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2005年10月31日

【情報】「せりふの時代」11月号に鈴木裕美版『ブラウニング・バージョン』掲載

 テレンス・ラティガン作・鈴木裕美訳『ブラウニング・バージョン』が「せりふの時代」に掲載されています。坂手洋二・鈴木裕美・マキノノゾミの鼎談もありますね。
 おっと、ヴォイス・ティーチャーの池内美奈子先生のインタビュー「発語できる身体をもつ」も!

 10月1日に既に発売されていたのに、全然気づいていませんでした。コレは買わなきゃ!

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Posted by shinobu at 16:23 | TrackBack

2005年10月29日

イキウメ『散歩する侵略者』10/25-30サンモールスタジオ

 面白いという噂を聞いていて、やっと初見のイキウメ。劇団名が・・・ちょっとコワイですよねぇ?でも・・・メルマガ号外まであと一歩の傑作でした!とうとう明日まで!どうぞお見逃しなく!!

 愛が溢れ出すのに悲しくってたまらない、本格派SFドラマ。脚本が最高に面白く、演出もスピーディーで完成度が高いです。そして役者さんも十分に上手い!※舞台写真はこちら(2005/11/08追記)。
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 ≪あらすじ1≫
 夫のシンジ(有川マコト)の様子がおかしいと妻のナルミ(岩本幸子)は気づいた。記憶はちゃんと残っているし意識もしっかりしているのだが、言葉の概念を全く忘れ去っているのだ。病院に行っても原因は不明。実はそういう患者が急激に増えているらしい。突然「散歩に行く」といって行方不明になるシンジは、帰って来るごとに人間らしくなっていった。
 シンジらが住む街では、ひそかに軍備が進められているようだ。フリーターの少年たちの中には「戦争がおこる!バンザイ!」と退屈な日々に変化が訪れるのを喜ぶ者もいた。ある日、残忍な無理心中事件が起こって・・・。
 ≪ここまで≫

 シンプルで抽象的な舞台美術でした。装置の移動などは一切なく、照明、セリフ、演技で場面転換させます。作・演出の前川知大さんのブログバームクーヘンの写真は、舞台を天井から見た様子を表しています。灰色のバームクーヘン型のベンチ2つが正方形の舞台の中央にあり、出はけ口は一箇所、ドアの大きさの枠組があるのみ。スピーディーで効率の良いシーン運びでした。堂々と立って言葉をきっちりと伝えられる役者さんが揃っていたので、その演出も成功したのだと思います。

 公演は本日夜で終了ですので、ここからネタバレします。

 ≪あらすじ2≫
 地球侵略をもくろむ“宇宙人”が3名、調査のために地球に降り立っていた。その内の1人がシンジに乗り移っており、彼は散歩しながら人間たちと話をして、自分が知らない概念を相手から収集していた。想定外だったのは、シンジが概念を得る代わりに相手の人間がその概念を失ってしまうことだ。 
 昔は寡黙だったシンジだが、“宇宙人”になってからはナルミに何でも話すようになっていた。どんどんと人間らしくなっていくシンジにナルミはさらに惹かれていく。しかし別れの日は目前に迫っていた。老婆を惨殺した無理心中事件も“宇宙人”の1人が人間の身体を知るために起こしたもので、情報収集が完了し次第、3人とも地球から去ることになっているからだ。
 ≪ここまで≫

 シンジがナルミのもとを去る時、最後にナルミが「愛」の概念をシンジに与えます。「今、あなたにコレをあげられるのは、私しか居ないから」というナルミ。ナルミから「愛」を奪ったシンジは顔を真っ赤に紅潮させ、体中を震わせながら「なんてものをもらっちまったんだ…!」と涙を流します。(※セリフは完全に正確ではありません。でも2度ご覧になった方が教えてくださいましたのでおそらく正解です。ありがとうございます!)

 私達が使う「言葉」はそれが表す「意味」だけではなく「感情」、「概念」といった目には見えないものと一体になっています(音、声などについてはここでは述べません)。「言葉」を持ったまま、その「概念」を奪われたら人間はどうなるのか。失われることによってその実体を改めて知らしめて、人間の関係、つまり「私」と「あなた」の間に存在する大切な何かを、劇場の中に具体的に表すことに成功していました。
 これこそ生身の人間同士が舞台に居て、言葉を発し、体を触れ合い、具体的な関係を持つから表現できること、つまり演劇だからこそできることだと思いました。

 ただ、目に見えない、言葉には表せない「愛」というものを、舞台の上に具体的に存在させることに成功した、奇蹟のラブシーンで、終幕にしてもらいたかったな~。

 シンジに「所有」という概念を奪われたために、考えをすっかり翻して反戦運動をはじめる若者のエピソードとからめて、ナルミがシンジに最後のお願いをするのがラストシーンでした。
 ナルミ「宇宙人が侵略しに来てるんだよ、戦争なんてしてる場合じゃない。何を奪えば、どんな概念を奪えば人間は戦争を止めるのかなぁ。ね、シンちゃん、奪ってよ。」(セリフは正確ではありません)
 マスコミやインターネットを利用してシンジが人類から何らかの概念を奪う様子が、プロジェクターから映される映像やナルミの独白で表現されます。それが実際に起こったかどうかははっきりさせていないので、あくまでもナルミが望んでいることを表しただけなのですが、そこまでやらなくても良かったんじゃないかと思いました。
 自分が何かを感じたり気づいたりして、誰かに伝えたいと思ったなら、それを多数意見の中に埋もれさせず、自分を誤魔化さないで発信しよう、という主張だと私は受け取りました。心の底から共感できるメッセージですが、もうちょっと控えめだった方が良かった思います。

 役者さんは「全員が文句なく上手い」というレベルには達していませんでしたが、作品の邪魔になるような人は居ませんでした。これからこの劇団がどうなっていくのか、注目したいと思います。
 客演の有川マコトさん(絶対王様)。だんだんと人間らしくなっていく宇宙人を自然に体現。ラストの涙溢れながらのセリフも素晴らしかったです。
 イキウメ看板女優の岩本幸子さんはreset-N『Valencia』での好演が印象に残っていました。セリフのせいもあるかと思いますが、ちょっとわざとらしさが鼻につくことがありました。十分お上手だったんですけどね。

 インタビュー“イキウメられる心地よさ、を是非堪能してほしい!”

 ※開演前に主宰の宇井タカシさんの当日パンフレットの文章を読んだ時点で、これはすごいと思いました。以下、部分を抜粋します。

 ≪当日パンフレットより抜粋引用≫
 ボクシング史上、最も偉大なチャンピオンの一人、モハメド・アリ。
 彼が長い闘病生活の後、アトランタオリンピックの聖火台に立った時に
 放った言葉は「ME AND......YOU」でした。

 想いや気持ちを届けたい。 
 それだけで、これほど短く、深く、尊いメッセージはなかなか見つかりません。
 
 今回のイキウメはそこをさらに遡ります。 
 「私」、「あなた」という存在を存在たらしめる「言葉」。
 私達はもしかしたらこの「言葉」によって「私」を信じ「あなた」を感じることができるのかもしれないということ。
 この言葉の力を解体することで、イキウメが皆さんの世界と繋がる試みをこの作品に託しました。
 ≪ここまで≫

-惜しみなく愛は奪う-
出演=宇井タカシ/國重直也/森下創/岩本幸子/緒方健児/岡部由美/池上ゆき/浜田信也/盛隆二/有川マコト(絶対王様)
脚本・演出=前川知大 舞台監督=小野八着(JET STREAM) 舞台美術=土岐研一 照明=松本大介 音響=鏑木知宏(KURSK.sound) 衣装=吉岡麻衣 振付=粟国範子 映像=三浦哲哉(Topteam-Theater) 楽曲提供=303 宣伝美術=高井真 制作=吉田直美 協力=佐山泰三
前売り2,500円 当日2,800円※日時指定・全席自由(整理番号付)
劇団=http://www.ikiume.net/

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Posted by shinobu at 23:17 | TrackBack

ロリータ男爵『信長の素~10th anniversary special~』10/20-24吉祥寺シアター

 独自のカラーの“へなちょこミュージカル”を上演し続けてきたロリータ男爵の10周年アニバーサリー公演です。チケット代が前売り2000円っていうのは激安!!
 上演時間は2時間20分ほどでちょっと長いめですが退屈はしなかったです。でも盛り上がりが持続せずにブツブツと途切れているように感じて、お話にのめり込むことはできませんでした。

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 前回のダブルブッキング公演を見逃したため、久しぶりのロリ男に少し期待をしすぎたのかもしれません。2001年の『タナベさんが火を出した』、2002年の『愛探偵 天乃川学-RETURNS-』、2003年の『プリマ転生』という、私にとっての大好きなロリ男作品と比べるとパワーが分散しているように感じました。
 
 いつも通り、アイデアはものすごく多いし面白いしロリータ男爵らしさは溢れているのですが、作品の完成度としては低いと思いました。可愛らしいオリジナルの歌もたくさんありましたが、歌としてのみ存在していて本編との密着度が薄かったです。

 看板役者で私が大好きな大佐藤崇さんも斉藤マリさんも、ちょっとパワー不足な印象。出演者がめちゃくちゃ多いから存在感も分散しちゃったのかしら。
 元・猫ニャーの小村裕次郎さんと立本恭子さんがペアで出ていらしたのは個人的にすごく嬉しかったです。

 ここからネタバレします。

 ハチの女王の衣裳、お尻(?)が巨大で可愛いなー。働きバチ(斉藤マリ)にブサっと刺されてお尻に穴が開き、白い液体がずっと流れ続けているなんてグロテスクで怖いです。なのに面白い。舞台奥の2階部分にずっと女王が居たのも良かったですね。
 あと、働きバチが時空を超えて行くときの映像が可笑しかった~っ。あのピンク色のカバみたいなキャラクターはどこかで見たことがあるんですが、何なんだろう。ぬいぐるみで登場するのもおバカで最高。⇒ゲストブックで教えてくださいました。モグタンだそうです。うぷぷ。(2005/10/30)

≪東京、大阪≫
出演=大佐藤崇/斉藤マリ/役者松尾マリヲ/加瀬澤拓未(私が観た回は降板)/丹野晶子/草野イニ/斉藤麻耶/田辺茂範/立本恭子(準劇団員)/足立雲平/大沢ラーク/オマンキー・ジェット・シティ(ゴキブリコンビナート)/小村裕次郎/他
作・演出=田辺茂範 舞台監督=海老沢栄 照明=中山仁((株)ライトスタッフ) 音響=志水れい子 中村嘉宏(atSound) 音楽=nakaban/久保田翠 映像=河内大佑 舞台美術=濱井海/森知行/高橋潤/砂川ゆうこ/中西由季子 衣装=田辺雪枝/森田陽平/小川広野 ヘアメイク=タケダサオリ イラスト=斉藤マリ 宣伝美術=森田涼子 演出助手=清水俊樹/林いくみ 制作助手=梅津智江 制作=今井香月/松井美依子
前売り:2000円/当日:2800円(全席指定席) ★10/20(木)19時の回は開演前に『10周年ありがとうプチセレモニー』あり。
公式=http://www.lolidan.com/

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Posted by shinobu at 23:08 | TrackBack

2005年10月28日

青年団若手自主企画vol.25『地球の片隅で ライフ・レント編』10/21-26アトリエ春風舎

 『十六夜~いざよい~』で第一回近松賞優秀賞受賞した宮森さつきさんの新作です。前作同様に演出は東京デスロック主宰で青年団演出部所属、そして動物電気の役者さんでもある多田淳之介さん。宮森さんの戯曲も多田さんの演出も初見なのですっごく楽しみにしていました。
 チラシや公式サイトの文章を読んだ印象と全然違う作品でしたね。ある会社の会議室を舞台にした静かで軽やかな、でもとても悲しい人間ドラマ。面白かったです。

 レビューはこちらにも ⇒ 踊る芝居好きのダメ人間日記

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 この2週間ほどの間に面白い演劇に出会いまくってる気が、します。それらはみな20代から30代という若い世代が創作の主要な部分に携わっている作品。この『地球の片隅で』も然りです。
 青年団っぽい、まんべんなく厭世的な空気が漂っている空間はあまり私の好みではないのですが、まわりくどいようで実は直球勝負している脚本は、潔くてかっこいいと思います。演出は、細かい心理描写を心がけつつ、ぴょいっと飛び出すような面白い瞬間を散りばめる若々しさもあり、ストレートすぎてちょっと青いかなとも思えるメッセージも心に柔らかく沁み込んできました。

 ≪あらすじ≫
 不動産管理会社ライフ・レントの会議室。ワンマン社長のわがままに振り回される社員たちが、社員旅行の宴会芸を考えるために休日出勤する。新人の中島(鈴木智香子)は、仲良しの女3人組(通称ツボネーズ)の内の2人(木崎友紀子&村井まどか)の爆裂トークにおどおど気味。しかし待てども待てども3人組の内の1人が来ない。
 ≪ここまで≫

 わめいた者、さわいだ者が勝つ。正直者がバカを見る。いい人が損をする。がめつい者が勝ち、心優しい者が負ける。毎日顔を合わせ、そばに居るけれど、笑い合ってすごく仲良くしているけれど、実のところは全く知らない他人同士の同僚たち。誰も信じられない、誰にも頼れない、砂漠のような毎日。
 企業の中で起こっている人間関係の実情をきれいに暴露していると思います。それは企業の中だけに留まらず、今の日本社会全体を描いているとも言えます。

 映画「バグダッド・カフェ」のジャスミンのように手品がうまくなりたい、と手品を練習する中島(鈴木智香子)が、はじめてそれを片山(村田牧子)披露し、初対面の2人の間に本物の微笑みが生まれます。“calling you”(音が鳴ります)を思い浮かべながら、静かにぽつりぽつりと零れ落ちる、わずかに本当の気持ちが入った言葉たちに耳を澄ましました。

 「地球はもはや青くない」というメッセージにはドキリとしました。皆が勝手に青いと信じているだけで、それは嘘かもしれない。その通りですね。

 島田曜蔵さん。会社のムードメイカー、高崎部長役。体格を生かした完璧な道化役に、苦笑とともに尊敬の念が沸きました。

出演=秋山建一/木崎友紀子/島田曜蔵/鈴木智香子/村井まどか/村田牧子
作=宮森さつき 演出=多田淳之介 照明=岩城保 照明オペレーション=たむらみずほ 舞台美術=鈴木健介 宣伝美術・音響=多田淳之介 総合プロデューサー=平田オリザ
予約・当日共=1800円(日時指定・全席指定席・整理番号付)※平日マチネ割引有り<25、26日の15:30の回は予約のみ1,500円>
公式=http://www.komaba-agora.com/line_up/2005_10/wakatejishu25.html

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Posted by shinobu at 14:33 | TrackBack

【情報】『サムワン』キャスト変更

松本祐子さんの演出ということで、すっごく楽しみにしている『サムワン』。
村上淳さんが体調不良のため、アダム役は高橋和也さんになったそうです。

村上さんをぜひ観たかったですが、私は高橋さんのファンなのでOK、です。

Posted by shinobu at 13:40 | TrackBack

プレイメイト『フェイス・イン・フェイス』10/19-30THEATER/TOPS

 プレイメイトは俳優の近江谷太朗さんと作家の川上徹也さんのプロデュースユニットです。私は初見。いつも豪華キャストですよね。今回も然り。
 私が観た回はかなりの盛況で当日券で桟敷席まで出ていました。週末はもっと混んでるかもしれません。当日券は早めに並んだ方がよさそうですね。

 詳しいレビューはこちらにも ⇒ 踊る芝居好きのダメ人間日記

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 ≪あらすじ≫
 舞台はとある形成外科の診療室。院長の海老原(近江谷太朗)は美容整形が専門の腕の立つ形成外科医で、美しい顔を愛する気持ちは少し潔癖症気味。ある日、戦隊ヒーローものに出演しているイケメン俳優の里中修介(西興一朗)がクリニックにやってきた。なんと「自分の顔をブサイクにしてほしい」と言うのだ。“イケメン俳優”のイメージを払拭し、本物の俳優になりたいというのがその動機。最初はとまどった海老原だったが里中が本気だとわかって彼に興味も沸き、自分からこう提案した。周りにすぐに気づかれないように、これから3年かけて徐々にあなたの顔をブサイクにしていこう、と。
 ≪ここまで≫

 海老原(近江谷太朗)が取材に来た記者に話をする形式で物語は進みます。10年前のあの事件の真相は・・・と話し出しますので否応なしに引き込まれましたね。少しずつ、少しずつ意味がつながり、全体像がわかっていったり、いかなかったり。
 上手い役者さんの丁寧な役作りとしっかりとした演技で最後まで集中して楽しめる、大人向けのエンターテインメント作品でした。でも全体的にはちょっと地味でしたね。内容が内容だから、まんべんなく暗い雰囲気になるのも当然かもしれません。

 ここからネタバレします。これからご覧になる方は絶対に読まないでくださいね!

 里中修介がやってきて最初に起こった大きな変化は、看護士の新堂加奈(新谷真弓)と里中が肉体関係を持ったこと。海老原が里中に「新堂加奈には近づくな」と念を押すので、あの看護士には何か有る・・・というのがわかります。
 その後、色んな人物が海老原のクリニックを訪れます。里中の追っかけファン(濱田かずよ&杉下絵美)、里中の事務所の社長(ほりすみこ)、海老原の高校時代の同級生・船越(平賀雅臣)、そしてその同級生の死を調査する刑事(平賀雅臣)。それぞれの話す内容が食い違うので、何が事実で誰が正しいことを言っているのかがわかりません。さらに舞台が整形外科ですからね。目の前にいる人が本当はその人ではないかもしれない(顔を変えているかもしれない)・・・と考えながら観ますから、誰もが怪しく見えて真相がつかみづらいのが面白いです。

 終盤の急展開で、中盤までの出来事は全てストーリー・テラーである海老原の想像の世界の出来事だった、とわかります。そこまでだったら「はは~、なるほどね~」と納得するまでなのですが、最後のマスクには・・・やられました。体がビクンとするぐらいびっくりしちゃった(笑)。サスペンスはこういう仕掛けが嬉しいですねぇ。最後の最後にお芝居がループするようになっているのも良かった。

 近江谷太朗さん。長いセリフをひとつひとつ丁寧に伝えてくださいました。笑いもスマートに、確実に作ってくださって「さすがだなぁ」と思いました。
 新谷真弓さん。かわいーーーーーっ!西さんとの濃厚なラブシーンも超素敵。平賀さんとの会話のないやりとりも、涙をボロボロ流して熱演。髪型と衣裳が変わるだけで大変身するのも華がありました。
 平賀雅臣さん。2役演じられていましたが、両方とも深い役作りで見入ってしまいました。方南ぐみで何度か拝見していましたが、今回で大ファンになっちゃいましたね。こんなにかっこいい人だとは知らなかった。
 西興一朗さん。「爆竜戦隊アバレンジャー」のアバレッドだったんですね。今作ではヤバレッド(笑)。そりゃさまになっているハズだ。変身ポーズがめちゃかっこ良かったんです。そういう意味ではかなりチャレンジングな配役ですね、ファン批判もしてたし。これが初舞台だそうですが、今後もぜひぜひ舞台に出ていただきたいイケメン(笑)でした。

出演=西興一朗/新谷真弓(ナイロン100℃)/平賀雅臣/ほりすみこ/濱田かずよ/杉下絵美/近江谷太朗
作=川上徹也 演出=竹内晶子 舞台美術=秋山光洋 照明=黒尾芳昭 音響=早川毅 照明操作=山崎佳代 音響操作=大久保友紀 殺陣指導=清水順二 小道具協力=高津映画装飾 大道具製作=(有)イトウ舞台工房 演出助手=井村容子 舞台監督=村岡晋・藤林美樹 宣伝写真=タカノリュウダイ 舞台写真=垣内敏秀(コマンドエヌ) 宣伝デザイン=西山英二朗 パンフデザイン=垣内敏秀(コマンドエヌ) WEBデザイン=コマンドエヌ 制作=橋本早苗(コマンドエヌ)・こばちえ(コマンドエヌ) 企画製作=プレイメイト
4300円(全席指定/税込)15ステージ
公式=http://members3.jcom.home.ne.jp/pm-0038/

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Posted by shinobu at 01:13 | TrackBack

2005年10月26日

青山円形劇場+ゴーチ・ブラザーズ共同プロデュース『胎内』10/20-30青山円形劇場

 阿佐ヶ谷スパイダース長塚圭史さんと伊達暁さん、そしてTVドラマに出演中の人気女優の奥菜恵さんというとても若い俳優が、三好十郎の『胎内』にチャレンジすること自体が驚きの企画です。
 素晴らしかった・・・。人間はなぜ生きるのか、生きているとはどういうことなのか。3人の役者さんが全身全霊で、ことばを大切にしながら伝えてくれました。

 前売りチケットは完売しています。当日券は販売されているようです(未確認)。お問い合わせ⇒こどもの城劇場事業本部 03-3797-5678

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 『胎内』は新国立劇場で去年の秋に初めて拝見しました(レビューはこちら)。私は今公演の方が感動しましたね。
 今作と比べて初めて気づいたのですが、新国立版は役者さんがどこか悟っているような風でした。「○○という状況だから××になる」という、理論的に整合性のある演技をされていて、舞台で起こるすべてが時系列に沿った、納得できる事象だったのです。つまり、到達すべきゴールに向かって道筋どおりに進んでいる状態。目の前に居る役者さんがとても遠い存在だったのはこのためではないかと思います。
 でも今作では、暗い穴に閉じ込めれられて、生きるか死ぬかの瀬戸際で焦り、もがき、必死で考え、じたばたする3人の人間が、そこに居るだけでした。役者さんの年齢が若いというのもあるかもしれません。無鉄砲で考えなしで、とにかく今の瞬間、一瞬一瞬を生きていました。次に何が起こるかなんて全くわかっていなくて、ただ恐れて、怒鳴って、甘えて、泣いていました。子供みたいに。

 ≪あらすじ≫ イープラスの特集よりそのまま引用。改行を2箇所追加。
 時は敗戦から数年後の、ある山中。一組の男女が連れ立って現れる。どうやら、汚職事件にからんで逃亡生活を続ける男・花岡金吾(伊達暁)とその愛人と思われる女・村子(奥菜恵)。二人は追っ手の目を逃れるため、偶然見つけた山中の洞窟に身を潜める。しかしそこには一人の復員兵・佐山富夫(長塚圭史)が先住者として住まっていた。
 戦後の復興を謳歌するかごとく、饒舌に、あふれる生命力を誇示せんがごとく話し続ける同行する男女二人。その一方で、戦争によって一変した己の生活に生きる意味も見出せず無気力な元復員兵。
 そんななか、地震で洞の出口が塞がれてしまう。もともと戦時中に偶然ほりだされた洞窟。三人は出口はおろか、空気の出入口すら見失う。食料も水もない状況下で死に直面する三人。蝋燭の明かりのなかでわずかな希望をもち三人は地面を掘り続けるのだが…
 ≪ここまで≫

 三好十郎さんの戯曲、本当に凄いですね。どんどん飛び出してくる膨大な量の言葉たちが、いちいち心にずしんと響いてきます。戯曲本欲しいなぁ。

 伊達さんと奥菜さんは比較的早口に、間髪入れずに話し続ける方法をとってらっしゃいました。最初はとっつきにくかったのですが、ドーッと押し寄せてくる同じリズムの言葉たちから、花岡と村子の人物像がはっきりと一つになってきました。
 長塚さんは対照的にじっくり言葉を聞かせる、たまに棒読みがちになる語り口でした。生きることをあきらめて人間を軽蔑していた佐山役だったから、前半はそういう方法だったのかなぁと思います。でも自分の命というものに徐々に気づいていくにつれて饒舌になり、体ごと叫ぶように発せられるセリフには胸が震えました。また、言葉を伝えようと、とても丁寧にしゃべってらっしゃるのが嬉しかったです。

 つまり、3人の役者さんは皆さん、めちゃくちゃ素晴らしかったです。ただ、伊達さんと長塚さんは地面に座るとなぜかセリフが伝わってこなくなりました。歩いたり取っ組み合ったりしている時とは全然違うんですよね。朗読みたいっていうか、感情があまり伴っていない言葉になって、ちょっと残念。奥菜さんは体の動きに関わらず、その場に、そのまま生き続けていらっしゃいました。男女でこの差が見えたのは意外で面白かったのです。

 ここからネタバレします。

 村子が「音が聞こえる。外から誰かが開けようとしている!」と叫びはじめた時、花岡もそれを信じて狂喜します。2人で外に出る荷造りを始めたあたりで、私も「本当に助けが来るのかもしれない・・・」と感じました。それほどその2人は助けが来ることを確信していましたし、体中で喜びを表現できていたからです。そして暗転後の次のシーンで3人が水溜りのまわりにがっくりとして座っているのを見て、「あぁ、やっぱり幻聴だったのか・・・」と気づきました。
 新国立版では最初から「あれは幻聴だ」と観客の私がわかっていました。敢えてそういう演出をしたのかもしれませんが、役者さんが“幻聴かもしれないと思いながらぬか喜びする様子”を演じていたのではないかと思います。私には今作の方が断然良かったですね。

 新国立版でもそうでしたが、やっぱり佐山(長塚圭史)のセリフに涙しました。(セリフは正確ではありません)
 「死ぬのになぜ生まれるんだ?」
 「人間はインテリにならなければ生きていけない。でも中途半端だからだめなんだ。」
 「俺には観念がある。だからお前には勝っている。」
 2度目なので印象に残るセリフが違いました。もっともっといっぱい紹介したいのですが覚えていない・・・。戯曲本、欲しいなぁ(クドい)。

 青山円形劇場では珍しく、かなりリアルな美術でした。円形ステージを囲む客席の約5分の1(ぐらい?)は、ごつごつとした岩肌の巨大なセットで天井まで埋めつくされており、そこが洞窟の入り口になっています。ステージも土と石ででこぼこの地面です。中央には水溜りがあり、ろうそくを立てられる鉄の棒が一本刺さっています。ところどころ凹んだ地面はクッション状に柔らかくなっていて、少し湿っています。そこに役者さんが転ぶと服が濡れるのです。リアル!
 ろうそくが時間が経つにつれてどんどん短くなっていくのが良かったですね。ラスト間際はほんの1cmほどの長さになっていて、命の灯火がまさに消えようとしている、でも最後まで燃えているのだというメッセージとも受け取れました。

 ろうそくの火を吹き消すごとに暗転が訪れて、その最中に流れたのは母親の心臓の鼓動と羊水の音。どくん、どくん、ゴーーーっという感じ。これには興ざめしちゃいましたねぇ。舞台だけでなく劇場全体が人間の胎内である、つまり観客も胎内にいるということが狙いだったのかな。それは観客が自分から感じられると思うので、説明しすぎな気がしてちょっとヤでした。

 終演後しばらく余韻を味わいたくて、イスに座ったままじーっと装置を眺めていました。照明でうっすらと光る黒々とした岩肌を見つめていると、洞窟が私達人間を暖かく見守っているような気がしました。あの装置と照明はすごいですね。

出演=奥菜恵/長塚圭史/伊達暁
作=三好十郎 演出=鈴木勝秀 美術=二村周作  照明=倉本泰史 音響=井上正弘  衣裳=尾崎由佳子 演出助手=長町多寿子 舞台監督=安田美知子 宣伝美術=coa graphics 宣伝写真=小山裕良 宣伝ヘアメイク=野崎陽子 制作進行=相場未江 辻未央 制作=大島尚子(青山円形劇場) 伊藤達哉(ゴーチ・ブラザーズ) 企画制作=こどもの城劇場事業本部/阿佐ヶ谷スパイダース制作部 主催=こどもの城/ゴーチ・ブラザーズ
前売:5,500円(全席指定・税込) 当日:5,800円(全席指定・税込)
公式=http://asagayaspiders.net/modules/tinyd20/
イープラス特集1=http://eee.eplus.co.jp/s/tainai/
イープラス特集2=http://eee.eplus.co.jp/s/tainai_2/

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Posted by shinobu at 23:18 | TrackBack

2005年10月24日

地人会『島清、世に敗れたり』10/14-26紀伊國屋サザンシアター

 チラシのビジュアルがあまりに・・・なのですが、主役の島田清次郎役の上杉祥三さんは一見の価値あり!というか、こういうのをハマリ役・当たり役と言うのだと思います。こりゃ1日2ステージは不可能ですね。
 地人会の作品とは思えない、熱く、激しく、荒々しい、生の演技がありました。10/26(水)までです。イープラスの得チケあり!

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 大正時代に『地上』という大ベストセラー小説を書いた島田清次郎という人物の半生記です。活躍したのは20歳から25歳までのたったの5年間で、なんと31歳で亡くなっているんですね。あらすじはコチラでご覧ください。
 タイトルといいあらすじといい見るからに暗いお話で、休憩を挟んで2時間30分以上ありましたが、暗いながらも小気味良い笑いが会話の中にちりばめられており、軽いテンポに乗って楽しく拝見いたしました。

 とにかく島清(しませい)に尽きますね。なんとみっともなくて、魅力的な男だったことか!「天才だけど、性格が悪かった」って、書いてみれば陳腐なのですが、それってすごく悲しいことです。島清役の上杉祥三さんは、極貧の中で育った無鉄砲な正義漢が、自分のペン一本で財を築いて天狗になって、純粋さゆえのわがままと不道徳によって身を持ち崩していく様を、体当たりの迫真の演技で魅せ切ってくださいました。
 それにしても女を口説く演技や、人にものを頼み込むシーンは絶品でしたね。「なぜそこで腰を下げて、足をそんなに開くの!?」「どうしてそこで女の背後に回るんだ!?」「土下座の前にそんなジャンプしなくても!」と、頭にハテナマーク続出、そして吹き出し笑いの連続(笑)。長いセリフでも、怒ったり、叫んだり、悔しがったり、笑ったり、ものすごく変化に富んでいて目が離せませんでした。

 でも、作品全体としてはいわゆる正統派の演出でちょっと退屈することもありました。なにかと丁寧にやりすぎというか、説明的な場面が多いのかな。わかりやすいんですが、平凡。私個人としてはもっともっと冒険が観たかったです。
 上杉祥三さん以外の役者さんが全員2役やっていたのは良かったですね(森尾舞さんは3役)。島清以外の登場人物が彼をとりまく多くの人々として相対化されて、島清ただひとりが社会の中で飛びぬけて出世し、そして今度は疎外されて堕ちて行くのが強調されました。

 島清役の上杉祥三さん・・・私はトレランスの旗揚げ公演『神経衰弱』以来2度目なんですが、やっと本物の上杉さんにお会いできた気がしました。劇団 夢の遊眠社で長い間、主役をやってこられた方だということが、心から腑に落ちました。

 浅野雅博さん。島清を助けるボンボンの息子役と、冷徹な弁護士役。私はそもそも浅野さん目当てでこの公演に伺ったのですが、期待どおりの清らかなお姿。りりしいし、可愛いし、声がきれい。特に弁護士役は高慢なエリートを知的に清潔に、そしていやみに演じてらっしゃってかっこ良かったです。

 占部房子さん。肺病の女郎役と海軍将校の娘・芳江(よしえ)役。女郎役のあの貧相さから一転、華やかな令嬢に変身されて素敵。島清に強引に言い寄られている時の芳江役が凄かった・・・。あれは、本気ですよねぇ。

出演=上杉祥三/倉野章子/有川博/鴨川てんし/浅野雅博/塩山誠司/助川嘉隆/森尾舞/占部房子
作=松田章一 演出=高瀬久男 装置=松井るみ 照明=奥畑康夫 衣裳=宮本宣子 効果=藤田赤目 演出助手=森さゆ里 舞台監督=井川学 制作担当=和泉将朗 制作総括=渡辺江美
一般5,500円 学生3,800円(25歳以下、要学生証、劇団扱いのみ)
公式=http://www1.biz.biglobe.ne.jp/~CJK/ftr_99.htm

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Posted by shinobu at 00:50 | TrackBack

2005年10月22日

自転車キンクリートSTORE『ブラウニング・バージョン(The Browning Version)』10/20-30俳優座劇場

 『ウィンズロウ・ボーイ』に続く、テレンス・ラティガン3作品連続公演の第2弾です。またもや涙ぼろぼろ~っ!!まごころのこもった一言一言に、観ている方も一緒になって気持ちが高揚したり、グッサリと傷ついたり・・・。テレンス・ラティガンってすごい!浅野和之さんと今井朋彦さんの男の演技合戦もみどころです。
 イープラスの得チケあり!10/30(日)までです。お見逃しなく!

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 ≪あらすじ≫ ※パンフレットより引用。(役者名)を追加。
 パブリック・スクールの校内にある教職員住宅の一室。夏休みを控えた、終業式の前日。教師で、古典学者のアンドルウ・クロッカーハリス(浅野和之)は、心臓病のため明日でこの学校を去ることになっている。アンドルウは人に好かれる性質ではなかった。彼は、教師としても、妻ミリー(内田春菊)との夫婦生活においても、自分が落伍者であるということを認めていた。そんなアンドルウに、生徒(池上リョヲマ)や同僚(今井朋彦)、校長(岡田正)や新任教師(佐藤祐基)、様々な人々が挨拶に訪れる。それは、いつも冷静な彼の心を激しく揺さぶるものだった。
 ≪ここまで≫

 『ウィンズロウ・ボーイ』では、正義を成すのではなく、正しいことをすることの大切さ、美しさが表されていたと感じました。今作では、何も隠さない、本気の、本音のコミュニケーションこそ、人間の幸せなのではないかと、優しく語り掛けられたような気がします。

 ここからネタバレします。

 エリート学校の中での半日の出来事です。ギリシア悲劇『アガメムノン』のブラウニング訳の本(これがタイトルの意味になります)を生徒のタプロウから贈られたアンドルウは、教師になって初めてというぐらいの感動を覚え、涙します。それを聞いた妻のミリーが「タプロウは単位欲しさにおべっかを使っただけ」とつげ口するシーンでは、「やめてーーーーっっ!!」っと叫びたい気持ちでいっぱいになりました(もちろん叫ばなかったけど)。

 「アンドルウを傷つけないで!タプロウの真心を汚さないで!他人を侮辱して楽しむのはやめて!」と、私の胸の中でミリーへの怒りが燃え盛りました。そして、すっかり意気消沈してどん底に落ち込み、だけどそのことを決して表には出さないアンドルウに対しては、「そうじゃないよ!タプロウは本当に貴方のことが好きだったのよ!」って伝えたくてたまらなかった・・・という風に、シーンが進むごとに私の心は登場人物のそれと一緒に天国に行ったり地獄に行ったり。アンドルウの書斎にすっかり入りびたり、あの部屋で起こる心の浮き沈みを自分も体験しました。

 アンドルウの同僚のフランク(今井朋彦)は、アンドルウに隠れて肉体関係を持っていたミリーに対して初めて激しい嫌悪感を覚え、彼女にはっきりと別れ話をします。そして初めてありのままの自分自身でアンドルウと向かい合い、本音の対話を始めます。硬く心を閉ざしていたアンドルウが、フランクの提案(フランクがアンドルウの新しい赴任先に訪れること)を受け入れたのは、それまでなら考えられないことだったけれど、自然で美しかったです。人は、人によって変わりますね。

 内田春菊さんの演技には意見が分かれるところだろうと思います。浅野和之さんと今井朋彦さんの間に挟まれた最重要キャラクターですから、どうしても2人と比べると見劣りします。彼等ほど技術がないのだから仕方がないですよね。
 私は内田さんの口から順序良く流れ出てくる、棒読みに近いセリフがどうしても受け入れられず、ミスキャストだと感じていました。また、子供がいない女性に見えなかったんですよね。内田さんが実際には4人のお子様がいらっしゃるお母様だからかもしれませんが、仏の慈愛のような空気とか、ほんわかとした幸せが感じられたんです。それは内田さん個人としては素敵だな~と思うのですが、ミリーには不似合いですよね。だからアンドルウに対する憤りなどがリアルに感じられなかったのではないかと思います。
 でも、何事にも動じないであろう、あの豊潤で妖艶な佇まいは内田さん独特のものだと思いました。アガペーの愛ではなくエロスの愛を求める女であるということはバンバン伝わってきました。

 舞台美術(横田あつみ)が素晴らしかったです。歴史あるイギリスの居間兼書斎。本棚、間仕切り、中庭へと続くステンドグラスのようなガラス戸。横田さんの美術は単にリアルであるだけでなくて、壁や物に年輪が感じられるんですよね。

 おそらく昼下がりから夜までのお話ですが、物語の起伏にあわせて照明は微妙な変化を見せていました。ガラス戸から差す日の光には何種類もありましたね。優しくて、渋いです。

 浅野和之さん。古典学者アンドルウ役。なんて上手いんだろう・・・セリフがない時の、体がピタリと動かないところに一番感動しました。動きがとても上品。誰と何を話す時もアンドルウでした。かっこ良すぎ。

 今井朋彦さん。同僚のフランク役。前半は内田春菊さんとのからみがほとんどだったためか、私にはコミュニケーションが存在しているように見えませんでした。早口すぎましたし。後半のアンドルウとの一騎打ちシーンでは、ちゃらんぽらんな若者から強い意志と信念を持つ一人の男に変身し、手に汗握る対話を見せてくださいました。

 池上リョヲマさん。タプロウ少年役。慌てた演技がずーっと続くので見ていて息苦しくなるところもありました。でも、本音がドンと口から出てしまうところや、先生に気を使って小さな声になるところなど、心がそのまま素直に現れていて胸を打ちました。小劇場の無名の若い男優さんが、こんな大きな企画に主要な役で出演されているのがすごく嬉しいです。

 佐藤祐基さん。新任教師役。毅然としたりりしいお姿に、これが初舞台とは思えなかったです。この方も池上リョヲマさん同様に、心が身体に溢れていて輝いていました。ハンサムだしこれからが楽しみですね。

 校長先生役の岡田正さんと、新任教師の新妻役の一戸奈未さんは残念な出来でしたね。何らかの正解を目指してがんばってる状態とお見受けました。私が拝見したのが2ステージ目でしたので、これから良くなられるのだろうと思います。

 ※手塚の一行レビューに関連記事。

テレンス・ラティガン3作連続公演 ラティガンまつり
出演=浅野和之/内田春菊/今井朋彦(文学座)/岡田正/池上リョヲマ(グワィニャオン)/一戸奈未/佐藤祐基
作=テレンス・ラティガン 訳・演出=鈴木裕美 舞台美術=横田あつみ 照明=中川隆一 音響=井上正弘 衣裳=三大寺志保美 ヘアメイクデザイン=河村陽子 舞台監督=伊達一成 演出助手=吉田智久 演出部=丹下由紀 照明操作=宇野理良 音響操作=友部秋一 ヘアメイク=鎌形裕子 大道具製作=俳優座劇場舞台美術部 小道具協力=高津装飾美術/京阪商会 衣裳協力=東京衣裳 履物協力=神田屋/DANCIN'SHOE OHKI ヘアメイク協力=DaB コスメ協力=チャコット イラストレーション=進藤恵子 写真=加藤孝 舞台写真=木山晃子 パンフレット取材=上野紀子 宣伝美術=鳥井和昌 制作助手=本郷みつ子 版権コーディネート=マーチン・ネイラー 古典ギリシア語指導=金子佳司 企画=鈴木裕美 制作=須藤千代子/村田朋美/大槻志保 製作=自転車キンクリーツカンパニー
【全席指定、消費税込】一般=5,000円●10/20(木)、10/21(金)は4,000円●小学生未満のお子様のご入場はご遠慮下さい。ラティガンまつり(テレンス・ラティガン3作品連続公演)のいずれかの半券で、別演目のチケットが500円引き。
公式=http://www.jitekin.com/

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Posted by shinobu at 23:06 | TrackBack

R-vive(りばいぶ)『A Secret Society '05~15年後の思い出~』10/20-25シアターグリーンエリア171

 R-vive(りばいぶ)は藤井ごうさんが作・演出される劇団です。「10年後の思い出」と「15年後の思い出」の2ヴァージョンありまして、私が拝見したのは「15年後」の方です。
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 ≪あらすじ≫
 取り壊されかかっているビルの地下室。中学時代の同級生だった男女8人が、タイムカプセルを掘り出す為に15年ぶりに集まった。その場所は「秘密基地」と呼ばれる、子供達の遊び場だったのだ。掘り当てたタイムカプセルの中から将来の夢をしたためた手紙を取り出し、順番に読み上げていく。しかしなぜか9通あるのだ。そこに学生服を着た男が現れて・・・。
 ≪ここまで≫

 役者さんの演技が受け付けられなくて、楽しめませんでした。ああいう演技の仕方って新劇系のプロデュース公演などでよく見かけるのですが、なぜみな揃って、ああなるのかしら・・・。
 「この単語はこのように発音するはずだ」とか「この言い回しはこう言うだろう」という予測の元に演技が組み立てられているように見えました。つまり人物が生き生きとその場で生きていないのです。生身の自分の上からその役柄の着ぐるみを着ているような、と言うのがわかりやすいでしょうか。

 脚本は説明のための言葉が多く、非常にまどろっこしかったです。セリフも会話も、伝えたいことやストーリーのクライマックスに辿り着くために用意されており、人物が自然に発しているようには感じられませんでした。だから「そんなこと言わないよね」とか「そういう返事はしないでしょう」とか、いちいち突っ込みたくなって、ずっと腑に落ちない心持ちでした。

 ここからネタバレします。

 実は、秘密基地のことを学校の先生にバラしてしまった友達をシャベルで殴って殺し、死体をその地下室の床に埋めていたという事実が最後に明かされます。8人全員が必死になって忘れ去っていたことを、死んでしまった男の霊が皆を呼び出して思い起こさせたという筋書きなのですが、それで終わりだったのが残念。それを思い出して、その後どうしたのかが大事だと思いますし、8人がそれぞれの人生を歩んで15年前とは全然違う人間になっているということを、もっと詳しく描いて欲しかったです。アルコール中毒だったり借金にまみれてたりというのがわかったのは面白かったですが、物足りなかったな~。

脚本・演出=藤井ごう 音響=近藤達史 照明=和田東史子 舞台監督=伊達一成/上村利幸 舞台美術=升平香織 演出助手=小森淑子/片山愉香 稽古場助手=竹下好幸/弦巻武之 宣伝美術=KINOco 制作=R-vive+(有)スターダス・21/根本典子 製作=R-vive
出演=雑賀克郎/本城憲/以倉いずみ/塚本浩平/田中しげ美/中山玲/添田園子/小森創介/大橋一三
前売り¥3000 当日¥3500
劇団=http://hw001.gate01.com/shelf/r-vive/

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Posted by shinobu at 22:54 | TrackBack

ピチチ5(クインテット)『はてしないものがたり』10/20-23明石スタジオ

 福原充則さんが作・演出されるピチチ5。私、大ファンなんです♪ 今回が第3回公演(過去のレビュー→第1回第2回)で、今までと同じスタイル(短編集)ではあるけれど、何ランクもレベルアップした演劇世界でした。

 豆粒以下で、くだらなくて、死んだ方がましかもしれない私達の日常を、体当たりの一瞬間で笑い飛ばしながら描ききり、自分と他人、男と女、生きてるってどういうことなのか・・・という哲学的境地にまでたどり着いています。

 次回公演がいつになるのかわからないそうです。今日の夜と明日の昼・夜で終わってしまいますので、ぜひぜひ高円寺へお運びください。見逃さないで!

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 いい意味で期待を大きく裏切られる、感動の小劇場演劇でした。あきれ笑い、切なさ笑いなどを引き起こす短編コントを観られるのかなと思っていたのですが、それをすっかり超越した劇空間を提示していたように思います。
 私的な意識をギュっと抑制したコント会話もあれば、思いっきり大声で叫んだり、ステージ上で一人で七転八倒したり、体と声の限界を見せる演出もあります。演劇という、肉体と言葉を使った表現手法に対して果敢に戦いを挑んでいるような気がしました。

 ひきこもり、ニート等と呼ばれて異常、病的だと認識されがちな現代の若者の生活を、堂々と開き直って描き、その生々しい世俗から直接ファンタジーの世界に飛びます。「飛ぶ」というと空へ飛翔するとか遠くへ行くようなイメージがありますが、決してその意味ではありません。私達が暮らしているありきたりな日々の繰り返しの中の一瞬が、想像力によって突然、夢とか、宇宙とか、ありとあらゆるものに変身するのです。それが“はてしない物語(ネバーエンディング・ストーリー)”の意味ですよね。

はてしない物語
ミヒャエル・エンデ作 / 上田 真而子訳 / 佐藤 真理子訳
岩波書店 (1982.6)
通常24時間以内に発送します。

 ここからネタバレします。

 第一話「三人の開拓者」
 4人の会社員の飲み会の帰り道。石北さん(高木珠里)と帰る方向が一緒だった高梨(山下純)は、石北さんが気安く自分の肩に触れたり、通勤電車が一緒だという話をし始めて逆上する。「なんで肩に触るんだよっ!好きになっちゃうじゃないかっ!!」

 「人を好きになるのに理由はいらない」「カバンの斜め掛けはエッチOKのサイン」とか、名言と迷言が連呼されます。“ハリネズミのジレンマ”というと聞こえがいいですが、モテない男たちの強情っぱりで独りよがりな世界が情けなくって可愛い。
 “恋愛”というものを描ききっていた気がするんですよね。片思いから両思いになってエッチして、お互いの気持ちが離れていったらお別れする。それを3秒で終わらせていました。

 女が大好きなのだけれど片思いや失恋はつらすぎる。とうとう「女なんかいなければいいんだ!」と逆ギレして、男だけの国を作ろうと頑張る。でも結局は「玄人女性さえいればいい」という境地にたどり着く・・・。無様だなぁと思いつつ、素人女性としてはちょっと複雑な気持ちも(笑)。


 第二話「嘘だと言ってよ、ハリー」
 終電を逃してしまい、2人のサラリーマン(野間口徹&山本圭祐)が駅に止められていた自転車の鍵を壊して盗もうとしている。そこに自転車の持ち主(植田裕一)が現れて・・・。
 
 皮ジャンを着た自転車の持ち主=ロックな人(植田裕一)が、実はサラリーマン(山本圭祐)が昔あこがれていたミュージシャン、ハリーだったということがわかります。でも今の彼の姿に絶望して、ファンを辞めて去っていくまでがちょっと長かったかな。サラリーマンが去った後に、ロックな人の愛車(高木珠里)が自転車幽霊として登場するのが、バカバカしすぎて面白かったので。


 第三話「吉崎、かく語りき」
 日本語がおぼつかない中国人(高木珠里)がレジにいる100円ショップ。店長(三浦竜一)もバイトの吉崎(吉見匡雄)も、やる気がない。100円ショップ、惣菜屋のおかず仕分け現場、居酒屋という、立身出世が全く見込めない職場でのうだつの上がらない若者達の仕事っぷり。
 中学生にオヤジ狩りされて殺された吉崎(吉見匡雄)が、店長のもとに幽霊になって現れて言った。「32年間生きてきて、一番楽しかったのはオナニーです」。

 吉崎の遺言(?)を受けて、店長は晴れ晴れとした心持ちで「そうか、オナニーだったら気持ちいいし、俺にでも出来る!」と叫びます。華やかな人生をあきらめてしまった若い男の子たちが、このままでも幸せになれる道というと、まず今の自分を肯定することです。その一番簡単な方法がオナニーのポジティブな肯定なんですね(笑)。そしてそれは想像力への賛辞でもあります。


 第四話「ほんとだよ」
 引っ越しのバイトをする男達。やる気がないから休んでばかり。無理やり仕事を始めてもチームワークはゼロ以下。でも美人が前を通る時はみんなそろって凝視するから息がぴったり合う。当然、美人は自分達には目もくれない。もしかすると美人は俺達が生きている世界には居ないんじゃないか?本当は存在しないんじゃないか?

 美人は自分達の世界に居ない。逆に言うと自分達は美人達の世界に居ない。そして「俺達は幻なのか?」という自己否定に陥り一気に落ち込むのですが、それもつかの間。すぐに「だったら借金も帳消しだね♪」と都合よく受け取りなおします。そして「どこへでも連れて行ってあげるよ」と本物のファルコンが登場し(下手の壁から巨大なぬいぐるみが出現)、想像力の翼は無限に広げられるのですが、ぐるりと考えをめぐらせて戻ってきたのは「自分の家に帰りたい。僕達の六畳一間へ連れて行って、TSUTAYAとコンビニ経由で!」という、等身大の密室。結局そこに逆戻りしてくる救いのない男たちの、希望に満ちたうすら笑顔が情けないし、微笑ましい。
 
 短い時間に無限の広がりと引きこもり部屋を行ったり来たり。
 白いイヌのぬいぐるみがスライス状に伸びてファルコンになった時は、恐ろしいし面白いしで、心がヘンになりそうでした。


 出演者の中で紅一点の高木珠里さん。“紅一点”だなぁと思ったのは最初の「三人の開拓者」だけで、後は完全に溶け込んでらっしゃいました。体当たりの演技でしたね。
 野間口徹さん。無神経な先輩サラリーマン、無礼な居酒屋店員、やる気のない引越しアルバイトなど、それぞれの表情や声色が今も思い出せるぐらい印象的でした。

出演=植田裕一(蜜)/碓井清喜/野間口徹(親族代表)/三浦竜一/三土幸敏(くねくねし)/吉見匡雄/山下純(こどもとあそぶ)/山本圭祐/高木珠里(劇団宝船)
作・演出=福原充則 舞台監督=中西隆雄 音響=高塩顕 照明=河上賢一 舞台美術=岩田暁/横畠愛希子(マンションマンション) 宣伝美術=岡屋出海 演出助手=永渕倫  制作=三村里奈(MRco.)
前売2000円/当日2200円 全席自由席・日時指定・整理番号付★学生割引1000円<劇団予約のみ。当日受付にて学生証提示>★大人割引1500円<35才以上。劇団予約のみ。当日受付にて身分証提示>
公式=http://www.ne.jp/asahi/de/do/pichi.html

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Posted by shinobu at 17:11 | TrackBack

2005年10月21日

ケラ×天街×流山児『SMOKE~Long Version~』優先予約開始!

 流山児★事務所『SMOKE~Long Version~』
 11/26-12/06ザ・スズナリ
 作・音楽=ケラリーノ・サンドロヴィッチ(ナイロン100℃)
 演出=天野天街(少年王者舘)
 芸術監督=流山児祥

 優先 WEB・FAX予約がはじまってます!
  ⇒ http://www.ryuzanji.com/

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Posted by shinobu at 15:31 | TrackBack

2005年10月19日

Cherry Bombers Project02『Cherry Bombers Strikes Back』10/19-23笹塚ファクトリー

 ナイロン100℃の長田奈麻さん が企画・製作するプロジェクトです。第一弾は観ていないのですが、種子さんという女優さんの評判は聞いていたので、今回は前売りを買って伺いました。
 短編芝居とコント集ってことで、私が好きな瞬間があったのはブルースカイさん作・演出のだけでしたね・・・。
 笹塚ファクトリーに初めて行ったんですが、新宿から近いし駅から近いしすっごく便利ですね~。

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 あまり詳しくは書きませんが、ここからネタバレします。

 1「ダメダメ西遊記」
 オープニングからタイトル通りダメダメ感最大(笑)。種子さん演じる三蔵法師の無言の存在感が良かった。うん、種子さん、素敵ですね。

 2「乾いた花」作=ケラリーノ・サンドロヴィッチ×吉増裕士 演出=吉増裕士
 父親が死んで2年。母親(峯村リエ)は精神に異常をきたしはじめている。姉(長田奈麻)は家を出たいと思っており、妹(新井友香)も息苦しい。街では何人もの人間を殺している野生児(井上貴子)がうろついているという報道があり・・・。
 あんまり笑いは重視してないブラックなお話でした。汚染された魚を食べたら体中に斑点ができて、数十分から数時間で死ぬという設定に、メッセージもあったような。演出でもっと面白く出来たんじゃないかなぁ。出っ張るべきところで出っ張りが足りなかった気がします。

 3「シスターたちのコント」作・演出=ブルースカイ
 身寄りのない子供たちを預かる施設で働くシスターたち。実は・・・。
 ブルースカイさんのナンセンス炸裂!「ファイト」って垂れ幕が落ちてきた時は私、かなり笑ってしまいました。あぁ久しぶりだったな~、ブルースカイの世界。大好きだ。怖いけど(笑)。

 4「マッドニュース」作・演出=ラサール石井
  女性ニュースキャスターの戦い。けっこう正統派。普通のコント。これも演出次第でもっと面白くなるんじゃないかと思いました。峯村リエさんも長田奈麻さんも、きれいな方ですね~。あ、AD役の井上貴子さん ってプロレスラーなんですね?この方も可愛い方ですね~。

 5「女囚物語」作=宮藤官九郎 演出=河原雅彦
 グロまで行ってしまうエロは苦手です。河原雅彦さんの演出は私には本当に合わないんですよね~。もっとシャイな気持ちとかデリカシーとかがあれば、キュートなエロで素直な笑いになると思うんですが、それは河原さんが狙うこととは違いますものね。
 脚本にはちゃんと盛り上がりやオチもあって、ふむふむと最後まで観られる作品でした。でもリン・ボブディさんが腰に装着したあのピンク色の棒状のものは正視できないッス。

出演=峯村リエ/長田奈麻/新井友香/種子/リン・ボブディ/井上貴子
Play:作=ケラリーノ・サンドロヴィッチ×吉増裕士 演出=吉増裕士 Conte:作・演出=清水宏/ブルースカイ/ラサール石井/作=宮藤官九郎&演出=河原雅彦 舞台監督=福澤諭志+至福団 照明=瀬戸あずさ 関口裕二(balance, inc DESIGN) 音響=茶木陽子(モックサウンド) 衣裳=木村春子(衣匠也) 映像=INSTANT wife + 仲井陽(ケシュ#203) 演出助手=相田剛志 美術=片平圭衣子 演出部=渡辺亜沙子 鈴木美幸 宣伝写真=村岡亜貴子 宣伝美術=Transforming Underground 票券=宍戸円(ミヤコハンター) 制作=丸川雅也×TWIN BEAT 企画製作=長田奈麻
チラシ裏=http://www.ishii-mitsuzo.com/info/a25/a.html

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Posted by shinobu at 22:58 | TrackBack

シベリア少女鉄道『スラムダンク』10/14-20シアターサンモール

 いつも凄く計算されたトリックで驚かせてくれるシベリア少女鉄道の第14回公演です。今回のタイトルは『スラムダンク』。だけどチラシに写っているのはハカマ姿の男子たち。キャッチコピーは“重なる想い、駆け巡る青春”“世界の中心で、会いにゆきます。”です。

 いやー・・・めちゃくちゃ疲れましたが、終わった時は心から拍手が出来ました。よくこんなことやるなぁって、ちょっぴりあきれつつ、感服です。
 すごいレビュー→踊る芝居好きのダメ人間日記 (2005/10/20追記)

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 ここからネタバレします。これからご覧になる方は絶対に読まないでくださいね。

 整理番号付き自由席ということで、開場時間になってからぞろぞろと入場し、好きな席を選んで座りました。劇場の中央がステージ(素舞台)になっていて、2方向から客席で挟む形です。私はいつもは舞台がある側に座りました。前説に土屋亮一さんが出ていらして、なんだか嬉しかった。

 複数のエピソードが少しずつ演じられていきます。覚えている限りを書きますと下記↓のような感じ(書きそびれがあるかもしれません)。

 ・夜の女たちが集まるバー。色男にだまされる女達。口数少ないバーテンダー。
 ・バーテンダーが思い出す青春時代。それはまるっきり『世界の中心で、愛をさけぶ』の世界。亜紀&朔ちゃん、亜紀の父母、医者などが登場。
 ・萌え系アイドルの握手会に集まるオタクたち。会場に爆弾をしかけたという脅迫電話があり、警察が動きだす。実はそのアイドルは双子の姉妹で、ときどき姉が妹の替え玉になっている。暇な警備員たちも登場。
 ・首相官邸。久々の休みにゆっくりする首相とその妻、娘、家政婦。そこに訪れる招かれざる客たち。首相に恨みを持つ輩も登場。
 ・ネットの力を駆使してテロをたくらむ高校生たち。首相の秘書を誘拐する。
 ・訓練中の自衛隊。寝坊をして上官に怒られる。
 ・子供を施設に預けようとしている若いカップルと、施設の理事長や先生、子供たち。
 ・首相官邸で将棋をするおじさん(このエピソードはよくわかりませんでした)。

 いつもは観客が出入りする両側のドアが役者さんの出はけ口になっており、役者さんがどんどこ服を着替えて何役も演じます。それぞれのエピソードが演じられるスペース(舞台中央、入り口の前など)は決まっていて、床に書かれた丸い線と照明で区画分けされています。

 それらが徐々に重なり合ってくるのは予想通りでした。例えば藤原幹雄さんの場合、バーテンダーを演じていたら自衛隊エピソードが始まってしまい、衣裳はバーテンダーのまま急いでサングラスだけかけて自衛隊スペースへと移動し、上官の演技をします。次に病院のエピソードが始まったので、あわててちょっと着替えて病人役を演じる・・・など、役者さんが次へ、次へとキャラを変えてシーンに追いついていきます。戸惑ったり、わたわたするのが可笑しいです。
 でもそこまでなら別に驚かないんですよ、今までのシベ少でもこういうことはありましたし。でもね、これ以降、まさか落語になるとは・・・!

 何役も演じる役者が、自分が演じている2役で電話で会話を始めます。2人のキャラクターを演じながら一人でその会話をするので、必然的に落語のようになるのです。役者さん全員について一人二役のシーンがあり、名前も紹介されます。中央にはちゃんとお座布団も敷かれていてサービス満点(笑)。
 そしてさらに次の展開が!落語から、バスケットボールの試合に!!各エピソードの場所が決まっているので、エピソードが変化するのに合わせて役者さんが役を変えつつ舞台上を移動します。その移動と演技とを組み合わせて、まるでコートで試合をしているような動きに見せるのです。もー・・・・お見事ですね。

 バスケは4人対5人の試合のようになっていて、4人の方の1人が同点に追いつくかどうかのシュートの間際に、トラベリング(ボールを持って3歩以上歩く違反)をしてしまいます。突然審判役として土屋亮一さんが登場。ピーッと笛を吹きながら両手を胸の前で糸巻きのようにグルグルと回す動作をするのが笑える。そして「トラベリング」から宇多田ひかる の“traveling”へ。曲が流れ出し、試合から徐々にダンスに変化し、セリフがラップになって、終了~・・・・。

 それぞれのエピソードは、セリフがバラバラに発せられて落語、バスケ、宇多田と進みながらも、ちゃんと進展していました。おそらく結末まで至ったんだろうなぁと思います。残念ながら追いつけなかったけど。だってあるセリフの直後に発せられるセリフが、前とは違うエピソードのものだったりするので、役者さんは瞬時にキャラや声色を変えるので、展開が早すぎるんですよ(苦笑)。それに声が小さいですしね。私はわかりたくって仕方がなかったから、常に緊張状態でセリフに聞き入りました。わかった時は嬉しいし可笑しいし、わからなくてもバスケの試合が進むのが面白かった(笑)。

 とにかく集中し続けましたね。終わった時は疲れきっていたけれど、充実の2時間弱でした(上演時間は未確認)。こんな脚本、書くなんて。そして、実践するなんて・・・想像するだけでゾっとします。凄い。
 ただ、好きじゃない人もいるだろうなと思います。だって、そんなに笑えないですしね、ついていくのが精一杯で(笑)。私はこいうアイデアや頑張りが大好きなので、次回も楽しみ!

 内田慈(うちだ・ちか)さん。首相官邸で盗聴するヘンな女子大生、首相の娘、首相の秘書、バーであばれる系の女、看護婦、施設のなまりのある先生などを演じていらっしゃいました。 『ニセS高原から』の五反田団バージョンでの男をフリに来た女役でステキだなぁと思っていましたが、今作で色んな役(キャラ)を演じられていて、その魅力を再確認。きれいだし動きも機敏だし、堂々としてらっしゃって目立っていました。次はグリングの『海賊』に出演されます。

 ※昨日の夜『世界の中心で、愛をさけぶ』を見て本当に良かった!(笑) 神様ありがとうっ。 

出演=前畑陽平/藤原幹雄/吉田友則/横溝茂雄/篠塚茜/出来恵美/内田慈/大坂秩加/佐々木幸子(野鳩)/土屋亮一
作・演出=土屋亮一 舞台監督=谷澤拓巳+至福団 音響=中村嘉宏(atSound) 照明=伊藤孝(ART CORE design) 衣装=坂倉香子 小道具=畠山直子 音源製作=霜月若菜 宣伝美術=土屋亮一 撮影協力=冨田中理 票券=西川悦代  制作助手=安元千恵 制作=保坂綾子 製作=高田雅士 企画制作=シベリア少女鉄道 主催=ニッポン放送
前売¥3000 当日¥3200(選びづらい自由席。整理番号付き)●20(木)15:00の回のみ 前売¥2000 当日¥2200
劇団=http://www.siberia.jp/

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Posted by shinobu at 00:19 | TrackBack

2005年10月18日

新国立劇場『シラノ・ド・ベルジュラック』オーディション・11/4(金)締切

 新国立劇場 中劇場で来年11月に上演される、鈴木忠志演出『シラノ・ド・ベルジュラック』のオーディションが実施されます。

 募集=ヒロインのロクサーヌ役1名と、コロス(通称・娘芸者)役数名。
 応募資格=18歳以上30歳以下の女性で、演劇経験のある者。
 応募締切=11月4日必着。

 ★詳細は、公式サイトへ。

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Posted by shinobu at 14:09 | TrackBack

2005年10月17日

映画『世界の中心で、愛をさけぶ』

 いまさら、テレビでノーカット放映されたのをビデオ録画して、見ました。
 森山未來くん、とっても良かったです・・・と思ったら、いろいろ賞を取ってるんですね、やっぱり。 ⇒詳細情報  ⇒映画公式サイト
 で、見終わったら月9のドラマ『危険なアネキ』に医師役で、メガネをかけて登場。うーん・・・森山くんは好きだけどドラマは苦手だ。

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Posted by shinobu at 22:26 | TrackBack

2005年10月16日

劇団唐組『カーテン[電子城IIより]』10/08-09, 10/15-16西新宿原っぱ

 やっと、やっと、やっと、唐組初見でございます。テント公演って苦手なので、ずっと避けていたのです・・・で、案の定、2度目の途中休憩で帰ってきてしまいました。これはね、もうね、好みによるんです。それだけです。
 舞台上の唐十郎さんをはじめて生で観て「なんて素敵なおじさんなんだ!」って思いました。面白いしカッコいいし可愛いし。

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 未知のままで放置していた世界と、やっと遭遇できた・・・という気持ちです。私には合わなかったですが、テント内は大盛り上がり。笑いもいっぱいですし拍手喝采ですし、客席からは、登場する役者さんに歌舞伎のように「唐十郎!」と声がかかったりしていました。

 最後列の招待(だろうと思われる)席以外はすべて桟敷席です。本当の意味で桟敷。広っぱの土の上にゴザが敷いてあり、そこにそのまま座りますから。
 上演時間は2時間40分、途中休憩は10分が2回。第1幕が終わった時点で帰りたかったのですが、幕の向こうでトンテン、カンテンと何かを組み立て、作っている物音がします。「そうか、装置が変わるのね??」と気づき、2幕も観ることを決意。2幕は唐十郎さんの出番が少なくて眠気にも襲われたため、次の休憩で劇場を後にしました。

 お話は・・・ゲームソフトを作っている人の話、も、ありましたね。全然わからなかった、というか、ストーリーをわかろうという気力が生まれませんでした。役者さんは膨大なセリフを早口でしゃべりつづけます。すんなり意味が伝わってくることもあれば、そもそもかつ舌が悪いため言葉が聞こえてこない人もいて・・・って、こんなこと書いても意味が無い気がします。これは唐組という劇団の紅テント公演という、一つの確立されたジャンルなんだと思います。あのテントの中には“ここにしかない世界”がありました。観客にはリピーターもいっぱいだし。

 唐組の役者さんって目が血走ってます。どこか、私達が住んでいる世界とは違う世界を見つめているみたい。テントから装置から何から何まで劇団員が作って、受付も観客の誘導もすべてやってから、舞台に立って演じてらっしゃいますものね。舞台の転換も休憩時間に自分達でなさってますし、しかも装置は移動させるだけではなくてバラして建て込み直すのですから大変ですよね。

 でも唐十郎さんについては「血走ってる」とは感じなかったですね。舞台で思いっきり遊んでる子供みたいでした。「はるかな尾瀬~♪」って歌われたりして、爆笑しちゃった。

 先日の劇団唐ゼミ★の『黒いチューリップ』よりはずっと面白かったです。パワーが違う。心根も違う。やっぱり本家本元を観ておいてよかったです。

≪西新宿原っぱ、雑司が谷・鬼子母神≫
出演=唐十郎/鳥山昌克/久保井研/辻孝彦/稲荷卓央/藤井由紀/赤松由美/真名子美佳/丸山厚人/多田亜由美/植野正士/高木宏/岡田悟一/気田睦/西川高史/野村千絵
作・演出=唐十郎 宣伝美術=合田佐知子 作曲=大貫誉 舞台美術=劇団唐組 制作=劇団唐組制作部 版下作成=森崎偏陸 協力=(株)文化印刷
唐組(唐ファン)=http://homepage3.nifty.com/shibai/
インタビューや稽古場の充実映像あり!=http://mars.eplus.co.jp/ss/kougyou/syosai.asp?kc=004296&ks=19
関連公演:Bumkamura『調教師』=http://eee.eplus.co.jp/s/chokyo/

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Posted by shinobu at 22:57 | TrackBack

ヒューリッド・プロデュース『Sleepless Express』10/12-16王子小劇場

 オフィス・ヒューリッドは公演ごとに役者を集めるプロデュース系の劇団です。個人的にたくさんのお友達が関係しているので観に行きました。
 劇団の将来の目的・目標がまだ定まっておらず、試行錯誤しているご様子。東京にたくさんある、いわゆる“小劇場劇団”の一つでしょう。

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 ≪あらすじ≫ 当日パンフレットよりそのまま引用。(役者名)を追加。
 落盤事故によって命を落とした駅長がいた。その駅で一人佇む駅長のひとり息子(湯田昌次)。彼にはもう生きてゆく場所がなかった。止めようのない空虚と孤独。そんな彼の前に一人の少女(田中まこと)が現れる・・・
 ≪ここまで≫

 原因不明の落盤事故で駅長や乗客が亡くなる悲惨な事故が起こった、片田舎の駅が舞台。若い売れっ子漫画家(橋本ユウキ)が体験談を語る形式で物語は始まります。

 本日の夜公演が千秋楽ですので、ここからネタバレします。

 チラシに“不思議なチカラと不思議な体験が小さな奇跡を巻き起こす”とありますように、日常生活では絶対に起こりえないことが次々と起こります。まず、漫画家(橋本ユウキ)が描いた漫画の中での出来事が、現実世界で起こるのです。これがそういうファンタジーって素敵だと思うんですが、根拠がないから受け入れられないんですよね。
 登場人物が多すぎるし全体的に散漫でしたから、何をやりたいのか、どんな世界を描きたいのかが、この作品を作り始める時点で決まっていなかったんだろうなと思いました。

 漫画の人気キャラクターのからあげマン(勢登健雄)の頭のからあげを食べて、ゾンビ(鈴木健之)に殺された刑事(古池清貴)がよみがえるのは、楽しいアイデアだったと思います。駅の名前が「じごく」や「みゆき」に変わるのも可愛いですし、ギャグも面白かったし、部分的に良いところは沢山ありました。数年前に観た作品よりもずっと良くなっているのは間違い無いですので、これから劇団の独自性を見いだして、ひとつの世界を作れるようになってくれたらいいなと思います。

 王子小劇場の高い天井をしっかりと生かして、客席に対して斜めに建て込まれた舞台装置でした。下手奥のトンネルや2階の漫画家のアトリエ、吊られた鉄線など、全体の構成がとても絵になっていましたし、プラットフォームの黄色い線、じゃり石、折れた木の柵などの細かい所もすごく良かったな・・・と思ったら、美術は福田秀暢さん(F.A.T STUDIO)なんですね、ナットク。

 湯田昌次さん。死んだ駅長の息子・俊介役。最初に登場した時の“引き篭もり少年”である姿がとてもよかったです。空想シーンのヲタク王子役での「アスカ(エヴァのキャラ)以外死ね!」には爆笑させていただきました(笑)。後半の深刻そうな演技は心が入っているようには思えなかったな~。
 田中まことさん。不思議な少女ミユキ役。最初から最後まで役にしっかりとなりきっていたのはこの方だけだったかな。JACROW『袋小路』で初めて拝見しましたが、今回は数段レベルアップされていました。
 小島フェニックスさん。駅長(長井教行)の友人で(株)エターナル重役の悪者役。アドリブ三昧だったようで(笑)、すっかり観客を自分のものにしていましたね。私もいっぱい笑わせていただきました。次回出演が乞局(こつぼね)の『雄向葵(オマワリ)』というのが意外。どんな変貌を見せれくれるのかが楽しみです。

出演=湯田昌次/田中まこと/長井教行/橋本ユウキ/黒田朋子/大湯純一/渡辺このみ/新保智子(BLUE HIPS)/吉永隆之/小島フェニックス/中村裕美/白鳥恵三郎/勢登健雄/古池清貴/鈴木健之
脚本=橋本ユウキ 演出=勢登健雄 舞台監督=杉江聡(Z.A.P) 舞台監督助手=村田真紀(グワイニャオン) 舞台美術=福田秀暢(F.A.T STUDIO) 音楽=長崎勉(london, paris) 音響=広田河(三日月座) 照明=上川真由美 小道具=湯田商店 衣裳・メイク=中西瑞美 宣伝美術・WEB=橋本ユウキ 制作=黒田朋美(JACROW)・鶴田貴子・亀川朝子 制作協力=中嶋亮太 企画・製作=オフィス・ヒューリッド
前売・当日¥2500 ウェブ予約¥2300 金曜の昼のみ¥2000
劇団=http://www.hu-lid.com/
公演=http://www.hu-lid.com/sleep/index.html

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Posted by shinobu at 16:48 | TrackBack

(社)日本劇団協議会/創作劇奨励公演『痕-KON-』10/08-16青年座劇場

 今井一隆さんの書き下ろしを青年座の伊藤大さんが演出されます。文化庁がお金を出しているプロデュース公演なのかな。青年座劇場に青年座の座員以外の俳優がたくさん出られています。

 最近、自分の感覚が変わってきている気がしていたのですが、この作品で確信しました。舞台上でコミュニケーションをしている役者さんが好きですね、私は。それ以外の役者さんのことは、目に入りづらくなりました。

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 ≪あらすじ≫ チラシより部分抜粋。(役者名)を追加。
 とある地方の一軒家。猛暑。居間のエアコンが壊れている。修理の電気屋を待つ内田シゲル(五十嵐明)と義兄 宮本マサヤ(岸博之)。入院している父の見舞いから帰って来る母 内田アキコ(大崎由利子)と姉 宮本ミドリ(入江純)。シゲルの高校時代の友人で、同じ天文部に所属していたヤグチ(石井揮之)。ワケアリで東京の大学から帰省した、シゲルたちの従姉妹サキ(森脇由紀)。そして、父の本妻の娘 森リエコ(藤野節子)・・・。
 ≪ここまで≫

 ある家族のお話、なのですが、ものすごく複雑な家族構成でした。しかもセリフ説明が非常に少ないため、聞き逃すとすぐに意味がわからなくなります。でも、「あ、もしかして彼女は・・・」「いつからあの関係なのかしら・・・」等と頭をぐるぐる動かしながら観るのはなかなか面白かったです。
 ただ、ググっと引き込まれる対話もあれば、一方通行にセリフが発せられて言葉が流れ去ってしまうこともあり、その差が激しかったですね。もっともっと面白くなるんじゃないかと思うシーンが多かったです。

 舞台中央に10畳(8畳?)ぐらいの和室があり、部屋をかこむ障子には和紙が全く貼っていないため、木の枠だけで壁がない状態です。部屋の周りには具体的なものは何も置いておらず、黒い床に白いチョークのような線で、玄関や靴箱、石畳、植木などが描かれています。チョークの線から子供の頃の遊びや『ドッグヴィル』を思い出し、面白いなぁとおもいました。

 照明と音響は・・・好みの問題だと思うのですが、私はわざとらしいシリアスさを感じてしまいました。特にキメの瞬間に母親のアキコ(大崎由利子)に当てるサス(スポットライト)は、やらない方がいい気がしました。

 先述しましたが、最近、自分の感覚がすごく変わってきた気がしていまして、この作品を観てそれがはっきりしました。昔だったら魅力的だとか、上手いとか思っていた役者さんが、今では下手に見えることが多いのです。
 舞台の上で、本当に感情が動いているか。話している相手や同じ空間に居る人のことを感じているか。自分以外の人の言葉を本当に聞いているか・・・など、役者さんがその役柄としてお芝居の中で生きているのかどうかが、最重要ポイントになりました。
 特にこの作品は、一言のセリフで多くの意味や感情を伝える必要があったため、舞台に居る役者さんの存在の仕方によって空間の重みが大きく左右されました。

 一緒に観劇した人が終演後に「(舞台の上で役者がちゃんと生きていないと)メッセージが届かない」とおっしゃって、私もその通りだと思いました。その意味では、この作品の中でその役を生きていた人というと、入院中の父親の本妻の娘・リエコ役の藤野節子さんだけだったのではないかと思います。母親アキコ役の大崎由利子さんも藤野さんと一緒に居るシーンはすごく良かったのですが、他の、特にあのスポットライトが当たるところはわざとらしかったです。あれは演出のせいかもしれませんが。

 ここからネタバレします。
 
 ≪あらすじ 続き≫
 内田家は父、母、姉、弟の4人家族だったが、子供達が幼い頃に父親が死んでしまった。そして父親の友人だった男が転がり込んできて、いつのまにか新しい父親として住みつくようになった。それから数十年(?)経って、父親が入院。姉のミドリは宮本マサヤのもとに嫁に行き、今は妊娠5ヵ月で実家に帰ってきている。しかしマサヤはミドリが妊娠した頃から失業中。弟のシゲルは不動産屋で働いており、隣りに建つ分譲マンションの営業担当だが、近所でそのマンションの建設反対運動があったため内田家はプチ村八分状態。
 母の姪(つまりミドリとシゲルのいとこ)のサキが、年の離れた男性と関係を持っていることがわかり、大学を退学してむりやり実家に連れ戻されたらしい。サキは実の母親とうまくやっていけず、叔母のアキコがしばらく預かることになった。
 平和で平凡な家に見えて、実は簡単には解決できない問題が溢れかえっている内田家。そこに、父親の本妻の娘リエコが訪ねてきた。父親が死んだ時のことを相談するために。リエコは自分の父親の内縁の妻アキコに向かって、強い調子で言い放った。「父の持ち物はすべて返してください。お葬式にも出ないで欲しい」と。
 ≪ここまで≫

 比較的淡々と会話が交わされますが、あぶり出されてくる事実がかなり厳しい、しかし面白いものの連続なので、一言一言を聞き漏らすまいと頑張って見ていました。でも、役者さんがそこに生きていないとそのセリフも聞こえてきません。それがつらかった。

 本妻の娘リエコ(藤野節子)が石田家の隣りだとは知らずにマンションを購入しようとして、不動産屋のシゲル(五十嵐明)と出会っており、その二人の間にどうやら恋のようなものが生まれた、かも・・・?という前振りがありました。それ、めちゃくちゃ複雑ですよね、観客としてはぜひとも起こってもらいたいトラブルです(笑)。だって面白そう!・・・しかしながらシゲル役の五十嵐明さんがずっと“心ここに在らず”という演技だったため、リエコ(藤野節子)との間にはそんな艶っぽい雰囲気は全く生まれませんでした。

 五十嵐明さんって青年座の中でもかなり重要な、中心的な役柄を演じられることが多いですよね。だけどこの作品の中で一番コミュニケーションができてなくて、言葉が紋切り型で、嘘っぽかったような気がしたんですが・・・どうしてなのかしら。ま、私の感じ方がものすごく変化したのは間違いないんですけど。これからゆっくり考えます。

出演=五十嵐明/川上英四郎/森脇由紀/石井揮之(青年座映画放送)/岸博之((株)大沢事務所)/大崎由利子((有)レトル)/藤野節子(フリー)/入江純(演劇集団円)
作=今井一隆 演出=伊藤大 装置=伊藤雅子 照明=中川隆一 音楽=後藤浩明 音響=高橋巖 衣裳=竹原典子
宣伝美術=早田二郎 舞台監督=今村智宏 制作=佐々木聡一 主催=(社)日本劇団協議会/創作劇奨励公演 制作=劇団青年座
一般 3,800円 学生 3,000円
公式=http://www.seinenza.com/performance/bunkacho/2005.html#2005-1

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Posted by shinobu at 02:06 | TrackBack

2005年10月15日

ポイント東京/スフィア 企画・製作『恋愛ホテル~LOVE×HOTEL~』10/06-16アートスフィア

 「恋愛ホテル」と書いて「ラブホテル」と読みます。3つのカップルの一夜のお話。チラシがあんまり素敵なので、チケットが高かったのですが観に行っちゃいました。
 最初はどうなることかと思いましたが(演技がね・・・)、終盤からグンとパワーアップして、終わった時には「優しい恋のお話をありがとう!!」という気持ちが沸いていました。
 今週末の日曜日の14時開演の回が千秋楽です。お時間のある方はぜひ。大人向けの“同時進行オムニバス”ラブ・ストーリーズです。

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 舞台にはラブホテルの部屋が三つ、上下(かみしも)・中央に並んでいます。“同時進行オムニバス”ですので一つずつ順番に上演する一話完結型ではなく、3つのカップルの同じ日の同じ時間を、それぞれの部屋を行ったりきたりしながら描きます。なので役者さんは全員がほぼ出ずっぱり。

 あぁ~・・・久しぶりに完全に観客になりきって、ほのかに切なく、いとおしい“恋”を味わいました。きれいな舞台ときれいな役者さん、そして大人な観客が集まったアートスフィアで、すごく贅沢な夜のエンターテインメントを堪能しました。
 なんかね、演技の上手い下手とか、どうでも良くなりました。恋のときめき、切ない想い、心のゆらめき、熱い胸騒ぎ・・・ありきたりの言葉ですが、それぞれの要素がちょっぴりずつ、全部盛り込まれていたように思います。ずっとこの空気を覚えていたいからパンフレットも即購入。

 脚本は寺田敏雄さん。テレビや映画の脚本を書かれている方なんですね。演出は松本健さん。このかたもテレビドラマの演出をよくされているようです。確かにテレビでも成功する内容だったと思います。できれば小林顕作さんをあの役で再度キャスティングして(笑)、1時間ドラマとかにしてくれないかな~(それならまた見る!)。

 ここからネタバレします。

 舞台に向かって右側(上手)から、西郷輝彦×神戸みゆき、阿木燿子×風間トオル、持田真樹×小林顕作という並びでした。詳細はこちらでもどうぞ。それにしても写真が素晴らしいですよね。雰囲気あるし、エレガントで豪華。チラシで観に行っちゃったもんな~、8500円もするのに。


 ・ROOM 1 「通り雨」(西郷輝彦×神戸みゆき) 部屋はエレガントなビジネスホテル風。
 50代の地味なサラリーマン・道明寺(西郷輝彦)と20代のぴちぴちOL・アンズ(神戸みゆき)の、もしかすると援助交際?と思われそうな設定。アンズはスポーツクラブで無心に身体を鍛えている道明寺に一目ぼれ。道明寺は若くて可愛い女の子から誘われてまんざらでもない。しかし道明寺は真面目すぎて、ホテルに入ったけれどもベッドインにはなかなか至らない・・・。

 神戸みゆきさんはアニメ声優みたいな声でセリフもそんな感じで、お姿は超可愛いんですけど見ていられませんでした。なんだろうな~あの演技。萌え系(笑)? 声と体が分離してるみたい。
 西郷輝彦さんは・・・良かったんだろうな、たぶん。でも神戸さんがすっごい空回りしているように見て、このカップルはあんまりでしたね。残念。

 アンズが正直に自分の話(バレリーナを目指していたが足を怪我して夢を断念。スポーツクラブでエクササイズをして治そうとしたが無理だった等)をしたことで道明寺がすごくアンズのことを好きになってしまった・・・という展開は素敵です。


 ・ROOM 3 茜雲(阿木燿子×風間トオル) 部屋はいかにもラブホな雰囲気のおしゃれエッチ系。
 有閑マダムっぽい熟女・エリ(阿木燿子)と、見るからに遊び人っぽいイケメン・リュウ(風間トオル)とのあからさまな「ゆきずりの恋」・・・かと思いきや、エリのクロコダイルの高級バッグから出てきた手紙で、一気にシリアスムードに。
 
 阿木燿子さんは・・・不思議な存在の仕方でした。「セリフを忘れたのかな?」と思われるような妙な間や、「いきなりなぜ棒読み?」とハラハラするような言葉づかいなど、見ててとても心配になりました。でも後半はすっごく落ち着いていて、「あぁ、こんな人いるかもな~」と思って見られるようになりました。
 風間トオルさん。これが初舞台だそうです。文句なしにイケメンでした、本当に。めちゃくちゃ上手いというわけではないですが、リラックスして演じられていて、彼の存在はすごく素直に受け入れられました。後半で自分の恋のことを話している時は素敵だった~。

 独身の天文学者のエリは「後1年の命」と医者に宣告されており、バッグに入っていたのは彼女の全財産と遺言状(=手紙)でした。エリは昔、リュウを誘ったのと同じ方法(イヤリングを片方なくした云々)でひっかけた男のことが今も忘れられないと言います。その男というのが道明寺(西郷輝彦)でした。このエピソードについては道明寺とエリがお互いに思い出話を相手に語り、ROOM 1とROOM 3で同時進行します。


 ・ROOM 2 「小春日和」(持田真樹×小林顕作) 部屋は少々勘違い気味の豪華チャイナ風。
 つき合って5年目の若いカップル。30歳になるケンジ(小林顕作)は仕事に夢中でどんどん忙しくなるばかり。ミズキ(持田真樹)はいつも待ちぼうけで、この日、二人は別れ話をするつもりで会っていた。もし自分達がこのまま付き合っていたら・・・というありえない未来の話をしてみるが・・・。

 小林顕作さん、サイコーでしたね。おふざけもちゃんとケンジのキャラクターとして成立させており、どんなセリフも新鮮に感じられました。どうやらアドリブも満載の様子(笑)。このカップルは楽しかったな~っ。
 持田真樹さん。真面目で一生懸命な女の子をダイレクトに演じられていました。この方も風間トオルさんと同様、上手いというわけではないんですが、親しみを持って見ていられます。

 ミズキとの待ち合わせの前にケンジは、BARで見ず知らずの男に恋の相談をしていました。その男が道明寺(西郷輝彦)で、道明寺からケンジに「プロポーズはしたの?」と電話することで、ROOM 1とROOM 2がつながります。

 空想の話も尽きてきて、ミズキとケンジはお互いに今の自分の本音を話し始めます。ミズキはケンジが全然知らない間に出版社をリストラされており、新しい自分に生まれ変わろうと、花屋でアルバイトを始めていました。そして毎朝出会う男の人のことを好きになってしまった、と告白。プロポーズをしようとしていたケンジは玉砕・・・。ミズキと毎朝あいさつを交わす、朝帰りをする男がリュウ(風間トオル)だったということで、ROOM 2とROOM 3がつながります。


 3つの恋がすべて“お別れ”で終わるのが良かった!特にROOM 2(ケンジとミズキ)は切ないぜっ!花屋のミズキとホストのリュウについては一応ハッピーエンドではありますが、ただ朝のあいさつを交わすことだけで好きになってしまった者同士、これから苦労するのは間違いないです。それでも、人は、恋に落ちる・・・可愛いわ~美しいわ~。
 思い起こしてみれば、3つのカップルの3つとも、ありのままの自分を相手に見せることが、お互いを認めて受け入れる(愛する)ことのきっかけになっていました。これって素晴らしいことじゃないですか?いい脚本だ~いい作品だ~。

 テーマソング“愛したあなた”を中川晃教さんが作詞・作曲されていて、オープニングとエンディングに流れます(たぶん)。私はアッキーのファンなんでね、嬉しかったですよ(笑)。開演前にラジオの放送という設定で中川さんとDJとの会話が流れているのですが、この“愛したあなた”という曲の歌詞は17歳の頃に書かれたそうです。う~ん、10代から熱いロマンチストだったのね~(笑)。エンディングで流れた時、歌詞がこのストーリーにすっごく合ってるなぁと思いました。

 サビの部分の歌詞を下記に(パンフレットより)。

 愛したあなたを
 その心 消せはしない
 I'll never say good-bye
 流した涙に
 たった一度 愛したあなただから
 Never again love u what I said to myself


出演=西郷輝彦/阿木燿子/風間トオル/持田真樹/小林顕作/神戸みゆき
脚本=寺田敏雄 演出=松本健 美術=伊藤保恵 衣裳=宇野善子 音楽=中川晃教 照明=成瀬一裕 効果=増原健市 ヘアメイク=山崎潤子 演出助手=国井秀貴 宣伝美術=采澤聰 宣伝写真=園田昭彦 宣伝協力=る・ひまわり テーマソング=中川晃教“愛したあなた”(ミニアルバム「オアシス」より) プロデューサー=高屋潤子 主催=ポイント東京/アートスフィア/テレビ朝日 企画・製作=ポイント東京/スフィアS席 ¥8,500 A席 ¥6,000 ※未就学児童入場不可
公式=http://www.point-tokyo.com/
アートスフィア内=http://www.tennoz.co.jp/sphere/hotel/info.html

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Posted by shinobu at 00:52 | TrackBack

2005年10月13日

ONEOR8『ゼブラ』10/12-17THEATER/TOPS

 ONEOR8(ワンオアエイト)は田村孝裕さんが作・演出される劇団です。私は『最後の恐竜』以来の観劇になりました。
 決して多くはないセリフのやりとりで、心の機微を描き出す脚本がすごいなぁと思いました。

 ≪あらすじ≫
 時は現在。場所は4人姉妹が育った手塚家の居間。昭和の匂いがぷんぷん漂う古びた住まいだ。母親(和田ひろこ)は入院している。
 次女(星野園美)の引越しのために姉妹とその夫たちが集まってきた日、突然、葬儀屋が訪ねてきて・・・。
 ≪ここまで≫

 登場人物一人一人のバックグラウンドが丁寧に書き込まれていて、でも決して説明くさくはならない、とてもよく出来た脚本でした。家族のお話だけに留まらず、葬儀屋の兄弟(津村知与支と野本光一郎)のドラマもきちんと盛り込まれて、嬉しい驚きでした。
 役者さんは、それぞれのキャラクターがしっかりと立っていて、どんな人にもその人独自の世界があることがちゃんと感じられました。そしてその世界と世界のぶつかり合いの中に、人と人とのコミュニケーションが生まれていました。

 なんだかべた褒めしてますが、私の人生に大きく影響する作品だったかと言うと、それほどではないんですよね。でもとても充実した2時間弱でした。

 ここからネタバレします。

 四姉妹がまだ少女だった頃と、大人になってそれぞれ自立した現在を何度か行ったり来たりする構成で、必要最小限の自然な会話から、その家族の数十年の歴史を埋めることが出来ていました。役者さんの演技の質に少々ばらつきがあったため、中盤までは冷静に眺めている状態だったのですが、母親の訃報を皮切りに次々と起こる修羅場の連続に、どんどん引き込まれていきました。

 父親が出て行ったため、四人姉妹は幼い頃から母親(和田ひろこ)との5人暮らしでした。現在、末期がんで入院した母は痴呆が始まっており、長女(弘中麻紀)は夫(瓜生和成)に浮気されていて、おデブちゃんの次女(星野園美)はマリッジ・ブルー、三女(今井千恵)はマザコンのいかずごけ候補、末ッ子の四女(吉田麻起子)はパチンコをやめない夫(冨塚智)といつもケンカ。家族ならではのあけっぴろげで乱暴なコミュニケーションに、自分も思い当たるところがあるなぁ・・・と、少し照れたり、懐かしく感じたり。
 泣きっ面に蜂とは言ったもので、事件(母親の死)がある時にかぎって、さらに余計な事件(長女の夫の愛人が登場)が起こるし、人間の死には修羅場(長女が父親に連絡を取ったことがマザコンの三女にバレる)がつきものなんですよね。
 無理を感じることなく、しみじみと、心でうなづきながら最後まで楽しませていただきました。

 一箇所だけ疑問だったのは、長女(弘中麻紀)とその夫の愛人(冨田直美)との会話です。あの愛人、めちゃくちゃ無礼でしたよね~。見ていてムカムカしました。仏前に顔を見に行ったのにお線香を上げないって、相当な無神経ですよね。なのに長女は彼女に頭を下げるし、息子のことを褒められてちょっと嬉しいような感覚も見せていました。私だったら逆上するんじゃないかな・・・(苦笑)

 美術は、柱や鴨居が部屋の輪郭をなぞって、壁はすべて取り払われています。居間と、壁の向こう側の廊下や階段で起こっていることが同時に見られるのが面白いです。リアルな家財道具と置物で1970年代からあまり変化していない家をばっちり演出していました。

出演=今井千恵/冨塚智/平野圭/冨田直美/恩田隆一/和田ひろこ/野本光一郎/弘中麻紀(ラッパ屋)/瓜生和成(東京タンバリン)/星野園美(石井光三オフィス)/津村知与支(モダンスイマーズ)/吉田麻起子(双数姉妹)
作・演出=田村孝裕 舞台美術=香坂奈奈 照明=和田典夫(満平舎) 音響=今西工 舞台監督=村岡晋 宣伝美術=美香(Pri-graphics) 宣伝写真=岩田えり 票券=上田郁子(Office Mube) 制作=神野和美 制作協力=Habanera・松尾由紀
前売り=指定席3000円 自由席2800円 当日=3300円(料金に関係なく全日共通)★10/13(木)14:30の回のみ前売り2500円(全席指定・Habanera取り扱いのみ)※その他先行割引販売などあり。
ONEOR8=http://homepage2.nifty.com/oneor8/

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Posted by shinobu at 22:54 | TrackBack

2005年10月12日

花組芝居『泉鏡花の草迷宮』10/08-20シアタートラム

 花組芝居は作・演出の加納幸和さんが中心となって、豪華絢爛の“ネオかぶき”を作り続けている男性ばかりの劇団です。
 今回は「鏡花まつり」と銘打った泉鏡花の2作品交互上演。私は桂憲一さん見たさに『草迷宮』の方に伺いました。

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 ≪あらすじ≫ チラシよりそのまま引用。(役者名)を追加。
 諸国巡礼の旅をする小次郎法師(桂憲一)は、相州秋谷の海岸を通りかかり、そこで、土地随一の大家である鶴谷の屋敷の悲劇を聞く。人々が非業の死を遂げた鶴谷家の別宅には、様々な怪異が見られるが、葉越明(松原綾央)という旅の書生がそこに逗留している。明を立ち退かせようとする、妖怪たちの脅かしにも屈することなく、亡き母が唄ってくれた手毬唄を探し求め、彼はその家に居続けている。やがて妖怪たちの首領である美女菖蒲(山下禎啓)が小次郎法師の前に現れる・・・。
 ≪ここまで≫

 ここからネタバレします。

 う~ん・・・着ぐるみがドッサリ登場してハレンチなお遊びが多くて、でも基本的に一人語りで進んでいくので地味でしたね。言葉が現代語じゃないので難しくって、長いセリフをとーとーとしゃべり続ける一人一人を、ずーっと集中して見続けるのはムリでした。ちょいとおねむでございました・・・。

 でもやっぱり桂憲一さんは素敵。ありのままの自然な反応が役柄にぴったり沿っていて、いつも新鮮です。思い起こせば私の花組芝居初体験だった『かぶき座の怪人』以来、すっかりホレこんでいます。

 新派の『婦系図』で大感動した私は、正統派の方の『日本橋』を観に行けばよかったのかもしれません。『夜叉が池』とかの物の怪モノ(と言っていいのかどうかわかりませんが)はそんなに好みじゃないんですよね~。演出にもよるのでしょうが。

~鏡花まつり~『泉鏡花の日本橋』『泉鏡花の草迷宮』二作品交互上演。
出演=桂憲一/松原綾央/八代進一/大井靖彦/原川浩明/水下きよし/横道毅/植本潤/秋葉陽司/磯村智彦/嶋倉雷象/山下禎啓/加納幸和/溝口健二/北沢洋/各務立基
作=泉鏡花 構成・演出=加納幸和 美術=川口夏江 照明=橋本和幸 音響=清水吉郎 衣裳=三大寺志保美 小道具=酒井ちはる(バックステージ) 床山=太陽かつら店 演出助手=大野裕明 舞台監督=安田美知子 宣伝用舞台写真=宮内勝 宣伝美術=矢吹かおり 印刷=フジ・アート 協力=松竹衣裳/バックステージ/ブライト/グリークス 制作=多田知子/平雪/藤岡陽子/辻いりえ/清水沢子/赤座まどか 票券=越水綾子 企画・製作=花組芝居
全席指定 一般5,800円/学生4,800円(当日各200円増、学生は平日のみ取扱い) 平日2公演通し券 11,000円(12~14日、劇団のみ取扱い) ほか各種割引あり
花組芝居=http://www.hanagumi.ne.jp/

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Posted by shinobu at 18:11 | TrackBack

Bunkamura『天保十二年のシェイクスピア』09/09-10/22Bunkamuraシアターコクーン

 井上ひさしさんの1974年初演の戯曲を蜷川幸雄さんが演出。蜷川さん、井上さんの戯曲を演出するのは始めてのことだそうです。今年No.1の豪華キャスト&スタッフと言えるでしょう。
 いや~~~・・・めっちゃ楽しかった!休憩を含んでほぼ4時間ありましたが(前半2時間、休憩20分、後半1時間40分)、ほんとにアっという間でした。気持ちよかった~っ!舞台写真はこちらこちら

 前売り完売で立見席も完売の公演ですが、若干の当日券(おそらく立見席がほとんど)もあるようです。当日券情報はこちら

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 ≪あらすじ≫ 公式サイトよりそのまま引用。(役者名)を追加。
 時は天保、下総国の清滝村。その村で二軒の旅籠や賭場を経営する〈鰤の十兵衛〉(吉田鋼太郎)は、自分の財産を三人の娘に分け与え気楽な隠居生活をすることを考えていた。そこで三人の娘を呼び出し「この先、自分をどれだけ大切にしてくれるか?」を語らせ、それに応じた財産分与をしようとする。口がうまい長女〈お文〉(高橋惠子)と次女〈お里〉(夏木マリ)に対して、バカがつくほど正直な三女〈お光〉(篠原涼子)。お光はお世辞をうまく言うことができず父の機嫌を損ね、とうとう家を追い出されてしまう。

 こうして、まんまと父の財産を手に入れたお文とお里。しかし強欲な2人はそれだけでは飽き足らず、財産の全てを自分のものにしようと、それぞれの亭主を親分にして骨肉の争いを始める。物騒なはかりごとが渦巻く清滝村。そこに突然現れたのが、無宿者の〈佐渡の三世次〉(唐沢寿明)だ。足は不自由で背中にこぶのある彼は、剣術は得意ではないが策略ならお手の物。両家の争いをうまく利用して、清滝村の親分に成り上がろうとする。また一方では、お文の息子〈きじるしの王次〉(藤原竜也)が父の訃報を聞きつけ清滝村に駆けつけるのだが……。
 ≪ここまで≫

 パンフレットの松岡和子さんの文章に「書き加えたというより、ここまで下ネタに徹するか、という驚きがあります」とありますように、濡れ場や卑猥な言葉の連発でした。私、そういう助平系のは苦手なんですけどね、耐えられました。この作品全体の空気がわいわいがやがやと、とても活力があって楽しそうだったから。演出の蜷川さんが凄いんだと思います。

 井上さんの戯曲はセリフにダジャレや言葉遊びなどが多く盛り込まれていて、たまに会話の途中で客席に向かって独り言を言ったりもしますので、一筋縄ではいかないものがほとんどだと思うのですが、メインの役者さんはその構造をわかりやすく、面白く、しっかりとこなされていました。だから4時間ずっと楽しめたんですね。

 ここからネタバレします。

 シェイクスピアの37作品全部が紹介されているそうで、例をあげると↓
 ・父親(吉田鋼太郎)の財産を3人の娘(高橋惠子・夏木マリ・篠原涼子)に分けるのは『リア王』。
 ・老婆(白石加代子)が男(唐沢寿明)に予言をするのは『マクベス』。
 ・父親(西岡徳馬)を叔父(西岡徳馬)に殺された若者(藤原竜也)がその復讐を誓うのは『ハムレット』。
 ・敵同士の家の若い男女(藤原竜也・篠原涼子)が愛し合うのは『ロミオとジュリエット』。
 ・せむし男(唐沢寿明)が、その夫も妹も殺した女(篠原涼子)を妻にするのは『リチャード三世』。
 ・生き別れになっていた双子(篠原涼子・2役)が運命の偶然で再会するのは『十二夜』と『間違いの喜劇』。
 ・部下(唐沢寿明)から嘘を吹き込まれ、妻(夏木マリ)の貞節を信じられなくなって、妻を殺してしまう夫(勝村政信)は『オセロー』。
 ・墓堀り人夫(木場勝己)がふざけながら真実を語るのは『ハムレット』。
 ・・・というように、シェイクスピアづくし。

 蜷川さん演出の2003年の『ハムレット』と配役が被っているのが面白いですね。ハムレット=藤原竜也、ガートルード=高橋惠子、クローディアス=西岡徳馬など。

 "To be or not to be, that is the question."の日本語訳を何通りも藤原竜也さんが話してくれるのがサイコー!井上さんが近作のために脚本をかなり変更されたそうです。たとえばこのハムレットのセリフでは、松岡和子さんと河野祥一郎さんの訳が追加されているんですね(パンフレットより)。

 関八州の親分衆が出てくるシーンでは、年季の入ったおじ様俳優さん達が思いっきりケレン味のある濃いキャラクターを作り込んでいて、何をやっててもニヤリとしちゃいました。

 「自分が自分を殺すことが無い限り・・・」という老婆(白石加代子)予言がすごいです。代官に出世した三世次(みよじ・唐沢寿明)は、水呑み百姓(三世次の父親の職業)を殺し、自分の姿を映した鏡を破壊した、つまり自分を殺したから滅びます。やっぱりね、これに尽きると思うんですよ。自分自身を自分が殺す=自分を裏切ることこそ、人間が一番やってはいけないことなんですよね。

 役者さんについて、私の中でのNo.1は棺おけ屋の佐吉役の高橋洋さん。棺おけを打ちながらのセリフに感動。浮船太夫(毬谷友子)との悲しすぎるすれ違いの死のシーン(『ロミオとジュリエット』より)は、そこだけが切り抜かれたかのように研ぎ澄まされ、浮かび上がっていました。
 そうそう、毬谷友子さんは冬子役(『ハムレット』のオフィーリア)も演じられており、狂いながら歌い踊るところも美しかったです。

 白石加代子さん。何をやっても絵になるし、何を演じていても、妖怪(笑)。素晴らしすぎて何も言うことありません。
 夏木マリさん。かっこえーなー・・・こう、自分が何をやるべきかを知っていて、それをしたたかに実現されているのがわかります。
 篠原涼子さんは大役2役で大変ですね。すごくきれいな方で、きっと清らかなお心の持ち主だと思うのですが(一方的に)、演技はダメでした。
 高橋惠子さんは・・・蜷川さんのお芝居で良いと思ったことが無いんです。めちゃくちゃ美人女優さんだとは思うんですけど。
 唐沢寿明さんは、いつもどおりっていうか。きっとめちゃくちゃ男らしい男性なんだろうなって思いました。
 藤原竜也さんはやっぱり光っているんですが、コメディセンスはいまいち・・・かな。女形と人形の動きをされていた時は良かった。セクシーでした。

≪関連リンク≫
 ・[評]“何年かに一度は見たい”面白さ
 ・蜷川 井上戯曲に初挑戦 「天保十二年のシェイクスピア」

出演=唐沢寿明/藤原竜也/篠原涼子/夏木マリ/高橋惠子/勝村政信/木場勝己/吉田鋼太郎/壤晴彦/高橋洋/毬谷友子/沢竜二/西岡徳馬/白石加代子/原康義/妹尾正文/大川浩樹/鈴木豊/グレート義太夫/飯田邦博/塚本幸男/清家栄一/堀文明/新川將人/福田潔/井面猛志/篠原正志/田村真/角田明彦/大橋てつじ/ひかる光一/宮田幸輝/市川夏江/蓬莱照子/五味多恵子/中島陽子/羽子田洋子/加藤弓美子/太田馨子/栗田愛巳/松坂早苗/江間みずき/松岡さやか
作=井上ひさし 演出=蜷川幸雄 音楽=宇崎竜童 美術=中越司 照明=原田保 衣裳=前田文子 音響=井上正弘 振付=前田清実 舞台監督=白石英輔
S¥13,000 A¥10,000 コクーンシート¥6,000
上演時間は4時間を予定
公式=http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/event/tempo/index.html

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Posted by shinobu at 01:31 | TrackBack

2005年10月10日

二兎社『歌わせたい男たち』10/08-11/13ベニサン・ピット

 二兎社(にとしゃ)は日本を代表する劇作家・演出家のお一人である永井愛さんの作品を上演する団体です。戸田恵子さん主演の5人芝居ということで、いやおうなしに期待が高まります。メルマガ8月号10月号でも「お薦めお芝居」としてお知らせしておりました。

 今日は満員で通路席もいっぱい。まだ空席のある日もありますので(残席状況はこちらで確認できます)、どうぞお見逃しなく!年齢層ははば広いです。10代から高齢者まで文句なく楽しめるコメディーです。

 ※記事は執筆途中です(2005/10/10)。 ※記事をアップしました(2005/10/31)。
 ★詳しいレビューはこちらにも⇒芝居遊歴控

 ≪あらすじ≫
 シャンソン歌手から都立高校の音楽講師になったばかりの仲ミチル(戸田恵子)は、卒業式での初めてのピアノ伴奏に、朝から緊張しっぱなし。校長(大谷亮介)はミチルのことをものすごく気にかけている。というのも、国歌斉唱の際の伴奏に粗相(そそう)があっては困るからだ。実は去年、卒業式で「君が代」斉唱の時に規律せず、歌も歌わない教師や生徒が多く居たため、新聞沙汰になっていた。
 ≪ここまで≫

 都立高校の卒業式当日を舞台にした教師たちの七転八倒。爆笑しつつ、涙もホロリ、山ほど考えさせられ、劇場を出る時には哲学者のようにもんもんと歩く自分がいました。く~っ、これだから永井さんはスゴイ!

 君が代斉唱時に規律をしない教師の拝島(近藤芳正)は、学校中の問題教師になっています。彼はミチルと同じく名古屋出身でミチルとはかなり仲良しなのですが、ミチルが君が代のピアノ伴奏をすることを知って、急に態度を変えます。この拝島のジレンマが可愛らしかった。でも近藤さんの演技はまだまだ、もっともっと良くなるだろうなと思いました。怒っている時、ちょっとナーバスすぎてコントロールできていないように見えて、戸田さんとコミュニケーションできてなかったように感じたので。

 君が代という日本国歌、および日の丸という日本の国旗についての私の考えを述べることはここでは控えますが、少なくとも教育現場のものすごく細かいところまで国の監視が行き届いており、教師の言論の自由がおびやかされていることはわかりました。教育委員会からの指導に反発した教師には、本人だけでなくその学校の教師全体への罰則があるなんて、ゾっとしました。スパイみたい。
 ★公立の学校の教師の待遇について、「百ます計算」で有名な陰山英男先生のインタビューがこちらで読めます。

 1993年までは「君が代斉唱・国旗掲揚の強制に反対する」という主張を持っていた校長はすっかり人が変わってしまって、今では現状維持に命を懸ける、牙を抜かれたライオンのようになっています。彼が屋上で本音とみせかけたパフォーマンスをするのですが(私にはそう見えました)、問題をどんどんとすり替えて、あとは「意気込み」とか「命がけ」という口だけのアピールでごまかして、人を誘導していく姿に見えました。日本の政治家の演説にそっくり。汗だくで大声でハッスルする校長(大谷亮介)の滑稽さが物悲しくて、胸がしめつけられました。

 保健室の先生(小山萌子)と英語の若い教師(中上雅巳)がイマドキの若者像を担っています。小山さんは残念ながら型を演じようとされていて、うそ臭い演技でした。素敵なコメディエンヌなんですが、開幕したてでしたから慣れてなかったのでしょうね。
 中上さんは予想していたよりもずっと良かったです。浅はかなくせにまことしやかに朗々と語る嘘っぱちに、爆笑させていただきました。かなり皮肉屋なのかな、私。

 戸田恵子さん。シャンソン歌手として生きていく道をあきらめて「食べていくために」必死になっているミチルの姿は、私達の誰もが逃れることの出来ない厳しい現実を表しています。ちょっぴりの同情と大きな共感を持って彼女に見入りました。
 戸田さんのことは舞台で何度か拝見させていただいていますが、正直で一生懸命で男気があって、ユーモアのセンスに長けていてサービス精神に溢れている、めちゃくちゃ素敵な女優さんだと思います。そういう意味で私は戸田さんにお会いできるだけで満足できるのですが、ただ、今回のこのミハル役は、あまりにハマリ役すぎて物足りなかったですね。できれば「この芝居だけでしか見られない戸田恵子」が見たかったです。

 私は母親と一緒に観に行きました。おそらく校長先生役と世代が被ってるんですよね。感じ入るところが多いらしく、母は上演中は涙を流しっぱなしでした。私は・・・ずっとずっと考えていましたね~・・・。あまりに身近で重大な問題をつきつけられるので、冷静にならざるを得なかったのでしょう。それもまた演劇、です。永井さんやこのお芝居を作っている方々に感謝します。

≪東京、長野、滋賀、大阪、岐阜、茨城、神奈川(橋本)、愛知、新潟、東京江東区、宮城、神奈川(湘南台)≫
出演=戸田恵子/大谷亮介/小山萌子/中上雅巳/近藤芳正
作・演出=永井愛 美術=大田創 照明=中川隆一 音響=市来邦比古 衣裳=竹原典子 舞台監督=菅野将機 宣伝美術=マッチアンドカンパニー 宣伝写真=ノニータ 宣伝ヘアメイク=武井優子 ウェブ担当=板澤一樹 票券担当=津田はつ恵 制作担当=弘雅美・安藤ゆか
(税込み・全席指定)一般5,000円 学割3,000円◎要学生証提示、二兎社・チケットぴあ店舗(コンビニ以外)にて取扱
イープラス特集:http://eee.eplus.co.jp/s/nitosha/
ニ兎社内=http://www.nitosha.net/stage/index.htm
公演ブログ=http://blog.eplus.co.jp/nitosha/

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Posted by shinobu at 22:08 | TrackBack

2005年10月09日

アートネットワーク・ジャパン+Ort-d.dプロデュース『サーカス物語』10/07-10にしすがも創造舎特設劇場

 廃校になった校舎の体育館が劇場に大変身。ミヒャエル・エンデの『サーカス物語』は戯曲なんですね。本の表紙がそのままチラシに使われているなんて素敵!
 BACK STAGE REPORTの記事が充実しています。きれいな写真がいっぱいの稽古レポートはこちら公演ブログには舞台写真がアップされています。

 超満員の初日に伺ったのですが、皆さん少し緊張してらっしゃったのか、本調子じゃなかったようで。でも一緒に観に行った小学生は2時間とても楽しんだようでした。

 明日14:00の回が千秋楽です。前売りチケットは完売していますが、当日券は開演の1時間前から若干枚数販売されます。詳細はこちら

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 ≪あらすじ≫
 冬。大都市のはずれの工場地帯。いまやテントさえ質に入れてしまったサーカス団は、空き地からの立ち退きを迫られていた。工場の総裁との交渉から帰ったピエロのジョジョ(村島智之)から聞かされたのは、その工場で作る商品の宣伝をするなら、サーカス団を雇ってくれるいう良い知らせ。ただし知恵おくれの少女エリ(市川梢)を除外するのが条件だった。悩む仲間達。期限は明日の夜明けまで。
 かわいいエリのために、ジョジョはお話を始める。サーカスのみんなを登場させて・・・。
 ≪ここまで≫

 衣裳もドンドコ着替えるし、パーカッションの生演奏も元気にドンドコ。ジャグリングやディアボロなどの曲芸も役者さんが訓練の成果を見せてくれて、若々しいパワーが溢れていました。ちょっと緊張気味だったけど。
 なのに、これが大変残念だったのですが、パーカッションの生演奏にセリフがかき消されてしまい、意味がわからないまま取り残されてしまうことが多々ありました。劇場ではなく体育館ですから、一口に音響効果と言っても一筋縄ではいかなかったのでしょうね。

 ここからネタバレします。

 原作はそのまま上演すると2時間30分ぐらいにはなるそうで、今作では約30分間の分量がカットされていました。でもセリフもストーリーもほぼ原作どおりだったようです。
 
 知恵おくれの少女エリは大気汚染地域で拾われた。仲間のニックが病気になったのもその公害のせいだった。そしてサーカス団は、その汚染の原因である工場の商品を宣伝するために、今まさに雇われようとしている。しかもエリを捨てることが条件・・・なんと皮肉なんでしょう。
 ジョジョがエリや仲間に話したのは、鏡の国に住む不老不死の王女エリ(市川梢)と、明日の国を治める美貌のジョアン王子(石川正義)の、波乱万丈の恋物語。陰惨なオープニングから一転して夢いっぱいのおとぎ話の劇中劇が始まります。永遠の命に別れを告げて王子を追って下界に降りたエリと、大蜘蛛のバケモノのアングラマイン(笠木誠)に騙されて国を追われ、記憶の一切を失ってしまったジョアンが、奇跡的にサーカス団で出会って、互いの愛に気づき、抱き合ってキスするところは涙が出ちゃうほど清らかで美しかった。
 明日の国を取り戻すためにアングラマインとサーカス団が闘うシーンでは、胸につきささる名セリフがいっぱい!(でも演奏で聞こえない・・・) 

 お話がハッピーエンドになり、現実世界はもう明け方。サーカス団がいる場所にトラックやショベルカーなどの建築機械が集結してきて、彼等の周りを破壊していく騒音が鳴り響きます。次第にその中に爆弾が落ちて爆発する音も加えられて、戦争で襲撃される民間人のイメージも付加されます。
 まことしやかな大義名分のもとに、かけがえのない人間の命が十把一絡げにされ、阻害され、無視され、捨てられていく。このお話は今の私達の世界を描いたものだとはっきり言えると思います。

 『サーカス物語』って、すごい話だったんですね・・・。会場ロピーで原作本が販売されていたので、2,315円だったけど買ってしまいました。装丁が美しすぎる!岩波書店バンザイ!!家に一冊、欲しい本です。超お薦め!

サーカス物語
サーカス物語
posted with 簡単リンクくん at 2005.10. 9
M・エンデ作 / 矢川 澄子訳 / 司 修画
岩波書店 (1984.7)
通常24時間以内に発送します。

 名言の数々を下記に少しだけご紹介いたします。

 p192 ジョジョ「おまえはどうやら 自分の知らないものに価値をみとめたくないらしいな。幻想なんてほんとは存在しないって 思ってるんだろ? きたるべき世界は幻想からしか生まれない。みずからつくりだすもののなかでこそ ぼくらは自由なのだ。」
 p196 ジョジョ「(中略)いいか 愛と自由とあそびの三つを手に入れたものだけが しんから心おきなくふるまうことができるのだよ。その人はただよいながらおたがいに相手に変身してしまうことだってできる。」
 p196 アングラマイン「たいへんだ われとわが身のうちで おのれのみにくく苦しむすがたと対面しなきゃならないなんて。たまらない たまらない! では あたしは自分自身さえも裏切ってしまったんだ! 審判のときだ! 深淵に吸いこまれるー」

 イントレで囲まれたシンプルな舞台美術は、照明が効果的に変化して自由自在に場面転換をしていました。王女が住む鏡の国を演出する青と白のキラキラ光るライト(と、鏡?)が可愛らしくてロマンチック。アングラマインに征服された明日の国を、蜘蛛の巣が描かれた黒幕で簡潔に表現していたのもかっこ良かったです。

 エリ役の市川梢さん。かわいい!!長いセリフが多いのに、言葉が心から自然と現れてくるように感じられて、全く長さを感じませんでした。
 宮光真理子さん。やっぱり目を引く美しさでした。『雪の女王』のゲルダ役とは全く違う、ちょっときつい性格のヴィルマ役で、赤く染めたボブカットが艶やか。
 大蜘蛛のバケモノ、アングラマイン役の笠木誠さんは、すごい艶っぽさと迫力でしたね。アントワーヌ・コーベ演出の『見よ、飛行機の高く飛べるを』の先生役と聞いて驚きました。カメレオンみたいに変身するんですねぇ。


 ★言葉について★
 たとえば「知恵おくれ(精神薄弱者)」は今では放送禁止用語になっており、テレビやラジオでは流れませんし、新聞にも書かれません。原作には「知恵おくれ」の他に「めくら」等(同じく放送禁止用語)も出てきており、今作ではそのままセリフで使われています。でも、今の小学生はもう知らないそうです。「知恵おくれって何?」と聞かれて愕然としました。使わない→必要ない→教えない、となって、言葉が日常から抹殺されるんですね。
 「知恵おくれのエリ」なら戯曲の語感と合っていますが、「精神薄弱者のエリ」なんて一度聞いても何のことだか想像しづらいのではないでしょうか。放送禁止用語についてあまり深く考えていませんでしたが、こんなにも直接的に言葉の文化に侵食してくるなんて。もっと慎重にならなければと思いました。

にしすがも創造舎演劇上演プロジェクトVol.1
出演=あきやまかおる/綾田將一(reset-N)/伊澤勉/石川正義(ク・ナウカ)/市川梢/沖田みやこ(のこされ劇場≡)/小田さやか/笠木誠/金子由菜/小林紀貴/さとうまりこ/平佐喜子/谷口直子/堂下勝気(怪童堂)/凪景介/三橋麻子(Ort-d.d)/宮光真理子/村上哲也/村島智之/渡辺麻依
作=ミヒャエル・エンデ(岩波書店刊) 訳=矢川澄子 演出=倉迫康史(Ort-d.d) 美術=伊藤雅子 照明=木藤歩(balance,inc) 衣装=竹内陽子 舞台監督=弘光哲也 音響=水村良(AZTEC) アンサンブルディレクション=棚川寛子 歌唱ディレクション=土井都希和 宣伝写真衣装制作・スタイリング=ROCCA WORKS 宣伝写真撮影=萩原靖 協力=T factory (株)ラウダ
9月2日(金)前売開始 全席自由(日時指定・税込)一般3,000円 学生2,000円(当日要学生証提示) こども(3歳以上~小学生)1,000円 親子チケット(一般+こども)3,500円 豊島区民割引 一般2,500円(ANJのHPまたは電話でのみ取扱)(3歳未満のお子様の入場はご遠慮ください)
公式=http://sozosha.anj.or.jp/topics/200508_01.html

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Posted by shinobu at 22:49 | TrackBack

ギンギラ太陽's『翼をくださいっ!さらばYS-11』10/07-10 PARCO劇場

 福岡の“かぶりモノ”劇団、ギンギラ太陽'sがとうとう東京に初上陸。しかもいきなりパルコ劇場進出ということで、話題の公演です。公演情報はこちら。舞台写真なども充実しています。
 大笑いして、涙も流れて、サービス満点の舞台でした。

 明日の14時の回で東京公演は千秋楽です。当日券は開演の1時間前よりパルコ劇場受付カウンターにて販売されます。今日の当日券は完売でした。

 ※あらすじなどは公式サイトでどうぞ。
 ※ここから少々ネタバレします。でも読んでから観ても問題ないと思います。

 JAL、ANA、JAS、そしてスカイマークの旅客機役や、福岡空港、長崎国際空港などの空港役など、その物体の形をした“かぶりモノ”を被って、役者さんがそのモノを演じます。モノを完全に擬人化しているんですね。とても日本人的だなぁと思いました。例えば海に沈んだH2ロケットが宇宙へと飛んでいってその魂が報われる、なんていうエピソードもあり、明らかにモノに気持ちが宿っていると考えているのがわかります。私もそう感じている人間なので共感しました。

 飛行機を主役にした成長物語を通じて“飛行機と空港が見ていた日本の近代史”が描かれていたと思います。特攻隊のゼロ戦が戻ってきた時は、目にうるる~っと来ました。

 実在する航空会社や空港をネタに大胆なことを言うのが最高に面白いです。新参者のスカイマークをこっぴどくいじめるJAL、ANA、JASの談合とか、佐賀空港は閑古鳥で気球がいっぱい、とか(笑)。
 かぶりモノについては、銘菓ひよこが可笑しかった。リンガーハットとかロイヤルホストとか、岩田屋(デパート)も好きです。

 役者さんはアニメ・キャラみたいな役柄を、かなりおおげさに演技されていましたが、気持ちが完全に飛行機や空港になり切っているので(笑)、観ていてとても感情移入できました。

 公式サイトによると「福岡西方沖地震による公演中止リベンジ&東京凱旋公演」なんですね。地震のために公演中止になった際、色んな劇場(パルコ劇場を含む)から「うちの劇場でやりませんか?」と声がかかったそうです。作・演出の大塚ムネトさん曰く「これからも地元密着でやっていきますが、こうやって、つながっていくことも良いと思った(ので多地域公演も視野に入れています)。」とのこと。

20051009 talk show.jpg
出演者全員が登場してのトークショー。

 残念でならないのは終演後のトークショーが・・・ひどかったこと。出演者の方が悪いわけじゃないんですよ。観客の質問がね、聞いてられなくて。個人的な感想なんて長々と言わなくてよくって、ただ質問だけするのが最もスムーズなんです。なのに「私は福岡の出身で~」など地元トーク炸裂。さらには「かぶりモノは改良の余地があります」と説教しだす輩も現れ、どんどん世界が狭くなってしまいました。トーク・タイムの大半が観客との質疑応答であったことは問題ですね。
 そして大塚さんから○○弁についての聞きたくなかった一言も飛び出し、感動がすっかり薄れてしまいました。終わった時にすぐに帰ればよかったとすっごく後悔。大塚さんが何度も「ムリしないで帰っていいですよ」とお声掛けくださったのにね。

 そして、なぜか今日に限って終演後に公演スタッフに失礼な対応をされ、気持ちはすっかりマイナスに落ち込んでしまいました。
 特典付きチケットや、ポストパフォーマンストークなどのイベントが盛んに行われるようになって観客へのサービスが充実してきた反面、軽はずみなことをやってしまって作品をだいなしにするリスクもありますね。

 というわけで、作品のレビューを書こうにも気持ちが消えてしまって、あまり書けませんでした。ま、こんな日もあるさっ・・・ってことで。
 何度も涙ぐみましたし、拍手をして大笑いしたことは覚えています。また東京に来てくださることがあれば、必ず伺いたいと思います。

gingira-opening.bmp

開場時間に西鉄バス集団が登場。なんとカメラ撮影OK。楽しかったです。


出演=大塚ムネト/上田裕子/上野亜由美/北川宏美/古賀今日子/杉山英美/立石義江/田中慎一郎/中島荘太/中村卓二/吉田淳/新田玄/林雄大/他
作・演出=大塚ムネト 舞台監督=松元謙征 照明=荒巻久登(シーニック) 音響=インテグラル・サウンド・デザイン 特殊効果=新名哲也(ギミック) 音楽=中牧大輔(あんみつ姫) かぶりモノ造型=大塚ムネト イラスト=庄子智湖 宣伝美術=中村文隆 制作=立石義江/石﨑美里 制作協力=西鉄ホ-ル/博多歌舞伎/ピクニック 主催=(株)パルコ/(株)ピクニック
¥4,500(全席指定・税込) 当日券販売=未定
劇場=http://www.parco-play.com/web/page/information/gingira/
ギンギラ太陽'S公式サイト=http://www.gingira.com/
イープラス特集1=http://eee.eplus.co.jp/s/gingira/
イープラス特集2=http://eee.eplus.co.jp/s/gingira_2/
電子チケットぴあ=http://www.pia.co.jp/column/play/gingira.html

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Posted by shinobu at 18:44 | TrackBack

2005年10月08日

少年社中『リドル-Liddell』10/06-09青山円形劇場

 少年社中は毛利亘宏さんが作・演出される早稲田大学出身の劇団です。サブタイトルは「廃墟に眠る少年の夢~the Lost Adventure~」。
 青山円形劇場の完全円形舞台の良さを十分に生かせる小劇場劇団といえば、まず少年社中ではないでしょうか。

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 ルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」を題材に作られた、ちょっと男くさい(笑)、メルヘンチック・アクション・ファンタジーでした。

 いつもどおり照明は素晴らしく、衣裳も工夫があって豪華。オリジナル音楽もムードがあり、舞台を縦横無尽に走り回るスピーディーなステージングも見事です。でも、出演者が多いせいか存在意義を見出せないキャラクターが居たり、特に必要性を感じないセリフのやりとりがあったり、上演時間はちょうど2時間でしたが長く感じました。

 役者さんの演技が最も大きな問題だったと思います。「こんな風な演技をしろ」と演出家から指定されているのか、“少年社中っぽい演技”というものがあると勘違いしているのか、原因はわかりませんか、「それらしき何か」に自分をはめこもうとしている方がほとんどでした。

 サーカス団見習い兄弟のケンタウロス役(着ぐるみ)の井俣太良さんと、天上界のバケモノ3人衆の一人、眠りネズミのヤマネ役の山川ありそさんは、とても良かったです。それぞれの役柄になりきっており、自分のセリフがない時や、照明を浴びていない時も、ずっとその役柄で、一心不乱に舞台上にいらっしゃいました。・・・つまり、他の役者さんは時々しらふになっていたというか、演技をしている時にいかにも「今、演技してます!」と伝わってくるような状態でした。

 先述しましたが、今、青山円形劇場を文句なく使える小劇場劇団というと、第一に少年社中だと思います。次回公演もこの劇場だそうですので、また期待したいと思います。

出演=井俣太良/大竹えり/田辺幸太郎/堀池直毅/森大/廿浦裕介/加藤良子/長谷川太郎/杉山未央/小松愛/末冨綾 GUEST=松下好(エルカンパニー)/加藤敦(ホチキス)/芳賀淳子(Ele-C@)/山川ありそ/荻原もみぢ(劇団上田)/春日井一平(劇団上田)/地獄谷三番地(劇団上田)/花小路男D(劇団上田)/ 細身慎之介(劇団上田)/江戸川卍丸(劇団上田)※6,7のみの出演/爺隠才蔵(劇団上田)※8,9のみの出演
作・演出=毛利亘宏 照明=斉藤真一郎(A.P.S.) 音楽=YODA Kenichi 衣装=村瀬夏夜 舞台監督=杣谷昌洋 演出助手=井上淳 音響/PA=佐藤春平 照明操作=石井紀行 ヘアメイク=沖島美雪 スチール=金丸圭 イラスト=井俣太良 宣伝美術=武田和香/真野明日人 WEB=田中祐子 制作=サイキックエイト 吉野礼・加藤妙子 提携=こどもの城 青山円形劇場
前売¥3,000/当日¥3,300(全席指定) 【Enterprise TICKET Campaign】新三部作開始を記念して三種類のスペシャルプライスチケットをご用意。4枚一組の団体割引(一人当たり2500円)、学割(高校生まで1000円)、リピーター割引(1500円)。
公式=http://www.shachu.com/

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Posted by shinobu at 22:55 | TrackBack

さんだる『重松清・さかあがりの神様』10/06-07キッド・アイラック・アート・ホール

 ハラホロシャングリラ山本佳希さんの朗読企画。演出は板垣恭一さん。音楽は小林章太郎さん。このお三方で“さんだる”という朗読をするユニットのようです。これまでは『薮の中』などの古典を取り上げてこられましたが、今回は山本さんのお気に入りの作家、重松清さんの短編集からの一遍です。

 山本さんの朗読と3人組のバンドThree Dew(スリー・デュー)の生演奏とが一緒になったライブ空間でした。

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 ≪あらすじ≫
 さかあがりが出来ない小学2年生の娘と、それを見守る父親のある日曜日の昼下がり。小さな弟が生まれて母親は大忙し。長女はそれなりに寂しい思いをしている。さかあがりの練習を見てあげながら、父親は自分も同じように校庭に残って練習をしていた小学生の頃を思い出す。あの時、僕はさかあがりの神様に出会ったんだ。
 ≪ここまで≫

 山本さんのお人柄の良さが、今の日本のごく平凡な家族の、ちょっぴり寂しいお話にぴったり。負けん気の強い娘と心優しいお父さんの会話を一人で言葉にする山本さんを見ていて、微笑ましくって、じーんとなつかしくて、ホロリと来ました。

 さかあがり、必ず小学校2年生でやりましたよね(って、私の時代はそうでしたが)。まぶしい夕焼けの中、鉄のにおいがしみついた手を見つめて、だんだんと心細くなってくる・・・という自分の経験とバッチリ重なって、始まってすぐにガンガンに感情移入してしまいました。
 父親が自分のおいたち、経験をじっくりと思い出しつつ娘と向き合っていく姿に、人間はいつも、誰もが困難な人生を懸命に生きているのだなぁと思いました。こういう身近な、だけど真剣な気持ちを共有できるのって幸せです。

 照明がものすごく凝っていました。小さな劇場だけれど天井が高いので効果も大々的に表れます。夕焼け色が良かったな。

 お話の区切りでバンドの生演奏が入ります。ギター、ハーモニカ、鉄琴、ハミングの可愛らしいポップス寄りの音楽は、緊張でつまりがちになる朗読の空間を軽く和らげていました。

 Three Dew(スリー・デュー)は姉、妹、弟の実の3人兄弟バンドで、末っ子の小林章太郎さんがいつも楽曲提供をされているようです。音楽の印象としては淡い、心温まるポップス、という感じ。
 次女の方のヴォーカルが良かったですね。のびのびとしていて、声にも姿勢にも無理がなくて。打楽器を持ってハミングしている様子を見ていて、体から音楽に溶け込んでいる感覚がありました。長女さんは緊張してらっしゃったようで、美人なのにしかめっ面でちょいガチガチ気味。弟さんはバンドのリーダーのようですね。「メンバーをあんまり信じてられていないのかなぁ」と感じる顔が何度か見受けられました(長女が演奏を間違う度にジロっと見ていたから)。Mr.チルドレンのヴォーカルに似た歌い方で、静かな声はいいのですが、高い音をはりあげて歌うと聞き苦しかったです。真似しないでご自分のスタイル(を見つけて)で行かれた方が良いのではないかと思いました。

新潮文庫『日曜日の夕刊』重松清著より
朗読=山本佳希 音楽・生演奏=Three Drew(小林章太郎・小林佐和子・小林佑子)
演出=板垣恭一 制作=宮田さゆり 制作協力=池田風見
全席自由・日時指定・要予約。2000円。ワンドリンク付き。
公式=http://www16.ocn.ne.jp/~base/01.html

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Posted by shinobu at 17:40 | TrackBack

東宝『ツキコの月 そして、タンゴ』10/05-30帝国劇場

 森光子さんと東山紀之さんの“ゴールデン・コンビ”を初めて拝見するべく、帝劇にお邪魔致しました。演出が栗山民也さんですし、何か私に響くものをくださるだろうと期待して。

 ぐ~、やっぱ退屈だなぁ・・・と思った途端に素早くてかっこいい転換が用意されていたり、ものすごく普通の新劇っぽい世界だなぁ・・・と思ったら突然何かを象徴するダイナミックな演出が現れたり。結局、途中で帰らずに最後まで飽きずに居られました。

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 アルゼンチンから命からがら日本への帰国を果たした日本人移民の姉(森光子)と弟(東山紀之)の悲劇。姉のツキコは女優を目指し、弟はタンゴ・ダンサーを夢見ます。
 大正、昭和の東京を舞台にしており、いわゆるアカ狩り(共産主義者への厳しい取締り)も描かれます。プロレタリアート演劇への弾圧シーンには胸が苦しくなりました。

 最近強く感じるんです。言論の自由や思想の自由ってすごく大切だって(当然のことなんですけどね)。それは憲法や法律で定められているのだから、国が守るべきだというのはもちろんなのですが、一般の人間が常にそれを気にかけていないと、無意識に自分がそれを破ってしまっていることがあるんじゃないかと不安を感じています。まずは自分自身から、日々気をつけていたいです。

 ここからネタバレします。

 森光子さん。少女役もこなしてらっしゃいまして、やはり可愛らしい方。ツキコは舞台女優になって成功してからも、脚本・演出家の河合(石田純一)と弟(東山紀之)を一途に想っているという設定でしたが、恋心のようなものが感じられませんでした。
 弟が死んだことを気づいたシーンでは、見えない弟に向かって名前を呼びながら「私のそばにいて」とにっこり笑って言い、その直後に「あーーー!」と叫び声を上げたのが凄かった。あの、不幸な時にニコっと笑うのがセクシーなんですよね、『櫻の園』の時もそこがかっこ良かったんです。

 東山紀之さん。テレビで見ていたのと同じイメージでした。背が高い。
 石田純一さん。脚本・演出家の河合役。優しくて繊細な感じだったので共産主義運動をしてそうには見えなかったですが、真面目でまっすぐな姿勢は良かったです。

 雛形あきこさんと馬渕英里何さんはいつもの感じでした。馬渕さんは恋人(東山紀之)が死んでしまったシーンの叫び声がよかった。雛形さんは神経質すぎたかな、と。もうちょっとゆとりが欲しかったですね。

 1920年生まれの森光子さんが舞台に出ているのを目撃できるだけで、私は文句は無いです。休憩30分を挟んで3時間ある芝居の主役で、しかも昼&夜の2ステージある日もあります。もー超人。
 ただ、そういう個人への尊敬などは抜きで考えると、あまりお薦めできる作品ではないですね。ラストシーンで死んでしまった弟と、残されたツキコが2人でタンゴを踊るのですが、森さんが踊れるところだけ2人一緒に踊って、他は東山さんが一人で踊ってました。しかも「上手くなったわね」って姉が弟を褒めるんです。そりゃないでしょう。いくらファンサービスといえども不自然すぎるよなぁと思いました。

出演=森光子/東山紀之/石田純一/中田喜子/雛形あきこ/馬渕英里何/野村昭子/山本學 ほか
原作=伊集院静 演出=栗山民也 脚本=堀越真 演出補=鈴木ひがし 装置=堀尾幸男 照明=勝柴次朗 音楽=福井峻・周水 効果=秦大介 衣裳=宇野善子 単語振付=フェルナンダ・ギ/ギジェルモ・メルロ アクション=渥美博 ステージング=田井中智子 製作=白杵吉春/岡本義次 主題歌=竹内まりや(作詞)/山下達郎(作曲)
S席12000円 A席7500円 B席3500円
公式=http://www.toho.co.jp/stage/tsukiko/welcome-j.html

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Posted by shinobu at 16:44 | TrackBack

2005年10月05日

bird's-eye view PLAY FESTIVAL『36000秒』(まとめ)08/20-28王子小劇場

 本番当日の朝9:30の時点から創作をはじめて10時間後に発表する、しかもその全てを観客に公表するという驚きの企画。私は全部で6日間ある内の3日間を拝見しました(創作現場を見たのは5日目のみ)。レポートはこちら→初日2日目5日目

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 2日目も5日目も結果的にはオムニバスになっていたので、作品としては初日が一番面白かったです。やっぱり作・演出家は作品全体を外側から客観視しているからでしょう。
 パフォーマー(2日目)は出演者同士はもちろん、観客との一体感が生まれることを目指しています。だからひとつの作品としての完成度はあまり重視していません。観客は出演者と共有できた瞬間を味わうのが、お楽しみポイントです。
 役者は「自分ががんばったかどうか」「自分が出ていたシーンが成功したか」に自己評価の焦点があるようです。だから作品のよしあしよりも個人を評価する視点で観るのが楽しめますね。

 下記、この企画について感じた事です。

 ・創作から観た場合、本番を観客の立場で味わうことは難しい。自分も出演者の感覚を持っているので客観的な感想を持つことはできない。
 ・本番だけ観た場合、値段(前売り2500円)に見合う作品を期待しない方がいい。ポストパフォーマンストークまで観られたらかなりお得。
 ・つまり、演劇作品の上演ではなく、観客参加型のイベントだと理解するのが正解。

※上演期間=8/20(土)~22(月)、26(金)~28(日) ※出演者は日替り。
※当日朝9:30の時点から創作をはじめて10時間後に発表するという企画。
総合監督=内藤達也 照明=榊美香(I's) 音響=佐藤春平 ヨシモトシンヤ(SoundCube) 制作=眞覚香那子 提携=王子小劇場
bird's-eye view:http://www.b-ev.net/
公式ページ=http://www.lucy.ne.jp/~bev/2005_07/36000.htm

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Posted by shinobu at 10:40 | TrackBack

bird's-eye view PLAY FESTIVAL『36000秒』(5日目)08/20-28王子小劇場

 初日2日目と本番のみの観劇でもすごく楽しませていただきましたが、どうやら午前中(創作開始直後)が一番面白いらしいとの噂を聞きつけ、5日目の午前中と本番を拝見いたしました。5日目は看板役者DAYだったそうです。
 この企画のまとめはこちら(2005/10/05追記)。

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 総合監督の内藤達也さん(bird's-eye view主宰)が、出演者全員を指揮する立場で創作現場をまわしていましたね。アイデアも出すし決定権もあるし、ちょっとびっくり。事前に観客から出ていたお題は「最低の嵐」「月」「24時間テレビ」「出前(上演中に出前を頼み、作品の中にもそれを織り込む)」の4つ。出演者が顔を伏せてそれぞれ自分が関わりたいお題に手を挙げて、それがそのままチームになりました。
 各チームがそれぞれのお題をもとに作品作りをして、それを内藤さんが構成するというのが創作の大きな流れでした。朝9:30からお昼の1:30ぐらいまでみっちりやって、そこから休憩でした。もーね、私はね、この3時間だけでフラフラでしたよ。最後の30分なんて「休憩はまだなのぉ?もー疲れた!おなか空いた!」っていうお手上げ状態(苦笑)。人間の集中力ってそんなに長くは続かないんですね。観ているだけの私があんな状態だったのですから、作る方はもっと大変だと思います。

 チーム分け結果と内容は下記の通り(「24時間テレビ」は希望者ゼロだったため却下)。

【1】「最低の嵐」=明石修平(bird's-eye view)/足立由夏(InnocentSphere)/伊東沙保(ひょっとこ乱舞)/大竹えり(少年社中)/岡本考史(東京タンバリン)/金崎敬江(bird's-eye view) /日栄洋祐(bird's-eye view)
 →「最低」なエピソードの2人芝居の短編がリンクしていく。詳細は踊る芝居好きのダメ人間日記でどうぞ。

 拉致されたけどパンツ一丁で逃れてきた男とか、使用済みコンドームが山ほど散らばった部屋とか、姉妹で男を取り合って顔をひっぱたき合う修羅場とか、たしかに「最低」なお話の連続でした。う~ん、できればエロ少なめ希望でした。
 最も危険な(観客が引く可能性の高い)エピソードに出演していたのに、度胸と愛嬌で可愛く楽しく見せてくれた日栄洋祐さん(bird's-eye view)が素晴らしかったです。


【2】「月」=伊藤伸太朗(チャリT企画)/久保貫太郎/山本卓(Afro13)
 →満ち潮が近づく無人の島。サラリーマン2人とその後輩との口論。青白く光る月のもと、不思議な出来事が・・・。

 他のテーマとの兼ね合いで1本のストーリーを3分割で上演するスタイルになりましたが、とてもよくできた短編でしたので、できれば続けて観たかったです。生魚やワカメ、水なども使ってアドリブのハラハラ感も増大。


【3】「出前」=石曽根有也(らくだ工務店)/櫻井智也(MCR)/野本光一郎(ONEOR8)
 →父親の葬儀で長男が継いでいる実家に戻った弟2人。男3兄弟でなにかとけんか腰。3人それぞれが別の出前を取る(寿司、カレー、ピザ)。誰の出前が一番先に届くか?

 この3人はずっと舞台上にいます。父親の葬儀にきた男3人兄弟という設定や演技はたま~に出てくるだけで、基本的に『36000秒』という作品に出ている役者の立場でした。桜井さんがダイヤルQ2に電話したのに驚愕(笑)。3人ともとっさに出てくるセリフ(アドリブ)とても気が利いていて、個人として魅力的でした。とても良いチームでした。

 「出前」チームが開場時から全員板付きで終演まで舞台上に居ますので、それが全体をつなぐ役割を果たしていないわけではないのですが、勃発する事件を楽しむのがメインの作品でしたから、いわば作品からはみ出している存在でした。つまり、3つの全く毛色の違う作品がランダムに絡み合う形になったので、一貫性はなかったですね。

 創作を観ていた私と、作品だけを観ていた友人との感想の違いに驚きました。友人は「いまいち」だったようなのですが、私は「面白い」とかあんまり考えなかったんですね。出演者と一緒になって、自分も作品を作って上演しているような気持ちになっていたのだと思います(勝手だね>私)。
 全く何も無い、ゼロの状態から作り上げたのを目撃していましたから、場面設定、登場人物、セリフ、物語、事件、音響、照明、ステージング等が生まれて形を成しているのを観ているだけで、本番は胸が一杯。そしてハラハラドキドキ(笑)。


 ≪ポストパフォーマンストーク≫

 なぜか盛り上がらなかったですねぇ。出演者も観客も引っ込み思案な人が揃っていたようです(笑)。

 質問「衣裳はいつ用意したのですか?」
 ⇒衣裳は創作時間内に用意することができないので、今日はフォーマルDAYということにして、スーツやそれに順ずる服を出演者の方に持参していただきました。(by 内藤さん)

 質問「出演者の方それぞれにお聞きします。今日の本番の出来は100点満点で何点ですか?」
 ⇒70点以上の高得点を答えた方がほとんどでした。「100点」が一番多かったです。50点以下(確か30点?)だったのは石曽根有也さん(らくだ工務店)、そして「採点不能です」と答えたのが櫻井智也さん(MCR)でした。このお2人は脚本・演出・主宰でもあります。やっぱり役者さんとは意識が違うんだなと思いました。自分だけでなく作品としての完成度を考えているんですね。

出演=明石修平(bird's-eye view)/足立由夏(InnocentSphere)/石曽根有也(らくだ工務店)/伊東沙保(ひょっとこ乱舞)/伊藤伸太朗(チャリT企画)/大竹えり(少年社中)/岡本考史(東京タンバリン)/金崎敬江(bird's-eye view) /久保貫太郎/櫻井智也(MCR)/野本光一郎(ONEOR8)/日栄洋祐(bird's-eye view)/山本卓(Afro13)
※上演期間=8/20(土)~22(月)、26(金)~28(日) ※出演者は日替り。
※当日朝9:30の時点から創作をはじめて10時間後に発表するという企画。
総合監督=内藤達也 照明=榊美香(I's) 音響=佐藤春平 ヨシモトシンヤ(SoundCube) 制作=眞覚香那子 提携=王子小劇場
bird's-eye view:http://www.b-ev.net/
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Posted by shinobu at 10:35 | TrackBack

風琴工房『ゼロの柩(ひつぎ)』09/29-10/02シアタートラム

 詩森ろばさんが作・演出される風琴工房の公演です。初シアタートラムということで劇団の代表作の再演なんですね。私はザ・スズナリでの初演を拝見しておりましたので、ある程度の前知識を持っての観劇でした。
 初演よりずっとずっと美しく、感動的でした。
 ※詩森さんのブログで創作過程から終演後のまとめまで、生々しい情報(笑)が読めます。このブログを読むとすっごく観に行きたくなっちゃうんですよね。

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 ≪パンフレットの作者の言葉より部分引用。(役者名)を追加。≫
 作品に寄せる言葉を書きはじめる前に、まずは劇構造の説明を。この舞台は死を待つひとりの死刑囚(小高仁)が自分の殺した女たち(松岡洋子と明樹由佳)を幻視する1972年の独房と、父(小高仁)の面影を追って女子大生(宮嶋美子)が彷徨する1985年の仙台の町を行きつ戻りつしながら進みます。なぜ1972年かと言うと、死刑囚が独房で小鳥を飼えたのが1970年代の初頭までだからです。
 ≪ここまで≫

 公演が終了していますのでネタバレします。

 死刑執行人・杉野(篠塚祥司)と死刑囚の娘・国見知佳(宮嶋美子)との触れ合いに、開演して間もなく涙が溢れて止まらなくなりました。
 自分の父の死(死刑)に直接関わった人物・杉野に会いに来た20歳前後の少女・知佳は、杉野の存在を突き止めた途端、いてもたってもいられなくなって東京から仙台へと飛んできてしまいました。杉野に会った瞬間の知佳のはつらつとした表情。自分がやってしまったことに少しの戸惑いはあるものの、若さならではのみずみずしさがまぶしかったです。
 そして数々の死刑囚に刑の執行を伝え、それを実行してきた初老の男・杉野は、立っているだけで重ねた年月が感じられました。知佳が国見の娘だと分かった時の杉野の佇まいは、決しておおげさではなく、かといって無表情でもありません。杉野の中にはっきりと国見の姿があるのが見て取れました。
 これらは私が初演を観てストーリーを知っていたから、最初にわかったことなんですけどね。それぐらい、登場人物のバックグラウンドにリアリティがありました。

 最初は国見のことについて話すのを断固として拒んだ杉野でしたが、杉野の娘(笹野鈴々音)の助けもあって、とうとう知佳にすべてを話そうと決心します。公園のベンチで杉野が「私がボタンを押して、あなたのお父さんを・・・」と言うくだりには、またまた涙がしぼり出されました。

 死刑について考えました。「死んで罪を償うしかない」と判断されるほどの悪事を働いた人であっても、やはりその人の命も、私達と同じ命なんですよね。死刑が執行されると、命はなくなります。命がなくなる、ということは、命があった時とは全く違う世界になるということです。死刑とは、あったものが、なくなる、という絶対的な力を持った行為なのです。また、ひとつの死刑が行われたことによって、死刑になった人の家族・親戚にも死刑執行人にも、大きな大きな影響があります。反対とか賛成とかの具体的な決断にはいたらないですが、死刑というものについて、いろんな思考をめぐらせる機会が得られてよかったです。

 こんなに重たいテーマが貫かれたお芝居ですが、恋のうきうきや、クスリとできる笑いも挟みこまれていて、ホっと息がつける瞬間がたくさんありました。特に知佳に横恋慕する先輩(好宮温太郎)は素晴らしいですね。初演では日比大介さん(THE SHAMPOO HAT)が演じられていて、それはそれは魅力的な男性でしたが、好宮さんもコミカルで優しい演技が良かったです。てゆーかね、こういう男ってさ、理想だよね、理想!「絶対いないね、こんなヤツ」と思いながらうらやましく見ておりました(笑)。

 舞台装置がすごくきれいでした。2本の白い、大きな道が空間を斜めに交差し、その交差点が死刑囚の独房になっています。生きた鳥が出演していたのも嬉しい驚きでした。

 美しい空間でリアルな感情の行き来があり、観客の心に直接ひびく感動的なシーンがあったから、かえって気になったことも多かったです。

 全体的に、ことばに寄りかかりすぎじゃないかと思いました。死刑囚、妻、愛人の3人が出ている舞台中央のシーンでは、セリフに演技を当てはめようとしているように見えて、その世界に入ることができませんでした。
 例えば死刑執行人・杉野と死刑囚の娘・知佳が見つめ合うシーンでは、ちょっぴり気まずい、だけど率直な心の係わり合いがあり、それだけで十分以上に世界が生まれていました。なので、そんなに感情を言葉で説明しなくてもいいんじゃないかと思いました。
 あと、死刑囚の国見のことが全然わからなかったんですよね。職業とかおいたちとか、彼については具体的な情報が全く与えられていませんでした。なぜ2人のいい女から、彼はあれほど愛されたのでしょうか。独房シーンにリアルを感じなかった決定的な理由はこれかもしれません。

 死刑が執行される時に登場人物のすべてが集約され、白く、黄色く光る照明の中、ひまわりの束が天井から数個落ちてきて、ぶら~んとぶら下がります。ほぼ観劇日記で「絞首刑をイメージしている」との指摘がありまして、なるほど!と思いましたが、私は言われるまで全然気づきませんでした。あまりきれいじゃないなぁと思ったんですよね。ひまわりが反動で何度も上下にびよよんと行ったり来たりするのとか。初演では舞台奥が一面のひまわりになったように覚えています。
 細かいことなんですけど、「冬のひまわり」というセリフがありましたが、その花を持ってきた愛人がサマードレスを着ていたのが気になりました。

 大道具の出し入れを役者さんがやっていたのですが、ラストシーンのために全てを舞台袖にしまう必要はなかったんじゃないかしら。特に重たいキッチンを杉野夫妻が移動させるのは、あぶなっかしくて気になりました。物があってもなくても、十分に美しいシーンだったと思います。休むに似たり。にも同じご指摘あり。

 死刑囚の妻役の松岡洋子さんは文章の終わり(もしくは句読点があるところ)で、一息つく、というか、息を吸うクセがあるようで、それは次のセリフのための準備に見えました。だから言葉にも演技にもリアルが感じられませんでした。松岡さんは『風琴文庫』で今回の妻役とはほぼ正反対ともいえる役柄を演じてらっしゃいまして、私は終演間際まで妻役が松岡さんだとわからなかったんです。その役作りはすごいと思いました。

 死刑執行人役の篠塚祥司さんとその妻役の羽場睦子さんにはすっかり魅せられてしまいました。役柄に近い年齢の、年配の俳優がキャスティングされ、その実力が余すところなく発揮されているというのは、小劇場劇団ではあまり観られないことです。

出演=宮嶋美子(風琴工房)/小高仁(第三エロチカ)/松岡洋子(風琴工房)/篠塚祥司/羽場睦子/笹野鈴々音(風琴工房)/椎葉貴子(風琴工房)/好宮温太郎(タテヨコ企画)/明樹由佳(La Compagnie A-n)
脚本・演出=詩森ろば 音楽=寺田宏 音響=青木タクヘイ(STAGE OFFICE) 照明=関口裕二(balance, Inc. DESIGN) 照明操作=瀬戸あずさ 美術=杉山至(CO-Art's突貫屋) 舞台監督=松下清水/甲賀亮 演出助手=山ノ井史 宣伝美術=岡田邦栄・秋本修 制作=盛岡鞠子 票券管理=大木孝司 スチール写真=浅井紀洋 co-crew=山ノ井史 浅倉洋介 企画製作=ウィンディ・ハープ・オフィス 協賛=社団法人アムネスティ・インターナショナル日本
全席指定 一般=前売3,200円/当日3,500円 ●学生2,000円(枚数限定、大学生以下、劇団のみ取扱い) ●障碍者割引1,500円(劇団のみ取扱い) ●SePT倶楽部会員割引 3,000円 ●世田谷区民割引 3,100円
公式=http://windyharp.org/zero/

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Posted by shinobu at 00:18 | TrackBack

2005年10月04日

加藤健一事務所『審判』09/27-10/12本多劇場

 1980年、加藤健一さんはこの作品を上演するために加藤健一事務所を設立したという、伝説の2時間半モノローグ芝居。第17回紀伊國屋演劇賞個人賞、平成6年度文化庁芸術祭賞、第29回紀伊國屋演劇賞個人賞を受賞しています。私は初見。

 劇場の壁に張り出してあるインタビュー記事で、加藤さんが「また上演(出演)できるとしてもあと一回かな」とおっしゃっています。なるほど、観終わって納得です。観てる方もめちゃくちゃしんどかったです。

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 ≪あらすじ~チラシよりそのまま引用。≫
 第二次世界大戦中、ドイツ軍の捕虜となった元ロシア兵、アンドレイ・ヴァホフ。水も食料も光も無い地下室に、仲間六人と共に閉じ込められた壮絶な60日。生存者は二人。そのうち正気であった彼が軍事法廷の証言台に立つ。彼が生きて在ることの罪とは一体何なのか。審判をくだすために、私たちは最後まで、彼の証言に耳を傾けなければならない。
 ≪ここまで≫

 2時間半。本当に加藤さんだけです。ずっと一人でしゃべり続けるということはもちろん凄いのですが、その内容の凄さにまず打ちのめされます。2時間半・・・私が集中して加藤さん=ヴァホフの証言を聞くことができたのはその内の何時間かしら。
 特定のある場所で胸をわしづかみにされ、涙が搾り出されました。でもところどころ心に響かなかったところもありました。「一緒に2時間半を体験すること」「この戯曲を知ること」だけでヨシとしたいところです。加藤さん、忘れられない空間をありがとうございます。

 ここからネタバレします。

 水も食料も無い地下室に60日間監禁された。だけど生存者がいた・・・つまり、人肉を食らう話なのです。苦しいです。また、軍服を剥ぎ取られて7人ともが全裸だったということも、話の中盤以降に気づいて胸が傷みました。

 身包み剥がれて地下室に閉じ込められ、11日後に「くじ引きで食料になる者を選ぶ」とリーダーが提案し、一人目の崇高な犠牲者が出る。そしてその地獄の中に残るのがたった2人になるまでを、加藤さん演じるヴァホフ以外の人物の姿がくっきりと想像できるぐらいリアルに、言葉で綴っていきます。何が起こったのかという事実よりも、その牢にいた人間たちの心の変容をきめ細やかに表現しているのが心を打ちます。
 生きているということと、死んでいるということの差異が具体的に感じられました。

 牢から脱出できた後は、「人肉を食らったバケモノ」「仲間を殺した殺人者」というレッテルを貼られ、決して本当の意味での自由を得られなかったヴァホフ。「精神を病んでしまった仲間(もう一人の生存者)のことを介護していきたい。できればまた兵士になり、戦場に戻りたい」という希望を述べて終幕します。これは・・・あまり理解できませんでした。というのは、私はもう疲れ果てていて、地下室から出てきたところ以降は思考停止状態でした。ごめんなさい。

"Judgement" by Barry Collins
出演=加藤健一
作=バリー・コリンズ 訳=青井陽治 演出=星充 照明=黒尾芳昭 音響操作=音スタ 舞台監督=片山晃也
全席指定 前売¥5,000 当日¥5,500 高校生割引¥2,500
加藤健一事務所内=http://homepage2.nifty.com/katoken/61-index.htm

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Posted by shinobu at 17:47 | TrackBack

2005年10月03日

(財)三鷹市芸術文化振興財団/スロウライダー『むこう岸はエーテルの国』09/30-10/02三鷹市芸術文化センター 星のホール

 小さな空間で独自のダークな世界を作っているという噂を聞いていたスロウライダー。私は初めて伺いました。
 三鷹市芸術文化センターの星のホールは新しくてきれいな劇場で、舞台の間口がとても広い空間です。残念ながらその大きさを味方にはつけられなかったようです。公演は終了していますのでネタバレします。

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 ≪あらすじ≫
 男鹿(芦原健介)の家で同人誌研究会のメンバーが合宿を開くことになった。男鹿の家は広い和室が100室以上あるお屋敷。実はまだ増築もしているらしい。
 善意の助け合いを促進するためにエーテルという通貨が流通しており、男鹿は近所の主婦の頼みごとを聞いたりしながらエーテルを集めている。いつか貯まったエーテルを報酬として、家の中で働いている浮浪者達に兄(山中隆次郎)を消してもらいたいと思っているからだ。
 ≪ここまで≫
 
 まずセリフがとても聞こえづらかったですね。早口でもぞもぞしゃべったり、明らかに話をしている人間同士のコミュニケーションがなかったり。いわゆる若手劇団の役者さんだなぁと思って眺めていました。小さな空間だったらもっと味わいは違ったかもしれません。

 舞台は前から奥に向かって、ゴミが散在する男鹿の兄の部屋、中央の和室、その奥の和室、中庭という風に空間が4つに区切られています。膨大な数の和室を、中央と奥の2つのの和室だけで表現するのが面白いです。映画『CUBE』みたいだなぁと思いました。

 「善行の見返りとして機能する“エーテル”という通貨が流通している世界」というアイデアは凄いなぁと思いました。何をやるにもその見返りにエーテルを求める、つまり無償の愛が消滅した世界でした。「エーテルが欲しいんでしょ?あげるからさ、コレやってよ!」と当然のように勝手な頼みごとをします。これは「金を払ってるんだから、それに見合うものをよこせ!」というのと少し違うんですよね。エーテルはあくまでも「善行」に対して支払われるという前提ですから。「善い行い」という言葉の罠にはまるのって、私達が生きている今の社会でもよくあると思います。

 巨大なお屋敷はなぜか増築され続けており、それは兄の命令によるものなのですが、実は兄はすでに殺されてゴキブリになっていて・・・という不可思議な世界が徐々に現れてきます。これもたぶん小さい空間だったらゾクゾクするような恐怖とスリルが生まれていたんじゃないかな。スロウライダーは小さい劇場で上演される時にまた観たいですね。

MITAKA "Next" Selection 6th.
出演=芦原健介/日下部そう(ポかリン記憶舎)/青木宏幸/数間優一/吉田友彰/脇坂圭一郎/木田尊大/梅澤和美(Hula-Hooper)/佐藤真義(タテヨコ企画)/森啓一郎(東京タンバリン)/後藤飛鳥/山中隆次郎
作・演出=山中隆次郎 舞台監督=西廣奏 舞台美術=袴田長武(ハカマ団) 照明=森川敬子 音響=加藤温 衣裳=伊藤梨絵(コブラ会) 小道具=大橋路代(パワープラトン) 舞台監督補佐=田中隆博 演出=谷川純一(カタカナ) 山野井譲 宣伝美術=吉川久河(id production) 仲麻香 WEB運営=栗栖義臣 制作補佐=坂本明 制作=三好佐智子 企画・プロデュース=有限会社quinada 主催=(財)三鷹市芸術文化振興財団
[前売] 会員2,200円 一般2,500円 [当日] 会員2,500円 一般2,800円 高校生以下1,000円(前売・当日共)
劇団=http://www.slowrider.net/
(財)三鷹市芸術文化振興財団=http://mitaka.jpn.org/calender/star/064.shtml#s2

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Posted by shinobu at 23:38 | TrackBack

青年団『S高原から』09/30-10/05こまばアゴラ劇場

 若手演出家による『S高原から』連続公演企画の締めくくり。本家本元の登場です。舞台写真はこちら

 1991年に書かれた戯曲で、その時から20~30年後の“近未来”を描いた作品だったんですね。そういう視点で観ると『ニセS高原』の4作品とはスタートラインが全然違うんだなぁと思いました。

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 ≪公式サイトより≫
 高原のサナトリウムで静養する人、働く人、面会に訪れる人・・・。
 静かな日常のさりげない会話の中にも、死は確実に存在する。
 新演出、新キャストで、今、平田オリザが新たに見つめ直す「生と死」。
 ≪ここまで≫

 「死」はあんまり感じなかったですね。それよりも、資本主義にどっぷりはまり込んで、美とか命とかよくわからなくなった下界の人々(健常者)と、そういう社会とぷっつりと縁切りをさせられて、弱っていく体を自覚しつつ、ただ生きるということをコツコツ実践している人々(病人)との差異が、具体的に表れていたように思いました。
 特に画家の西岡(奥田洋平)とその婚約者(辻美奈子)のシーンで顕著でした。西岡は病院でモデルをやってもらってる前島(能島瑞穂)と恋に落ちているんだろうなぁと、ラストシーンで思いました。その前島はもう1年も持たないんですが。

 好き嫌いとか自分が楽しめたかどうかという点では、この作品は私にとってはあまり面白くなかったです。役者さんの演技がわざとらしく見えることが多かったからですね、たぶん。朗らかだったりおっとりしていたり、全体的に柔らかい印象なのに、突然ナイフで刺しかかってくるような暴力的な言葉や表情をするのが、どの登場人物にもまんべんなく仕込まれていたように感じました。

 『ニセS高原』に出ていた青年団の役者さんで今作にも出てらっしゃる方が多くて、配役が違ったりするのが面白かったです。

出演=志賀廣太郎/たむらみずほ/辻美奈子/秋山建一/月村丹生/岩崎裕司/端田新菜/能島瑞穂/古屋隆太/奥田洋平/田原礼子/古舘寛治/井上三奈子/大竹直/村井まどか/山本雅幸
作・演出=平田オリザ 舞台美術=杉山至×突貫屋 舞台美術写真=田中流 装置=鈴木健介 照明=岩城保 宣伝美術=工藤規雄+太田裕子 宣伝写真=佐藤孝仁 制作=澤藤歩 田代麻衣 西山葉子 協力=(有)あるく (株)メディアプレス 主催=(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場
日時指定・全席自由席・整理番号付 前売・予約・当日共:一般=3,500円 学生=2,000円 高校生以下=1,500円
青年団=http://www.seinendan.org/
公演=http://www.seinendan.org/jpn/info/info050714.html

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Posted by shinobu at 22:30 | TrackBack

2005年10月02日

InnocentSphere『ZION~目覚めよと呼ぶ声が聞こえ~』10/01-09シアターVアカサカ

 イノセントスフィアは西森英行さんが作・演出される劇団です。所属役者さんの数も結構多いですね。今作は西森さんが20代前半の頃に書かれた戯曲の再演だそうです。

 ※執筆完了しました(2005/10/03追記)。

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 ≪あらすじ≫ ※少々詳しいですが、読んでからご覧になっても問題ないと思います。
 数々の猟奇的殺人罪で死刑を宣告されていた囚人が刑務所を脱獄した。彼の名は多襄丸怜ニ(三浦知之)、別名“CAIN(カイン)”。殺人現場に必ず血文字でそのアルファベットを残していくのでそう呼ばれていた。逃走中のCAINはある大病院にたどり着き、偶然にも幼なじみの中沢医師(倉方規安)と出くわす。そして中沢を脅してまんまと自分をかくまわせる。
 CAINが脱獄したことは世間で大きな事件となっていた。その騒動に目をつけたある学生グループが、CAINを名乗って犯行声明をネット上に撒き散らすなどして、人々を煽っていく。そしてCAINを名乗った便乗殺人が次々と起こっていき・・・。
 ≪ここまで≫

 セリフがよく聞こえなかったことが主な原因で、お話の意味があまり理解できていませんでした(観劇後に関係者に話を聞いて発覚)。とても残念・・・舞台装置と劇場との相性の問題なのか、声が客席の方へと届きづらい状態だったようです。初日で役者さんの演技が硬かったからなのかもしれませんが。

 前半はインターネットと直接結びついた現代社会の熱狂の暗部を、サスペンス風にスピーディーに展開させていきます。刑務所、病院、警察、学校などに次々と素早く転換するのがかっこ良かった。かっこ良いと言えば、舞台を緞帳のように覆う大きなスクリーンいっぱいに映し出される、オープニング映像も素晴らしかったです。役者紹介もいつもより短時間にまとまっていました。映像担当は冨田中理さん(SelfimageProdukts)。

 美術はステージ中央に大きなスロープがあるだけのシンプルなもので、色は灰色。両袖と舞台奥にも幕はなく、隠すべきところは黒いパネルが建てられており、劇場の濃い灰色の壁がかなり露出している状態です。
 役者さんの衣裳デザインはそれぞれ違いますが、色が白で統一されています。なので空間全体の印象としては黒と白のモノトーンでした。

 ある事件が起こってから事態は急変し、ガラリと世界が変わります。

 ここからネタバレします。

 ≪あらすじ 続き≫
 CAINと間違えて中沢医師を追いかける警察。中沢は子供の頃に遊んだことのある古い防空壕に逃げ込んだ。追ってきた警察と学生たちも続いてその中に入った途端、岩盤が崩れて全員が生きたまま閉じ込められてしまう。
 ≪ここまで≫

 大きなスロープになっていた板が客席側から上に持ち上げられて、防空壕のセットへと大転換します。ここから一気に暗闇の密室へと世界が収縮し、観ている方の息が詰まるような絶望的な空間になります。
 徐々に正気を失っていく登場人物たち。狂気のせいで内輪もめが殺人へとエスカレートしていく様は醜悪です。でも、できればそこで「もっとヤレ!」「全員殺しちゃえ!」という野蛮な気持ちが私自身の中から沸きあがってきて欲しかったです。観客が撲殺シーンに興奮するってことがあるんですよね(例:reset-N『knob』など)。それが生まれていれば、起死回生の大逆転が起きて数人が脱出を果たし、外の光へとスローモーションで向かっていくシーンがもっと美しくなったのではないかと思います。また、現実世界へと戻ってからのエピローグとの差異もくっきりと表れて、人間の醜さ・美しさが浮き上がったのではないでしょうか。

 全編を通じて、病院で起こる不慮の殺人やえん罪、次々と起こる無責任な便乗殺人、防空壕の中での殺し合いなど、人間が自ら起こす恐ろしい事件を描いていましたが、そんな人間達を優しく、憂いながら見守る視点が常に存在しているように感じました。このように、イノセントスフィアの作品が世界に対して誠実に、真面目に向き合っていて、そして対立ではなく世界の味方の立場であることが、私は好きなのです。
 ただ、今作品についてはそういった思いやりや憂いは抑え目にした方が良かったのではないかと思いました。私的な主張・感情を排除して、徹底した残虐な世界を描き、問題提起と少しの救いを結末に示すことで、観客が自分自身の中から感情や疑問を生み出すことが容易になる気がします。

 森戸宏明さん(動物電気)。女医の橋野(黒川深雪)に横恋慕する田頭医師役。いわゆるイヤ~な悪役ですが、少しコミカルな面も加えつつきっちりと演じていらっしゃいました。森戸さんの声だけは文句なく聞こえたんですよね。やっぱり役者さんの技術の問題なのかなぁ。

 ※私が理解していなかったことについて
 殺人犯のCAINこと多襄丸怜ニ(三浦知之)が中沢医師(倉方規安)の前に現れましたが、それらはすべて中沢自身の妄想だったということを、私はわかっていませんでした。防空壕で業田警部(日高勝郎)が暴露する、「CAINはすでに死んでいた」というセリフが聞こえなかったのが主な原因です。でも一緒に観ていた知り合いはちゃんとそれがわかっていたので、私だけが勝手に「CAINは生きてる」と強く思い込んでいたんですね。

 そういえば、CAINが中沢の見ている幻であるということを示す演出もちゃんとあったのです。なのに私は「CAINが便乗犯と一緒にどこかで殺戮を繰り返しているんだ」と信じていました。・・・CAIN(多襄丸)役の三浦知之さん、良かったですしね。画像と組み合わせられた役者紹介の時、ビビッと震えが来るぐらい怖かったし。また、「現代社会を脅かす残虐な殺人犯が存在していて欲しい」という不謹慎な希望が、私の中にあったのかもしれません。

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Posted by shinobu at 10:14 | TrackBack

2005年10月01日

ジャニーズ事務所『SMAP SAMPLE TOUR FOR 62 DAYS「SMAPとイク?」』09/28-29東京ドーム

20050928 SMAP to IKU.JPG
「SMAPとイク?」@東京ドーム

 友達が誘ってくれたのでSMAP(稲垣吾郎、木村拓哉、香取慎吾、草なぎ剛、中居正弘)のコンサートに行ってまいりました。
 大スターのコンサートなんて何年ぶり?10年以上前のドリカム以来?(笑)。しかも東京ドーム自体が初めてなんですよ、私。中学生の時に行った大阪城ホールでのチェッカーズのコンサート以来かな、こんな大規模なのは。
 18時開演で、終わったのが22時でした・・・なんてこったい。チケット代は7000円だったんですけどね。激安だと思いました。

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 もー・・・ね、東京ドームの広さにまず参りました。歩けども歩けども入場ゲートに着かない(汗)。開演間際で「演出の都合上、もう締めまーす!(締まるとオープニングが観られない)」という声がかかる中、滑り込みセーフで球場内へ(ありがたいことにアリーナ席でした)。入った途端、スタンドいっぱい米粒のようにぎっしり詰まった客席を見上げてフラっとなりまして、「わ・・・スゴッ」って声に出ちゃった。怖くなった。でもちょっとわくわく。

 不良っぽいスーツで歩いて登場する木村さんと稲垣さんを肉眼で確認(笑)。普通の人だー。てゆーか背が低いからかな。なるほど、アリーナ内の通路を歩いてステージへと向かうから、ものすごい入場制限なのね。

 全体の構成は、あるテーマ(南国バカンス、海賊など)に基づいて3~4曲ずつでひとまとめになったシーンが数個あり、合間に映像を挟みながら順番に進んでいくオムニバス形式でした。映像が流れる間が休憩時間。メンバーはお着替えをして、お客様はイスに座ります。
 オープニングは『BANG! BANG! バカンス』。クドカン作詞なんだな~。オープニングの次の南国バカンス風シーンが一番良かったです。特にラップで綴っていく曲では、本当に開放的なビーチに居る気分になれました。

 映像が・・・激スゴ。カーテン状の巨大な電子スクリーンに映し出される動画、動画、動画の嵐。曲に合わせて作られたグラフィック映像です。10枚のパネル状ディスプレイがくっついたり離れたり、自由自在に組み合わさって映し出されるライブ映像。スゴイよ、凄すぎるよ、これなら遠くからでもテレビ観てるみたいにはっきりとメンバーの顔が見えるよ。最新の技術が結集してるんでしょうね。あのカーテン状のスクリーンは、たしか中川晃教さん主演の『PURE LOVE』で使われていた気がする。大きさが違いすぎるけど(笑)。

 音楽ってすごいなー。みんな声出して、同じように手を振って、歌って、揺れてた。東京ドーム満員分の人間が。コンサートとかライブとかによく行く人は、この一体感を知っていて、それが好きなのかもしれないなぁと思いました。

 SMAP×SMAPのキャラで登場してコントもやってました。かなりふんだんに。私はテレビを見てないから全然知らないんですが。歌って踊ってコントやって即興でネタ披露もするんだから、SMAPってすごいねって思いました(いまさら)。
 コント例=カツケンサンバ(香取さんがマツケンサンバ)、木村さん(源氏名=ヒカル)&稲垣さん(源氏名=優雅)でホスト、中居さんがダメ人間まーくん(?)、草なぎさんがスパイダーマン等。

 一人ずつソロのパートがありました。以下、歌った順番に(うろ覚えですが)。
 ・木村さん=ダンサーを引き連れて、南国ムードでリラックス&セクシーに歌って踊る。何をやっても決まる人。ただ、カラーがいつも同じになってくるのが難点。
 ・草なぎさん=韓国人の男性歌手(?)とデュエット。草なぎさんの高くて細い、素直な声に聞き惚れました。なんてキレイなんだ。胸が熱くなったよ。
 ・香取さん=黒いレースの透け透けなヤラしい衣裳で、思いっきり挑発的なダンスと歌。ちょっとバイオレンス入りで。
 ・稲垣さん=あの広いステージにたった一人で歌ってました。
 ・中居さん=ピアノで弾き語り。ドラマでピアニストの役をやったことがあるからだとか。子役を使ってのギャグで締め。

 南国ビーチのラップ曲と草なぎさんの歌声以外で感動したのは、なんと「世界に一つだけの花」。ベタだーー・・・(笑)。だってさ、米粒ほども見えないようなお客さんと、中央にいるスターがさ、「ナンバーワンにならなくてもいい、もともと特別なオンリーワン!」って大合唱するんだもん。あれはね、高くあげられた何万本の腕の一つ一つが光って見えたよ。嘘みたいだけどホント(笑)。

 スマップの人たちについて。※SMAPファンではない一個人の感想です。

 音響機材(マイク)のトラブルがあったようで、ステージから一番遠い3階スタンドの観客が、MC(トークの時間)の最中に大勢で声をそろえて「聴こえない!」とクレームを言うハプニングがありました。この時のメンバーそれぞれの対応に個性が現れていましたね。性格がバレたっていうか(笑)。やっぱり草なぎさんは人格者だと思いました。木村さん=アーティスト、中居さん=みのもんた、稲垣さん=日和見紳士、香取さん=逆境をチャンスに変える天才。

 草なぎさんは遠くで見る分には本当に目立たないし、正直言ってかっこ良くはないんですが、歌声は絶品(うまいかどうかは別)。そして間近で肉眼で見ると、目が輝いてて、めちゃくちゃ素敵な人でした。背中だけでもかっこいいんだもん。(私は彼が初出演した『蒲田行進曲』を見て、観劇の世界にのめりこみました。)

 木村さんは画面で見てる分にはダントツにかっこよくて、セクシーで、もーこいつってば罪な男!!って思ってたんですが、近くで見たら、なんか・・・女の子みたいでした。あと、5人の中でのキャラが固定されてて(一番かっこよくて一番ダンスうまくて一番歌うまくて一番、一番、一番・・・∞)、なんかヤなヤツに見えてきたのが悲しかった。私って日本人ねぇ。あとは奥さんとお子さんのことばかり頭に浮かんでしまった。

 香取さんは私にとってはどうしても近藤勇なんです。間近で見えた時の印象は「でっかいお父さん」でした。

 やっぱり生身で見るのと画像で見るのとは違うんだってことを再確認。テレビでかっこいい人と、舞台でかっこいい人は別です。どちらが良い悪い、優れてる劣ってるとかじゃなくって、とにかく違うってことがわかりました。
 役者さんはまず自分がどの世界で生きていくのかを見定めて、フィールドを選ばなきゃだめですね。・・・って話題がそれました。私はいっつもこんなこと考えちゃうからテレビが楽しめないんだろうな。

 日本のひとつの頂点のライブコンサートですよね。素晴らしい体験でした。誘ってくれた友人に大感謝。

出演=SMAP/ダンサー20人ぐらい(?)/子役の男の子/演奏者多数
主催=TOKYO FM/Inter FM/文化放送/FMヨコハマ 企画=ジャニーズ事務所

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Posted by shinobu at 14:06 | TrackBack

10月1日(土)夜にFM西東京「たけがき2」に出演します。

 FM西東京の演劇情報番組「たけがき2」に出演いたします。毎月第一土曜日に出演の予定です。
 今回は前半に『URASUJI』の感想をお話し、後半は10月に観られるお薦めお芝居を4本ご紹介します。

 西東京市およびその周辺地域でお聴き頂けます。

 8月6日(土)21:30~22:00(の内の約10分間)
 FM 84.2MHz

 たけがき2(ツー):http://takegaki.k-free.net/

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Posted by shinobu at 13:05 | TrackBack

敦(TON)-杏子(ANZU)PRODUCE 好色必殺時代劇版ミュージカル『URASUJI 裏筋』09/22-10/02ザ・スズナリ

 深沢敦さんと杏子さんのプロデュース公演です。第一回公演ですが、次があるかどうかは全くの未定のご様子。
 演劇◎定点カメラClub Silencioを読んで、急いで当日券に駆け込みました。

 錚々たる顔ぶれが、おバカ全開!観なきゃ損!
 メルマガ号外を出しました。明日の14時の回で千秋楽です。どうぞお見逃しなく!

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 ≪あらすじ≫
 江戸時代。仕事人のあんずの元締(杏子)は、仲間(狐面のおゆき=池田有希子/花屋のかんじ=岩﨑大/飛脚のやす=森貞文則)とともに庶民の恨みを晴らす闇稼業の仕事人。ある日、おゆき(池田有希子)が抜けると言い出す。理由はカタギの定吉(草野徹)と恋に落ちたから。
 池川藩の嫡男はとんでもないバカ殿様。世継ぎ選びのお家騒動に仕事人達も巻き込まれてしまい・・・。
 ≪ここまで≫

 楽しくってしょうがなかった!!キャストも豪華!美術も豪華!衣裳も豪華!なのにやってることはおバカ!歌って踊って戦って、ギャグもお色気もたっぷり。あら、ちょっと劇団☆新感線みたいですね。

 ここからネタバレします。

 松村武さん(カムカムミニキーナ)は明治座公演『三人吉三東青春』(深沢敦さん出演)や『HUNTER×HUNTER』(池田有希子さん出演)などを手がけられてますし、大規模な大衆エンターテインメント系の演出経験が豊富なんですね。
 突然に衣裳の袖や帯からマイクを出して歌っちゃうのが素敵。歌を歌って芝居世界を完全に変えちゃった後処理もきちんと。
 何層も奥に仕込まれた江戸屋敷。ふすまや障子による転換は簡単と言えば簡単だけど、空気も完全に変化するからカッコイイ。これも役者と演出の技ですね。

 言うまでもありませんが歌がうまい!深沢敦さん杏子さん はもちろんですが、池田有希子さん西村直人さん はミュージカルの方ですしね。杏子&池田有希子の「目を閉じておいでよ」なんて聞いたときにゃーもー涙目ですわよっっ!山口百恵の「絶体絶命」もありましたね。岩﨑大さん が男と女のデュエット曲を一人で歌ったのも良かった。さすが女役もやるスタジオライフ俳優。

 将軍側から池川藩の偵察に送られた茂坂七太郎役の西村直人さんと、池川藩主の剣術指南役の木村左近役の中野順一朗さんが、青春謳歌デュエットをされたのはテンションが間違ってるぐらい高くって笑いが止まらない。

 ピンクと水色のタイツ姿の紅(くれない)役の藤田記子さん。職業は“くのいち”なんですよね、一応。藤田さんにしか出来ない能天気エロキャラ。動きが激しすぎて次から次へと笑いが止まらない。連呼する「マイルーラー」は・・・私には大苦笑ポイント(笑)。わからない人(若い人ね、きっと)はネットで勝手に調べてくださ~い。

 ガレージシャンソンショーのお二人の生演奏はノスタルジックな昭和の毒も感じられつつ、ガンガンにロックでめちゃ渋。アコーディオンって凄い!山田晃土さんは狂言回し(語り部?)の役割も果たされていましたが、その語りも演技も素晴らしかったです。アコーディオンの佐藤芳明さんは微動だにしない表情に時折チラリと変化を入れて観客の視線を独り占め。また演劇に出て欲しいです。

 カーテンコールで深沢さんがこの公演でやりたかったことをおっしゃいました。以下箇条書きで。
 ・スズナリで杏子の歌が聴きたかった。
 ・スズナリに帝劇のセットを作りたかった
 ・スズナリで帝劇のメイクをしたかった(深沢さんのメイク)
 ・異種格闘技が観たかった(色んな分野の人を呼びたかった)

 そうですね、異種格闘技って感じでした(笑)。あーもーぜひぜひまたやってもらいたいです、スズナリ規模で!

出演=【仕事人】杏子/岩﨑大(Studio Life)/池田有希子/森貞文則(TEAM 発砲・B・ZIN)/山田晃土&佐藤芳明(ガレージシャンソンショー) 【池川藩江戸屋敷】深沢敦/西村直人/草野徹(壱組印)/藤田記子(カムカムミニキーナ)/中野順一郎 【いろんな役】吉田晋一/小島啓寿/亀岡孝洋/市子嶋しのぶ(カムカムミニキーナ) ライブ演奏=ガレージシャンソンショー(山田晃土=Vo./G/佐藤芳明=Acco.)
作・演出=松村武(カムカムミニキーナ)作曲=杏子/深沢敦 編曲=ライオン・メリィ/佐藤洋介(COIL)/南木直樹 振付=前田清美 美術=古川雅之/鈴木浩二(アックス) 照明=林之弘(六工房) 音響=小笠原康雅(OFFICE my on) 衣裳=加藤真理茂 ヘアメイク=馮啓孝/アトリエレオパード 殺陣=森貞文則(TEAM 発砲・B・ZIN) 舞台監督=富田聡 演出助手=市子嶋しのぶ チケッティング=D・N・A 制作=中村文重/中野良恵
15ステージ 指定席4800円 自由席(前方ベンチシート)4500円
公式ブログ=http://blog.livedoor.jp/nomeya_utaeya/

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Posted by shinobu at 11:10 | TrackBack

メルマガ 2005年10月のお薦め舞台

2005年10月のお薦め舞台10本+αをご紹介します。
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 “しのぶの演劇レビュー” Vol. 16     2005.10.1  698部 発行

┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏ http://www.shinobu-review.jp/

   今、面白い演劇はコレ! 年200本観劇人のお薦め舞台♪
                   
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 ◎今月もお薦め舞台が沢山♪ 劇場でしっとり秋の夜長を満喫しましょう!

    舞台には、あなたの心を揺さぶり、
      人生の輝きを増してくれる奇跡があります。

  “今から観られる面白い演劇”をどんどんご紹介していきます。
  お友達、ご家族、恋人と一緒に、どうぞ劇場を訪れてください♪

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  バックナンバーは全て公開しています。
     http://blog.mag2.com/m/log/0000134861


○○ 今回のもくじ
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 ◆1【今月のお薦め10本+α】
   
   ◎No.1→ニ兎社『歌わせたい男たち』
      10/08-11/13ベニサン・ピット
      ≪東京、長野、滋賀、大阪、岐阜、茨城、神奈川(橋本)、
       愛知、新潟、東京江東区、宮城、神奈川(湘南台)≫
      http://www.nitosha.net/stage/index.htm

 ◆2【先月のベスト3】

   ◎No.1→世田谷パブリックシアター製作
       『敦 ―山月記・名人伝―』
       09/06-15(9/3, 4プレビュー)世田谷パブリックシアター
       http://www.setagaya-ac.or.jp/sept/jouhou/05-2-4-21.html

 ◆3【『S高原から』連続公演の締めくくりはオリジナル版で!】

   ◎『ニセS高原から』若手演出家の4チームを観劇しました。
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/0927205624.html

 ◆4【“唐十郎(から・じゅうろう)”作品の連続上演】

   ◎新国立劇場、唐組の紅テント、シアターコクーン等で唐十郎の世界。

 ◆5【お薦め芝居の前売情報 青年座『パートタイマー・秋子』】

   ◎永井愛さんが青年座に書き下ろした傑作、大阪&東京で再演!
    http://www.seinenza.com/performance/181/

 ◆6【 ☆お知らせ☆ セミナーにゲスト出演いたします。】

   ◎アーツマネジメントセミナーシリーズVol.2
    「10年後、あなたは演劇、続けていますか?」第2弾
    http://www.unit-duo.net/duo_seminar/ams02.html

 ◆7【編集後記】

   ◎風邪引きました・・・皆様どうぞお気をつけくださいね。

 ◆8【このメルマガについての注意事項(毎月同じ内容です)】

   ◎はじめての方はどうぞお読みくださいね♪

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ◆1 【今月のお薦め10本+α】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 ※★印がいちおし公演です(3本)。
 ※初日の早い順に並べています。
 ※掲載内容:主催・『題名』・日程・会場・コメント・価格・URL


1.Bunkamura『天保十二年のシェイクスピア』
  09/09-10/22Bunkamuraシアターコクーン
  ☆出演=唐沢寿明/藤原竜也/篠原涼子/夏木マリ/ほか
   作=井上ひさし 演出=蜷川幸雄 音楽=宇崎竜童
   9月から上演中。空前の豪華キャスト。
   私は未見ですが評判が良いです。
   S席¥13,000 A席¥10,000 コクーンシート¥6,000
   中2階立見券¥4,000 ※前売り完売。当日券情報はこちら↓
   http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/event/tempo/index.html


2.加藤健一事務所『審判』
  09/27-10/12本多劇場
  ☆加藤健一さんが紀伊國屋演劇賞個人賞、文化庁芸術祭賞、
   紀伊國屋演劇賞個人賞を受賞している作品です。
   2時間半、たった一人のモノローグ芝居。
   全席指定 前売¥5,000 当日¥5,500 高校生割引¥2,500
   http://homepage2.nifty.com/katoken/61-index.htm


3.ギンギラ太陽's『翼をくださいっ!さらばYS-11』
  10/07-10PARCO劇場
  ☆九州の“かぶりモノ”劇団、東京に初上陸。いきなりパルコ劇場!
   全席指定 ¥4,500
   PARCO劇場=http://www.parco-play.com/web/page/information/gingira/
   ギンギラ太陽'S=http://www.gingira.com/
   イープラス=http://eee.eplus.co.jp/s/gingira/
   ぴあ=http://www.pia.co.jp/column/play/gingira.html


★4.二兎社『歌わせたい男たち』
  10/08-11/13ベニサン・ピット
  ≪東京、長野、滋賀、大阪、岐阜、茨城、神奈川(橋本)、
   愛知、新潟、東京江東区、宮城、神奈川(湘南台)≫
  ☆永井愛さんの新作に戸田恵子さんが出演。
   全席指定 一般5,000円 学割3,000円
   二兎社内=http://www.nitosha.net/stage/index.htm
   イープラス=http://eee.eplus.co.jp/s/nitosha/
   【記事】YOMIURI ONLINE
   http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/stage/theater/20050928et05.htm

  ●お薦めポイント●
   永井愛さんは日本を代表する劇作家・演出家の一人です。
   永井さんの作品に励まされ、考えさせられ、感動してきたこの数年。
   下記、大好きな作品のレビューです。
   『新・明暗』再演
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2004/1025015515.html
   『こんにちは、母さん』再演
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2004/0315215806.html
   『見よ、飛行機の高く飛べるを』再演
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2003/0123231741.html


5.花組芝居『泉鏡花の日本橋』『泉鏡花の草迷宮』
  10/08-20シアタートラム
  ☆泉鏡花の作品を花組芝居が二作品交互上演。
   キャパ300人のシアタートラムで至近距離の豪華絢爛。
   全席指定 一般=前売り5800円/当日6000円
   学生=前売り4800円/当日5000円(平日のみ)他、各種割引あり
   http://www.hanagumi.ne.jp/


6.大人計画・ウーマンリブ『七人の恋人』
  10/15-11/13本多劇場
  ≪東京、大阪≫
  ☆出演=阿部サダヲ/宮藤官九郎/田辺誠一/三宅弘城/ほか
   作・演出=宮藤官九郎 
   クドカンの作品に阿部サダヲが出るなら、私は絶対観たい!
   全席指定 前売¥5,000 当日¥5,300
   ※前売り完売。当日券情報は下記URLへ。
   http://www9.big.or.jp/~otona/page003.html   ※私は11月に観に行きます。


★7.自転車キンクリートSTORE
  『ブラウニング・バージョン(The Browning Version)』
  10/20-30俳優座劇場
  ☆テレンス・ラティガン3作連続公演の第2弾。
   訳・演出=鈴木裕美。出演者も実力派ぞろいで期待できます。
   『ウィンズロウ・ボーイ』の半券で500円引き。未就学児童の入場不可。
   全席指定 一般=5,000円 10/20(木)、10/21(金)は4,000円
   http://www.jitekin.com/
  ※『ウィンズロウ・ボーイ』のレビュー↓
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/0910002224.html


8.青山円形劇場+ゴーチ・ブラザーズ共同プロデュース
  『胎内』10/20-30青山円形劇場
  ☆出演=奥菜恵/長塚圭史/伊達暁 作=三好十郎 演出=鈴木勝秀
   全席指定 前売5,500円 当日5,800円
   若い俳優がチャレンジするには危険すぎる戯曲。だけど敢えて期待。
   http://asagayaspiders.net/modules/tinyd20/
  ※新国立劇場で上演された『胎内』のレビュー↓(ネタバレあり)
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2004/1013015747.html


9.世田谷パブリックシアタープロデュース『偶然の音楽』
  ☆10/31-11/20世田谷パブリックシアター(10/31はプレビュー)
   出演=仲村トオル/小栗旬/ほか 構成・台本・演出=白井晃
   白井晃さんの演出は見逃せません。
   プレビュー=A・ブロック席5,000円/A席5,000円/B席3,500円
   一般=A・ブロック席6,500円/A席6,500円/B席5,000円
   学生(3階)=3,000円 全席指定 ほか各種割引あり。
   http://www.setagaya-ac.or.jp/sept/jouhou/05-2-4-32.html
   ※私は11月に観に行きます。


★10.新国立劇場演劇『屋上庭園/動員挿話』
  10/31-11/16新国立劇場 小劇場
  ☆出演=七瀬なつみ/神野三鈴/小林隆/山路和弘/ほか
   作=岸田國士 演出=宮田慶子〈屋上庭園〉/深津篤史〈動員挿話〉
   岸田國士の短編2作品を実力派俳優が連続上演。
   全席指定4,200円 Z席=1,500円 当日学生券=50%割引
   http://www.nntt.jac.go.jp/season/s274/s274.html


 ★★★―――――――――――――――――――――――――――――― 
  今月はチケット代が高めの作品ばかりのお薦め10本でした。
  3000円台のお薦め作品も特別に3本ご紹介します。
 ――――――――――――――――――――――――――――――★★★ 

 ●アートネットワーク・ジャパン+Ort-d.dプロデュース
  『サーカス物語』10/07-10にしすがも創造舎特設劇場
  ☆作=ミヒャエル・エンデ 演出=倉迫康史(Ort-d.d)
   全席自由・日時指定 一般3,000円 学生2,000円
   こども(3歳以上~小学生)1,000円 親子チケット3,500円 
   その他各種割引あり ※3歳未満のお子様の入場不可。
   http://sozosha.anj.or.jp/topics/200508_01.html

   メルマガ号外を出した『雪の女王』ヒロインの宮光真理子さんが出演!
   ⇒ http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/0821005025.html
   BACK STAGE REPORT→写真・インタビューが充実しています。
   ⇒ http://www.land-navi.com/backstage/report/anj/


 ●シベリア少女鉄道『スラムダンク』
  10/14-20シアターサンモール
  ☆作・演出=土屋亮一
   今回はどんなからくりなんでしょうか(笑)。
   前売¥3000 当日¥3200(選びづらい自由席。整理番号付き)
   ※20(木)15:00の回のみ 前売¥2000 当日¥2200
   http://www.siberia.jp/


 ●ピチチ5(クインテット)『はてしないものがたり』
  10/20-23明石スタジオ
  ☆作・演出=福原充則
   私、大ファンなんです。もー追っかけです。過去作品のレビュー↓
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2003/1025171435.html
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2004/0919021128.html
   全席自由席・日時指定・整理番号付 前売2000円/当日2200円
   ※学生割引1000円 ※大人(35才以上)割引1500円
   http://www.ne.jp/asahi/de/do/pichi.html


+α(私は観に行けないのですが、■お薦めと、その他、▼ダンス公演など)

 ■劇団東京ヴォードヴィルショー『竜馬の妻とその夫と愛人』
  10/13-30紀伊國屋ホール
  ≪東京、ほか多数地域公演あり≫
   作=三谷幸喜 演出=山田和也
   出演=佐藤B作/佐渡稔/あめくみちこ/平田満&山口良一(Wキャスト)
   http://www.vaudeville-show.com/
   2000年のレビューはこちら↓
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2000/1027145510.html


 ▼水と油『Patchworks 2-水と油小作品集-』
  10/07-10三鷹市芸術文化センター 星のホール 
  http://mitaka.jpn.org/calender/star/064.shtml#s3

 ▼イデビアン・クルー『迂回プリーズ』
  10/06-19新宿パークタワーホール
  http://www.idevian.com/

 ▼ソニーミュージックアーティスツ/こどもの城劇場事業本部
  『ROLLY Glory Rolly』10/10-13青山円形劇場
  http://www.ROLLYnet.com/


 ◎しのぶの今月の全予定(28本+α)はSCHEDULEに掲載しています。
  キャスト・スタッフ情報あり!
  http://www.shinobu-review.jp/schedule.html

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 ◆2 【先月のベスト3】
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1.世田谷パブリックシアター製作
  『敦 ―山月記・名人伝―』
  09/06-15(9/3, 4プレビュー)世田谷パブリックシアター
   http://www.setagaya-ac.or.jp/sept/jouhou/05-2-4-21.html
  ☆野村万作さんの“虎”に号泣。野村萬斎さんの演出も美しすぎ。
  *レビューはこちら↓
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/0906235939.html


2.敦(TON)-杏子(ANZU)PRODUCE 
  好色必殺時代劇版ミュージカル
  『URASUJI(裏筋)』09/22-10/02ザ・スズナリ
   http://www.honda-geki.com/suzunari/koen/urasuji.html
  ☆錚々たる顔ぶれの役者さんが、歌って踊っておバカ全開!
   残すは2日間、3ステージです。ぜひ観に行ってください!
  *メルマガ号外はこちら↓
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/0930230336.html


3.自転車キンクリートSTORE
  『ウィンズロウ・ボーイ(The Winslow Boy)』
  09/07-18俳優座劇場
   http://www.jitekin.com/html/kouen-joho.html#01
  ☆大人がじっくり、しっとり味わえる上質で上品なお芝居。
   大切な人と一緒に観て、その感想を話し合えたら幸せだろうな~。
  *レビューはこちら↓
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/0910002224.html


 ◎メルマガのバックナンバーはこちら↓で全て公開中!
  http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000134861
  メルマガ号外は誰が観ても楽しめそうなものを選んで発行しています。
  9月は『URASUJI』のメルマガ号外を発行いたしました。


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 ◆3 【『S高原から』連続公演の締めくくりはオリジナル版で!】
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 メルマガ前号でもご紹介しました、話題の『S高原から』連続上演企画。
 若手演出家4人の4作品をすべて拝見いたしました。
 ひとつの脚本を基にしているのに、全く違う空気と主張を味わい、
 演劇空間の壮大さを体感しました。とても面白い企画でした。
 
 こちらに4つのレビューをまとめました↓
  http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/0927205624.html

 9/30(金)より、原作者である平田オリザさんの演出による、
 オリジナル版が引き続きこまばアゴラ劇場で上演されています。
 見比べるのも楽しいですし、未見の方は話題作に触れるチャンスです!

   青年団『S高原から』
   09/30-10/05こまばアゴラ劇場
   http://www.seinendan.org/jpn/info/index01.html

 ※同じく平田オリザさんの代表作『東京ノート』のソウル版もありますね。

   青年団+劇団PARK 日韓合同公演『ソウルノート』
   10/26-30こまばアゴラ劇場(原題『東京ノート』)
   http://www.komaba-agora.com/line_up/2005_10/seoulnote.html


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 ◆4 【“唐十郎(から・じゅうろう)”作品の連続上演】
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  1960年代から活躍し続けている唐十郎さんの作品が、
  新国立劇場、唐組の紅テント、シアターコクーン等で上演されます。

  【記事】YOMIURI ONLINE 磨きかかる唐ワールド
  http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/stage/theater/20050921et03.htm


 ★新国立劇場演劇『黒いチューリップ』/『盲導犬』交互上演
  09/27-10/09新国立劇場 小劇場
   作・監修=唐十郎 演出=中野敦之
   全席指定3150円 ※前売り完売 Z席(=当日券)1500円 
   http://www.nntt.jac.go.jp/season/s275/s275.html
  ※『黒いチューリップ』のレビューはこちら↓
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/0930000018.html

 ★劇団唐組『カーテン』(「電子城II」より)
   10/08-09, 10/15-16西新宿原っぱ
   ≪西新宿原っぱ、雑司が谷・鬼子母神≫
   作・演出・出演=唐十郎
   全席自由 前売り=3500円 当日=3600円
   ※入場整理券(前売り券と引き換え)及び当日券は
    観劇日の午後1時より受付にて発行。
   http://homepage3.nifty.com/shibai/
   インタビューや稽古場の充実映像あり!
   http://mars.eplus.co.jp/ss/kougyou/syosai.asp?kc=004296&ks=19

 ★MODE+近畿大学演劇・芸能専攻
   『唐版 風の又三郎~近大バージョン』
   10/20-23シアターブラッツ
   作=唐十郎 演出=松本修
   全席自由(整理番号付) 前売り2000円 当日2500円
   http://www.place-net.co.jp

 ★Bumkamura『KARA COMPLEX 「調教師」』
  11/05-20Bunkamuraシアターコクーン
   作=唐十郎 演出=内藤裕敬 主演=椎名桔平
   全席指定 S席¥8500 A席¥6500
   ≪東京、兵庫≫
   椎名桔平さんのコメント映像あり!
   http://eee.eplus.co.jp/s/chokyo/


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 ◆5 【お薦め芝居の前売情報 青年座『パートタイマー・秋子』】
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  永井愛さんが青年座に書き下ろした『パートタイマー・秋子』が
  大阪と東京で再演されます!

  青年座『パートタイマー・秋子』11/15-20本多劇場
  ≪大阪、東京≫
   作=永井愛 演出=黒岩亮
   出演=高畑淳子/山本龍二/横堀悦夫/森塚敏/ほか
   一般5,000円 ゴールデンシート4,000円 ユニバシート3,500円
   チェリーシート2,500円 インターネット割引4,500円
   http://www.seinenza.com/performance/181/

  ★ごく普通のスーパーマーケットを舞台に繰り広げられる
   ごく普通の奥様の悲惨かつ壮絶な日常。
   ご年配の方にも、お若い方にもお薦めできる爆笑コメディーです。

   2003年初演時のレビュー↓
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2003/0611165100.html


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 ◆6 【 ☆お知らせ☆ セミナーにゲスト出演いたします。】
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 ネットワークユニットDuo主催のアーツマネジメントセミナーに
 ゲスト出演いたします。
 人前で、高野しのぶ個人としてお話をするのは初めてです。

   ◎アーツマネジメントセミナーシリーズVol.2
    「10年後、あなたは演劇、続けていますか?」第2弾
    http://www.unit-duo.net/duo_seminar/ams02.html

 ★日本(東京)で活躍している劇団・創作集団の形態や、
  目指す方向の多種多様さについてお話ししたいと思っております。
  演劇の作り手の方も、観客の方も、どうぞお気軽にお越しください♪

 ≪日時≫
   11月6日(日)18:00~21:00
 
 ≪場所≫
   芸能花伝舎(東京・西新宿)
   地図⇒ http://www.geidankyo.or.jp/12kaden/08access/index.html

 ≪受講料≫
   3,000円(受講料は当日お持ち下さい)

 ◎舞台芸術コーディネーターの川南恵さんとの対談形式。
  川南さんはいつも本音トークで、笑みを絶やさない魅力的な方です。
  新国立劇場 演劇研修所の現・教務主任でいらっしゃいます。
  http://www.nntt.jac.go.jp/training/drama/index.html


 ★定員予約制です。先着順で定員になり次第締切られます。
  お申し込みはこちらへ↓
  http://www.unit-duo.net/duo_seminar/mail/index.html

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 ◆7 【編集後記】
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 ◎「しのぶの演劇レビュー」のシステム不具合が解消いたしました♪
  ちょっぴり改良も加えられております♪
  ご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした。
  http://www.shinobu-review.jp/


 ◎季節の変わり目、お約束のように風邪を引きました・・・(涙)。
  最初は胃痛だったので「いつものことかな~」と思っていたら、
  胃→のど→鼻水とキちゃいまして、息苦しい日々でございました。
  熱が出る人は39℃にもなるそうです。皆様どうぞお気をつけくださいね。


 ◎パフォーミング・アーツ・マガジン[バッカス]02号
  私が書いた劇評(Ort-d.d『四谷怪談』について)が掲載されています。  
   http://www.7andy.jp/books/detail?accd=31442121


 ◎「劇場に足を運ぶことが、日本人の習慣になって欲しい」
  それが私の望みです。
  これからもこつこつ、地道に進んで行きたいと思っております。
  皆様、どうぞよろしくお願いいたします♪


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 沢山の人に演劇に触れてもらいたい! ので、クチコミ・転送 大歓迎です♪

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Posted by shinobu at 01:23 | TrackBack