2005年07月25日
演劇集団壺会『ミモレガールズ』07/22-24シアターブラッツ
壺会は第2回『エトワール探偵団』(2002年観劇ベスト10の衣裳の次点)、第4回『蜜月』を拝見しましたので今回の第7回公演で3度目。衣裳を核として女の子ならではの濃ゆ~い舞台空間を作り出しています。次はどんな趣向かな?と気になる劇団です。
≪あらすじ≫ ※公演は終了してますのでネタバレします。
そこは不気味な地下世界。下着姿の少女らが他愛もない遊びにふけっている。彼女等は通称ミモレガールズ。成人前に知能の低下が始まり、膝が解けていく病を持っているのだ(ミモレ=膝下丈のスカート)。地上では人間の進化とともに子供を生めない女が増え、出産機能を持つ女はなぜかことごとくミモレとなっていた。ミモレたちは地下に自らの住処を求め、もはや人間の子供は地上からやってくる男とミモレの間だけで生まれるようになっている。
ある日地上からミモレではない女・ナルミ(山本真理)が地下世界に連れて来られた。門番(高橋朋子)に何かの間違いだと主張するが聞き入れられず、同じく連れてこられたばかりのミモレのノゾミ(内海詩野)とともに、出口を探そうとするが・・・。
≪ここまで≫
「~ですわ」「~かしら」などの丁寧なお嬢様言葉があふれる脚本と、夢見がちな女の子視点の舞台空間に独特の味わいがある壺会ですが、今回は悲惨な設定で暗いお話でしたね。救いがないわけではないのですが、舞台美術といい衣裳といいアングラ感がひたすら充満していて、おどろおどろしい空気が漂っていました。
そして上演時間が2時間15分というのは長すぎです。『蜜月』でも感じたのですが、1時間30分にまとめられれば、個性が光る、かなり上質な作品になると思います。
終盤のナルミ(山本真理)とツボミ(内海詩野)の語りのシーンでほろりと来た瞬間もあったのですが、もう疲れてしまっていて何に感動したのか忘れちゃいました。設定や感情を説明するセリフの反復が多過ぎます。一度ザックリと作品を削ってみることを試してもらいたいなと思います。
内海詩野さん。今年たった一人のミモレだったツボミ役。美人だしスタイルいいし、声は低くてハスキーで通るし、演技もうまい!笑いについても達者な方だと思います。
高橋朋子さん。門番役。いやー強烈なキワモノでしたね(笑)。観客にグっと迫ってくるのは迫力がありますが、ちょっと息を抜いて観客から何かを受け取る瞬間を作られると、もっと笑いも起こるだろうし、親しみも沸くのではないかと思いました。
チケット:前売2000円 当日2500円
出演=高橋朋子/内海詩野/川島めぐみ/山村亜希/出野明日香/山本真理/吉澤香織
作=高橋朋子 演出=壺会 舞台監督=横川奈保子 美術=柿崎浩司 照明=加藤九美(RISE) 音響=志水れいこ 美術制作=BAT crew 版画=KYO.U チラシデザイン=ミシキカ チケットデザイン=高橋聡子 協力=Y's factory/高津舞台装飾 制作=壺会
演劇集団壺会:http://www1.odn.ne.jp/~cbu24420/
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『イブラヒムおじさんとコーランの花たち』浦井健治さんの回の読者レビュー
『イブラヒムおじさんとコーランの花たち』はフランスでベストセラーになり、2003年に映画化もされた戯曲です。朗読とピアノ&クラリネットの生演奏との上品で優しいコラボレーションでした。 7/31(日)まで博品館劇場で上演中です。イープラスの得チケで6,300円が4,000円!(+手数料300円)※8月には麻美れいさん、11月に高嶋政伸さんの出演が決まっています。詳細はこちら。
浦井健治さんの回をご覧になった方からご感想のメールを頂戴しました。私は三田和代さんの回を拝見したのですが、浦井さんも素晴らしかったそうです。その方に許可をいただき、感想文を掲載させていただきました。浦井さんのすがすがしいお声が聴こえてきそうなステキな感想文です。どうぞ↓こちらをクリックしてお読みください。
*****「イブラヒムおじさんとコーランの花たち」浦井健治さんの回*****
「イブラヒムおじさんとコーランの花たち」のレビューを読んで、
なんだかいてもたってもいられない気分になり、メールを書き始めています。
私は浦井健治さんの回を観てきました。
しのぶさんのレビューを読んだだけでも、素晴らしい舞台だったことがよくわかります。
三田和代さんだったらきっとそうなるだろうなと思っていました。
期待を裏切らない素晴らしい出来だったんですね。さすがです。
でも浦井さんもとてもよかったんですよ。
舞台が進んで行くうちに、モモと浦井さんが完全にオーバーラップして、
まるで思春期の少年がそこにいるような感じでした。
浦井さんがモモで、その隣にイブラヒムおじさんがいるのです。見えないけれど。
正直に言ってしまうと、全然期待していなかったのです。
ミュージカルは大好きなのですが、ミュージカル俳優の演技はどうも。。。
「ミスサイゴン」で井上芳雄さんのファンになったので、
「ラブ・レターズ」を観に行ったのですが、なんだかピンと来ませんでした。
だから、浦井さんの朗読劇と聞いた時点で、観たいような観たくないような、
とても複雑な気持ちだったんです。
でも観に行って本当によかった。
達者な語りではなかったけれど、耳に心地よい声でした。
娼婦がたむろするパラディ通りも、青くないブルー通りも目に浮かびました。
日用品で埋め尽くされたおじさんの店も、灰色のノルマンディーの海も。
浦井さんは淡々と朗読しているのですが、胸をぎゅっとつかまれるのです。
感情があふれないようにしているのに、気持ちは痛いほど伝わってくる。
ノルマンディーのホテルで、糸が切れたように泣きつづけるモモ。
やっと泣けてよかったね、と思いました。
派手さはないけれど、小さな宝石箱のような作品でした。
ときどき思い出しては、ふたを開けてみたくなるような。
とても若いけれど、ハートのある芝居をする人だと思います。
脚本もとてもよかったですね。
浦井さんの回では、引ったくりにあった娼婦を助けるというエピソードで、
ちょっと笑いが起きていました。
「年寄りだった」「30は過ぎている」というあたりで、くすくすっと。
そうです。
その日の観客のほとんどは、モモからみれば年増の娼婦ぐらいの人ばかり。
(私も含めて、です。)
ここの笑いは、浦井さんならではだろうなと思いました。
********ここまで********
浦井さんへのインタビュー記事がこちらで読めます。
実は、メルマガ号外まであと一歩のお薦め公演だったのです。
松村雄基さん、榎木孝明さんの回はどんな雰囲気なんでしょうね。
「LOVE LETTERS」みたいにシリーズ化されるなら・・・北村有起哉さんを希望♪
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