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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2005年06月23日

ホリプロ/テレビ東京『愛と幻想のシルフィード』06/23-07/10東京芸術劇場 中ホール

 マシュー・ボーン振付・演出の新作バレエです。『くるみ割り人形』『白鳥の湖』『PLAY WITHOUT WORDS』と拝見して、私はこれが4作目(『THE CAR MAN』は観ていません)。

 目玉のウィル・ケンプ(Will Kemp)さんの出演日でした。ちょっと嬉しいっ。ハリウッド映画『ヴァン・ヘルシング』に出演されていた俳優さんですが、もともとバレエ・ダンサーなんですね。初日ということでマシュー・ボーンさんや出演者の方が数名、ロビーでファンにサインをしていました。華やかで良かったわ~。

 舞台は現代のスコットランド。貧しい溶接工のジェームズ(Will Kemp)は失業中でドラッグに溺れる毎日。ある日クラブのトイレでブッ飛んでいると、白い妖精(Kerry Biggin)が姿を現した。仲間と共同住宅に戻ってからも妖精の幻覚は止まらない。婚約者(Mikah Smillie)との結婚の宴でもやはり妖精は現れ、とうとうジェームズは仲間の手を振り払って妖精を追って森へと入り込んでいく。

20050623 matthew bourne.bmp
開演前、ファンにサインをするマシュー・ボーンさん。後方にはダンサーも。

 カラフルで遊び心のある装置や衣裳、そしてセリフのように多弁な振付を楽しませていただきました。でもストーリーがちょっと軽すぎたかな・・・そんなにドキドキしなかったし、泣けてもこなかったのは残念。
 『くるみ割り人形』はスウィーツ達の夢の世界、『白鳥の湖』では豪華絢爛なセレブの世界、『PLAY WITHOUT WORDS』は1960年代の超おしゃれなカップルの世界でしたから、今回はちょっとその方向からははずれていました。私は勝手にゴージャス&ビューティフルな世界を期待していたのかもしれません。チケット代(S席13,000円 A席10,000円 B席 5,000円)も高いですし・・・。そういう意味ではちょっとがっかりでした。

 主役のウィル・ケンプさんは大柄で華のある方でした。ただ、演技はヴィヴィッドですごく魅力的なんですが、肝心の踊りがちょっとドタドタとしていて、私はあまり惹かれませんでした。今回は役柄が役柄なので、そういう演出かもしれませんが。

 オーチャードホールで『白鳥の湖』を観たばかりだからか、東京芸術劇場 中ホールの舞台は狭く感じました。ダンサーが近く、大きく見えるという意味では良いかもしれませんが、私には窮屈そうに見えて、ぶつからないかしら、と無駄にハラハラしたりもしました。

 でもカーテンコールは大きな拍手でしたよ。ブラボーの声も多数。スタンディングしている方もいらっしゃいました。

 ここからネタバレします。

 いきなり舞台が薄汚いトイレで、ドラッグに溺れてどんちゃん騒いでいるところから始ります。これだからマシュー・ボーン演出は面白いですね(笑)。ジェームズとその仲間達の中に白い妖精が入り込んできて、ジェームズにしかその妖精の姿が見えないのがまた楽しいです。妖精を追って家の窓から飛び降りるのはわくわくしました。
 第二幕はジェームズが森に入っていくところから。一幕とは打って変わって、白い妖精ばかりの中に人間のジェームズが一人居るという世界になります。ここからはちょっと退屈だったかな。

 衣裳や美術にはスコットランドが舞台ということで、タータンチェックが多用されています。それも赤と緑が基調なので派手で可愛い。白い妖精が出てくるのが良いコントラストになります。ただ、その妖精の白い衣裳は黒くうす汚れているんです。メイクも目の周りが黒く塗られていて、足にも汚しが入っています。ジェームズの家に居た時はかっこいいなーと思ったのですが、森の中でいっぱい出てくるとちょっと怖かった(笑)。

 さてストーリーですが、妖精の仲間達となんとか仲良くなれたジェームズでしたが、やっぱり自分が森に残るのではなく、恋人の妖精を人間界に連れて行くことにします。そして森から出ようとしたその時に、はさみで彼女の羽をちょん切ってしまうのです。これにはびっくり。背中や手が血まみれになったまま妖精は踊り続け、息絶えます。仲間を殺された妖精たちは、皆怒ってジェームズを囲んで・・・殺した、のかな?最後にジェームズが背中に羽を付けて飛んでくるので、妖精になったのかもしれませんが。
 ストーリーよりも振付などのヴィジュアル面でもっと楽しめばよかったのだと思いますが、私は今回はちょっと入り込めなかったです。

 ダンサーで良かったのは妖精役のKerry Bigginさんと、トランプ占いをする女役のMireille Noi Tolmerさん。あ、二人とも妖精役を踊る方なんですね。

"Matthew Bourne's Highland Fling"
演出・振付=マシュー・ボーン 美術=レズ・ブラザーストン 照明=ポール・コンスタブル 音楽=ヘルマン・セヴェリン・ローヴェンスキョルド 
出演=ニュー・アドベンチャーズ(Will Kemp/Kerry biggin/Mikah Smillie/James Leece/Shelby Williams/Lee smikle/Mireille Noi Tolmer/Matt Flint/Rose Carpenter/Gemma Payne/Hannah Vassallo/Kerry Biggin)
S席13,000円 A席10,000円 B席 5,000円
ホリプロオンラインチケット:http://www.horipro.co.jp/ticket/kouen.cgi?Detail=52
公式:http://www.LA-SYLPHIDE.INFO/

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Posted by shinobu at 2005年06月23日 23:29 | TrackBack (0)