Oi-SCALE(オイスケール)は林灰二さんが作・演出などトータルに手がける劇団です。今回は2005年灰色3部作の第3弾(第1弾-B、第1弾-C、第2弾)。ネット心中を扱っており、非情に暗くて静かな作品でした。オイスケールは2002年から拝見していますが、とても洗練されていました。「オイスケールといえばコレだ」というカラーが質の部分でも確立されてきたように思います。
上演時間は2時間20分ぐらいあって少し長すぎましたが、集中して最後まで観られました。
『サイゴ』の世界、または林灰二さんの世界にすっかり取り込まれて、観終わった直後は自分の感想をどう表現していいのかわからない状態に陥りました。「これはお芝居だ」と思えなかったんだと思います。映画のようで、私小説のようで、詩の一節のようで。形式としては間違いなく演劇なのですが。
あらすじは・・・いくら書いても全く体を成さない気がするので、やめておきます。登場するのは、ネットで知り合って集団自殺する若者たち、上京している同郷の友達、両親が亡くなった兄弟、ヤクザになる警察官、とかげになっていくサラリーマンなど。
暗い、暗い舞台でした。照明が終始すごく暗い目なんです。吉祥寺シアターの背の高い空間の底に、何もかもが幻のように現れます。線路の遮断機、病室、森・・・etc. スーツを着たサラリーマンが束になって線路を歩き、通勤電車を表していたのが最高に面白かったです。サッカーボールが上から落ちてきて、森から遮断機のある場所に場面転換した時は鳥肌が立ちました。
林さんの脚本を「ポエティックだ」というような言葉で今まで表してきましたが、もうその言葉も適切でない気がします。心の中の真っ黒な穴に、ポツンと一滴したたり落ちた、悲しみの雫。お馴染みの文字スライドも心地よかったです。
粒ぞろいのキャスティングで演技が上手い役者さんが多く、今までの作品と比べて明らかにクオリティが上がっていました。死をテーマにした暗い作品なのに、全体的にすごく透明感があったのは、演出のせいもあるけれど役者さんに拠るところが大きいのではないかと思います。だから劇団員の役者さんはもっと演技をがんばってもらいたいですね。
佐藤康恵さんが出てらっしゃるのが嬉しかったです。今までに4回(1、2、3、4)舞台で拝見してまして、私は大好きな女優さんなんですよね。オープニングのたった一人での長ゼリフが優しくてきれいでした。
三浦誠己さん。妹のために親を刺殺した男役。凶暴さの中に悲しさがあり、ガツンと落ち着いていた存在感もすごく良かったです。
P-shirtsと林さんが作曲された主題歌がすごく作品と合ってました。CD買えば良かったな~。
次回は6月にシアタートラムでオイスケール初のラブ・ストーリーを披露してくださるそうです。ものすごく楽しみです。
出演=佐藤康恵/星耕介/三浦誠己/あんじ/林灰二/久保田芳之/かあきじいんず/松原正隆/滝沢恵/清水慎太郎/中村太陽/トモヒカン/ヒマラヤ軒/吉河童夢/斎藤岳夫/川崎賢一/高橋唯子/レシャード真す美/門口栄治/坪内悟/前田彩子/加藤芙実子
脚本・演出=林灰二 美術=仁平祐也 照明=中山仁((株)ライトスタッフ) 音響=田島誠治(サウンドギミック) 演出助手=中村太陽 小道具=中島香奈子 衣装助手=森光あき子 宣伝美術・WEB=清水慎太郎 効果音=吉岡大吾 映像・記録=木村樹 ヘアメイク=百合優(TRUE) 音楽=MITSUU(村田充) 楽曲提供=P-shirts(tuba...disk) 制作補助=ぷれいす 制作=高橋唯子・僕AREA←Spectators〔B.A.S.〕 企画・製作=Oi-SCALE
前売3300円 当日3500円(全席指定) 12月16日(金)15:30の回の追加公演決定。この回に限り平日昼公演特別価格2800円
劇団=http://www.oi-scale.com/
『サイゴ』=http://www.oi-scale.com/oiweb/saigo/saigo_if.html
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