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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2006年03月11日

フジテレビジョン・博報堂DYメディアパートナーズ主催『ハゲレット』03/09-21紀伊國屋ホール

 ラッパ屋の鈴木聡さんが脚色し、山田和也さんが演出するシェイクスピアの『ハムレット』です。「若禿げに悩むハムレット」だから『ハゲレット』ということで、何度見ても強烈なチラシ・ビジュアルですよね(笑)。
 前売り券は完売です。当日券は開演の1時間前から発売されます。

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 公演2日目に伺いましたが、まだこなれていない様子で・・・と思ったら、なんと出演者のブログで「2日落ち」と書かれている・・・(涙)。そうなんですよね、2日目はそういうことが多いですよね(私の個人的経験上)。あ、演出の山田和也さんのブログもありました。読みごたえあり!

 登場人物のキャラクター(性格など)が少々変わっていますが、ストーリーはほぼ原作どおりした(あらすじはこちら。Wikipediaはこちら)。セリフがすっごくわかりやすくなっていたり、創作されたたとえ話で爆笑できたりもしました。
 『ハムレット』は悲劇ですので、とても深刻で悲しいシーンがたくさんあります。そこにすっとぼけたギャグが頻繁に入れられており、観ていて少し戸惑うこともありましたが、全体的に軽い仕上がりになっているのは良いなと思いました。そしてラストのセリフおよび演出がとても面白かったです。

 上手い役者さんばかりが揃っているので、細かいところでのこだわりの演技が楽しかったです。ただ「2日落ち」だったようで(涙)、がっちりと胸に届いてくる作品とまではなっておらず、残念。

 舞台美術は石造りの荘厳な城でした。衣装はかなり豪華で、いわゆるクラシカルな王侯貴族が勢ぞろい。ノルウェーの兵隊の衣装(特に灰色のマント)がかっこ良かったです。

 ここからネタバレします。

 近藤芳正さん演じるデンマークの王子は今作でも「ハムレット」という名前で登場します。「ハゲレット」は家臣たちがこっそりつけたあだ名でした。オフィーリアはオフェーリア(オヘーリア?)になっていましたね。

 ハムレットとレアティーズ(鈴木浩介)との決闘の場で、国王(ベンガル)の陰謀により王妃(久世星佳)、レアティーズそして国王自身も死んでしまいます。瀕死のハムレットがホレーシオ(陰山泰)に最後の言葉を残そうとしている時、それらの死体が何度も起き上がって言いたいことをしゃべります。これが馬鹿馬鹿しくて笑えるし、しかもその一言のセリフが私たち自身の本音をスパっと言い切ってくれていました。セリフ↓は完全に正確ではありません。
 王妃「煩悩が全てよ!」
 国王「(ハムレットに向かって)おまえは考えすぎなんだ!理屈っぽい!ハゲ!大ハゲ!」
 
 国王らの死体がごろごろ転がる広間にフォーティンブラス(土屋裕一)がやってきて、「ハムレット王子はどのような人物だったのか」と聞きます。ホレーシオが答えて曰く↓
 「考えること。それが世界と人間を愛することなのだ。」(←これは誰のセリフだったかしら・・・)
 「彼は考えることをやめない人でした。常に悩み続けた。いつまでも答えを出さない強さがありました。」

 ちょっと感動しちゃいました。そっか、ハムレットは「考える」ということをし続けた人だったんですね。そして「考える」こと自体が人間が生きているってことなんだ。答えを出さないことは優柔不断なんじゃなくて、強いんですね。

 土屋裕一さん演じるフォーティンブラスが、「3つ以上の言葉が続くと理解できない」というレベルの一直線なバカだったのには笑わせていただきました。演技も不必要なぐらい熱くて面白かったです。

≪東京、北九州、大阪≫
出演=近藤芳正/笹本玲奈/陰山泰/石田圭祐/鈴木浩介/福本伸一/木村靖司/櫻井章喜/湯澤幸一郎/土屋裕一/久世星佳/ベンガル
原作=W.シェイクスピア『ハムレット』 監修・翻訳=小田島雄志 脚色=鈴木聡 演出=山田和也 美術=二村周作 照明=足立恒(インプレッション) 音楽=久米大作 音響=長野朋美(オフィス新音) 衣装=前田文子 ヘアメイク=佐藤裕子(スタジオAD) 殺陣=渥美博 演出助手=則岡正昭 舞台監督=小林清隆(ジ・アクト・コネクション・カンパニーリミテッド) 宣伝デザイン=坂本拓也 宣伝写真=サト・ノリユキ 宣伝=吉田由紀子 票券=諏訪信子 制作助手=長沢弥生 相馬末江 制作=山家かおり(Me & Herコーポレーション) プロデューサー=有澤ひろみ(フジテレビジョン) 山下真由子(博報堂DYメディアパートナーズ) 企画=堀口壽一 中谷友和
16ステージ 一般発売12/10(土)前売¥6,900 当日¥7,000(税込・全席指定)※未就学児の入場不可
*関係者よりの宣伝=「若禿げに悩むハムレット。多分こんなに悲しいハムレットはかつてないはずです。乞うご期待。」
公式=http://wwwz.fujitv.co.jp/events/stage/st060309hagelet.html

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Posted by shinobu at 2006年03月11日 13:53 | TrackBack (0)