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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2006年02月12日

阿佐ヶ谷スパイダース『桜飛沫(さくらしぶき)』02/10-19世田谷パブリックシアター

 長塚圭史さんが作・演出される阿佐ヶ谷スパイダースの新作です。二部構成になっており、上演時間は3時間20分(休憩20分を含む)です。2本立てだと思って観に行くのがいいと思います。前売り券は完売していますが、当日券は数十枚用意されているそうです。私はかなり前方の席で見づらかったので、ちょっと後ろの方がいいと思います。2階席でもいいんじゃないかしら。
 残念ながら私は楽しめなかったですね~・・・客席はかなりウケてましたけどね。
 阿佐ヶ谷スパイダースといえばこちらのレビュー⇒踊る芝居好きのダメ人間日記

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 上演時間は長いですが2本分だと思えば納得はできます。ただ、初日だったからというのもあるでしょうが、二部構成にしたのがうまく作用し、作品としてギュっと集約して感動につながっていたとは言いがたい出来でした。
 長塚作品ならではの残虐趣味と言いますか、相当大胆なホラー・テイスト健在です。第一部についてはエッチさでもR15指定ぐらいかな、と。笑いがいっぱいちりばめられていましたが、私は一箇所ぐらいしか笑えなかったですね。
 最近、自分の好みが明らかに変わってきているのを実感しています。いくら豪華キャストでも、それが作品としてのクオリティの高さにつながっていなければ、特に面白みや嬉しさを感じられなくなってきました。また、ストーリーを伝えるための通り一遍な場面転換や、予想可能なセリフのやりとりが長く続いてしまうと、作品に入って行きづらくなっています。

 ここからネタバレします。

第一部「蟒蛇如」 ※ 「オロチ」ではなく「うわばみのごとく」らしいです(2006/02/14追記)。
≪あらすじ≫ イープラスより引用。
 沼ばかりの貧しい村。村を仕切る郷地壱之佑(市川しんぺー)とその兄弟。郷地兄弟は村を貧しさから救うため三人っ子政策を打ち出して、それ以上の子供を作れば重罪とした。流れで医者のようなことをしている徳市(橋本じゅん)は、この村の助産婦のタネ(水野美紀)と共に村人たちに避妊の知識を広げながら生活していた。そこへ賞金稼ぎの新兵衛(伊達暁)が現れる。新兵衛は剣士としての徳市を探し訊ねて、ある悪人の首を取りにいかないかと誘い込むのだが、遠い昔に剣を置いた徳市はきっぱりと断るのだった。そんな折、四人目の子供が出来てしまった村人が徳市とタネの元に相談に来る。また同じ頃、村に女郎崩れの身重の女ヤマコ(猫背椿)も運び込まれて……。
≪ここまで≫

 悪者の郷地兄弟は、企画・製作のゴーチ・ブラザーズから来てるんだろうなと思って、ちょっと可笑しかったです。
 役者さんでは主役の橋本じゅんさんと川原正嗣さんがかっこ良かったです。猫背椿さんも好きでした。


第二部「桜飛沫」
≪あらすじ≫ イープラスより引用。
 かつては賑わった宿場町。今ではすっかり寂れてしまっている。お尋ね者の佐久間(山本亨)が身を隠すにはうってつけの場所であった。この町に嫌気がさしていた若い娘マルセ(真木よう子)は余所者の佐久間に興味を抱き、自分の宿場に招き入れる。そこにはマルセの姉である頭の弱いグズ(峯村リエ)と、その夫である岡っ引きの蛭間(中山祐一朗)が住んでいた。佐久間が吐き気をもよおすほど、日々ドメスティック・バイオレンスの限りを尽くす蛭間は、町の元締め市川左京(山内圭哉)のイヌだった。その左京が流れ侍の佐久間の首に多額の賞金が掛かっていることを知り、ぬめぬめと動き出す。そんな中、佐久間はグズの不思議な人柄に興味を抱き始めて……。
≪ここまで≫

 佐久間(山本亨)が何度も同じ宿場に戻ってきてしまうのは、桜の魔力のせいなのだということを、もっとはっきりわかる演出にした方が良かったのではないでしょうか。第一部ではヘビ、第二部では桜によって、人知を超えた存在の大きな力を表していたのだと思います。
 ラストの2人の対決はかっこ良かったです。こういう時に、やっぱり上手い役者さんはいいなと思います。

 真木よう子さんがずっと着物姿だったのがちょっと残念。やっぱり超グッド・スタイルが見られる衣裳で出て来て欲しかったな~(笑)。

≪東京、新潟、大阪≫
出演=山本亨/橋本じゅん/水野美紀/峯村リエ/山内圭哉/猫背椿/市川しんぺー/真木よう子/吉本菜穂子/富岡晃一郎/川原正嗣/前田悟/横山一敏/大林勝/中山祐一朗/伊達暁/長塚圭史/下村はるか/高橋大輔/津江健太/福澤諭志
作・演出=長塚圭史 美術=加藤ちか 照明=佐藤啓 音響=加藤温(サウンドバスターズ)/山本能久(SEシステム)/大木裕介(サウンドバスターズ)/藤森直樹(サウンドバスターズ) 衣裳=三大寺志保美 ヘアメイク=河村陽子(DaB) 殺陣指導=田尻茂一(アクションクラブ)/川原正嗣(アクションクラブ)/前田悟(アクションクラブ) 舞台監督=福澤諭志+至福団 題字=森大衛 映像=上田大樹(iNSTANT WiFE)/冨田中理 小道具=高橋岳蔵 装飾=高津舞台装飾 大道具=唐崎修(Smile Stage) 宣伝美術=Coa Graphics 舞台写真=HARU Web=山川裕康/新藤健/佐々木康志 広報=吉田由紀子 票券=西村悦代 稽古場進行=辻未央 制作=伊藤達哉 製作=阿佐ヶ谷スパイダース 主催=阿佐ヶ谷スパイダース/ゴーチ・ブラザーズ/TOKYO FM 共催=世田谷パブリックシアター 助成=芸術文化振興基金 企画・製作=ゴーチ・ブラザーズ
前売り発売日:2005年12月17日 S席6,300円 A席5,500円(全席指定・税込) 全16ステージ 休演日=2/13
公式=http://asagayaspiders.net/
イープラス内=http://eee.eplus.co.jp/theatrix/special/sakurashibuki.html

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Posted by shinobu at 2006年02月12日 10:44 | TrackBack (0)