2005年12月21日
Impasse『あんずとすしお』12/16-25新宿ゴールデン街劇場
Impasse(アンパース)は新谷真弓さんと湯澤幸一郎さんの二人芝居ユニットのようです。天然ロボット『ホルマリンの少女』で共演されています。新宿ゴールデン街劇場に初めて伺ったのですがキャパ最大41名の小さな劇場なんですね。どこから観てもけっこう観やすそう。ただ、この作品については前の方をお薦めします!
5つのお話のオムニバス形式です(内1つは3つに分割)。某日観劇録に「二人芝居の短編7本で綴る、少女への恋と性欲とをメインテーマにした退廃的なオムニバス。」とありますが、まさにその通りですね~。公演タイトルは「安寿と厨子王(あんじゅとずしおう)」から来てるのかな。「山椒大夫」を思い出しました。
息もセンスもばっちり合った、エロティックで退廃的な男女二人芝居でした。描きたい世界に妥協がないのがわかります。終盤はちょっと長いかなぁとも思いましたが、新宿の小さな劇場で贅沢な時間を過ごせました。
ここからネタバレします。
1 歌姫と鍵盤奏者(DIVA with PIANOMAN) 作=湯澤幸一郎
カウンターテナーの湯澤幸一郎さんの美しい歌声で開幕。オーソドックスだけどすごくロマンティックで私は一番好きだったかも。一途に純粋に愛を告白する小男(新谷真弓)と、嬉しさと戸惑いでうち震える歌手(湯澤幸一郎)。アンハッピー・エンディングを匂わせるのもさりげなくてグー。
2、4、6 あんずとすしお 作=新谷真弓
杏子(きょうこ・新谷真弓)はキャバクラ嬢で稼ぎつつ、ロリータ・エロ漫画を書いている甲斐性のない兄の寿史(ひさし・湯澤幸一郎)を養っている。実は彼女は幼い頃から兄のことを愛しているのだ。
現代の報われない恋物語でした。う~ん、いいムードだったな~。湯澤幸一郎さんの引きこもりっぽいひ弱な優男オーラがセクシー!!
杏子の源氏名が“あんず(杏)”で、寿史は卒業アルバムで“寿司(すし?)”と誤植されていたから「あんずとすしお」につながるのも可愛らしい。犬のホームズ等のアニメ映像にしみじみしつつ苦笑。
3 小ニ極道血風録 作=政岡泰志
いきなり動物電気の政岡泰志さんの脚本っていうのが驚き(笑)。8歳で広島のヤクザの組長になった少女(新谷真弓)とその部下(湯澤幸一郎)のお笑い。湯澤さんの七変化が面白すぎ。
5 CANDY MAN 作=湯澤幸一郎
生身の少女人形(新谷真弓)と、それを購入した男(湯澤幸一郎)。『ホルマリンの少女』でも素敵でしたし、やはりこの関係がこのお二人の真骨頂なのかも。エッチだったわ~。
終盤で「歌姫と鍵盤奏者」とお話がつながりました。さらに「あんずとすしお」で兄が描いている漫画はこの「CANDY MAN」なのかも?少女人形はもともとは普通の人間だったというオチになると、官能的な夢がちょっぴり覚めちゃう気がするので、私としてはつながらない方が良かったかも。
7 兄妹島 作=湯澤幸一郎
このタイトルを観た瞬間に夢野久作の「瓶詰の地獄」かと思ったのですが、違ったみたい。
不具(=不能?)の兄(湯澤幸一郎)と客を取らされている妹(新谷真弓)。水揚げされることになった妹は、兄も一緒にと主人に願い出るが、断られて・・・。
海辺に浮かぶ月の印象がじわっと広がり、すごく静かな短編でした。
※Impasse(アンパース)はフランス語で「袋小路」「行き止まり」の意味だそうです(当日パンフレットより)。
出演=新谷真弓/湯澤幸一郎
作=新谷真弓/湯澤幸一郎/政岡泰志(動物電気) 演出=湯澤幸一郎 照明=清水朋久 音響=高塩顕 イラスト=町田ひらく 宣伝美術=湯澤幸一郎 製作=アンパース 制作協力=赤沼かがみ(G-up)
前売3000円 当日3500円
公式=http://www.g-up.info/
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