メルマガでも何度もご紹介させていただいておりました、鈴木聡さん作・演出のラッパ屋の新作です。やっぱり涙ボロボロ~・・・。メルマガ号外を発行いたしました!
2/5(日)までです。チケットぴあでもイープラスでも予定枚数は終了。当日券は毎公演用意されていますが(開演の1時間前より販売開始)、終盤に近づくに従って争奪戦が激しくなるのは必須!『ダークマスター』と同じです!
≪あらすじ≫
舞台は茨城県取手市のとある町の豆腐屋“万年豆腐”。裏には取手市民新聞社があり、記者たちが気軽に出入りしている。店主の西島一朗(おかやまはじめ)は豆腐作りしか能のないほがらかな男だが、最近はキャバクラ通いも趣味になってきた。娘2人は仕事に就いているし、アルバイト(中野順一朗)を雇って仕事も安定しており、豆腐作り以外のことにも興味が出てきたからだ。
ある日、妻の響子(大草理乙子)が話があると言って一朗を呼び出した。取手市をあげてのエコ・プロジェクトに、本格的に参加したいというのだ。彼女もまた“豆腐屋の女房”以外の人生に目を向けたらしい。「あなたが今のままなら離婚も辞さない」という響子の強気の態度に、一朗はグラグラ、おろおろ。そこに飛びついたのが新聞記者の横澤(福本伸一)だった。熟年離婚についての情報がのどから手が出るほど欲しかったのだ。
一朗と響子の記事が新聞に載ると、名を挙げた響子はプロジェクトのリーダーに抜擢される。どんどん活発に、美しくなっていく妻を見ながら、一朗はどうにかして妻を振り向かせたいと思うようになり・・・。
≪ここまで≫
ちょっと笑いが少なめな気がしましたが、それは私が感情移入しすぎたせいかもしれません。いつものラッパ屋の笑いを期待して良いと思います。
ありのままの気持ちを言葉に出したり、本当のことを文章にすることは、小さな頃は簡単にできました。でも大人になって世間を知り、さまざまなことを学び、しがらみにまみれていく内に、利害や損得を考えるようになって、本当のことから遠ざかってしまうことが多くなっていく気がします。
私はこうして観劇感想をインターネットに公開し続けていますが、強く心がけているのは、感じたままを愛情を持って書くということです。この作品は、そんな私の背中を押してくれました。そして私も含め誰もが簡単に陥ってしまう甘い罠について、わかりやすく教えてくれました。
ここからネタバレします。
新聞記者の横澤(福本伸一)と一朗(おかやまはじめ)が組んで、ユウガタナキガエルについての嘘のニュースをつくり出すシーンで、胸が苦しくなって涙が出てきました。
エコ・プロジェクトの本当の目的のさもしさ、そして目的からどんどん外れてエスカレートしていく様は、滑稽を通り越して悲しみに満ちています。
フランス人の女の子の簡潔なセリフが胸に刺さりました。
「It's not journalism. It's advertisement!(それは報道じゃない。広告だ!)」
嘘をつくのは簡単です。でもその嘘から生まれる罪は大きく、罰は決して軽いものではありません。嘘をつくと、自分が汚れる気がします。劇中では一朗がついた嘘で水が汚れ、彼の豆腐が汚れることになりました。
人間は弱いですね。でも、ドロに汚れた水はまた澄んだ水に戻ってくれました。絶望することはないのだと思います。
実の娘(弘中麻紀)に取材を受けて、“あしたのニュース”を夜通し起きて待っている一朗(おかやまはじめ)の背中がかっこ良かったです。オペラ『蝶々夫人』で蝶々さんがピンカートンを寝ずに待ち続けるシーンと重なりました。シチュエーションも意味も違いますけど、その背中に“本当”があるのは同じだと思いました。
≪東京、大阪、北九州≫
出演=おかやまはじめ/木村靖司/福本伸一/弘中麻紀/岩橋道子/大草理乙子/熊川隆一/宇納侑玖/岩本淳/武藤直樹/中野順一朗/ジュリ(客演)
脚本・演出=鈴木聡 舞台美術=キヤマ晃ニ 照明=佐藤公穂 音響=島猛(ステージオフィス) 衣裳=木村猛志(衣匠也) 大道具=夢工房 小道具=高津映画装飾 酒井詠理佳 演出助手=則岡正昭 舞台監督助手=藤林美樹 舞台監督=村岡晋 山本修司 宣伝美術=セリザワ啓ニ 冨宇加淳 印刷=竹内美術印刷 舞台写真撮影=木村洋一 票券=日原国子 制作=早川晃子 制作協力=Me&Herコーポレーション 企画・製作=ラッパ屋
全席指定 前売・当日共4,500円
公式=http://homepage3.nifty.com/rappaya/
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