小さな空間で独自のダークな世界を作っているという噂を聞いていたスロウライダー。私は初めて伺いました。
三鷹市芸術文化センターの星のホールは新しくてきれいな劇場で、舞台の間口がとても広い空間です。残念ながらその大きさを味方にはつけられなかったようです。公演は終了していますのでネタバレします。
≪あらすじ≫
男鹿(芦原健介)の家で同人誌研究会のメンバーが合宿を開くことになった。男鹿の家は広い和室が100室以上あるお屋敷。実はまだ増築もしているらしい。
善意の助け合いを促進するためにエーテルという通貨が流通しており、男鹿は近所の主婦の頼みごとを聞いたりしながらエーテルを集めている。いつか貯まったエーテルを報酬として、家の中で働いている浮浪者達に兄(山中隆次郎)を消してもらいたいと思っているからだ。
≪ここまで≫
まずセリフがとても聞こえづらかったですね。早口でもぞもぞしゃべったり、明らかに話をしている人間同士のコミュニケーションがなかったり。いわゆる若手劇団の役者さんだなぁと思って眺めていました。小さな空間だったらもっと味わいは違ったかもしれません。
舞台は前から奥に向かって、ゴミが散在する男鹿の兄の部屋、中央の和室、その奥の和室、中庭という風に空間が4つに区切られています。膨大な数の和室を、中央と奥の2つのの和室だけで表現するのが面白いです。映画『CUBE』みたいだなぁと思いました。
「善行の見返りとして機能する“エーテル”という通貨が流通している世界」というアイデアは凄いなぁと思いました。何をやるにもその見返りにエーテルを求める、つまり無償の愛が消滅した世界でした。「エーテルが欲しいんでしょ?あげるからさ、コレやってよ!」と当然のように勝手な頼みごとをします。これは「金を払ってるんだから、それに見合うものをよこせ!」というのと少し違うんですよね。エーテルはあくまでも「善行」に対して支払われるという前提ですから。「善い行い」という言葉の罠にはまるのって、私達が生きている今の社会でもよくあると思います。
巨大なお屋敷はなぜか増築され続けており、それは兄の命令によるものなのですが、実は兄はすでに殺されてゴキブリになっていて・・・という不可思議な世界が徐々に現れてきます。これもたぶん小さい空間だったらゾクゾクするような恐怖とスリルが生まれていたんじゃないかな。スロウライダーは小さい劇場で上演される時にまた観たいですね。
MITAKA "Next" Selection 6th.
出演=芦原健介/日下部そう(ポかリン記憶舎)/青木宏幸/数間優一/吉田友彰/脇坂圭一郎/木田尊大/梅澤和美(Hula-Hooper)/佐藤真義(タテヨコ企画)/森啓一郎(東京タンバリン)/後藤飛鳥/山中隆次郎
作・演出=山中隆次郎 舞台監督=西廣奏 舞台美術=袴田長武(ハカマ団) 照明=森川敬子 音響=加藤温 衣裳=伊藤梨絵(コブラ会) 小道具=大橋路代(パワープラトン) 舞台監督補佐=田中隆博 演出=谷川純一(カタカナ) 山野井譲 宣伝美術=吉川久河(id production) 仲麻香 WEB運営=栗栖義臣 制作補佐=坂本明 制作=三好佐智子 企画・プロデュース=有限会社quinada 主催=(財)三鷹市芸術文化振興財団
[前売] 会員2,200円 一般2,500円 [当日] 会員2,500円 一般2,800円 高校生以下1,000円(前売・当日共)
劇団=http://www.slowrider.net/
(財)三鷹市芸術文化振興財団=http://mitaka.jpn.org/calender/star/064.shtml#s2
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