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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2005年06月09日

JACROW『袋小路』05/25-30下北沢OFF OFFシアター

 JACROW(ジャクロウ)は中村暢明さんが作・演出・代表される演劇プロデュース・ユニットです。毎回出演者を集めて作品を作られています。
 今回は東京からかなり離れた田舎の町民館が舞台。サスペンスのムードありのラブ・ストーリーでした。

 照彦(日高勝郎)は町民館の管理をしている公務員。幼なじみの仲間たちと町民館の部屋を自由に使って、暇があればいつもそこでたむろしている。仲間は警官、バーテンダー、キャバクラ嬢が2人と自分を合わせて合計5人。実は昔は6人組だったのだが、ある事件で一人は幼い頃に死んでしまったのだ。
 ある日、見知らぬ女(吉冨亜希子)が助けを求めて町民館に飛び込んできた。借金取りに追われて兄(西野将史)と一緒に夜逃げしてきたという。気のいい照彦はその兄妹を自分の家に泊めてやることにし、2人は幼なじみの美佐(田中まこと)と裕美(髙橋今日子)が勤めるキャバクラで働くようになる。

 ストーリー設定や展開に無理を感じてしまったため、お話の中に入っていくのが困難でした。田舎で生まれ育った優しい人たちとはいえ、赤の他人を家に泊めたり、簡単に大金を貸しちゃったりするかしら?と疑問に思いました。照彦とキャバクラ嬢の美佐(田中まこと)も、警官の義人(勢登健雄)と同じくキャバクラ嬢の裕美(髙橋今日子)も、カップルには見えづらかったんですよね。あと、幼なじみ5人組が幼なじみであるように感じられなかった。

 でも、部分的には面白いと感じるところも沢山在りました。JACROWらしさというものが形になっているところだと思います。
 オープニング、かっこ良かったですね~。女(吉冨亜希子)が息を切らして町民館に駆け込んできて、照彦に向かって「お願い、今晩泊めて!」と言った途端、照彦が「JACROW#6(シャープ・シックス)『袋小路』」とぼそりと言って、ガツンと大音量の音楽が轟くのです。
 卓郎(斎田吾朗)と美佐(田中まこと)が2人っきりで話しているシーンは臨場感があって引き込まれました。卓郎は美佐のことが好きなんだってことが伝わってきて、幼なじみ同士の間のほのかな恋心にウキウキしましたね。
 
 東京から逃げてきた謎の兄妹は、数年前の少女誘拐殺人事件に関係が有ることがわかってきて、美佐に近づいていたキャバクラ嬢スカウトマン(香川亮)が、実はその兄妹詐欺師に雇われていた私立探偵だったとバレるところは痛快でした。照彦のことを好きになってしまった妹が兄に反旗を翻し、私立探偵(香川亮)があたふたするのは笑いを誘いました。

 ご縁があってJACROW作品は『たまこクラブ』以外すべて拝見しています。なかでも『BAD TRIP』がダントツで好き!次回作『カニバケツ』09/15~19中野MOMOはそれに似た作風のようですので楽しみです。

出演:日高勝郎(innocentsphere) 斎田吾朗(ペテカン) 吉冨亜希子 田中まこと 勢登健雄(オフィス・ヒューリッド) 香川亮(air:man) 西野将史 髙橋今日子
作・演出:中村暢明 舞台美術:伊藤秀男 照明:シミズトモヒサ 音響:佐藤春平 宣伝美術:川本裕之 舞台監督:杉江聡 制作協力:吉野礼 制作:黒田朋子 企画・制作:JACROW
前売2300円 当日2500円 (日時指定・整理番号付・全席自由)
JACROW:http://www.jacrow.com/

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Posted by shinobu at 2005年06月09日 21:56 | TrackBack (0)