いつも凄く計算されたトリックで驚かせてくれるシベリア少女鉄道の第14回公演です。今回のタイトルは『スラムダンク』。だけどチラシに写っているのはハカマ姿の男子たち。キャッチコピーは“重なる想い、駆け巡る青春”“世界の中心で、会いにゆきます。”です。
いやー・・・めちゃくちゃ疲れましたが、終わった時は心から拍手が出来ました。よくこんなことやるなぁって、ちょっぴりあきれつつ、感服です。
すごいレビュー→踊る芝居好きのダメ人間日記 (2005/10/20追記)
ここからネタバレします。これからご覧になる方は絶対に読まないでくださいね。
整理番号付き自由席ということで、開場時間になってからぞろぞろと入場し、好きな席を選んで座りました。劇場の中央がステージ(素舞台)になっていて、2方向から客席で挟む形です。私はいつもは舞台がある側に座りました。前説に土屋亮一さんが出ていらして、なんだか嬉しかった。
複数のエピソードが少しずつ演じられていきます。覚えている限りを書きますと下記↓のような感じ(書きそびれがあるかもしれません)。
・夜の女たちが集まるバー。色男にだまされる女達。口数少ないバーテンダー。
・バーテンダーが思い出す青春時代。それはまるっきり『世界の中心で、愛をさけぶ』の世界。亜紀&朔ちゃん、亜紀の父母、医者などが登場。
・萌え系アイドルの握手会に集まるオタクたち。会場に爆弾をしかけたという脅迫電話があり、警察が動きだす。実はそのアイドルは双子の姉妹で、ときどき姉が妹の替え玉になっている。暇な警備員たちも登場。
・首相官邸。久々の休みにゆっくりする首相とその妻、娘、家政婦。そこに訪れる招かれざる客たち。首相に恨みを持つ輩も登場。
・ネットの力を駆使してテロをたくらむ高校生たち。首相の秘書を誘拐する。
・訓練中の自衛隊。寝坊をして上官に怒られる。
・子供を施設に預けようとしている若いカップルと、施設の理事長や先生、子供たち。
・首相官邸で将棋をするおじさん(このエピソードはよくわかりませんでした)。
いつもは観客が出入りする両側のドアが役者さんの出はけ口になっており、役者さんがどんどこ服を着替えて何役も演じます。それぞれのエピソードが演じられるスペース(舞台中央、入り口の前など)は決まっていて、床に書かれた丸い線と照明で区画分けされています。
それらが徐々に重なり合ってくるのは予想通りでした。例えば藤原幹雄さんの場合、バーテンダーを演じていたら自衛隊エピソードが始まってしまい、衣裳はバーテンダーのまま急いでサングラスだけかけて自衛隊スペースへと移動し、上官の演技をします。次に病院のエピソードが始まったので、あわててちょっと着替えて病人役を演じる・・・など、役者さんが次へ、次へとキャラを変えてシーンに追いついていきます。戸惑ったり、わたわたするのが可笑しいです。
でもそこまでなら別に驚かないんですよ、今までのシベ少でもこういうことはありましたし。でもね、これ以降、まさか落語になるとは・・・!
何役も演じる役者が、自分が演じている2役で電話で会話を始めます。2人のキャラクターを演じながら一人でその会話をするので、必然的に落語のようになるのです。役者さん全員について一人二役のシーンがあり、名前も紹介されます。中央にはちゃんとお座布団も敷かれていてサービス満点(笑)。
そしてさらに次の展開が!落語から、バスケットボールの試合に!!各エピソードの場所が決まっているので、エピソードが変化するのに合わせて役者さんが役を変えつつ舞台上を移動します。その移動と演技とを組み合わせて、まるでコートで試合をしているような動きに見せるのです。もー・・・・お見事ですね。
バスケは4人対5人の試合のようになっていて、4人の方の1人が同点に追いつくかどうかのシュートの間際に、トラベリング(ボールを持って3歩以上歩く違反)をしてしまいます。突然審判役として土屋亮一さんが登場。ピーッと笛を吹きながら両手を胸の前で糸巻きのようにグルグルと回す動作をするのが笑える。そして「トラベリング」から宇多田ひかる の“traveling”へ。曲が流れ出し、試合から徐々にダンスに変化し、セリフがラップになって、終了~・・・・。
それぞれのエピソードは、セリフがバラバラに発せられて落語、バスケ、宇多田と進みながらも、ちゃんと進展していました。おそらく結末まで至ったんだろうなぁと思います。残念ながら追いつけなかったけど。だってあるセリフの直後に発せられるセリフが、前とは違うエピソードのものだったりするので、役者さんは瞬時にキャラや声色を変えるので、展開が早すぎるんですよ(苦笑)。それに声が小さいですしね。私はわかりたくって仕方がなかったから、常に緊張状態でセリフに聞き入りました。わかった時は嬉しいし可笑しいし、わからなくてもバスケの試合が進むのが面白かった(笑)。
とにかく集中し続けましたね。終わった時は疲れきっていたけれど、充実の2時間弱でした(上演時間は未確認)。こんな脚本、書くなんて。そして、実践するなんて・・・想像するだけでゾっとします。凄い。
ただ、好きじゃない人もいるだろうなと思います。だって、そんなに笑えないですしね、ついていくのが精一杯で(笑)。私はこいうアイデアや頑張りが大好きなので、次回も楽しみ!
内田慈(うちだ・ちか)さん。首相官邸で盗聴するヘンな女子大生、首相の娘、首相の秘書、バーであばれる系の女、看護婦、施設のなまりのある先生などを演じていらっしゃいました。 『ニセS高原から』の五反田団バージョンでの男をフリに来た女役でステキだなぁと思っていましたが、今作で色んな役(キャラ)を演じられていて、その魅力を再確認。きれいだし動きも機敏だし、堂々としてらっしゃって目立っていました。次はグリングの『海賊』に出演されます。
※昨日の夜『世界の中心で、愛をさけぶ』を見て本当に良かった!(笑) 神様ありがとうっ。
出演=前畑陽平/藤原幹雄/吉田友則/横溝茂雄/篠塚茜/出来恵美/内田慈/大坂秩加/佐々木幸子(野鳩)/土屋亮一
作・演出=土屋亮一 舞台監督=谷澤拓巳+至福団 音響=中村嘉宏(atSound) 照明=伊藤孝(ART CORE design) 衣装=坂倉香子 小道具=畠山直子 音源製作=霜月若菜 宣伝美術=土屋亮一 撮影協力=冨田中理 票券=西川悦代 制作助手=安元千恵 制作=保坂綾子 製作=高田雅士 企画制作=シベリア少女鉄道 主催=ニッポン放送
前売¥3000 当日¥3200(選びづらい自由席。整理番号付き)●20(木)15:00の回のみ 前売¥2000 当日¥2200
劇団=http://www.siberia.jp/
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