私がコクーン歌舞伎を拝見するのは2001年の『三人吉三』、2003年の『夏祭浪花鑑』に続いて3度目になります。
『桜姫』ってけっこう暗いお話なんですね。あらすじはこちら。
はじめて一等平場席で拝見しました。役者さんが客席を通ることもしばしば。至近距離で楽しめるのは嬉しいです。でもやはり座布団席なので、休憩15分を挟んで3時間35分っていうのはキツイですね。
ラブシーンというか濡れ場がけっこう具体的で、私はちょっと引いちゃいました。襲名披露公演のため中村勘三郎さんが出演されていないのが痛かったかな。今までの公演で味わったスコーンと明るい悪ふざけとか、いやおうなしに盛り上がってしまう空気が少なかったんです。だからラブシーンもちょっと真面目に受け取りすぎたかもしれません。
主役の桜姫は中村福助さん。美しいです。お姫様の頃と女郎になってしまってからの演技の差がきれいに出ていました。それも上品だったので気持ちよかった。
桜姫を陵辱し、妊娠させて夫にもなる墓穴堀り人の権助と、桜姫の前世である白菊丸と心中を図った破戒僧の清玄の二役を、中村橋之助さんが演じます。橋之助さんの早替えが見所の一つですが、コミカルさがちょっと足りなかったかな。
坂東弥十郎さんと中村扇雀さんの悪だくみ老夫婦が最高に面白かったです。そこまでやるか!?っていうぐらい崩すところは崩しています。歌舞伎役者はプロだなって思いました。
ここからネタバレします。
あさひ7オユキさんが口上役で出演されて、わかりにくいところをコミカルに簡単に説明してくれたのは助かりました。ラストの桜満開のシーンでむせび泣くようなサックスの演奏を聴かせてくださり、それが桜姫(中村福助)の舞とばっちり合っていてシビれました。
そう、ラストの演出がやはり凄かったです。鳥肌が立ちました。幽霊(人魂)になった清玄が、夫の権助こそが桜姫の敵であることを伝えたため、桜姫は泥酔している権助を刺し殺します。真っ暗闇だった舞台に権助の死体を置き去りにし、桜姫が乳飲み子を抱えて走り出した途端、バサッ!と舞台奥の黒幕が落ちて満開の桜が現れます。照明も同時にパっと明るくなり桜の紙吹雪も舞って、どん底からいきなり豪華絢爛の花盛り。こういう豪華な仕掛けを見せていただけると、さすがはコクーン歌舞伎って思います。
出演=中村福助/中村扇雀/中村橋之助/坂東弥十郎/中村勘太郎/中村七之助/中村四郎五郎/中村芝喜松/中村山左衛門/中村芝のぶ/中村勘之丞/あさひ7オユキ ほか
作=四世鶴屋南北 演出・美術=串田和美 絵師=宇野亜喜良 補綴=竹柴聡 技術監督=眞野純 照明=齋藤茂男 演出助手=田中麻衣子 舞台監督=藤森條次 制作=我孫子正 岡崎哲也 船越直人 製作=松竹
一等平場席12,600円 一等椅子席12,600円 ニ等席8,400円 三等席4,200円 立見A3500円 立見B2500円 35ステージ
シアターコクーン:http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/event/sakura/index.html
松竹:http://www.shochiku.co.jp/play/index_cocoon_0506.html
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