく、劇場に入った時から作品と出会い、味わい、対話するという感じ。別にどちらが良い悪いではないんです。ただ、世界が違うのを感じました。
ここからネタバレします。
最後の幕でブレヒトの異化作用(舞台上の英雄たちに観客が感情移入しないようにする方法。作中にストーリーを逸脱して登場人物を客観視する脚本・演出が表れる。)が出てきた時に、やっと「あ、そういえばブレヒトの作品だった」と思い出しました。『三文オペラ』みたいな猥雑でにぎにぎしい雰囲気はなかったです。全体を通していたって冷静で、登場人物でさえ自分を客観視している空気もありました。だからどんなキワドイことをやっても正視できるんですよね。女性も男性も局部を正面から見せる全裸のシーンがありましたが、全然平気でした。自分も「今のはどういう意味なんだろう?」と考えていましたね。「あらら、なんてスタイルいいの?!」とじっくり眺めもしましたけど(笑)。
舞台美術は、基本的に白い鉄骨のような柱が舞台の上下(かみしも)に数本ずつ並んでいるだけのシンプルなものです。ステージ中央には人が3人ぐらい乗れる台が設置してあり、天井からぶら下がっている赤色の四角い枠が、ちょうどその台の上に乗る高さまで降りてくるので、赤い額縁の中に人が並んでいるように見えます(舞台写真はこちら)。
その台よりも舞台面がわに四角い穴が空いており、金網で蓋をされています。ウイたちギャングはそこから出入りするのですが、地下鉄が通る地下道として表現されていました。ウイが登場した時も成り上がってからも、しばしば列車の走行音とともに走り去る時の光が下から洩れて、彼は今も取るに足らないチンピラに変わりはないということが表されていました。
ウイとその一味が、ウイを中傷する新聞記事を書いている男を暗殺するシーンがかっこよかったです。花屋(殺し屋)と一緒にその男が舞台奥に数歩すすんだところで、うす黒い紗幕が降りてきます。幕は客席と男との間に降りてくるので、男は幕の向こう側に居ることになり、それが彼が死んだことを意味します。幕が降りてきてすぐに、花屋は上手の袖から舞台面側に歩いてきて、幕の前にいたその男の妻に白い花を渡します。その瞬間から、もう男の葬儀の場面になっているのです。このすばやさが渋い!またその紗幕の中央に、大きく目を見開いた人間の顔がうっすらと描かれているのが怖ろしかったです。
花を受け取った妻はウイに言い寄られて身体を許し、征服されてしまいます。「もう夫はいないんだよ」と言われて妻は堕ちるのですが、純白のドレスを着たその女は、ナチスに乗っ取られたドイツを表しているのかなーと思いました。
音楽は選曲が派手で、歌曲(シューベルトの「魔王」など)がかかったり、ロックがかかったり、すごく主張していました。シーンに合ってるかどうかではなく、歌が“歌役”として舞台に立っているような、そんな存在感でした。大音量の歌曲には聞き惚れましたね、歌声が美しかったです。
★情報★
手塚の一行レビューによると「繰り返しかかっていたロック音楽はPaper Laceの"The Night Chicago Died"という'70sヒット曲」だそうです。森井教授のインターネット講座に視聴サイトが紹介されています。
主役ウイを演じられたマルティン・ヴトケさん。幕が開いたとたん犬だったのは衝撃。それから挙動不審な気持ち悪いチンピラ、ギャング団のボスというように変身していくのですが、それがものすごくスムーズであっという間でした。上演時間は長いんですけどね。終演した時に「そういえばあの人、最初は犬だったよね・・・」と遠い目で思い出しました。
ウイがシェイクスピア俳優から歩き方や演説の方法を教わって、それがヒトラーの原型になったというエピソードがすっごく面白かったです。ヴトケさんの演技も凄かったんですが(笑)。「ミスター・ビーン」のローワン・アトキンソンさんに似てるっ。
≪これから観に行かれる方へ≫
※開演15分前に劇場に着いて、すぐにイヤホンガイド購入(500円+保障料1000円)の列に並びました。けっこう時間がかかるので、早めに来場してGETされることをお薦めします。
※物販ではベルリナー・アンサンブルの過去のパンフレットやTシャツなどが販売されています。中には「Help Yourself(ご自由にお持ち帰りください)」と書かれたもの(折り曲げられた大きなチラシ)もありますのでチェックしてくださいね。
「日本におけるドイツ年2005/2006」企画/新国立劇場海外招待作品Vol.4
作:ベルトルト・ブレヒト 演出:ハイナー・ミュラー
出演:ベルリナー・アンサンブル(ドイツ)
ドイツ語上演/イヤホンガイド [有料] あり [イヤホンガイド翻訳 新野守広]
S-7350円 A-5250円 B-3150円
ぴあ:http://t.pia.co.jp/promo/play/shinkoku_arturoui.jsp
新国立劇場内:http://www.nntt.jac.go.jp/season/s267/s267.html
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2005年06月22日
パルコ/ニッポン放送 『HEDWIG AND THE ANGRY INCH』06/16-25パルコ劇場
三上ヘドウィグ、再臨!
去年のしのぶの観劇ベストテンで最優秀男優だった三上博史さんの『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』の再演です。私は初演と追加公演を観て、これが三度目になります。
去年とは変わったところも少しはありましたが、三上ヘドウィグに会って名曲を聴けて、至福の2時間弱でございました。まだ未見の方、どうかお見逃しなく!今すぐチケットGETしてください!★シアターガイドに舞台写真あり。
作品のあらすじはこちら。もともとはアメリカのオフ・ブロードウェイで大ヒットした舞台作品で、映画にもなっています。去年の『新宿ナイツ』のライブCDが会場で販売中!ネットでも買えます♪
初演と感想はほぼ変わらず、お下劣なセリフ満載の三上ヘドウィグに酔いしれて、“THE ORIGIN OF LOVE(愛の起源)”で泣けちゃって。三上さん、歌がかなり上手くなってらっしゃいました。ラストの“Midnight Radio”の声量は凄かった。歌手としての三上さんのファンになりました。
そしてヘドウィグがトミー・ノーシスとの過去を思い出して暗くなっていくシーンから最後にかけては、やっぱり物足りない気持ちになりました。アンコールで“Angry Inch”とかやってくれたらな~・・・ホントに盛り上がって帰れると思うんですよ。そういう意味で『新宿ナイツ』は最高でした。
ここからネタバレします。概要は初演のレビューをご覧ください。
まず去年との大きな違いはヘドウィグの衣裳。金銀財宝がザクザク袖に引っ付いて、ゴージャスになっています。オープニングの登場で牛の角のような被り物をしていましたが、今回はヴェネツィアの仮面のようなマスク。そして大きなマント。このマントがかっこ良かった!ピンク、緑など数色のはぎれをつなぎあわせてあり、生地がとても薄いからひらひらと舞うんです。終盤でトミー・ノーシスとして“Wicked Little Town”を歌った後、黒いホットパンツ一丁の上からそのマントを羽織って出てきたのですが、ヘドウィグであることが明瞭にわかりましたし、オープニングともつながったのが巧い演出になっていました。
そして大きく変わっていたのがヘアメイク。なんと髪が黒色でした!これはちょっとショック。イメージがかなり変わりました。キュートな女の子像がなくなって、アマゾネスっぽさが激プラスされちゃって。私は初演の方が好きだな。そして三上さんご自身の髪の毛は耳の上あたり一帯を剃られてましたよね。うーんキワモノすぎるような・・・ウィッグとの兼ね合いがあったのかもしれませんけど(初演の時は取れかけたりしてましたし)、メイクも目の上から額までがピンク色に塗られてて怖かった(笑)。
舞台美術はおそらく同じです。下手のヘドウィグの部屋のマネキンに去年の衣裳が着せられていたのがステキ。スライドはところどころ増えたり少し変化したり。イラストは前回同様とても良かったです。
演技については具体的なセリフやアドリブの内容が少し変わったりしていましたが、全体的にかなりこなれていて、ガシっと固まった様子でした。私は初演の時のちょっとそわそわしたような、何が起こるかわからない(トラブルも発生するような)雰囲気が良かったな。まあ3度目なのでしょうがないですが。今回は友達と一緒に観に行って、その人は初見だったので超満足だったようです。
一曲(“The Long Grift”)だけヘドウィグ以外の人がヴォーカルを歌うシーンがあるのですが、私が観た回は友森昭一さん。残念ながら去年の近田潔人さんの方がずっと良かったよぉ。※ギターとドラムがダブルキャストなのです。
もう一度書きますが、アンコール、欲しかったな・・・そう、なかったんです、私が観た回は。まあ客席の様子から考えるとしょうがない気もしますが。Zepp Tokyoではあると思う(願う)ので、ぜひ。
※パンフレットのアーティスト写真はパルコ劇場で撮られたものばかりで、これはパルコ劇場ファンにはお宝もの!物販もかなり売れ行きが良いそうで、Tシャツは気に入ったら買っておかないと売り切れる可能性あり。私は去年と同じく携帯ストラップを購入いたしました♪
ROCK MUSICAL"HEDWIG AND THE ANGRY INCH"
≪東京(パルコ劇場、Zepp Tokyo)、福岡、大阪≫
作:ジョン・キャメロン・ミッチェル 作詞・作曲:スティーヴン・トラスク
翻訳・演出:青井陽治 音楽監督・編曲:横山英規
出演:三上博史 エミ・エレオノーラ(piano,chorus) 横山英規(bass) 中幸一郎・阿部耕作(Wキャスト)(drums) テラシィイ(guitar) 近田潔人・友森昭一(Wキャスト)(guitar)
美術:二村周作 照明:吉川ひろ子 音響:山本浩一 衣裳:伏見京子 ヘアー:赤間賢次郎 メイク:久保田直美 演出助手:槙圭一郎 舞台監督:北条孝/上田光成 プロデューサー:田中希世子(パルコ)/村田篤史(ニッポン放送) 企画協力:ポスターハリス・カンパニー 企画・製作:パルコ/ニッポン放送
パルコ:9,000円(全席指定・税込) Zepp Tokyo:8,000円(イス) 6,000円(立ち見)
ぴあ(インタビュー):http://t.pia.co.jp/play-m/hedwig/hedwig.jsp
ぴあ特設:http://t.pia.co.jp/news/hedwig/hedwig.jsp
イープラス(インタビュー):http://eee.eplus.co.jp/s/hedwig05/
公式:http://www.parco-play.com/web/page/information/hedwig/
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2005年06月21日
野村萬斎さん in SHISEIDO MEN

萬斎さんのポスター
世田谷パブリックシアターからの帰り道、三軒茶屋の駅で萬斎さんのポスターを見かけました。思わずミーハー根性がしゃしゃり出て携帯カメラでパシャリ(笑)。

携帯カメラで撮りましたので、きれいじゃなくてごめんなさい。
SHISEIDO MENっていう新しい化粧品ブランドが立ち上がったんですね。このサイトで7/1(金)に萬斎さんのロングインタビューがアップされるそうです。
萬斎さんが芸術監督をつとめる世田谷パブリックシアターの最寄り駅に、真っ先にポスターが貼ってあるのが素晴らしいですね。
それにしても・・・かっこいいねぇ。面を被ってるのがまたそそるわん。
万作の会はこちら。
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【ポストパフォーマンストーク】シャウビューネ劇場『ノラ~イプセン「人形の家」より』06/20世田谷パブリックシアター
「いったいコレどういう考えで!?」
衝撃的なラストシーンに疑問が爆発しました。
でも、その疑問がすべて解けちゃったポストパフォーマンストークに大満足。溜飲が下がる思いとはこのこと(笑)!
私が必死でメモって覚えている限りをアップします。大意を汲んでいる程度のところもありますので、表現が違ったりするのはご容赦を。完全にネタバレしていますのでご注意ください。
出演者:トーマス・オスターマイアーさん(シャウビューネ劇場芸術監督・今作品の演出家)
司会:松井憲太郎さん(世田谷パブリックシアター プログラム・ディレクター)
通訳:萩原健さん(今作品の字幕翻訳もされています)
司会「まず、原作から大きく変更されているラストシーンについてお聞かせください。」
オスターマイアー「妻が夫を捨てるというのは、1890年代のドイツでは大きなスキャンダルでした。『人形の家』が初演されたコペンハーゲンでは、パーティーなどで人が集まる時に“ノラについて話すのは禁止”とドアに大きく貼られたぐらい。観客にこういう反応(衝撃を受け、それに対して反発するなど何らかの行動を起こすこと)を呼び起こしたいと思うのは、演出家として当然のこと。
『人形の家』には2つの結末がありました。ある時ノラを演じるドイツの女優が「こんなラストは演じたくない」と言ったから、イプセンが他の結末も書いたのです。それは夫も殺さないし、ノラも出て行かないというものでした。その素材を手に取った時、たとえ家から出て行くのでも、家に残るのでも、物足りないと思った。挑発の効果がないのではないかと思った。現実として、ドイツでは今、結婚したカップルの三分の一が5年以内に離婚しています。
120年前にその頃の“現代の女性”を描いた作品として今日まで上演されてきているこの『人形の家』ですが、実際のところ1990年代および21世紀になっても、女性のおかれた状況は変わっていないと思えます。私は決してこのような結末をお薦めするのではなく、当時と同じぐらいの衝撃を与えたかった。昔と今とで円環を閉じる感じで上演してみたかったのです。」
観客(女性)「殺すのを選んだのはなぜ?衝動的とはいえ、突然ノラの考えがそのように変わるには、時間が短すぎなかったか?」
オスターマイヤー「日本の観客がどう感じたかはわからないけれど、ノラとヘルマンとの最後の対話は現代のヨーロッパ人はとてもアンティークだと感じている。“女のために自分の名誉を落とすことなどしない”とヘルマンは言うけれど、そのような男は今はいない。
最後のシーンでは、コミュニケーションが成立していないということを表したかった。ヘルマンが何も理解していなかったから、ノラは彼を殺した。会話の意味および彼女について、もし彼が理解していたなら、おそらくこのような結末ではなかった。絶望があまりに高まったあまりに、衝動的にヘルマンを殺してしまった。」
観客(男性)「お昼間に(←何かイベントがあったようです)“劇的緊張をつくるための装置としての演出”の話をされましたが、たとえばロックミュージックが大きな音で鳴ったり、ノラが突然踊りだしたり、あれは突発的すぎないか。あのヘンなノラを周りがどうして受け入れられるのか、自分には疑問。強引ではないか?自分にはちょっとわざとらしいような匂いが・・・。」
オスターマイヤー「単に芝居がかった効果ではなくて、社会的なひな型を破る瞬間を見せたかった。人の内にめぐる衝動を見せたかった。」
観客(男性)「それだと“日常を見せたい”とおっしゃっていたことに合わないのではないですか?」
オスターマイヤー「登場人物はそれぞれ、自分をある役柄に合わせようとしている。へルマンは頭取になろうとしているし、ノラは頭取の妻になろうとしている。彼等はみんな子供なのです。この芝居ではみんな大人を演じようとしている。子供に操られている大人が住む“人形の家”なのです。まさにベルリンの私達の世代の置かれている状況であり、世界の一片でもある。」
観客(女性)「日本でもそういう状況にあると思う。年取ってから離婚する人も増えている。ノラが夫を撃ち殺して座り込んだシーンでは、空しさが表れていたように思う。昔も今も空しさは変わらない。これからの女性はどうしたらいいのか、トーマス・オスターマイアーさんはどう思いますか?」
司会「ノラの続編になる作品を作られているんですよね?」
オスターマイアー「無言劇ですが。一人の女が一人で家にいる。1時間20分ありますが、ずっと無言で何も話さずに終わります。ご質問についてですが、私のような若い男が答えられることではないと思いますので(笑)、どうぞご自分で考えてください。」
観客(男性)「ドイツと日本の観客の反応についてどんな違いがありますか?」
オスターマイアー「日本については今の段階ではあまりわかっていません。ドイツでは沢山のフィードバックがありました。(←これから皆さんのご意見が伺いたい、という様子)」
観客(女性)「演出家が最初からこの結末にしていたのですか?それとも役者さんと話し合ったのですか?」
オスターマイアー「いい質問だと思います。私はアイデアを提案しました。それで役者が色んなバリエーションを演じてみて、これに決めました。主演女優はヘルマンだけでなく子供たちも殺してしまいたかったと言っていたのですが(笑)、そうなるとその家族を完膚なきまでにつぶして、壊してしまうので、これは控えました。なぜなら“挑発”にしては温容だと思ったからです。
(シャウビューネ劇場では)プレビュー公演が何度もあるのだけれど、最初はヘルマンも生きたまま、ノラが出て行くという結末でやってみました。だけれど何かが足りないと思ったので、何日間か色んな結末をやってみて、これに行き着きました。」
観客(女性)「50年生きてきたけれど、抑圧されたものから憎しみがつのり、爆発して吹き出したというのは納得できる。」
観客(男性)「最後に夫を殺すのは、現代では成立しているかもしれない。けれどもやはり最後にへたり込んで悲しむのはノラ。問題提起は大切だけれど、ノラが罪を犯さず、子供をおいて出て行くということもないような、今作や原作以外の結末は考えられなかったのか?一年前に原作を読んで納得できなかったんだけど・・・」
オスターマイアー「あなたにそのアイデアがありますか?もしあるなら教えてください。もっといい終わり方があれば、明日1ステージありますから、それをやりますよ!(←会場にも笑いが起きる)」
観客(女性)「50年役者をやってきて『人形の家』は何十回見たかわからないぐらい。古いかもしれないけれどイプセンはやっぱりすごいと思った。先日観たマールイ劇場でもチェーホフはやっぱりすごいと思った。
今になって昔の『人形の家』を上演する勇気は素晴らしいと思う。しかしながら女性は昔に比べると一人で生きていけるようにはなっているし、昔とはやはり違う。
イプセンは、父親に愛されて育ってきたノラが人間の本質を目の前にした時の、真実を見せ付けられた時の衝撃を描いていたのだと思う。しかしながら今作品ではその衝撃は感じられなかった。だからやっぱりイプセンは凄い。もっと人間の本質が暴かれた瞬間を描いて欲しかった。終わり方がどうだとか、殺す殺さないというのはあまり重要なことではないと思う。」
オスターマイアー「2つ指摘したいと思います。まず1つ目。ドイツは現在、経済的に非常に困窮しています。大学を出た若いカップルに職がない。だからノラの時代とそれほど変わっていません。もう一度イプセンの時代に回帰している傾向があります。何の思考もせず物に恵まれればいいと考える女性たちが増えています。
2つ目。この演出は、ノラが自ら不自由な状況を選び、進んで、ある役柄に自分を合わせていく様子を描いています。彼女は自分が嘘の中で生きているのを百も承知でやっている。その意味で、真実はこの演出にはないのです。この登場人物の中には真実はありません。
彼等はちょっとすぎた演技をして、ステレオタイプに合わせようとしている。彼等には自分というものがない。自分をある像(イメージ)にあわせようとしている。核がかけている。これだけが真実ではないかと考えます。
お昼にも意見がありましたが、この人物達には魂がない。○○○というような様子には(←すみません、忘れました)、アメリカのポップカルチャーの影響がある。」
司会「最初の方のシーンで子供たちがリビングで遊んでいましたが、そこでも娘にノラのような人形の役割をさせていることに気づきました。あぁこんなところにも表されていたんだな、と感心しました。作品と同様、唐突にこのトークも終了させていただきたいと思います(笑)。ありがとうございました。」
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2005年06月20日
シャウビューネ劇場 来日公演『ノラ~イプセン「人形の家」より』06/17-21世田谷パブリックシアター
ドイツのシャウビューネ劇場の来日公演です。チラシや公式サイトの情報からかなり期待して伺いましたが、その期待を全く裏切らないクオリティーと衝撃でした。
今日はシャウビューネ劇場の芸術監督で今作品の演出家であるトーマス・オスターマイアーさんを迎えてのポストパフォーマンストーク(内容はこちら)があり、観客との率直な意見交換がなされました。おかげであの結末の意図や、この作品が表す今のベルリンを知ることができました。
明日6/21(火)19:00の回で東京公演は千秋楽です(長野の松本で6/30、7/1に計2ステージあり)。かなり面白いハイレベルな問題作です。
レビューは後ほどアップします。
≪東京、長野≫
原作:イプセン ドイツ語新訳:Tralnslated by Hinrich Schmidt-Henkel
演出:トーマス・オスターマイアー
美術:ヤン・パッペルバウム 衣裳:アルムート・エッピンガー 音楽:ラルス・アイディンガー
A席5,000円/B席3,000円/ジャーマン(G)シート(字幕の見えづらい席)4,500円/学生A席4,000円
各種割引あり
劇場内:http://www.setagaya-ac.or.jp/sept/jouhou/05-2-4-4.html公式サイト:http://www.setagaya-ac.or.jp/sept/jouhou/schaubuehne/
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2005年06月19日
Studio Life『メッシュ』06/15-07/04シアターサンモール
『訪問者』『トーマの心臓』に続く、Studio Life(スタジオ・ライフ)による萩尾望都(はぎお・もと)の名作漫画の舞台化です。
2時間45分(休憩15分を含む)はちょっと長い目ですが、ストーリーは文句なく面白いし、役者さん一人一人の魅力も堪能できました。
主役のメッシュ(山本芳樹)が登場した時、まず「デカイ!」って思いました。アートスフィアや紀伊國屋ホール、紀伊國屋サザンシアターでも公演されていますので、シアターサンモールはかなり舞台が小さいんですね。Studio Lifeの描く美しくて繊細な世界は、これぐらいの小さな空間で味わいたいです。
舞台はフランスのパリ。贋作を描くことで生計を立てている画家のミロン(曽世海児)はある日、右腕を折られて道端に倒れていた少年(山本芳樹)を助ける。美しい金髪の中に少し銀髪の入ったその少年は“メッシュ”と名乗り、ミロンのアパートに居ついてしまった。
メッシュの悲しい生い立ちと、ミロンに出会うまでの波乱の人生と同時並行に、ボスのサムソン(河内喜一朗)に対してメッシュが持っている強い殺意の行方を描く。
『メッシュ』の原作漫画は10年以上前に全巻読みましたが、髪にメッシュが入っている美少年が出てくること以外すっかり忘れていました(苦笑)。日本の少女漫画ならではのポエティックで乙女チックな魅力はもちろん、ギャング達のハードボイルドな世界や親と子のドラマも描かれ、「やっぱり萩尾望都って面白いよな~」と感動を新たにしました。
今作品は原作の全てを盛り込んではいないそうです。チラシに“メッシュ rue Ⅰ(rueは英語でstreetの意)”とありますので、もしかすると続編が期待できるのかも?
Studio Lifeというと男優集団。女性は脚本・演出の倉田淳さんのみです。『DRACULA』の初演から拝見している私は、劇団員の成長振りや誰がどんな役を演じるのかなどファンの視点で楽しむようになっています。だからものすごく演技がおぼつかない若手がいても「あらら、また次がんばってね」ぐらいに大目に見てしまいがち(笑)。だから気になる人は気になっちゃうと思います。ただ、メインの役柄を演じる役者さんは本当に演技がお上手で、見た目も美しく魅力的な方が多いです。
タイトルロールのメッシュを演じられた山本芳樹さんはきゃしゃで美しいし、言葉もちゃんと伝えてくださいました。でも、全体を通してちょっとシリアスすぎた気がします。メッシュの面倒を見ていたギャングのドルーとのエピソードが始ってからは色気も感じられましたが、ミロンが家に置いてあげようと思うような可愛げや、自分を殴った相手にまた平気で会いに行くような、自由でひょうひょうとした様子ももっと出ていればと思いました。
メッシュは両性具有の天使のイメージとも重なる、絶望の中に浮遊感ただよう得体の知れない存在であって欲しいなと思います。『風と樹の詩』(竹宮惠子の代表作)だったらジルベールとか(勝手な想像ですが)・・・難しい役ですよね。
ここからネタバレします。
今作ではフランス語の曲(シャンソンなど)が多数かかり、パリの軽快なムードが溢れていました。荘厳で深刻な雰囲気の音楽が多いStudio Lifeの作品の中で、珍しく音楽に聞き惚れ、楽しい気分での観劇となりました。
舞台装置はいつもながらシンプルなのですが、パリの雑踏や絵描きのアトリエを無理なく想像させるパネルの色と柄が良かったです。こっそりとゴヤの絵(巨人が人間を食べる恐ろしい絵)が描かれていたのも凝っています。
オープニングの演出が良かったですね。メッシュの詩のようなアナウンスが流れる中、無人の舞台にぽつんと置かれた木のベンチを、朝、昼、夕方の太陽を表す照明が照らしていきます。
場面転換がとても多い作品でした。ストーリーは面白いし役者さんも魅力的だし、ファンなら長時間でも大丈夫ですが、そうでない方には少しつらかったんじゃないかな。
例えば、出はけ口のルールをいつも律儀に守らなくてもと思いました。ミロンの部屋は上手奥の袖が玄関になっていましたが、ミロンが舞台上に居るまま、照明や音響の変化で転換しても良かったと思います。
場面転換に小さな幕もよく使われていましたが、幕の昇降がスムーズではなく、いかにも手で紐を引いて作業しているのがわかってしまったのが残念。出来れば最初から最後まで同じスピードで降りてきて欲しかったです。
役者さんについては、今回もっとも目を引いたのはドルー役の奥田努さん。サスに入って客席に向かってセリフを言うのが決まっていました。それがゆっくり暗転するまでの表情も良かった。今まで未チェックでしたがこれから注目したいと思います。
曽世海児さん(ミロン役)が普通の男性を演じられていたのが新鮮でした。人間離れした役がお得意ですし、今まで演じた役柄的にゲイのイメージが強かったからか、絵の女性モデル(吉田隆太)とHしちゃうノーマルさがものすごくセクシーでした(笑)。
医者のシラノ(山﨑康一:「康」は正しい表記では在りません)とその恋人エレーヌ(林勇輔)は、出て来ただけで客席から笑いが・・・すっかりお笑い担当として定着されているんですね(笑)。山崎さんも林さんもとても演技がお上手で、シリアスも笑いも確実に見せてくださいます。林さんはドルーの部下のチコ役も演じていらっしゃいましたが、エレーヌとは全くの別人。いつも驚きをくださいます。
他にもポール役(メッシュに心を寄せるゲイ)の牧島進一さん、アレクス役(ポールのいとこ)の船戸慎士さん、エーメ役(サムソンの妻)の舟見和利さんが良かったです。そう、船見さんはすごくエレガントな佇まいで美しかった。
ダブルキャスト:Relier(ルリエ)とAllier(アリエ)※私が観たのはRelierです。
【Relier】メッシュ:山本芳樹/ミロン:曽世海児/ドルー:奥田努/ユフィル:寺岡哲/エーメ:舟見和利/アレクス:船戸慎士/ポール:牧島進一/早耳のラッタ:下井顕太郎/エレーヌ:林勇輔/シラノ: 山﨑康一/ボス・バン:藤原啓児/サムソン:河内喜一朗 ほか:大沼亮吉・宗村蔵人・荒木健太郎・関戸博一・松本慎也・三上俊・吉田隆太 ※メッシュ、サムソン以外の出演者は両チームに出演。
原作=萩尾望都 脚本・演出=倉田淳 美術=松野潤 照明=森田三郎 舞台監督=北条孝 土門眞哉 西村朗(ニケステージワークス) 音響=竹下亮(OFFICE my on) ヘアメイク=角田和子 衣裳=竹原典子 殺陣指導=渥美博 美術助手=渡辺景子 宣伝美術=河合恭誌 菅原可奈(VIA BO, RINK) 宣伝写真=峯村隆三 大道具製作=俳優座劇場 小道具=高津映画装飾 デスク=釣沢一衣 岡村和宏 揖斐圭子 制作=稲田佳雄 中川月人 赤城由美子 CUBE STAFF:プロデューサー=北牧裕幸・高橋典子 宣伝=米田律子 制作=北里美織子 制作協力=東容子 縄志津絵 宮澤有美 小泉裕子 八木美穂子 中原愛 大田香織 制作プロデュース=CUBE 企画・制作=Studio Life
前売 4,700円 当日 4,800円 ファンクラブ割引あり
劇団:http://www.studio-life.com/
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2005年06月18日
こまつ座『父と暮せば』06/16-18行徳文化ホール
昨年の夏に初演されて12月には香港公演も経た、辻萬長&西尾まりペアの『父と暮せば』の再演です。作品としてはこれが11演目になります。
原田芳雄&宮沢りえペアの映画もロングランされました。宮沢りえさんが賞を取られましたよね。英語版の戯曲も出版されて、今年の1月にはカナダで朗読劇として上演されました。
新宿公演もあったのですが、私は千葉の劇場の千秋楽に伺いました。お話の内容については初演のレビューをご覧ください。
2度目ですが、涙の量は変わりませんでした。それどころか内容を知っているがゆえに、何気ない会話やちょっとした仕草にも胸打たれ、序盤からほろりと来てしまいました。
幕が下りてもしばらくは椅子から動けませんでした。黒焦げの焼け野原から3年経った夏の広島から、新しくてきれいな劇場に戻ってくるのにはかなりの時間がかかりました。
1度目は気づいていなかったことに気づき、意味もより深く理解することが出来たように思います。人間は忘れるんだなとガッカリする気持ちと、2度目を観られてよかったと感謝する気持ちが沸いてきました。
父親が「お前はわしに生かされているんじゃ」と娘に向かって叱るシーンでは、私自身が戦争で亡くなった方々に生かされているんだと気づきました。
辻萬長さんと西尾まりさんのやりとりには軽やかなリズムが生まれ、娘を想う父親の少々勇み足な恋の応援団長ぶりや、引っ込み思案にみえて実は相手との関係を進展させている、娘のちゃっかりしたところなど、うなずきながら笑えるところがより明るく楽しくなっていました。
今までに娘役を演じられた女優さんは娘の年齢(23歳)よりもかなり年上の方ばかりでしたが、西尾さんはお若いのに立派です。香港でこのペアが「完璧な演技」と称賛されたことに心から納得です。
今日は友達と一緒に観に行きました。来年もし再演されたらまた誰かと一緒に観に行こうと思っています。そうやって自分が観て、友達が観て、その知り合いも観て・・・という連鎖を生み出していくことが、私がこの作品に対してできることです。
出演=辻萬長/西尾まり
作=井上ひさし 演出=鵜山仁 音楽=宇野誠一郎 美術=石井強司 照明=服部基 音響=深川定次 宣伝美術=和田誠 方言指導=大原穣子 演出助手=川畑秀樹 舞台監督=星野正弘 制作=井上都 高林真一 瀬川芳一
入場料 4200円(全席指定・消費税込み) 学生割引 3150円 ※こまつ座での販売のみ
≪東京、千葉≫
こまつ座内;http://www.komatsuza.co.jp/kouen_new/titito.html
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2005年06月15日
森崎事務所『隣りの男』06/15-26本多劇場
岩松了3本連続公演の第3段。『アイスクリームマン』『センター街』が終了して、とうとう最後ですね。『隣りの男』の初演は1990年。男女2人ずつの4人芝居です。
2004年のNHK大河ドラマ「新撰組!」で、堺雅人さん演じる山南敬助と恋に落ちる明里役があまりに美しかった、鈴木砂羽さんの姿が見られるのを楽しみに伺いました。
舞台は昭和のはじめ頃から時間が止まったような古い家。通りに面した方は眼鏡屋の店舗になっており、店主の竹田(大森南朋)が一人で住んでいる。隣りに住む宇野(戸田昌宏)はなぜか仕事もせずに竹田の家に入り浸っており、時々、宇野の妻の八千代(鈴木砂羽)もやってくる。二人はまるで自分の家のように勝手な振る舞いをするが、竹田はされるがまま。どうやら3人は長年の付き合いがある友人同士のようだ。
その家の2階の部屋を貸し部屋にするべく入居者募集の看板を店先に出していたら、ある日、若い女(久遠さやか)から電話がかかってきて部屋の内覧に来ることになった。
『アイスクリームマン』と『センター街』に比べると人間関係に柔らかさがあり、すごく心地よい空間でした。役者さんが4人とも演技が上手かったのもありますし、登場人物らが明らかに気持ちを伝え、受けとめ合っていたからだとも思います。
4人のうち誰が主役というわけではないと思いますが、出番としては竹田が一番多かったです。真面目に働くこともなく、新しい世界への好奇心もなく、現状への不満も特に具体的には考えない。そんなまま何もしないでいたために世界から自然と置いてきぼりになり、だらだらして、イライラして、鬱々として、だからといって自ら進んで変化する気もない・・・という男です。けれど、どうしても逃れられない違和感を身体は感じています。例えば手のひらと手の甲の間に何か異物が入っているように感じたり、体のここかしこが痒くなったり。竹田以外の登場人物も竹田のように閉じられた世界観を持っていて、簡単に言えばオタクっぽい面を持っている、どこか欠けた人間達です。
頑なな心、独りよがりな夢想、自分と世界とのズレから生じるムズムズした傷み、ささやかにして一瞬で消えてしまうごく個人的な幸せ、小さな隙間から恥ずかしそうにちょっぴりだけ顔を出す他人への愛・・・などが、じとっとした和室に見え隠れする、密度の濃い1時間45分でした。
笑いもロマンスも適度にあって、すごく楽しかった。岩松作品は苦手だったはずなんですが、私が変化したのでしょうか。でも隣りでぐっすり寝てしまっているお客様もいらっしゃいましたので、合わない人には合わないかもしれません。
ここからネタバレします。
舞台美術は質感がとてもリアルで、家具や置物には細部にわたるまでこだわりがあり、古い家屋の匂いがしてきそうでした。どこから見ても今から50年以上前の世界なのですが、時代は1980年代です。役者さんの服装やSONYのDoDeCaHORN、ポカリスエット缶などが出てきたことでわかりました。ラジオカセットデッキがあるのに電話は黒電話だったり、ポットが電気ポットではなくて保温ポットだったり。竹田がいかに時代の流れから外れている人間かがわかります。
衣裳にはそれぞれのキャラクターを鮮やかに映し出す工夫が見られました。部屋を借りる女・宮地は赤いサテンでできた派手な刺繍入りの中華風スリッポンを履いているのですが、お洋服はちょうちん袖で乙女チックなデザインの、淡い黄色のカントリー風ワンピースなのです。しかも小さな麦藁帽を被っていて、籐でできたカバンには白いプードルのアップリケが施されています。そして足には白いレースのストッキング。なんてミスマッチ(笑)。宮地は可愛らしく装っていますが実はお行儀が悪くてずる賢いところがあるんです。おっと、衣裳も美術も礒沼陽子さんがデザインされているんですね。さすがです。
役者さんは4人ともキャラクターを細かいところまでしっかり演じてくださっていて、どんなにとっぴな行動やセリフが出ても無理を感じませんでした。妙な角度でくるりと振り返ったり、指をなめたり、小さな動作の一つ一つがおそらく岩松さんの演出なのだろうと思いますが、皆さんとても自然でした。そういえば全員、映像(映画やテレビ)でもご活躍の方々ですね。舞台俳優っぽくない、どこかスーっと静かな佇まいでした。
鈴木砂羽さん。80'sのレディー・ルックが少しレトロで艶っぽくて目が離せませんでした。セックスアピールが強いのではなく、彼女の体を包むムードが妖しいんです。でも語り口は素直でまっすぐ。ときどき子供っぽかったり。怒ってもセリフの語尾が丸く優しいので、演技が胸にグサっと刺さることがありません。独特の存在感でした。また舞台に出られるなら必ず観たいと思う女優さんでした。
転換の度にかかるフランス語の女性ヴォーカルの曲が良かったです。あのけだるい声がぴったり。
出演=大森南朋/鈴木砂羽/戸田昌宏/久遠さやか
作・演出=岩松了 舞台監督=幸光順平・青木義博 舞台美術・衣裳デザイン=礒沼陽子 照明=沢田祐二 音響=藤田赤目 衣裳スーパーバイザー=阿部朱美
前売り5000円 当日5300円
森崎事務所 M&Oplays:http://www.morisk.com/
岩松了3本連続公演:http://www.morisk.com/iwamatsu.htm
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2005年06月14日
SePT独舞『井手孤独【idesolo】』05/26-29シアタートラム
イデビアンクルー主宰の井手茂太さんのソロ・ダンス。演劇界で振付家として大活躍されている井手さんの初ソロですから見逃せない公演です。
井手さんは新国立劇場演劇研修所(NNTドラマ・スタジオ)の講師でもいらっしゃいます。
こちらで舞台写真が公開されています。ぜひご覧になってください!(2005/07/12加筆)
井手さんのダンスよりも、彼独特のセンスを存分に味わった作品でした。あっけにとられて苦笑に次ぐ苦笑(笑)。ソロ・ダンスですが2人の女の子ダンサーが助手的な役割で出演されていて、その演出も面白かったです。公演が終わっていますのでネタバレします。
シアタートラムが柔道場(試合場?)のようになっていて驚きました。ダンスなのに柔道場という意外さ。そして柔道場なのにグランドピアノがあり、弾かれることはありませんでした。そして柔道場に現れたのが、スーツ姿なのに頭には高島田の男・・・強烈です(笑)。
井手さんが出てくる前に舞台にいたのは、黒いスーツの受付嬢っぽい女の子と、客席の階段の手すりに布団を干して、布団たたきで布団をたたくおばちゃんルックな女の子。井手さんが下手からおずおずと登場してみたら、布団たたきおばちゃんに「引っ込めぇぇ!!」と怒鳴られて、すごすご、とぼとぼと袖に戻ったり。ダンス公演なのになかなか踊りはじめない(笑)。
やっとこさガッツリ出てきた時は、井手さんは前述の灰色スーツに高島田、そして炊飯ジャーを手に持っていました。この姿だけでもうゴチソウサマ(笑)。
照明が会場を真っ赤に染めて、大音量の音楽、そして舞台正面奥に仕掛けられていた巨大な掛け軸がバサッ!と降りて来ました。筆で大きく書かれていたのは「俺」の一文字。そう!俺だけによる、俺が好き勝手にやる、俺一番な世界!高島田ヘアのちょっと太った男が激しくかっこよく踊るのを呆然と眺めていました。
その後は黒いタンクトップシャツとゆったりパンツに着替えたり、柔道着に着替えたり、踊ったり踊らなかったり、とにかく予想をはるかに超えた演出が続きました。
宝塚歌劇で超有名な「ベルバラ」のテーマ曲をマイクを持って本当に歌われた時は、肩から腰がへなへなになって、思わず吹き出しました。照明もミラーボールのカラフルシャワー状態で、女の子2人のバックダンサーを従えて歌いあげつつ、ちょっとテレながら満足そうな微笑を浮かべるのがまた可愛らしい・・・てゆーかズルイっ!好きにならざるを得ん!
あらゆる意味で一人舞台でしたが、ご本人が陶酔しているようなことは全くなく、計算しつくされた井手ワールドを満喫いたしました。
演劇◎定点カメラに詳細あり。
Wonderlandに色んな方のレビューがまとめられています。当サイトもご紹介いただきました(2005/07/12加筆)
出演=井手茂太/K谷&M橋(イデビアン・クルーのメンバー)
振付・演出・出演=井手茂太
舞台監督=大川裕 照明=斉藤茂男、高円敦美 音響=島猛、大久保友紀 小道具=山田祥子 衣装=稲村朋子 宣伝美術=坂巻裕一
一般 4,000円/当日4,300円 学生料金・劇場会員割引あり
劇場内:http://www.setagaya-ac.or.jp/sept/jouhou/05-2-4-1.html
days:http://www.idevian.com/
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2005年06月13日
劇団ジャブジャブサーキット『成層圏まで徒歩6分』06/10-14ザ・スズナリ
ジャブジャブサーキットとは前回の『しずかなごはん』以来2度目のご縁なのですが、やっぱり泣かされました。そしてまたもや戯曲本(1000円)も買っちゃいました(あ、サインもらうの忘れた!)。
劇団創立20周年記念公演の第一弾だそうです。といっても特に変わったのは全席指定にしたことだけだそうで、それも開演間際に主宰のはせひろいちさんが「前の方の席が空いていますので、お好きな席への移動タイムにいたします」とおっしゃって、すみやかに指定席の部分的解除と相成りました(笑)。これがものすごく和やかで、私は幕が開く前からほんのり感動しました。
舞台は天文台に隣接する“成層軒”という名のレストラン。天文台の持ち主である天文学者の森迫教授が急死し、助手の雨月(咲田とばこ)がその後を受け継いだが、町内では天文台の取り壊しが検討されるようになっていた。レストランを経営する夫婦(岡浩之と中杉真弓)と近所の和菓子屋の主人(小山広明)らは、天文台を立て直そうと策を練っている。そんな折、法律事務所の職員だと名乗る女(高木美千代)が訪ねてきて・・・。
いいお話でした~・・・前作同様、優しいセリフにほろりとさせられ、よく練られた謎解きも楽しかったです。
しかしながら役者さんの演技が平板で退屈してしまい、うとうとしちゃったシーンも多々・・・そのせいでストーリーにわからないところがぽつぽつとあり(脚本を購入する動機にもなりました)、脚本を読んでから「あー、そういう意味だったのかー」とわかってスッキリ。でももし眠らないで観ていたとしても私がそれを感じ取ることができたかどうかは疑問です。
『しずかなごはん』のレビューを読み返してみて、今回もほぼ変わらぬ感想を持っていることがわかりました。役者さんの演技と演出の力が脚本に追いついていないため、作品の本当の魅力を伝えることができていません。でも20年も活動されている劇団ですし、劇団のスタイルというものがちゃんとあるのだと思います。こういう作風だからこそファンになった方も多くいらっしゃると思いますし、私があつかましく色々考える必要はないのでしょう。
ただ、一人の演劇ファンとしてつぶやかせていただくと、「ニセS高原(平田オリザさんの戯曲を4人の演出家が演出)」みたいに はせひろいちさんの戯曲を色んな劇団で上演する企画とかあったら嬉しいな~。
※前回公演を観てアンケートを提出したら今公演のチケットプレゼントに当選しました。すっごく嬉しかったです。観に行かれた方はどうぞアンケートをご提出くださいね。次回(今年の9/15~20)はシアターグリーンの杮落とし公演で『しずかなごはん』の再演だそうです。
≪名古屋、東京、大阪≫
出演=小山広明 岡浩之 咲田とばこ 中杉真弓 小関道代 高木美千代 永見一美 小島好美(D) 荘加真美(D) 他 D:ダブルキャスト(東京公演)
作・演出=はせひろいち 照明=福田晴彦((有)自由舞台) 音響=松野弘 舞台美術=JJC工房 舞台監督=岡浩之 宣伝美術=奥村良文(ワークス) 制作=咲田とばこ 中杉真弓
前売3200円 当日3500円 各種割引チケットあり
劇団ジャブジャブサーキット:http://home.owari.ne.jp/~iku/template.html
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2005年06月12日
パルコプロデュース ミュージカル・コメディ『最悪な人生のためのガイドブック』05/13-29パルコ劇場
川平慈英さんと映画版セカチューで大スターになった森山未來さんのミュージカルコメディーで、ラッパ屋の鈴木聡さんの作・演出です。鈴木さんといえば青年座に『妻と社長の九ちゃん』を書き下ろしたばかりですよね。
ごく普通の人たちのおバカな恋愛劇に歌と踊りが合わさって、ちょっと変わったミュージカルでした。あんなに笑えるとは、予想外でした(笑)。
フリーライターのアベコ(キムラ緑子)は、実業家との不倫の恋を終わらせた。「もう二度と電話はかけてこないで!」ときっぱりと別れの言葉を言ったその時、宅配ピザ屋(名前はドイッチ:川平慈英)がやって来た。懲りずに電話をしてくる不倫相手にあきらめてもらおうと、ピザ屋にむりやり電話に出てもらって新しい彼氏の振りをしてもらう。電話で男らしくタンカを切るピザ屋にアベコはほだされてしまって・・・。詳しいストーリーはこちら。
アベコの友人で恋愛中毒のトリコ(三鴨絵里子)とその彼氏のババ(近江谷太朗)や、ドイッチと同じピザ屋でアルバイトをしているのオノッチ(森山未來)とその彼女のキヨッペ(堀内敬子)など、身近に居そうなフツウの人たちのとっぴな行動が面白く、微笑ましいです。ラッパ屋っぽいちょっとエッチで赤裸々な大人の会話もいっぱい。世相を反映した現実的なエピソードを多く含みながら、お気楽で、可笑しくて、ホロリと来ちゃう。やっぱり鈴木聡さんの作品はハズレがありません。
登場人物ももちろん歌を歌いますが、アカペラ・コーラス・ユニットのトライトーン(女性2名&男性3名編成)がストーリーを見守る立場で何度も登場して、きれいな合唱を聞かせてくれます。この歌詞がバカっぽくて笑えるんですよね~。パンフレットに歌詞が掲載されていて、帰りの電車で読み返して笑ってしまいました。
初日だったからか異常に早口で、セリフが全くわからないところが多かったのは残念。きちんと安定した演技を見せてくださったのはババ役の近江谷太朗さんと、ドイッチが勤めるピザ・アミーゴの店長役の小林隆さんでした。
というわけで前半はちょっととっつきにくかったのですが、途中から、そう、草刈正雄さんが登場してからは大爆笑できました。「大爆笑」って久しぶりです。ほんとに「わははっ!」って笑えました。
再演があったら絶対行きます。友達を誘って。そしてカーテンコールの「ピザ・アミーゴ」をキャストと一緒に楽しく歌えますように♪
ここからネタバレします。
ドイッチが勤めるピザ・アミーゴの社長のマキ(草刈正雄)が、実はアベコの不倫相手だったことから、どたばたの四角関係へと展開するのがストーリーのみどころです。恋敵同士のドイッチとマキが普通に出会って、アベコの前でマキがドイッチに説教したり、しまいには店長まで巻き込んでいくあけっぴろげの色恋沙汰にはビックリ仰天、そして爆笑です。
マキの秘書のミチル(伊織直加)が凄かったですね。出てくる度に笑いました。伊織直加さん、スタイル抜群で踊りも上手いです。冗談のように美しいボディライン。なのにやることがバカすぎて・・・・(笑)。
川平慈英さん。堅かったですね。一番早口でした。きっと後半になると本領発揮されるのではないでしょうか。いくらフリーター役でも無精ひげは・・・。
森山未來さんはとってつけたようなダンス・シーンがあったので(笑)、ダンスがお上手なのはわかりました。ダンスは『BOYS TIME』で拝見していたので、それよりもキラキラしていた存在感が良かったです。
伊織直加さん。森山さんの彼女役。むちむちしてて健康的ですっごく可愛かったです。川平さんと一緒に踊った「センター街」の歌がサイコーでした。私も体が踊りだしそうになりました。
≪東京、大阪≫
作・演出:鈴木聡 音楽:本多俊之
出演:川平慈英 森山未來 堀内敬子 小林隆 伊織直加 三鴨絵里子 近江谷太朗 キムラ緑子 草刈正雄 with トライトーン(アカペラ クインテット)
美術:松井るみ 照明:高見和義 音響:高橋巖 衣裳:黒須はな子 振付:神崎由布子 ヘアメイク:綿貫尚美 演出助手:則岡正昭 舞台監督:小林清隆 宣伝デザイン:A.N.P. 宣伝写真:鈴木聡 宣伝イラスト:奥原しんこ 製作:伊東勇 制作:祖父江友秀 山家かおり 音楽制作:岡田しずえ 主催:TBSラジオ 企画制作:(株)パルコ/(株)Me & Herコーポレーション 製作:(株)パルコ
前売り・当日:9,000円(全席指定・税込)
イープラス内:http://eee.eplus.co.jp/s/saiaku/
パルコ劇場:http://www.parco-play.com/web/page/information/saiaku/
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2005年06月11日
コクーン歌舞伎『桜姫』06/05-26シアターコクーン
私がコクーン歌舞伎を拝見するのは2001年の『三人吉三』、2003年の『夏祭浪花鑑』に続いて3度目になります。
『桜姫』ってけっこう暗いお話なんですね。あらすじはこちら。
はじめて一等平場席で拝見しました。役者さんが客席を通ることもしばしば。至近距離で楽しめるのは嬉しいです。でもやはり座布団席なので、休憩15分を挟んで3時間35分っていうのはキツイですね。
ラブシーンというか濡れ場がけっこう具体的で、私はちょっと引いちゃいました。襲名披露公演のため中村勘三郎さんが出演されていないのが痛かったかな。今までの公演で味わったスコーンと明るい悪ふざけとか、いやおうなしに盛り上がってしまう空気が少なかったんです。だからラブシーンもちょっと真面目に受け取りすぎたかもしれません。
主役の桜姫は中村福助さん。美しいです。お姫様の頃と女郎になってしまってからの演技の差がきれいに出ていました。それも上品だったので気持ちよかった。
桜姫を陵辱し、妊娠させて夫にもなる墓穴堀り人の権助と、桜姫の前世である白菊丸と心中を図った破戒僧の清玄の二役を、中村橋之助さんが演じます。橋之助さんの早替えが見所の一つですが、コミカルさがちょっと足りなかったかな。
坂東弥十郎さんと中村扇雀さんの悪だくみ老夫婦が最高に面白かったです。そこまでやるか!?っていうぐらい崩すところは崩しています。歌舞伎役者はプロだなって思いました。
ここからネタバレします。
あさひ7オユキさんが口上役で出演されて、わかりにくいところをコミカルに簡単に説明してくれたのは助かりました。ラストの桜満開のシーンでむせび泣くようなサックスの演奏を聴かせてくださり、それが桜姫(中村福助)の舞とばっちり合っていてシビれました。
そう、ラストの演出がやはり凄かったです。鳥肌が立ちました。幽霊(人魂)になった清玄が、夫の権助こそが桜姫の敵であることを伝えたため、桜姫は泥酔している権助を刺し殺します。真っ暗闇だった舞台に権助の死体を置き去りにし、桜姫が乳飲み子を抱えて走り出した途端、バサッ!と舞台奥の黒幕が落ちて満開の桜が現れます。照明も同時にパっと明るくなり桜の紙吹雪も舞って、どん底からいきなり豪華絢爛の花盛り。こういう豪華な仕掛けを見せていただけると、さすがはコクーン歌舞伎って思います。
出演=中村福助/中村扇雀/中村橋之助/坂東弥十郎/中村勘太郎/中村七之助/中村四郎五郎/中村芝喜松/中村山左衛門/中村芝のぶ/中村勘之丞/あさひ7オユキ ほか
作=四世鶴屋南北 演出・美術=串田和美 絵師=宇野亜喜良 補綴=竹柴聡 技術監督=眞野純 照明=齋藤茂男 演出助手=田中麻衣子 舞台監督=藤森條次 制作=我孫子正 岡崎哲也 船越直人 製作=松竹
一等平場席12,600円 一等椅子席12,600円 ニ等席8,400円 三等席4,200円 立見A3500円 立見B2500円 35ステージ
シアターコクーン:http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/event/sakura/index.html
松竹:http://www.shochiku.co.jp/play/index_cocoon_0506.html
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2005年06月10日
二十一世紀舞踊『禁色』06/08-11世田谷パブリックシアター
『禁色』は同性愛をテーマに書かれた三島由紀夫の小説です。それを題材に伊藤キムさんが白井剛さんとたった2人で踊ります。
強烈でした。衝撃でした。カーテンコールは5回以上ありました。上演時間はそれを含めて1時間45分ぐらいありました。2人だけのダンスなのに!
東京公演は明日の1ステージを残すのみ。6/11(土)15時開演です。当日券は14時から販売開始されますが、おそらく相当早く並ばないとイス席ゲットは難しいかもしれません。でも、1階最前列~3列ぐらいにベンチシートを含む約30席が追加席として作られたようにも見受けられます(未確認ですが)。明日お時間のある方は、ぜひぜひチャレンジしてみてください。その価値はあると思います。
≪ツアーあり!6/24-25@京都芸術劇場、7/3@北九州芸術劇場≫
チケットを確保するのが遅れて私は残念ながら3階席からの観覧となりましたが、それでホッとしたような、がっかりしたような・・・あれを至近距離で観る度胸が私にあったかどうか・・・(苦笑)。終演後に1階席に行って舞台を眺めてみたんですが、あぁやっぱり前の方に座りたかった・・・と悔しく思ったり・・・。うん、やっぱり近い方がいい!・・・たぶん。
前置きが長くなりました。それぐらいショッキングな作品でした。
お恥ずかしながら私はダンス公演では途中で退屈して寝ちゃったりするタイプなんです。だけど今作では全然寝ませんでした。静かでゆっくりとしていて繰り返しの多い振付もいっぱいあったんですが、なぜか目が離せませんでした。
したたかな自意識で身体をコントロールし、躍動も静止も、あくまでもストイックに存在する物体が2つ。“伊藤キム”と“白井剛”という、男がそこに居る。それだけで世田谷パブリックシアターが完全に支配されました。
ここからネタバレします。
舞台装置は非常にシンプルでスマートでした。床と上下(かみしも)の壁は真っ白。奥の壁は光沢のある黒で、客席やステージが少し映っています。上手の壁は中央で割れていてその隙間から光が差し込みます。下手の壁には上部に横一直線の穴が空いていてそこからも光が入ります。最初は上手の壁に下手の穴から差す照明による赤い横線が映っていて、白黒のモノトーンに赤いスパイスが入った、とてもスタイリッシュな空間でした。
小さな音がかすかに鳴り続けて、開演の暗転まではとてもゆっくりと時間がとられていました。じわーっと照明が暗くなって完全暗転したかと思うと大音量の音楽とともにパッと舞台が明るくなって、出てきたのは全裸の男2人!!ぜんらです、ぜんら!!ほんっとの素っ裸なんですよコレが。たぶん陰毛も剃ってたんじゃぁ・・・・(3階席からはわからなかった、というか正視できなかったのかもしれません、私)。
全裸でジャニーズのアイドルが踊るような振付でジャンプしたり側転したり!しまいにはお○んちんで遊ぶ(?)ような振付が山盛り!・・・あぁこれ以上具体的にはもう書けない!ヘンな言葉で検索にひっかかっちゃうよっ(笑)。
・・・で。ひとしきり大暴れしておそらく絶頂を迎えた後、ばたりと倒れた2人。と同時に革靴が2人分、天井からぼとりと落ちてきました。服は裸踊りの最中にすでに落ちてきており、2人はぐったりとしつつ、ゆっくりと服に着替えます。この着替えシーンがめちゃくちゃセクシー!しかもその服が超かっこいいスーツなんです。キムさんは黒の上下でジャケットの裏地がワインレッド。白井さんはズボンは黒でジャケットは茶色、そしてジャケットの裏地が・・・エメラルド・グリーン♪なんて、なんて素敵なんだっ!全裸の後だから成年男子の麗しさもひとしおでございます(笑)。
その後は2人で同じ振付で踊るのですが、上側と下側に2人の踊るスペースが分けられており、体が触れ合ったりはしません。手を挙げたりくるりと回転したりする振付は同じなのですが、お互いのクセはそのまま生かしているので、一人一人が独立(孤立?)したままシンクロしているような状態です。これが全裸シーンとの対比になってすごくかっこ良かった。
続いてキムさんのソロ、白井さんのソロ、またキムさんのソロ、そして2人一緒という流れでした。
白井さんのソロはなんだか虫みたいだったなー・・・転がされたり、踏み付けにされたり、基本的に閉じ込められていて、押さえつけられて、這いつくばって逃げようとしてもまた潰される、というような・・・。そして、逃げたのかどうかはわからなかったけれど、細かい雪がさらさら、ぱらぱらと大量に降り注ぐ中、一人で空を見て立ち尽くすシーンが凄かった。ただ立っているだけでものすごい長時間でした。ずっと目に残っています。
2人一緒に踊るといっても、2人はひっついたり一体化したりは決してしません。あくまでも独立して、ちょっかいを出したり甘えてみたりしても、やっぱり何かに押しつぶされて、それぞれが孤独なまま。
私は「禁色」の原作を読んでいません。知っていたのは三島由紀夫作の同性愛のお話だってことだけです。だから果たしてストーリーを追っていたのか、どこがどう引用されていたのかはわからないのですが、多分キムさんが原作からインスパイアされたもの、イメージしたものをダンスにしたということじゃないかなと思います。
キムさんのダンスは男らしく、まっすぐの線とか堅い岩とか、意図や意志を感じる力強い印象でしたが、白井さんはしなやかで、やわらかくて、いつも何かの影響を受けて、反応して、グネったり回ったり、自然の作用・反作用の法則が常に起こっているようなダンスでした。ぴったりのペアですね。
私は去年のソロダンスでも魅了されましたが、今回も白井さんにゾッコンでした。大ブレイク、間違いないっ(もうブレイクしてる?)。
舞台が白いので照明がものすごく鮮やかでした。真っ赤になったり真っ青になったり、ブロック分けになったり、明かりでダンサーを追いかけるような効果もあり、照明とダンスのコラボレーションのようにも見えました。それくらい照明が大活躍で、カッコ良かったです。
※昨日6/9(木)はポストパフォーマンストークがあったんです。私は当日券狙いで並んで30番目ぐらいだったのですが、立見席になってしまったので断念しました。私の後ろに50人以上いらしたと思うんです。2人だけのダンス公演なのに、ものすごい人気ですよね。たぶん初日の評判もあったのだと思いますが、あんなに人が並んでいる世田谷パブリックシアターの入り口ははじめて見ました。
出演=白井剛/伊藤キム
原作=三島由紀夫 構成・演出・振付=伊藤キム 照明デザイン=足立恒(インプレッション) 音響=藤居俊夫 美術=小島常雄(スポンジ) 衣裳=大野雅代 選曲=伊藤キム 作曲=井上雄二(dill) 舞台監督=黒澤一臣(オン・ステージ・コードー) 宣伝写真=野村佐紀子 宣伝美術=阿部聡 主催=(財)せたがや文化財団 企画制作=世田谷パブリックシアター 協賛=キリンビール株式会社
A席4,000円/B席(3階)3,500円 その他各種割引あり
劇場内:http://www.setagaya-ac.or.jp/sept/jouhou/05-2-4-2.html
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2005年06月09日
JACROW『袋小路』05/25-30下北沢OFF OFFシアター
JACROW(ジャクロウ)は中村暢明さんが作・演出・代表される演劇プロデュース・ユニットです。毎回出演者を集めて作品を作られています。
今回は東京からかなり離れた田舎の町民館が舞台。サスペンスのムードありのラブ・ストーリーでした。
照彦(日高勝郎)は町民館の管理をしている公務員。幼なじみの仲間たちと町民館の部屋を自由に使って、暇があればいつもそこでたむろしている。仲間は警官、バーテンダー、キャバクラ嬢が2人と自分を合わせて合計5人。実は昔は6人組だったのだが、ある事件で一人は幼い頃に死んでしまったのだ。
ある日、見知らぬ女(吉冨亜希子)が助けを求めて町民館に飛び込んできた。借金取りに追われて兄(西野将史)と一緒に夜逃げしてきたという。気のいい照彦はその兄妹を自分の家に泊めてやることにし、2人は幼なじみの美佐(田中まこと)と裕美(髙橋今日子)が勤めるキャバクラで働くようになる。
ストーリー設定や展開に無理を感じてしまったため、お話の中に入っていくのが困難でした。田舎で生まれ育った優しい人たちとはいえ、赤の他人を家に泊めたり、簡単に大金を貸しちゃったりするかしら?と疑問に思いました。照彦とキャバクラ嬢の美佐(田中まこと)も、警官の義人(勢登健雄)と同じくキャバクラ嬢の裕美(髙橋今日子)も、カップルには見えづらかったんですよね。あと、幼なじみ5人組が幼なじみであるように感じられなかった。
でも、部分的には面白いと感じるところも沢山在りました。JACROWらしさというものが形になっているところだと思います。
オープニング、かっこ良かったですね~。女(吉冨亜希子)が息を切らして町民館に駆け込んできて、照彦に向かって「お願い、今晩泊めて!」と言った途端、照彦が「JACROW#6(シャープ・シックス)『袋小路』」とぼそりと言って、ガツンと大音量の音楽が轟くのです。
卓郎(斎田吾朗)と美佐(田中まこと)が2人っきりで話しているシーンは臨場感があって引き込まれました。卓郎は美佐のことが好きなんだってことが伝わってきて、幼なじみ同士の間のほのかな恋心にウキウキしましたね。
東京から逃げてきた謎の兄妹は、数年前の少女誘拐殺人事件に関係が有ることがわかってきて、美佐に近づいていたキャバクラ嬢スカウトマン(香川亮)が、実はその兄妹詐欺師に雇われていた私立探偵だったとバレるところは痛快でした。照彦のことを好きになってしまった妹が兄に反旗を翻し、私立探偵(香川亮)があたふたするのは笑いを誘いました。
ご縁があってJACROW作品は『たまこクラブ』以外すべて拝見しています。なかでも『BAD TRIP』がダントツで好き!次回作『カニバケツ』09/15~19中野MOMOはそれに似た作風のようですので楽しみです。
出演:日高勝郎(innocentsphere) 斎田吾朗(ペテカン) 吉冨亜希子 田中まこと 勢登健雄(オフィス・ヒューリッド) 香川亮(air:man) 西野将史 髙橋今日子
作・演出:中村暢明 舞台美術:伊藤秀男 照明:シミズトモヒサ 音響:佐藤春平 宣伝美術:川本裕之 舞台監督:杉江聡 制作協力:吉野礼 制作:黒田朋子 企画・制作:JACROW
前売2300円 当日2500円 (日時指定・整理番号付・全席自由)
JACROW:http://www.jacrow.com/
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ブラジル『辻褄』06/01-06下北沢OFF OFFシアター
3編の二人芝居で一つの作品となる『辻褄』は、先にレビューをアップした『偽装』との2作品交互上演されていました。
『偽装』に比べるともうちょっと身近なお話で、笑いも多い目でしたが、いつものブラジルよりはやはり静かなお芝居でした。どちらかというと『偽装』の方が脚本の密度が高くて面白かったです。
『辻褄』は第1話、第2話で、かなり困ったキャラの女“笠原恵”について話し続け、第3話で待ちに待ったその当人が出てくるという嬉しい進行でした。第1話の男二人芝居は、2人の関係性が何度も上下逆転を繰り返し、それぞれの性格が徐々に暴かれてくるのを役者さんが小気味よく演じてくれて、すごく見ごたえがありました。第2話と第3話は演技に意図不明な空白部分が多く、途中でぶつぶつとお話が途切れたのが残念でした。
第1話:交通事故(出演:石井壮太郎・中川智明)
ひき逃げをしてしまった。そしてひいた女を田舎の山道に放置してきてしまった。明け方に会社に戻り、これからどうするかを相談する社長と社員。
インテリ風の若い起業家の社長(中川智明)が、実は社員(石井壮太郎)の学生時代の後輩なのが面白いです。男の子同士の遊び仲間ならではのやんちゃな会話もあれば、権威を振りかざす政治的な腹の探り合いもあり、それを体全体で表現してくれた2人の役者さんは素敵でした。
第2話:喪服で帰宅(出演:廿浦裕介・長嶺加奈子)
恵のお葬式に行ったカップルが、家に帰ってきての恵の思い出話をし、そしてひき逃げ犯人に対する怒りをぶちまけるが・・・。
二人とも、恵のことが本当は大嫌いなんですよね。彼女にやられてきた仕打ちを次々と話し出すんですが、それがほんとにひどいことばかりで(笑)。だから彼女が死んだのが二人とも嬉しくって、プッと笑いがこみ上げてきちゃうのですが、そういう演技があんまりうまく運んでいませんでした。間が難しいんでしょうね。
廿浦裕介さんは少年社中ではあまりわからなかったキュートな面を見せてくださいました。
第3話:お別れ(出演:辰巳智秋・内山奈々)
とうとう恵が登場!なんとひき逃げにあう直前、彼との別れ話の場面です。
内山奈々さんが問題の恵役ですが、いや~ほんっとにウザイ女!素晴らしい(笑)!彼氏役で体格のいい辰巳智秋さんがたじたじで、そのバランスが笑えました。最後にナイフで男に切りかかって行くシーンは、ブラジルならではの生々しいライブ感が出ていて白熱しました。だけど全体では時々長すぎる間があって、観ていて不安になることがありました。
作・演出:ブラジリィー・アン・山田
照明:シバタユキエ 音響:玖島博喜(TEAM URI-Bo) 舞台監督:鈴木たろう 宣伝美術:川本裕之 制作:恒川稔英・ブラジル事務局
『辻褄』出演:辰巳智秋 内山奈々(チャリT企画) 石井壮太郎(ダムダム弾団) 中川智明 廿浦裕介(少年社中) 長嶺加奈子(CBR)
*2作品を交互上演。1作品は3つのふたり芝居で構成されている。
前売り2300円 当日2500円 <初日&平日マチネ割引>前売当日ともに2000円 共通チケット3600円
ブラジル:http://www.medianetjapan.com/10/drama_art/brazil/
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2005年06月08日
TextExceptPHOENIX + steps『ニッポニアニッポン』06/08-12こまばアゴラ劇場
TextExceptPHOENIX + steps(テクストエクセプトフィーニクス・アンド・ステップス)は元・小鳥クロックワーク(2005年1月に解散)の演出家、西悟志(にし・さとし)さんの新しい演劇ユニットです。『作、アレクサンドル・プーシキン』、『わが町』を観て、私は西さんの大ファンになりました。
今回は芥川賞受賞作家・阿部和重さんの小説の初の演劇化ということで、わくわくしながら初日のアゴラ劇場に伺いました。
手に汗握るストーリー展開、緊張の糸がぴーんと張り詰めた俳優の演技、次々と予想外のことが起こる演出に、体がこわばり、驚きっぱなしの1時間45分でした。こんなにドキドキしながら観劇したのはいつぶりかしら??
美術や衣裳は極シンプルで、目に、耳に入ってくるのはとにかく生身の人間としての役者さん達です。声と体、そして言葉が連射される銃の弾丸のように観客に降り注ぎます。あ、そして大胆に主張する音楽も。
私は原作『ニッポニアニッポン』を読んでいません。チラシとDM、公式サイトの情報だけを頼りに観劇いたしましたが、早口だけれどはっきりと伝えてくれる膨大なセリフのおかげで、ストーリーはよくわかりました。それがと~っても面白くって、「一体どうなるんだろう?!」と引き込まれたら、突然、現実世界に戻らされるような不可思議なシーンが挟まれて、「え?何だったの、今のは??」と戸惑っていると、またすぐにストーリーに戻って・・・という繰り返しで、とにかく疲れましたね(笑)。いや、面白かったんですけどね。
やっぱり西さんの思い入れというか、個人的な気持ちがみなぎっています。観ている方が気恥ずかしくなるほどのその熱意は、どうやったら昇華されるんでしょうね・・・って私が考えることじゃないんですが(笑)。他人事とは思えなくするその存在(作品)に、私はまた心を奪われたのかもしれません。
役者が汗だくになって、大きな声でセリフをはきはきとしゃべり続けるのは三条会にちょっと似てるような気もしました。その一生懸命さが滑稽さにつながって笑えるところとかも。役者さん、大変ですよね。声と体をコントロールできる人じゃないと演出意図を伝えられないと思います。かなり苦戦されていました。
劇場でご親切にも原作の文庫本(380円)を販売してくれていたので、買って帰りました。『プーシキン』と『わが町』については原作を深く愛しつつ、内容はかなり変えていましたが、今回はそれほど解体されてはいなかったようです。この小説・・・めちゃくちゃ面白いですね。巻末に収録された斎藤環氏による解説を読むとさらに面白さ倍増。
主役の鴇谷春生(こうや・はるお)を演じたのは高橋昭安さん。ク・ナウカの役者さんなんですね。とにかくセリフが膨大で、早口でまくしたてるように熱くしゃべり続けます。圧倒されました。
ここからネタバレします。観に行く方、観に行こうかなと思ってらっしゃる方はお読みにならないでください。
“ニッポニア・ニッポン”とは、トキ(かの有名な絶滅寸前の特別天然記念物の鳥です)の学術名です。
主人公の春生(高橋昭安)は高校を中退して一人暮らしをしている18歳の男。春生の独白を中心にストーリーは進みます。彼はひどい妄想癖のあるニート(Not in Employment, Education or Training)であり、世の中のことは全てインターネットで済ませてしまう、いわゆる引きこもり少年だということが徐々に明らかになっていきます。これは原作と同じ流れです。
彼は自分の苗字「鴇谷(こうや)」の「鴇」がトキを表すことからトキにシンパシーを感じ、佐渡のトキ保護センターに行ってトキを捕獲して、開放する、飼育する、または密殺するという計画を練るのだが・・・。
中学校時代の同級生の桜(伊東沙保)に一方的に心を寄せるも、度重なるストーカー行為で思いっきり嫌われて避けられていたり、トキ捕獲のための訓練と称して夜中に無差別に人に暴力を振るったり、あれほど親近感を抱いていたトキに対しても、彼等が産卵期で交尾しまくりなことを妬んで逆恨みしたり、春生はホントに異常でお馬鹿さんなんです。
そんな主人公の行動にあきれ笑いをしつつ、言葉のシャワーにガンガン打たれながら、どっぷりとストーリーの中にのめりこんでいると、突然にその作品世界をぶち壊すシーンが現れます。
たとえば、黒服の男(大庭裕介)が「演出の西です」と言って西さんの経験談を踏まえながら、西さん思うところを話すシーンがありました。原作者の阿部和重さんおよび春生と重なるところがあるんですね。私も共感するところが多々ありましたが、シーンとしてはうまく機能しているようには見えませんでした。
中盤で、制作スタッフの女性が突然劇場に入ってきて(しかも暗転中に)、セリフを言っている役者さんを止めて、「今、テロがあって・・・云々」と客席に報告しました。あっけにとられました。あくまでも演出であり、現実世界の本当の出来事ではないということがすぐにわかればいいのですが、言葉が良くなかったですね。演出家のやんちゃはつきものですから、こういうことは制作スタッフの方から止めるべきじゃないかな。
最後に「銃を売るよ」と掲示板に書き込んだ男役で、明らかに役者さんではないであろう人物(演出家の西さんご自身)が出演されていました。すごく盛り上がったクライマックスの直後のシーンでしたので、強烈な違和感を生んでいました。彼は春生とメールで少しやりとりをしただけの男で、春生が起こした事件、すなわちこの『ニッポニアニッポン』が描く世界からは遠いところにいる存在です。その彼もまた引きこもりでネットの世界の住人なのですが、この事件をきっかけに「少し外出してみようかな」と立ち上がり、歩き始めて、終幕でした。
『プーシキン』と同様、俳優は文庫本を持って演技をしますし、『わが街』同様、出演者や観客を巻き込んで現実世界と作品をつなげる演出があります。ただ、この『ニッポニアニッポン』は現代のお話で、小説自体の構造が非常に巧妙に作られているため、磁石同士がひきつけられるがごとく没頭させられるのです。内容がすっごく面白いんです。だから突然その流れが止められると「え?なんで?止めないで欲しいな~っ」と思ったりしました。ストーリーが面白すぎるのも難点ですね(笑)。
音楽が・・・またもや私のツボ、というか、ちょうどアゴラ劇場へ行く道すがらiPod miniで聞いていた曲が2曲も流れるというマッチ振り(笑)。音楽に合わせてセリフを群読するシーンも数回あって、それはそれは楽しかったです。お稽古はもっと必要かと思いますが。
西さんは今公演初日の6月8日(水)がお誕生日で、31歳になられたそうです。うーん同じ世代だ(もっともっとお若いと思っていました)。だからなのかはわかりませんが、とにかくいつも音楽(選曲)が私好みなんです。下記、個人的な備忘録として書いておきます。
オープニングはバッハ(のようなバロック音楽)でした。ロックミュージックに編曲されてましたけど。無差別暴行シーンではたしかMichael Jackson"Beat It"が。Frank Sinatra"My Way"はどこだったか忘れましたが、とにかく自意識過剰で妄想癖のある春生にはぴったり。
はっぴいえんど"風をあつめて"とCarpenters"Top of the World"が交互にかかる佐渡旅行シーンは、突然にわざとらしいぐらいののんびり穏やかなムードが生まれて、頭が変になりそうでした(笑)。
Bob Dylan"Blowin' in the wind"はカバーバージョンと原曲が使われていました。「運命とは全く無意味なものだ」「どのみち風が吹くさ」というセリフが響きます。原作にもばっちり引用されているQueen"Bohemian Rhapsody"は、曲は流さずに、刺された方の男がぐったり床に倒れたまま歌うのが渋かったです。
日本語のポップス(男性ヴォーカル)ですっごく場面に合っていたのがあったのに(客席からも笑いが出てましたが)、知らない曲でした。残念。
作:阿部和重 演出:西悟志
出演:伊東沙保(ひょっとこ乱舞) 大庭裕介(青年団) 河野泰士(東大) 高橋昭安(ク・ナウカ) 濱崎由加里(フリー) 宮城未蹴
照明:仲嶺慧 音響:江村桂吾 衣装:齋藤円佳 舞台美術:斎田創+突貫屋 宣伝美術:京 世話役:宮城未蹴 制作:岩佐暁子
予約・当日共:2,500円 リピーター割引ほか各種割引あり ※詳細は劇場にてご確認ください。
劇団:http://tepsteps.com
劇場内:http://www.letre.co.jp/agora/line_up/2005_6/nipponia_nippon.html
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2005年06月07日
AGAPE store『仮装敵国 ~Seven 15minutes Stories~』06/07-12サンシャイン劇場
松尾貴史さんとG2さんの演劇ユニットAGAPE store(アガペー・ストア)の第10回公演は、倉持裕、ケラリーノ・サンドロヴィッチ、後藤ひろひと、故林広志、千葉雅子、土田英生、長塚圭史という豪華な脚本執筆陣を迎えてのオムニバス・ストーリーズです。
G2プロデュースホームページから当日券予約をして伺いました。めちゃくちゃ便利ですね!
“Seven 15minutes Stories”という副題にもありますように、約15分間のショート・ストーリーの7本立てです。ダンスと歌(レビュー?)が間に入ったので短編としては9つありました。上演時間は2時間ぴったり。
戦争やテロなどの社会問題を題材にした短編が多めでしたね。タイトルが『仮装敵国(仮想とみせかけて仮装』ですし、もともとがそういうイメージだったのでしょうか。
私の好みとしては倉持裕さんの作品が一番良かったかも。コントとして爆笑できたのはケラリーノ・サンドロヴィッチさんの作品です。一番ブラックだったのは千葉雅子さんの作品・・・だと思います。
辺見えみりさんのハスキーボイス、好きだわ~。演技はもうちょっと柔らかさがあるといいなと思いました。
S席当日券は5300円だったんです。ちょっと高かったかな~。サンシャイン劇場も遠いし・・・。
ここからネタバレします。
上演された順番に簡単なあらすじと感想を少々。
【長塚圭史作品】
バス爆破テロで多くの人が死に、男(松尾貴史)は妻(辺見えみり)の遺体確認に来たのだが、死んだはずの妻が起き上がって話しかけてきて・・・。
→ちょっと深刻そうなスプラッタホラーかなと思いきや、夫がファッションヘルス嬢と浮気をしているのを妻が責めるという、夫婦の痴話げんかに発展したのが楽しかったです。。
【倉持裕作品】
怪しげな自己開発セミナー(?)の受講生達。自分の身体は「肉人形」だと思い込んで、それを操る修行をしている内に、自分ではなく他人の身体を動かすことができるようになり・・・。
→シュールでした。最後に「私は?(一体私はどこにいる?私は誰なんだ?私は何なんだ?)」というところに行き着いた時は舞台にひんやりした空気が生まれました。このお話が一番好きだったかも。
【井手茂太作品】
いつものイデビアンダンス。短編と短編をつなぐスパイスにぴったりですよね。でも踊りにキレがなかったな。
【土田英生作品】
敵の城に乗り込もうとする忍者達。実は仲間の中にスパイがいて・・・。
→オチがわかっていて楽しめる作品でした。辺見えみりさんの紅一点かと思いきや、ヒゲ面のコング桑田さんも“くのいち”役だったのは可愛かったです。
【千葉雅子作品】
放射性物質処理場で働く男達(コング桑田、福田転球、久ヶ沢徹)。
→苦手でした~。怖くって~。アドリブなのか仕込まれたネタなのかはわかりませんが、役者さんが素で笑うのがウケていました。久ヶ沢徹さんかわいい。
【故林広志作品】
閣議を行っている会議室。なんと盗聴されていることが判明したため、トップシークレットをすべて暗号に変換して話すことになった。
→暗号がすべてデート用語(夜景のきれいなレストラン、あの娘に首っ丈、ラブラブ等)になっているのが笑えるのですが、もっとコント風にやってもらえたらなぁと思いました。親族代表のコントと比べちゃったんですよね、つい。
【井手茂太・佐藤史朗作品】
“インドア派(?)”の歌に合わせて踊ってらっしゃいました。
【後藤ひろひと作品】
戦場。爆弾を持ったまま動けない兵士(福田転球)のところに、ニトログリセリンを運ぶ兵士(松尾貴史)がやってくる。
→わかっちゃいるけど笑わずにはいられない。タイミングがいいんですよね。「あ、地雷踏んだ」が最高。
【ケラリーノ・サンドロヴィッチ作品】
温泉旅館の和室。不倫相手の若い女に別れ話を切り出す男(松尾貴史)。女(辺見えみり)は逆上し、旅館の仲居(春風亭昇太)と組んで男を毒殺する・・・というサスペンスドラマの撮影現場。
→スイッチが入ったように爆笑させていただきました。ケラさんのナンセンスな笑いにはやっぱりはまっちゃう。松尾貴史さんの自然なつっこみと八十田勇一さんのきまじめなボケが良かったです。
カーテンコールで『BIGGEST BIZ~最後の決戦!ハドソン川を越えろ~』の予告をしてらっしゃいました。2006年1月に東京は本多劇場、2月に大阪はシアター・ドラマシティ(梅田芸術劇場)、そのほか北九州芸術劇場など多地域ツアーです。
脚本:倉持裕/ケラリーノ・サンドロヴィッチ/後藤ひろひと/故林広志/千葉雅子/土田英生/長塚圭史
演出・構成:G2 振付:井手茂太
出演:松尾貴史/辺見えみり/コング桑田/八十田勇一/福田転球/久ヶ沢徹/春風亭昇太
美術:加藤ちか 照明:倉本泰史 音楽:佐藤史朗、G2 音響:内藤勝博 スタイリスト:遠藤百合子 演出助手:山田美紀 舞台監督:榎太郎 宣伝美術イラスト:五月女ケイ子 宣伝デザイン:鳥井和昌 web:川村公一、酒井元舟、橋本徹子 制作:尾崎裕子、伊東妙子、藤野和美 プロデューサー:大西規世子 制作総指揮:G2 主催:日本テレビ(東京公演)・読売テレビ(大阪公演) 制作協力:古舘プロジェクト 企画:AGAPE store 主催・企画制作:ジーツープロデュース
前売り:S席5000円 A席4800円 当日:S席5300円 A席5000円
≪大阪、東京≫
G2プロデュース内:http://www.g2produce.com/agape/10/
ぴあ特設:http://www.pia.co.jp/mail/play/050322.html
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2005年06月06日
ポかリン記憶舎『短い声で』06/04-06東京デザインセンター・ガレリアホール
東京デザインセンターのガレリアホールというと、ク・ナウカの『サロメ』をはじめ、何度か演劇公演で観に行ったことがありますが、ポかリン記憶舎が使うなら絶対行かなきゃ!な、クールな空間です。
ものに命が宿って人の心と響きあい、言葉や意味が介在しない光に満ちた世界が立ち現れます。東京公演は本日6/6(月)まで。
私は“もの”には命が宿っていると考えている人間です。見つめたり触ったりした時にそれを愛したり憎んだりしたら、その瞬間に命が吹き込まれると思うし、また、道端に転がっているコンクリート片や鮮やかな緑に萌える街路樹にも、目に入った時にそれらには心があると感じます。当然ながら絵画やオブジェ、音楽、書物などの芸術作品やお料理など、人間が作った“もの”には全て、作った人の心が宿っているとも信じています。
今作品では、人の心が宿った“もの”が発するオーラを目で見て肌で感じ、その“もの”と人とが一緒になって新たに生み出される世界に触れることができました。
受付はいつもの通り和服美人が品良く迎えてくれます。整理番号順に入場して地下へと降りたら、そこは前衛芸術作品を展示するきれいなギャラリーでした。高い天井と優しいアールがきいた白い壁につつまれた、おしゃれで静かな空間です。
席についてから開演するまでのしばらくの間、客席では誰も声を出しませんでした。木製の大きなオブジェが2つ展示され、和服を着た女性が2人ただそこに立っているだけで、あまりにその空間は完成していました。声を出したり音を発することで、誰もその空間を壊したくなかったのだと思います。作り手と観客が一緒に作り出した世界にこの身を漂わせ、お芝居が始る前から私は幸せでした。
ストーリーは後半でちょっと詰め込みすぎな感はありますが、現れない天才アーティストと彼の作品と、それらを取り巻く人々の想いが空間いっぱいに満ち満ちて、ほんの小さな音や色の変化にも心を震わせられ、胸を熱くさせられるお芝居でした。
ここからネタバレします。
舞台は新進造形美術家の星野の展覧会初日を明日に控えた美術館。星野の後輩の森(日下部そう・男)と林(市川梢・女)は、照明デザインを担当している星野の同僚の椎名(三村聡)の指揮の下、尊敬する大先輩である星野の作品を、大切に扱いながら搬入・設置していた。
星野を取材するためにケーブルテレビ局のレポーター(中島美紀)が訪れ、4人で談笑しながら星野の帰りを待っていると、椎名の携帯が鳴った。星野が交通事故に合い、病院に運ばれたというのだ。
椎名の意向で星野の事故のことは隠しとおすことになり、展覧会は星野が不在のまま開催された。
登場しない主人公の星野の分身として、彼が作った鯨の形をした大きなオブジェが舞台中央に置かれています。人々はそのオブジェを見て、触って、もう会えない星野と対話します。出てくる人たちがみな星野のことを話すので星野の人物像が徐々にはっきりとしてくるのですが、特に同僚の椎名が話したことに端的に表されていたように思います。「自分が波打ち際で遊んでいる間に、星野は何度も潜っては作り、潜っては作りしてきた(セリフは正確では在りません)」。
一人一人の在り方や心情がとても細やかに伝わってきて、涙が溢れてしまう瞬間が何度もあったのですが、心に一番響いたシーンは、星野が植物人間状態になってしまってから2週間たった頃、林(市川梢)が星野の作品に触れたり、ほおずりしたり、上に乗って寝転んだりしながら「(星野に)会いたい」と胸から搾り出すような声を漏らしたところです。特に音響や照明に変化もないシンプルなシーンでしたが、私はオブジェに宿った星野を感じ、そこに林の思いが注がれて、オブジェが一瞬息づいたように見えました。
終盤になってなぜか登場人物が続々と増えます。元恋人が海外からはるばる現れたり、タイミングよく彼の作品を永久に展示しようとする財団の人間がやってきたり、そこまでしなくてもなぁと思いました。星野の母親が現れたところでお話は終わって欲しかったです。もっと言えば、スタッフ3人とピザ配達の少年、テレビ局のレポーターの5人芝居でも良かったのではないでしょうか。そこまででも十分に世界は生まれ、完成していたと思います。
でも後から登場した役者さん達も魅力的だったんですけどね。特に財団に勤める市村役の山内健司さん(青年団)は、天才アーティストの星野マサルの作品と出会って自分の人生が変わってしまったことが、演技からはっきりとわかりました。ここに登場する人物全員がそうなんですよね。星野との出会いが命に触れて、自分の世界が全く違うものに変化してしまった人たちの集まりだと思います。
≪言及ブログ≫
fringe blog
目には青葉
デジログからあなろぐ
藤田一樹の観劇レポート
LIVESTOCK DAYS
ほぼ観劇日記
もし、満月が銀色の太陽だったら
◎◎◎鳩の目日記◎◎◎
on Wednesdays
100字レヴュー
作・演出=明神慈
出演=田上智那/中島美紀/日下部そう/三村聡(山の手事情社)/市川梢/桜井昭子/山内健司(青年団)
音楽=木並和彦 舞台美術=杉山至×突貫屋 舞台美術=寅川英司×突貫屋 照明=木藤歩(balance.Inc) 音響=尾林真理 演出助手=冨士原直也 櫛田麻友美 写真=松本典子 AD=松本賭至 衣裳=フラボン 製作=ポかリン記憶舎 フラボン 主催=高知県立美術館(高知県文化財団)
前売り3000円 当日3500円 学生2500円(要学生証) 和服割引:2500円
≪東京、高知≫
ポかリン記憶舎:http://www.pocarine.org/
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2005年06月05日
流山児★事務所『戦場のピクニック・コンダクタ』06/03-12本多劇場
燐光群の坂手洋二さんがご自身の作品を改訂書下ろしされて、流山児祥さんが演出。ク・ナウカの美加理さんが出演されるので気になっていました。
幕が開いた時から、頭の中にはてなマークの連続でした。本多劇場であの殺風景な舞台装置じゃあつらいなぁと思います。もっともっと小さい劇場ならば、あの大きな木のセットも映えたんじゃないでしょうか。
ここからネタバレします。
お話の内容、ほとんど覚えてないです。なぜ?とか、どうして?とか、何のために??とか考えるばかりになってしまって、後はうつらうつらとなってしまって・・・ごめんなさい。上演時間は1時間45分ぐらいだったと思うのですが、最後の15分間ぐらいは面白く拝見いたしました。「ピクニック・コンダクタを探していたのだが、それは自分自身のことだった」というのに引き込まれました。あらためて戯曲を読んだらいいのかな。
もともとの作品名は『ピクニック・コンダクタ』なので、今作品では『戦場の』が追加されていますね。戦場を想像させる衣裳、小道具、音響、演出などが沢山ありました。でも、全体から見るとアイデアどまりだった印象です。
塩野谷正幸さんと保村大和さんがペアになって演じられていた「自分で自分が何をしだすかがわからない」二人が面白かったので、もっと活躍してくれたらなぁと思いました。
インドネシアとのコラボレーションというのは、舞台上で楽器を演奏をされていた方がインドネシアの方だったと思うのですが、なぜわざわざインドネシアの音楽家と一緒に創作をしたのか、意図がわかりませんでした。KONTAさんのサックス(だったかしら・・・それも曖昧)は聴き応えがありましたけど、音楽が作品と合っていたとは思えなかったです。あと、水色のドレスを着て踊ってらした女性がもしかするとインドネシア人の出演者のIndah Pancaさんなのかしら。ダンスは力強くてお上手だったかと思うのですが、作品に必要だとは思えませんでした。
美加理さんは相変わらず動きも声も美しくて、じーっと彼女ばかり見つめていました。
日本・インドネシア コラボレーション企画Vol.1
脚本:坂手洋二(1991年「ピクニック・コンダクタ」改訂書下ろし) 演出:流山児祥
出演:若松武史 KONTA 塩野谷正幸 美加理(ク・ナウカ) 保村大和 小川輝晃 伊藤弘子 横須賀智美 木内尚 小林七緒/Indah Panca(インドネシア) 瓜生正美(特別出演)
音楽・演奏:Yennu Ariendra (インドネシア)+KONTA 演奏:Muhammad Arif Purwanto(インドネシア) 振付:北村真実 衣裳:羊屋白玉(指輪ホテル)舞台美術:水谷雄司 照明:沖野隆一 音響:島猛(ステージ・オフィス) 舞台監督:北村雅則 宣伝美術:サワダミユキ 宣伝写真:村田憲治 制作:米山恭子
前売り4,200円 当日4,500円 学生2,500円
流山児★事務所:http://www.ryuzanji.com/
フェニーチェ歌劇場日本公演2005『真珠とり』05/18, 20オーチャードホール
火災から完全復活したイタリアのフェニーチェ歌劇場の来日公演。主要歌手だけでなくコーラスもオーケストラも全てやってくる、いわゆる引越し公演です。世界の有名歌劇場の引越し公演がこんなにいっぱいあるのって日本だけらしいです。久しぶりに劇場前でダフ屋さんを発見。
『真珠とり』はビゼー作曲のフランスオペラです。ビゼーは『カルメン』が有名ですよね。
あらすじはこちらでどうぞ。村の頭領ズルガと漁夫ナディールが、巫女のレイラを取り合う三角関係の悲恋物語です。
休憩が1回だけでそれほど長くないオペラでした。なのに前半は寝ちゃったんですよね・・・ごめんなさい。コーラスは素晴らしいんだけどソロがあんまり・・・でも前半の最後のソプラノ(アニーク・マッシス)のアリアは素晴らしかったです。上品でしっとり、抑制の効いた優しい歌声でした。今後の彼女の来日公演は観に行きたいかも。
後半はストーリーも山場を向かえ、ソプラノがさらに大活躍。泣けちゃいました・・・。これだからオペラは止められないんですよね、チケットが高くても。声だけで体が震えて、頭が熱くなって、涙が出ちゃう。
そうそう、コーラスが凄かったです(引越し公演だからこその醍醐味)。きっとコーラスとして出演している一人一人の歌い手さんが相当な実力のある方々ばかりなのでしょう。大合唱の時のあの声量には圧倒されました。ギリシア悲劇のコロスみたい。
ストーリーは王道の悲恋ものだったんですが、最後のどんでん返しに完全にヤラれました、私。「ええ!そ、そうだったの!」って。そして頭領ズルガが孤独にたたずむラストシーンは美しかった。
演出は全体的にちょっと地味かなと思いましたが、バレエダンサーが数人で踊るシーンが多く、そのダンスが巧かったのでそれだけでも楽しめました。
私が座ったのは下手際の2階席だったんですが、ずずいと前方にせりだしている3階の客席の陰になって舞台のおよそ3分の1が見えませんでした。舞台中央にテンプルのような建物があるのですが、それがほとんど見えなかったんです。なのにS席なんですよ!これは・・・苦情を言いたくなります。
Bunkamuraの公演ページは本当に充実していてありがたいです。これがアーカイブとして半永久的に残ってくれれば最高!
≪大津・東京・名古屋≫
指揮:ギヨーム・トゥルニエール 演出・装置・衣装:ピエル・ルイージ・ピッツィ
レイラ:アニーク・マッシス(ソプラノ) ナディール:中島康晴(テノール) ズルガ:ルカ・グラッシ(バリトン) ヌラバッド:ルイージ・デ・ドナート(バス) ほか
主催:朝日新聞社・TBS・Bunkamura
S席43000円 A席38000円 B席33000円 C席28000円 D席22000円 E席16000円 F席9000円(税込)
フェニーチェ歌劇場日本公演2005:http://www.bunkamura.co.jp/orchard/event/fenice/
『真珠とり』:http://www.bunkamura.co.jp/orchard/event/fenice/perl.html
2005年06月04日
ブラジル『偽装』06/01-06下北沢OFF OFFシアター
ブラジリー・アン・山田さんが作・演出する企画ユニット ブラジルの最新作は、なんと二人芝居の2本立て。3編の二人芝居で一つの作品になっており、一つが『偽装』、もう一つが『辻褄』です。その2作品が交互上演されています。『偽装』と『辻褄』は完全に独立した内容なので、両方観た方がストーリーが深くわかるというのではありません。単純に計算すると6本の二人芝居を書いたことになりますね。
まずは『偽装』を観てまいりました。
サスペンスタッチの緊張感溢れる1時間30分でした。どの話も、登場人物2人がどんな関係で、それぞれがどういう人間なのかは最初はわからないようになっており、互いに探り合いながら言葉を交わしていくうちに、徐々に素性があらわにされていくので、観客はいやおうなしに話に引き込まれていきます。また、3話がつながったストーリーなので、第1話に出ていた2人の世界が、2話、3話と進むにつれ補完されていくのが凄く面白いです。
2人芝居は脚本はもちろんですが、役者さんの力量が問われますよね。特にこの作品はギャグやキャラクター勝負ではなく、お話のバックグラウンドと人物像、そして2人の関係性ににスポットが当てられているので、見ごたえのある真剣勝負の演劇でした。笑いもほとんどなかったですね。
第3話の完成度が非常に高かったです。手に汗握る対話でした。出演者は辰巳智秋さんと桜子さん。辰巳さんはブラジル所属の唯一の俳優で、色んな劇団に客演してご活躍されています。体型も含めて強烈な個性の持ち主ですが、演技も巧い!これからグリング、KAKUTAに客演されます。相手役の桜子さんも演技がしっかりしていて、辰巳さんとの間にコミュニケーションがきちんと生まれていました。燐としたセクシーな佇まいにも見とれました。どこかで観たことのある女優さんなのですが、思い出せないなぁ。『ニセS高原から』の三浦演出版に出演されるんですね。
ここからネタバレします。
舞台は真っ白な壁に囲まれた小さな四角い部屋。白いテーブルと白い椅子が2脚。モダンで清潔なイメージ。
第1話:夫婦(出演:冠仁・市村美恵)
ずぶぬれで夫が帰宅する。テーブルの上には空になったビール缶が1本。妻はテーブルに突っ伏して寝ていたが、夫を快く迎える。夫は妻に酒を飲むなと注意する。妻は夫になぜ濡れているのかと聞く。夫はコンビニで傘を盗まれたから、大雨の中を濡れて帰ってきたという。話している内に、夫には性犯罪の前科があることがわかってくる。雨の中、コンビニで見かけた女子高生を追いかけて、暗い空き地に連れ込み暴行したのではないかという疑問が沸く。夫の言動があやふやなので、どこまでが本当なのかわからない。妻は酒が飲みたいと連呼して・・・。
うーん、どうも2人が夫婦に見えなかったんですよね。関係としては実際のところ冷え切っているのですが、昔はラブラブだったんでしょうし、もうちょっとお互いを深く知っている者同士であることを表した方が良いのではないでしょうか。
夫は実はインポテンツで、女を暴行している時、もしくは女が暴行されるのを見ている時にだけそれ(インポテンツ)が治るという、つまり彼にはそういう性癖があるというエピソードは刺激的で説得力があって良かったです。
一箇所ものすごく笑えたところがあったんです。残念ながらセリフは覚えてないんですが、あの呼吸ってすごくブラジルらしい、独特の魅力だと思います。シリアスな作品でしたが、もっとああいうブッ飛んだ瞬間があればさらに良くなったのではないかと思います。
第2話:女友達(出演:平澤晃奈・高橋優子)
一人暮らしの若い女の部屋に昔の女友達が突然訪ねてきた。北海道で看護士をやっていたが仕事にあぶれたので実家に帰ってきたと言うが、どうやらわざわざ訪ねてきた理由は他にあるらしい。
女同士の腹の探り合い、醜いですね~。女同士の罵り合い、激しいですね~。2人のコンビネーションがうまくいったりうまくいかなかったり、演技にはところどころ穴がありました。でも、ミーハー気分もありつつ超楽しく拝見しました。女心をよく見抜いたセリフの応酬です。「月1回でもいいから優しくされたい(抱かれたい)」と言うカワイイ女の子(高橋優子)には、不思議にリアリティーがあり、気を引くために「見知らぬ男に暴行された」と嘘をつくタイプに見えました。
第3話:取り調べ室(出演:辰巳智秋・桜子)
取り調べ室に疲れきった刑事が一人。そこに見るからにキャリア・ウーマンな女が入ってくる。女はその刑事を取調べに来た捜査官だった。捜査官は刑事のいい加減な仕事振りを指摘し、刑事は彼女に向かってどんどんと話し続ける。自分の仕事、家庭、そして幼い頃のことを。そして捜査官は刑事に「私のことを覚えていませんか?」とたずねた。
ものすごく面白かった!こういうのを演技の醍醐味って言うんだと思います。机の上のランプを効果的に使っていましたね。このシーンが観られただけでもこの二人芝居企画には満足ですね。
ひとつだけ難を言えば、捜査官が第1話に出てくる“夫”の姉だったというのはちょっと弱いかな、と。第2話の看護士も彼の妹でしたよね。もうちょっとドロドロしてたり殺気立ってたりする関係の方が面白いんじゃないかと思いました。
作・演出:ブラジリィー・アン・山田
照明:シバタユキエ 音響:玖島博喜(TEAM URI-Bo) 舞台監督:鈴木たろう 宣伝美術:川本裕之 制作:恒川稔英・ブラジル事務局
『偽装』出演:辰巳智秋 桜子 冠仁(Attic Theater) 市村美恵(水性音楽) 高橋優子(チーム下剋上) 平澤晃奈
*2作品を交互上演。1作品は3つのふたり芝居で構成されている。
前売り2300円 当日2500円 ★<初日&平日マチネ割引>前売当日ともに2000円 共通チケット3600円
ブラジル:http://www.medianetjapan.com/10/drama_art/brazil/
ブラジリィー・アン・山田の活動日記「汁だし」:http://brazilyamada.ameblo.jp/
2005年06月03日
6月4日(土)夜にFM西東京「たけがき2」に出演します。
FM西東京の演劇情報番組「たけがき2」に出演いたします(毎月第一土曜日に出演)。
『その河をこえて、五月』と『桜の園 喜劇四幕』の観劇感想をお話し、6月のお薦めお芝居を5本をご紹介する予定です。
西東京市およびその周辺地域でお聴き頂けます。
6月4日(土)21:30~22:00(のうちの約10分間)
FM 84.2MHz
たけがき2(ツー):http://takegaki.k-free.net/
2005年06月02日
森崎事務所『センター街』06/01-08ザ・スズナリ
岩松了3本連続公演の第二弾。『アイスクリームマン』に続いて行って参りました。3本のうち、この1本だけは演出が倉持裕さんです。
すごい豪華キャストですよね。これで前売り3,000円は安いと思います。今日は開演20分前に劇場に着いたんですが、やっぱり当日券は完売でした。超満員です。
舞台はセンター街にあるかなり古いビル。昔は喫茶店だったようだが、なぜかそのまま放置されて廃屋のようになっている。そこに、所在の知れぬやからがたむろしている。
『アイスクリームマン』と同じように、タイミングで笑ったり、意外性にドキっとしたりする演出が多かったです。でも、それほどうまく運んでいないように感じました。まず、登場人物がそのビルにいつも居る人たちに見えづらかったです。空間と溶け込んでいないというか、しっくり来なかったような・・・。
あぁ、あのシーンが面白かったな~と思い出すのが、すごく細かい一部分なんです。私だけがツボだったかも・・・と思うぐらい些細なところなので、本当はもっともっと良くなるんじゃないかな、と。まだ全力発揮できてないんじゃないかな、という風に感じています。たぶん公演の後半になるとそれがうまく表れてくるのではないでしょうか。
警官(粕谷吉洋)と学生(ぼくもとさきこ)がケンカ腰で大声で話すシーンで、「うん、それ私もそう思う!」とすごく同意した言葉があったんですが、忘れちゃった・・・(涙)。なんかそういうのが多いです、岩松さんの作品って。私はすぐに聞き流しちゃうの。もったいないですよね(涙)。
玄関のドアが開く度に渋谷の喧騒の音が鳴るのが良かったです。雨音と雨を表す青い照明が使われたことが一度ありましたが、ドアが開いた途端に雨音が消えて、照明も室内を表すものに変化しました。後からわかったのですが、その直後のシーンって、ドアから入ってきた男ともともと部屋にいた女とのラブシーンだったのよね、たぶん。
ビルの持ち主の娘役の太田緑・ロランスさんが、美しいお顔でバシっときついことを言うのが面白かったです。
町田マリーさん、色白ですね。声も美しかったです。玉置孝匡さんが「色っぽい声だ」と言うのに私も納得でした。
作:岩松了 演出:倉持裕
出演:伊藤正之/谷川昭一朗/長田奈麻/加藤啓/玉置孝匡/ぼくもとさきこ/町田マリー/ノゾエ征爾/富岡晃一郎/粕谷吉洋/羽柴真希/佐藤銀平 /太田緑・ロランス/北川智子
舞台監督・舞台美術:武藤晃司 照明:鈴木みづほ 音響:高塩顕 衣裳:今村あずさ 演出助手:相田剛志
料金:前売り3000円/当日3300円
森崎事務所 M&Oplays:http://www.morisk.com/
岩松了3本連続公演:http://www.morisk.com/iwamatsu.htm
2005年06月01日
山の手事情社『銀河鉄道の夜』06/01-05東京芸術劇場 小ホール1
山の手事情社は安田雅弘さんが構成・演出される劇団です。昨年は20周年記念で3作品連続上演をされました。本拠地は東京ですが、他地域や海外でも大いに活動されています。
満員の初日に伺いました・・・と思ったら、東京公演は完売しているんですね。
宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』を演劇化するということで、宇宙とか汽車とかを安易に想像していたのですが、全体から伝わってきたのは深い森、そしてそこに住む妖精たちというイメージでした。
いつもながらの凝りに凝った衣裳、芸術的オブジェのような美術、そして役者さんの身体能力に圧倒されながらの観劇になりました。でも、ピカっと光を放って残像が何度もよみがえるようなシーンや、ズシンと心に響く音響や、アッと驚くような照明効果など、いつもの山の手事情社の公演では何度もやってくる、生の舞台作品ならではのときめきが今回は少なかった気がします。
ここからネタバレします。
衣裳はさまざまな素材の生地が幾重にも重なって、体が倍ぐらいの大きさに見えるような大掛かりなもので、印象としてはシェイクスピアの『夏の夜の夢』に出てくる妖精王のオーベロンとその妻タイテーニアが着ているような感じかな。豪華絢爛なつくりでした。色や素材、装飾はそれぞれに違うのですが、それを出演者全員が着ているのには驚きました。こんな衣裳を全部作ったのかと思うと、ほんとスゴイです。ただ、観ている途中で感じてきたんですが、全員が同じようなフォルムの衣裳じゃなくても良かったんじゃないかしら。だんだんと誰が誰なんだかわからなくなってきちゃったんですよね。
舞台には、中央から下手にかけて、鋭利な銀色(?)の四角い枠でかこまれた箱のような空間があり、銀河鉄道の列車を表していました。上手には赤い布でふっくらと覆われた階段があり、その布の下に小さな照明がたくさん仕込まれていて、それがピカピカと点滅するのが可愛らしかったです。床には、衣裳と非常によく似た(役者が転がっていても埋もれてわからないぐらいの)布や、その他いろんなものが敷き詰められており、もこもこと全体に広がっていました。これが私には森のイメージにつながったようです。
セリフについては、宮沢賢治らしい丁寧でほんわかしたような言葉まわしが、心地よく流れました。でもだんだんと、どの役者さんがしゃべってもなぜか同じようなテンポで流れているように感じました。
一つ一つの要素を見てみればそれぞれがとても凝っていて、力が注がれているのがわかるのですが、全体を見ると、飛び出たり、グっとへっこんだりするところがなく、少し単調だったような気がします。もしかするとそれもすべて演出意図かもしれないので、私に響かなかっただけかもしれません。宮沢賢治のこと全然知らないしねぇ。
赤い衣裳を着た男女が語り部のように圧倒的に多くのセリフを話し続けるのですが、女(内藤千恵子)が『銀河鉄道の夜』の主人公のジョバンニとカムパネルラを一人で演じ、両方のセリフをしゃべります。男(山本芳郎)は「文章」という役で、セリフ以外の部分をしゃべります。女がセリフを言っている時、「文章」役の男がそれを聞く動作をしますので、セリフは女一人で話すけれど、目に見える存在としてはジョバンニとカムパネルラが両方居る状態になるのです。そのコンビネーションが面白かったです。
オープニングは列車の「シュッシュッ、シュッシュッ」という音を大人数で声に出すのがかっこ良かったです。そろそろお話が始るのかな~と思ったところで、床に転がっていた役者(山田宏平)が立ち上がり、一人で岩手県の寒中水泳の話を始めます。一体なんのこっちゃ??と思っていたら、その話の中からジョバンニ、カムパネルラ、『銀河鉄道の夜』などのキーワードがダジャレで出てきたんです。これには笑っちゃったな~。そう、こういう出っ張ったシーンがもっと欲しかったですね、私としては。
≪利賀、東京≫
構成・演出=安田雅弘 原作=宮沢賢治
出演:=山本芳郎・倉品淳子・内藤千恵子・浦弘毅・大久保美智子・水寄真弓・太田真理子・山田宏平・川村岳・斉木和洋・山口笑美・岩淵吉能・野々下孝・森谷悦子・久保村牧子・鴫島隆文・名久井守・野口卓磨・本名貴子・横田七生・植田麻里絵・中村智子・後藤かつら・根本美希
舞台美術=関口裕二(balance,inc.) 照明:木藤歩(balance,inc.) 音響=斎見浩平
舞台監督=本弘 舞台衣装=寒河江真紀(lame☆trap) 宣伝美術=福島治 演出助手=小笠原くみこ 制作=福冨はつみ 製作=有限会社アップタウンプロダクション UPTOWN Production Ltd.
当日4,500円 前売4,000円 学割3,000円
山の手事情社:http://www.yamanote-j.org/
tpt『アントン・チェーホフ 桜の園 喜劇四幕』05/21-06/08ベニサン・ピット
木内宏昌さんの新訳と熊林弘高さんの演出のチェーホフは、『四幕喜劇 かもめ』以来です。
いや~面白かった!何度となく拝見している『桜の園』ですが、ものすごく身近で、まるで私の友達が目の前に居るような気持ちになりました。演出も良かったですが、脚本を新たに書きなおしているのも大きな要因なのかしら・・・。パンフレット(1,000円)に脚本が全て掲載されています。
この作品をこれから観に行かれる方で『桜の園』をご存じない方は、原作を読まれるか、ある程度のあらすじと登場人物の相関関係ぐらいは知っておく方が良いと思います。岩波文庫の小野理子訳版『桜の園』のあらすじがこちらで簡単に読めます。印象はかなり違いますが・・・。
私がこれまでにチェーホフの『桜の園』を観た時は、「こういう時代もあったよな」としみじみと昔を振り返ったり、愚かだけれど可愛らしい登場人物たちに親しみを感じ、愛でながら、あくまでもその物語を外側から眺めている状態でした。しかしながら今回は、あるお話を受身で聞き続けるのではなく、話の中で起こる出来事に私の今の生活を当てはめたり、その登場人物たちの中に私や私の知っている人を見つけたり、まるでラネーフスカヤもトロフィーモフも、誰もが今生きている私達と同じだと感じられるような状態でした。つまり現代を舞台にした群像劇のように観ていました。
チラシのキャッチコピー「サヨウナラ、昨日。コンニチハ、明日。」にありますように、『桜の園』は財産を失って一家離散してしまう不幸な家族の話でもありますが、最後に屋敷を発つ時、彼等は希望に満ちた未来へと一歩進んだのです。その後の彼等の人生が幸せなものになったのかどうかは誰にも分かりません。それは私達と同じですよね。
ここからネタバレします。
まず美術(グレタ・クネオ)が素晴らしかったです。劇場内では幕は使われておらず、ベニサン・ピットの壁がそのまま露出している状態です。なので黒い壁につつまれた黒い空間がベースになっています。客席の方に大きくせり出した四角いステージの床は透明のパネルでできていて、よく見るとその下には黒い土が敷き詰められています。ステージは奥行きを深くとっており、舞台のちょうどド真ん中に劇場にもともとある柱が立っている状態で、床は透明のパネルがそのまま一番奥まで続いています。
せり立したステージの四隅に、長さ(高さ)がそれぞれに違う鉄の柱がそびえており、舞台のほぼ中央部分には金色の豪華な額縁がアーチのように架かっています。中世と現代が同居するイメージです。
アーチの奥は客席から少し遠いし、暗くてはっきりとは見えないのですが、とても細い金属製の棒が十数本、それぞれに斜めに傾いたりしながら舞台に突き刺さっています。長さ(高さ)はみな同じで、人の腰あたりまであります。それが遠くに広がる桜の園にも見えました。
衣裳は『四幕喜劇 かもめ』の時と同様、白と黒のモノトーンに統一されているように見せかけて、実は濃紺をポイントに使っていました。前半では白熱灯やろうそくの炎の色の照明が使われているのですが、ロパーヒンが桜の園を競り落とした時から、青白い蛍光灯の色へと変わるのです。舞台奥の棒が実は蛍光灯だったのだということもその時にわかります。舞台の前後を分ける可動式の壁の色が黒から濃紺になったり、黒に見えていたアーニャのベストが濃紺になったり、それまで金色に見えていた椅子が銀色になったり、彼等の世界が瞬時にして変わったことをとても美しく効果的に表していました。
貧乏学生のトロフィーモフ(斎藤歩)の衣裳が、たった一人だけジーンズの上下だったのも良かったです。最後に彼に付いて行く次女のアーニャ(石橋けい)も、ドレスからジーンズとニットに着替えて出て行きます。
このカップルはすごく面白かったですね。トロフィーモフはただのインテリというよりは、まるで新興宗教の信者みたいでした。「僕等は恋愛を超越しているんだ!」と言うのがものすごく板についていて、アーニャを口説くのもまるで洗脳していく過程のようでした(笑)。でも、若い頃ってこうですよね。私自身のことですが、今から10年以上前に必死で劇団の活動をしていた頃を思うと、彼らと全く変わらないと思います。
第3幕で、商人のロパーヒン(千葉哲也)が桜の園を競り落とし、女主人のラネーフスカヤ(佐藤オリエ)が泣き崩れるシーンが素晴らしかったですね。「俺がこの桜の園を買ったんだ!」と息を上げてパーティーに集まる皆に宣言しながら、今度はラネーフスカヤに近づき、彼女を抱きしめて、自分も涙を流しながら「こんなこと、早く終わってくれ。こんな行き違いだあらけの不幸せな生活、早く変わってしまえ。」と言うのです。私も涙が搾り出されました。
他にもたくさん、細かいところで共感したり、新しく発見したりすることがありました。100年前から使われている本棚が重要なメタファとして使われていましたね。演劇評論家の長谷部浩さんもこちらで書かれています。
このカンパニーのスタッフは舞台監督と振付担当の方を除いて全員が『かもめ』の時と同じですね。キャストも佐藤オリエさん、中嶋しゅうさん、中川安奈さんが引き続き出演されていますし、他の役者さんもtpt常連が揃っています。同じチームで連続して創作していらっしゃるんですね。これからもすごく楽しみです。
普通のレジャーと比べると当然ながら少し高いですが、演劇作品のクオリティーとして一般6,300円は高くないと思います。学生3,150円って・・・安いです!うらやましいっ。金額は2倍かもしれないけど、映画に行くよりtptに行く方がいいと思うな、私は。
出演:佐藤オリエ 中川安奈 石橋けい 千葉哲也 山本亨 斎藤歩 小山萌子 板垣桃子 矢内文章 由地慶伍 中嶋しゅう 真那胡敬二 二瓶鮫一
作:アントン・チェーホフ 訳:new version木内宏昌 演出:熊林弘高 美術:グレタ・クネオ 照明:笠原俊幸 衣裳:原まさみ 音響:長野朋美 舞台監督:鈴木政憲
一般6,300円/学生3,150円
tpt:http://www.tpt.co.jp/
メルマガ 2005年06月のお薦め舞台
2005年6月のお薦め舞台10本+αをご紹介します。
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“しのぶの演劇レビュー” Vol. 12 2005.6.1 429部 発行
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今、面白い演劇はコレ! 年200本観劇人のお薦め舞台♪
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◎最近の私、何が起こっても起こらなくても、かなりゴキゲンなのです。
だって、だって、花粉がなくなって、マスクから開放されたんだもの!!
あぁ、出勤時の朝の空気がこんなに美味しいなんて・・・(嬉し涙)。
◎このメルマガについて
年間200本以上の様々な舞台作品を観ている高野しのぶが発行する、
“今、東京で観られる面白い演劇”をご紹介するメルマガです。
ご登録いただきありがとうございます!
演劇は、その時その場所でしか味わえない、とっておきの感動体験です。
世界中で最も公演数が多いと言われている東京では、
毎日、たくさんの劇場で初日の幕が開いています。
そこで、過去6年間で1300本もの舞台作品を観てきた私の目で確かめて、
オンタイムでお薦め演劇情報をお届けするのが、このメルマガです。
毎月1日に私が観るお薦め公演10本のご紹介メールを配信します。
そして、実際に観に行って面白い作品に出会ったら、
その翌日の午前中までに、お薦め作品の“号外”を配信します。
これで、とっておきの公演を見逃すことはありません♪
◎今月は、お薦め10本についてチケット代を載せてみました。
2,000円代から10,000円代まで、幅広いラインナップです。
今月は何を観るか、お値段も参考にしてくださいね!
○
○○ 今回のもくじ
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◆1【今月のお薦め10本+α】
◎No.1→ パルコ/ニッポン放送
『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』
06/16-25パルコ劇場
≪東京(パルコ劇場、Zepp Tokyo)、福岡、大阪≫
http://www.parco-play.com/web/page/information/hedwig/
◆2【先月のベスト3】
◎No.1→新国立劇場演劇『その河をこえて、五月』
05/13-29新国立劇場 小劇場
≪東京→大津、富山、北九州、神戸、埼玉、ソウル≫
http://www.nntt.jac.go.jp/season/s262/s262.html
◆3【「日本におけるドイツ年2005/2006」の演劇企画】
ドイツの現代演劇の最高峰に触れられます。
◆4【発売中! キッズオペラ『ジークフリートの冒険』】
去年の夏休み、子供にも大人にも大好評だったオペラが再演!
http://www.nntt.jac.go.jp/season/s266/s266.html
◆5【編集後記】
◎映画と舞台『サマータイムマシンブルース』
◆6【このメルマガについての注意事項】
◎はじめての方はどうぞお読みくださいね♪
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◆1 【今月のお薦め10本+α】
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※★印がいちおし公演です(3本)。
※初日の早い順に並べています。
※掲載内容:主催・『題名』・日程・会場・コメント・価格・URL
1.ブラジル『偽装/辻褄』
06/01-06下北沢OFF OFFシアター
☆エロ・グロ・ロマンティックな作風で人気上昇中。
『偽装』と『辻褄』の2演目の交互上演です。
両方とも、3本の二人芝居で構成されています。
前売り2,300円 当日2,500円 ほか各種割引あり
http://www.medianetjapan.com/10/drama_art/brazil/
2.森崎事務所 M&Oplays『センター街』
06/01-08ザ・スズナリ
☆若手大注目の作・演出家の倉持裕さんが、
師匠でもある岩松了さんの脚本を演出。
小劇場出身の実力のある俳優が多数出演。
前売り3,000円 当日3,300円
http://www.morisk.com/iwamatsu.htm
★3.こまつ座『國語元年』
06/03-12紀伊國屋ホール
≪千葉ほか各地で公演後、東京≫
☆作:井上ひさし 演出:栗山民也
若手も大ベテランも揃った豪華キャストのこまつ座。
前回上演は2002年。今回で4演目です。
前売り・当日:5,250円 学生:3,150円
http://www.komatsuza.co.jp/kouen_new/index.html
4.ポかリン記憶舎『短い声で』
06/04-6東京デザインセンター・ガレリアホール
≪東京、高知≫
☆“地上3cmに浮かぶ楽園”がガレリアホールに。
独特のポかリン空間にこの身を漂わせたい。
前売り3,000円 当日3,500円 学生:2,500円 和服:2,500円
http://www.pocarine.org/mt/
5.コクーン歌舞伎『桜姫』
06/05-26シアターコクーン
☆作:四世鶴屋南北 演出:串田和美
出演:中村福助 中村扇雀 中村橋之助 ほか
襲名公演で中村勘三郎さんはいないけれど、
やっぱりコクーン歌舞伎に遊びに行きたい。
前売り・当日:12,600円~4,200円
http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/event/sakura/index.html
6.TextExceptPHOENIX + steps
『ニッポニアニッポン』
06/08-12こまばアゴラ劇場
☆芥川賞受賞作家・阿部和重さんの小説の初の演劇化。
西悟志さんのみずみずしい冒険的演出が楽しみ。
予約・当日共:2,500円 ほか各種割引あり
http://tepsteps.com/
★7.こまつ座『父と暮せば』
06/14-15紀伊國屋ホール
≪東京、千葉、広島、山形≫
☆出演・辻萬長、西尾まり
私は千葉公演を友人と一緒に観に行きます。
いつか親と、子供と、孫と観に行きたい永遠の傑作です。
前売り・当日:4,200円 学生:3,150円
http://www.komatsuza.co.jp/kouen_new/titito.html
去年のレビューはこちら↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2004/0804012306.html
8.チーム申+三鷹市芸術文化センター
『時には父のない子のように』
06/08-15三鷹市芸術文化センター 星のホール
≪東京、京都≫
☆出演:佐々木蔵之介、佐藤隆太
佐々木蔵之介さんが演劇個人ユニット“チーム申”を旗揚げ。
脚本・演出の蓬莱竜太さんは8月に舞台化される
『世界の中心で、愛をさけぶ』の脚本も手がけられています。
前売り:4,000円 当日:4,500円 ほか各種割引あり
http://mitaka.jpn.org/voice/play.shtml
★9.パルコ/ニッポン放送
『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』
06/16-25パルコ劇場
≪東京(パルコ劇場、Zepp Tokyo)、福岡、大阪≫
☆三上博史さん主演のROCK MUSICALの再演です。
もともとはアメリカの舞台作品で、映画化もされています。
前売り・当日:9,000円(パルコ劇場)
前売り・当日:8,000円~6,000円(Zepp Tokyo)
http://www.parco-play.com/web/page/information/hedwig/
初演のレビューはこちら↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2004/0520113259.html
●お薦めポイント●
三上博史さんのヘドウィグは必見!
2004年しのぶの観劇ベストテンのNo.1男優でした。
リピーター続出の公演で、私も2度観ました~(笑)。
10.ホリプロ/テレビ東京『愛と幻想のシルフィード』
06/23-07/10東京芸術劇場 中ホール
☆『くるみ割り人形』『白鳥の湖』で有名なマシュー・ボーンさんの新作。
映画俳優のウィル・ケンプさんがダブルキャストで主演。
出演:ニュー・アドベンチャーズ
前売り・当日:13,000~5,000円
http://www.LA-SYLPHIDE.INFO/
+α(ダンス公演です)
KIRIN DANCE NETWORK 二十一世紀舞踊
『禁色(きんじき)』
06/08-11世田谷パブリックシアター
☆出演:白井剛 伊藤キム
伝説の舞踏『禁色』(原作:三島由紀夫)を再構築。
師弟コンビによる超セクシーなダンスが期待できます。
前売り・当日:4,000~3,500円 ほか各種割引あり
http://www.setagaya-ac.or.jp/sept/jouhou/05-2-4-2.html
◎しのぶの今月の全予定(27本+α)はscheduleに掲載しています。
キャスト・スタッフ情報あり!
http://www.shinobu-review.jp/schedule.html
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◆2 【先月のベスト3】
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1.新国立劇場演劇『その河をこえて、五月』
05/13-29新国立劇場 小劇場
≪東京→大津、富山、北九州、神戸、埼玉、ソウル≫
http://www.nntt.jac.go.jp/season/s262/s262.html
☆国も歴史もこえて、人と人とが通じ合おうとする姿に感涙。
私もソウルの大河のほとりに居るような気持ちになりました。
*号外はこちら↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/0527015924.html
2.万作の会+(財)せたがや文化財団『まちがいの狂言』
05/08-22世田谷パブリックシアター
http://www.setagaya-ac.or.jp/sept/jouhou/04-2-4-78.html
☆狂言 meets シェイクスピア。野村萬斎さんの演出が冴えます。
一生に一度は観ておきたい、日本が世界に誇れる傑作喜劇。
*レビューはこちら↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/0524153120.html
3.KAKUTA『南国プールの熱い砂』
05/11-15青山円形劇場
http://www.kakuta.tv/nangoku/
☆誰もが胸の奥にひっそりと持っている幼い頃の悲しい思い出、
切ない恋、そして引き返せない現在進行形の人生。
作・演出の桑原裕子さんの優しい視線に胸が熱くなりました。
*号外はこちら↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/0513121725.html
◎先月は大当たりの月でした。ベスト3に入らなかった作品も
ちょっとご紹介いたしますね。
・大人のミュージカル『ナイン』↓はただいま上演中です。
tpt『nine THE MUSICAL』05/27-06/12アートスフィア
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/0528003838.html
・同じくtptの『桜の園~喜劇四幕~』を昨日観てきたんですが、
ものすごく面白かった!チェーホフを現代劇として堪能できました。
ベニサン・ピットで6月8日(水) までです。
詳細はこちら→ http://www.tpt.co.jp/top/sakura/index.html
◎メルマガのバックナンバーはこちら↓で全て公開中!
http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000134861
メルマガ号外は誰が観ても楽しめそうなものを選んで発行しています。
5月は『その河をこえて、五月』と『南国プールの熱い砂』の2本でした。
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◆3 【「日本におけるドイツ年2005/2006」の演劇企画】
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「日本におけるドイツ年2005/2006」は、文化、科学、経済の3つの分野で
日本にドイツを紹介する企画で、ドイツ関係のイベントが目白押しです。
公式サイト→ http://www.doitsu-nen.jp/index_JA.html
ドイツの現代演劇の最高峰を日本で観られるこの機会をぜひお見逃しなく♪
◎ベルリナー・アンサンブル
『アルトゥロ・ウイの興隆』
06/22-30新国立劇場 中劇場
前売り・当日:7,350円~1,500円
http://www.nntt.jac.go.jp/season/s267/s267.html
※新国立劇場の海外招待作品の第4段です。
ドイツで既にご覧になった演劇ジャーナリストさん曰く、
「主役のウイを演じるマルティン・ヴトケがとにかく必見。
あんな俳優は日本には居ません。」とのこと!
◎シャウビューネ劇場 2作品連続公演
『ノラ~イプセン「人形の家」より~』
06/17-21世田谷パブリックシアター
≪東京、長野≫
前売り・当日:5,000~3,000円 ほか各種割引あり
http://www.setagaya-ac.or.jp/sept/jouhou/schaubuehne/nora.html
『火の顔』
06/24-26世田谷パブリックシアター
前売り・当日:5,000~3,000円 ほか各種割引あり
http://www.setagaya-ac.or.jp/sept/jouhou/schaubuehne/fireface.html
※私はどうにかして両方観たいと思っています。
舞台写真を見るだけでもかなり期待しちゃってます。
◎ピナ・バウシュ ヴッパタール舞踊団
『ネフェス(呼気)』
06/11-16新宿文化センター 大ホール
前売り・当日:13,000円~5,000円
http://www1.ocn.ne.jp/~ncc/
※ダンス公演です。
ピナ・バウシュは日本でもお馴染みですね。
楠田枝里子さんの著作『ピナ・バウシュ中毒』も有名。
http://7andy.yahoo.co.jp/books/detail?accd=31200615
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◆4 【発売中! キッズオペラ『ジークフリートの冒険』】
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“絶対お薦め!!”の舞台のチケット情報です。
去年の夏休みに子供にも大人にも大好評だった、新国立劇場のキッズオペラ。
美術や衣裳、演出がサイコーに楽しくて、メルマガ号外↓を出しました。
http://backno.mag2.com/reader/BackBody?id=200408071420000000134861000
“アーツシャワー2005-オペラシティの夏祭り-”も開催されますので、
劇場に行くだけでも楽しいこと間違いなし♪
◎新国立劇場『こどものためのオペラ劇場
ジークフリートの冒険~指環を取りもどせ!~ 』
07/30-08/01新国立劇場 中劇場
(全1幕・日本語上演)
公演情報↓
http://www.nntt.jac.go.jp/season/s266/s266.html
去年のレビューはこちら↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2004/1003111403.html
≪タイム・テーブル≫
7/30(土)11:30 / 15:00
7/31(日)11:30 / 15:00
8/ 1(月)11:30 / 15:00
※開場は開演の30分前です。
予定上演時間:約1時間(休憩なし)
≪チケット価格≫
全席指定で、大人も子供も2,100円!(激安!!)
(小・中学生向けの公演なので4歳未満は入場不可)
≪一般の大人も購入できます(残席ありの場合)≫
4歳から中学生までのお子様と同伴の大人のみ入場できるチケットですが、
残席があった場合は大人だけでも入場できる一般券が発売されます。
一般前売り開始:7月9日(土)10:00~
※お問い合わせはこちらへ↓
新国立劇場ボックスオフィス
03‐5352‐9999(10:00~18:00)
http://www.nntt.jac.go.jp/season/boffice/index.html
★子供向けといえば“子供のためのシェイクスピア”もお忘れなく♪
新作『尺には尺を』夏休み全国ツアーのチケットが発売中です。
詳細はこちら→ 華のん企画
http://canonkikaku.com/index.html
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◆5 【編集後記】
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◎観た友人から「お世辞抜きでめちゃくちゃ面白かったよ」との口コミ。
映画『サマータイムマシンブルース』
http://stmb.playxmovie.com/
京都の劇団“ヨーロッパ企画”の舞台作品が映画化されたものです。
監督は「踊る大捜査線」シリーズの本広克行さん。
映画と同じタイミングで原作公演(7/31~9/29)もあります。
≪京都、東京、大阪、札幌、福岡≫
ヨーロッパ企画:http://www.europe-kikaku.com/
◎パフォーミング・アーツ・マガジン[バッカス]02号
私が書いた劇評(Ort-d.d『四谷怪談』について)が掲載された雑誌です。
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?W-NIPS=9978823190
★[バッカス]03号は6月から発売開始です。
◎「劇場に足を運ぶことが、日本人の習慣になって欲しい」
それが私の望みです。
これからもこつこつ、地道に進んで行きたいと思っております。
皆様、どうぞよろしくお願いいたします♪
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