3編の二人芝居で一つの作品となる『辻褄』は、先にレビューをアップした『偽装』との2作品交互上演されていました。
『偽装』に比べるともうちょっと身近なお話で、笑いも多い目でしたが、いつものブラジルよりはやはり静かなお芝居でした。どちらかというと『偽装』の方が脚本の密度が高くて面白かったです。
『辻褄』は第1話、第2話で、かなり困ったキャラの女“笠原恵”について話し続け、第3話で待ちに待ったその当人が出てくるという嬉しい進行でした。第1話の男二人芝居は、2人の関係性が何度も上下逆転を繰り返し、それぞれの性格が徐々に暴かれてくるのを役者さんが小気味よく演じてくれて、すごく見ごたえがありました。第2話と第3話は演技に意図不明な空白部分が多く、途中でぶつぶつとお話が途切れたのが残念でした。
第1話:交通事故(出演:石井壮太郎・中川智明)
ひき逃げをしてしまった。そしてひいた女を田舎の山道に放置してきてしまった。明け方に会社に戻り、これからどうするかを相談する社長と社員。
インテリ風の若い起業家の社長(中川智明)が、実は社員(石井壮太郎)の学生時代の後輩なのが面白いです。男の子同士の遊び仲間ならではのやんちゃな会話もあれば、権威を振りかざす政治的な腹の探り合いもあり、それを体全体で表現してくれた2人の役者さんは素敵でした。
第2話:喪服で帰宅(出演:廿浦裕介・長嶺加奈子)
恵のお葬式に行ったカップルが、家に帰ってきての恵の思い出話をし、そしてひき逃げ犯人に対する怒りをぶちまけるが・・・。
二人とも、恵のことが本当は大嫌いなんですよね。彼女にやられてきた仕打ちを次々と話し出すんですが、それがほんとにひどいことばかりで(笑)。だから彼女が死んだのが二人とも嬉しくって、プッと笑いがこみ上げてきちゃうのですが、そういう演技があんまりうまく運んでいませんでした。間が難しいんでしょうね。
廿浦裕介さんは少年社中ではあまりわからなかったキュートな面を見せてくださいました。
第3話:お別れ(出演:辰巳智秋・内山奈々)
とうとう恵が登場!なんとひき逃げにあう直前、彼との別れ話の場面です。
内山奈々さんが問題の恵役ですが、いや~ほんっとにウザイ女!素晴らしい(笑)!彼氏役で体格のいい辰巳智秋さんがたじたじで、そのバランスが笑えました。最後にナイフで男に切りかかって行くシーンは、ブラジルならではの生々しいライブ感が出ていて白熱しました。だけど全体では時々長すぎる間があって、観ていて不安になることがありました。
作・演出:ブラジリィー・アン・山田
照明:シバタユキエ 音響:玖島博喜(TEAM URI-Bo) 舞台監督:鈴木たろう 宣伝美術:川本裕之 制作:恒川稔英・ブラジル事務局
『辻褄』出演:辰巳智秋 内山奈々(チャリT企画) 石井壮太郎(ダムダム弾団) 中川智明 廿浦裕介(少年社中) 長嶺加奈子(CBR)
*2作品を交互上演。1作品は3つのふたり芝居で構成されている。
前売り2300円 当日2500円 <初日&平日マチネ割引>前売当日ともに2000円 共通チケット3600円
ブラジル:http://www.medianetjapan.com/10/drama_art/brazil/
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
★“しのぶの演劇レビュー”TOPページはこちらです。
★メルマガを発行しております。過去ログはこちら。
毎月1日にお薦めお芝居10本をご紹介し、面白い作品に出会った時には号外も発行いたします。
ぜひご登録ください♪
『今、面白い演劇はコレ!年200本観劇人のお薦め舞台』(ID:0000134861)
↓↓↓メールアドレスを入力してボタンを押すと登録・解除できます。