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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2006年03月31日

≪新聞・雑誌等≫

 新聞や雑誌などの紙媒体やインターネット上に、当サイトおよび私が書いた文章・記事等が掲載された際の記録を追加していくページです。
 お仕事のお問い合わせなどはお気軽にメールいただければ嬉しいです→shinobu(アットマーク)mtr-standard.co.jp 。演劇公演のパンフレットに文章を書いたりもしています。

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■新聞
 2006年1月より邦画DVDの紹介記事を書いています。
 【1月】「NANA」「タッチ」「運命じゃない人」「サマータイムマシン・ブルース
 【2月】「七人の弔い」「蝉しぐれ」「いつか読書する日」「スクラップ・ヘブン
 【3月】「リンダ リンダ リンダ」「逆境ナイン」「まだまだあぶない刑事」「メゾン・ド・ヒミコ
 【4月】「空中庭園」「ALWAYS 三丁目の夕日」「あらしのよるに」「あおげば尊し」
 【5月】「博士の愛した数式」「サヨナラCOLOR」「大停電の夜に」「カーテンコール」
 【6月】「THE有頂天ホテル」「愛してよ」「エリ・エリ・レマ・サバクタニ」「福耳
 【7月】「男たちの大和/YAMATO」「単騎、千里を走る。」「シムソンズ」「立喰師列伝」
 【8月】「県庁の星」「埋もれ木」「明日の記憶」「かもめ食堂
 【9月】「おいしい殺し方」「間宮兄弟」「陽気なギャングが地球を回す」「雪に願うこと
 【10月】「映画 クレヨンしんちゃん 伝説を呼ぶ踊れ!アミーゴ!」「嫌われ松子の一生」「佐賀のがばいばあちゃん」「花よりもなほ
 【11月】「ハチミツとクローバー」「タイヨウのうた」「ラブ☆コン」「バルトの楽園
 【12月】「やわらかい生活」「笑う大天使(ミカエル)」「ゆれる」「トリック-劇場版2-

■雑誌
 Bacchus(2004Winter)⇒劇評(Ort-d.d『四谷怪談』について)が掲載されています。
 シアターガイド2006年3月号
 シアターガイド2006年4月号

■演劇パンフレット
 Oi-SCALE/僕AREA←Spectators[B.A.S.]プロデュース『ヒミズ』公演のパンフレットに寄稿しました。

fringe blog
 「しのぶの東京晴れ舞台」というカテゴリーに執筆しています。

□メルマガ 週刊「マガジン・ワンダーランド」に寄稿

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Posted by shinobu at 23:59 | TrackBack

2006年03月26日

少年社中『光の帝国』03/24-28青山円形劇場

 廃墟に眠る少年の夢シリーズ第2弾ということで、第1弾の『リドル』に引き続き拝見してまいりました。チラシを横に並べると、イラストがちゃんとつながってる!第3段まであるシリーズですから次がどんな風になるのか楽しみですね。
 豪華な照明、舞台装置、そして役者さんのハッスル演技で大賑わいな円形劇場でした。今日のマチネは満員で、当日券のお客様は数人お帰りいただいたそうです。

 レビュー⇒踊る芝居好きのダメ人間日記

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 ≪あらすじ≫ 公式サイトより引用。改行は一部削除。
 捕まえられるもんなら。やってみな!
 21世紀後半、廃墟となった東京上空には空中都市「光之帝國」(中国領)が浮かんでいた。
 その街で日夜繰り広げられる『かくれんぼ』。
 かくれんぼチャンピオン「雲載鷹(クラウド)」は、
 4年にたった一度だけ開催される『かくれんぼグランプリ』に向けて今日も特訓に励んでいた。
 そんなある日、なぞの美少女「胡蝶(パピコ)」が現れる。
 パピコは夢に出てきた少年に逢うために、時空を越えて未来からやって来たのだという。
 そんな中、未来から来た最強の挑戦者がクラウドの前に立ちふさがる…。
 彼は、右手に最強の矛、左手に最強の盾を持つ盲目の騎士。
 その名も「蛇王(スネーキング)」。
 クラウドとスネーキングの未来と己の尊厳をかけた「かくれんぼ」が今、始まる!
 ≪ここまで≫

 前作同様、照明、音響、ステージングが大迫力でした。踊る芝居好きのダメ人間日記にも書かれていますように今回は美術の高さがあって、役者さんが走る走る!飛ぶ飛ぶ!青山円形劇場を狭いと感じるほどでした。『リドル』よりも数段レベルアップされていますね。少年社中といえばコレ!というのが前面にグイっと出ていたように思います。
 ストーリーはタイムトラベルものだったようですが、私はついていけず・・・なんだかわからないまま最後まで・・・・無念。

 おそらくヴィジュアル面や音楽的に派手なシーンに気を取られて、「すごーい」とか思っている内にセリフを聞き逃していたようです。それは役者さんのセリフが聞こえづらい(どなり声が多いので)のも原因だと思います。また、そういう派手なシーンが多すぎる気もします。もっと見せ場を絞って、良いところはもったいぶってもいいのではないのでしょうか。音楽もシーンにぴったり合っているのですが、種類も量も多すぎる気がします。つまりサービス過剰なんじゃないかな、と。
 私は少年社中ではアクション重視の作品よりストーリーやドラマ重視の作品の方が好きなので、好みの差が出ただけかもしれません。

 イントレから飛び降りたり細い階段を駆け上ったり、アクション満載でドキドキしました。イントレは2つありましたが、ハシゴを登るタイプのイントレには下からだけじゃなくて上(2階?)から飛び乗ったりしていましたよね。怪我されませんように~っ!

出演=井俣太良/大竹えり/田辺幸太郎/堀池直毅/森大/廿浦裕介/加藤良子/長谷川太郎/杉山未央/小松愛/山川ありそ/末冨綾
ゲスト=なすび(ワタナベエンターテイメント)/富永研司(ジャパンアクションエンタープライズ)/山岸拓生(拙者ムニエル)/加藤敦(ホチキス)/小笹将継(BQMAP)/鈴木麻美(北京蝶々)/越智美由希(Swanky Rider)
作・演出=毛利亘宏 照明=斎藤真一郎(A.P.S.) 音楽=YODA Kenichi 衣装=村瀬夏夜 舞台監督=杣谷昌洋 舞台美術=秋山光洋 演出助手=井上淳 音響/PA=佐藤春平(Sound Cube) ヘアメイク=沖島美雪 小道具=和田由里子 振付=右近貴子・杉山未央 スチール=金丸圭 公演記録=カラーズイマジネーション イラスト=井俣太良 宣伝美術=武田和香・真野明日人 WEB=田中祐子 企画協力=佐藤春平 制作=吉野礼・加藤妙子 製作=少年社中 the entertainment prison サイキックエイト 提携=こどもの城 青山円形劇場 協力=にしすがも創造舎(豊島区文化芸術創造支援事業)提携=こどもの城青山円形劇場
前売開始:2月18日(土)7ステージ前売:3,000円(指定席)当日:3,300円(開演の1時間前から受付にて販売)
少年社中=http://www.shachu.com/

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Posted by shinobu at 23:20 | TrackBack

Rel-ay,コントライブ『れぺとわ 其の一』3/26 新宿NAKED LOFT

 Rel-ay(リレイ)はかあきじいんず さんが作・演出するユニットです。
 関係者として観に行きましたのでレビューは控えます。次回は5/20(土)開催予定。

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出演=永野麻由美/長井教行/桜井昭博/かあきじいんず/武井ゆき(声の出演)
脚本=かあきじいんず 構成=Rel-ay 音響=秋山龍 制作=河口礼志
15:00/19:30の2回公演。各回50名様限定。予約1,500円 (+1drinkから)当日 2,000円 (+1drinkから)※1drink=500円
公式=http://www.rel-ay.com/

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Posted by shinobu at 23:09 | TrackBack

スロウライダー『トカゲを釣る』03/24-04/02こまばアゴラ劇場

 山中隆次郎さんが作・演出・出演されるスロウライダーを拝見するのは、『むこう岸はエーテルの国』(←WOWOWブロードバンドで全編配信中)に続いて2度目です。今回の方がずっとずっと面白かったです。やっぱり小さな空間がいいですね。
 “スロウライダーっぽさ”というのがしっかりと確立されつつある劇団なんですね。好みははっきりと分かれると思いますが、私にはその独特の、冷静でおどろおどろしい世界観がクセになりそうな気配(笑)。上演時間は1時間30分というアナウンスでしたが、最後の30分の静かな盛り上がりが凄かったです。
 ロングラン公演が開幕したばかりで席に余裕がありましたが、全席自由でイス席ではなく座布団席ですので、早めにご覧になった方がゆったりと楽しめるのではないでしょうか。

 BACK STAGEに充実のインタビューと稽古レポートあり!
 ※レビューを最後までアップしました(2006/03/27)。

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 幕開けから大胆に意表をつかれ、1時間ぐらい経過するまで手探り状態でした。「いったいココはどこ?」「彼らはなぜココに居るの?」「カギュウ?トカゲ?何なんだソレ?」という疑問だらけの状態のまま放っておかれます。やがて会話の中からポロリとこぼれる言葉によって、少~しずつ背景が見えてくるのですが、それがすごく不親切(笑)!例えば大事なキーワードを一度しか言わないので、気づかなければそのまま終演してしまいます。でも・・・・ちょっと快感でもあるんですよね(笑)。描かれる世界の謎やお芝居の構造を、観客が自力で解き明かしていく楽しみがあるのです。

 推理するのがお好きな方は、ぜひ知識ゼロで飛び込んでください。あらすじ↓から既にネタバレすることになります。

 ≪あらすじ≫
 木造の古い建物。何かの施設らしい。そこで自給自足して暮らす男たちは、蝸牛(かぎゅう)という動物を1人につき1匹ずつ与えられる。蝸牛の面倒は1階の飼育小屋で飼育係(佐藤真義)が見ている。また、男たちは各自の部屋の中でトカゲを飼っており、日々感じたことをトカゲに告解することが義務付けられている。
 ある日、赤名(日下部そう)の部屋に昔の友人の川端(青木宏幸)が訪ねてきた。
 ≪ここまで≫

 舞台は木造のアパートのような建物で、2階部分(作品中では3階か4階?)までしっかり作られています。赤名の部屋がステージ前面に大きく開かれていて、その奥に渡り廊下のような空間があります。どう説明していいのやら・・・ものすごくヘンなつくりです。
 部外者の川端が赤名の部屋に泊まるので、彼の視点から施設内の様子が徐々に明らかになっていきます。

 住人が飼っている蝸牛とは、カタツムリのことです。想像してみて下さい、すごく大きなカタツムリを。体表は粘膜なので、ネバネバのスライムのような緑色の体液が常に分泌されており、体中にべっとりへばりついています。「ずぬを゛おおおおお~」みたいな不気味な声で鳴き、動く度にズルズル、ズルズルと床を擦る音がします。他にもゾっとするような特徴があります。共食いします。手足を食べられちゃっても生き続けるし、トカゲみたいに尻尾を切って逃げることができます。仲間の身体に卵を産み付けます。産み付けられた方は、身体が乾いて卵みたいになって、新しい命はその身体を食べ、最終的には食い破って生まれてきます。で、体液は引火するから危ないんですって。・・・もー気持ちも気分も、悪いことこの上ない動物ですよね(苦笑)。いくら架空でもそこまでマイナス面をあげつらわなくても・・・と思いつつ、ここまで酷いと笑えました(笑)。蝸牛もトカゲも登場しませんが、ものすごい存在感です。

 その蝸牛とトカゲとが深層心理で(?)つながっていて、トカゲの状態が蝸牛の行動に表れます。トカゲには住人たちが各々告解をしていますので、蝸牛の行動はつまり飼い主の欲望の表れであるということになります。奇想天外な設定ですよね。「いったい何のためにこういう設定なんだろう?」と1時間ぐらい悩みっぱなしでした。でも、住人達がなぜその施設にいて、そこから出ようとしないのかが徐々にわかっていくにつれて、私はありえない状況の中に自分からどっぷりはまり込んでいきました。

 住人は交通事故を起こして被害者を事故死させていたり(中尾)、殺人を犯していたり(川端&赤名)、社会で生きていくことができない(と思っている)人たちでした。姿を見せない“マザー”と呼ばれる経営者(?)に支配され、まずいご飯を食べながら、農作業をしてストイックに暮らしています。そして不満や悪口をトカゲにむかって思う存分吐き出すことで、精神のバランスを保っているのです。どうやらトカゲは人間の露骨なマイナス感情を食べて生きているらしく(?)、住人に「もっと告解しろ!」と催促もします。そして人間⇒トカゲ⇒蝸牛という順にその感情が伝わっていき、人間の悪意が伝わった蝸牛同士がぶつかり合います。そしてある蝸牛が死んだら、その飼い主の住人が飛び降り自殺をする・・・。こうやってぐるりと悪意がめぐってつながっているんですね。そして人間がトカゲを飼っているのではなく、トカゲに人間が飼われている構図が見えてきます。

 で、結局最後は赤名が自分の蝸牛を焼き殺して施設から脱出するわけですが、意味とかは全然わかりませんでした。でもなぜか、不可解なまま、不愉快なまま、私は興奮しましたね。

 オープニングは凄かったな~。完全にしてやられた気分。あれは時間の違うシーンを何個も持ってきて、続けて上演しているんですよね。映画みたいだなって思いました。わかったのは終演後でしたけど。
 一番好きだったセリフは、ラスト近くで施設から出て行こうとする川端に向かって、飼育係がわざわざ一度戻ってきて言う、「あんた、俺がネバネバだから特別差別してる?」でした。人間の心理を描くことに強烈なこだわりを感じたんですよね。

 役者さんでは作・演出の山中隆次郎さんが演じた車イスの男が良かったです。チェルフィッチュっぽいなと思うこともありましたが、あの、ものすごくスムーズな悪意の垂れ流し方は独特だと思います。可愛らしいお顔をされてるのに・・・怖いですねぇ(笑)。
 交通事故を起こしてしまった中尾役を演じられた、チャリT企画の楢原拓さんには、いつもと違う一面を見せていただけました。役者さんは幅広く活動して、色んな演出を受けるべきだなと改めて思いました。

出演=芦原健介/山中隆次郎/青木宏幸/數間優一/日下部そう(ポかリン記憶舎)/佐藤真義(タテヨコ企画)/夏目慎也(東京デスロック)/楢原拓(チャリT企画)
作・演出=山中隆次郎 舞台美術=福田暢秀(F.A.T STUDIO) 照明=伊藤孝(ART CORE design) 音響=中村嘉宏(At Sound) 音響操作=井川佳代 衣装=伊藤梨絵 舞台監督=西廣奏 演出部=やまのいゆずる(OOPARTS RECORDS) イラスト=モランボン 宣伝美術=仲麻香 web運営=栗栖義臣 制作助手=坂本明 制作=三好佐智子 企画制作=有限会社quinada (有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場
1月18日発売開始 13ステージ 全席整理番号付自由席 前売2,500円 当日3,000円
劇団=http://www.slowrider.net/
劇場=http://www.komaba-agora.com/line_up/2006_3/slowrider.html

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Posted by shinobu at 11:23 | TrackBack

ドリル『ドリル3月号【岡田利規先生】』03/25渋谷COQDO RECORDS

20060324 drill okada.JPG
ドリル3月号 エントランス

 渋谷のカフェ&DJバーCOQDO RECORDSで、毎月1回“先生”の授業を受けられるドリルというイベント(?)です。桜井圭介さんほうほう堂など、ダンス関係の方々も先生をされているんですね。3月はチェルフィッチュの岡田利規さんが先生をされるということで、ソワレ観劇後から途中参加してきました。ブロガーは入場料0円ってことで、ラッキー。

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 全部で4時間目までありました。途中はDJタイムでドリンク&フード&喫煙OKです。

■1時間目 講義1 (私は不在)

■2時間目 『マリファナの害について』(出演=松村翔子)

 東京ではまた上演されたことがなかった一人芝居です。超レア。ラッキー。
 戯曲本↓に収録されています。

三月の5日間
三月の5日間
posted with 簡単リンクくん at 2006. 3.17
岡田 利規著
白水社 (2005.4)
通常2-3日以内に発送します。

■3時間目 講義2

 チェルフィッチュの作品における俳優の「動き」について。
 岡田「劇評家が“意味のない動き”と評したりするが、決して“意味がない”わけではない。」

■4時間目 ワークショップ

 生徒の中から1名指名して、その方に自由に話をしてもらうことから始まりました。
 岡田さんが実際に稽古場やワークショップの現場でなさっていることを見せていただけて(もちろんさわりだけですが)、非常に充実。


 ※ドリル4月号(4/22 SAT)の先生は、批評家・音楽家の大谷態生さんです。

先生=岡田利規(チェルフィッチュ)
日時=3月25日(土)18:00~23:00 + 放課後
場所=COQDO RECORDS
料金=3ヶ月通しチケット:1800円 DOOR(当日):1000円 FLYER持参:800円 BLOGGER:(ブログでドリルをレポートしてくれる人)0円
公式=http://drill.main.jp/

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Posted by shinobu at 00:52 | TrackBack

メルマガ 2006年04月のお薦め舞台

mail magazin visual.bmp
お薦めお芝居をご紹介しています

 2006年4月のお薦め舞台10本+αをご紹介します。
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 “しのぶの演劇レビュー” Vol. 23     2006.3.26  920部 発行

┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏ http://www.shinobu-review.jp/

   今、面白い演劇はコレ! 年200本観劇人のお薦め舞台♪
                   
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 ◎4月1日に日本にいないため、勝手ながら
  メルマガ4月号は早めに発行させていただきました。

    舞台には、あなたの心を揺さぶり、
      人生の輝きを増してくれる奇跡があります。

  “今から観られる面白い演劇”をご紹介します。
  お友達、ご家族、恋人と一緒に、どうぞ劇場を訪れてください♪

 ◎このメルマガのプロフィールはこちら↓
     http://www.shinobu-review.jp/melmaga.html
  バックナンバーは全て公開しています。
     http://blog.mag2.com/m/log/0000134861


○○ 今回のもくじ
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 ◆1【今月のお薦め10本+α】
   
   ◎No.1→該当なし(お好みが分かれる作品が多いので)

 ◆2【先月のベスト3】

   ◎No.1→チェルフィッチュ『三月の5日間』
       03/11-21六本木Super Deluxe
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0324120402.html

 ◆3【お薦め芝居の前売情報 新国立劇場『やわらかい服を着て』】

   ◎永井愛さんの新作です。吉田栄作さんが舞台初出演。
    http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/10000103.html

 ◆4【新国立劇場2006/2007シーズン・演劇ラインアップ発表!】

   ◎長塚圭史さん、チェルフィッチュがとうとう新国立劇場に登場!
    http://www.nntt.jac.go.jp/release/updata/10000329.html

 ◆5【編集後記】

   ◎来週から初めてパリに行きます。4月初旬に帰国します。
    それに伴い、4月のラジオ出演をお休みいたします。

 ◆6【このメルマガについての注意事項(毎号同じ内容です)】

   ◎はじめての方はどうぞお読みくださいね♪

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 ◆1 【今月のお薦め10本+α】
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 ※★印がいちおし公演です(3本)。今月は優先順位なし。
 ※初日の早い順に並べています。
 ※掲載内容:主催/冠名・『題名』・日程・会場・コメント・価格・URL
  座種の記述がない公演は全席指定。


1.新国立劇場演劇『カエル』
  04/01-13新国立劇場 小劇場
  シリーズ「われわれは、どこへいくのか」(1)
  ☆出演=千葉哲也/有薗芳記/宮本裕子/今井朋彦
   作=過士行 翻訳=菱沼彬晁 演出=鵜山仁
   A席5,250円 B席3,150円 Z席=1,500円/当日学生券=50%割引
    http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/10000094.html
   脚本の過士行さんは中国の方です。豪華キャストの4人芝居。


2.モダンスイマーズ『ゆきてかえらず~稲上荘の寄るべない日々~』
  04/11-16中野ザ・ポケット
  ☆作・演出=蓬莱竜太
   前売3,000円(指定)2,800円(自由)/当日3,300円
   学生割引2,000円 ※13日昼のみ特別割引2,800円
    http://www.japan-pr.com/habanera/
   売れっ子の蓬莱竜太さんの新作。扉座の役者さんや八十田勇一さんが出演。


3.tpt『皆に伝えよ!ソイレント・グリーンは人肉だと』
  03/29-04/16ベニサン・ピット
  ☆出演=池田有希子/木内みどり/中川安奈/長谷川博己
   作・演出=ルネ・ポレシュ 美術=ヤニーナ・アウディック
   前売り・当日共に5,250円 学生料金3,150円
    http://www.tpt.co.jp/
   見逃さないようにしているtpt。映画↓も有名です。
    http://direct.nagase.co.jp/dvds/ItemDL-50070.html


★4.フジテレビジョン・博報堂DYメディアパートナーズ主催
  『びっくり箱―姉妹編―』
  04/11-23紀伊國屋ホール
  ☆≪札幌、幕別町、士別市、厚木、名古屋、広島、大阪、東京≫
   出演=沢口靖子/永島敏行/佐藤重幸/余貴美子ほか
   原作=向田邦子 脚本=中島淳彦 演出=福島三郎
   前売り・当日共に6,800円
    http://www.j-clip.co.jp/bikkuribako.html
    http://blog.excite.co.jp/bikkuribako
   華やかなキャストと福島三郎さんの演出が楽しみ。


5.青空美人プロデュース『怪力』
  04/15-23吉祥寺シアター
  ☆作・演出=木内宏昌
   前売3,500円 当日3,800円
    http://www.din.or.jp/~azr-bjn/2006site/
   tptで翻訳・演出もなさっている木内宏昌さんの新作。
   小劇場の若手俳優の出演が楽しみです。


★6.ナイロン100℃
  『カラフルメリィでオハヨ~いつもの軽い致命傷の朝~』
  04/07-30本多劇場
  ≪東京、大阪、松本、広島、北九州、仙台、新潟≫
  ☆出演=ナイロン100℃メンバー/馬渕英俚可/三上市朗/山崎一ほか
   作・演出=ケラリーノ・サンドロヴィッチ
   前売5,800円 当日6,300円
    http://www.sillywalk.com/nylon/
   9年振り、4回目の上演だそうです。


7.新国立劇場演劇『マテリアル・ママ』
  04/19-05/04新国立劇場 小劇場
  シリーズ「われわれは、どこへいくのか」(2)
  ☆出演=仲村トオル/伊藤歩/早船聡/岩松了/倉野章子
   作・演出=岩松了
   前売り・当日共に5,250円 Z席=1,500円/当日学生券=50%割引
    http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/10000100.html
   岩松了さんの作品に仲村トオルさんが出演。これは楽しみ!
   ※前売り完売により追加公演決定。チケット発売⇒4/2(日)10:00~


8.夕沈ダンス公演『アジサイ光線』
  04/20-23シアターグリーン小劇場
  ≪名古屋(2004年)、東京≫
  ☆振付=夕沈+アジサイダンス部 構成・演出=天野天街
   前売・予約3500円 当日4000円(日時指定・全席自由)
    http://www.oujakan.jp/
   少年王者館の夕沈さんのダンス公演。ふしぎ振付を堪能したいです。


★9.ホリプロ『ライフ・イン・ザ・シアター』
  04/12-30世田谷パブリックシアター
  ≪北千住、三軒茶屋、大阪、仙台、新潟、愛知、北九州、長崎≫
  ☆出演=市村正親/藤原竜也
   作=デイヴィッド・マメット 演出=ポール・ミラー
   S席9,000円 A席7,000円 学生席5,000円
    http://www.horipro.co.jp/ticket/kouen.cgi?Detail=69
    http://blog.eplus.co.jp/litt/
   市村正親さんと藤原竜也さんの二人芝居、しかもマメットですから必見。


10.文学座ファミリーシアター『アラビアンナイト』
  04/29-05/07全労災ホール/スペース・ゼロ
  ≪東京ほか38箇所≫
  ☆脚色=ドミニク・クック 訳=鴇澤麻由子 演出=高瀬久男
   一般5500円 ユースチケット3800円(25歳以下) 小・中学生2800円
    http://www.bungakuza.com/arabian06/index.html
   好評のファミリーシアターの中でも最も人気のある作品です。


+α(●再度紹介、■小劇場、▼ダンス・その他)

 ≪再度紹介≫
 メルマガ4月号の発行が早くなりましたので
 3月号で紹介済みの作品の中から、4月も観られるお薦めを再度紹介します。


 ●文学座アトリエの会『エスペラント~教師たちの修学旅行の夜~』
  03/25-04/09文学座アトリエ
  ☆脚本=青木豪(グリング) 演出=坂口芳貞
  前売・電話予約4000円 当日4300円 
  ユースチケット(25歳以下)2500円(取り扱い文学座のみ)
   http://www.bungakuza.com/about_us/p2k6/2k06-esperanto.html


 ●コクーン歌舞伎『東海道四谷怪談』
  03/18-04/24シアターコクーン
  ☆作=四世鶴屋南北 演出・美術=串田和美 
  1等平場席¥13,000 1等椅子席¥13,000 2等席¥8,500 3等席¥4,500
   http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/event/kabuki7/index.html
   http://eee.eplus.co.jp/theatrix/special/cocoonkabuki06.html


 ≪行きたいのに行けない小劇場作品(日本にいないので・・・涙)≫

 ■マンションマンション『キング・オブ・心中』
  03/30-04/03下北沢OFF OFFシアター
   http://www.ne.jp/asahi/de/do/ms.html
   作・演出=福原充則(ピチチ5)


 ■青年団若手自主企画vol.27『別』
  03/31-04/04アトリエ春風舎
   http://www.komaba-agora.com/line_up/2006_3/tada.html
   作・演出=多田淳之介


 ≪ダンス・その他≫

 ▼ピナ・バウシュ ヴッパタール舞踊団
  『「カフェ・ミュラー」/「春の祭典」』
   04/06-09国立劇場 大劇場
  『パレルモ、パレルモ』
   04/13-16国立劇場 大劇場
    http://www1.ocn.ne.jp/~ncc/


 ▼埼玉県芸術文化振興財団『タイタス・アンドロニカス』
  04/21-05/07彩の国さいたま芸術劇場 大ホール
   作=W.シェイクスピア 演出=蜷川幸雄 翻訳=松岡和子
   出演:吉田鋼太郎/麻実れい/小栗旬ほか
    http://www.saf.or.jp/
   初演のレビュー↓
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2004/0129235239.html
   英国への招聘が決定しています。再演なので私は観に行かない予定。


 ◎しのぶの今月の全予定(24本+α/キャスト・スタッフ情報あり)は
  4月1日以降にSCHEDULEに掲載します。
   http://www.shinobu-review.jp/schedule.html

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ◆2 【先月のベスト3】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

1.チェルフィッチュ『三月の5日間』
  03/11-21六本木Super Deluxe
   http://chelfitsch.net/sangatsu.html
  ☆会場に通うこと合計7回。生まれて初めての体験でした。
  *まとめエントリー↓
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0324120402.html


2.パルコ歌舞伎『決闘!高田馬場』
  03/02-26パルコ劇場
   http://www.parco-play.com/web/page/information/kabuki/
  ☆歌舞伎役者さんに完全降伏です。「面白ければいい」という言葉が
   これほど説得力のある作品に、初めて出会いました。
  *メルマガ号外はこちら↓
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0307115143.html


3.ポツドール『夢の城』
  03/02-12THEATER/TOPS
   http://www.potudo-ru.com/
  ☆視覚的な刺激はもちろん、精神的にも衝撃を受けました。
   自分が信じてきた愛の姿を疑い、もう一度考えるきっかけになりました。
  *レビューはこちら↓
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0308220344.html


次点.新国立劇場演劇『十二夜』
  03/07-19新国立劇場 小劇場
   http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/10000027.html
  *レビューはこちら↓
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0319004207.html


 ◎メルマガのバックナンバーはこちら↓で全て公開中!
   http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000134861
  メルマガ号外は誰が観ても楽しめそうなものを選んで発行しています。
  3月は『決闘!高田馬場』で発行いたしました。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ◆3 【お薦め芝居の前売情報 新国立劇場『やわらかい服を着て』】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

  ◎永井愛さんの新作が新国立劇場に登場します。

   新国立劇場演劇『やわらかい服を着て』
   05/22-06/11新国立劇場 小劇場
   シリーズ「われわれは、どこへいくのか」(3)
    ☆作・演出=永井愛
    出演=吉田栄作/小島聖/粟野史浩/月影瞳/大澤健
     http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/10000103.html

 “紛争地域の支援に取り組む小さなNGO団体に集まる若者たち”
  を題材にした青春物語だそうです。永井愛さんの脚本ですからね、
  簡単なハッピーエンドには決してならないでしょう。

  ★永井愛さん作・演出の主な作品のレビューはこちら↓

   二兎社『歌わせたい男たち』(2005年)
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/1010220803.html
   ニ兎社『新・明暗』(2004年・再演)
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2004/1025015515.html
   新国立劇場演劇『こんにちは、母さん』(2004年)
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2004/0315215806.html

 【チケット情報】

   4月15日(土)10:00~ 前売開始

   料金=A席5,250円/B席3,150円
      Z席(当日券)=1,500円/当日学生券=50%割引

   ボックスオフィス 03-5352-9999
    http://www.nntt.jac.go.jp/season/boffice/index.html

  ※演劇3作品特別割引通し券あり!
  「カエル」「やわらかい服を着て」(A席のみ)と
  「マテリアル・ママ」の3席セット券もあります。
    http://www.nntt.jac.go.jp/release/updata/10000286.html


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ◆4 【新国立劇場2006/2007シーズン・演劇ラインアップ発表!】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

  ◎新国立劇場2006/2007シーズン・演劇ラインアップが発表されました。
   長塚圭史さん、チェルフィッチュという若手最注目株がとうとう登場!
    http://www.nntt.jac.go.jp/release/updata/10000329.html


  ■『アジアの女』9月~11月
   作・演出=長塚圭史
   出演=富田靖子/近藤芳正/菅原永二/岩松了/ほか
   *長塚圭史さんの新作です。キャストも豪華ですね。
    パルコ『ラストショウ』↓は傑作でした。
     http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/0702215323.html
    WOWOWで放送されます!
     3/29(水)PM11:45~ http://www.wowow.co.jp/stage/


  ■新国立劇場・静岡県舞台芸術センター共同制作
  『劇的な情念をめぐって-世界の名作より-』11月
   構成・演出=鈴木忠志
   「シラノ・ド・ベルジュラック」@中劇場
   「オイディプス王」&「イワーノフ」@小劇場
   *鈴木忠志さんが東京で作品を発表するのは10年以上振りだそうです。
    ヒロイン役のオーディション↓が開催されていました。
    http://www.nntt.jac.go.jp/release/updata/10000048.html


  ■『エンジョイ』12月
   作・演出=岡田利規(チェルフィッチュ)
   *『三月の5日間』↓にハマった私は、今から12月が待ちきれない!
     http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0324120402.html


  ■『コペンハーゲン/COPENHAGEN』2007年3月
   作=マイケル・フレイン 翻訳=平川大作 演出=鵜山仁
   出演=村井国夫/今井朋彦/新井純
   *初演のレビュー↓
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2001/1115235600.html
    江守徹さんから村井国夫さんになるんですね。楽しみです。


  2007年4月には海外劇作家書き下ろし作品が上演されます。
  2004年の『THE OTHER SIDE/線のむこう側』↓は素晴らしかったです。
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2004/0508234444.html

  5月には、日韓共同製作の傑作『その河をこえて、五月』↓に続いて
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/0527015924.html
  平田オリザさんが参加する日中共同プロジェクトがあります。

  他にもシェイクスピアの『夏の夜の夢』をジョン・ケアードさんが演出したり、
  ユージン・オニール作品に市村正親さんが出演するなど、盛りだくさんです。


  ◎新国立劇場は日本演劇界を牽引する役割を担っていると言える劇場です。
   なんてったって国立ですし、チケット代も相場を考えるとかなり安いです。
   税金を払っている私達観客が、作品を観ることで劇場を支え、
   演劇を盛り上げていけると思います。そして面白ければ、なお良し♪

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ◆5 【編集後記】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 ◎来週から4月初旬にかけてパリに行ってきまーす。
  これからパッキングです。無事に飛行機に乗れるかな・・・。
  旅行慣れしていないので、旅行以前の段階からドキドキです(苦笑)。
  帰国までホームページの更新はお休みさせていただくと思います。


 ◎毎月第一土曜日は、FM西東京の演劇情報番組「たけがき2」に
  レギュラー出演させていただいておりますが
   http://takegaki.k-free.net/
  勝手ながら4月はお休みさせていただきます。


 ◎地方の新聞に掲載される邦画DVDの紹介記事を書き始めました。
  「これは面白いよ!」というお薦め邦画情報モトム!
  「メゾン・ド・ヒミコ」がとても良かったです。田中泯さんが凄い!
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0322162859.html


 ◎2005年11月にセミナーにゲスト出演いたしました。
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/1107002836.html
  セミナー開催を希望される方は、是非ひとことお寄せください!
   ⇒ shinobu@mtr-standard.co.jp (件名は「セミナー開催希望」で)
  まとまった人数のご希望があれば再度開催の可能性が・・・♪


 ◎パフォーミング・アーツ・マガジン[バッカス]02号
  私が書いた劇評(Ort-d.d『四谷怪談』について)が掲載されています。  
   http://www.7andy.jp/books/detail?accd=31442121


 ◎「劇場に足を運ぶことが、日本人の習慣になって欲しい」
  それが私の望みです。
  これからもこつこつ、地道に進んで行きたいと思っております。
  皆様、どうぞよろしくお願いいたします♪


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ◆8 【このメルマガについての注意事項(毎号同じ内容です)】
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 沢山の人に演劇に触れてもらいたい! ので、クチコミ・転送 大歓迎です♪

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2006年03月25日

にしすがも創造舎演劇上演プロジェクトvol.3『冬の花火、春の枯葉』03/24-27にしすがも創造舎特設劇場

20060324 dazai review.JPG
可愛らしいランプ

 まずは初日の興奮冷めやらぬ写真つき速報をご覧ください♪
 
 クラブ「斜陽」は『乱歩プレイ』を髣髴させる空間でした。こんなに嫌みなくスムーズに、でもちょっとイケないムードが漂う“大人のおもてなし”って、中々できることではありません。開場時間に何らかのイベントが催されることはよくありますが、ここまで完成度の高いものっていうと『コクーン歌舞伎』ぐらいしか思いつかないですね(センスの種類は違いますが)。

 そして肝心の作品については・・・戸惑いまくりでした(苦笑)。でも最後にはストンと腑に落ちたというか・・・。戦後日本の男と女が何を感じながら生きて、そして死んできたのかが、詩のようにぽとり、ぽとりとこぼれました。廃校になった中学校の体育館で、これまでの50年の月日が体をすり抜けていくような感覚でした。

 構成・演出の倉迫康史さんがOrt-d.dのBBSに「ここ三年の集大成です」と書かれています。クラブ「斜陽」と作品を観て、その意味がよくわかりました。

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 ここからネタバレします。読んでから観に行かれても大丈夫じゃないかと思います。あらすじや展開を知ってから観ても、あの空間の独特な雰囲気を味わうのに問題はないからです。

 踊り子さんと女給さんのレビューから華やかに開幕します。これが最高に楽しい!開演前に舞台のソファに座って、自分がすでに会場に溶け込んでいたのもあると思います。
 盛り上がりが最高潮に達して暗転し、次に明転した時には、空間全体が暗くて寂しいムードに変身していました。お酒が入っていたのもあると思いますが、一気に奈落の底に突き落とされたような気分でしたね・・・。頭から冷や水をぶっかけられた感覚といいますか、かなりショックでした(苦笑)。

 「冬の花火」「春の枯葉」「おさん」の3作品からなるオムニバスです。途中に休憩はありません。「冬の花火」でショックを受け、「春の枯葉」で混乱し、「おさん」で納得、という風に私の気持ちは流れ着きました。
 音楽はかなりの冒険をされていたと思います。録音と生演奏、レトロな音楽と金属的な効果音などの強烈なミクスチャーで、あまりに意外なので頭がクラっとするぐらいでした。そういえば空間全体も和洋折衷で、今と昔(50年前)とが乱暴に混ざり合っていましたね。


■「冬の花火」
 (出演=女:市川梢/寺内亜矢子/三橋麻子 男=岡田宗介/山田宏平/村上哲也)

 1人の人物を3人で演じます。いわゆるOrt-d.dらしい朗読の手法がよく見て取られる作風でした。舞台の下手端、中央、上手端に女優さんがいたので、首をすばやく左右に振りながら見なければいけない状態でした。体育館、広っ!!私はイス席の最前列だったのですが、もう一つ後ろの列ぐらいが良かったかもしれません。
 ダメ男ばかりが勢ぞろいで、ちょっと切なくなりつつも笑えましたね(笑ってる人は少なかったですが)。大真面目にえらそぶってて、でも言ってることもやってることも、ただの子供っぽいわがままなんだよなって思いました。それを全て知っていながら強く生きようとする女が悲しく見えました。


■「春の枯葉」
 (出演=先生:村上哲也/節子:寺内亜矢子/節子の母:三橋麻子/奥田先生=岡田宗介/菊代=市川梢)

 誰が誰の妹で、妻なのかがわからなくなってしまい、混乱するうちに終わってしまいました・・・。
 村上哲也さんの酔っ払い演技はコンテンポラリーダンスような動きと、色んな工夫が施されたセリフの話し方で、見ごたえがありました。
 市川梢さんがすっごく可愛かったです。可愛いというより可憐ですね。小説「斜陽」に出てくる女のイメージとばっちり重なりました。


■「おさん」
 (出演=妻:三橋麻子/夫:山田宏平)

 3作目がもっとも普通の演劇に近いスタイルでした。おめおめと生き残ってしまい、生きる意味や気概をすっかり失ってしまった夫と、何もかもを受け入れて、子供と夫と一緒に這いつくばってでも生きていこうとする妻。夫が知らない女と入水自殺することにも、「男って馬鹿だ」と言う女にも納得でした。 
 三橋麻子さんと山田宏平さんの演技の密度が高く、一挙手一投足に集中して拝見できました。声も良かったです。


 ク・ナウカの阿部一徳さん、ユニークポイントの山路誠さんがクラブの客としてゲスト出演されていました。阿部さんは『わが友ヒットラー』に、山路さんは『昏睡』(その他)で倉迫さんと組んでらっしゃいます。
 照明器具は『四谷怪談』(←Bacchusに劇評を書かせていただきました)や『こゝろ』に登場していた可愛らしい子たちがたくさん居て、装置には『エレクトラ』で使われていた(ような)黒い格子もありました。踊り子さんや演奏家さん達には『サーカス物語』の出演者も居るそうです。その他にもOrt-d.dの過去作品を思わせる演出がたっぷり。まさに集大成ですね。

 Ort-d.dは『昏睡』、『サーカス物語』に続き、今作で、にしすがも創造舎特設劇場での3回の舞台創作をしたことになります。1作ごとに体育館が成長し、場と共に演劇とそこに集まる人とのつながりが息づいてきているように感じます。
 
出演=市川梢/岡田宗介/寺内亜矢子(ク・ナウカ)/三橋麻子(Ort-d.d)/村上哲也/山田宏平(山の手事情社)
原作=太宰治 構成・演出=倉迫康史(Ort-d.d) 美術=伊藤雅子 照明=木藤歩 (balance,inc) サウンドデザイン=棚川寛子 衣裳・ヘアメイク=ROCCA WORKS 衣裳制作=梶山知子 野村佳世 宣伝美術=山本ゆうか(ten ade) ROCCA WORKS  スチール=萩原靖 舞台監督=弘光哲也 主催=NPO法人アートネットワーク・ジャパン/Ort-d.d
クラブ「斜陽」演出=田丸こよみ
出演(女給・踊り子)=緒田果南/小田さやか/金子由菜/さとうまりこ/谷口直子/渡辺麻依/大川麻里江/佐藤茜/住吉梨紗
1月11日(水)発売 6ステージ 一般3,000円/学生2,000円(当日要学生証提示) 豊島区民割引 2,500円(TIFのみ取扱)
東京国際芸術祭(TIF)2006内=http://tif.anj.or.jp/program/dazai.html
Ort-d.d=http://www16.plala.or.jp/ort

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Posted by shinobu at 14:24 | TrackBack

にしすがも創造舎演劇上演プロジェクトvol.3『冬の花火、春の枯葉』写真つき速報

 東京国際芸術祭2006の最後を飾る作品です。
 まずは速報ってことで、会場写真をご覧ください!
 ※撮影許可をいただきました。

 ⇒舞台裏ブログにも写真がアップされています。

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 またもや、にしすがも創造舎の体育館は大変貌を遂げています。若くてピチピチした女の子のダンスはほんっとにステキ!舞台上のゴージャスなソファでオリジナルカクテル(200円)をいただきながら堪能いたしました。あぁ劇場って、なんて素晴らしい娯楽空間なんでしょう! 

 ちょっと興奮気味のレポートになっちゃってます・・・レビューは後ほどアップします。
 レビューはこちら(2006/03/25昼に追加)。

3small.JPG
バーカウンターの足元には床置き照明。
2small.JPG
退廃ロマンティックなソファとアンティークのランプ。
6small.JPG
快活エロティックな踊り子さん

 開演の1時間前から「クラブ斜陽」がオープンします。ロビー奥のバーカウンターでお好きなお飲み物をご購入ください。1杯100円とか200円ですので、とってもリーズナブルです。開演30分前から、客席で踊り子さんたちのダンスが披露されます。舞台上から眺めるのが独特です。

 とにかく楽しんだ者勝ち!

出演=市川梢/岡田宗介/寺内亜矢子(ク・ナウカ)/三橋麻子(Ort-d.d)/村上哲也/山田宏平(山の手事情社)
原作=太宰治 構成・演出=倉迫康史(Ort-d.d) 美術=伊藤雅子 照明=木藤歩 (balance,inc) サウンドデザイン=棚川寛子 衣裳・ヘアメイク=ROCCA WORKS 衣裳制作=梶山知子 野村佳世 宣伝美術=山本ゆうか(ten ade) ROCCA WORKS  スチール=萩原靖 舞台監督=弘光哲也 主催=NPO法人アートネットワーク・ジャパン/Ort-d.d
クラブ「斜陽」演出=田丸こよみ
出演(女給・踊り子)=緒田果南/小田さやか/金子由菜/さとうまりこ/谷口直子/渡辺麻依/大川麻里江/佐藤茜/住吉梨紗
1月11日(水)発売 6ステージ 一般3,000円/学生2,000円(当日要学生証提示) 豊島区民割引 2,500円(TIFのみ取扱)
東京国際芸術祭(TIF)2006内=http://tif.anj.or.jp/program/dazai.html

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Posted by shinobu at 00:38 | TrackBack

2006年03月24日

チェルフィッチュ『三月の5日間』03/11-21六本木Super Deluxeまとめ

20060320 chel-mao.JPG
Super Deluxeエントランス

 初日、ポストパフォーマンストーク(2&3)、3/16、ライブ、3/20、千秋楽と、合計7回も同じ会場に通ったのは生まれて初めてでした。まるで自分が関わっている公演のよう(笑)。フリークを通り越してほとんどストーカーだなぁと思いつつ、やっぱり通っていました。※最初から最後まで作品をちゃんと観たのは4回です。

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 同じお芝居を2度以上観ることなんて皆無に等しい私が、なぜこんなに通ってしまったのか。
 特定の役者さんの大ファンで、その人観たさに通うという要素がないわけではないのですが、それでも同じ場所に7回っていうのは・・・おかしいと思うんですよね(笑)。今年の3月は話題作が目白押しだったのに、それをキャンセルしてでもチェルフィッチュが居る六本木の地下のライブハウスに、私は行ってしまっていました。・・・なんでじゃろ?

 まず『三月の5日間』という作品の脚本が好きです。ふしだらな行為に耽る若者のぐだぐだやわやわな言葉の連続の中から、積極的な反戦の主張を含むソリッドな意思が伝わってきます。
 演出が独特でセンスがいいと思います。観客に話しかけるようなスタイルで、一人称がどんどん変化します。何も無い舞台は照明と役者さんの言葉・演技だけで場面転換します(以下省略)。
 役者さんの身体表現、舞台上での存在の仕方、セリフの話し方・・・なぜか全然飽きません。毎回新しい気持ちで観られましたし、また観たいって思います。
 そして照明も好き。初演よりずっと色鮮やかでわかりやすく、エンターテインメント性が増していました。最後の白い照明は何度観ても感動。途中休憩の時だけ鳴る音楽(サンガツの「5日間」)もかっこいい。
 決定的なのはやはり会場でしょうね。お酒を飲みながらゆったり談笑して開演を待ち、上演中もグラス片手に観られます。届きそうなぐらい近くに居る役者さんが、観客に語りかけるような演技をゆるやかに続けてくれます。「この空間で、このメンバーで、この作品を観られるのは、今が最後だ」と感じていたから、私はできる限り通ったのだと思います。

 千秋楽のラストシーンでミノベ(瀧川英次)とユッキー(山崎ルキノ)が「渋谷まで一緒か」とにこやかに立ち去り、バシュ!っと暗転した時、「あぁ、終わっちゃった・・・」と気づいて泣きそうになりました。異常な感情移入ですよね(苦笑)、自分で恥ずかしくなっちゃった。

 ご覧になった方のレビューをほんの少しだけ挙げておきます(順不同)。ものすごく沢山の方がブログに感想を書かれているようです。

 休むに似たり。 
 直行直帰
 正しくも松枝日記
 小劇場系
 デジログからあなろぐ

 踊る芝居好きのダメ人間日記
 わぁ。(驚きに満ちた小さな悲鳴)
 ワニ狩り連絡帳
 藤田一樹の観劇レポート
 ほぼ観劇日記

 OUT-1 FILM
 つきみ学習帖
 続 なつきのざつき
 棚から牡丹餅
 日常のなかにあるもの

 aplacetodie/tsuinosumika2006
 SOMEWHERE
 下目黒のまいにち
 週末シアターゴアーの傾く日常
 雑感

 これはただの気分さ
 全日本天才協会
 sugar-free
 MARUのブログ。
 John's Notes

 目には青葉
 オム来襲
 中西理の大阪日記

 開場時間に舞台奥の壁面に映されていた映像は、2001/9/11に飛行機が衝突した後のWTCをずっと映し続けたものだそうです。煙だけがもくもくと上がり続け、本当なら真ん中にドーンとそびえ立っていたはずのビルが消え去っています。

 千秋楽はセリフの入れ替えがありました。たとえば“デモに行ってたヤスイ君が怒られちゃった”シーンは、最初も最後もメガネの人(下西啓正)のセリフだったのですが、千秋楽では緑色のトレーナーの人(村上聡一)が最後のセリフを言っていました。オープニングのミノベ(瀧川英次)と東(下西啓正)の会話も部分的に違った気がします(不確かですが)。
 あと、話す話すと言いながら結局登場しなかった“体の柔らかい”スズキくんについて。2度目でやっとわかりました(苦笑)。最初の方で東(下西啓正)からミッフィーちゃん(松村翔子)の話を聞いていた人(山縣太一)ですね。てゆーか脚本読んだ時にわかれよって感じですが。

第49回岸田國士戯曲賞受賞作品 Postmainstream Performing Arts Festival (PPAF) 2006
出演=山崎ルキノ/山縣太一/下西啓正/松村翔子/瀧川英次/東宮南北/村上聡一
作・演出=岡田利規 企画=小沢康夫 舞台監督=鈴木康郎 照明=大平智己 宣伝美術=good design company ウェブ=谷上周史 制作=中村茜 制作協力=プリコグ 主催=チェルフィッチュ 共催=Postmainstream 助成=財団法人東京都歴史文化財団
前売り開始 2/1(水)~ 全席自由/整理番号つき 前売:3200円 当日:3500円(お立見の可能性あり) 学生:2800円(要学生証/ウェブ予約のみ) セット券=サンガツ・ライブ(3/17)と「三月の5日間」(公演日よりお選び下さい)のセット券前売のみ4500円(ウェブ予約のみ)
公式=http://chelfitsch.net/sangatsu.html
★3/17だけ『サンガツ・ライブ』です。全席自由 前売:2200円(ウェブ予約のみ) 当日:2500円 企画協力: HEADZ
サンガツ=梶道人 (dr)、山脇豊土 (dr)、小泉篤宏 (g)、小島創太郎 (g)、磯木淳寛 (b) DJ Peaky (electronics)
トークショー=小泉篤宏(ミュージシャン/サンガツ)×岡田利規(チェルフィッチュ)
チェルフィッチュ=ショートパフォーマンス「ティッシュ」作=岡田利規 出演=松村翔子/端田新菜
サンガツ=http://sangatsu.com/

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Posted by shinobu at 12:04 | TrackBack

ユーゴザーパド劇場『巨匠とマルガリータ』03/21-26アートスフィア

 これまでに3度来日公演をしているモスクワのユーゴザーパド劇場の2作品日替り公演です。
 アートスフィアのファイナルステージだそうですね。4月からはスフィアに代わってホリプロが運営を開始し、名前は「天王洲銀河劇場」になるそうです。

 役者さんはスゴイと思うんですが、脚本が非常に破天荒というか、はちゃめちゃで、ついていくのがやっとでした。『マクベス』を観ればよかったな~。

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 ≪あらすじ・作品紹介≫ 公式サイトより
 スターリン時代のモスクワに悪魔の一味「黒魔術団」が降りてきて、世界を混沌に陥れ、ローマ総督ピラトとイエス・キリストの小説を書いた「巨匠」を精神病院から救い出し、恋人マルガリータに会わせるまでの宇宙的な広がりをもつ大スペクタクル。
 ≪ここまで≫

 う~ん・・・このあらすじは簡潔すぎてわからないですねぇ(苦笑)。2000年前のイエス・キリストの処刑と、悪魔が降り立ったスターリン時代とを行ったり来たりする構成でした。上演時間は3時間20分(うち20分の休憩を含む)という長時間です。『巨匠とマルガリータ』というタイトルですが、巨匠が登場したのは開演してから1時間20分後でしたね。思っていたよりも長く感じました。

 「銀色に妖しく光る巨大なトタン板が5枚吊るされているだけの舞台空間」(←公式サイトより)ですので、美術自体はとてもシンプルです。そのトタン板を持ち上げて、板の後ろから役者が登場するのがダイナミックでカッコいいんですよね。板をガンガン叩いたりするのも面白いです。

 とにかく役者さんがパワフル!舞台上にたった一人でずーっと独白し続けます。静かな語り口ではなく、がなったり怒鳴ったりすることが多いスタイル。そういう演技って私はあまり好みじゃないはずなのですが、最後まで飽きが来なかったことに驚きました。役柄になりきっているけれど、生身の人間として舞台上にありありと存在している、というのか・・・これは海外の劇場の公演でよく感じることです。魅力的な役者さんが多いです。

 「トタン板が耳をつんざく轟音をたて、闇と光、全裸に限りなく近い姿で踊る男女を映し出す──「悪魔の大舞踏会」の場面」(←公式サイトより)は・・・引いちゃいました。どうして西洋の人は“悪魔”というと決まってこういうイメージなんだろう・・・と不思議になります。新約聖書の世界がもとになった戯曲だから当然なのかもしれないですけど。あと、音楽もありがちでかっこ悪いな~と思いました。

 そう、大っぴらに鳴る音楽が私の好みじゃなかったですね。B級SF映画のテーマ曲でよくありそうな感じ。効果音の鳴らし方も「もしかしたらウケ(笑い)を狙ってるのかな?」と思うほどでした。まあ笑っても良かったんでしょうけど。

 ここからネタバレします。

 マルガリータ役のオリガ・イワノーワさんの演技に引込まれました。まずは恋人の巨匠(エヴゲーニー・バカロフ)が精神病院に連れ去られ、彼の安否を知らないまま、一人で帰りを待っている苦悩を語るシーン。涙を流しての熱演でした。そして悪魔の手引きで魔女に変身し、恨みをいだいていた評論家の家を荒らしに行くシーン。忍の一字でけなげに待ち続けていた女が突然変身して、欲望のままに破壊行動に出るのには興奮します。透明の身体になって空を飛べるというのも胸がスカっとしましたね。でもその「破壊行動」が、家を水浸しにするとか、書斎の机に水をぶっ掛けるとかっていうのは・・・地味ですよね(苦笑)。

 前半まではしっかりついて行けてたのですが、後半は疲れてしまい、「悪魔の大舞踏会」ですっかり頭がリセットされてしまいました。も~いいや・・・って思っちゃった(苦笑)。ほぼ全裸の男女が浮かれ踊るというようなパフォーマンスは、かっこいいとは思えなかったです。好みじゃないだけかもしれませんが。

 お話は、イェシュア(=イエス・キリスト)の時代も今も時間を超えて生き続けている悪魔のヴォランドが、イェシュアを救おうとしたユダヤ総督ピラトと、そのピラトの小説を書いた巨匠を救った・・・っていうことになるのかしら。あぁよくわかりませんが、大団円でした。

(全公演日本語字幕付/A・Bプログラム日替り公演)『マクベス』と2作品上演。
<イェルシャライム(エルサレム)の人々>
イェシュア(イエス)=アレクサンドル・ザドーヒン レヴィ・マトヴェイ(イエスの弟子マタイ)=ミハイル・ドーキン ピラト(ローマ総督)=ワレリー・アファナシェフ アフラニウス(ローマの秘密部隊長)=アレクセイ・ワーニン カイファ(ユダヤの大司祭カヤパ)=ワレリー・ドルジェンコフ ねずみ殺しのマルク=アレクサンドル・シャトーヒン
<悪魔の一味> ヴォランド=ワレリー・ベリャコーヴィチ コローヴィエフ=オレグ・レウーシン アザゼッロ=ミハイル・ベリャコーヴィチ ベゲモート(猫)=ウラジーミル・コッパロフ ヘッラ=カリーナ・ドゥイモント
<モスクワの人々> 巨匠=エヴゲーニー・バカロフ マルガリータ=オリガ・イワノーワ ベズドームヌィ(詩人)=アレクサンドル・ナウーモフ ベルリオーズ(作家同名理事長=ウラジーミル・デミドフ ストラヴィンスキー(精神病院医師)=アレクセイ・ワーニン プラスコヴィヤ フョードロヴナ=イリーナ・スーシナ リホジェーエフ(ヴェリエテ劇場支配人)=ミハイル・ドーキン リムスキー(同劇場経理部長)=ヴィクトル・ボリーソフ ヴァレヌーハ(同劇場マネージャー)=アレクサンドル・ゴルシュコフ カルポア/フリーダ=ジャンナ・チールワ トファーナ嬢=オリガ・アヴィーロワ ミンキナ嬢=タマーラ・クドゥリャショワ
群衆=オレグ・ザドーリン/タチヤーナ・ゴロデツカヤ/エレーナ・シャストフスカヤ/アンドレイ・サンニコフ/アレクセイ・マトーシン/イローナ・バルイシェワ/ドミトリー・グーセフ
作=ミハイル・ブルガーコフ 演出=ワレリー・ベリャコーヴィチ 照明=ヴャチェスラフ・クリモフ 音響=ミハイル・コロトコフ 大道具=デニス・リャミン 衣装=イリーナ・ゼムスコワ 主催=アートスフィア/朝日新聞社 特別後援=モスクワ・ユーゴザーパド劇場 2006 上演実行委員会 企画製作:スフィア
※3/25(土)18:00=終演後、岩松了氏と演出ワレリー・ベリャコーヴィチによるアフタートークあり
全7ステージ 全席指定 S席7,000円/A席5,500円/B席4,000円
アートスフィア内=http://www.tennoz.co.jp/artsphere/yugo_top.html

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Posted by shinobu at 00:54 | TrackBack

2006年03月22日

映画「メゾン・ド・ヒミコ」(配給:アスミック・エース)

 全然期待しないで拝見したら、めっちゃ感動!
 田中泯さんがスゴイ!
 柴咲コウさんはブス度が高くて(笑)、それが素晴らしかった。
 オダギリジョーさん、めちゃ色っぽかった。ベルトなしの着こなしにうっとり。

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 犬堂一心監督ってこんなにいい映画撮ってるのに「タッチ」は・・・。脚本(渡辺あや)が良いのが大きいのでしょうね。
 音楽(細野晴臣)も良かったな~。「母が教え給いし歌」は大好きな曲です。歌の先生に習ったことがあります。聞くと自動的に涙が出ちゃうんだよね~。

 映画ひとこと感想恒例の、勝手に5つ星評価!

  ★☆☆☆☆ お薦めできない
  ★★☆☆☆ 好みじゃないけど観てよかった
  ★★★☆☆ 面白かった
  ★★★★☆ お薦めです
  ★★★★★ 人生変わるほど感動!

 「メゾン・ド・ヒミコ」は★★★★☆です。おお、初の4つ星!

出演=オダギリジョー/柴崎コウ/田中泯/西島秀俊/村上大樹/新宿洋ちゃん/森山潤久/井上博一/柳澤愼一/青山吉良/歌澤寅右衛門/大河内浩/草村礼子/藤井かほり/岡庭淳志/沖中玲斗/峯村淳二/枝光利雄/高橋昌也/ほか
監督=犬童一心 脚本=渡辺あや 音楽=細野晴臣 プロデューサー=久保田修/小川真司 エグゼクティブ・プロデューサー=椎名保/三木裕明 共同エグゼクティブ・プロデューサー=平井文宏/細野義朗/島本雅司 ライン・プロデューサー=田口聖 撮影=蔦井孝洋 美術=磯田典宏 照明=疋田ヨシタケ 製作=『メゾン・ド・ヒミコ』製作委員会(アスミック・エース エンタテインメント、IMJ エンタテインメント、日本テレビ放送網、S・D・P、カルチュア・パブリッシャーズ) プロダクション:アスミック・エース エンタテインメント、IMJエンタテインメント 配給:アスミック・エース 2005年日本
公式=http://www.himiko-movie.com/
映画情報=http://www.cinematopics.com/cinema/works/output2.php?oid=5368

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Posted by shinobu at 16:28 | TrackBack

2006年03月20日

THE SHAMPOO HAT『恋の片道切符』03/17-26ザ・スズナリ

 THE SHAMPOO HATは赤堀雅秋さんが作・演出される劇団です。コント(みたいな作品)でしか拝見してなかった大堀こういちさんが出てらっしゃるのに惹かれて、早めに伺いました。
 いつものシャンプーハットの空間で、中盤まではちょっと退屈することもあったのですが、じりじりと胸に、体に迫ってくる傷みを実感しながら、最後にはやっぱり泣かされちゃいました。

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 ≪あらすじ≫ 公式サイトより。(役者名)を追加。
 舞台はとあるパチンコ屋の2階の休憩所兼事務所。
 パチンコ屋店主である在日三世の金子(大堀こういち)達は、 週末の草野球の試合に備えミーティングに余念がない。
 隣の部屋からは交通事故で半身不髄になった妹の弾くたどたどしいピアノの音が聞こえて来る。
 その頃世間では自民党のホームページに小さく書き込まれた北朝鮮からの宣戦布告文で大騒ぎになっていた。
 ピッチャーの不在に悩むチームだったが、バイトの面接に男(野中隆光)が現れ…。
 ≪ここまで≫

 音楽が大きくなって暗転し、音が切れて明転した時には、そこに緊張がありました。THE SHAMPOO HATのこの感触がすっごく好きです。役者さんがしっかりとそこに居るから実現できていることですよね。

 人種差別、障害者、戦争、国家権力等の、真正面から向き合うことが非常につらく、厳しい社会的な問題を、平凡な人々のありきたりな日常生活の中の、等身大の視点から描いています。お説教くさくなったり奇をてらったりすることなく、淡々と進む会話からその背景をじんわりと沁み込むように舞台に表していきます。パチンコ店およびそこに集まる人々のことが少しずつわかってくるにつれて、彼らをいたたまれないと思う気持ちと、他人事ではないという自覚が私の中に生まれてきました。

 ただ、序盤はちょっと退屈してしまいました。セリフとセリフの間の間(ま)に必然性を感じなかったり、役者さんの演技に引き込まれなかったり。金子(大堀こういち)が登場してからガラっと空気が変わった気がして集中できました。
 
 ここからネタバレします。セリフは完全に正確ではありません。

 舞台は直近の未来である2008年でした。パチンコ店を経営している家族は在日三世の北朝鮮人なので、北朝鮮関係の政治的な事件が起こった時には、何かとマスコミがたかってきます。また、無礼千万な警官(赤堀雅秋)がわがもの顔で勝手に事務所に入ってきたりもして、すごく不愉快な思いを強いられています。さらにビルの上空には自衛隊の飛行機(ヘリ?)が頻繁に飛び、異常な騒音公害の被害をこうむっています。
 でも皆んな、「仕方が無い」という大人の気持ちで完全にその状況を受け入れています。あぁ・・・つらい。今の私達もそうですよね。「波風立てて余計なことをする(される)はめになりたくない」と思って、意見したり反発したりすることをあきらめがちです。いけないとは思いながらも、どうしても断念せざるを得ないことってありますし・・・(あぁ、言い訳だ・・・)。

 バイトの面接にやってきた佐々木(野中隆光)は、半身不随になった金子(大堀こういち)の妹の彼氏でした。彼が「たばこ買ってきて」という短い携帯メールで妹を呼び出し、そこに向かう途中で彼女は交通事故に遭ったのです。直接の原因は彼ではないのだけれど、金子やその弟(日比大介)は、佐々木のせいだと思っています。
 『雨が来る』でもたしか、女性(松田弘子)に怪我をさせた2人の青年(日比大介&福田暢秀)が、お詫びのためにその人の家に訪ねてきてましたよね。『事件』でも殺された人の家族と殺人犯が登場しました。被害者と加害者という、分かり合う(許しあう)ことが究極的に困難だけれども関係を絶つことは許されない、大きなジレンマとともにある人間関係を題材に選んでることがすごいと思います。
 
 「(妹が居る部屋に)入ったら、お前を殺すから」と金子に脅されながらも、とうとう佐々木は部屋に入ります。すると金子は佐々木を追ってその部屋に行き、ひとこと。
 「遅いよ。待ってたんだよ、トシ子。」
 びえ~~~~~ん・・・・もー涙ボーボーですよ~・・・・たまんないよ、もうっ・・・。こういう優しさに触れると無条件に泣いちゃいます。すみません、単純な人間で。大堀さんかっこえ~な~っ。

 舞台上で役者さんは暑い、暑いと連呼します。アイスキャンディーもみんなで食べるし(全員そろって食べるのが可愛い)。でもその「暑さ」がそれほどリアルに感じられなかったんですよね~。『蝿男』の「暑さ」が凄かったのでね、それと比べるとやっぱり。もしかすると照明のせいかも、と思います。その部屋だけがずっと停電している、という設定でしたが、そうは見えなかったですよね。「停電している」ということが判明したのは始まってからかなり後のことで、それを聞いた時に「え?そんな風には見えなかったぞ」と思ったんです。窓から洩れる光だけであれだけまんべんなく明るいっていうのは、ちょっと、ないんじゃないでしょうか。

 大堀こういちさん。コントでしか拝見したことがなかったので、あまりのかっこ良さに驚きました。大堀さんが登場してからグっと作品が変化したように感じ、そこから最後まで集中して観ることが出来ました。
 原金太郎さん。パチンコでその日の日当を全部使ってしまう平井役。小劇場作品には若い役者さんばかりが揃いがちですが、原さんのように年齢がちょっと上の(ように見える)方が出ていると、一気にリアリティが増しますよね。突然歌いだしたり大声で笑ったりするのは、空気がパっと変わって良いなーと思いましたが、ちょっとわざとらしさを感じてしまいました。

 はっぴーえんど(ですよね?)の曲で幕が開いて、そして下りたのが、私はすごく好きでした。日本語の歌詞が沁みました。

出演=大堀こういち/日比大介/児玉貴志/多門勝/野中隆光(野中孝光改め)/黒田大輔/赤堀雅秋/いけだしん(猫のホテル)/星耕介(Oi-SCALE)/原金太郎
作・演出=赤堀雅秋 舞台監督=高橋大輔+至福団 照明=杉本公亮 音響=田上篤志(atSound) 舞台美術=福田暢秀 舞台製作=F.A.T STUDIO 宣伝美術=斉藤いづみ チラシ写真=木奥惠三 宣伝PD:野中隆光 舞台写真=引地信彦 演出助手=岩堀美紀 大和貴 制作助手=相田英子 制作=HOT LIPS(三谷郁奈/相田英子) 企画製作=THE SHAMPOO HAT
発売日=1月29日(日) 14ステージ 指定席=前売3,300円/当日3,500円 自由席=前売3,000円/当日3,200円<※平日マチネ(3/23 14:00) 指定席=3,000円/当日3,200円 自由席=2,800円/当日3,000円>
公式=http://www33.ocn.ne.jp/~shampoohat/

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Posted by shinobu at 21:57 | TrackBack

2006年03月19日

『サンガツ・ライブ』(『三月の5日間』公演内)3/17六本木Super Deluxe

 『三月の5日間』公演の休演日の一日は、タイトルの元ネタともなったポスト・ロック・バンド“サンガツ”のライブパフォーマンスでした。
 冒頭にチェルフィッチュのショートパフォーマンス『ティッシュ』が披露され、最後にサンガツの小泉篤宏さんとチェルフィッチュの岡田利規さんのトークショーがありました。
 ※今公演についてのエントリー⇒
 ★サンガツのサイトに舞台写真がアップされています!(2006/03/24追加)

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■ショートパフォーマンス『ティッシュ』(約7分間)
 『ティッシュ』は吾妻橋ダンスクロッシング(2005年09/23-24、演劇定点◎カメラに詳細レポートあり)で発表された、ダンスのようで二人芝居のようでもある作品です。20時スタートとともに、会社の制服姿のイケてないねーちゃん2人(松村翔子&端田新菜)が登場。端田新菜さんが武富士のティッシュを持っています。
 高橋さんという既婚の男性と不倫をしているっぽい木村さん(端田新菜)が、鈴木さん(松村翔子)に「なぜ高橋さんと知り合いなの?」と問い詰めるが・・・っていうストーリーだった気がします。でも「気がする」っていう程度しか覚えてない・・・。最後に“踊る方”と“配る方”に自主的に役割分担するのですが、ティッシュ配りに“踊る方”なんてないぜっ(笑)!しかもティッシュは2個しか持ってないし!かなりシュールでした。楽しかったけど7分で終わっちゃったのは寂しかったな~。


■『サンガツ・ライブ』
 ギター、ギター、ベース、ドラム、ドラム、そしてミキシング(?)という最大6人編成のバンドでした。
 最初に『三月の5日間』の元ネタになった“5日間 (Five Days) ”(←視聴できます)が演奏され、これがもー・・・ほんっとにお芝居のイメージに重なりまくり!も~六本木!渋谷!ラブホ!っですよ!!すっごいさわやかなんだけど、めちゃくちゃ冷静でしたたか、そして自分の身体の奥の方にある熱さを無視しないで、演奏しながら、それをどんどんと開放して行っているように見え(感じ)ました。
 私は相当呆けた顔しちゃってたと思います(苦笑)。目の前で演奏するサンガツのメンバーにも、彼等が奏でる音楽にも、ずっと吸い込まれているような感覚でした。

 1日目のトークを聞いていて本当に良かったです。「モニタースピーカーの発達」に超納得でした。サンガツのメンバーには目をつぶって演奏される方が多く(ギターもドラムも)、演奏しながら陶酔しているかのように見えて、でも自分で自分をコントロールする自意識がはっきりと在ることも伝わってきていて、まさに「冷めているんだけど熱い」という状態。あぁ、これって俳優のあるべき姿なんじゃないの!?って思いました。

 全部で5曲だったかな~・・・1時間以上あるライブで5曲ですからね、1曲がすごく長いのです。MCも一切なかったですし(笑)。新曲2曲を披露されたのですが、その緊張感がすごく刺激的でした。楽譜(?)を見ながら恐る恐る演奏されているのには、笑っていいのかハラハラしていいのか(笑)。スティールパンとか小学校で使われる簡易鉄琴(?)のような可愛らしい打楽器も面白かったです。
 それにしても・・・音楽の世界も広いですね。音楽のライブ(コンサート)にハマる人の気持ちが少しわかる気がしました。


■『トークショー(小泉氏&岡田氏)』(約30分間) ※覚え書き程度です。

 岡田「パフォーマンスのテンションが凄くて、楽しかったです。」

 岡田「どうやって曲を作られているのですか?」
 小泉「いかにクライマックスを作らずに作れるのかを目指しています。」
 小泉「抽象的な風景が浮かぶのではなく、ある感触がいくつか、いくつか、一曲の中にあるイメージです。」

 岡田「今回は新曲を2曲披露してくださいましたが、曲を作るのにすごく時間がかかるそうですね。」
 小泉「1曲作るのに1年ぐらいかけることもあります。といっても楽器を集めるだけで半年かかってたりするのですが。」

 岡田「最後の曲なんて、ちょっと・・・わからないですよね。僕はパフォーマンスとしてとても面白かったんですが。具体的にどうやって曲を作るのか教えていただけませんか?」
 小泉「まず、思いついたフレーズ(メロディ・リズム)を携帯に吹き込みます。」
 岡田「え?それは小泉さんが、ですか?」
 小泉「はい。声を吹き込みます。だから最初は鼻歌ですね。」
 岡田「あぁ!それ、聞きたいなー!(笑)」
 小泉「それは私しか聞かないんですけどね。全部のパートを吹き込んで、その鼻歌をパソコンに入れていじるっていう作り方です。」

 小泉「新鮮な時(メンバーになって年が浅い時)はセッションとして成立していたのですが、今は、カッチリ作らないと成立しないので、デモでカッチリ作りますね。」
 岡田「ということは、最後の曲も全部楽譜どおりということですね。」
 小泉「そうです。でも今回が初演でしたので、緊張しました。」

 岡田「バンド名“サンガツ”の由来は何でしょう?」
 小泉「『三月のライオン』という映画があって、そこから。でも名づけた人はもう辞めてるんですが。」

 岡田「1曲の長さが・・・・長いですよね?」
 小泉「ええ。間違いなく、長いです。」(会場から笑いが出る)
 岡田「僕、長いのが好きなんですよねー、いや、長い方がいいと思うんですよ。本当にこの戯曲を書きながらずっと聴いてましたし。えと、これからもぜひ長いのを作っていただきたいな、と(笑)。」


★全席自由 前売:2200円(ウェブ予約のみ) 当日:2500円 セット券=サンガツ・ライブ(3/17)と「三月の5日間」のセット券 前売のみ4500円(ウェブ予約のみ)
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チェルフィッチュ ショートパフォーマンス「ティッシュ」作=岡田利規 出演=松村翔子/端田新菜
企画協力: HEADZ
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サンガツ=http://sangatsu.com/

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Posted by shinobu at 21:06 | TrackBack

ドイツ座『エミーリア・ガロッティ』03/19-21彩の国さいたま芸術劇場 大ホール

 「今年上半期最大のお薦め」と演劇関係者からの噂を聞いておりました。なるほど、凄かったです。超かっこいいです。クール&スタイリッシュの極地。
 物販のTシャツ(ドイツ座のオリジナル)がめちゃかわいくって買おうかどうか迷ったんですけど、う~ん・・・と迷って、辞めました。たしかバイエルン国立歌劇場の時も買っちゃったんですよね。やっぱりドイツ、おしゃれなのですよ。散財しちゃうっ。

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 ≪あらすじ≫ パンフレットより
 グァスタッラの公爵ゴンザーガは、平民の娘エミーリアを一目見て恋に落ちるが、彼女がアッピアーニ伯爵との結婚を控えていることを知り愕然とする。結婚式の朝、教会で祈りを捧げるエミーリアの耳元で領主である公爵が愛の言葉を囁く。驚き慄くエミーリア。同じ頃、侍従マリネッリの策略によってアッピアーニ伯爵が殺害される。何も知らずに、公爵邸に連れてこられるエミーリア。
 一方、公爵に裏切られ、プライドを著しく傷つけられた元恋人オルシーナ伯爵夫人は、エミーリアの父親に公爵が娘を誘惑したことを告げ、復讐するように仕向ける。わが娘の貞操を傷つけた公爵を殺して娘を連れ戻そうとする父親に、エミーリアは静かに対峙する。そして父親に自分を殺してくれるように頼む。
 ≪ここまで≫

 とにかくハイソでスタイリッシュ、というのが全体の印象です。公式サイトの解説が明確でわかりやすく、観終わってから読んで、すんなり納得です。

 極シンプルで巨大な美術は北欧家具みたい。衣装はJIL SANDER並みに生地もデザインも言うことなしのかっこ良さ。靴&ハイヒールなんて欲しくてたまんない!ってぐらいファッショナブルです。たぶんこのままだと私の2006年の衣装No.1間違いなしですよ。
 音楽は映画『花様年華』の主題曲が繰り返し、ずっと流れ続けます。私は映画を観てサントラを買っちゃってた人間なので、上演中も映画の場面がちらつきました。日本で、ドイツの演劇を観ながら、中国映画のムードが混じってくるのです。すごく豊かな気分でした。文化の交流が人類の平和を体現できるって、心から思います。

 一緒に観た友人が「役者さんの立ち姿がきれいだったよね」と、同じ感想を持っていました。身体のスタイルがいいという意味もありますが、舞台上に立っている、もしくは歩いている時に、なぜか俳優(の身体)が光を放っているように見えるのです。人物を眺めているだけで満足できるような感覚でした。日本の役者さんにもこういう方が増えて欲しいなと思います。
 
 私にとって彩の国さいたま芸術劇場は、たどり着くまでが大変な場所です。今日は強風によるダイヤの乱れのために開演が10分遅れましたし、終演後の帰り道はほんとに強風で吹き飛ばされそうになりました。駅に着いたらやはり列車が遅れていて、ホームで長い時間待ちました。激寒の中を・・・(涙)。良い思い出ができないんですよねー・・・劇場併設のおしゃれなカフェとかあったらいいのにな。

"Emilia Galotti"
出演=レギーネ・ツィンマーマン/ペーター・パーゲル/カトリン・クライン/スヴェン・レーマン/インゴ・ヒュルスマン/ヘニング・フォークト/ニーナ・ホス
原作=G.E.レッシング 演出=ミヒャエル・タールハイマー 美術・衣裳=オーラフ・アルトマン 音楽=ベルト・ヴレーデ(『花様年華』挿入曲「夢二のテーマ」作曲:梅林茂より) ドラマトゥルク=ハンス・ナドルニー
発売日=12月4日 3ステージ S席5,000円/A席3,000円 学生席1,000円(芸術劇場のみ取扱) 主催=NPO法人アートネットワーク・ジャパン 財団法人埼玉県芸術文化振興財団 東京ドイツ文化センター 助成=財団法人地域創造
東京国際芸術祭(TIF)2006内=http://tif.anj.or.jp/program/emilia.html

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Posted by shinobu at 20:18 | TrackBack

新国立劇場演劇『十二夜』03/07-19新国立劇場 小劇場

 私の超いちおしの子供のためのシェイクスピアカンパニーの新国立劇場公演です。
 ※過去作品のレビュー→2001年2002年2003年2004年2005年

 『十二夜』は2000年に旧・グローブ座で拝見し、それからこのカンパニーを追いかけています。今回もやっぱり超~楽しかった!明日(3/19)で千秋楽です。もっと早く観に行くつもりだったんですけど・・・なぜか楽日前日でした(涙)。
 今年の夏は『リチャード三世』なんですね!こちらも楽しみ♪

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 ≪あらすじ・作品解説≫ 公式サイトより。(役者名)を追加。改行を追加。
 嵐で船が難破して、双子の兄セバスチャン(伊沢磨紀)と死に別れてしまったヴァイオラ(大内めぐみ)。イリリアという街に漂着したヴァイオラは、街を治めるオーシーノー公爵(福井貴一)に男装して仕えることに。公爵はオリヴィア(植本潤)という伯爵令嬢に求愛中だが、彼女は亡くなった兄の喪に服して部屋にこもり、だれにも会おうとしない。
 一方、主人の公爵に秘かに恋心を抱くようになるヴァイオラだが、公爵からオリヴィアへの愛を伝える使者を任される。主人のためとはいえ、好きな人の恋の手助けに複雑な気持ちを抱きつつ、オリヴィアのもとへ向かうヴァイオラ。ところがなんとオリヴィアは、男装しているヴァイオラに一目ぼれ! さらに死んだと思っていたヴァイオラにそっくりな兄、セバスチャンが出てきて大混乱!! はたして絡みあった恋の結末は!!!
 ≪ここまで≫

 がっちり子供向けではあるんですが、なんだか怖~い雰囲気だしエッチなこともかなり盛り込まれていて、「いやん、そんなことやっていいの?」と、ちょっとドキドキしながら観ました。でもそれが良いんでしょうね、怖いこととエッチなことは刺激的だし、やっぱり誰もが興味あることですし(笑)。今回もお子様連れで団体観劇したのですが、とってもとっても好評でした。「夏も絶対行く!」って言ってましたよ。

 ギャグが多かったな~・・・ことあるごとにギャグ、ギャグ、ギャグと続いて、しばらくしっとりしたかと思ったらまたギャグ(笑)。子供が全然飽きずに観られるんですよね。大人ももちろん、めちゃくちゃリラックスして楽しめます。

 そして『十二夜』ですから、恋!恋!恋!ですよ!!も~・・・超ときめいちゃったよ~っ♪男装したヴァイオラ(大内めぐみ)にオリヴィア(植本潤)が恋してしまう瞬間とかね、特に。ヴァイオラが言った「今の運命よりは上ですが、私は紳士です」という言葉に、オリヴィアは心打たれます。そのセリフを黒いマントをまとった他の役者さんがつぶやき声で何度も繰り返し、恋が生まれた美しい刹那がよみがえるんですよね。すごくうっとりしました。

 演出がめちゃかっこ良かったですね~。木の枠にかかった赤いカーテンが大活躍でした。ムービングの照明も良かったな~。おなじみの手拍子して舞台を歩く時間が、今までよりかなり短くなっているように思いました。どんどんと洗練されている気がします。あと、新国立劇場小劇場のあの黒い箱(ブラックボックス)なムードにも合ってました。
 衣装も生地がシックでおしゃれ。今回の衣装は『LYNKS』(←すっごくかっこ良かったんです)を手がけられた尾崎由佳子さんなんですね。

 ここからネタバレします。

 音楽は「Sailing」「恋の予感」「国松さまのお通りだい」などがネタとして使われて、父母から祖父母まで世代を渡り歩いている感がありましたね(笑)。子供は歌がわからなくても笑えるようになってました。

 “イタズラの神様”は2000年版(白いチュチュのバレリーナ姿)とは全然違うキャラになってました。黒い半袖Tシャツと長いズボンで、つるつる坊主頭。「原作には出てきませ~ん!」って叫ぶのは一緒でした(笑)。植本潤さんはほんとに素晴らしいですね。

"TWELFTH NIGHT"
出演=伊沢磨紀/福井貴一/円城寺あや/佐藤誓/植本潤/戸谷昌弘/土屋良太/大内めぐみ/山崎清介
作=W.シェイクスピア ~小田島雄志翻訳による~ 脚本・演出=山崎清介 美術=岡本謙治 照明=山口暁 音響=遠藤憲 衣裳=尾崎由佳子 演出補=小笠原響 舞台監督=堀吉行 企画協力=子供のためのシェイクスピアカンパニー 華のん企画
15ステージ 3/13休演。A席=5,250円 B席= 3,150円 Z席=1,500円/当日学生券=50%割引
公式=http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/10000027.html
子供のためのシェイクスピアカンパニー=http://homepage1.nifty.com/j-ishikawa/c-ro.html

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Posted by shinobu at 00:42 | TrackBack

2006年03月17日

【フリークのつぶやき】チェルフィッチュ『三月の5日間』の日々は続く

20060317 chel-superdelux.jpg
SuperDeluxeエントランス

 私の観劇人生で初めてのことが起こっています。同じお芝居を2度以上観ることは全くと言っていいほどしない私が、この作品については「毎日通いたい!」とか思っちゃってます(レビューはこちら)。
 3日連続で通ってポストパフォーマンストークを皆勤し、昨日は正式に2度目を拝見してまいりました。千秋楽も予約しています。
 戯曲本も読んで、小説版も読んで、もーただのフリークですね(苦笑)。

 チケットのお求めはこちらへ。売り切れ続出中ですが、電子チケットぴあで残席がある場合もあるそうです。

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 「なぜだろう」って、自分でもすごく不思議に思うんですよ・・・たぶん、役者さんの演技の違いなんじゃないかしら・・・もしかするとダンスを観てる感覚に似てるのかな~・・・。いや、違う。だってダンスだって2度観たいとは思わないもの。
 毎回(って、たいして観てないけど)観客の反応が全然違うんです。作品自体についての私自身の感想も全然違います。同じ役者さんが同じセリフを言っているはずなのに、なぜか毎回どきどきします。トークでも岡田さんがおっしゃっていましたが、役者さんの自由度がすごく増えているそうで、きっとそれも影響しているんだろうと思います。でもなぜなのかはやっぱりわからない・・・。

三月の5日間
三月の5日間
posted with 簡単リンクくん at 2006. 3.17
岡田 利規著
白水社 (2005.4)
通常2-3日以内に発送します。

 戯曲本は読み返すと新たな発見があって面白いです。初演から約2年経ってますから時事的なことが少し変化してますし、再演を観てからつけ加えられた一言とか見つけて喜んだり(あぁヲタクだ・・・)。
 『マリファナの害について』と『労苦の終わり』も収録されているので、読み比べても楽しいですね。特に『マリファナ・・・』は渋谷の話なので『三月の5日間』と被るところも多く、スクランブル交差点に行く度に、何人もの若者(ラブホ入りびたり、反戦デモに参加、ティッシュ配り等)のことを思い出しそうです。

 小説版は今回の会場のSuperDeluxeで入手できました。めっちゃくちゃ面白かったです。最初の六本木の情景描写は、慣れるまで付いていくのが大変でしたが、SuperDeluxeに入ってパフォーマンスが始まってからは、最後まで超特急。そう、PMEのパフォーマンスの内容が知りたかった、というのが小説版を買った一番の動機でした。パフォーマンスについてすごく詳しく書かれていて、私、読みながらちょっと興奮しましたね。あぁ、その場に居たかった!って思いました。
 あと・・・小説ってエロいよね(笑)。タクシーの中の描写がかなりの赤面ものでした。ホテルの中の方がずっと激しいのに不思議ですね。
 小説を読んでからお芝居を観ると、お芝居では描かれない細かいところを補完しながら味わうことが出来て、これがまた楽しい!(ほら、またヲタク・・・)

 2回目、3回目のポストパフォーマンストークのお話を少し↓

■3/12(日)冨永昌敬さん(映画監督)

 当日が初対面だったそうで、いろいろ探り合いながらのトークでした。ぬるかったから途中で聞くの辞めちゃった(笑)。気楽なムードは良かったですけどね。

 冨永「実際の経験にもとづいて書かれたそうですが、やっぱり、岡田さんご自身が5日間・・・?」
 岡田「いえ、ここでパフォーマンス(作品中ではライブ)を観たのは本当です。でも僕は終電で帰りました(笑)。」

 冨永「戯曲をちらっと見せていただいたんですが、あれ全部セリフなんですね。役者さんは(当然ですが)覚えてらっしゃるわけで。ものすごいことを役者に強いてるなって思って・・・大変じゃないですか?」
 岡田「いいえ、全然大変じゃないですよ、だって「覚えて」って言うだけですから、僕は。」
 冨永「映画では在りえないですよね~・・・。」


■3/13(月)矢野優さん(文芸誌「新潮」編集長)

 「新潮」の編集長さんだということで、白髪がまじった恰幅のいいおじ様かしらと想像していたら、めちゃ若くておしゃれなお兄様で驚きました(笑)。いや~、文芸の世界ってファンキーなんだなー。
 矢野さんはノート持参でステージにいらっしゃって、NHK芸術劇場でのインタビューや、トヨタコレオグラフィーアウォードの最終選考に残ったダンス作品についてもちゃんと前知識をお持ちだったので、すっごく充実した内容でした。やっぱりポスト・パフォーマンス・トークはこうでなくっちゃ!
 ※下記、覚えていることのみチラリと。対話はきちんとつながっているわけではありません。

 矢野「ノベライズ版について。非常によくできていると思います。戯曲と違う部分が興味深いです。今回はじめて生の演劇作品として『三月の5日間』を拝見したら、小説と同じ世界が立ち上がっていて、興奮しました。」

 岡田「ホテルに引き返した女の子が見たものについては、これは小説の方が面白いかなと思っていました。」
 矢野「今回の上演ではそのシーンで笑いが起こっていましたが、小説版では「おぞましい」という言葉がまさに使われていました。」
 岡田「ラストシーン(ホテルに引き返した時に女が出くわす出来事)を思いついた時、あ~これって『細雪』だなって思ったんですよ。ものすごく美しい日本の風景とかをずっと描いているのに、最後は下痢をして終わるんですよね。粘り気のように残る凄みを覚えたんです。」
 岡田「スカトロジーのインパクトは重要ではなくて、いったい動物なのか人間なのかというところ。リアリティの原理が壊れる瞬間。人間が人間に見えない瞬間を体験したわけで、それはものすごく気持ち悪いことですよね。戦場で人を殺す時もそうなんじゃないかなと。動物だと思ってないと殺せないんじゃないか。」
 矢野「たとえば前作『目的地』でも、ある夫婦が猫を飼おうとしたけれど妻が妊娠したからやめた、ということになっていますね。」

 矢野「小説ではカットされていましたが、デモのシーンは文学では表現できないですね。あの旋回する感覚は。」
 矢野「(戯曲ではあんなに挑発的なのに)小説に遠慮していると言われていますが?」
 岡田「そのとおりです。というのも僕は(演劇に比べると)小説のことは知らないので。でも今回書かせていただいたことで、演劇にはできないことで小説にできることがあるとわかったので(云々)。」

 矢野「やっぱり原理の人、というか。小説だからできることをやろうとされるんですね。(中略)。知的だって言われるんじゃないですか?」
 岡田「そー・・・ですね~・・・。だからお客さんが笑ってくれるとすっごくホっとします。」

 矢野「NHKのインタビューで『現代日本に生きる人々の生態を描きたい』とおっしゃっていましたが。」
 岡田「はい、そうです。お芝居は俳優の身体を使うので、どうしても制限があります。演劇の中では人間の身体を極限まできわめて表現をやっている人も居るのですが、僕は『今、この身体でやる』ということに興味深さを持っています。」
 岡田「小説はそこ(俳優の身体を使うこと)から自由なんだってことに、今回気づいたので・・・(小説の新作についての構想を少し話されました)。」

第49回岸田國士戯曲賞受賞作品 Postmainstream Performing Arts Festival (PPAF) 2006
出演=山崎ルキノ/山縣太一/下西啓正/松村翔子/瀧川英次/東宮南北/村上聡一
作・演出=岡田利規 企画=小沢康夫 舞台監督=鈴木康郎 照明=大平智己 宣伝美術=good design company ウェブ=谷上周史 制作=中村茜 制作協力=プリコグ 主催=チェルフィッチュ 共催=Postmainstream 助成=財団法人東京都歴史文化財団
前売り開始 2/1(水)~ 全席自由/整理番号つき 前売:3200円 当日:3500円(お立見の可能性あり) 学生:2800円(要学生証/ウェブ予約のみ) セット券=サンガツ・ライブ(3/17)と「三月の5日間」(公演日よりお選び下さい)のセット券前売のみ4500円(ウェブ予約のみ)
公式=http://chelfitsch.net/sangatsu.html
★3/17だけ『サンガツ・ライブ』です。全席自由 前売:2200円(ウェブ予約のみ) 当日:2500円 企画協力: HEADZ
サンガツ=梶道人 (dr)、山脇豊土 (dr)、小泉篤宏 (g)、小島創太郎 (g)、磯木淳寛 (b) DJ Peaky (electronics)
トークショー=小泉篤宏(ミュージシャン/サンガツ)×岡田利規(チェルフィッチュ)
チェルフィッチュ=ショートパフォーマンス「ティッシュ」作=岡田利規 出演=松村翔子/端田新菜
サンガツ=http://sangatsu.com/

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Posted by shinobu at 12:01 | TrackBack

2006年03月16日

イキウメ『短編集 Vol.1-図書館的人生-』03/15-21サンモールスタジオ

 イキウメは前川知大さんが脚本・演出を手がける劇団です。シアターガイド4月号で紹介し、とても楽しみにしておりました。キャッチコピーは「生と死と記憶に関する五つの物語」ということで、5本のオムニバスです。
 5本ともものすごく密度が濃くって、めちゃ集中して最後まで拝見いたしました。若手演出家コンクールで先行上演された「トロイメライ」でぼろぼろ泣いちゃいましたねぇ・・・。

 上演時間は途中休憩10分間を挟んでおよそ2時間30分弱です。全席自由席ですのでどうぞお早めに劇場へおはこびください。前売り完売ステージ続出中です!
 BACK STAGEに充実のインタビューと稽古場レポートあり!

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 生と死と記憶がキーワードということで、全体のイメージは少し暗くて重厚感があります。照明はかなり豪華(吊られている灯体の量が多い)で、繊細なグラデーションや大胆かつ派手な演出を使い分けて、シンプルな抽象美術を自在に変化させます。
 前川さんの脚本は、必要なものだけをぎゅっと凝縮してムダ(およびそれほど重要でないもの)をそぎ落としていっている気がします。その密度と綿密な構成が刺激的です。※前川さんの過去作品のレビュー⇒
 一人が話す一回のセリフがとても長く、色んな分野の専門用語が出てきますので少々難しいです。しかも役者さんが早口気味に話します。だからついていくのにちょっと努力が必要ですが、その緊張感が心地よいです。なにしろ内容が面白いですから。
 
 役者さんは前作同様、やはり問題ない程度に上手いと思います。絶賛はできないですけど、サンモールスタジオで前売2500円の小劇場劇団のお芝居である点で見ればハイレベルです。

 作品全体のバランスとしては最後の「トロイメライ」がちょっと長過ぎましたね。他の短編との具体的なリンクも見えづらかったので、「トロイメライ」だけがぽっこり独立していた印象が残ったのは残念。でも私はビョービョー泣いてたんですけどね(笑)。

 ここからネタバレします。≪あらすじ≫はチラシから引用。(役者名)を追加。

■「図書館的人生」
 出演=緒方健児/野村修一/國重直也/宇井タカシ
 ≪気がつくと、私(=天野。緒方健児)は見知らぬ部屋で座っていた。目の前の男(野村修一)は図書館職員で、何故か私以上に私を知っている。そして彼は、私が会ったこともない私の兄(宇井タカシ)を、私に紹介する。≫
 
 図書館といっても死んだ人間の記憶(記録)を管理する図書館です。セリフでは「フォーマットセンター」とも言っていましたね。
 いきなり難解なSFでどっきりしました。でもこのインパクトがあったから次に備えられました。すっごく短かったですね。10分ぐらいしかなかったんじゃないかしら。
 

■「青の記憶」
 出演=筒井則行/浜田信也/長澤素子/池上ゆき/渡辺トオル/岩本幸子/野村修一
 ≪病院の一室で地震に襲われる五人。揺れが治まってみると、状況は一変していた。窓から見えた太陽は月に変わり、ドアの向こうには、永遠に続く廊下があった。≫

 医療、地震、輪廻、コンピュータなどに関する専門用語が早口で飛び交い、言葉が意味や心をともなわないで、段取りに沿って発せられていると感じられることがあり、ちょっと残念。でも中盤から盛り返しましたね。

 治験バイトに集まった4人の他人とビルディング・ドクターの天野(渡辺トオル)の合計5人は、前世に何度も関わりあっている因縁を持った人たちでした。地震がきっかけで世界がおかしくなったため、地震が起こる前までの数分間を何度も繰り返します。じわじわとじらしながら、終盤に加速度的に盛り上がっていくのが上手いなと思いました。
 月だと思っていた青くて丸い星が地球だったというのが良かったな~。宇宙に飛びましたね~。

 「図書館的人生」で登場した図書館職員(野村修一)がここでも医師の格好をして登場し、死(臨死)後の世界とリンクします。


 【休憩10分】
 休憩があることに驚きました。でも席を立って伸びをしておいて良かったです。
 ※初日は2作上演した後に休憩でしたが、変更されて4作上演後になったそうです。


■「輪廻TM」
 出演=森下創/筒井則行/宇井タカシ
 ≪ある寺の住職は、夜な夜な地下室で秘密の実験を繰り返していた。そして終に完成したその装置で、坊主は時空を超える。≫

 自分の前世・来世を見られるタイムマシーン(=TM。車イスなんだけど)に乗って旅をします。かなり軽いタッチで楽しめました。
 どうしても自分の来世が見たいという男(宇井タカシ)が最初に輪廻TMに乗り、自分の次の来世を見て絶叫します。「(オレの)来世超めんどくせーーーーーーーっ!!」。これサイコーに笑えました。
 ラストに56億7000万年先に行った坊主(筒井則行)は息絶えた様子で、仏教サイコホラー(?)な空気がかっこ良かったです。


■「ゴッド・セーブ・ザ・クイーン」
 出演=岩本幸子/緒方健児/盛隆二/宇井タカシ
 ≪投身自殺寸前の女・神崎恵(岩本幸子)の前に、二人の男が現れる。止めにきたわけではなさそうだ。男は言う。どうせ死ぬなら移植医療にご協力を。その体と、その記憶と、そして残った寿命を回収したい。≫

 まさに自殺をしようとしている女(岩本幸子)のところにやってきたのは“魂の情報化”担当の天野(緒方健児)と、“肉体の情報化”担当の桜井(盛隆二)でした。天野は「図書館的人生」で、生まれ変わることを選ばずに図書館職員(?)になった男なんですね。
 死が目前にあるのに、3人の会話がどんどん軽やかになっていくのが楽しいです。神崎役の岩本幸子さんが良かったですね。

 桜井が神崎の来世をシュミレーションします。「今自殺をすると来世はコートジボアールのコーヒー工場の息子、60歳まで生きたら・・・!!」神崎の来世はどうやらすごいものらしいということが判り、早く魂をリセットさせてポイントを稼ぎたい天野と、60歳まで生きて“すごい来世”を迎えて欲しいと思う桜井の間で対立が起こります。「NintendoDSのソフトを全部買ってやる」という条件で天野が折れたのが可笑しかったな(笑)。

 神崎は自分が殺した男の死体(宇井タカシ)に乗り移って生き残ることになりました。彼女は「輪廻TM」で“どうしても自分の来世が見たい男(宇井タカシ)”として登場するんですね。最後に彼女(彼)の来世が“初の女性天皇”だったということが判明。そりゃ「超めんどくせーーーーーーーっ!!」わね(笑)。タイトルの「神が女王を救う」にもつながります。


■「トロイメライ」
 出演=山本佳希/黒川深雪/若狭勝也/國重直也/盛隆二/野村修一/長澤素子/渡辺トオル/池上ゆき
 ≪意識不明のまま三年間を過ごし、自分の誕生日に息を引き取った女(黒川深雪)。葬式で夫(山本佳希)の前に現れたのは、妻の最後の三年間を共に過ごしたという男(若狭勝也)だった。≫

 若手演出家コンクールで拝見しました。演出は少々変わっており、役者さんの演技のクオリティがかなり上がっていました。泣いちゃったな~。曽我役が浜田信也さんから若狭勝也さん(KAKUTA)になりました。

 周司(山本佳希)が義弟(國重直也)に向かってしぼりだす「お前、すごいな・・・」というセリフがグっと刺さりました。悲しいよー。
 周司は雪枝(黒川深雪)を病院から連れ出して自宅介護を始めます。雪枝が楽しそうに「夢の中で私に話しかけて、私の面倒を見てくれる人がいるの」と曽我に話す度に、曽我の苛立ちは増して行きます。夢を見続ける雪枝を挟んで、周司と曽我が対極にいる関係性が鮮やかに伝わってきました。

 そしてラストの雪枝の葬式で、周司と曽我が出会うシーンで号泣ですよ、私! なんて悲しい、美しい三角関係!雪枝が周司の優しい言葉たちに導かれて、病院のベッドに戻ってきたことにも納得。「僕達の3年間は無駄じゃなかったんですよ」という曽我のセリフでまた泣けました。若狭勝也さんの演技がすごく良かったです。

 ただ、最後に「トロイメライ」が流れた時はちょっと・・・・やりすぎかな~という気がしました。うっとりできなかったですね。なぜだろう。音楽については全編を通して1つの曲が流れましたが、それもちょっとくどいかな~と思います。

 他の短編と有機的にリンクされていたのは図書館職員(野村修一)が葬儀屋として登場していたことでしょう。刑事の桜井(盛隆二)は「ゴッド・セーブ・ザ・クイーン」の“肉体の情報化”担当ですが、名前と役者さんが被ってるだけかもな~。


 今作の出演者は合計15人で、そのうち劇団員は8人です。たとえば「トロイメライ」だと主要人物3人全員が客演ですよね。前作の主役も絶対王様の有川マコトさんでした。これから劇団としてどういう方向に進んでいくのかな~と、興味が沸くところです。
 イキウメの次回公演は来年3月@吉祥寺シアターです。前川知大さんの脚本は6月にG-upで、10月に七里ガ浜オールスターズで上演されます。

生と死と記憶に関する五つの物語 「青の記憶」(改訂)/「図書館的人生」(私家版境界線変相・改訂)/「ゴッド・セーブ・ザ・クイーン」(新作)/「輪廻TM」(新作)/「トロイメライ」(新作)
出演=宇井タカシ/森下創/岩本幸子/緒方健児/池上ゆき/浜田信也/盛隆二/國重直也/黒川深雪(InnocentSphere)/筒井則行/長澤素子/野村修一/山本佳希(ハラホロシャングリラ)/若狭勝也(KAKUTA)/渡辺トオル(ファルスシアター)
脚本・演出=前川知大 舞台監督=小野八着(JET STREAM) 舞台美術=土岐研一 照明=松本大介 音響=鏑木知宏(KURSK.sound) 衣装=吉岡麻衣 楽曲提供=303 宣伝美術=高井真 制作=吉田直美
2/15発売 11ステージ 前売2500円 当日2800円(日時指定・全席自由・整理番号付)
公式=http://www10.plala.or.jp/ikiume/

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2006年03月15日

ヨーロッパ企画『Windows5000』03/14-19THEATER/TOPS

 上田誠さんが作・演出されるヨーロッパ企画の新作です。とっても楽しみにしていて初日に伺いました。タイトルがほんと可笑しいですよね(笑)。
 上演時間は2時間ですが、開演前と後にいろいろあるのを含めると2時間10分だと思います。前売りは完売ですが、当日券は発行されています。

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 私はTHEATER/TOPSでヨーロッパ企画を観るのは初めてでした。いつも駅前劇場だったんですよね。だからちょっとイメージが違ったというか・・・。駅前劇場で若者がやんちゃしてる分にはすんなり受け入れられるんですけど、THEATER/TOPSは大人の雰囲気があるので、何かとクオリティの低さが目に付きました。会場はバカ受けでしたけどね。

 アイデアやギャグはさすがだな~と感心しましたが、作品全体としては私の好みではなかったです。学生がおもしろおかしくおしゃべりをしているようなセリフの応酬は、ヨーロッパ企画の持ち味ですし、魅力だと思います。実際すごく笑えます。でもそれだけだと物足りないし、2時間は長すぎましたね。最後の最後になって、架空の近未来から現代を映す視点とメッセージが感じられたのは良かったです。

 ここからネタバレします。

 ≪あらすじ・概要≫
 近未来の日本。Windows5000とは、地球を撮影しているカメラをズームアップしていき、ある街のある家まで鮮やかに映しだせるソフトである。なんと、家の壁を取り除いて部屋の中までも覗けるのだ。舞台にはへっぽこ集合住宅があり、パソコンからその中を覗いて生態を観察する。
 ≪ここまで≫

 集合住宅といってもほったて小屋が組み立てられているだけというか、人が一人暮すには狭すぎる“箱”の重なりです。その異常な狭さが笑えます。パソコンから覗いている人は(最初は)登場せず、マイクを通じて各部屋についてコメントをします。そのツッコミが絶妙です。

 実はその観察者は公務員で、ホームレスが住み着いている集落全部の撤収をもくろんでいたというオチは、現代社会に対する厳しい視点が感じられていいなと思いました。現在、貧富の格差が開いている日本の近未来には、ホームレスが溢れているんですね。そしてパソコンおよびソフトの進化からプライバシーがなくなっています。国の権力が増大していることも表れされています。
 惑星アルカディアへ移住しなかった人が、ホームレスになって箱の中に住んでいるという設定でした。地球の環境汚染が進み人口が爆発したため、人類は宇宙に侵出しはじめているということでしょう。「アルカディアでは強制労働させられているらしい・・・」という噂もほのめかされ、ちょっと「ブレードランナー」とかも想像しました。※アルカディアについてのエピソードはヨーロッパ企画の過去作品に関係があるそうです。

 開演前にオリジナルDVDの宣伝映像が流されるのですが、あれはちょっと長いなーと思いました。コアなファンには嬉しい情報かもしれないですけどね。また、上演中の場面転換の際にスクリーンが降りてきて、「just a moment(少々お待ちください)」という意味の映像が流れるのですが、それも長くて退屈しちゃいました。あの転換に時間が掛かるのは仕方ないとは思いますけど。
 そして最後の映像についても長すぎると思いますし、クオリティが低いのが気になりました。画面がゆらゆら揺れている(カメラを手に持って撮影しているから)のは、観ていてちょっと苦しいんですよね。

 左上の広い部屋がサイバーの作ったCG映像だったとわかった時、空間のゆがみが感じられて面白かったです。また、サイバーとアジアが住んでいる三角の空間が、すべり台に変身したのは痛快でした。

≪京都、東京、大阪、名古屋≫
出演=石田剛太/酒井善史/角田貴志/諏訪雅/土佐和成/中川晴樹/永野宗典/西村直子/本多力/松田暢子/山脇唯/中西武教(ジュース)
作・演出=上田誠 美術=酒井善史・角田貴志 照明=松谷將弘 音響=上田誠・井上能之 舞台監督=水波流 映像=諏訪雅 演出助手=松田直樹 文芸助手=松田暢子 運送=ステージアーツ 宣伝美術=坂井奈穂・丹原康博 制作=井神拓也・諏訪雅・本多力・吉田和睦・吉永祐子 協力=リッジクリエイティブ株式会社 企画・製作=ヨーロッパ企画 応援=ニッポン放送 制作協力=日和庵
京都芸術センター制作支援事業
一般前売開始:2006年1月28日(土)[全席指定]前売2,800円/当日3,200円※未就学児入場不可
公式=http://www.europe-kikaku.com/

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Posted by shinobu at 11:06 | TrackBack

2006年03月13日

【情報】今月のお薦め小劇場公演(1ファンの視点から)

20060311 superdeluxe.jpg
Super Deluxeの看板

 六本木Super Deluxeで上演中のチェルフィッチュ『三月の5日間』のムードにすっかりハマっている私ですが(終演後のトーク皆勤賞の予定!)、この3月は注目の劇団・カンパニーの作品が目白押し、というかむしろ渋滞に近い状態なのです。

 その中でも私が個人的にすっごく楽しみにしていて、初日に伺う予定の小劇場作品はこの3本です。

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ヨーロッパ企画『Windows5000』
03/14-19THEATER/TOPS
≪京都、東京、大阪、名古屋≫
映画『サマータイムマシン・ブルース』がDVD化されましたね。


イキウメ『短編集 Vol.1-図書館的人生-』
03/15-21サンモールスタジオ
イキウメは、シアターガイド4月号で私がお薦めした劇団です。
BACK STAGEに充実のインタビューと稽古場レポートあり!


■にしすがも創造舎演劇上演プロジェクトvol.3
冬の花火、春の枯葉
03/24-27にしすがも創造舎特設劇場
乱歩プレイ』っぽいらしいです!
開演前にクラブ「斜陽」がオープンします♪

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Posted by shinobu at 11:07 | TrackBack

2006年03月12日

【ポストパフォーマンストーク】チェルフィッチュ『三月の5日間』03/11-21六本木Super Deluxe

 初日はチェルフィッチュ主宰の岡田利規さんと批評家の佐々木敦さんのポストパフォーマンストークがありました。司会は岡田利規さんが兼任。レビューはこちら
 佐々木さんはHEADZという音楽レーベルを主宰されています。音楽批評、文芸批評もなさっているそうです。
 メモって覚えている限りのことを書きます。

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 岡 田「まずご感想から(笑)。いかがでしたか?」
 佐々木「DVDで観せていただいたことはありましたけど、チェルフィッチュを実際に観るのは今回が全くの初めてです。色んな意味で考えされられました。『こんなのがあったんだ!』というような。『演劇って、面白いね』みたいな(笑)。」
 岡 田「それが狙いでもあります。演劇関係者じゃない方との機会を増やしたくて、こうして今日は音楽界の佐々木さんですし、明日は映画監督、あさっては文芸関係の方とトークをさせていただきます。」

 岡 田「僕はHEADZが出しているトータスが好きで、同じくHEADSに所属しているサンガツというバンドの『5日間』という曲が、この作品のタイトルの由来になっています。初演では劇中で使ったんですが、今回は休憩の時に使いました。」
 岡 田「ポスト・ロック(トータスやサンガツの音楽のジャンル)の『冷めているけれど、熱いところに行こうとしている』ところ。『イっちゃう』のじゃなくて、だけど熱くなることができる。それが僕は好きなんだなー。」

 佐々木「モニタースピーカーの発達が音楽を変えたといわれています。演奏しながら自分の音が鮮やかに聞こえるようになりました。リスナー中心主義とも呼ばれていて、音を出している側も同時にリスナーである状態。聞くことから考え始めるということがあります。客観視を余儀なくされるんですね。多重化というか(云々)。」
 岡 田「俳優の意識のコントロールの仕方も重要な問題で、モニタースピーカーのたとえが分かりやすいかもしれません。(僕の手法は)チャーリー・パーカー的 or ピンクフロイド的ではないんです。プログレ=アングラ、ポストロック(トータス)=今の演劇、というか。」

 岡 田「ポスト・プロダクション(ライブ録音したものを人工的に加工する)というのは・・・(忘れました。ごめんなさい)、重要になってきています。自意識を消しやすい方向に進んでいる。」
 佐々木「録音してから加工が出来る。つまり何でもできちゃうんですよね。ポスト・プロダクションはむしろav○xとかが『あまり上手くない歌手がすごく上手く歌ってるように聞こえるCD』を作ることに使われているんです(笑)。だから今ではライブ(生)の価値が再浮上しているとも言えます。」

 岡 田「演劇でのポスト・プロダクションは、稽古でできるような気がしています。実は僕自身があまりわかっていないので上手くしゃべれないんですが。ナルシスティックな『ヤっちゃう感』は、僕は消すのが好きです。」
 岡 田「ポスト・プロダクションの点で言うと、キーボードを使えるようになったことで、脚本をもっと推敲して、より精巧に作る(書く)ことができるようになっていると思います。」

 佐々木「私が演劇を観たくなくなったのは、演劇には劇的な手法(クリシェ)があって(例えば無理やり盛り上げようと音楽がガンガンかかったり)、それにノれない自分がいたからです。チェルフィッチュにはそれがないですよね。なのに感動できるのが凄い。」
 岡 田「(誰かに)盛り上げられるよりも『自分の中で自分が変わる』方が楽しいっていうか、いいですよね。そういう人が(僕以外にも)ある程度いると思うし。」

 佐々木「一方で『ヤっちゃう感』の良さというのもありますよね。」
 岡 田「初演は俳優の動きに即興は一切なくて、僕がすべて決めていました。でも今作では(僕が決める)比率が下がってきています。つまり『ヤっちゃった感』は増えています。」

 岡 田「(稽古の)作業の頃からその可能性を感じていて、昨年の『目的地』ぐらいから始めました。全部僕が決めた形だと、何度も見ているとさすがに飽きちゃうんです。僕が飽きていると俳優も飽きています。今の方法だと僕も楽しいし、俳優も楽しいみたい。」
 佐々木「それは俳優との信頼関係が新しい段階へと進んだということですよね?」
 岡 田「そうですね。昔はジャズが全然理解できなかったんですが、今は(入門書を読んだこともあって)ジャズがやろうとしていることはすごいなって思います。」


 【観客からの質問】

1.役者さんの演技について。具体的にどういった稽古をされていますか?
 岡 田「セリフをしゃべるために、相手がしゃべることに対してイメージを決めていきます。この『イメージ』という言葉を他人と共有するのは難しいのですが、今、一緒に作業している俳優とは共有できているので、イメージという言葉を使っています。イメージが決まっていれば、そこからどんな動きが出てきても大丈夫というか。」
 岡 田「イメージは基本的に俳優が出してきます。そこに僕が新たなイメージを足したりします。イメージはふくらんだ方が面白いので。イメージが小さいと動きが貧しくなります。」
 岡 田「僕は、『戯曲の言葉から動きを出すこと』を否定しています。戯曲と動きとの関係は、普通の演劇では親子の関係であることが多いのだけれど、それは兄弟であるべきであり、同じ親(=イメージ)を持つふたりの子供であるべきだと思っているのです。」


2.ある種だらしなさともいえる動きがありますが、あれはダンス界では『こども身体』と呼ばれたりするものだと思うのですが・・・・(質問の意図は忘れました)
 岡 田「ああいった言葉で脚本を書き始めたことから始まっています。この言葉にはどんな身体がいいのだろう、と考えました。あの言葉だから、あの身体になる、という必然(を探した?)。」


3.客席の騒音に対して俳優が反応されましたが、そういう指示を出してらっしゃるのですか?また、もし観客が話しかけてきたときは、どうするのかなど、準備をされていらっしゃいますか?
 岡 田「音は実際に鳴ったわけで、それが聞こえているのだから、聞こえたという反応をするのだと思います。」
 岡 田「観客から話しかけられることは昔はあったんですが、今はなくなってきています。昔というのは、たとえば俳優の友人とか、演劇を観る人ではない人が観客だったころ。おばさんが『うん、うん』とうなづいてくれてたりとかしたんですが、それがないのは寂しいですね(笑)。」

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Posted by shinobu at 18:02 | TrackBack

チェルフィッチュ『三月の5日間』03/11-21六本木Super Deluxe

 第49回岸田國士戯曲賞受賞作品の待望の再演で(初演のレビューはこちら)、しかも作品の舞台になったライブハウスでの上演です。私個人としては今年の上半期最大のお薦め!

 若者の口語があふれつづける、しゃれた地下室で、ビールを飲みながら、観客の携帯着信音を楽しんだ時、私はあきらかに演劇ではないものを観て(体験して)いました。※ジャンルとしては明らかに演劇なのですが。

 お好みが分かれるので(これはチェルフィッチュ作品の枕詞です)メルマガ号外は控えますが、個人的には可能な限り多くの人に観ていただきたい(体験していただきたい)と思った作品でした。
 上演時間は100分(休憩20分を含む)です。ウェブ予約はこちら。当日券情報はこちら
 2006月12月に新作『エンジョイ』で新国立劇場進出が決定!(2006/03/13追記)

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 【これからご覧になる方へ】
 ステージを凹型に囲む客席でした。センター・ブロックがお薦めです。私は開演の55分前に会場に到着しましたが、センターの良い席は満席でした(びっくり!)。なので、良い席をゲットしたい方は開場時間には会場に到着されることをお薦めします。

 「ライブハウスで行われる何かを楽しみに来た」と思って、ぜひ開演前にビールやおつまみなど楽しんじゃってください。リラックスして、わいわい楽しんで、わいわい帰る。それがいいと思います。

 【コアなファンの方へのアドバイス】
 ミッフィーちゃん(松村翔子)を堪能したい方は、中央ブロック中央か、ちょい下手寄りがお薦め! 私は中央ブロック上手寄りだったため、佐藤さん(仮名)の陰になってミッフィーちゃんが見えませんでした(涙)。
 ※2度目は最前列桟敷席の中央で拝見しました。だけどやっぱり佐藤さん(仮名)の陰になっちゃってました(涙)! 全体を考えると中央ブロックがお薦めですが、ミッフィーちゃん目当てなら中央ブロックの一番下手ぐらいがいいのかも・・・。(2006/03/17追記)

 私は初演を観て大感動しており、戯曲本も読んだしDVDも観ています。だから真っ白な気持ちで観たわけではないんですよね。でも脚本はほぼそのまま変わっていませんし、配役もおそらく変更がないので、作品の概要については初演のレビューと同じと言っても問題ないと思います。
 初演と比べてどう変化したのかを感覚的に言うと、すごくおしゃれになって、洗練されていて、大人で、そして自由でした。

 ここからネタバレします。

 初演との違いは・・・まず会場ですよね。六本木のおしゃれ気な地下のライブハウスっていうだけでわくわくですし、開演前の熱気も休憩時間のざわざわ感も、とにかく新鮮でした。
 そして衣装!超かっこよくなってました。やっぱり六本木にいる(行く)ような人ってことで、特に山縣太一さんと瀧川英次さんは全く別キャラになってるほど。初演は全員メガネだったけど、今作ではそういう縛りがなかったです。

 米軍のイラク侵攻から3年、初演から2年経っていますので、時事的なことについて脚本は少々変更されていました。今にフィットした感覚がとても心地よかったです。ライブハウスのことを話すシーンでの「まあ場所はココなんすけどぉ(笑)」とか最高!

 初演は2004年でしたので、イラク戦争についてものすごく身近に感じていたのですが、もう3年経って、自衛隊も派遣されて、今、撤退するとかしないとかの状態になっていて・・・イラク戦争というよりは、今、地球上で起こっている戦争などの人為的な不幸全体を想像しました。

 初演に比べると照明がかなり大胆になっていました。色も派手です。かっこいいです。得にラストの短い暗転の後、ミノベ君(瀧川英次)が銀行のATMから戻ってきて、お金をユッキー(山崎ルキノ)に渡して、渋谷駅へ向かう時の、あの下手天井から横に差す白い照明。光る時も消える時もバシュっていう音が聞こえたような。

 休憩後、上演中に携帯電話の着信音が鳴りました。かなり大きい、しかもマヌケな音が、私の後方から。私は瞬間的にムカっとして後ろを振り替えました。するとちょうど舞台でセリフをしゃべっていた山縣太一さんも、その携帯を鳴らしちゃったお客さんの方を観ていたのです。そしてまた2度目の携帯着信音!この時も山縣さんは鳴った方向(上手客席)を、セリフをしゃべりながらチラリと観たのです。「あ、今そこで鳴ったね~」みたいな雰囲気で(笑)。思わず私もクスっと笑ってしまい、すっかり楽しくなってしまいました。
 その後、携帯は鳴りませんでしたが、ドリンクを飲むお客様が多くなっていたので、グラスの中の氷が揺れるカランという音が断続的に続きました。大きな音の時はステージ上の役者さんがちゃんと反応してくれて、私は他の観客の皆さんと、そして舞台上の役者さんと、まわりのスタッフさんたちと、つまりあの空間に居た人たち全員と、一緒に会話をしているように感じて、すごく幸せになりました。

 私が初演の時に「2004年のベストラストシーンだ」と思った、あの、「山手線の音楽が鳴る長い暗転」が、ありませんでした!これは個人的に大衝撃でした(苦笑)。でも・・・今回の環境を考えると、つっぱなすように終わってくれて良かったです。劇場で上演される演劇だったらアリですが、ライブハウスで行われる演劇っぽいイベントでは、助長だし説明的になってかっこ悪かったことでしょう。あと、今回は音楽を使わない演出だったそうですので、その意味でもなくして正解だったと思います。

 ちょっと寂しかったのはミノベ君(山縣太一)が言う「そういうことほんとみんな分かってたら、戦争とかも起こんないだろうねって思うんだよ」というセリフに感動できなかったこと。初演の時は無表情に近い顔で他人行儀に話されていたと思うのですが、今回はにこやかに、安堵したような嬉しそうな表情で明るく話されていました。なんか、サラっと通り過ぎてしまったんですよね・・・。後ほど役者さんの演技について書きますが、そのことと関係しているのかもしれません。

 ポストパフォーマンストークで岡田さんがおっしゃっていましたが、音楽でいうジャズのように俳優の自由度をかなり上げたお稽古をされているそうで、それが如実に舞台に現れている気がしました。
 やっぱりミッフィーちゃん(松村翔子)はすごいです。きらきらしてらっしゃいます。勉強部屋の窓の向こうに宇宙の景色が見えるように感じました。
 そして、どうしても目が奪われたのが瀧川英次さん。衣装もお似合いで、すごくセクシーなんですよね。縦線状の赤い照明を浴びて下手の壁によりかかって座っているだけなのに、気になって仕方がなかったです(良い意味で)。

 ただ、果たしてそんな風に俳優が目立つということが演出意図に叶っているのかどうかという点では、疑問が残りました。役者さんの存在感がかなりデコボコとしていたことは、私個人としては楽しいし歓迎なのですが、作品全体としてはどうだったんだろうな、と。
 チェルフィッチュの作品ではだいたい山縣太一さんのことが一番印象に残っていたのですが、今回は存在感が少なくて、ステージの上手奥のすみっこでずーっと座っていた時などは、居らっしゃることをずっと忘れていました。いわば「壁」になっていらっしゃいました。だから、敢えて「目立たないように存在する」という演出がほどこされていたのかなぁ、と思ったりもして・・・つまり「完成度」という点で初日のステージは質が高かったのか低かったのかが、私には曖昧に終わりました。「完成度」という尺度が初演の時とは違うものに変わったのかもしれません。
 でも、このことは特に考えなくてもいいのでしょう。役者さんの技術はある一定ラインをはるかに超えてらっしゃいますし、私が最高に楽しい3時間ぐらい(開場時間を含む)を体験したことには変わりありません。

第49回岸田國士戯曲賞受賞作品 Postmainstream Performing Arts Festival (PPAF) 2006
出演=山崎ルキノ/山縣太一/下西啓正/松村翔子/瀧川英次/東宮南北/村上聡一
作・演出=岡田利規 企画=小沢康夫 舞台監督=鈴木康郎 照明=大平智己 宣伝美術=good design company ウェブ=谷上周史 制作=中村茜 制作協力=プリコグ 主催=チェルフィッチュ 共催=Postmainstream 助成=財団法人東京都歴史文化財団
前売り開始 2/1(水)~ 全席自由/整理番号つき 前売:3200円 当日:3500円(お立見の可能性あり) 学生:2800円(要学生証/ウェブ予約のみ) セット券=サンガツ・ライブ(3/17)と「三月の5日間」(公演日よりお選び下さい)のセット券前売のみ4500円(ウェブ予約のみ)
公式=http://chelfitsch.net/sangatsu.html
★3/17だけ『サンガツ・ライブ』です。全席自由 前売:2200円(ウェブ予約のみ) 当日:2500円 企画協力: HEADZ
サンガツ=梶道人 (dr)、山脇豊土 (dr)、小泉篤宏 (g)、小島創太郎 (g)、磯木淳寛 (b) DJ Peaky (electronics)
トークショー=小泉篤宏(ミュージシャン/サンガツ)×岡田利規(チェルフィッチュ)
チェルフィッチュ=ショートパフォーマンス「ティッシュ」作=岡田利規 出演=松村翔子/端田新菜
サンガツ=http://sangatsu.com/

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Posted by shinobu at 04:00 | TrackBack

2006年03月11日

フジテレビジョン・博報堂DYメディアパートナーズ主催『ハゲレット』03/09-21紀伊國屋ホール

 ラッパ屋の鈴木聡さんが脚色し、山田和也さんが演出するシェイクスピアの『ハムレット』です。「若禿げに悩むハムレット」だから『ハゲレット』ということで、何度見ても強烈なチラシ・ビジュアルですよね(笑)。
 前売り券は完売です。当日券は開演の1時間前から発売されます。

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 公演2日目に伺いましたが、まだこなれていない様子で・・・と思ったら、なんと出演者のブログで「2日落ち」と書かれている・・・(涙)。そうなんですよね、2日目はそういうことが多いですよね(私の個人的経験上)。あ、演出の山田和也さんのブログもありました。読みごたえあり!

 登場人物のキャラクター(性格など)が少々変わっていますが、ストーリーはほぼ原作どおりした(あらすじはこちら。Wikipediaはこちら)。セリフがすっごくわかりやすくなっていたり、創作されたたとえ話で爆笑できたりもしました。
 『ハムレット』は悲劇ですので、とても深刻で悲しいシーンがたくさんあります。そこにすっとぼけたギャグが頻繁に入れられており、観ていて少し戸惑うこともありましたが、全体的に軽い仕上がりになっているのは良いなと思いました。そしてラストのセリフおよび演出がとても面白かったです。

 上手い役者さんばかりが揃っているので、細かいところでのこだわりの演技が楽しかったです。ただ「2日落ち」だったようで(涙)、がっちりと胸に届いてくる作品とまではなっておらず、残念。

 舞台美術は石造りの荘厳な城でした。衣装はかなり豪華で、いわゆるクラシカルな王侯貴族が勢ぞろい。ノルウェーの兵隊の衣装(特に灰色のマント)がかっこ良かったです。

 ここからネタバレします。

 近藤芳正さん演じるデンマークの王子は今作でも「ハムレット」という名前で登場します。「ハゲレット」は家臣たちがこっそりつけたあだ名でした。オフィーリアはオフェーリア(オヘーリア?)になっていましたね。

 ハムレットとレアティーズ(鈴木浩介)との決闘の場で、国王(ベンガル)の陰謀により王妃(久世星佳)、レアティーズそして国王自身も死んでしまいます。瀕死のハムレットがホレーシオ(陰山泰)に最後の言葉を残そうとしている時、それらの死体が何度も起き上がって言いたいことをしゃべります。これが馬鹿馬鹿しくて笑えるし、しかもその一言のセリフが私たち自身の本音をスパっと言い切ってくれていました。セリフ↓は完全に正確ではありません。
 王妃「煩悩が全てよ!」
 国王「(ハムレットに向かって)おまえは考えすぎなんだ!理屈っぽい!ハゲ!大ハゲ!」
 
 国王らの死体がごろごろ転がる広間にフォーティンブラス(土屋裕一)がやってきて、「ハムレット王子はどのような人物だったのか」と聞きます。ホレーシオが答えて曰く↓
 「考えること。それが世界と人間を愛することなのだ。」(←これは誰のセリフだったかしら・・・)
 「彼は考えることをやめない人でした。常に悩み続けた。いつまでも答えを出さない強さがありました。」

 ちょっと感動しちゃいました。そっか、ハムレットは「考える」ということをし続けた人だったんですね。そして「考える」こと自体が人間が生きているってことなんだ。答えを出さないことは優柔不断なんじゃなくて、強いんですね。

 土屋裕一さん演じるフォーティンブラスが、「3つ以上の言葉が続くと理解できない」というレベルの一直線なバカだったのには笑わせていただきました。演技も不必要なぐらい熱くて面白かったです。

≪東京、北九州、大阪≫
出演=近藤芳正/笹本玲奈/陰山泰/石田圭祐/鈴木浩介/福本伸一/木村靖司/櫻井章喜/湯澤幸一郎/土屋裕一/久世星佳/ベンガル
原作=W.シェイクスピア『ハムレット』 監修・翻訳=小田島雄志 脚色=鈴木聡 演出=山田和也 美術=二村周作 照明=足立恒(インプレッション) 音楽=久米大作 音響=長野朋美(オフィス新音) 衣装=前田文子 ヘアメイク=佐藤裕子(スタジオAD) 殺陣=渥美博 演出助手=則岡正昭 舞台監督=小林清隆(ジ・アクト・コネクション・カンパニーリミテッド) 宣伝デザイン=坂本拓也 宣伝写真=サト・ノリユキ 宣伝=吉田由紀子 票券=諏訪信子 制作助手=長沢弥生 相馬末江 制作=山家かおり(Me & Herコーポレーション) プロデューサー=有澤ひろみ(フジテレビジョン) 山下真由子(博報堂DYメディアパートナーズ) 企画=堀口壽一 中谷友和
16ステージ 一般発売12/10(土)前売¥6,900 当日¥7,000(税込・全席指定)※未就学児の入場不可
*関係者よりの宣伝=「若禿げに悩むハムレット。多分こんなに悲しいハムレットはかつてないはずです。乞うご期待。」
公式=http://wwwz.fujitv.co.jp/events/stage/st060309hagelet.html

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Posted by shinobu at 13:53 | TrackBack

2006年03月10日

【ポストパフォーマンストーク】PME『生殖行為によって家族は作られる 』03/09-10東京キネマ倶楽部

 PME終演後のポスト・パフォーマンス・トークを聞きました。レビューはこちら
 出演者はジェイコブ・レンさん(PME演出)、岡田利規さん(チェルフィッチュ)、鴻英良さん(舞台批評家)、そして通訳は内野儀さん(演劇批評家)でした。豪華ですね~っ。
 トークは1時間ぐらいありましたね、長くて充実していました。

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 なぜ岡田さんがこのトークにゲスト出演されることになったかは、チェルフィッチュブログ2参照。メモって覚えている限りのことを書きます。以下、敬称略。

 岡田「2003年3月15日、アメリカ軍によるイラク空爆直前に、PMEの「Unrehearsed Beauty」という作品を見ました。出演者が話したいことを話すという内容で、当然のことながらそのステージではイラク空爆の話が出ていて、内容もさることながら(自分の考えに)共通するものがあって、僕を刺激してくれる、思考を回転させてくれるようなタイプの演出でした。今回を含めて複数回PMEの作品を観られて、よくわかりました。」

 岡田「今作品で使われた言葉で言う「平凡」について。この「平凡」というのはポジティブな意味です。平凡さに留まるということは難しい。美しくしていくことは、むしろ留まることよりも決して難しいことではないのではないか。自分は塗り固めていくタイプの作り手だ。自分に対しての戒め(というほどのことでなくてもいいけれど)にしたいので、Jacobさんにお聞きしたい。コーヒー、トーストなどの平凡(日常)を舞台に上げることについて、「そんなことをわざわざ舞台上でする必要はないのではないか?」という批判が出てくる。それを肯定する(その批判に対して反論する)ロジックをJacobさんがもしお持ちなら、教えて欲しい。」 

 Jacob「(この場合の)平凡というのは英語でcasualです。casualというのは凡庸ではない。アート(芸術)はそれ自体だけでは退屈です。日常と接続した時点で面白くなる。人間は生活からは逃れられない。日常に居ながらどのようにアートと関われるのかが重要。パフォーマンスでは日常的な振る舞いができる。だから日常とアートが出会える。」

 Jacob「今、私達がこうして舞台で話したり、コーヒーを飲んでトーストを食べて、西洋式の豊かな生活をしている間にも、危機は続いている。エチオピアでは子供が餓死し、イラクでは爆撃による殺戮が起こっている。自分の履いている靴についても、第三世界の子供が1時間3セントの時給で奴隷のように働かされて作ったものかもしれない。全く違う生活水準が同時に存在している。Everyday life is pure crisis. 危機意識を持って何かをやることが重要。」
 Jacob「15年前は舞台で人が叫んだりする演技はなかった。今はそこに怒りがある。でも劇場の外ではジョークを言って笑ってたりする。完全にイカれてる(completely insane)。そこを意識しないわけにはいかない。」

 岡田「靴がどのようなプロセスで作られているのかを知ったとしても、日常の中では、我々は忘れてしまう。やっぱり安いものを買ってしまうし、スターバックスでコーヒーも飲む。だからそれをパフォーマンスで表現し、危機意識を喚起させて、自分の中に取り入れていかなければいけない。契機は何でもいい。パフォーマンスは有効なものだと思う。」

 岡田「今回は子供の話が出てきましたが、実は僕もちょうど前作で子供の話をやりました。パクってるわけじゃないんですが(笑)、びっくりしました。僕にも子供がいて、その意味で興味もあるのでお聞きしたいのですが、後半でパソコンに話させていたロジック『皆さん、子供を持つのをやめましょう』について。Jacobさんは反論できますか?」

 Jacob「あのパソコンの言っていた論理は、まさに私の考えです。もちろん賛同する人が極端に少ないであろうことは否定しません。私の親は私を愛してくれたし、大切にしてくれている。でも私は両親が嫌いです。生まれた子供が必ず両親を愛してくれるなどということはありえない。ロックンロールにしたって、親に反抗するという音楽ですよね。」
 Jacob「靴を買うことも、子供をつくることも、自殺をすることも、究極の選択。子供を持つのは当たり前のように言われてるが、それに疑義を示したい。」
 Jacob「子供に対して一番過保護なことは、子供を生まないこと。」

 岡田「たしかに「生むべきかどうか」というところに居ることができない状態ではありますね。僕は子供が居るから反論したいんだけど、どうにもできそうにない(笑)。」

 Jacob「これだけはひとつ、言っておきましょう。私がこんな主張をしたとしても、人類は続きます。人類にしかないエネルギー、力(など)は確かに存在していて、そこに、ある種の真実がはらまれている。」

 鴻「これはオイディプスの話ですよね。出産の逆説です。また、ユダヤ人のエピソードも出てきました。」

 Jacob「実際、自伝的です。私がきらいなことを劇にしました。家族劇、メロドラマ、ソープオペラ(昼ドラ)などの、「どうか私の話を聞いてよ~」と訴えかけるような(不恰好な)ものを作ってしまうのではないかと恐れました。しかし、その恐怖に対面して、その結果を楽しみにしようじゃないかと思ったのです。
 Jacob「自分がユダヤ人であることやセックスについてなど、作品に放り込んでみました。この15年間ではじめて(もしくは2度目)のことで、(観ていて)最も暗くなる作品だったかもしれません。」

出演=ジェイコブ・レン(PME演出)×岡田利規(チェルフィッチュ) モデレーター=鴻英良(舞台批評家) 通訳=内野儀(演劇批評家)
公式=http://precog-jp.net/2006/01/224331_postmainstream_performi_1.html

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Posted by shinobu at 17:03 | TrackBack

PME『生殖行為によって家族は作られる 』03/09-10東京キネマ倶楽部

 PMEは、カナダはモントリオールのパフォーマンス・グループです。チェルフィッチュブログ2の引力で観に行くことにしました。原題は“Families are formed through copulation”です。う~ん、タイトルの意味は露骨ですよね(笑)。
 ポスト・パフォーマンス・トークで舞台評論家の鴻英良さんが「チェルフィッチュの作品に(が?)構造的に似ている」とおっしゃっていましたが、確かにそうだなと思いました。

 東京キネマ倶楽部(←音が鳴ります)は元キャバレーだった会館で、すっごくムードのある空間でした。あそこに行けただけでも楽しかったですね。鶯谷(うぐいすだに)はちょっと遠かったですが。
 明日(3/10)の20時の回で千秋楽です。

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 3月はこのポストメインストリーム・パフォーミング・アーツ・フェスティバル2006と平行して東京国際芸術祭2006も開催中で、海外の舞台芸術に触れられる機会がとても多いですよね。できれば全部観たい!って気持ちなんですが、スケジュール的に難しくって・・・・悔しいなぁ(涙)。

 ここから概要を書きます。読んでから観に行かれても支障はないと思います。

 さて、今作は男1人と女2人が出演するパフォーマンスでした。大枠として第1部~第5部に分かれており、さらにその中にいくつかのパフォーマンスがあります。3人ともTシャツにジーンズという感じのラフな衣装で、どちらかというと日常的な体の状態で、舞台の上に居ます。普段の現代人のようにだらんとしてたり、ゆらゆらしてたり。マイクを持って客席に向かって告白をしたり、2人もしくは3人で動いたり踊ったり、レコードをかけたり楽器を演奏したり。

 読まれるテキストの日本語訳が舞台奥の大きなスクリーンに映し出されます。これがけっこうな量で読むのがちょっと大変なんですが、刺激的で、だけど納得できる意見ばかりでとても面白かったです。何かと皮肉っぽいんだけど、説得力があるんですよね。

 役者さんの舞台での存在の仕方は、演じている自分を演じている、というような、何をするにしてもしないにしても、常に客観的な視点を保った状態でした。「役を演じる&振付どおりの動きをする、ということを客観視する演技」をしているというか(説明が下手ですみません)。私にはそのあり方がすごく心地よくて、彼らが話す言葉がものすごくスムーズに私の心に届いてきました。だから字幕も英語もスポンジのように吸収できる気がして、そのシャワーを浴びるのが気持ちよかったです。ただ、言葉がない時の動きや演奏の時はちょっと眠くなったりもしましたけどね。

 ここからネタバレします。内容は覚え書き程度です。

第1部■親はサンドバッグ、子供は暴君。
 ・ヒッチハイク。むりやり○○○ジョブさせられた友達が自殺した。
  水をスポイドで目および顔にたらして涙を表現。
 ・自分はユダヤ人。ナチスの子孫である彼女を攻め立てた。
  でも彼女の親(ナチス)も、家族のために(ユダヤ人虐殺を)やっていた。
 ・悪いのはすべて親。子のせいではない。
 ・下手で箒(ほうき)が釣り下がっている。揺れる。

第2部■家族セラピー
 ・相互確証保障。ニヒルでぶっきらぼうなセリフのやりとり。
 ・巻尺で縄跳び。

第3部■皆さん、こどもを作るのをやめましょう。"People, Stop Having Children."
 ・上手のごみ袋が揺れる。がさがさ、もぞもぞと音が鳴る。
 ・ノートブック・パソコンが語る「子供を作るべきではないロジック」。
 ・私達が世界をだいなしにしてしまわないように祈る時間が必要だ。
 ・生まれてこないのは楽勝です。

第4部と第5部についてはタイトルを忘れました。分かれ目も曖昧。

 ・親に対して20ページの手紙(親を非難する内容)を送ったら、親から詫びてきた。
 ・下手の階段の上で、親が子供の腕に風船のようなものを丁寧につける。
  「子供は飛行機で、それをうまく飛ばそうとする親」のよう(私の個人的な感想)。
  でも子供は風船(=救命胴衣)を自分でどんどんはずしてしまう。
 ・透明プラスティックのグラスを高く積み上げていく。てっぺんのグラスに液体を入れる。
  その液体に何らかの薬(?)を足すと、液体が一瞬だけ青い光を放ち、すぐに消える。
  家族の共同作業かなと思いました。一瞬だけど、えも言われぬ奇跡のような美しさがそこにある。


 客席には演劇業界人(っていうのかしら)がいっぱい。ポスト・パフォーマンス・トークの出演者が豪華なのもあるでしょうが、このフェスティバルが注目されているからかなと思いました。トークの内容はこちら。

Postmainstream Performing Arts Festival 2006
創作・出演=ゲタン・ナド/ロー・オットマン/トレイシー・ライト
【PME側スタッフ】作・演出=ジェイコブ・レン(Jacob Wren) 美術・映像=ジャン=ピエール・ゴウチエ 振付=マルタン・ベランジェ 技術監督=マシュ・シャトゥラン 舞台監督=イザベル・ボドゥリ プロデューサー=リシャール・ドゥシャーム/シルヴィ・ラションス/ジェイコブ・レン
【日本側スタッフ】舞台監督=尾崎聡 技術監督=関口裕二(バランス) 字幕・翻訳=新井知行 字幕オペレーション=桑原綾子 プロデューサー=丸岡ひろみ/小沢康夫 制作助手=塚口麻里子 主催=国際舞台芸術交流センター(PARC)
前売り3.000円 当日3.500円 ワンドリンク付き
3月9日(木)アフタートークあり。出演=ジェイコブ・ウォレン(PME演出)×岡田利規(チェルフィッチュ) モデレーター=鴻英良(舞台批評家) 通訳=内野儀(演劇批評家)
公式=http://precog-jp.net/2006/01/224331_postmainstream_performi_1.html

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Posted by shinobu at 00:45 | TrackBack

2006年03月09日

【情報】こまばアゴラ劇場「サミット」の次期フェスティバルディレクターは岡田利規さん

 こまばアゴラ劇場が毎年夏と冬に開催している舞台芸術フェスティバル「サミット」の次期フェスティバルディレクターは、チェルフィッチュの岡田利規さんに決定したそうです(公式サイト及びチェルフィッチュブログ2より)。
 任期は『冬のサミット2006』からの2年間。観客としてはどんなカンパニーが選ばれるのか楽しみです。ダンス・カンパニーが多くなるのかな~。
 サミット出場を狙っているカンパニーは岡田さんのことを良く調べて、虎視眈々と計画を練っていただきたいですね♪

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Posted by shinobu at 14:06 | TrackBack

DULL-COLORED POP『ラパン・アジルと白の時代』03/03-05阿佐ヶ谷アルシェ

 谷賢一さんが作・演出するDULL-COLORED POPの第2回公演です(第1回のレビューはこちら)。モーリス・ユトリロおよび彼を取り巻く人々を描きながら、彼の画家人生を紹介していく作品でした。
 初日に観に行ったのは失敗だったかな・・・とちょっと後悔しました。20代前半の学生が集まった劇団で、第2回公演ならまあ仕方ないかも、というところです。ただ、チケット代が今上演中の五反田団と同じで前売り1500円なんですよね~・・・小劇場の若手劇団はチケット代の値段設定に深慮が必要でしょうね。まず五反田団を観てみなきゃだめなんじゃないかな。

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 間口が狭く、奥行きがちょっと広い空間の全体を白い壁で囲み、ユトリロの絵(のコピー)を飾ってギャラリー風にしていました。客席の方までずっと白い壁が続いていたので、より広く感じました。舞台上にあるのは膝下ぐらいの高さの白くて四角い箱が数個だけ。この箱をイスと見立てて、色んな場面(フランスの街、酒場、モーリスの家、画廊など)に転換します。

 イスしかないわけですから、後はすべてマイムで表現します。テーブルもないし、グラスもないところで飲んだくれる演技をするのは大変です。マイムって簡単にできることではないですからね、色んな不都合が発生していました(たとえば床にあるはずの嘔吐物をどんどん踏んじゃってました)。低予算公演でよくあるタイプの演出ですが、リスクが大きいと思います。

 脚本は面白かったです。特にサス(スポットライト)を浴びて登場人物が一人一人独白をしていくのがとても良かった。「実は彼は~だったんですよ」と誰かが言うと、違う誰かにサスが当たり、「それは嘘だ!本当は~」と、次々に話していくのです。
 若きモーリスは酒代を稼ぐために絵を描いて売るという日々を送っています。すごいアル中で、けんかっぱやい不良だったんですね。彼がそんな性格になってしまったのは彼の母親のせいだという視点から、途中でモーリスではなく彼の母親の若い頃も描くようになりました。一人の男を描くためにその周り(特に母親)を描くことは効果的ですし、結果的にその時代の画家というもの全般についても表すことが出来ていたように思いました。
 あと、ギャグが面白いんですよね。役者さんのアドリブ的なネタじゃなくて、脚本にすでに書かれているであろうものが。
 何年後かに再演されたらいいのではないでしょうか。皆さんがもっと成長されてから。

 モーリスがずっと室内でイーゼルに向かって絵を描いているシーンで、照明が朝、昼、夜と変わっていくのはきれいでしたね。人物同士が対峙したり、セリフのやりとりがない場面でシーンが成立しているのは、前回公演ではあまり見受けられなかったことです。サス下の独白や抽象美術および衣装の点からも演劇的なアプローチが多く、演劇作品としては前回よりも見所がありました。

 役者さんはちゃんと正面(客席の方)を向けない人がほとんどで、普通に観てられたのは8人中2人ぐらいですね。これは若手の小劇場劇団でよくある状況ですので、私はもう慣れました。イヤだけど。

 モーリス役の富所浩一さんは、絵を描く筆さばきがとっても様になっていて、画家に見えました。
 はじめにサスに入って独白を始めたモーリスの友・ユゼ役の大野遙さん。この方の独白からやっと普通のお芝居になりました。
 立っているだけで目を引いたのは、最後の方に登場したモーリスの妻・リュシー役の清水那保さんでしたが、あまりにセリフを間違うので驚きました。そうか、演技じゃなくて天然だったんですね・・・。

 初日ということで・・・かなりドタバタしていたようです。目に付いた不手際がたくさんありました。たとえば開場・開演ともにかなり遅れていました。また、当日パンフレットに予告されている画集が舞台上に用意されていなかったり。
 作・演出の方が開演前に長い前説(実はセリフ)を言われましたが、たどたどしくて・・・。物語をそのまま上演するだけでも伝わってくることだったと思いますので、あれはない方が良かったですね。やるならちゃんと役づくりが必要でしょう。例えばギャラリーのオーナー役になって、訪れた客(=観客)に話しかける設定はどうかしら。
 これは初日だったからかどうか(後半で改善されたかどうか)はわかりませんが、絵が入っていない額が多数あったのは、ストーリーや演出から考えても、単に全部揃わなかっただけなのでしょう。そう思われても仕方ないと思います。

 ※チケットを作っていない公演でした。私はチケットを領収証がわりにしていますので、チケットがない場合は領収証をもらうことにしています。この劇団に限ったことではないですが、制作さんには領収証の書き方をマスターしておいてもらいたいです。

出演=池田学/岩藤一成/遠藤恵一/大野遙/清水那保/高橋絵梨佳/富所浩一/堀奈津美
作・演出=谷賢一 舞台監督=三友良平 照明プラン=松本大介 照明操作=滝井麻美 音響効果=鮫島あゆ 舞台美術=萩原未来 衣装=杉崎真由子 宣伝美術=ofj 小道具=新井宏美/高野翼 制作=大藤多香子
5ステージ 前売り1500円、当日1800円
公式=http://www.dcpop.org/

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Posted by shinobu at 13:27 | TrackBack

2006年03月08日

ポツドール『夢の城』03/02-12THEATER/TOPS

 前作『愛の渦』で第50回岸田國士戯曲賞を受賞された、三浦大輔さんが作・演出されるポツドール。とうとう臆病者の私も観て参りました!この何年もの間、逃げて、逃げて、逃げてきましたけど、やっとポツドール初体験!なんだか一人で興奮気味ですが(笑)、観てよかったです~。最初はほんとキツかったですが、面白かった!ちょい泣いちゃったし!
 ※チラシには対象年齢などの表記はありませんが、未成年は観てはいけない気がします。

 言及ブログ⇒チェルフィッチュブログ2

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 ポツドールというと(公式サイトより→)“演劇的なものを最大限に排除したドキュメンタリータッチの作品(=セミドキュメント)”で2000年ごろから有名になった劇団です。舞台上で本当にエッチしちゃうという噂を聞いて私は恐れおののき、のべ5~6年間も避けてきました。しかしながらその作風は2002年ごろから変化し始めたそうで、去年はフジテレビ『演技者。』でドラマ化されたり、岸田國士戯曲賞を受賞されたりと大活躍。とうとう私も年貢の納め時か、と・・・(苦笑)。
 チケットを予約した時点で「エログロの極致ですよ」という恐ろしい情報が耳に入っていましたが、勇気を出して観に行って良かったです。ポツドールを観られたことは私にとって大事件でした。そして、面白いと思えたことも。

 たしかに「エログロ」かもしれません。はじめのシーンから強烈でした。でも3シーン目ぐらいから私もすっかり慣れて(慣れって怖いですね)、いったい何を描いているのか、私には何が届くのかを慎重に感じ取ろうと、必死で舞台を見つめ続ける努力をしました。さすがにね、苦しくってうつむいちゃうこともあったんですよっ(涙)。でもうつむくと前が見えないので、面白いところや大切なところを見逃しちゃうんですよね(当然だよ!)。客席でクスクス笑いや小さなどよめきが起こってるのに、自分が気づかないなんて・・・悔しいので、がんばりました。

 動物のような人間が、そこに居ました。最初は気持ち悪かったです。いや、気持ち悪いというよりは不愉快、気分が悪いという感覚です。なんだか馬鹿にされているような気がしたから。でも、あの部屋の中に居る若い男女をずっと眺めていて、行われる行為に慣れてきて、静かに、無表情に流れ去っていく時間を共有していく内に、自分の中に疑問が生まれました。私が心から欲し、あこがれさえ抱きながら胸に思い描いている“愛”について、もしかすると自分は間違っているかもしれない、と。だって、あの部屋の中で群れる粗野な人間たちの姿にも、愛が見えてしまったから。

 ここからネタバレしますので、これからご覧になる方はお読みにならないでください。

 舞台はアパートの一室。時刻はAM2:00(幕が下りてきて文字映像が映写されます)。舞台面側に小さなベランダがあり、壁とガラス戸できっちりと仕切られた向こう側に、ごちゃごちゃしていてこ汚い部屋が見えます。部屋の中には布団が無造作に敷きつめられており、ガングロ&金髪の若い女の子が2人、いかにも素行が悪そうな男の子が4人(?)、それぞれ談笑したりごろごろ寝たり、テレビゲームをしたりしています。客席には車が高速で走り去る音だけが大きく鳴り響いており、人物の声はいっさい聞こえません。
 そんな中、舞台上手前で男女がセックスをし始めます。狭い部屋で5人以上がひしめき合う中、すぐ隣りでセックスしていても周りは全く知らん顔。テレビゲームをしている男たちはテレビゲームを、雑誌を読む者は雑誌を、じゃれあっていた男女はじゃれあい続けて、でも徐々にセックスをしはじめたりします。

 ・・・ここまでで私は、予想していた惨事を目の前にして頭痛がしてくるように感じ・・・でも、我慢しました。まだ壁の向こうで行われていたのでね、耐えられました。20分以上続いたと思われるそのシーンが終わって暗転すると、大音量の音楽とともに映像でオープニングのクレジットが始まりました。なんとも言えない居心地の悪さでした。
 音楽・映像と暗転が終わった次のシーンでは、壁が取り払われて、明るい照明が部屋を素っ裸にしています。BoAやジャニーズの男の子のポスター、日本国旗、ジャマイカ国旗などが壁中に張り巡らされた、ものすごく散らかった部屋で、女の子が一人起きてドライヤーで髪を乾かしています。他の若者は泥のように眠っており、男の子は全裸のままだったりも。舞台ではドライヤーとテレビの生の音がするだけで、スピーカーからの音楽や騒音は全くありません。流れているテレビ番組の時計表示を見るとAM9:30ごろです。「地獄のようなアパートにも太陽は昇るんだな~」と、ちょっと感慨深い思いをしたのもつかの間、また上手前でセックスしはじめる男女・・・。

 AM2:00からAM9:30、PM3:00と描かれていく内に、どうやら男5人&女3人の合計8人の若者が、ひとつのアパートで共同生活をしていることがわかってきます。朝からセックスしていた男女も、出勤(?)時刻になるとそれぞれが勝手に、何事もなかったかのような表情で部屋を出て行きます。PM3:00にはまたバラバラと部屋に戻ってきて、マンガを読んだり、テレビゲームを続けていたり。もちろんセックスもそこらでやってます。

 PM6:00になると女の子の一人が夕食の準備をはじめ、もう一人は皿洗いをしはじめます。一人の男の子がボクシングのグローブを鍋つかみ代わりにして、出来上がったであろう鍋を部屋の中央に持って行きます。すると他の男の子が部屋中に敷かれた布団をちょこっと横にずらして鍋のスペースを作り、鍋を床に置く寸前にサっとカセットコンロを出してきました。そして鍋に向かってぞろぞろと集まってくる若者達。おわん片手に箸を鍋につっこんで、皆でもしゃもしゃと食べます。皿洗いをしていた女の子はたまじゃくしから直接食べていました。
 調理から食事にいたる一連の動線はあまりに自然で、抜群のチームワークでした。このシーンから一気に私は、この『夢の城』の世界に引き込まれました。だんだんと彼らが野生のライオンの群れのように見えてきたのです。どこだったか忘れましたが、男同士でキスしてたかと思ったら、取っ組み合いのケンカのようになったシーンがありましたよね。あれもまさにライオンや猫がじゃれ合っているようでした。

 テレビはずーっとつけっぱなしで、チャンネルは誰もが勝手に変えて、テレビゲームになったりニュース番組になったりしています。テレビ番組のなんと見苦しいこと。朝のワイドショーでのお薦め温泉情報、昼のワイドショーでの祖母と孫の怪死事件報道、子供のための保険のCMなど、どんどんと汚く見えてきました。

 食事中に女の子の一人が下手奥の床に置かれたキーボードで、バッハの“主よ人の望みの喜びよ”(←音が鳴ります)を弾き始めました。曲が繰り返されるのをじーっと聞いている内に、私は空しさと嬉しさが混じったような何とも言えない気持ちになり、そして涙が流れました。
 同じ鍋で食事を分け合い、トイレもお風呂(ユニットバス)も布団も一緒。セックスしたければして、出かけたければ出て行く。でも、必ずこの部屋に帰ってくる。何もかも受け入れ、決して文句も言わず拒否もせず、そこにいつも8人が居るということが継続しているのです。本当の意味でのありのままを受け入れ、許し、それが続いている・・・これって愛じゃないのかな・・・って思ったのです。

 そしてAM3:00。部屋にはずっとテレビゲーム(野球)をやりつづける男が一人だけ。そこにおそらくクスリでラリっている男が2人、戻ってきます。相当ご機嫌な2人は、全裸で前転したりするんですよ(あぁこれ以上は書けないよ、もう)。あられもない姿というのはこういうことだと思います。 
 AM3:20ごろ、誰も何の合図も出していないのですが、自然に掛け布団(のようなもの)を所定の位置に並べ始めます。どうやらそれぞれの寝る場所が決まっているようです。誰かが勝手に蛍光灯を消して、就寝時間になりました。でもテレビはまだつけっぱなし。おそらくNHKでクラシック音楽(ショパンの幻想即興曲など)に合わせたイメージ映像が流れています。白鳥が湖でたわむれる映像に、踊るバレリーナの影が重なります。

 突然、テレビを見ていた女の子がつっぷして泣き始めました。それを見た男の子がむくっと起き上がって、蛍光灯を点けます。まぶしくて起きた男の子がもう一人。2人は全裸になってスピードスケートのリレーの真似をします。・・・ギャグみたいに見えて、笑えました。これはたぶん泣いている女の子の目をひきつけて、泣き止ませようとしたのではないでしょうか。めちゃ可愛いし、優しい行為です。まぶしくて起きた男の子も、電気を点けた男の子のポーズを見た瞬間に「あ、スピードスケートねっ♪」とわかったようで、これはあ・うんの呼吸ですよね。でも女の子は2人に全く気づかず、泣き続けるままでした。

 最後の暗転があり、大音量の音楽の中「作・演出:三浦大介」という文字映像が映し出されました。
 その後もう一度明転したら、壁が復活していました。ガラス戸の向こうに、つけっぱなしのテレビと光ファイバーのちゃちい照明器具が光っており、若者たちは眠っています。そしてカーテンコールなしで終幕。

 終わってみて冷静に考えてみたら、あえぎ声や叫び声、かけ声等以外にセリフが全くありませんでした。誰も言葉を発していなかったのです。行動はすべて自分勝手で唐突。言葉は全く発しない。でもその部屋の中には完璧な調和がありました。これは演出はもちろん、役者さんが上手いのもあると思います。

 最後に壁が出てきて『夢の城』が閉じられました。私達は家族同士、クラスメイト同士、同じ趣味の仲間同士等で集合体をつくり、閉じていますよね。また、自分の周りに強固な壁を作って、他人をシャットアウトしているとも言えます。閉じられた中身はこの『夢の城』のようにみだらで自分勝手な欲望で満杯になっています。自分で作った壁に遮られて、閉じ込められたまま生きる私達を表しているのかな、とも思いました。

出演=安藤玉恵/米村亮太朗/仁志園泰博/古澤裕介/鷲尾英彰/名執健太郎(smartball)/佐山和泉(東京デスロック)/小倉ちひろ(smartball) ※桜子は体調不良のため降板。
作・演出=三浦大輔 照明=伊藤孝(ART CORE design) 音響=中村嘉宏(atSound) 舞台監督=清沢伸也 舞台美術=田中敏恵 映像・宣伝美術=冨田中理(Selfimege Produkts) 小道具=大橋路代(パワープラトン)  衣装=金子千尋 演出助手=富田恭史(jorro) 尾倉ケント 写真撮影=曳野若菜 ビデオ撮影=溝口真希子 制作=木下京子 運営=山田恵理子(Y.e.P) 制作補佐=吉永鉱朗 青木理恵 大森敦史(hotair) 広報=石井裕太 協力=(有)マッシュ 企画・製作=ポツドール
16ステージ 【前売り】全席指定 3300円 【当日】3500円
公式=http://www.potudo-ru.com/
第50回岸田國士戯曲賞受賞=http://www.hakusuisha.co.jp/current/kishida_senkou.html

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Posted by shinobu at 22:03 | TrackBack

AOYAMA FIRST ACT #7/innerchild『PANGEA(パンゲア)』03/07-13青山円形劇場(3/7はプレビュー)

 青山円形劇場が、初めて同劇場に進出する若手有望劇団を後援するAOYAMA FIRST ACTの第7弾。innerchild(インナーチャイルド)は小手伸也さんが作・演出される劇団です。『PANGEA』は2001年2月初演で、今回が初の再演です。
 前売り・当日ともに2,500円というお得なプレビュー公演を拝見しました。プレビューでしたが文句なしの完成度でしたね。小劇場劇団ではなかなかないことです(残念なことですが)。
 BACK STAGEに充実の稽古場レポートあり!

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 ≪あらすじ≫
 心理カウンセラーの島林和実(古澤龍児)は、多重人格障害を持つ大神みさき(真柄佳奈子)を担当している。みさきの中の複数の人格をひとつにするために、彼はみさきの中の人格たちと直接会って、交渉をはじめるが・・・。
 ≪ここまで≫

 謎が一つずつ解けていく楽しさと、先が知りたいとはやる気持ちとで、最後まで引き込まれていました。上演時間2時間12分というのは少々長いですが、終わった時はなぜかとっても充実した心持ちでしたね。私は観客ですから、別に自分で何かを突き止めたわけではないんですが(笑)。

 映像、音楽、照明と十数名の役者さんがゆっくりと入り乱れるオープニングがかっこ良かったです。体にゾクっときました。
 円形劇場の半円が客席で、残りの半円はイスが取り払われており、中央ステージと連続した段差舞台になっています。丸いステージ上には白い砂が敷きつめられていて、その奥の段差部分の中央には、青いグローブ・ジャングルが設置されています。ステージと段差部分、そして会場のドアなどが効果的に使われていました。そして、なんといっても白い砂が美しいですし、海、脳、太古の記憶・・・といった印象が、物語のイメージにぴったりです。
 役者さんは皆さんとても安定していて、それぞれを登場人物(人格)として見ることができました。そのおかげで難解なストーリーを最後まで集中して楽しめたのだと思います。軽快なギャグがいっぱいあったのも、心地よい息抜きになりました。

 なぜ「パンゲア」という大陸(大国?)の名前がタイトルになっているんだろう、なぜグローブ(地球)・ジャングルなんだろう、などとゆっくり考えながら歩いて帰りました。

 ここからネタバレします。

 十数人の人格それぞれに話を聞いて、みさきが多重人格になった原因を探っていくのですが、それは幼い頃の虐待、それも実の父親による性的な虐待であったことが明らかになります。みさきは極度につらいことや怖いことがあると、自分を守るために、それらに耐えられる人格を生み出してきました。

 自分を心理カウンセラーだと名乗っていた島林ですが、実は彼も多重人格の内の一つの人格で、みさきの中の「治りたい(ひとつの人格になりたい)という意志」でした。島林が自分がその「意志」であるということを自覚し、自ら進んでみさきを動かす立場に立って(グローブ・ジャングルの頂上に登って)、その意志を実行した時に、みさきは治ります。
 
 オープニングで「3億数千年前、世界は再びひとつに統合され、それはパンゲアと呼ばれていた」という意味の字幕が流れていました(完全に正確ではありません)。地球が生まれた時は、きっと世界はひとつでしたよね。今は言葉も文化ももばらばらで、肌の色や宗派が違うという理由でいがみあったり、殺しあったりしている私達人類ですが、「ひとつになりたい」という意志を示して実行することで、奇跡が起こるかもしれない・・・という希望がそこにあったんじゃないかと思いました。

出演=古澤龍児/菊岡理紗/土屋雄/三宅法仁/宍倉靖二/小手伸也/真柄佳奈子/前田剛(BQMAP)/町田カナ(reset-N)/杉浦理史(bird's-eye view)/伊藤修子(拙者ムニエル)/吉田晋一(カムカムミニキーナ)/太田緑・ロランス(サードステージ)/狩野和馬(InnocentSphere)/中谷千絵(天然工房)/櫻井無樹(千夜二夜)/秋山ひとみ/冨樫舞
作・演出=小手伸也 舞台美術=u-rec-a 舞台監督=筒井昭善 照明=榊美香((有)アイズ) 音響=尾林真理(ウーハーズ) 映像=神戸ちぎ 衣裳=渡辺まり 衣装製作=岩下真由美 宣伝美術=神戸ちぎ 小道具=櫻井徹 メイク=萩原麻弥 メイク補佐=佐藤奈津希 演出補佐=石川カナエ/川崎総之 撮影=引地信彦 映像撮影=theatre plateaux 映像撮影=金山智 制作=インナーチャイルド制作部/G-up(赤沼かがみ・伊藤恭子) 企画・製作=innerchild 提携=こどもの城 青山円形劇場 担当=劇場事業本部 志茂聰明
9ステージ(内プレビュー1ステージ) 前売り開始2月8日(水) 前売3,200円 当日3,500円(プレビュー公演のみ前売当日共:2,500円)
公式=http://homepage2.nifty.com/innerchild/

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Posted by shinobu at 01:49 | TrackBack

2006年03月07日

日本演出者協会『若手演出家コンクール2005最終審査 橋口幸絵「古事記一幕・イザナキとイザナミ」』02/28-03/05「劇」小劇場

 橋口幸絵さんが脚本・演出される劇団千年王國は、東京国際芸術祭リージョナルシアターシリーズにも参加されている札幌の劇団です。
 一人の女優さんが「古事記」のイザナキとイザナミを堂々と演じ、楽器の生演奏および演奏者との有機的なコラボレーションが生まれていました。布や紙を使ったダイナミックな演出と、イザナミ(女)を主体とした脚本は個性豊かで、照明と衣裳のコンビネーションも圧巻。完成度の高い作品でした。何度か涙しました。
 レビュー⇒小劇場系(4作品全部ご覧になっています)。

 ★最優秀賞と観客賞をダブル受賞されました(劇団サイトより)。
 ★審査の様子が「千年番長下北沢へ行く」に載っています。

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 ≪あらすじ≫ Wikipedia「古事記 上巻(かみつまき)」より。(性別)を追加。
 天地開闢とともに様々な神が生まれたとあり、その最後にイザナギ(男)、イザナミ(女)が生まれた。ニ神は高天原(天)から葦原中津国(地上世界)に降り、日本列島(北海道や南西諸島は除く)を産み、ついで山の神、海の神などアニミズム的な神々を産んだ。こうした国産みの途中、イザナミは火の神を産んだため、火傷を負い死んでしまい、出雲と伯支(ははき=伯耆)の国境比婆山(現;島根県安来市)に埋葬された。イザナギはイザナミを恋しがり、黄泉の国(死者の世界)を訪れ連れ戻そうとするが、ニ神は喧嘩してしまったため、連れ戻すことに失敗し、国産みは未完成のまま終わってしまう。
 ≪ここまで≫ 

 太鼓(だと思う)のドーンという音とともに突然暗転し、真っ暗闇の中から男(演奏者)と女(役者)のひそひそ声や、歌うような声、はっきりと朗読するような声が交互に聞こえ出したとき、「きたー!」と思いました。これは気を引き締めて臨まなければ、と。

 舞台中央には豊かでワイルドな黒髪と白い衣裳をまとった女(榮田佳子)。そして上手には古代を思わせる木製の打楽器や弦楽器などが並べられ、紺色の作務衣(さむえ)を来た男(演奏者の福井岳郎)が控えます。基本的に一人芝居ですが、時おり演奏者も交えて二人芝居になったりもします。

 「イザナギとイザナミは、昔は二人で一つだった」という創作部分にすごく惹かれました。女がイザナギとイザナミの両方の会話を声色を変えて演じながら、腕をクロスさせて自分の手のひらを両頬に載せ、彼らが互いに相手の頬に触れ合っている様子を表します。私は「あぁ、世界が生まれた時、地球が出来た時、私達人間は、いや、動物も植物も空も地面もみな、ひとつだったんだな」と感じて、涙が溢れました。

 イザナギとイザナミが分裂して二つの存在になってから、二人の会話ややりとりが音楽や歌で表現されました。演奏者と役者が同じ楽器を一緒に演奏したり、同じ歌を歌ったり。幸せで官能的な時間です。

 イザナミが何度も妊娠して子供を生んで・・・を繰り返していく内に、男と女の差異が鮮明に現れます。それを女のイザナミの気持ちを言葉に出してつらねていくことで、現代の女性の気持ちをも代弁していました。火の神を生んだ時にイザナミは火傷をして死んでしまいますが、彼女が死ぬシーン、および火の神が歓喜の産声を上げて飛び回るシーンでは鳥肌が立ちました。

 女は腰に巻いた白い大きな布を使って色んな表現をします。演奏者に肩車をしてもらって、スカート状に広がった白い布を演奏者の頭から全身に被せて、スカートの下に赤ん坊(=演奏者の頭)を身ごもっているように見せたり、同じく白い布に扇風機で風を送り、ふわ~っと膨らませて、女の体(お腹)が膨らんでいく様子を表したりしていました。その扇風機で膨らんだ白い布の下から、真っ赤な衣裳をまとった火の神が生まれて来るシーンは圧巻でした。母親を焼き殺して生まれて来た火の神が「私、きれいでしょ!」と父親のイザナギにアピールするのは、親から子、母から娘へと時代が変わっていくことを示しています。なんて残酷で美しいのでしょう。

 先述の通り、衣裳は工夫やトリックもあるし、見た目にも美しいです。黄泉の国に行ってしまったイザナミの髪の毛がほどけていくのも、躍動感があってかっこ良かったです。白い布は照明にも生えます。床に広げた時に真四角だったのに驚きました。天井から吊り下がってきた、漢字が書かれた掛け軸も良かったですね。

 全体的に、敢えて泥臭いテイストに作られていると思うのですが、私の個人的な好みとしては、もっとクールに、洗練されたシーンが多い方がいいような気がしました。特にイザナギとイザナミが初めて交わるシーンは、演奏者と役者がなやましい声で歌を歌い、楽器を演奏することで表現されていたのですが、剥き出しのエロスであると同時に耽美な秘め事として完成していれば、もっと体にじ~んと沁みるような官能的なシーンになったのではないかと思います。歌の音程が少しくるったり、息声になったりすることがあったんですよね。生々しさの面ではすごく良かったのかもしれませんが、私は「あぁ、あともう一歩!」とつぶやきたくなりました。
 充分に面白く、完成度の高い作品だったと思います。でももっと上があるんじゃないかなと思うので書かせていただきますと、観客に話しかける演技は本当に話しかけるようにしてくださると、演劇作品としての厚みも深みもいっそう増すのではないかと思います。あぁ、細かいつっこみに過ぎませんね(苦笑)。

★2/27・3/6・3/7→トークイベントあり。詳細はこちら
出演=榮田佳子 楽器演奏=福井岳郎
脚本・演出=橋口幸絵 舞台監督=尾崎要(エス・アール) 照明=青木美由紀 衣裳=矢野あい 美術=松井啓悟 制作=アキヨ・徳村あらき 企画・製作=劇団千年王國 主催=日本演出者協会
最終審査 参加演出家=石橋和加子(神奈川県、コスモル)『桃湯~ももゆ~』/笠井友仁(大阪府、hmp)『traveler』/橋口幸絵(北海道、劇団千年王國)『古事記一幕・イザナキとイザナミ』/前川知大(東京都、イキウメ)『トロイメライ』
2000円ですべて観劇可能。
公式=http://www.k2.dion.ne.jp/~jda/wakate_top.html
劇団=http://www.sen-nen.net/

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Posted by shinobu at 12:54 | TrackBack

メルマガ号外 『決闘!高田馬場』

 パルコ歌舞伎『決闘!高田馬場』
 03/02-26パルコ劇場
 ☆作・演出=三谷幸喜 出演=市川染五郎ほか 
 ※公演詳細はこちら

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 “しのぶの演劇レビュー” 号外 Vol.27  2006.03.07  808部 発行

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   今、面白い演劇はコレ! 年200本観劇人のお薦め舞台♪


★★ 号 外 ★★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

  パルコ歌舞伎『決闘!高田馬場』
  03/02-26パルコ劇場
  ☆作・演出=三谷幸喜 出演=市川染五郎ほか
   前売・当日共=12,000円
    http://www.parco-play.com/web/page/information/kabuki/
   三谷幸喜さんが初めて歌舞伎を手がけます。構想8年だとか。
   WOWOWで↓3/25(土)19:00~生中継されます。
    http://www.wowow.co.jp/stage/mitani/


 ◎観劇後のコメント◎
  
  三谷幸喜さんが公式サイトのインタビューで
   http://www.parco-play.com/web/play/kabuki/movie.html
  「こんな歌舞伎があったのか!と度肝を抜く作品」とおっしゃるように
  確かに「ええ~~っ!こ、こんなことヤっちゃうの?!」と驚き、
  あまりに可笑しくって吹き出して大笑いする・・・ということの連続でした。

  パンフレットで市川染五郎さんがおっしゃっています。
  「『これが歌舞伎です』と言いたいです。」
  「お金を払って観に来てくださったお客様には、ジャンルなんか関係なく、
   面白いか、面白くないか、それだけだと思うんです。」

  お話自体、いや、演出についても伝統的な歌舞伎ではありません。
  だけど、面白いんだから満足です!

  全身全霊かけたエンターティナー精神で、遊び心も全力投球。
  名実共に“歌舞伎者(かぶきもの)”の歌舞伎俳優が、走って走って走る!

  3月25日(土) 19:00からの回は、WOWOWで生中継されます!
   http://www.wowow.co.jp/stage/mitani/
   ※上演時間は約2時間10分(公式サイトより)


 《チケットについて》

  ・前売りチケットは完売です。

  ・当日券(キャンセル待ち)のお求め方法はこちら。
    http://www.parco-play.com/web/page/information/kabuki/toujitsuken.html
   キャンセルチケットが出た場合のみ、若干枚数の当日券が販売されます。

  ・チケット料金
   全席指定 12,000円


 《お問い合わせ》

   パルコ劇場 TEL 03-3477-5858
    http://www.parco-play.com/


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ◆ 【編集後記】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 ◎3月末から来月初旬にかけてちょっぴり日本を離れます。
  その間、観たいお芝居が観られない・・・!(涙)
  3月末の超・個人的お薦めはコチラ↓私の代わりに観に行って下さい!!

   マンションマンション『キング・オブ・心中』
    03/30-04/03下北沢OFF OFFシアター
    http://www.ne.jp/asahi/de/do/ms.html


 ◎シアターガイド2006年4月号に執筆いたしました。
  http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0225204522.html

 ◎2005年11月にセミナーにゲスト出演いたしました。
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/1107002836.html
  セミナー開催を希望される方は、是非ひとことお寄せください!
   ⇒ shinobu@mtr-standard.co.jp (件名は「セミナー開催希望」で)
  まとまった人数のご希望があれば再度開催の可能性が・・・♪


 ◎パフォーミング・アーツ・マガジン[バッカス]02号
  私が書いた劇評(Ort-d.d『四谷怪談』について)が掲載されています。  
   http://www.7andy.jp/books/detail?accd=31442121


 ◎「劇場に足を運ぶことが、日本人の習慣になって欲しい」
  それが私の望みです。
  これからもこつこつ、地道に進んで行きたいと思っております。
  皆様、どうぞよろしくお願いいたします♪


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以下、Wikipediaより
【出演】中山安兵衛・中津川祐範: 七代目市川染五郎 小野寺右京・堀部ホリ・村上庄左衛門: 二代目市川亀治郎 又八・堀部弥兵衛: 六代目中村勘太郎 にら蔵: 十一代目市川高麗蔵 おもん: 三代目澤村宗之助 洪庵先生: 坂東橘太郎 菅野六郎左衛門: 三代目松本錦吾 おウメ: 二代目 市村萬次郎
作・演出 : 三谷幸喜 補綴 : 今井豊茂 美術 : 堀尾幸男 照明 : 服部基 舞台監督 : 松坂哲生 企画 : 株式会社パルコ 製作 : 松竹株式会社

Posted by shinobu at 11:51 | TrackBack

2006年03月06日

加藤健一事務所『エキスポ』03/02-15本多劇場

 劇団道学先生の中島淳彦さんの戯曲を加藤健一さんが演出。私は2004年の紀伊國屋ホール公演を拝見しています。出演者の年齢がちょっと上がったのと、カトケン・テイストの明るい演出になっていました。
 平日マチネに伺ったので客層もかなり高年齢になっていたようで、私にとっては意外なところで笑いが起こって楽しかったです。舞台写真はコチラ

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 ≪あらすじ・作品紹介≫ 公式サイトより。
 1970年、大阪にて日本万国博覧会(EXPO'70)が開幕。この史上最高の大イベントに日本中が大騒ぎしている頃のこと。舞台は九州・宮崎県、海と山に囲まれた静かな田舎町。この町のある家では、突然の母の死で残された家族たちが右往左往していた。それはこの平穏な町におとずれた、ちょっとした事件だったのだ――。
 日本中の誰もが明るい未来を信じて懸命に生きようとしていた昭和の時代。不器用だけど優しく、いとおしい人々の姿を繊細に描いた人気作家・中島淳彦流ハートウォーミング・コメディ、カトケン版「エキスポ」。バラエティに富んだ魅力的なキャスティングでお贈りします。
 ≪ここまで≫

 私はお葬式ものが苦手です。でもこの戯曲は本当によく出来たコメディーで、大げさな深刻さとか、わざとらしいドラマとかがなくって素直に楽しめます。しかもちょっとエッチ(というか助平)なのがいい(笑)! 客席は笑いがいっぱいでしたし、私も笑えたところが沢山ありました。

 ただ、作品全体を一本貫くような世界観というか、筋道などが感じられず、シーンごとにバラバラだった印象です。演出は2004年(黒岩亮さん演出)の方が良かったと思います。まず、幕開けから登場人物の雰囲気が明るすぎて、お通夜だっていうことが伝わってこなかったです。実の母親が死んだばかりなのにすっごく軽い足取りなんですよ、残された家族が。母親が経営していた連れ込み旅館(ラブホテル)には村の人々の甘い秘密がたくさんあるわけで、もうちょっとじんわりとほのめかすようにしてから、徐々に露わにされていって欲しかったですね。すぐにセリフと演技でスパッと説明しちゃうので余韻が少なかったように思います。

 ここからネタバレします。

 加藤健一さんは父親ゆずりの甲斐性なしの長男役で、浮気はするし香典は盗むし、かなりのダメ男です。でもそんな風に見えなかったんですよね~、カトケンさんはやっぱりカッコイイしちゃきちゃきしてるから・・・。
 有福正志さん。妻に先立たれた父親役。やっぱりこの年齢の方じゃなきゃ、ですね。お骨をかかえて万博に行き「人間の進歩と調和げな」と何度も声を張り上げられる姿には、ホロリと来てしまいました。
 富本牧子さん。よく働く長男の嫁役。何かにつけこの人が中心になってるんですよね。お茶の葉の入れ物の蓋を本当に落としちゃって、あわててらっしゃるのが面白かった(笑)。生の笑いの良いムードを崩さずに、素早く復帰されたのが見事でした。

 若い俳優さんが良かったですね。演技に息が通っているというか、どうしても目が惹きつけられました。
 浅野雅博さん。葬儀屋役。そもそも浅野さん目当てで観に行ってますのでね、私は(笑)。いつも期待通りに楽しませてくださいます。笑いを生む呼吸が上手いんですよね。出戻り長女役の加藤忍さんとの掛け合いでは、力の入った加藤さんとリラックスした浅野さんとのデコボコ関係が笑えました。

 加藤健一さんが演出された『-初恋』でお見かけした若手のお2人が出演されてました。
 伊原農さんは東京のレコード会社の社員役。やっぱり・・・スーツ姿で超かっこいいんですよ、体が(笑)。そしてゲイに惚れられるという・・・ハマリ役。演技も良かったです。
 横山利彦さん。ゲイ・カップルの一人。柱にすがっておよよと泣き崩れるのに爆笑させていただきました。

出演=加藤健一/加藤忍/畠中洋/富本牧子/新井康弘/高橋麻理(扉座)/さとうこうじ/横山利彦/篠田剛
(演劇集団キャラメルボックス)/浅野雅博(文学座)/石坂史朗(扉座)/伊原農/有福正志/外波山文明(椿組)
作=中島淳彦 演出=久世龍之介 美術=柴田秀子 照明=五十嵐正夫 音響=松本昭 舞台監督=鈴木政憲 方言指導=濱崎けい子 製作=加藤健一事務所
18ステージ チケット発売1月15日(日) 前売¥5,000 当日¥5,500 全席指定 高校生割引¥2,500(要学生証提示・当日券のみ・予約不可)
公式=http://homepage2.nifty.com/katoken/62-index.htm

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Posted by shinobu at 16:44 | TrackBack

2006年03月05日

北九州芸術劇場×飛ぶ劇場共同製作『IRON(アイアン)』03/03-05東京芸術劇場小ホール1

 『IRON(アイアン)』は第44回岸田國士戯曲賞最終候補になった泊篤志さんの戯曲です。泊篤志さんが作・演出される飛ぶ劇場と、北九州芸術劇場との共同製作作品ということで、5つの地域を回った最後に東京に来てくださいました。
 ※東京国際芸術祭2006の舞台裏ブログに舞台写真や公演レポートあり。
 レビュー⇒↑ますだいっこうのこと↑タイプRで行こうデジログからあなろぐSomethig So Right

 ★お役にたてたらコチラをクリック!お願いします♪

 ≪あらすじ・作品紹介≫ 公式サイトより引用。
 胸焦がす脱走劇、再臨。
 1999年に飛ぶ劇場で初演され、第44回岸田國士戯曲賞最終候補作となった「IRON(アイアン)」を北九州芸術劇場との共同製作で、満を持しての再演。
 日本と朝鮮半島の間に位置し、戦後のどさくさにまぎれて日本から独立した島国「糧流(カテル)」。主産業は鉄鋼業であるが、国民は50年間に渡る鎖国政策の行き詰まりによって貧困と飢餓に苛まれていた。その島国の最大の娯楽は「卓球観戦」。国設卓球部を舞台に国家と個人との狭間で揺れ動く選手たちの人間模様を描く。
 ≪ここまで≫

 架空の島国・糧流(カテル)の国設卓球部が舞台です。
 日本とカテルとの関係は、東京と北朝鮮、または北朝鮮と韓国の関係にも置き換えられます(東京と地方との関係でもあるそうです。舞台裏ブログより)

 舞台装置にまず感動しました。四角くて愛想のない小さな家が丸く舞台を囲み、その上には金網(鉄条網)が張り巡らされています(舞台写真はこちら)。その家が前後に動くのが効果的で、私はオープニングのシーンで体にしびれが来て、涙があふれました。

 劇中で披露される「はなだまき(華玉木?)」という民族舞踊が圧巻です。カテルという実在しない国の伝統芸能を、ここまでリアルに作り上げるなんて・・・「はなだまき」のシーンになる度に、胸に熱いものがこみ上げました。カテルの歴史を昔話の中にきちんとに織り込み、衣裳や踊りについては沖縄、九州、韓国の文化が混ざり合っているように見えました。役者さんの鍛えられた身体も美しかった。これは飛ぶ劇場の公演でしか観られないのではないでしょうか。

 簡単なハッピーエンドにはならなかったストーリーにも、心から納得。ただ、↑ますだいっこうのこと↑にも書かれていますように、役者さんの演技についてはちょっと不満もありました。私はわざとらしさを感じる演技に冷めてしまったことが、時々ありました。

≪北九州・伊丹・松本・福岡・熊本・東京≫
東京国際芸術祭リージョナル・シアターシリーズ参加
出演=寺田剛史/永井秀樹(青年団)/木村健二/橋本茜/ 藤尾加代子/鵜飼秋子/門司智美/加賀田浩二/内田ゆみ/佐成哲夫(sanaridance)/内山ナオミ/北村功治/宗像秀幸/桑島寿彦 ※古池記者役ダブルキャスト=葉山太司/藤原達郎
作・演出=泊篤志 美術=柴田隆弘 衣装=内山ナオミ(工房MOMO) 照明=乳原一美 音響=杉山聡 振付=佐成哲夫(sanaridance) 音楽=泊達夫 小道具=山口千琴 特殊小道具=橋本茜(Art Stage-KenTa) 舞台監督助手=森田正憲(F.G.S) 照明操作=岩田守 音響操作=塚本浩平 舞台監督=東孝史 宣伝美術=トミタユキコ(ecADHOC) 広報宣伝=佐藤和久、栗原弓枝 制作=黒﨑あかね、澤藤歩、田上佐和子、国好みづき、鶴元ふみ(飛ぶ劇場)、津村卓
4ステージ 日時指定・全席自由 一般2500円 高校生以下1500円(当日各300円増)チケット発売 1月11日~ ※未就学児童はご入場いただけません。
公式=http://www.tobugeki.com/pc/
東京国際芸術祭内=http://tif.anj.or.jp/regional/re_iron.html

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今、面白い演劇はコレ!年200本観劇人のお薦め舞台
   
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Posted by shinobu at 23:50 | TrackBack

五反田団『ふたりいる景色』03/03-13こまばアゴラ劇場

 前田司郎さんが作・演出される五反田団。前田さんは2年連続で岸田國士戯曲賞の最終選考に残っています。小説も書かれていますね。有名になってもチケット代は1500円。小劇場演劇界における、ひとつの基準になり得るのではないでしょうか。
 今作は率直に笑える箇所かなり多く、そして私は『キャベツの類』に続いて涙ボロボロ~っ・・・。1500円でこんなに面白いお芝居が観られるなんて感動的です。一般のお客様はもちろん、演劇をやっている人にもぜひご覧いただきたいですね。

 レビュー⇒休むに似たり。

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 ≪あらすじ≫
 万年床のこきたない部屋。撮り終わったフィルムが散在している。何もしない男(金替康博)と、一緒に住んでいる女(後藤飛鳥)。男はゴマしか食べない。いずれは自分のおしっこのみに切り替えて、即身仏(そくしんぶつ)になると言う。
 ≪ここまで≫

 幕開けすぐの「ゴマ食べてると、体がきれいになっていく気がするよね」というセリフで、めちゃくちゃ笑ってしまいました。だって金替康博さんのあの笑顔!見たことないよ!MONOや青年団公演等での金替さんと違うんです。そういえば五反田団常連の黒田大輔さん(THE SHAMPOO HAT)に似てるかな。

 布団の上から全く動こうとしない男と彼の面倒をみている女が、だらだらドロドロとしてる部屋に、女の友人(望月志津子)が訪ねてきます。始めの方のシーンでは設定および登場人物の紹介をしつつ、すっとぼけた笑いがいっぱいでした。単純にすごく楽しめました。そして4人目の登場人物が・・・(笑)。ネタバレするので後ほど。

 優しいけれど臆病で、そして欲深な人間は、
 「そばに居たいけど、そばに居たからといって常に満たされるわけじゃない。つながりたいけど、つながったままではいられない。だったら、いっそのこと一人でいる方がいいんじゃない?だって二人で居ることが、もしかすると相手にとっては迷惑かもしれないし、相手は他の人と一緒にいた方が幸せかもしれないんだから・・・。」
 ・・・という風に考えがちです。私もそんな状態に陥るタイプかも・・・(恥ずかしい)。でもこのお芝居の後半で、
 「ふたりが一緒に居る、その状態だけで、すでに幸せじゃないか」
 と、にっこり笑いかけられたように感じて、私はそんな簡単なことに再び気づかされ、涙を流しました。一緒に居られれば、楽しい時ににっこり笑い合えれば、それだけで幸せです。

 ネタバレします。

 女2人が退場して男が1人で部屋にいる時に出てきたのは、傘を持ってしゃなりしゃなりと歩く、着物姿のゴマの精(立蔵葉子)でした。「ゴマを大切にしているから」と言ってやってきたゴマの精の自己紹介に爆笑しました。「ゴマの方から来た、ゴマの精です」・・・「ゴマの方から」て(笑)。

 「即身仏になる」と言って部屋から一歩も出ず、ゴマだけを食べて、しまいには自分のおしっこを飲むだけに移行しようとしている男に、恋人の女は「自殺まがいのことはやめて」「あなたが死んだら私はどうなるの?」と言って、止めようとします。でも男は全く聞く耳を持っていません。堪忍袋の緒が切れた女は、とうとう荷造りをして部屋から出て行こうとするのですが、男は引き止めようともしません。女は「なんで引き止めないのよっ!!」と激怒して、いわゆる男女の痴話げんかが始まるのですが、それがとても可愛らしく、ちゃんとコメディーとして笑える構造になっています。私は金替さんと後藤さんとのキュートなケンカを微笑ましく眺めながら、男と女の間にある越えられない壁、底が見えないほど深い溝を見せ付けられているような心持ちになり、胸が痛みました。

 とうとうひとりぼっちになってしまった男のところには、ゴマの精がやってきます。しかしゴマを食べなくなっておしっこを飲むだけの生活になってからは、ゴマの精もめったに来なくなります。そして男は感じるのです。「寂しい」と。

 過去なのか未来なのか、それとも男が死ぬ間際に見た夢なのか、男と女が一緒に温泉旅行に行くシーンになります。相合傘をして二人一緒に空を飛ぶことを空想するシーンは、まさに『ふたりいる景色』でした。たあいもない話をして、二人が笑いあっています。なんて幸せなんだ、これが幸せなんだな。

 旅館の夜。二人は布団に入って話をします。下記、かろうじて覚えているセリフです(正確ではありません)。もぞもぞと、何度も同じ言葉を繰り返しながら、とても素直な気持ちで二人が語り合っていました。こんな対話がしたい、と心から思いました。

 女「私はあなたで私を埋めようとしているのに、あなたはあなたで自分を埋めようとしている」

 男「ちょっと、どうしていいのか、わかんないんだよ」
  「(そばにいても)役に立っているのかわかんないし、必要なのかもわからない」
  「火星みたいなところで一人になりたい」
  「でも寂しいんだよ」
  「寂しいっていう理由だけで、空洞を埋めるために、そばにいていいってこと?」

 女「ただ、そばにいればいいんだよ」

出演=金替康博(MONO)/後藤飛鳥(五反田団)/立蔵葉子(青年団)/望月志津子(五反田団)
作・演出=前田司郎 照明=前田司郎 照明アドバイザー=岩城保 宣伝美術=藤原未央子 制作=榎戸源胤/吉田悠軌/塩田友克
16ステージ 予約・当日ともに1500円 2006年2月3日(金)予約開始
公式=http://www.uranus.dti.ne.jp/~gotannda/

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Posted by shinobu at 23:25 | TrackBack

リュカ.『WHITE PHASE』03/02-06王子小劇場

 リュカ.初見です。文化庁舞台芸術創作奨励特別賞を受賞した戯曲の10年ぶりの再演で、劇団民藝でも上演されたことがあるそうです。
 作品のジャンルとしては、いわゆる「静かな演劇」に入ると思います。王子小劇場の天井の高さと色、質感を存分に利用して、劇場空間自体が現代アートのオブジェのようでした。

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 ≪あらすじ(さわりだけ)≫
 植物園を併設している郊外の研究所が舞台。新しくてきれいな研究所に集まった若い医師たちは、新薬の研究にいそしんでいる。ある日、所長を訪ねて昔の同僚がやってきて・・・。
 ≪ここまで≫

 隔離された感のあるこぎれいな空間で、たんたんと会話がつむがれていきます。シーンは割と細かく分けられていて、二人芝居のように少人数で対話を見せることが多かったです。全体的にひんやりとしたムードでした。でもシーンの切れ目で流れる音楽は、明るい音調で軽いリズムのものが多く、そのギャップが意外で少し気になりました。

 登場人物一人一人にじっくりと焦点を当てて、こつこつと丁寧に、その人自身やその周りの人々との関係を見せていきます。すごく長いセリフもありますし、ぎりぎりとした人と人とのぶつかり合いを見せることも多いので、観ていて結構、緊張が続くんですよね。その意味で、上演時間が2時間あったのは長いと思いました。

 ここからネタバレします。

 落合(大塚秀記)が高田(境宏子)に、彼女に届いた手紙が誰からのものだったのかを聞き、それが高田の妹からだった(男からじゃなかった)と知って、ホっと安堵した時の表情がすっごく良かったです。私はやっぱりロマンティックなものとか、温かいものとかが好きなんですよね。


 ポストパフォーマンストークで作・演出の渡邊一功さんのお話が聞けました。戯曲を書いたのは23歳の頃だったそうで、それは早熟だなーと思いました。

 劇場の壁面をほぼ完全に多い尽くしていた、布のような紙のようなものの材質についての質問がありました。美術の太田創さんがわざわざ灰色に染める前の現物を持って舞台上に来てくださり、お答えくださいました。「麻と石膏(だったかな?)をビニールで挟んで、上からアイロンをかけたもの」だそうです。あの量を全部アイロンがけ?!・・・・凄いです。舞台美術は圧巻です。

文化庁舞台芸術創作奨励特別賞作品 ~王子小劇場提携公演~
出演=境宏子/増戸香織/池田ヒロユキ/こいけけいこ/宇和川士朗/山田佑美(無機王)/大塚秀記(つよしとひでき(trf))/中川智明/中田顕史郞
脚本・演出=渡邊一功 舞台・宣伝美術=太田創(01Ga) 舞台監督=小林英雄(Anjuta・Arts) 照明=兼子慎平 音響=宮崎淳子 衣裳=華咲薫/景山育美 制作=安田有希子(axis) 企画・製作=リュカ.
前売2,500円 当日2,800円 グループ割引=2,200円(1名)※グループ割引は2名様以上でご予約のお客さまが対象となります。
7ステージ 
公式=http://www.lyka.net/

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Posted by shinobu at 01:18 | TrackBack

2006年03月03日

津田記念日『若葉のとき』03/03-05アイピット目白

20060303 wakaba-no-toki.jpg
若葉のとき

 お友達が関係しているので観に行きました。主催者(劇団)ホームページがない公演を観に行ったのも、アイピット目白に行ったのもすごく久しぶりでした。チラシ画像は関係者から頂戴いたしました。

 関東近郊の田舎の町にある老舗の和菓子屋「若葉」を舞台にした、和菓子職人たちのほんわか心温まるお話でした。

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 開幕から1時間ぐらいが経過した頃だったでしょうか、旅館の若旦那役の辻崇雅さん(ショーGEKIメンズ)が登場し、そこからやっと空気が流れ始めました。役柄になりきって、ちゃんと舞台に立てている役者さんがほぼいなかったからだと思います。本日12時開演の公開ゲネプロ(リハーサル)にお邪魔したしましたので、いわゆる初回ですよね。その緊張もあったとは思いますが、客席の方をしっかりと観ることが出来ず、何かと舞台奥の方ばかり向いてる役者さんが多すぎます。

 和菓子屋の店舗の中の一部屋、職人さんの控えの間が舞台です。ちょっとした戸棚とカラーボックス、テレビ、そして皆がつどうテーブルが、客席に対して斜めに建て込まれた和室に並んでいます。いい感じの四角い空間でしたが、ふすまの建て付けがあまり良くないようで、開けたてがうまく行っていないのは残念。
 おそらく季節としては夏から始まって秋、冬、そして春までを描いています。でも季節感が曖昧でしたね。

 ここからネタバレします。引用するセリフは完全に正確ではありません。

 愛情と尊敬の念を持って、過剰に飾り立てたりすることなく、ありのままの職人というものを描こうとしている、真摯な脚本だったと思います。日本人的な優しさがありました。
 「和菓子は、愛だよね」という、ちょっと照れちゃいそうになるようなストレートなセリフが、何度か語られます。和菓子職人・数原(橋本利貴)が、何年も和菓子を作り続けた末にやっとたどり着いた境地なんですよね。甘いものが嫌いだったのに、父親の跡を継いで和菓子屋社長になった修平(坂口邦弘)が、その言葉を聞いて気づきを得ます。
 おそらく脚本の中でも最も伝えたいことの中の一つだったと思いますが、そういうことこそ、さりげない演出にした方が伝わりやすいと思います。ばばーん!と、大っぴらに出っ張らせて、しかも良さそうなBGMまで流しちゃうと・・・素直に受け取れなくなってしまうのです。

 登場人物はみんないい人で、終始ふんわりとした穏やかな空気が流れるお芝居でした。なので、下ネタがちょっと露骨すぎるような気がしました。言葉がね、ちょっと。その露骨な下ネタが出た時に初めてドっと笑いが起きたんですけどね(苦笑)。言葉の意味だけではなくて、演技でクスっと笑えるところが欲しかったです。

 和菓子職人の中の紅一点の牛島さん(風戸蒔)が、同じく職人の俊介(高橋裕太)にモーションをかけたのにサラっと避けられてしまい、後に残ったもう一人の職人・遊佐(津田拓哉)に対して「吸ってあげる」と思いっきりエッチな提案をします。超真面目で地味で、お世辞にもモテそうだとは思えない牛島さんの中の、奔放でドライな大人の女の一面が表に出てくる、とても魅力的なシーンです。だけど成立してなかったですね~・・・役柄としての一貫性が感じられないからだと思います(牛島さん役だけでなく)。

 ※俊介と遊佐については、本当にその役の名前だったのかが曖昧です。ごめんなさい。

出演=坂口邦弘/春口愛/橋本利貴/高橋裕太/風戸蒔/津田拓哉/長岡利幸/辻崇雅 小学校のアナウンス=鈴木悠子
演出=津田拓哉 脚本=冨士原直也 舞台監督=佐藤大祐 演出助手=前田貴子 舞台美術=阿部恭子 照明=川村ナオ 音響=泉田雄太 音響オペレーター=花嶋弥生 宣伝美術=ナガサワメグミ 制作=吉澤和泉
前売2500円 当日2800円 ※公開ゲネの回のみ、前売1500円 当日1000円 5ステージ(公開ゲネ含む)

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Posted by shinobu at 16:07 | TrackBack

【お知らせ】3月4日(土)夜にFM西東京「たけがき2」に出演します

 FM西東京の演劇情報番組「たけがき2」に出演いたします。毎月第一土曜日のレギュラーです。。
 今回は前半に“しのぶの演劇レビュー”シアターガイド4月号掲載の宣伝と、『若手演出家コンクール2005最終審査 前川知大「トロイメライ」』の感想をお話し、後半は2月に観られるお薦めお芝居を3本ご紹介します。

 西東京市およびその周辺地域でお聴き頂けます。

 3月4日(土)21:30~22:00(の内の約10分間)
 FM 84.2MHz

 たけがき2(ツー):http://takegaki.k-free.net/

Posted by shinobu at 14:51 | TrackBack

シベリア少女鉄道『ここでキスして。』03/01-05紀伊國屋サザンシアター

 土屋亮一さんが作・演出されるシベリア少女鉄道(略してシベ小)。毎回おもしろアイデアで笑わせていただいて、目がひん剥くほど驚かせていただいて、絶対見逃せない!と思っている劇団です。※シベ少作品の過去のレビューはこちらからご覧ください。

 今回は・・・本編(というのかな)で細かい演技のこだわりに笑わせていただき、全体を観終わった時には煙に巻かれた心地でした。が、たまたま一緒に観劇していた方に意外な解釈を教えていただき、「なな、なんと!それは面白い!!」と気づいて、そして帰り道でいろいろ考えさせられました。土屋さん、すごいなー。

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 レビューを最後までアップしました(2006/03/19)。

 制作タカダの芝居制作日記(2006/2/24)によると↓(引用します)
 『シベリア少女鉄道をご覧いただいたことがない方がほとんどだと思われますので
 めちゃくちゃ今さらですが、自己紹介させてください。
 ざっくり例えて言いますと、
 「月9のドラマをボーっと見てて、恋人たちの別れとかのクライマックスシーンで、いきなり七人の悪魔超人が空から降り立ってきたら、そりゃおもしろかろうよ」
 というようなことを毎回手を変え品を変えやっているところです。』
 これは明快!その通りですよね!
 制作さんがはっきりこうおっしゃっているんですから、こんな感じのことを期待して、ぜひ観に行ってみてください。

 さて、恒例です。何を書いてもネタバレですので、これからご覧になる方はどうぞお読みにならないでくださいね。

 ≪あらすじ≫
 田舎の旅館。今日は地元から出た代議士先生(前畑陽平)が宿泊中。旅館の旦那(藤原幹雄)は先生の接待につきっきりでピリピリしている。代議士先生の息子(吉田友則)が遅れて到着した。旅館協会の娘との結婚(結納?)を明日に控えているのだ。実はその息子、本当は父親に無理じいされた政略結婚をしたくないと思っている。昔の恋人のことが忘れられないからだ。板前(横溝茂雄)は息子に「今度もし出会うことがあったら、その娘を連れて逃げちゃえよ!」と励ます。
 若女将(内田慈)は不機嫌な旦那にこき使われながらも、ほがらかに宿泊客をもてなし、新米の仲居(篠塚茜)の教育にも熱心だ。ちょっとヌケているが素直でマジメな仲居に、板前はほんのり恋心を抱いている。でも仲居には、今は会えなくなってしまったが、心に決めた恋人がいるのだ。気のいい板前は、彼女にも「今度もし出会うことがあったら、そいつと逃げるんだぞ!」と励ます・・・・あれ? これって・・・・何か、起こるんじゃない・・・?
 そうだ!実は代議士先生の息子と仲居こそが、その恋人同士だったんだ!!
 再会してしまった息子と仲居は、励まされたとおりに二人で逃げることを決意。親切な若女将と板前は、代議士先生と旦那の目を盗んで、どうにか二人の愛の逃避行を成功させようする。しかし次から次に想定外のトラブルが発生して、嘘に嘘を上塗りしていくはめになり、事態は無関係の宿泊客(出来恵美)をも巻き込んで混乱を極めていく。果たして息子と仲居は無事に旅館を脱出できるのか?
 ≪ここまで≫

 舞台は2階まできっちり立て込まれたリアルな旅館でした。下手にはエレベーターもあります。このあらすじだけでもよく出来た(仕組まれた)シチュエーション・コメディなんですよね。例えば三谷幸喜作品とかレイ・クルーニー作品に似ていると思います。うまく行くはずだったことが、次から次へと予想外の方向に進展(暗転)して泥沼にはまっていき、登場人物の慌てふためく様子がめちゃくちゃ滑稽で笑えるようなタイプです。旅館を舞台にした家族向けのテレビドラマのようにも見えます。こういう、誰もが思いっきり笑えるような無難な(←いい意味で)コメディって大切ですよね。

 よくあるタイプのキャラクターを大げさにデフォルメした演技でつくりこみ、いわゆる上質なコメディの世界を、シュールに笑い飛ばしながら進みます。そしてシベ少の真骨頂である仕掛けがはじまって、クライマックス。
 ※仕掛けについては小劇場系に詳しいです。
 ※作・演出さん日誌によると「元ネタはない」とのこと。う~ん、これを知ってたら戸惑わなかっただろうな~。

 仕掛けが始まる前まではシチュエーション・コメディーのパロディとして見せていたと思います。それはそれでとっても可笑しいです。仕掛けが始まってからは、そのコメディもパロディも両方が、ゲームの中で人形が演じていた嘘だったということになります。
 若女将が「真心をもっておもてなしをする」ことを中居に教育したり、無関係だと思われていた宿泊客の女が実は代議士先生の実の娘で、親切な板前が彼女の自殺を思いとどまらせたり、いわゆる「良い話」をしっかり描きながら、それを「嘘だ」と言い切ってバーチャルなゲーム(遊び)にしてしまうのです。
 私達はいわゆる「良い話」をすっかり鵜呑みにして、さらにそれを常識だと思い込んだりするという、甘い罠に陥りがちです。今作は軽妙に「そんなの嘘だよ」と教えてくれて、さらにその嘘を土台にしてドタバタのお笑い(お約束のコメディ)にまで昇華させていました。

出演=前畑陽平/藤原幹雄/横溝茂雄/吉田友則/篠塚茜/出来恵美/内田慈
作・演出=土屋亮一 舞台監督=谷澤拓巳+至福団  音響=中村嘉宏(atSound)  照明=伊藤孝(ART CORE design) 映像=冨田中理(Selfimage Produkts)  小道具=畠山直子  宣伝美術=土屋亮一 thanks Norimichi Tomita 制作助手=安元千恵  制作=保坂綾子  製作=高田雅士  企画製作=シベリア少女鉄道  主催=ニッポン放送
前売3,200円 当日3,500円(全席指定)★若者割引(25歳以下限定):2,500円 5ステージ
公式=http://www.siberia.jp/

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Posted by shinobu at 00:52 | TrackBack

2006年03月02日

日本演出者協会『若手演出家コンクール2005最終審査 前川知大「トロイメライ」』02/28-03/05「劇」小劇場

 日本演出者協会が毎年開催している若手演出家コンクール最終審査に初めて伺いました。最終審査に残った4名の若手演出家は、「2時間で仕込んで、1時間弱上演して、1時間でバラす(持ち時間は合計4時間)」という強行スケジュールをこなします。各作品2度上演され、最終日の夜に公開審査が行われます。4本全部観た方には観客投票の権利が与えられるそうです。
 今日はイキウメの脚本・演出家の前川知大さんの作品『トロイメライ』の第1回目の発表でした。

 ★前日の石橋和加子さんの作品『桃湯~ももゆ~』についてのレビューが早々とアップされています。⇒小劇場系
 ★前川知大さん『トロイメライ』のレビューも⇒小劇場系

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 ≪あらすじ≫ 当日パンフレットより引用。(役者名)を追加。
 意識不明のまま三年間を過ごし、自分の誕生日に息を引き取った女(黒川深雪)。
 葬式で夫(山本佳希)の前に現れたのは、妻の最後の三年間を共に過ごしたという男(浜田信也)だった。
 ≪ここまで≫

 「劇」小劇場のもともとの壁や柱をうまくつかった、シンプルながら実は凝っているかっこいい美術でした。照明もきれいでしたね。厚みを感じられる空間でした。

 うーんと、何から書き始めてもネタバレになってしまうので、とりあえず全体についての率直な感想を。
 とても演劇的な作品でした。やっぱり前川さんの脚本は面白いです。医学・科学についての豊富な知識を基盤にした、大量の緻密なセリフで硬質な印象を与えつつ、ごく普通の人間関係や男女間の恋愛から生まれる悲しみのドラマをじっくりと見せてくださいました。終演後のポストパフォーマンストークで審査員の方々から「叙情的だ」という感想がありましたが、その通りだと思います。

 ただ、そのような脚本に役者さんの技術が追いついていないように見えてしまいました。トークの時に前川さんご自身が「今回は2ステージしかないということで、役者もすごく緊張してたみたいです。普段の初日よりもずっと。」とおっしゃっていたので、極度の緊張が原因だったのかもしれません。きっと3月15日からのイキウメ公演では完成度の高いものを見せていただけるのだと期待します。

 ここからネタバレします。

 幕開けの音楽(Mゼロ)がすっごく長くかかっていて、それが良かったですね。あれぐらいじーんわり、ゆーっくり聴いていることで、とっつきにくい劇世界に入る準備が出来るのだと思います。

 夫・周司(山本佳希)が一人の男(盛隆二)に妻・雪枝(黒川深雪)のお葬式のことを説明し始めます。舞台下手で周司と男が話をし、中央から上手にかけて配置された少し高いステージの上で、お葬式の様子が数人の役者さんによって演じられます。周司も時どき喪主として登場し、途中で説明のために下手に戻ったりもします。
 周司から説明を受けている男は刑事で、雪枝の弟・青海(國重直也)にも聞き込みをします。周司と青海はずっと仲が悪く、青海は姉(=雪枝)が周司に殺されたと思い込んでいるのです。このシーンで初めて、殺人事件の捜査の名目で刑事が関わっているということがわかります。

 雪枝は、自宅で周司に介護されていた死ぬ前の昏睡状態の3年間、眠りの中で曽我という若い男(浜田信也)と暮らしていました。周司の世界から見ると雪枝と曽我との生活は“夢”ですが、曽我と雪枝が一緒に暮らす世界から見ると、周司の世界が“夢”になります。元気だったころの雪枝は周司に「ある浜辺で男の人(=曽我)に会った夢を見た」と説明し、昏睡状態になってからの雪枝は曽我に「私のことをずっと世話してくれてる人(=周司)がいる」と説明します。

 周司は雪枝との過去について刑事に説明し、青海は姉と義兄のことを刑事に説明し、雪枝は夢の内容を周司や曽我に説明します。後ほど、曽我も自分の身に起きたこと(雪枝と出会ったこと)を刑事に説明することになります。つまり、誰かが誰かに説明するという形式をとって、劇世界が作り上げられていくのです。
 これは・・・高度な演じ分けが必要です。回想シーンで普通にその場に居る演技をしている途中で、いきなり説明シーンに変わったりしますし、雪枝なんて存在する場所がころころと何種類も変化するんですよね。病気になって周司と暮らすシーン(病院&自宅)、周司の夢を見ていると思いながら曽我と暮らすシーン、死んだ自分を外から眺めるシーンなど。立場をすばやく切り替えるだけでも大変だし、切り替わった瞬間からそれぞれの場にしっかり存在しなければいけないんですよね。それができていればものすごい感動作になったと思うのですが・・・。メインの3人(周司、雪枝、曽我)の負担が極端に大きいんですよね。

 2人の男の間を夢の中にいながら行き来する雪枝が死に、とうとう周司と曽我が雪枝の葬式で出会います(死ぬ前に雪枝が、自宅の住所を書いたメモを曽我に残したから)。これがすごくドラマチック!周司が必死で雪枝を介護していた3年間は、曽我が雪枝と過ごした夢のような3年間と重なっています。「その3年間は無駄じゃなかった」という結末は温かくて素敵だなと思いました。

 「トロイメライ」はシューマンの有名な曲ですよね。ピアノじゃなくて弦楽器(?)演奏のものが1回だけかかりました。さり気なくって良かったです。

 ≪ポストパフォーマンストーク≫
 出演は審査員4名、過去の最終審査で優勝した演出家1名と前川知大さん。(以下、敬称略)
 
 青井陽治「カナダのジョン・マイトン(John Mighton, 『A Little Year(小さな歳月)』『The Possible World(ポッシブル・ワールド)』)に似ている。マイトンは劇作家としてよりも数学者や哲学者として有名な人物なんだけれど。(前川さんのこの作品も)詩的、叙情的だが硬質さを内にはらんでいる。」
 お名前不明「文科系ではない雰囲気。大脳生理学的。新しいものを目指している。」
 前川「そうですね、文科系ではないかも。読んでいる雑誌も日経サイエンスやニュートンなどのNature系が多いです。例えば今作の脳死とか昏睡の患者など、(劇作の)根っこになるものやネタは、サイエンスから取ってます。SFも好きです。」

 お名前不明「前作『散歩する…』では概念を変えるということがテーマになっていた。既成のものを変えることを目指しているような。既存の何かを疑って創作しているのがわかる(だから、良い)。」

 流山児祥「とっても良くできていて、つまらない。舞台でしかできない身体(からだ)を目指さないと。これだったらテレビでもいいじゃないか、と。例えば水一滴、舞台に落とすだけでスリリングになる。ステージに穴をぼこぼこ空けるとかね(笑)。」
 前川「あぁ、歩きづらいですよねー(笑)。」


 私は青井陽治さんとほぼ同感でした。確かに『ポッシブル・ワールド』と似ているし、硬質だけれど叙情的っていうのもその通りだと思います。
 また、流山児祥さんのおっしゃることにもうなづけました。流山児さんの提案した演出については同意ではないですけれど、たしかに、舞台にスリルが足りなかったんですよね。それは役者さんがそこに生きていなかったからだと思います。これから改善されれば嬉しいです。

 ※審査員および演出家の方にお願いです。もっとはっきり、ゆっくり話していただきたいです。前に集まった方々だけで内輪話のような感覚で話をされてしまうと、観客はすごく聞きづらいし居心地が悪いです。

★2/27・3/6・3/7→トークイベントあり。詳細はこちら
出演=山本佳希(ハラホロシャングリラ)/黒川深雪(InnocentSphere)/浜田信也(イキウメ)/國重直也(イキウメ)/盛隆二(イキウメ)/池上ゆき(イキウメ)/長澤素子/渡辺トオル(ファルスシアター)
脚本・演出=前川知大 舞台監督=小野八着 照明=松本大介 音響=鏑木知宏 舞台美術=土峡研一 制作=吉田直美
最終審査 参加演出家=石橋和加子(神奈川県、コスモル)『桃湯~ももゆ~』/笠井友仁(大阪府、hmp)『traveler』/橋口幸絵(北海道、劇団千年王國)『古事記一幕・イザナキとイザナミ』/前川知大(東京都、イキウメ)『トロイメライ』
2000円ですべて観劇可能。
公式=http://www.k2.dion.ne.jp/~jda/wakate_top.html

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Posted by shinobu at 00:37 | TrackBack

2006年03月01日

メルマガ 2006年03月のお薦め舞台

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お薦めお芝居をご紹介しています

 2006年3月のお薦め舞台10本+αをご紹介します。
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 “しのぶの演劇レビュー” Vol. 22     2006.3.1  808部 発行

┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏ http://www.shinobu-review.jp/

   今、面白い演劇はコレ! 年200本観劇人のお薦め舞台♪
                   
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 ◎3月は演劇フェスティバルや注目劇団の公演が山盛りです!
  シアターガイド4月号にちょっぴり執筆させていただきました。
   http://www.theaterguide.co.jp/

    舞台には、あなたの心を揺さぶり、
      人生の輝きを増してくれる奇跡があります。

  “今から観られる面白い演劇”をご紹介します。
  お友達、ご家族、恋人と一緒に、どうぞ劇場を訪れてください♪

 ◎このメルマガのプロフィールはこちら↓
     http://www.shinobu-review.jp/melmaga.html
  バックナンバーは全て公開しています。
     http://blog.mag2.com/m/log/0000134861


○○ 今回のもくじ
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 ◆1【今月のお薦め10本+α】
   
   ◎No.1→パルコ歌舞伎『決闘!高田馬場』
       03/02-26パルコ劇場
    http://www.parco-play.com/web/page/information/kabuki/

 ◆2【先月のベスト3】

   ◎No.1→きらり☆ふじみで創る芝居『Pictures』
       02/10-12キラリ☆ふじみマルチホール
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0213002059.html

 ◆3【シアターガイド4月号に記事が掲載されます!】

   ◎2006年はこの劇団が面白い!というお薦め文を書かせていただきました。
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0225204522.html

 ◆4【東京国際芸術祭2006は3月も佳境です!!】

   ◎見逃せない海外・国内の作品がいっぱいです。
    http://www.tif.anj.or.jp/

 ◆5【傑作・人気お芝居がつぎつぎとテレビで放送されます】

   ◎『LAST SHOW』、『決闘!高田馬場』、『モローラ -灰』など

 ◆6【あなたもこまばアゴラ劇場の劇場支援会員になりませんか?】

   ◎当たりの公演が多い劇場の会員になって“安く”いいお芝居を観よう!
    http://www.komaba-agora.com/sien2006.html

 ◆7【編集後記】

   ◎3月末から4月上旬にかけて日本を離れます~。

 ◆8【このメルマガについての注意事項(毎号同じ内容です)】

   ◎はじめての方はどうぞお読みくださいね♪

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ◆1 【今月のお薦め10本+α】
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 ※★印がいちおし公演です(3本)。
 ※初日の早い順に並べています。
 ※掲載内容:主催/冠名・『題名』・日程・会場・コメント・価格・URL
  座種の記述がない公演は全席指定。


★★1.パルコ歌舞伎『決闘!高田馬場』
  03/02-26パルコ劇場
  ☆作・演出=三谷幸喜 出演=市川染五郎ほか
   前売・当日共=12,000円
    http://www.parco-play.com/web/page/information/kabuki/
   三谷幸喜さんが初めて歌舞伎を手がけます。構想8年だとか。
   WOWOWで↓3/25(土)19:00~生中継されます。
    http://www.wowow.co.jp/stage/mitani/

  ●お薦めポイント●
   三谷幸喜さんの新作舞台というだけでもスゴイのに、
   市川染五郎さんをはじめとする大人気の歌舞伎役者と組むんですから、
   今年の上半期最大の話題作であることは間違いないでしょう。
 

2.五反田団『ふたりいる景色』
  03/03-13こまばアゴラ劇場
  ≪東京、京都≫
  ☆出演=金替康博(MONO)/後藤飛鳥/立蔵葉子(青年団)/望月志津子
   作・演出=前田司郎
   全席自由席 整理番号付き 予約・当日ともに1500円
    http://www.uranus.dti.ne.jp/~gotannda/
   NHK芸術劇場でも紹介された劇団です。
   前田司郎さんは小説も書かれています。


3.AOYAMA FIRST ACT #7/innerchild『PANGEA(パンゲア)』
  03/07-13青山円形劇場(3/7はプレビュー)
  ☆作・演出=小手伸也
   前売3,200円 当日3,500円(プレビュー公演のみ前売当日共2,500円)
    http://homepage2.nifty.com/innerchild/
   innerchild(インナーチャイルド)が青山円形劇場に初進出。
   『多重人格』をテーマとするSFの再演。小劇場的豪華キャストです。


★4.フジテレビ『ハゲレット』
  03/09-21紀伊國屋ホール
  ≪東京、北九州、大阪≫
  ☆出演=近藤芳正/笹本玲奈/陰山泰/石田圭祐/福本伸一/久世星佳/他
   原作=W.シェイクスピア 脚色=鈴木聡 演出=山田和也
   前売¥6,900 当日¥7,000
    http://wwwz.fujitv.co.jp/events/stage/st060309hagelet.html
   若ハゲに悩むハムレットだそうです。面白くないわけがない!


★5.新国立劇場演劇『十二夜』
  03/07-19新国立劇場 小劇場
  ☆作=W.シェイクスピア 脚本・演出=山崎清介
   A席=5,250円 B席=3,150円 Z席=1,500円 当日学生券=50%割引
    http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/10000027.html
   メルマガ2月号でもご紹介いたしました。
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0201231532.html
   子供のためのシェイクスピアカンパニーが新国立劇場に登場!
    http://homepage1.nifty.com/j-ishikawa/c-ro.html


6.チェルフィッチュ『三月の5日間』
  03/11-21六本木Super Deluxe
  ☆作・演出=岡田利規 第49回岸田國士戯曲賞受賞作品
   全席自由/整理番号つき 前売3200円
   当日3500円(立見の可能性あり) 学生2800円(要学生証/WEB予約のみ)
   サンガツ・ライブ(3/17)とのセット券=前売のみ4500円(WEB予約のみ)
    http://chelfitsch.net/sangatsu.html
   メルマガ2月号でもご紹介いたしました。
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0201231532.html
   私個人としては今年の上半期最大のお薦めです!
   初演のレビュー↓
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2004/0525002641.html


7.ヨーロッパ企画『Windows5000』
  03/14-19THEATER/TOPS
  ≪京都、東京、大阪、名古屋≫
  ☆作・演出=上田誠
   前売2,800円 当日3,200円
    http://www.europe-kikaku.com/
   TVやラジオでも活躍が多くなってきたヨーロッパ企画の新作ツアー。
   映画『サマータイムマシン・ブルース』が2/24にDVD発売!
    http://stmb.playxmovie.com/
   『Windows5000』っていうタイトルが既に可笑しい(笑)。


8.イキウメ『短編集 Vol.1-図書館的人生-』
  生と死と記憶に関する五つの物語 
  ☆03/15-21サンモールスタジオ
   脚本・演出=前川知大
   前売2500円 当日2800円(日時指定・全席自由・整理番号付)
    http://www10.plala.or.jp/ikiume/
   前作『散歩する侵略者』で大ファンになりました。
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/1029231739.html
   若手演出家コンクールにも出場します。(3/1と3/5の2ステージ)
    http://www.k2.dion.ne.jp/~jda/wakate_top.html


9.コクーン歌舞伎『東海道四谷怪談』
  03/18-04/24シアターコクーン
  ☆作=四世鶴屋南北 演出・美術=串田和美 出演=中村勘三郎/ほか
   1等平場席¥13,000 1等椅子席¥13,000 2等席¥8,500 3等席¥4,500
    http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/event/kabuki7/index.html
   北番(新演出)・南番(第一回公演の再演)の2ヴァージョン公演。
   私は4月に観に行きます。


10.文学座アトリエ公演『エスペラント~教師たちの修学旅行の夜~』
  03/25-04/09文学座アトリエ
  ☆作=青木豪(グリング) 演出=坂口芳貞
   前売・電話予約4000円 当日4300円
   ユースチケット(25歳以下)2500円(文学座のみ取り扱い)
    http://www.bungakuza.com/about_us/p2k6/2k06-esperanto.html
   大きな話題になったグリング『海賊』↓の青木豪さんの書き下ろしです。
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/1220165101.html
   私は4月に観に行きます。


+α(■話題の劇団、▼ダンスなど)

 シベリア少女鉄道の土屋亮一さんとポツドールの三浦大輔さんの
 動画インタビュー(約20分)がこちら↓で見られます。
  http://blog.eplus.co.jp/etheatrix01/2006-02-16


 ■シベリア少女鉄道『ここでキスして。』
  03/01-05紀伊國屋サザンシアター
  作・演出=土屋亮一
  前売3,200円 当日3,500円
  若者割引(25歳以下限定)2,500円
   http://www.siberia.jp/


 ■ポツドール『夢の城』
  03/02-12THEATER/TOPS
  作・演出=三浦大輔
  前売り3300円 当日3500円
   http://www.potudo-ru.com/
  三浦さんは第50回岸田國士戯曲賞 受賞作家です。
   http://www.hakusuisha.co.jp/current/kishida_senkou.html


 ▼BankART1929『横浜ダンス界隈 番外編』
  03/05(土)15:00集合@BankART 1929 Yokohama 1F受付
   詳細は公式サイト↓でご確認ください。
   http://www.h7.dion.ne.jp/~bankart/


 ▼珍しいキノコ舞踊団『また、家まで歩いてく。』
  03/22-26スパイラルホール
  指定席3,800円 自由席3,500円
  (指定席はイス席、自由席は桟敷席)
   http://www.strangekinoko.com/


 ◎しのぶの今月の全予定(27本+α)はSCHEDULEに掲載しています。
  キャスト・スタッフ情報あり!
   http://www.shinobu-review.jp/schedule.html

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 ◆2 【先月のベスト3】
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1.きらり☆ふじみで創る芝居『Pictures』
  02/10-12キラリ☆ふじみマルチホール
  http://www.city.fujimi.saitama.jp/culture/kouen/kouen.htm#pictures
  ☆愛する人と溶け合う瞬間が、そこにありました。
  *レビューはこちら↓
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0213002059.html


2.新国立劇場演劇『ガラスの動物園』
  02/09-26新国立劇場
  http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/10000016.html
  ☆激しい賛否両論でした。私は想像力が生む幸せの宇宙を
   存分に飛び回らせてもらい、何度も涙しました。
  *レビューはこちら↓
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0210114437.html


3.渡辺源四郎商店『夜の行進』
  02/17-19こまばアゴラ劇場
  ≪青森、東京、札幌≫
  http://www.xbb.jp/wgs/
  ☆ある家族の変遷、そしてそこから生まれる新しい今。
   ずっとそばで見つめてくれている人がいて、自分がいるのだと知りました。
  *レビューはこちら↓
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0218164814.html


 ◎メルマガのバックナンバーはこちら↓で全て公開中!
   http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000134861
  メルマガ号外は誰が観ても楽しめそうなものを選んで発行しています。
  2月は残念ながら発行いたしませんでした。

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 ◆3 【シアターガイド4月号に記事が掲載されます!】
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 ◎3月号にひきつづき、シアターガイド4月号に載っちゃいます!
   http://www.theaterguide.co.jp/

  「小劇場に明日はあるか?!」シリーズの最終回は、
  10ページにおよぶ大特集です。

  小劇場劇団アンケートや、小劇場のキーマンへのインタビューに加え、
  日ごろから小劇場に注目しているライター・編集者の数人が
  個人的に推したい劇団を情熱的に紹介しています。
  小劇場界の現状、そしてこれからを読み取ることができる内容です。

  私も大好きな劇団について紹介文を書きました。
  どこの劇団なのかはシアターガイドで確かめてくださいね♪

  シアターガイド2006年4月号は3月2日(木)発売です。
  39~48ページをご覧ください♪
   http://www.theaterguide.co.jp/

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 ◆4 【東京国際芸術祭2006は3月も佳境です!!】
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 メルマガ2月号でもご紹介いたしました東京国際芸術祭2006は
 3月も見逃せない公演が目白押しです。
  http://tif.anj.or.jp/
 舞台裏ブログもあります↓
  http://tif2006.seesaa.net/

 お薦めしたい作品はいっぱいあるのですが、その中でもこの2本をぜひ!

 ■ドイツ座『エミーリア・ガロッティ』
  03/19-21彩の国さいたま芸術劇場 大ホール
  S席5,000円/A席3,000円 学生席1,000円(芸術劇場のみ取扱)
   http://tif.anj.or.jp/program/emilia.html
  「今年上半期最大のお薦め!」とおっしゃる劇評家もいらっしゃいます。


 ■にしすがも創造舎演劇上演プロジェクトvol.3『冬の花火、春の枯葉』
  03/24-27にしすがも創造舎特設劇場
  原作=太宰治 構成・演出=倉迫康史(Ort-d.d)
  全席自由・日時指定 一般3,000円/学生2,000円(当日要学生証提示)
  豊島区民割引 2,500円(TIFのみ取扱)
   http://tif.anj.or.jp/program/dazai.html

  倉迫康史さんは大劇場オペラの演出も手がける注目の若手演出家です。
  Ort-d.dサイト(仮設)で倉迫さんによる作品紹介・演出意図が読めます。
   http://ortdd.blog7.fc2.com/

  2004年の“密室の”話題作『乱歩プレイ』↓のように、
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2004/0426010554.html
  体育館をクラブ「斜陽」というお店に変えちゃうんだとか!これは必見!


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 ◆5 【傑作・人気お芝居がつぎつぎとテレビで放送されます】
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 ◎話題のお芝居がテレビやインターネットで見られる機会が増えました。
  今月の豪華ラインナップの中から、さらにお薦めをピックアップ!


 ◆グリング『カリフォルニア』THEATER/TOPS(2005年7月)
  3/5(日)深夜0:55~@NHK BS2
   http://www.nhk.or.jp/bs/mdstage/  
  レビューはこちら↓
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/0714174245.html


 ◆神奈川芸術文化財団『モローラ -灰』神奈川青少年センター(2006年2月)
  3/12(日)22:00~@NHK教育
   http://www.nhk.or.jp/art/
  レビューはこちら↓
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0222005356.html


 ◆松竹『決闘!高田馬場』パルコ劇場(2006年3月)
  3/25(土)19:00~@WOWOW
   http://www.wowow.co.jp/stage/mitani/
  三谷幸喜さんの舞台がWOWOWで生中継されるのは、もうお約束ですね。


 ◆パルコ『ラストショウ』パルコ劇場(2005年7月)
  3/29(水)23:45~@WOWOW
   http://www.wowow.co.jp/stage/lastshow/
  メルマガ号外はこちら↓
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/0702215323.html


  NODA MAPの人気作品は、再放送を含めて3本オンエアーされます。
   http://www.wowow.co.jp/stage/noda/

 ◇『透明人間の蒸気(ゆげ)』新国立劇場 中劇場(2004年3月)
  3/19(日)深夜3:20~@WOWOW  レビュー↓
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2004/0318150131.html

 ◇『走れメルス』シアターコクーン(2005年1月)
  3/20(月)深夜2:30~@WOWOW  レビュー↓
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/0105235432.html

 ◇『贋作・罪と罰』シアターコクーン(2006年1月)
  3/21(火・祝)22:00~@WOWOW  レビュー↓
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0113145954.html


 ▼Bunkamuraがセレクトするブロードバンドマガジンがあります。
  Bunkamura on フレッツ『クラブマガビジョン』
   http://www.bunkamura.jp/info/index.html ←音が鳴ります
  今なら無料でシアターコクーンでのお芝居のダイジェストや、
  有名俳優のインタビューが観られますね。


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 ◆6 【あなたもこまばアゴラ劇場の劇場支援会員になりませんか?】
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 こまばアゴラ劇場は、全公演を劇場がプロデュースする劇場です。
  http://www.komaba-agora.com/
 2003年度より「劇場を通じて若手劇団を支援する」システムが採用され、
 審査で選ばれた劇団の公演は、年々作品のレベルが高くなってきています。

 2005年度中に私がこまばアゴラ劇場、及び系列のアトリエ春風舎に
 演劇を観に行った回数は、なんと16回!・・・かなり多いです。
 面白い作品が多いので、ついつい通ってしまうのです。

 友人に誘ってもらって、法人会員のチケットを入手しておりましたので、
 チケット代は1公演につき1,000円でした。
 つまり16公演を合計16,000円で観られたんです!超オトク!!

 こまばアゴラ劇場のキャッチフレーズはこちら↓

  「観ることが、育てること。」 

 支援会員になって、“安く”、“面白い”作品を観ながら、
 作り手と一緒に現代演劇の活性化に一役買っちゃいましょう!


 ■劇場支援会員にはいろんな種類があります。
  ご自身の観劇ライフにぴったりの会員を選んでくださいね♪

 ・募集概要/会員種別・特典と料金について↓
  http://www.komaba-agora.com/sien2006.html

 ・最大60作品以上のラインナップ↓
  http://www.komaba-agora.com/line_up2006.htm

 ・2006年度より、こまばアゴラ劇場支援会員限定 プレミアム公演も開催!
  あなんじゅぱす『んぐまーま』
  04/06-12こまばアゴラ劇場
   http://homepage3.nifty.com/unangepasse/
  原作=谷川俊太郎 構成・演出=平田オリザ 即興ダンス=岩下徹
  作曲・歌・ピアノ=ひらたよーこ 音楽監督・キーボード=只野展也

 ※文学座+青年団自主企画 交流シリーズも楽しみですね!
   文学座=http://www.bungakuza.com/
   青年団=http://www.seinendan.org/


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 ◆7 【編集後記】
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 ◎3月末から4月初旬にかけてパリに旅行に行きまーす。
  ヨーロッパに行くの初めてなんですよ~っ。
  とりあえず美術館めぐり、そしてできればオペラ座でオペラを観たい!

  そのかわり日本でお芝居が見られないんですよね・・・(涙)。
  3月末の超・個人的お薦めはコチラ!私の代わりに観に行ってください!!

   マンションマンション『キング・オブ・心中』
    03/30-04/03下北沢OFF OFFシアター
    http://www.ne.jp/asahi/de/do/ms.html

 ◎メルマガ4月号の発行日を変更いたします。
  パリ旅行に行く前に出したいと思っています。できるかな・・・。


 ◎地方の新聞に掲載される邦画DVDの紹介記事を書き始めました。
  「これは面白いよ!」というお薦め邦画情報モトム!
  そういえば「運命じゃない人」はけっこう面白かったです。
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0122162914.html


 ◎2005年11月にセミナーにゲスト出演いたしました。
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/1107002836.html
  セミナー開催を希望される方は、是非ひとことお寄せください!
   ⇒ shinobu@mtr-standard.co.jp (件名は「セミナー開催希望」で)
  まとまった人数のご希望があれば再度開催の可能性が・・・♪


 ◎パフォーミング・アーツ・マガジン[バッカス]02号
  私が書いた劇評(Ort-d.d『四谷怪談』について)が掲載されています。  
   http://www.7andy.jp/books/detail?accd=31442121


 ◎「劇場に足を運ぶことが、日本人の習慣になって欲しい」
  それが私の望みです。
  これからもこつこつ、地道に進んで行きたいと思っております。
  皆様、どうぞよろしくお願いいたします♪


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 ◆8 【このメルマガについての注意事項(毎号同じ内容です)】
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 沢山の人に演劇に触れてもらいたい! ので、クチコミ・転送 大歓迎です♪

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