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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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2006年02月03日

ハイバイ(Hi-Bye)『ヒッキー・カンクーンエンゲキリョウホウ』02/02-05こまばアゴラ劇場

 ハイバイは岩井秀人さんが作・演出する劇団です。信用できる人からのお勧めがあったので伺ったのですが、とても面白かったです。こまばアゴラ劇場のサミットに選ばれてますものね。いやー、小劇場の若手作品のレベルがすごく上がってる気がするな~。

 『ヒッキー・カンクーントルネード』と『ヒッキー・エンゲキリョウホウ』の2本立てになっており、2時間10分の上演時間の間に10分間の休憩が挟まれます。2本はヒッキー(引きこもり)少年のお話でリンクしています。

  トップページに舞台写真がアップされていますね(2006/02/10追記)。追加公演も盛況だったようで(笑)、おめでとうございます。次回公演が決まってないのはすごく残念ですね。小さい劇場でロングランとかいかがでしょうか?
 レビュー⇒デジログからあなろぐ休むに似たり。

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 公演は終了していますのでネタバレします。

 ≪第一部「ヒッキー・カンクーントルネード」あらすじ≫ チラシより引用。
 プロレス大好きの引きこもり(ヒッキー)、森田登美男(餅松亮※ダブルキャスト)。妹の綾(端田新菜)だけが唯一の理解者。心配した母(岩井秀人)が登美雄のためにと、引きこもりカウンセラー「出張お兄さん」(三浦俊輔)を家に招く。が、こいつがとんでもないクセモノ。続いてやってきた「出張お姉さん」の黒木(チャン・リーメイ)はもっとクセモノ。果たして登美雄は外に出ることが出来るのか。
 ≪ここまで≫
 
 10年も家の中に引きこもっている成人男性を抱える、ある一家のお話です。客席対面式のシンプルな舞台での演技合戦でした。

 引きこもりの登美男役の餅松亮さんも、何にでも過剰に適応してしまう「とびこもり」患者役の三浦俊輔さんも、本当にそういう症状の有る人に見えて怖いくらいでした。自分と他者との距離を測れない様子が痛々しく、滑稽に、リアルに舞台上で実現されていました。
 役者さんは皆さんすごく演技が上手いです。妹役を演じられた青年団の端田新菜さんはやっぱり自然で可愛いし、母親役を女装して演じられた作・演出の岩井秀人さんもとても面白かった。

 客席はかなりウケてました。こういう社会問題はデリケートですし、私は可笑しさよりも悲しさ、痛さを強く受け取ったのでそれほど笑いはしなかったですが、一箇所だけめちゃくちゃ可笑しいと思ったところがあります(セリフは完全に正確ではありません)。
 黒木「タオルなしの生活に適応できるかどうかの実験よ」
 とびこもり「びちょびちょだよ」
 タオルがないことに適応するかどうかを実験するなんて、無意味だよ、無意味(笑)!

 「みちのくプロレスが来てるから、私は観に行く!」と言って妹が一人で出て行った後に、登美男が迷いながらも一人で家を出て行くのにはやっぱり感動。もたもたと息切れしながら、ほんの2、3メートルを行ったり来たりするのがけなげで可愛いかったです。

 出張お兄さんと偽って本当はとびこもり(面白い病名だなーっ・笑)患者の役を演じられた三浦俊輔さんは、強烈でしたねー・・・。普通の人の演技はできるのかな?って疑う気持ちが沸いたほどでした(笑)。登美男と一緒にプロレスするシーンは取っ組み合って絡み合って、なんとも言えないねばっこさでしたね(笑)。


 ≪第ニ部「ヒッキー・エンゲキリョウホウ」あらすじ≫ 
 カウンセラー「出張お姉さん」の黒木(チャン・リーメイ)のもとで、患者達は演劇をすることで「社会性」を得る訓練をする。引きこもり(安部康二郎)、歩けない男(宇井晴雄)、とびこもり(浜田信也)と一緒に、登美男(餅松亮)と綾(端田新菜)も演劇をやることになった。
 ≪ここまで≫

 劇中劇構成でした。メタ芝居と呼ばれたりもしますよね。これも“引きこもり”や“とびこもり”という健常者ではない若者を演じきる演技合戦で、見ごたえがありました。

 ただ、こういうメタ芝居はよくある形式だし、私には先が少々見えてしまったので、それほど好きではなかったかな。第一部で充分満足だったので、続編にせず(登美男と綾を出さないで)独立させた方が良かったんじゃないかと思いました。

 オープニングの劇中劇がめちゃくちゃ面白かったですね。意味の分からない歌謡曲のばかばかしい振付を必死で稽古しているのがナンセンスで、それがそのまま劇中劇になっていたのも笑えました。
 後半は車やトランプ、悪魔、お姫様などのへなちょこ衣裳を着てファンタジー演劇をやるのですが、車の中にすっぽり入って天井から顔だけ出てる姿が情けなくて可笑しくて、あの完成度は素晴らしいと思いました。

こまばアゴラ劇場主催「冬のサミット2005」
出演=金子岳憲/餅松亮/チャン・リーメイ(豊原里美改め)/三浦俊輔/蔀守/端田新菜(青年団)/浜田信也(イキウメ)/安部康二郎(幹生)/永井若葉(幹生)/宇井晴雄/岩井秀人(品川カンパニー)
作・演出=岩井秀人 舞台監督=大友圭一郎 音響=スー 照明=長原さや香 制作=島林愛(蜻蛉玉) チラシ絵=漫☆画太郎
前売¥2,500 当日¥2,800 6ステージ
公式=http://www.agora-summit.com/hibye.html
ハイバイ=http://hi-bye.hp.infoseek.co.jp/

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Posted by shinobu at 2006年02月03日 22:25 | TrackBack (0)