2005年08月25日
ベターポーヅプロデュース・ハンサムユニオン『初々しくエロやかに』08/24-29THEATER/TOPS
ベターポーヅは西島明さんが作・演出される劇団です。西島さんにしか作り出せない不思議世界がTHEATER/TOPSの四角い空間にぽっこりと浮かびます。今回はベタポ・メンバー4人に、5人のハンサムな客演陣を迎えての初のプロデュース公演でした。
超~~~面白かった!!本日は台風ということでかなり空席が目立ちました。もったいないよっ!8/29(月)までやってますのでどうぞお見逃しなく♪ たしかに初々しくって、そしてエロエロだっ(笑)。
≪あらすじ・・・≫
伊集院(田辺茂範)はKISS NOTEを妹(吉原朱美)に託す。それは小学校の友達とまわしていた交換日記。妹は兄の小学校の同窓会に行くが・・・あー・・・・すみません。あんまり、その、覚えてない・・・。
超キュートな衣裳をお召しのハンサムな(ヘアースタイルの)野郎どもが、自意識過剰にキメポーズしながら、とことん自分本位にワケのわからん行動をし続けます。
実はやってることも言ってることもドぎついエロなのに、めちゃキュートなんですぅ。私は苦笑の連続、そして時々うっとり。どこもかしこも恥ずかしくって見てられない!でも見つめずにはいられない(笑)!
いつものベタポは可愛いらしい女の子達がイケない行為を連発し、観客も出演者も頬を染めちゃいながらのアブノーマル・ポエティック・ワールド、といった感じなんですが(何を書いているのやら)、今回はやはり男色(おとこ・しょく)大!イガイガした感じとか、もくもくした感じとか、ありましたね(やっぱり意味不明)。
私のベタポ初体験は2000年の『ノイローゼ・ダンシング』で、その時はこの面白さが全く理解できなかったんです。でも今は完全にハマってます。つまり、人によって好みが分かれる可能性は、確かにあります。でも一度も観たことのない方はこの機会にぜひぜひ♪常連の方は間違いなく面白いのでどうぞお見逃しなく♪♪
ここからネタバレします。
エロとかナンセンスとかばかり強調してしまいましたが、全体は基本的にポエムど真ん中だと思います。たとえば「月光で沐浴」ってポエムですよね。「もくよく」って久しぶりに書いた・・・。
衣裳が素晴らしかったです。色使い、柄使いが絶妙。デザインも9人のバランスが良かったですね。装置とも相性ぴったりでした。髪は全員分のかつらを作られたそうです。男ってヘアスタイルとお洋服でこうも変わるんですね。努力せよ、世のオノコども!(・・・って自分を棚に上げてますが)
横塚進之介さん(サードステージ)。ノゾミ役。上半身裸になって「俺ってイケてるだろ・・・♪」的なキメ笑顔で客席を振り返ったのが凄かったです。なぜか一口大のレタスを胸に置くんですが、それが毛布代わりだったとは驚いたっ(笑)。横塚さんはリアルに美形だから、あそこまで路線をはずされると、妙ちきりんで観てる方の身体がむずむずするんですよぉ。弾けないエレキ・ギターをかきならして意味不明の歌を音痴に叫んだりとか、もう、とにかく素敵でした~♪
いつもは汚れキャラ系が多い(と思われる)顔田顔彦さん(大人計画)も、財団法人ノリオchan(エッヘ)も、本当にキュートでかっこ良くってですねぇ、「うぉっ、これがベタポ・マジックなのね!?」と胸キュン驚嘆でございますよ。
猿飛佐助さん(ベターポーヅ)と山崎和如さん(ベターポーヅ)は、いつもなら大勢の女子の中で目立ってる男子2人っていう存在感だったのですが、今回は普通に男子の中にいる男子だったので、よりその個性が際立ちました。お2人ともやっぱり凄いですわ。光ってる。キャラが立ってる。
佐藤亮介さん(イデビアン・クルー)は、背が高くてヒョロっとした体系で山崎和如さんとのペアが可愛かったです。ダンサーさんですね。最近はダンサーがどんどん演劇に出てる気がするなぁ。
田辺茂範さん(ロリータ男爵)は、細くってなよなよしてて、動きがお人形さんみたいで可愛かったです。ちょっとメイクが濃いかなって思ったのは私だけ? ロリ男でもお馴染みのスレンダーな女装は、なぜかオノ・ヨーコ(笑)。「イマジン」を「いじましい」って言った時はお腹がよじれそうになりました。
紅一点の吉原朱美さん。立派でしたね~。キャラをどんどん変化させて、カチカチッと音が出るんじゃないかと思うぐらいに、きちんと正しくやりきってらっしゃいました。逆上がり装置(?)でパンツをチラチラ見せながら逆上がりして、その運動で発電するんだから、もーたまんない。電子百科事典(Electorical Encyclopedia)ってなんだよっソレ!充電中にページを開いたら中身が破損!?おバカすぎ!!
西島明さん。馬の首を腰につけて登場しましたね。もー・・・「どう、どう」って言いながら馬の首をこするんだもの。あぁもう書けないよ、書けないよ(苦笑)。面白すぎます。退場する時の暗転のタイミングが絶妙でしたね。
Better Pose/Pause Produce Handsome Union Act.1 naive-erotic
出演=横塚進之介(サードステージ)/佐藤亮介(イデビアン・クルー)/森本訓央(エッヘ)/顔田顔彦(大人計画)/田辺茂範(ロリータ男爵)/猿飛佐助(ベターポーヅ)/山崎和如(ベターポーヅ)/吉原朱美(ベターポーヅ)/西島明(ベターポーヅ)
作・演出=西島明 振付=山田うん 舞台監督=上林英昭 照明=大塚之英(ストーリー・レーン) 音響=齋藤貴博(ステージオフィス) 演出部=橋本慶之/金坂友美 演出助手=飯島大(演劇披露ウツボ団) 舞台写真=佐渡谷威昶 スチール写真=島崎陽一郎 衣装=川口知美/中沢匡栄 美術監督・宣伝美術=東大路道恵 イラスト=森田茂喜 小道具=井上真理/辻本直樹/藤原孝子 装置協力=(有)プランニング・アート 制作助手=山崎睦美/藤森みのり/河村育郎(劇団かわいい子) 制作=海月堂(富永恵久子・谷川隆次) 協賛=高原書店/ENBUゼミナール 協力=(有)ハイレグタワー (財)東京都歴史文化財団
前売 3,000円 当日 3,300円(全席指定)
ベターポーヅ:http://www.betapo.com/
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bird's-eye view PLAY FESTIVAL『36000秒』(初日)08/20-28王子小劇場
公演当日の朝9:30の時点から創作をはじめて10時間後に作品を発表、その創作過程もすべて公開する企画です。
fringe blogにも記事をアップしました。fringeのTOPIC(2005/8/22)にも取り上げられていますね。
私が伺ったのは劇作家スペシャルDAYの初日。それがすっごく面白かったので翌日の有名パフォーマーDAYにもお邪魔しました。両日とも本番しか観られなかったのが本当に残念。この企画は朝の9:30からみっちり参加するのが一番楽しめます(断言しちゃう!)。今週末(8/26, 27, 28)もありますので、ぜひぜひ参加しちゃってください!
この企画のまとめはこちら(2005/10/05追記)。
初日の参加者は杉井邦彦さん(ブラジル)、高多康一郎さん(RONNIE ROCKET)、夏井孝裕さん(reset-N)、楢原拓さん(チャリT企画)、西森英行さん(InnocentSphere)、西山聡さん(クロム舎)、ハセガワアユムさん(AAA)、長谷川寧さん(冨士山アネット)の8名。う~んスバラシイ!!このツワモノ面子はbird's-eye view主宰の内藤達也さんの人選だそうです(他の日もすべて)。
ストーリーは「踊る芝居好きのダメ人間日記」にアップされています。そう、さすが作家さんたちということで、あの王子小劇場の空間を「密室」の設定にし、物語として最後に結末をつける所まで描ききったことが凄い。※終演してますので(今後上演も不可能ですし・・・笑)ここからネタバレします。
私は一番はじめの西山聡さんの携帯電話トークと、次に現れたハセガワアユムさんと西山さんとの2人の会話シーンの時点で「これは面白い!!」って思ってしまったんですよ。西山さんは伏線を張ることになるキーワードを無理なく言葉にしていましたし、ハセガワさんは“ナースおたくの若者”というキャラクターを自然に作り上げられていました。
早稲田大学系の楢原拓さんと杉井邦彦さんはやはりエチュードには慣れたもので、本番の舞台上で完全に楽しんでいるご様子でした。杉井さんは夏井さんと西森さんと同じく「最近は舞台に立ってない」メンバーに入っていましたが、そもそも東京オレンジ出身だもの(笑)、即興芝居はお手の物。堂々と仕切ってましたね。
中盤で出演者全員がダンスをするんです。“作家”がダンス!しかもこのメンバー!こんなシーンもう二度と観られないよ!!ってことで私は妙な興奮状態になりました(笑)。きちんと顛末のついたストーリーものであるだけでなく、視覚的に楽しめるシーンが作られていることに感心しました。
スモークがちゃんと焚かれてて黄色い照明がきれいだったな~。それにしてもダンス・タイムのリーダーだった長谷川寧さんのダンスはキレがあって個性的でしたねぇ(笑)。卑猥な発言・行動が多いし客席の女の子を舞台に上げちゃったり、出演者の中で一番冒険(危険?)していましたが、役者さんとして魅力があったので問題にはなりませんでした。
高多康一郎さんは姿を見せずにキャットウォークからマイクでしゃべる内容が面白かった。舞台にいる人たちをいじめるような雰囲気がグッド(笑)。登場シーンもどうやら本番仕様のアドリブだったようで出演者はめちゃ戸惑ってましたねぇ。
西森英行さんは目立たない感じでしたが、実は「目立たない」という存在感は演技がうまいからだったんだと、ダンス・シーンを観てからわかりました。長谷川寧さんのダンスを真似るのですが、その場で本気で真似をしているように見えたんです(実際は「真似をする」という演技だったのですが)。そして言葉にヘンな力が入ってないからセリフがすんなり入ってくるんですよね。
そして夏井孝裕さんはツッコミが絶妙!!言葉選びのセンスも素晴らしいし、間や声の出し方が気持ちいいです。
ラストシーンが美しかった・・・。和菓子(ワカコ)というキャバクラ嬢を取り合っていた男達が、治験という名目で密室に閉じ込められていたという筋書きだったのですが、最後は毒ガスでみな殺されてしまいます。床に転がった死体の間を、帽子を深く被った、おそらく和菓子であろう女がしずかに歩いていく・・・黒幕だった医師の助手(佐藤春平)がつぶやきます、「これでよかったんだよな、和菓子・・・」。テレビのモニターが砂嵐状態でばちばちと光って、白い照明が和菓子と死体を照らす中、音楽が盛り上がって、暗転。かっこよかったよー・・・。
和菓子役は金崎敬江さんでした。もちろん観客として行ったのに突然出演依頼されたそうです(笑)。
結果、1時間強の上演時間は長すぎたし、ダラダラしちゃったところもありました。でも何もないところから10時間で作り上げたんですから、全く不満はありませんでした。「ガンバレー!!」って思いながら観てたし(笑)。
終演後一番に頭に浮かんだのは、スタッフワークのレベルが非常に高いのではないか?ということ。18時過ぎから仕込みが始まって(観客は劇場の外に出ます)、19時30分に開演しますので正味の仕込み時間はおそらく1時間しかないはずです。その間に照明、音響、マイク、小道具(キャットウォークから物が落ちてきました)を本番仕様に準備するんですから、よっぽど作品のことをわかっているスタッフさんでないと無理でしょう。
そうそう、音響の佐藤春平さんはラストに医師の助手役としてマイク語りのみの出演もされてました。照明さんが「フェーダーを持ちながらセリフをしゃべって、自分のセリフ終わりごろから音を上げていく音響オペなんて初めて見た(笑)」とおっしゃっていました(笑)。
終演後5分の休憩をはさんで毎回ポストパフォーマンストークがあるのですが、これがこの企画の目玉でしょう。観客はほぼ全員残っています(これってすごいことですよ)。出演者の生々しい感想でもって上演作品を振り返るのは面白いに決まってますし、創作から観ていた観客にとってはさらに感慨深いものがあるでしょう。朝から観ていたお客様の意見がものすごく貴重で、「○○は残念だった」とか「○○はどういう意図だったんですか?」とか、率直なコミュニケーションが成されるのは感動的。
トークで語られた内容からすると、スムーズに進まなかった原因は「段取りを重視しすぎた」「他の出演者に気を使って余分なことをした」「予想外の事件が起こった」など。ゲネプロができれば解決できたことが多いでしょうが、なにしろ10時間(36000秒)という制限がありますからね。それを出演者も観客も一緒に味わって楽しめて、最後には対話もできるという、新しい演劇体験だと思います。
※出演者による感想が読めます↓
・脚本家・演出家 ブラジリィー・アン・山田の活動日記「汁だし」(2005/8/21)
・そして、今夜もガサガサしてる(2005/8/21)
・プライベートは日の丸(2005/8/20)(2005/8/21)(2005/8/22)
・劇団ポータル系インターネット放送局818STAGE!!内「劇団生活No.00011」(2005/08/23の日記)
※観客から出されたお題は全部で4つ。「恐怖」「キャバクラ」「和菓子」「プラトニック・ラブ」。その全てを盛り込んだストーリーだったんですが、私が出した「プラトニック・ラブ」はどこに反映されていたんだろう・・・キャバクラ嬢とは肉体関係がなかったのかな?最初の方で夏井さんと長谷川さんがじゃれてたのがソレだったのでしょうか(笑)。
・上演期間=8/20(土)~22(月)、26(金)~28(日) ※出演者は日替り。
・当日朝9:30の時点から創作をはじめて10時間後に発表するという企画。
総合監督=内藤達也 照明=榊美香(I's) 音響=佐藤春平 ヨシモトシンヤ(SoundCube) 制作=眞覚香那子 提携=王子小劇場
bird's-eye view:http://www.b-ev.net/
公式ページ=http://www.lucy.ne.jp/~bev/2005_07/36000.htm
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