テレンス・ラティガン3作連続公演もとうとう最終バージョンです(第1弾、第2段)。マキノノゾミさん脚本・演出、そして豪華キャスト。休憩15分をはさんで3時間以上の大作でした。2話のオムニバスと言ってもいいでしょう。
イープラスの得チケで一般5,000円が3,000円!役者・坂手洋二を観るっていうだけでもその価値はあるかも。私は坂手さんのファンなので、舞台でセリフをしゃべっている姿を見るだけで興奮気味でした(笑)。
≪あらすじ≫ パンフレットより引用。(役者名)を追加。
支配人ミス・クーパー(久世星佳)が取り仕切る、郊外の小さなホテル。宿泊客の半分はリタイヤ後の人生を静かに過ごす長期滞在者である。
【1幕】冬。飲んだくれのジャーナリスト、ジョン・マルカム(坂手洋二)は他の客から冷ややかな目で見られている。ある日、美しく洗練された女性客シャンクランド夫人(神野三鈴)が訪れる。彼女は明らかに、このホテルには場違いな存在だった。
【2幕】夏。長期滞在者のレイトン-ベル夫人(歌川椎子)は、娘のシビル(山田まりや)と仲の良いポロック少佐(菅原大吉)について書かれた小さな新聞記事を発見する。それは、静かなホテルに波紋を起こすには充分な大きさだった。
≪ここまで≫
やっぱり良い脚本でした・・・優しいお話で、ちょっぴりホロリと来ました。マキノノゾミさんの脚本・演出ですから予想はしていましたが、前2作よりはエンタメ寄りでしたね。だから前までの方が私好み。重厚さが足りないんだな。でも軽やかで良かった、とも言えます。
劇場がスペース・ゼロだったのも残念。今まで俳優座劇場だったからな~・・・。舞台は美術でかっこよく埋まっていましたが、何しろ客席が横に広がっていていてですね、特に私の席は下手寄りすぎて、スピーカーの音が大きすぎるし中央の演技があんまり見えないし。今までよりも舞台が遠く感じちゃいました。ただのわがままなんですけどね。
どうしても前2作と比べてしまうのでこんな感想になりましたけど、この作品だけで考えるなら充分満足でした。
ここからネタバレします。
ホテルのレストランは階段状になっており、舞台奥まで高くその空間を陣取っています。レストランより面側にソファのセットがあり、そこがラウンジ。レストラン自体が前後にスライドしてダイナミックに場面転換します。白いカーテンがかなり天井に近いところに、舞台の周囲をぐるりと囲むように取り付けられています。やわらかいV字に広がって客席の方まで届いてきていますので奥行きを感じましたし、白い布なので照明で色んな表情を見せてくれました。
【1幕】
美貌の衰えと老後が恐ろしくて仕方が無い女と、若い頃はその将来を期待されたのに、一度進路を踏み外してからずるずると日陰者に甘んじている男。2人は結婚していたが、夫が妻に暴力を振るい、離婚。あれから8年経って運命の出会いが訪れた・・・はずでした。
現在の様々な足かせや過去のお荷物を背負っている、大人の恋ですね。でもそれは恋から愛になるという。「貴方と一緒に居たいんだ」という気持ちになれたらいいな。
坂手洋二さん。飲んだくれのジャーナリスト・ジョン役。燐光群の脚本・演出家ですからね・・・私的感情抜きで見られませんでした(苦笑)。かなりかっこ良かったんですが、中盤以降はセリフがおぼつかなくなったり、声が聞こえづらかったりでちょっとハラハラしちゃいました。でも、やっぱりイイ男でした。
神野三鈴さん。モデルの女。美しい・・・・もぉ、ため息モンでした。我を忘れて嗚咽したり、わらをも掴む思いでジョンに告白する姿がか弱くていとおしい。
【2幕】
レイトン-ベル夫人(歌川椎子)が見つけた新聞には、同じホテルに住むポロック少佐(菅原大吉)が映画館で女性にひわいな行為をして警察につかまり、それを認めたという記事が載っていました。
「情のない人だね」というセリフに納得。そう、情がないんですよね。「これは正しい」「これは悪い」って叫んで、何かと裁判にかけるように判断していると。『ウィンズロウ・ボーイ』で描かれた「正義を成すのではなく、正しいことをする」ということにも通じていると思います。
山田まりやさん。シビル役。意外な配役でしたね。全力投球されているのが伝わってきました。色白!足細!
久世星佳さん。支配人役。1幕は損な役回りであまりしっくりこなかったのですが、2幕で本領発揮。でもちょっと四角四面すぎな気もします。
小飯塚貴世江さん(俳優座) 。赤毛のメイド役。ぶっきらぼうで品のない女の子だけど、優しいところがあるんだってことが伝わってきました。演技にキレがあって、よく笑いを生んでくださいました。
出演=久世星佳/神野三鈴/山田まりや/菅原大吉/坂手洋二/歌川椎子/南谷朝子(青年座)/林英世(劇団M.O.P.) /大家仁志(青年座)奥田達士(劇団M.O.P.) /小飯塚貴世江(俳優座) /秋山エリサ/木下智恵(北区つかこうへい劇団)
作=テレンス・ラティガン 訳・演出=マキノノゾミ 舞台美術=奥村泰彦 照明=中川隆一 音響=堀江潤 衣裳=三大寺志保美 ヘアメイク=武井優子 舞台監督=津田光正 演出助手=豊田めぐみ 写真=加藤孝 イラストレーション=進藤恵子 舞台写真=木山晃子 ライター=上野紀子 宣伝美術=鳥井和昌
【全席指定、消費税込】一般=5,000円●12/15(木)、12/16(金)は4,000円
公式=http://www.jitekin.com/html/kouen-joho.html#03
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