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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2005年07月04日

東京セレソンDX『夕ーゆうー』06/28-07/10ザ・ポケット

 “切ない夏の風鈴三部作”と銘打った3作品連続公演の第1弾です。
 現在の東京セレソンDX(デラックス)の作・演出を手がけるのははサタケミキオさん。TVドラマ『アタックNo.1』の脚本を書かれている方です。劇場入り口にお花がいっぱい並んでいるはずですね。もちろん上戸彩さんからも届いていましたよ。

 1980年代初頭の長崎。古きよき昭和の日本。舞台は民宿を営んでいる相川家の裏口の方の店先。ビール、缶ジュース、駄菓子などが並んでおり、近所の人々が集まるちょっとした社交の場にもなっている。
 相川家の欣也(飯島ぼぼぼ)、元弥(宅間孝行)、雅弥(猿田モンキー)の男3兄弟は、それぞれが学校で番を張っている(長男はもう卒業しているが)荒くれ者で、3人まとめて通称キングギドラと呼ばれ、恐れられている名物兄弟だ。相川家の隣りに住む夕(阿南敦子)は3人の幼なじみで、ひそかに次男の元弥に心を寄せている。
 夕は、親友の薫(関本なこ)が片思いをしている憲太郎(西村清孝)との仲を取り持とうと、元弥に頼んで憲太郎に相川家に来てもらうことにした。薫にその場で告白をさせようという作戦だ。しかし実は元弥が薫への恋を親友の憲太郎に相談しており、薫の告白をてっきり自分へのものだと勘違いして・・・。

 いや~ん、甘酸っぱい青春の1ページですよね~。そんなエピソードが満・満・満載。おそらく30代から40代の方には懐かしくほほえましい場面が山盛りなのではないでしょうか。私もその範囲に入りますので「そういえば・・・」と思い出すこともしばしば。
 先にご紹介したのは全体のごく一部で、そこから元弥と夕を中心に長崎の人々を描いてきます。期間はおよそ10年ぐらいかな。一人一人のキャラクターもしっかりしていましたし、片思い、三角関係、新しい恋、別れなどの恋愛モノの王道をひた走りつつ、時代の移り変わりやそれによる家族の変化についても、細かいところまでよく行き届いた脚本でした。

 役者さんは個々のキャラクターを際立たせる大げさ目の演技をされていましたが、好感の持てるものでした。でも、頭を叩いたり身体を押したり、暴力が多かったのは私はつらかったです。叩くといってもギャグにちゃんとなるので客席には笑いもたくさん起きてましたけどね。あと、女優さんに色気がないのはこの劇団のカラーなのでしょうか。男優さんは皆さんすごくかっこいいのに、もったいないなーと思いました。

 ラストは泣いているお客さまが多かったですが、私の好みではなかったですね。ギャグについてもそうですが、やっぱりTVっぽいんですよね、全体が。親子がそろって見られる2時間ドラマとかにはぴったりじゃないでしょうか。

 ここからネタバレします。

 本っ当~によく出来た青春ドラマなんですよ。でもね、道学先生『エキスポ』とかもそうですが、喪服で始まるお芝居って私、積極的に苦手なんです。幕開け早々がっかり。そして元弥が死んでしまうラストはもっとがっかりでした。いや、あくまでも私の好みの問題ですからね、必ず泣ける仕組みになっているストーリーっていうのは観客フレンドリーだし、お好きな方が多いと思います。『世界の中心で、愛を叫ぶ』とか『いま、会いにゆきます』とか『四日間の奇蹟』とかもそうですしね。

 この三部作は全て再演です。それぞれにテーマ曲があるそうで、『夕』はオフコースの「言葉にできない」(アルバム『オーヴァー(over)』に収録。明治生命のCMでおなじみ)でした。最近すっかり流行って誰でも口ずさめるようになりましたが、『夕ーゆうー』の初演は2003年ですので、その頃は全くメジャーではなかったそうです。でも“言葉にならない”とうい歌詞の歌が流れる中、ヒロインが「言葉にならない」というセリフを言っちゃうのは・・・苦手です。
 
 高校生だった三男の雅弥だけは東京に出て、浪人していたのに大学には行かずに役者を目指すようになり、27歳になった時にはホストになっていたというのが良かったですね。都会で暮している私にはとても身近でリアルに感じました。
 相川家の3兄弟はみんなカッコ良かったです。三男に勉強を教えるアニメおたくのガリバー(丸山麗)が私のいちおしキャラでした(笑)。

出演=宅間孝行/阿南敦子/西村清孝/杉田吉平/飯島ぼぼぼ/村上和彦/越村友一/松永亜樹/あい/丸山麗/中川優子/高橋亜里沙/関本なこ/高橋千華(アガトリイ)/猿田モンキー
作・演出=サタケミキオ 照明=日高勝彦 舞台監督=松井佐知子 舞台美術=向井登子 音響=飯島弘敬(Acoustic DuB) 宣伝美術=グラフマニア演出助手=「夕」:小渡志乃 「口笛」=水谷かおり 「ぴえろ」=万田ユースケ 制作=碓井夕梨子・村上和彦 協賛=ぼちぼち イイジマルーム
前売3,300円 当日3,500円 セット券あり
東京セレソンDX:http://www.ts-dx.com/

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Posted by shinobu at 21:55 | TrackBack