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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2005年12月01日

流山児★事務所『SMOKE~Long Version~』11/26-12/06ザ・スズナリ

 作=ケラリーノ・サンドロヴィッチ、演出=天野天街という夢のような企画です。案の定、前売り券は完売(当日券は販売されています)。
 脚本はラフカット2000で上演された短編『スモーク』(上演時間40分)に加筆したもので、上演時間は1時間50分。ケラさんのワン・シチュエーション・ナンセンス・コメディが、脈絡なしにブっ飛ぶ天野天街ワールドへと変貌していました。

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 《あらすじ》
 フジテレビのドキュメンタリー風恋愛番組の「あいのり」がモチーフになっています。得体の知れぬ南の島。カメラが壊れて撮影が中断しており、ホテルに足止めをくらっている出演者とクルー。「タバコを吸うとつかまりますよ」と強く主張する褐色の肌のホテルマンたちは、日本語がわかるのかわからないのか、行動もいちいち意味不明。ラブワゴンの運転手(栗原茂)がかなり不審な行動をしている。
 《ここまで》

 出演者は流山児★事務所と少年王者舘系列の役者さんなので、レベルが高かったです。ストーリーはありますが、なくてもいいってことで(笑)。私は天街さん独特の演出がいきなりポーンと出てくるだけで楽しかったです。満足です。ただ、意味は不明ですし特に伝えたいこととかテーマがあるわけじゃないので、お好みでない方も多いと思います。
 
 ここからネタバレします。

 いちいち無駄なことが豪華でした。セリフの最中に無意味に歌や踊りが挿入され、それが可笑しくって仕方ないです。私は大好き。舞台は“たばこを吸うと殺されてしまう島”だったのですが、タバコの箱に印刷されている「タバコはあなたの体に害を・・・云々」の注意書きを、歌にするとは・・・!最後にホームページアドレスまで読み上げてましたよね(笑)。 

 運転手(栗原茂)が女性の胸を激しくもみながら苦しげに歌い続けるのは、笑っていいのか怒っていいのか(苦笑)。「“乳房の予感”って何だよ!?」は可笑しかった(言葉間違ってます?)

 ダンスはスーツケースに入って兄について来た小さな妹役の夕沈さんの振付です。少年王者館でもお馴染みのふしぎダンスを、いわゆるドラマ等の普通の演技をされている役者さんが踊るのは新鮮。照明や映像も良かったです。
 ラストは舞台奥に木星が現れました。もちろん脈絡はゼロ。セリフに一度出てきただけです。ハチャメチャな状態が目の前にも、宇宙にもつながって広がっていく・・・と感じて、気分が良くなりました。

 役者さんで好きだったのは、息子を捨てに来た老夫婦の夫役の小熊ヒデジさん。KUDAN project『真夜中の弥次さん喜多さん』でもお馴染みの、あの静かな殺気が健在。白いスーツ姿が上品でした。
 後半に登場した日本語が話せるホテルマン役の男優さんも良かった。お名前わからず残念。
 女優さんは、美人でスタイルの良い方が足をめちゃ露出したり、胸を揉まれたりしていたので気が気じゃなかったです(笑)。不倫をしているテレビスタッフ役の立原麻衣さんと、善行寺(小川輝晃)の亡き妻役の中村榮美子さん。揉む方の栗原茂さんは役得っていうより大変そうな・・・。

 《ポストパフォーマンストーク》
 芸術監督・出演の流山児祥さんと演出の天野天街さん、そしてゲストの篠井英介さんのお三方がざっくばらんにお話してくださいました。ゲストの篠井さんが司会同然にご活躍されて、上品に仕切って締めてくださいました(笑)。

 そのそも10人ぐらいしか登場しない短編だったのに、出演者は32人。ケラさんの加筆でも28人までしか増えなかったそうで(苦笑)、天街さんはキャスティングに一番困ったとおっしゃっていました。役者全員が登場人物全員分のセリフを読んだそうです。それに2週間かかったとか。

 流山児さんの出演シーンは「タバコを吸ったルンペンが殺されてしまう」ぐらいのト書きしかなかったそうで、つまりチェ・ゲバラの顔が描かれた赤いスカーフを背負って、ふらふらと何か叫びながらにこやかに舞台上を歩き回っていたのには、全く演出はついていないそうです(笑)。

 トーク終了後に感じたのは・・・演劇好きの兄さん達が「やりたい!」って思って、やっちゃったってコトかな、と。この完成度ならそういうやんちゃは大歓迎だと思いました。

出演=伊藤弘子/青木砂織/栗原茂/上田和弘/谷宗和/甲津拓平/小林七緒 /里美和彦/冨澤力/平野直美/帆足知子/木暮拓矢/坂本篤篤/立原麻衣/福井健志/堀之内啓太/流山児祥/夕沈(少年王者舘)/中村榮美子(少年王者舘)/小川輝晃/寺十吾(tsumazuki no ishi)/小熊ヒデジ(てんぷくプロ)/さとうこうじ/宮島健/沖田乱/和倉義樹(毛皮族)/水谷ノブ/蒲公仁(個人企画集団ガマ発動期)/眞藤ヒロシ/井村昴/悪源太義平
作・音楽=ケラリーノ・サンドロヴィッチ 演出=天野天街(少年王者舘) 音楽=ケラリーノ・サンドロヴィッチ+本田実 美術=水谷雄司 照明=木曽千倉 音響=島猛 振付=夕沈 映像=浜嶋将裕 舞台監督=小林岳郎 演出補=小林七緒 演出助手=帆足知子・堀之内啓太 宣伝美術=雨堤千砂子 宣伝写真=村田憲治 制作=米山恭子
前売り4000円 当日4500円 学生2500円
公式=http://www.ryuzanji.com/

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Posted by shinobu at 2005年12月01日 15:57 | TrackBack (1)