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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2005年12月15日

TOKYOSCAPE「東京ワークショップ成果発表」12/13森下スタジオ

 TOKYOSCAPEは「東京6劇団、京都へ2005-2006」というキャッチコピーのとおり、東京の小劇場劇団が京都で公演をする企画で、ワークショップやシンポジウムなど多彩な企画が準備されています。
 大好きな劇団が参加しているので、私は来年の夏、京都でTOKYOSCAPE全制覇をたくらんでいます。まずは東京ワークショップの成果発表を拝見しました。入場料500円。
 オーガナイザーの詩森ろばさん(風琴工房)のブログでレポートが読めます。

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 会場は森下スタジオ。 (財)セゾン文化財団が所有する施設です。私は俳優指導者養成ゼミで伺って以来。
 夏井孝裕さん(reset-N)の戯曲「knob」を題材に各クラス15分の発表が5つ。始まる前に演出家からワークショップの内容や作品の意図などの説明がありました。演出家から直接話が聞けたのがすごく面白かったです。

 ★内藤達也クラス(bird's-eye view
 おなじみの“時報”から開幕。バーズっぽい群舞のある集団創作。プロローグとエピローグがあって、ダンスがあって・・・と、作品としてきれいに仕上がっていました。「knob」のセリフは使われていましたが、特に「knob」独特に雰囲気なかったですね。ただ人間の「関係」というのが表されていたかな、と。
 アシスタントの明石修平さんが可愛かった。

 ★長谷基弘クラス(劇団桃唄309)
 リボンで2間×2間の舞台を作り、その中で「knob」を全編上演されました。戯曲解釈をして構造を研究して・・・と非常に論理的に創作されているんですね。見事だなーと眺めていましたが、演出家がおっしゃるとおり、足を一歩踏み出すことも全て段取りとして決まっているので、“ルールどおりに動く俳優”が舞台に居ました。私にはちょっと息苦しかった。でも役者ってそういう職業ですよね。参加者にはすごく勉強になったんじゃないでしょうか。

 ★詩森ろばクラス(風琴工房)
 おそらく2人1組×3だったのかな。私はこのクラスの役者さんの在り方が一番好きでした。一人で劇空間を作り出すことが出来ていたと思います。女優さんが良い!男優さんはもう一歩。それも風琴工房っぽい(笑)。
 手錠と皮ベルトが出てきちゃったのはちょっと明らさますぎましたが、それを使う2人組がかなりイケていたのでOK。体がビク!っとするほどの大きな音で終幕じゃなかったら、なお良かったんですが。あれは不快でした。

 ★明神慈クラス(ポかリン記憶舎)
 「死体の品評会」でした。役者は自分達が作った物語の中の死体になります。観客は舞台に転がった役者(死体)を見て歩いて、「死」「仮死」「眠り」「男優」「女優」の評価をします(死体のそばに紙を置いて歩く)。死体にタイトルもつけていいってことで、かなりはしゃいじゃいました(笑)。私がつけたのは「もう食べられない」「幸せな女」「高校教師」「わたしはカモメ」など。
 明神さんが面白すぎました。役者へのダメ出しは辛らつなほど率直で具体的。だけどウィットに富んでいてエンターテインメントでもありました。

 ★夏井孝裕クラス(reset-N)
 始まる前の夏井さんの言葉にすごく共感しました。「この戯曲はディスコミュニケーションを描いているといわれますが、登場人物はみな本気で気持ちを伝えようとして発言しています。伝わらないだろうとは思っていません。だけど、結果として気持ちがすれ違っていくという・・・」「役者さんには自分の意志で動いて、自分がしゃべっているということをしてもらいたい」など(曖昧ですみません)。

 この解説のおかげで(せいで)、参加者にとっては夏井クラスが一番シビアだった気がします。技術、魅力の差が明らかに出て「役者の品評会」のようになっていました。役者はたった一人のかけがえのない人間として、舞台の上にさらされます。「knob」のテキストは使われていましたが、「knob」の物語よりも「knob」で問っている依存や孤独が、そのまま役者の存在に降りかかってきたようでした。

 《全体の感想》
 ひとつの戯曲を共通素材にしてくださったのが何より嬉しかったですね。劇団のカラーも比較できますし、ひとつの戯曲から自由に広がる発想に感心しました。そして詩森さんが「演劇は人と人とをつなぐ」とおっしゃっていた意味が体感できた気がしました。

 《心に残った役者さん》
 長谷クラスで、最初に部屋を出て行く(自殺する)女の内の1人(下手にはける方)を演じていた女優さんが一番心に残りました。同クラスでマゾのカナ役を演じた水色のセーターの女優さんも良かったな。名前がわからなくて残念。
 華があったのは吉冨亜希子さん。夏井クラスで緑のコートに紫の長いマフラーをお召しでした。詩森クラスで宮嶋美子さん(風琴工房)と絡み合うのがめちゃ色っぽかったです。

入場料500円(全席自由) 開場:開演30分前
TOKYOSCAPE=http://www.tokyoscape.org/

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Posted by shinobu at 2005年12月15日 14:58 | TrackBack (1)