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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2006年01月19日

ホリプロ/TOKYO FM『クラウディアからの手紙』01/18-02/05世田谷パブリックシアター

 主演の佐々木蔵之介さんをはじめキャストがとても豪華で大規模な公演のようなので、早々と初日のチケットを取っておりました。シベリア抑留などの実話を元にした作品、しかも演出が鐘下辰男さんですから重たい芝居だろうことは予想していました。そして、やっぱり重たかった・・・。
 なんと、作品のモデルとなった蜂谷弥三郎さんとクラウディアさんが、劇場にお見えになっていました!カーテンコールでは舞台上にあがってお話をしてくださって・・・これで泣かない観客はいないですよっ、ホント!
 蜂谷さんは87歳、妻の久子さんは88歳、クラウディアさんは84歳だそうです(チラシより)。

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 ≪作品紹介≫ 公式サイトより引用。(役者名)を追加。くわしい物語はこちら
 「他人の不幸の上に私だけの幸せを築くことはできません。」
 無実の罪でロシアに抑留された1人の男、蜂谷弥三郎(佐々木蔵之介)。
 50年間、夫を信じ待ち続けた妻、久子(高橋惠子)。
 37年間連れ添った夫を祖国に送り返した、もう一人の妻、クラウディア(斉藤由貴)。
 あまりの感動に涙が止まらない…過酷な運命が生んだ「真実の愛」。
 ≪ここまで≫

 ガランとした、黒を基調とした空間。舞台奥には鉄骨が一本、縦に吊り下げられています。役者さんが大きなトンカチで鉄骨を叩いて、カーン!という音を鳴らすのです。サイドカーと理髪店のイス以外はほぼすべて抽象的に表現されます。照明でステージを部分的に照らし、光の当たる場所が変化することで、場面転換したりシーンが作られたりします。全体的に暗く、重たく、緊張感が漂う、鐘下さんならではの雰囲気でした。

 やっぱり「他人の不幸の上に私だけの幸せを築くことはできません。」というクラウディアのセリフは名言です。その高潔な無償の愛が、今の幸せを生んだんですよね。あぁ、ご本人を見てしまったから・・・もう何も言えません。ただただ、尊敬します。見習いたい、なんて言うことすらおこがましい。

 ただ作品としてどうだったかというと・・・妙な感じでした。振付が井手茂太さんってことで、鐘下さんの重厚で陰鬱なムードと合ってないと思いました。そもそも役者さんはダンサーじゃないから踊りは下手ですし。コミカルだったり脱力だったりしても、あまり美しくないのです。
 あと休憩15分を含む3時間は長かったですね。特に最後の演出は・・・意外であると同時にがっかりでもありました。でも、ボロボロ泣いちゃったけど(苦笑)。

 お着物姿の高橋惠子さんが舞台上にいる時間が長く、日本で待っている久子の存在をずっと感じられて良かったです。高橋さん、すごく美しかったです。

 ここからネタバレします。

 とうとう蜂谷(佐々木蔵之介)が久子(高橋惠子)の待つ日本へと帰ったところで、舞台奥の壁が全面スクリーンになり、映像が映し出されました。テレビの映像です。テロップとか出てるし。それは実物の久子さんが、実物の蜂谷さんを駅で迎え、2人が再会し、抱き合うところでした・・・!びっくりしました。最初は、なんじゃそれ!?って思いました。だって今まで芝居で作り上げてきた世界を、テレビの現実で壊しちゃったんですから。
 でも・・・白髪の可愛らしいおばあちゃんになった久子さんと、顔をしわくちゃにして泣く蜂谷さんを見ると、涙が溢れてきて・・・・あぁ、これは実話なんだなって。今、生きている日本人とロシア人の現実なんだなってしっかりと確認できました。戦争がすごく近くなりました。

 不気味で恐ろしげな音楽ばかりがかかっていたのに、ラストだけ妙に感動を誘うイイ音楽だったのも不自然な気がしたんですが、テーマソングなんですね。

≪東京、大阪、愛知、広島、仙台≫
出演=佐々木蔵之介/斉藤由貴/高橋惠子/山西惇/池内万作/村上大樹/久松信美/宮島健/小林勝也/すまけい/植木紀世彦/翁長誠/亀田佳明/斉藤直樹/柴田雄平/土倉有貴/渡部紘士
原作=村尾靖子著 海拓舎刊「クラウディア 奇蹟の愛」から 脚本・演出=鐘下辰男 テーマソング=溝口肇 美術=島次郎 照明=中川隆一 衣裳=小峰リリー 振付=井手茂太 音響=井上正弘 ヘアメイク=佐藤裕子 殺陣=渥美博 演出助手=坂本聖子 舞台監督=小林清隆 主催=ホリプロ/TOKYO FM 共催=世田谷パブリックシアター 特別協力=日本海テレビジョン放送株式会社 企画制作=ホリプロ“ホリプロ 創業45周年記念公演”
S席7,000円 A席5,800円
公式=http://blog.eplus.co.jp/letter/
ぴあ=http://t.pia.co.jp/promo/play/claudia_letter.jsp

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Posted by shinobu at 2006年01月19日 00:03 | TrackBack (0)