私の観劇人生で初めてのことが起こっています。同じお芝居を2度以上観ることは全くと言っていいほどしない私が、この作品については「毎日通いたい!」とか思っちゃってます(レビューはこちら)。
3日連続で通ってポストパフォーマンストークを皆勤し、昨日は正式に2度目を拝見してまいりました。千秋楽も予約しています。
戯曲本も読んで、小説版も読んで、もーただのフリークですね(苦笑)。
チケットのお求めはこちらへ。売り切れ続出中ですが、電子チケットぴあで残席がある場合もあるそうです。
「なぜだろう」って、自分でもすごく不思議に思うんですよ・・・たぶん、役者さんの演技の違いなんじゃないかしら・・・もしかするとダンスを観てる感覚に似てるのかな~・・・。いや、違う。だってダンスだって2度観たいとは思わないもの。
毎回(って、たいして観てないけど)観客の反応が全然違うんです。作品自体についての私自身の感想も全然違います。同じ役者さんが同じセリフを言っているはずなのに、なぜか毎回どきどきします。トークでも岡田さんがおっしゃっていましたが、役者さんの自由度がすごく増えているそうで、きっとそれも影響しているんだろうと思います。でもなぜなのかはやっぱりわからない・・・。
戯曲本は読み返すと新たな発見があって面白いです。初演から約2年経ってますから時事的なことが少し変化してますし、再演を観てからつけ加えられた一言とか見つけて喜んだり(あぁヲタクだ・・・)。
『マリファナの害について』と『労苦の終わり』も収録されているので、読み比べても楽しいですね。特に『マリファナ・・・』は渋谷の話なので『三月の5日間』と被るところも多く、スクランブル交差点に行く度に、何人もの若者(ラブホ入りびたり、反戦デモに参加、ティッシュ配り等)のことを思い出しそうです。
小説版は今回の会場のSuperDeluxeで入手できました。めっちゃくちゃ面白かったです。最初の六本木の情景描写は、慣れるまで付いていくのが大変でしたが、SuperDeluxeに入ってパフォーマンスが始まってからは、最後まで超特急。そう、PMEのパフォーマンスの内容が知りたかった、というのが小説版を買った一番の動機でした。パフォーマンスについてすごく詳しく書かれていて、私、読みながらちょっと興奮しましたね。あぁ、その場に居たかった!って思いました。
あと・・・小説ってエロいよね(笑)。タクシーの中の描写がかなりの赤面ものでした。ホテルの中の方がずっと激しいのに不思議ですね。
小説を読んでからお芝居を観ると、お芝居では描かれない細かいところを補完しながら味わうことが出来て、これがまた楽しい!(ほら、またヲタク・・・)
2回目、3回目のポストパフォーマンストークのお話を少し↓
■3/12(日)冨永昌敬さん(映画監督)
当日が初対面だったそうで、いろいろ探り合いながらのトークでした。ぬるかったから途中で聞くの辞めちゃった(笑)。気楽なムードは良かったですけどね。
冨永「実際の経験にもとづいて書かれたそうですが、やっぱり、岡田さんご自身が5日間・・・?」
岡田「いえ、ここでパフォーマンス(作品中ではライブ)を観たのは本当です。でも僕は終電で帰りました(笑)。」
冨永「戯曲をちらっと見せていただいたんですが、あれ全部セリフなんですね。役者さんは(当然ですが)覚えてらっしゃるわけで。ものすごいことを役者に強いてるなって思って・・・大変じゃないですか?」
岡田「いいえ、全然大変じゃないですよ、だって「覚えて」って言うだけですから、僕は。」
冨永「映画では在りえないですよね~・・・。」
■3/13(月)矢野優さん(文芸誌「新潮」編集長)
「新潮」の編集長さんだということで、白髪がまじった恰幅のいいおじ様かしらと想像していたら、めちゃ若くておしゃれなお兄様で驚きました(笑)。いや~、文芸の世界ってファンキーなんだなー。
矢野さんはノート持参でステージにいらっしゃって、NHK芸術劇場でのインタビューや、トヨタコレオグラフィーアウォードの最終選考に残ったダンス作品についてもちゃんと前知識をお持ちだったので、すっごく充実した内容でした。やっぱりポスト・パフォーマンス・トークはこうでなくっちゃ!
※下記、覚えていることのみチラリと。対話はきちんとつながっているわけではありません。
矢野「ノベライズ版について。非常によくできていると思います。戯曲と違う部分が興味深いです。今回はじめて生の演劇作品として『三月の5日間』を拝見したら、小説と同じ世界が立ち上がっていて、興奮しました。」
岡田「ホテルに引き返した女の子が見たものについては、これは小説の方が面白いかなと思っていました。」
矢野「今回の上演ではそのシーンで笑いが起こっていましたが、小説版では「おぞましい」という言葉がまさに使われていました。」
岡田「ラストシーン(ホテルに引き返した時に女が出くわす出来事)を思いついた時、あ~これって『細雪』だなって思ったんですよ。ものすごく美しい日本の風景とかをずっと描いているのに、最後は下痢をして終わるんですよね。粘り気のように残る凄みを覚えたんです。」
岡田「スカトロジーのインパクトは重要ではなくて、いったい動物なのか人間なのかというところ。リアリティの原理が壊れる瞬間。人間が人間に見えない瞬間を体験したわけで、それはものすごく気持ち悪いことですよね。戦場で人を殺す時もそうなんじゃないかなと。動物だと思ってないと殺せないんじゃないか。」
矢野「たとえば前作『目的地』でも、ある夫婦が猫を飼おうとしたけれど妻が妊娠したからやめた、ということになっていますね。」
矢野「小説ではカットされていましたが、デモのシーンは文学では表現できないですね。あの旋回する感覚は。」
矢野「(戯曲ではあんなに挑発的なのに)小説に遠慮していると言われていますが?」
岡田「そのとおりです。というのも僕は(演劇に比べると)小説のことは知らないので。でも今回書かせていただいたことで、演劇にはできないことで小説にできることがあるとわかったので(云々)。」
矢野「やっぱり原理の人、というか。小説だからできることをやろうとされるんですね。(中略)。知的だって言われるんじゃないですか?」
岡田「そー・・・ですね~・・・。だからお客さんが笑ってくれるとすっごくホっとします。」
矢野「NHKのインタビューで『現代日本に生きる人々の生態を描きたい』とおっしゃっていましたが。」
岡田「はい、そうです。お芝居は俳優の身体を使うので、どうしても制限があります。演劇の中では人間の身体を極限まできわめて表現をやっている人も居るのですが、僕は『今、この身体でやる』ということに興味深さを持っています。」
岡田「小説はそこ(俳優の身体を使うこと)から自由なんだってことに、今回気づいたので・・・(小説の新作についての構想を少し話されました)。」
第49回岸田國士戯曲賞受賞作品 Postmainstream Performing Arts Festival (PPAF) 2006
出演=山崎ルキノ/山縣太一/下西啓正/松村翔子/瀧川英次/東宮南北/村上聡一
作・演出=岡田利規 企画=小沢康夫 舞台監督=鈴木康郎 照明=大平智己 宣伝美術=good design company ウェブ=谷上周史 制作=中村茜 制作協力=プリコグ 主催=チェルフィッチュ 共催=Postmainstream 助成=財団法人東京都歴史文化財団
前売り開始 2/1(水)~ 全席自由/整理番号つき 前売:3200円 当日:3500円(お立見の可能性あり) 学生:2800円(要学生証/ウェブ予約のみ) セット券=サンガツ・ライブ(3/17)と「三月の5日間」(公演日よりお選び下さい)のセット券前売のみ4500円(ウェブ予約のみ)
公式=http://chelfitsch.net/sangatsu.html
★3/17だけ『サンガツ・ライブ』です。全席自由 前売:2200円(ウェブ予約のみ) 当日:2500円 企画協力: HEADZ
サンガツ=梶道人 (dr)、山脇豊土 (dr)、小泉篤宏 (g)、小島創太郎 (g)、磯木淳寛 (b) DJ Peaky (electronics)
トークショー=小泉篤宏(ミュージシャン/サンガツ)×岡田利規(チェルフィッチュ)
チェルフィッチュ=ショートパフォーマンス「ティッシュ」作=岡田利規 出演=松村翔子/端田新菜
サンガツ=http://sangatsu.com/
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