2005年06月30日
【キャストオーディション】ラフカット2005
ラフカット2005のキャストオーディション情報です。
詳細はプラチナ・ペーパーズの公式サイトでご覧ください。
★今年の脚本家
中島淳彦さん(劇団道学先生・劇団ハートランド)
樫田正剛さん(劇団方南ぐみ)
桑原裕子さん(KAKUTA)
堤泰之さん(鈴置洋考プロデュース、渡辺正行プロデュースなど)
公演日程=2005年11月23日(祝)~27日(日)
稽古期間=10月中旬より(週3-4日、1日3時間前後)
応募資格=公演に参加できる体力と時間的余裕のある方
〆切り=7月30日(土)必着
THE SHAMPOO HAT『事件』06/28-07/05ザ・スズナリ
THE SHAMPOO HATはKERA・MAP#003『砂の上の植物群』でも異彩を放つ演技をされていた、赤堀雅秋さんが作・演出をされる劇団です。前回の『ゴスペル・トレイン』を見逃して悔しい思いをしましたので、今回は余裕を持って早めに伺いました。
劇団員総出演で客演さんも2人いて、いつもより大人数がザ・スズナリの舞台に並び、装置も予想を超えた広さで驚きました。
上演時間は2時間。少し長い目です。でもラストシーンで身体にビビっと衝撃が走り、長いと感じたことも忘れられました。
≪あらすじ≫
真夏の街。中年女性だけを狙った通り魔殺人が横行している。刑事の高橋(野中孝光)と石井(日比大介)がつかんでいる犯人の手がかりは、現場に残された数本のネジのみ。近辺を聞き込みに回っていると、「もうすぐ大洪水が起きて、人類は滅んでしまう」とおかしなことを言う男・池田(福田暢秀)に行き当たった。池田はさらに「通り魔の犯人を知っている」と言い出して・・・。
刑事、医師、患者、スーパーの店員、無職のごろつきなど、小さな町に暮らす庶民が通り魔事件、およびその犯人を軸につながっていきます。礼儀知らずで、自己中心的な言動や態度が目立つ人物ばかりですが、それゆえの会話の不成立具合が可笑しさになります。生活感や日常の泥臭さがぷんぷんと匂ってくるリアルな演技で、その人物の感情がビタっと身体に染み付いてきて、まるでその人に触れたような気持ちになりました。
全体から伝わってきたのは孤独、でした。誰かに助けてもらいたい、どこかにもっと幸せになれる場所があるはず、などと思っていながら、言葉に出して助けを求めたり、実際に探しに行ったりすることが出来ず、とりあえずあきらめたり、一人でおろおろしている人間たち。それをつなぐのが“母親”であり“くじら”なのかなと思いました。
ここからネタバレします。
通り魔は金物屋の主人で、頭の怪我のために入院している春彦(黒田大輔)でした。池田に大洪水のことを吹き込んだのも春彦で、彼には明らかに妄想癖があり、くじらに尋常ではない憧れを抱いています。
小さい頃から春彦の生来の残虐性に気づいていた兄の夏彦(赤堀雅秋)は、「親父の金物屋を継げばずっとあの暗い空間に閉じこもっていられる」と考えて、春彦に店をまかせて自分はスーパーでバイトをしていたのでした。
しかしながら春彦は店から世界へと飛び出した(そして無差別殺人をしてしまった)。ラストシーンで夏彦はベッドの上の春彦に襲い掛かり、彼の首を絞めます。春彦は必死で抵抗しながら、あるものを発見し、叫びます。「くじら!」と。すると巨大なくじらが・・・!舞台の天井の方を泳いでいるかのように、舞台上の役者の上を黒い影が覆います。登場人物が全員天井を向いて、それぞれにくじらを目つめ、その影を視線で追いかけて、終幕。
舞台装置はワン・シチュエーションではなく、池田のアパート、病室、スーパーの店員用控え室、石井の家、ファミレス(デニーズ)、霊安室という6つの世界が具体的に作られていました。しかしながらそれらを隔てる壁はいっさいないので、役者さんは分かれているはずの空間を自由に横断します。大雨の中、2人の刑事が通り魔犯を捜し歩くシーンは、舞台全体を使っていてダイナミックでドキドキしました。
上手と下手の袖を隠す幕が青いビニールシートだったのがチープで物悲しくて良かったです。
池田役の福田暢秀さんは舞台美術家で、シャンプーハット公演の美術はいつも福田さんの作品です。汚いアパートでテレビを見て独り言を言ったり、泣きながら大洪水の話をしたり、しまいには万引きをしたスーパーの店員の女の子に「一緒に箱舟に乗ろう」と言い寄ってキスしちゃったり、真性のダメ男ぶりが最高に可愛らしかったです。アパートに居る時はずっとパンツ一丁に浮き輪のみというスタイルなんですが、それがスムーズに笑いにつながるのが凄いと思います。
一番不気味だったのは医師の青柳(児玉貴志)です。他の人は起こす行動の原因となるバックグラウンド(トラウマとか)が感じられたんですけど、彼については見つけられませんでした。医師の中でもエリートである外科医だっていうのも、なんか人間の肉の匂いがしそうで怖かったです。
≪東京、大阪≫
作・演出:赤堀雅秋
出演:日比大介 児玉貴志 多門勝 野中孝光 福田暢秀 黒田大輔 滝沢恵 赤堀雅秋 岩堀美紀 大和貴
照明:杉本公亮 音響:田上篤志(atSound) 舞台監督:川上大二郎(MDC) 舞台美術:福田暢秀 舞台製作:F.A.T STUDIO 宣伝美術:斉藤いづみ 宣伝PD:野中孝光 舞台写真:引地信彦 演出助手:岩堀美紀 大和貴 制作助手:相田英子 制作:HOT LIPS 協力:アカプルコ 東京書籍印刷 後援:(株)UZアドベックス 企画製作:THE SHAMPOO HAT
指定席 前売 3,300円 当日 3,500円
自由席 前売 3,000円 当日 3,200円
劇団内:http://www33.ocn.ne.jp/~shampoohat/jiken2.html
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