昨年の夏に初演されて12月には香港公演も経た、辻萬長&西尾まりペアの『父と暮せば』の再演です。作品としてはこれが11演目になります。
原田芳雄&宮沢りえペアの映画もロングランされました。宮沢りえさんが賞を取られましたよね。英語版の戯曲も出版されて、今年の1月にはカナダで朗読劇として上演されました。
新宿公演もあったのですが、私は千葉の劇場の千秋楽に伺いました。お話の内容については初演のレビューをご覧ください。
2度目ですが、涙の量は変わりませんでした。それどころか内容を知っているがゆえに、何気ない会話やちょっとした仕草にも胸打たれ、序盤からほろりと来てしまいました。
幕が下りてもしばらくは椅子から動けませんでした。黒焦げの焼け野原から3年経った夏の広島から、新しくてきれいな劇場に戻ってくるのにはかなりの時間がかかりました。
1度目は気づいていなかったことに気づき、意味もより深く理解することが出来たように思います。人間は忘れるんだなとガッカリする気持ちと、2度目を観られてよかったと感謝する気持ちが沸いてきました。
父親が「お前はわしに生かされているんじゃ」と娘に向かって叱るシーンでは、私自身が戦争で亡くなった方々に生かされているんだと気づきました。
辻萬長さんと西尾まりさんのやりとりには軽やかなリズムが生まれ、娘を想う父親の少々勇み足な恋の応援団長ぶりや、引っ込み思案にみえて実は相手との関係を進展させている、娘のちゃっかりしたところなど、うなずきながら笑えるところがより明るく楽しくなっていました。
今までに娘役を演じられた女優さんは娘の年齢(23歳)よりもかなり年上の方ばかりでしたが、西尾さんはお若いのに立派です。香港でこのペアが「完璧な演技」と称賛されたことに心から納得です。
今日は友達と一緒に観に行きました。来年もし再演されたらまた誰かと一緒に観に行こうと思っています。そうやって自分が観て、友達が観て、その知り合いも観て・・・という連鎖を生み出していくことが、私がこの作品に対してできることです。
出演=辻萬長/西尾まり
作=井上ひさし 演出=鵜山仁 音楽=宇野誠一郎 美術=石井強司 照明=服部基 音響=深川定次 宣伝美術=和田誠 方言指導=大原穣子 演出助手=川畑秀樹 舞台監督=星野正弘 制作=井上都 高林真一 瀬川芳一
入場料 4200円(全席指定・消費税込み) 学生割引 3150円 ※こまつ座での販売のみ
≪東京、千葉≫
こまつ座内;http://www.komatsuza.co.jp/kouen_new/titito.html
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