カリフォルニアバカンスは池里ユースケさんが作・演出される劇団で、私は初見です。略して「カリバカ」だそうですが、呼びづらい名前だな・・・(笑)。
画家のダリおよびダリの作品を題材にしたストーリーものでしたが、目的が定まっておらず、何につけても散漫な作品でした。ストーリーに一貫性がなく展開もエンディングも苦し紛れで、観ていて苦しかったです。
舞台作品としての印象は、まず立体感がなかったです。東京芸術劇場 小ホール1の高い天井をちゃんと使った大掛かりな美術を作られていましたが、コレの次はアレ、アレの次はコレ、というように、まっすぐ続く線路をただただ直進するように脚本をなぞっていくだけで、奥行きがありません。
また、行き先が決まっていない列車(作品)がときどき身勝手な停止や脱線をします。マイケル・ジャクソンの“BAD”をBGMに大勢が本気で踊ったり、「ぐりとぐら」まがいのキャラが出てきたり、ジャグラーが芸を見せて観客に拍手を強要したり。ひとつひとつは面白いアイデアだったり、芸として見るものがあるのですが、必要性が感じられませんでした。もったいないですね。
ダリの世界を舞台で表現するということは非常にチャレンジングで面白いと思います。主人公の少年がダリの絵の世界の中に、ダリと一緒に入っていくという設定は楽しいですよね。力を抜いて笑えるギャグや皮肉の効いたパロディーもありました。ダンスも上手い人はいました。もっと作品の意図をしっかり決めてから創作をされると良いのではないでしょうか。
役者さんについては、自分のセリフを自分なりに声にしているだけで、舞台上にいる他の役者さんとコミュニケーションをしている人がほぼいませんでした。私が役者をやっていた頃はこうだったんだろうなぁと、恥ずかしい気持ちで眺めていました。
14時開演で私が席を立ったのが16時30分でした。開演前に劇場入り口に長い列が出来る満員状態で、開演はおよそ15分押しでしたので、正味の上演時間は2時間15分だったかもしれませんが、体感時間は2時間30分休憩なしの作品だったということになります。これは長すぎますね。内容も長さも、もっとスリムにできると思います。
出演=石田真一/大口達也/塩田良平/清水智香子/田中美穂/中澤健太郎/宮健一/室野尚武/川村由紀/富岡利佳子/水野顕子/柿ノ木タケヲ(コーヒー牛乳)/木村準(グッチ&ボッチ)/黒田公祐(劇団東京ルネッサンス)/猫道(猫道一家)/吉田ミサイル(吉田ミサイルの世界)/Dance Company MKMDC(加藤枝里子/神崎好加/綺田育子/小早川泉/佐藤直樹/巽徳子/中西和子/花田塁/浜田光/松浦美幸/三宅まるみ)
作・演出=池里ユースケ 舞台監督=小金井伸一 舞台美術=鎌田朋子 照明=宮崎正輝 音響=井上直裕(at Sound) 制作=カリフォルニアバカンス制作部 宣伝美術=金倉ひだり(CVP) 写真=米沢耕 ダンス指導=松尾耕(Dance Company MKMDC) 衣装=北野原愛 協力=突貫屋
前売り開始:6/10(金) 前売り3000円 当日3200円 各種割引あり 計5ステージ
劇団:http://www.karibaka.com/
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