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REVIEW

2006年01月20日

JACROW×Rel-ay『マザーテレサを逃がす方法』01/19-22王子小劇場

 Rel-ay(リレイ)の かあきじいんず さんの脚本をJACROW(ジャクロウ)の中村暢明さんが演出する2劇団の合同公演(コラボ企画)です。
 初日・・・っていう感じでしたね。脚本には医学(生物学?)の知識が豊富に盛り込まれており、役者さんのキャラクターもそれぞれに個性があって面白いのですが、スタッフワークがうまくいっていないようで、残念。

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 ≪あらすじ・作品紹介≫ 公式サイトより引用。(役者名)を追加。
 刑事・鬼頭(倉方規安)、鑑識・明神(本郷小次郎)、ハッカー・金子(園田裕樹)の三人は、殺人事件被害者の戸籍を闇で売買する小悪党たち。自分たちの立場を利用して、ちょっと小遣い稼ぎをする……だけのはずだった。一人の女(中村裕美)を仲間に加えた途端、運命の歯車が狂い始める。臓器を狙う借金取り(勢登健雄)に、永遠の愛を誓う産婦人科医(長井教行)、生命を賭けたゲームが始まった。
 裏切りは連鎖し、本能と欲望の渦巻く人間関係が交錯する。そして、19年前と変わらぬ姿の少女が微笑んだ。
 JACROW(ジャクロウ)×Rel-ay(リレイ)コラボ企画でお贈りするお話は、「運命の悪戯」をテーマにしたクライムコメディ。
 ≪ここまで≫

 レイプ、猟奇殺人、ヤクザ、借金取立て、売春、戸籍&臓器売買・・・と、ダークな世界のお話です。こういう犯罪サスペンスものって、たたみかけるように展開してもらいたいんですよね。でも、せっかく盛り上がっても暗転の度にそれが弱まって、シーンごとにブチっと途切れてしまっていました。あと、音楽がすごく疑問でした。なぜあんなに何度も切り替わったのかしら。
 テーマがハードなわりに笑いはそれほどエログロではなく、微笑ましいテイストだったのが良かったです。すっごくキュートでエッチで笑えるシーンがありました。ネタバレするので後ほど。

 舞台はほぼ黒に統一された抽象美術で、警察、喫茶店、ヤクザの事務所、医院、養護施設など場面がよく変わります。形状は三角形。もともと四角い舞台があったとすると、それが斜め半分に切り落とされている状態です。上手側は客席スペースがかなり多い目になっています。舞台は間口が広いけれど、きっと実際は狭いのでしょうね。王子小劇場は天井が高いし、色んな空間になって面白いですよね。今作は劇場がすごく広く感じました。

 ここからネタバレします。

 チラシ画像からも想像がつきますように、クローン人間のお話です。自分と妻・清子(永野麻由美)との愛を永遠に続かせたいという動機から、クローンを生み出し続ける医師(長井教行)がキー・パーソンになっています。
 その医師自身がクローンであったということが悲しいんですよね。そこのドラマをもっと見せて欲しかったです。最後の方に登場した、医師の弟で清子(永野麻由美)の元フィアンセという義人(白石元哉)の存在が、いったい何だったのかが全然わかりませんでした。医師とその妻(のクローン)のエピソードの肉付けだったのでしょうね。

 「1分間太陽を浴びると、人間の遺伝子には9,000箇所(数は曖昧)も傷がつく。だから常に新しい細胞を生み出すことによって、生命は維持される」なんて、知らなかったな~。だからクローン人間は太陽を浴びると死ぬんですね。新しく細胞を生み出す力がないから。
 学術的な知識が基盤になっているだけでも情報としては面白いし、ハッカーの金子(園田裕樹)が作る、役に立たなそうな発明品が大事な場面で大活躍するのも楽しいです。最後にロマンティックなラブシーンまで用意されていて、ちゃんとしてる娯楽作品だと思いました。でも、うまく運んでいない・・・もったいないです。

 みどころはヘルス嬢の海野(田中まこと)と刑事の鬼頭(倉方規安)のイメクラ・プレイでしょう(笑)!シチュエーションが異常に凝っていて、ほぼ劇中劇状態。テレながら爆笑しちゃいました。
 鬼頭(倉方規安)は母親がレイプされて生まれた子供で、しかもその母親が精神異常になって亡くなっています。つらい幼少時代を経験したせいで、女性に対して正常な愛情や性欲が持てないというキャラクターなんですね。
 他の登場人物についてもそういう隠れた要素がもっとあるのではないでしょうか。残念ながら人物についてはあまり深みが感じられなかったです。

 田中まことさん。ヘルス嬢役。かわいーーーっ!!猫耳&しっぽにメガネって誰が考えたんだ!(笑)。ピンクのレースのベビードール風下着とかさ、ヤバイよね(笑)。そういう意味で男性は必見かも♪健康美の可愛さなのでいやらしさがなくてグー。演技も良かったです。
 本郷小次郎さん(ヰタ・マキ)。鑑識官の明神役。パワフルなキャラクターづくりで印象の強い本郷さんですが、今回はグっと抑えた静かな演技でイイ男でした。ラブシーン、いいよね~。金子の試作品“取り返しのつく過ち”スプレーを使う素敵なシーンなので、キスやハグはもっと大胆にやって欲しいと思いました。
 永野麻由美さん(Rel-ay)。清子役。QUEENの替え歌テーブル・セッティングが最高。何だよ、埼玉・彩の国って(笑)。笑顔がまっすぐできれいでした。

 タイトルはいったいどういう意味なのかしら。マザーテレサという単語は出てきたけどよくわからなかったなぁ。

出演=本郷小次郎(ヰタ・マキ)/倉方規安(InnocentSphere)/中村裕美/長井教行(Rel-ay)/永野麻由美(Rel-ay)/桜井昭博(Rel-ay)/勢登健雄(オフィス・ヒューリッド)/高橋今日子/田中まこと/園田裕樹(はらぺこペンギン)/中村暢明(JACROW)/白石元哉(The Beautiful Music)
企画=JACROW × Rel-ay 作=かあきじいんず(Rel-ay) 演出=中村暢明(JACROW) 舞台美術=伊藤秀男 照明=シミズトモヒサ 音響=佐藤春平/筧良太(Sound Cube)  小道具=湯田商店 衣装=中西瑞美 宣伝=美術辻洋(Rel-ay) WEB=秋山龍(Rel-ay) 舞台監督=杉江聡 舞台監督補=村田真紀(グワィニャオン) 演出助手=橋本ユウキ(No Style Points) 記録映像=長谷川靖 制作=黒田朋子(JACROW) 制作補=山本佳津江(Rel-ay)・河口礼志(Rel-ay)・立入梓
前売:2500円 当日:2800円(日時指定・整理番号付・全席自由)
公式=http://jacrow.rel-ay.com/

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Posted by shinobu at 2006年01月20日 12:03 | TrackBack (0)