2005年11月23日
Blue Shuttle Produce・演劇ユニットAxle(アクサル)『BANANA FISH』11/21-27シアター代官山
劇団ひまわり内プロダクションのBlue ShuttleがプロデュースするAxle(アクサル)という男優集団の第5回公演です。
『BANANA FISH』は1985年から1994年まで連載されていた吉田秋生さんの大ヒット少女漫画です。私も洩れずにストリートキッズのアッシュにハマっておりました。
いわゆる芸能プロダクション系の美男子芝居でしたが、いるかHotelの谷省吾さんが参加されていてちょっと意外。劇団☆新感線のタイソン大屋さんもいい役で出演されていました。
そして、予想していたよりも面白かったんです。なにしろ『BANANA FISH』は単行本で19巻もある大作ですからね。「どこの部分を上演するのかな~」と思っていたらなんと全部やりきっていました。約2時間45分(休憩10分を含む)はちょっと長かったですが、最後は大河ドラマを見終わった充実感がありました。
オープニングはベトナム。アッシュの兄のグリフがBANANA FISHのせいで狂乱するシーンです。兵士達がアメリカ民謡(の有名な歌)を歌っていたのですが、思いっきり上手い!めちゃハモってるし、息もあってる!そしてストリートキッズのダウンタウンへと場面が変わる時は、ダンスです。やっぱりお約束ですね、歌とダンス。そしてそのダンスもまた上手い!
長すぎるダンスシーンを観ながら考えました。「きれいな劇場で、歌って踊れる若い美男子俳優が、面白い脚本を使って本気で芝居やるなんて、そりゃ女性にはお得よね」って。終演後のロビーでは物販に役者が出てきてましたしね。歌と踊りとお笑いがあるStudio Lifeってことかな。
ここからネタバレします。
でも、女性ファンサービスを目的としたおちゃらけや物販ネタ、例えばチョコトッピングの納豆をアッシュ役の柄谷吾史さんと英ニ役の斎藤准一郎さんが食べるとか、ファンじゃない人には見苦しい内輪ウケがいっぱいありました。そういう性質の舞台だと思って私は耐えました。
さて肝心の作品についてですが、脚本・構成がよく出来ているなぁと思いました。場面転換が素早くてとてもよかったです。舞台装置の使い方もうまいと思いました。2階部分と舞台奥、黒紗幕を使ったシーンでは、セリフだけでは描けない心の裏側を簡潔に表現できていました。照明も良かったですね。
ショーター(古川貴生)があんなに早く死んでしまったのには驚き。でも最後までやるならしょうがないですよね。
アッシュ(柄谷吾史)が英ニ(斎藤准一郎)に対して心を許していく過程があまり描けてなかった気がします。前半がかなりはしょって走っている感じだったからかもしれません。後半は大勢のキャラクターそれぞれについて想像力が追いついていたので、ちょっとした会話からほんのり現れる心の動きなども楽しめるようになりました。クライマックスの病院炎上はグっと胸に来ましたね。
開演前の館内アナウンスがさっぶ~いものだったのですが、それが幕間にも終幕にも使われてすごくイヤでした。特にラストは、アッシュが静かに息を引き取るシーンなのに「こら、そこの寝てる人!」とアナウンスで呼びかけるんです。興ざめにもほどがありますよね。いわゆる感動的なシーンの直後に意図的にギャグを入れて軽くする演出はよく見られましたが、あそこだけはやって欲しくなかったです。
役者さんとして印象に残ったのは李月龍(ユーシス)役の斎藤洋一郎さんと、ブランカ役の吉谷光太郎さん。吉谷さんは脚本・演出もされています。演技も良かったし殺陣もカッコ良かった。立派だなぁと思いました。
≪大阪、東京≫
出演=柄谷吾史/田中照人/斎藤洋一郎/斎藤准一郎/古川貴生/松木賢三/山本健史/加藤巨樹/田倉伸紘/日ノ西賢一/内藤悠一/梅林亮太/タイソン大屋/谷省吾/吉谷光太郎
原作=吉田秋生「BANANA FISH」(小学館フラワーコミックス) 脚本・演出=吉谷光太郎 監修=BS文芸部 アクションコーディネイト=RESCUERS 振付=江良健二・奥山賀津子 音楽=石田雄一 歌唱指導=伊達響子 美術=西本卓也(GiantGrammy) 照明=浜崎亮(LUPO) 音響=児島塁(Quantum Leap*) 衣裳=松村郁 小道具=日ノ西賢一 舞台監督=石田昌也 アドバイザー/生田朗子 宣伝美術=黒田武志(sandscape) 宣伝写真=伊東俊介 ヘアメイク=芦田歩 制作=瀬戸憲一・大西千保 プロデューサー=砂岡誠 協力=Afro13・いるかHotel・劇団☆新感線・劇団ひまわり 企画・製作=Blue Shuttle 後援=FM802
全席指定4,000円
アクサル=http://www.himawari.net/axle/
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