ラッパ屋の鈴木聡さんの作・演出です。6編の落語をもとにして書かれたある女の人生。“木の実ナナ・オン・ステージ”でした。
音楽劇ということで昔なつかしのナンバーに新しい歌詞を付けて、エピソードとエピソードの間で木の実さんが歌声を披露してくださいます。
主役の木の実ナナさんをずーっと見つめっぱなしの2時間でした。着物の着こなしやパっと目を引く歌い方など、やっぱり大スターは大スターですね。
木の実さんは着物を何度も着替えますし3人の男優さんも何役も演じられますから、普通のお芝居に比べて転換の時間(暗転中・衣裳替えの時間)がめちゃくちゃ長いのですが、お客様が気にしている様子など全くなく、新橋演舞場や新宿コマ劇場の座長芝居のような雰囲気を感じました。
≪あらすじ≫
昔は売れっ子女郎だったお染(木の実ナナ)だが、年をとった今となっては後輩の女郎(植本潤)に抜かれて客がつかず、うだつの上がらない日々をすごしている。いっそのこと心中してしまおうと思い、貸本屋の金蔵(陰山泰)と一緒に海に飛び込もうとしたのだが、ちょうどその時に金の算段がついたため、金蔵だけを飛び込ませて自分は生き残ってしまう(「品川心中」より)。
田舎者の金持ち(植本潤)をうまく騙して金を借りたお染は、同様にヤクザもの(陰山泰)も騙して合計20両の金を手に入れ、愛する芳次郎(内田滋)に渡す。というのも芳次郎は眼を病んでいて、どうしても薬代が必要だというからだ。しかし・・・(「文違い」より)
男に惚れたり惚れさせたり、かけおちしたり捨てられたり、器量よし・度胸よしの江戸の女郎、お染の波乱万丈の恋路を描きます。お染役の木の実さんを囲む3人の男優(陰山泰/植本潤/内田滋)が何役も演じ分けて、「品川心中」「お直し」「文違い」「風呂敷」「駒長」「芝浜」の古典落語6編がつながった一つのストーリーを、にぎやかに、笑いたっぷりに見せてくれます。
出演者が4人だけのお芝居なのですが、すごくがやがやしたムードでした。舞台に居る4人がすっごく楽しそうなんですよね。たぶんそれで私も楽しかったんじゃないかな~。ただ、年配の方向けのお芝居だとは思いました。
陰山泰さんは木の実さんとカップルになるのにとても似つかわしく、植本潤さんはお得意の女形はもちろん、キワモノも存分に演じられて魅力爆発でした。内田滋さんはとにかく美しくて、出てこられるたびにドキっとしました。
ここからネタバレします。
曲は“コーヒールンバ”“この胸のときめきを”“ボーイハント”“オンリーユー”“サマータイム”“ヘイ・ポーラ”“ケ・セラ・セラ”“ラストダンスは私に”“お祭りマンボ”といった具合。“ラストダンスは私に”の歌詞は「自分自身の幸せを望むのではなく、他人を幸せにしてそれで自分も幸せになる」という内容で、お染が最後に魚屋の熊五郎と一緒になって、彼を成長させて自分が幸せになるというハッピーな結末とつながっていました。“ラストダンス・・・”のもともとの歌詞にもぴったりで、これにはちょっとホロリな気分でした。
≪北千住、長崎、北九州、小郡、静岡、大阪、神戸、釧路、札幌、仙台、新潟、名古屋、立川、茨城、鎌倉、君津≫
★北千住公演は14:00開演のみ
出演=木の実ナナ/陰山泰/植本潤/内田滋
作・演出=鈴木聡 美術=島川とおる 照明=大石真一郎 音響=高橋巖 音楽監督=久米大作 振付=神崎由布子 衣裳=中山信弥 かつら=桑原春雄 演出助手=則岡正昭 舞台監督=津田光正 宣伝美術=鳥井和正昌 宣伝写真=加藤孝 宣伝=る・ひまわり 営業=須川晴夫 制作助手=島袋佳 制作=岸憲一郎 制作統括=小池義圓 プロデューサー=池田道彦 主催=読売新聞東京本社 提携=シアター1010 制作協力=シーエイティプロデュース 運営=東京音協 企画・製作=アトリエ・ダンカン
4月8日(金)前売開始 チケット料金S席 8,000円/A席 5,000円(税込・全席指定)
アトリエ・ダンカン内:http://www.duncan.co.jp/works/rakugo/index.html
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