川村毅さん作・演出で、江守徹さんと手塚とおるさんが出演されています。シリーズものの第2弾なんですね。第1弾の『クリオネ』は未見です。公式サイトにレポートがアップされています⇒プレビュー、初日
≪あらすじ≫ 劇場サイトより引用。(役者名)を追加。
人付き合いが嫌いなペットショップの主人(江守徹)は、店のフクロウに話し掛ける変わり者。ある日店の上の階に、やはり人付き合いの苦手な中年男(手塚とおる)と若い妻(高橋かおり)が越して来て……。
≪ここまで≫
灰色を基調としたアパートのような建物に、黒い衣裳の登場人物が行き交います。どんよりと重くて暗いイメージです。
前半の江守さんと手塚さんの軽~いやりとりは楽しかったですね。でも後半から一気に不穏な空気が流れ始めます。なんだか不自然な感じがしました。作品意図として最初からあんな雰囲気にしようとしていたのかしら。
意味深な会話や動きがぽとり、ぽとりとあるのですが、ギュっと集約する瞬間があまりなく、一体どんな空気を作りたいのか、何を伝えたいのかが漠然としたままでわからずじまいでした。不快感は感じなかったですが、お話に入り込むことはできなかったですね。結末も「あれ、これで終わっちゃうの?」という感じであっけなかったです。
ここからネタバレします。
ペットショップの主人は25年前に長男を殺されています。犯人は長男と同じく当時15歳~17歳の少年達で、民事裁判などの激務から夫婦ともども疲弊してしまい、家庭が崩壊してしまったのです。どうやら上の階に越してきた中年男がその犯人の内の一人であるらしいことに気づき、主人の胸の中に再び「犯人に謝罪をさせたい」「長男の敵を取りたい」という気持ちが沸いてきます。
子供を殺されて人生をめちゃくちゃにされてしまったペットショップの主人も、少年の頃に殺人の罪を犯してしまった中年男も、出口のない闇の中を生きるしかない・・・というのがタイトルの「フクロウ」とつながっているのでしょうね。というか、フクロウから連想してこのお話を書かれたのかもしれませんが。
ストーリーにも演出にも一本通った筋道が感じられませんでした。突然大音量でかかるクラシック音楽も、なんだかフィットしてなかったですね。
中年男は犯人ではなく、その妻(高橋かおり)が犯人の妹だったということがわかります。被害者、加害者だけでなく、その家族もいやおうなしに闇の中を生きなければならくなるんですね。こういうことって小さい時から知っておくべきだなと思いました。
江守徹さんはポツリと言葉を漏らすのがとても可愛らしいし面白かったのですが、大きくあばれたり、激昂する演技は信憑性に欠けました。
手塚とおるさんはにっこりと笑うのが不気味だったり、大きな声で怒ったりするのがかっこ良かったり、いつもどおり魅力的です。でも、グっとは来なかったですね。
ペットショップの主人の息子役の笠木誠さんの柔軟な佇まいが良かったです。『見よ、飛行機の・・・』の先生役と、『サーカス物語』の大蜘蛛役も印象に残っています。
ティーファクトリー/世田谷パブリックシアター提携公演
出演:手塚とおる/高橋かおり/飯尾和樹(ずん)/伊澤勉/笠木誠/江守徹
作・演出=川村毅 美術=島次郎 照明=キムヨンス 音響=原島正治 衣裳=伊藤かよみ 演出助手=小松主税 舞台監督=村田明 宣伝美術=マッチアンドカンパニー 制作=平井佳子(T factory)/松井憲太郎(世田谷パブリックシアター)
一般¥5000 プレビュー公演¥4000 学生割引¥3500 前売り開始12月4日(日) 16ステージ(内プレビュー公演は1ステージ)
公式=http://www1.odn.ne.jp/info/t_factory/
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