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REVIEW

2006年04月30日

Attic Theater『箱の中で散歩』04/25-30劇場MOMO

 黒川竹春さんが演出されるAttic Theater(アティック・シアター)。今回の脚本はククルカンの加東航さんです。千秋楽に伺いました。
 ある会社のダンボールに囲まれた倉庫の中が舞台。きれいな役者さんが光ってて、ちょっとクスっとできて、軽やかな1時間30分でした。

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 ≪あらすじ≫ 公式サイトより。
 残業となった人々。
 紛失した資料の捜索のリミットは翌朝8時。
 そこそこの仕事をそこそこにこなしてきた人々のハコの中の人間模様。
 ≪ここまで≫

 いつも思うんですが、Attic Theaterに出る役者さんはきれいな人が多いです。今回は女の子に特に見とれましたね。会社員役の人たちはパンツルックだったり、白シャツだったり、そういう日常的でシンプルなのがかえって色気があるんですよね~。あと、男性は無論スーツですから!もろ私好みですから(笑)!!

 公演は終了していますのでネタバレします。

 若いサラリーマンの生態をちょっとエッチに、コミカルに描いていきますが、その中に一人だけ居る派遣社員との人間関係はピリリと辛口に仕上げています。
 私は正社員も派遣社員も経験しているので、共感したり違和感をおぼえたりしながら、けっこう身近に感じて観ていられました。会社で暮らしちゃう感覚、わかります。派遣社員の疎外感、わかります。でも会社員の派遣社員に対する態度はちょっと親しすぎる気がしましたね。あんなに率直に話をしないんじゃないかな~。重要資料へのアクセス権を持ってる派遣社員っていうのもどうかと思いましたが、それぐらい会社の役に立っている人だという設定なんでしょうね。だから横領したりして自己主張したかった、と。

 ダンボール箱をみんなで一つずつ開けて資料を探し続けるのですが、前半で箱を棚から下ろして開けるという動作がおろそかだったのは気になっちゃいました。
 時間の経過をあらわすために、場面転換中に地球儀をぐるぐる回転させるのは可愛かったですね。まわり方がスムーズだともっと良かったですが。

 尾井(山本佳希)が、派遣社員の副来さん(祖父江唯)から告白をされると勘違いするシーンは可笑しかった~。山本佳希さんのあせりながらデレデレするアクションが最高でした(笑)。

出演=横塚進之介/山本佳希(ハラホロシャングリラ)/林力/土屋美穂子/杉本恵美(劇団☆新感線)/近藤智行/祖父江唯
脚本=加東航(ククルカン) 演出・黒川竹春 照明=岡野昌代 音響=尾林真理 舞台装置=阿部一郎(青年座) 宣伝美術=阿部つよし 舞台監督=金坂友美 制作=宮田さゆり
公式=http://www9.ocn.ne.jp/~atticweb/index.html

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Posted by shinobu at 19:15 | TrackBack

2006年04月29日

山の手事情社EXTRA企画『ひかりごけ』04/22-23、04/29-30目黒 無月

 山の手事情社の倉品淳子さんと、60歳以上の女優さん3人の4人芝居です。会場はJR目黒駅から歩いてすぐの居酒屋さん。舞台はなんとそのお店のダイニングテーブルの上です。
 長い人生を生き抜いてきた人間の体、声、そして目はこれほどに雄弁なものなのかと、圧倒され続けた約1時間10分でした。幕開けから中盤まで私は涙が流れっぱなしでした。

 明日4/30(日)で千秋楽です。お問い合わせ↓
  山の手事情社オフィス TEL:03-5760-7044(平日12時~18時)
  会場:無月(むつき) TEL:03-3491-9030

 東京公演終了後すぐに、招聘されて韓国・大田(デジョン)市に向かわれます(5/2~5)。

 レビュー⇒休むに似たり。

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 レビューを最後までアップしました(2006/05/02)。

 妙齢の女優さん3人は倉品さんが1999年の一般市民を対象としたワークショップで出会い、スカウトされました。「一年目で戯曲を決め、次の一年でせりふを覚え、さらに次の一年で芝居を作る」というスケジュールで合意し、公演が実現したのが昨年。今年は正式に山の手事情社の劇団員になられたそうです。

 会場は居酒屋ということで、開演前からなんだかわいわいと盛り上がっていました。たまたま舞台直前(最前列)の席に座ることができ、かぶりつきで拝見することになりました。

 高齢の新人劇団員3人の紹介を含む、ほがらかな始まりの挨拶からじわりと幕開け。全身黒装束の4人の女優が長方形のテーブルの上に乗って、静かに動き始めます。山の手事情社の役者さんは演劇のマジックを使って、一瞬で夢の世界へと連れて行ってくれますよね。今回もあっと驚かされてグっと引きこまれました。

 『ひかりごけ』は1954年に発表された武田泰淳の小説で、1944年に発覚した死体損壊事件(実話)をもとに書かれています。戦時下の日本で船が難破し、食物がない地に漂着した船員らは、飢死した友の死体を食べてかろうじて命をつなぎます。たった一人で本土に生還した船長が食人の罪で裁判にかけられ・・・。小説のタイトルから「ひかりごけ事件」と呼ばれているんですね(→)。食卓の上で演じられる食人事件のお話というのは面白い発想だと思います。

 ここからネタバレします。

 倉品淳子さんは一番初めに死んでしまう五助役で、早めに舞台を降りていました(後で検事役で登場)。目の真ん前のテーブルの上には3人の高齢女優さん。だまってる時間も、しゃべっている時間も、ただ2、3歩あるく簡単な動作も、すべてが特別でした。
 「テーブルの上に女性が乗って何やら深刻な話をしている」ということと、「不毛の地で餓死寸前の男たちが命がけの選択をしている」ということにズレがないのです。演じている俳優と演じられている役柄とが寸分たがわず一致している状態というのでしょうか。劇中劇のように役者さんご自身になってプライベートの雑談をするシーンも挟まれるので、自分自身のことをすっかり忘れ去って役柄に没頭しているのではなく、役を演じている自分を遠くから眺める(客観する)意識も確かに存在していました。

 死にゆく五助に「お前を食わない」と約束し、人肉を食べることなく死んだ八蔵役の松田季世子さん。死ぬなと懇願する西川に「もう死ぬよ」と言うおだやかな顔に色香があり、その気持ちに嘘がありませんでした。
 五助と八蔵の亡き後、船長のことが恐ろしくなって自殺する西川役の世羅たか子さん。私の座席からはいつも世羅さんの顔がしっかりと見えていたのですが、大きな声でも小さな声でも腹の底から声が出ていて、船長とにらみあう時の表情の美しさに圧倒されました(船長の顔は見えませんでした)。

 最後まで生き残ってしまって裁判にかけられる船長役の田口美佐子さん。いったい、この存在は何なんだろうと、私はずっとなみだ目になりながら田口さんを見続けていました。お子様をお持ちの田口さん、テーブルの舞台に立つ俳優の田口さん、がまんをして人肉を食らった船長、検事・天皇・人間と対峙する男・・・複数の人格が一人の人間の体の中にぴったりと重なり合い、同居・共存していると言えばいいのでしょうか。年輪が感じられる足の小指、あまり動かない表情、ふわりと立つ体には、得体の知れない生き物のような恐ろしさと神々しさがありました。

 3人が死んで船長だけが生き残ったところでいきなり歌と踊りが始まり、おば様方の井戸端会議シーンになります。あまりにムードが違うのでびっくりしました。話される内容は「もし自分の子供が刺し殺されて、食べられたらどうする?」「犯人を見つけて刺し殺しちゃうかも」というもので、次に始まる裁判シーンへの素晴らしい誘導になっていました。歌と踊りといえばラストもそうでしたが、あれはちょっとお祭り騒ぎすぎて(笑)、私の好みじゃなかったです。

 船長が裁判所で何度も言う「私はがまんをしているんです」というセリフが、今もずしんと胸に残ります。天皇陛下の兵士としての使命と船長の職務を果たすために、自分の感情や倫理感を完全に押し込めていたんですよね。
 船長のことが全く理解できない(理解する気などさらさらない)検事は、老人の気持ちや長い歴史に対して、無邪気に無知のままでいる浅はかな若者像と重なりました。若い人は若い人なりの正義感で必死なんですけどね。でも思慮も配慮も知恵も足りないんですよね(自戒を込めて)。まあ私はすっかり船長に魅せられて、一方的に船長の味方視点になってしまっていました。

 五助と検事の二役を演じられた倉品淳子さんと、高齢女優さん3人との演技の質感の違いがとてもはっきりと表れていました。ずっしりと等身大で体の底の底というか、足の裏から声や動作が始まっているかのように見える3人に対して、倉品さんの声や演技は上半身より上にその重心や始点があるように感じられました。これは年齢の差なのかしら・・・。もしかすると3年間ひとつの作品だけにどっぷりと浸かっていた3人と、そうでなかった倉品さんとの差なのかなと想像しました。
 3年で1作品ってものすごくスローペースですよね(笑)。でも、だからこそこんなレベルにまで高められて、奇跡的に結晶したのかもしれませんよね。そう考えると演劇って一生続けられるし、いつ始めてもいいんじゃないかなって思いました。

出演=倉品淳子/世羅たか子/松田季世子/田口美佐子
構成・演出=安田雅弘・倉品淳子 原作=武田泰淳 衣装=渡邉昌子 制作=福冨はつみ/内山亜矢子 製作=劇団山の手事情社 有限会社アップタウンプロダクション UPTOWN Production Ltd.
公式=http://www.yamanote-j.org/
目黒 無月(元 ルナ・ディ・ルナ)=http://luna.2.pro.tok2.com/map.htm

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Posted by shinobu at 22:27 | TrackBack

2006年04月28日

シス・カンパニー『父帰る/屋上の狂人』04/01-30シアタートラム

 SMAPの草彅剛さんが出演するシアタートラムでの公演は、1ステージの上演時間が合計1時間5分(2本立て)で、1日に3ステージある日もあります。かなり変わったスケジュールですよね(笑)。私は平日18~19時の回を拝見しました。

 短編の2本立てで1本が30分足らずっていうのは意外で楽しかったですが、作品自体はどうも密度に欠けました。
 ※2006/04/29に加筆しています。

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 ●『父帰る』
 幕開けから草彅剛さんがガチガチでセリフ棒読み状態。母親役の梅沢昌代さんとも全然コミュニケーションがなく、次男役の勝地涼さんが出てきてからも全員がぎくしゃく。西尾まりさん(長女)が登場してやっと、ガラっと空気が変わりました。西尾さん、素晴らしい女優さんだと思います。
 20年前に情婦と蒸発した父親(沢竜二)が、老いて戻ってくるというだけの短編です。お話はすごく良かったですね。ポロポロ涙を流す西尾さんに感情移入して、私も泣いちゃいました。

 ●『屋上の狂人』
 なんだかドタバタでした。客席はバカ受けでしたが、私はクスリとも笑えず。
 草彅さんはいつも屋根に上って空を仰ぎ、空想ばかりしている頭の弱い長男を演じます。心、ここに在らずというか・・・演じるフリをしている状態でした。
 きっと怪我のせいだと思うんです。長い公演でものすごいハードスケジュールですし、トラブルがあってもおかしくないと思います。何しろ屋根の上を飛び回る役ですし。

 私は1999年の『蒲田行進曲』を観て観劇に目覚めました。草彅さんこそが、私の人生を決めた舞台俳優だと思っています。だから今日は悲しかった・・・。

 ★「足を怪我しているように見えたのは、本当に怪我したのではなくて演技なのでは?」というご指摘を頂きました。そうだったかもしれません。パンフレットも読んでいませんし、前知識もゼロで拝見しましたので、とにかく感じたままの感想を書きました。

 ※このレビューをお読みくださった方から
 「(略)狂人の足は、父親が芝居の中で言っていたではないですか、
 金比羅さんが迎えに来よると屋根から飛び降り、かたわになったと。
 弟も言ってたじゃないですか、(略)」
 というメールをいただきました。わざわざご指摘くださってありがとうございます。
 幕開けからあまりにがっかりしていたので、セリフが届いてこなかったのかもしれません。私は「怪我をしてるからなんだ」と信じたかったのしょう(2006/04/29追加)。

 このレビューについて多くのお問い合わせをいただきます。ありがとうございます。よくあるご質問についてお答えする意味で加筆いたします(2006/05/15)。

■「しのぶの演劇レビューは」プロフィールにもございますように、高野しのぶの観劇感想文(レビュー)を掲載する個人ウェブサイトです。

■私は設定やストーリーを知らないままに観劇することが悪いことだとは思っていません。ダンスや美術作品を鑑賞する時のように、リラックスしてその空間(劇場)の中に自分を置き、ただその場に在ること、起こることを感じるのがまず大切だと考えています。なので義太郎の足のことも含め、作品の設定やストーリー等は観ている内に知りたくなれば知るようにしますし、興味を持てなければ耳にも目にも入れなくて良いと思っています。

■1999年の「蒲田行進曲」で草なぎさんが演じられたヤスは、草なぎさんの優しさ、優しさゆえの壊れそうな狂気などが神々しいほどに体から、声から、目からあふれ出していて、私にはヤス(草なぎさん)の体が白く光っているように見えたほどでした。演劇を作る側の人間だった私はあの草なぎさんの演技に目を開かされて、観る側の人間に変わりました。
 去年はSMAPのコンサートに行く機会に恵まれ、そこで草なぎさんを拝見した時もその輝きは健在でした。この人のおかげで今の私があると、感謝の気持ちを新たにいたしました。

 そして今回の『父帰る/屋上の狂人』に期待を胸いっぱいに膨らませて伺いました。先に述べました草なぎさんへの気持ちと、これまでの演劇経験をふまえて私が感じたのは、「『父帰る/屋上の狂人』では草なぎさんの本来の良さが表れていなかった」ということでした。

■レビュー中の“心ここにあらず”の“ここ”は、義太郎を指します。つまり「役柄の心になっていなかった」「役者であるままの草なぎさんが舞台に乗ってしまっていた」という意味です。役柄になりきるとか、迫真の演技だとか、俳優の演技についてはいろんな表現がありますが、私は役柄というものはその役者自身の中から生み出されてくるものだと思っています。ですから、草なぎさんが義太郎という別人格に成る(演じる)のではなく、草なぎさんが義太郎そのものであるという状態が最も好ましいと考えます。今作では義太郎を演じようとしている草なぎさんが舞台上にいらっしゃいました。“天才・草なぎ剛”ですから、どうしても熱い期待をしてしまうのです。

■この公演を企画・製作しているシス・カンパニーは日本の演劇界をリードする作品を作り続けている会社です。今作では草なぎさん以外の出演者についても技術のある役者さんがそろっており、美術、照明などのスタッフさんも有名な方ばかりです。そんな最高レベルの座組みであることにも私は大きな期待を持っておりましたが、残念ながらそれに応えてくれる完成度ではなかったと感じています(もっとも私が期待するような作品を作る意図が最初からなかったのかもしれませんが)。

■新聞の劇評では、朝日新聞、読売新聞、東京新聞の劇評を拝読いたしました。4/12の東京新聞では、演劇評論家の江原吉博さんが出演者の演技について「作りが表層的だ」「彫りの浅さがのぞく」と評されています。私はそちらと同意見です。


出演:[父帰る]草彅剛/勝地涼/西尾まり/梅沢昌代/沢竜二 [屋上の狂人]草彅剛/勝地涼/高橋克実/キムラ緑子/富川一人/梅沢昌代/沢竜二
作=菊池寛 演出=河原雅彦 美術=松井るみ 照明=小川幾雄 衣装=前田文子 音響=大木裕介 ヘアメイク=大和田一美 演出助手=西祐子 舞台監督=瀧原寿子 プロデューサー=北村明子 企画・製作=シス・カンパニー
(全席指定・税込)5000円
公式=http://www.siscompany.com/03produce/13chichikaeru/index.htm

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Posted by shinobu at 21:34 | TrackBack

劇団フライングステージ/劇団制作社『ミッシング・ハーフ』04/19-27サンモールスタジオ

 関根信一さんが作・演出される劇団フライングステージは、「ゲイの劇団」であることをカミングアウトしている劇団です。私は企画公演しか観たことがなかったので、劇団の本公演としては今回が初見になりました。
 第二次世界大戦前の上海を舞台にした密度の濃い三人芝居は、笑いあり、涙ありの上質な大河ドラマに仕上がっていました。そして、ロマンティックだった・・・♪ 千秋楽に駆けつけられて本当に良かったです。

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 【作品紹介】 公式サイトより抜粋引用。
 舞台は、第二次大戦前の上海。無声映画の女形スターを中心に繰り広げられる「失われたかたわれ=ミッシング・ハーフ」の物語です。gaku-GAY-kai2004でご覧いただいた「贋作・毛皮のマリー」が舞台にした、無声映画からトーキーへ移り変わる時代。自分らしい生き方を求めて大陸に渡った「彼女」の人生を、サイレントやトーキーの名作映画の数々をモチーフに描きます。
 【ここまで】

 “失われたかたわれ(missing half)”のイメージは映画『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』から日本でも有名になりましたが、もともとの出典はプラトンの「饗宴」(その中で、アリストパネスが話す内容)なんですね。こちらのサイト(2004.4.9 Fri.)に詳しい説明があります。私は舞台版にすっかりハマったくち(笑)。

 公演は終了していますので、ここからネタバレします。

 映画のフィルムが回る「ジーーーーーッ」という機械音とともに幕開けで、白黒映画のクラシックな世界へと連れ去ってくださいました。
 最初に登場する2人の人物が目に入った途端、パっと『サンセット大通り』の世界が私の頭の中に広がりました。そして黒いドレスをまとった関根信一さんが一言話された瞬間、今度は『毛皮のマリー』です。美輪明宏さんのイメージと重なりました。※真似をしているという意味ではありません。モチーフにした作品の世界が立体的に現れたのです。

 サンモールスタジオ規模の公演では珍しい(と思われる)、細かいところまでこだわった写実的美術でした。しっくいの壁は薄汚れているし木製の柱もドアも黒ずんでいて、お世辞にも美しいとはいえない古ぼけた西洋風の部屋。金色の猫足が支えるピンク色のゴージャスなソファが中央に鎮座しています。ちょっと中国風デザイン(?)のついたてや可憐なシェード・ランプなど、家具のひとつひとつのセンスがとても良いのですが、種類はバラバラ。お金がないながらも必死で寄せ集めてきたんだな~というのが見て取れます。

 美術も良かったですが、照明もムード満点でしたね。雷の演出がかっこよかったし、回想シーンの切り替えも鮮やかで美しかったです。史実をたどった大河ドラマでありながら、ドタバタのお笑いもどっしりと作ってくださり、声を上げて笑っちゃったところがいくつかありました。

 自称女優の川野万理江(関根信一)と、彼女の身の回りの世話をするソンヨウテイ(大門伍朗)が暮らす上海の古い貸家に、日本から上海に兵役逃れをしてきた若い日本人・大江卓哉(森川佳紀)が飛び込んできます。ちょっとした行き違いから万理江が銃で大江の足を撃ってしまい、大江はしばらくその部屋に留まることになります。

 万理江も大江も架空の人物ですが、実在するだと思い込んじゃうほどリアルな存在感でした。そして皆さんとても生き生きしていて魅力的なんです。演技の種類は(大雑把に言ってしまうと)新橋演舞場でベテラン俳優さんが見せるかっちりしたものに似ていますが、心、体、声がしっかり一体になっているので、少々型にはまっている感のあるセリフも仕草も喜んで受け入れられました。
 特に万理江が語る映画『モロッコ』(動画はこちら)が素晴らしい!マレーネ・ディートリッヒとゲーリー・クーパーの姿が鮮やかに浮かび上がり、また、万理江がどれほどその映画を愛しているのかも伝わってきました。

 万理江が本当は映画女優ではなく夜の女(娼婦)であることを知った大江は、一度は部屋を飛び出してしまうのですが、満州国の新京にできる映画製作所のオーディションのチラシを持って戻ってきます。プライドの高い万理江が大江の熱意に負けてオーディションを受ける決心をするのですが、そのシーンで語られる「夢」についての言葉にすごく共感して、ちょっと泣いちゃいました。
 大江が言っていたのは「叶わないから夢なんだろ。夢見て叶わなかったら、その時がっかりすればいい。そしてまた次の夢を見るんだよ。だから夢見させてくれよ。」というようなことだったと思います(セリフはほぼ私の創作です)。

 あんまり感動したのでそのシーンで終わるのかな~と思ったのですが、そこからもうひとつ重要なエピソードが始まりました。『モロッコ』のアミィとトムの物語に万理江と大江の行く末が重なっていくのです。最後の最後になって、うまく考えられた脚本だな~と思いました。一緒に観劇した人が「最後で『モロッコ』と突然つながったのでは物足りなかった。中盤で何らかの重なりを作っておけば、もっと効果的だったのではないか」とおっしゃっていて、それはその通りだなと思いました。特にトムと大江の共通項が足りなかった気がします。

 万理江役の関根信一さん。いわゆる“女優らしい女優像”を堂々と、おおらかに演じきってくださいました。男声と女声を使い分けられるのが素敵。声が大きいなって時々思いましたが(笑)、それも魅力になりました。
 まったく違う三役を演じた大門伍朗さんは、きちっと型を作っていながら愛嬌たっぷり。白塗りにかつらをかぶった舞台俳優の四世沢村源之助役では、シーンが終わったところで拍手が起こりました。私ももちろんしましたよ!
 最後の最後に万理江のカタワレになった大江卓哉を演じられた森川佳紀さんは、細身の体と仏頂面がとってもキュート♪縦ストライプのスーツもとってもお似合いでした。

出演:関根信一/森川佳紀/大門伍朗
作・演出:関根信一 美術・衣裳:小池れい 照明:青木真紀子 音響:鈴木三枝子 舞台監督:中西輝彦 編曲・演奏=真蔵 録音=松山茂生 宣伝写真=サトウカオル 宣伝美術=河合千佳 ドキュメンタリー撮影=クニオ WEB製作=有賀純子 当日パンフ製作=佐久間きよ子 制作:佐藤竜太郎/佐久間晴 制作助手=中川加奈子 プロデューサー:樺澤良 協力:佐山泰三/吉田直美 制作:フライングステージ/劇団制作社
発売:3月19日(日) 全席指定3500円 12回公演
劇団フライングステージ=http://www.flyingstage.com/
劇団制作社=http://seisakusya.jp/

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Posted by shinobu at 01:58 | TrackBack

2006年04月26日

明日図鑑『岸辺の亀とクラゲ』04/26-30THEATER/TOPS

 牧田明宏さんが作・演出される明日図鑑こちらの記事や観た人の噂を聞いて「きっと私の好みじゃないだろう」と思い、今までご縁がなかったのですが、山口奈緒子さんが気になっていたので伺いました(山口さんの出演作のレビュー→)。
 うーん・・・噂どおりと申しましょうか(笑)。でもいつもの作風とは少し違うそうです。劇団員と客演さんが3人ずつで合計6人の出演者なんですね。役者さんの面だけでいうと少しプロデュース公演に近いのかしら。

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 チラシや公式サイトにも載っているあらすじは、ストーリーがかなり詳しく書かれています。これからご覧になる方は読まない方が面白いんじゃないかな~と、私は思います。何も知らずに観ていると、色々裏切られて楽しかったので。

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより。(役者名)を追加。改行を変更。
 川沿いのマンションに暮らす中学校の英語教師、辻さゆり(中込佐知子)は部屋のベランダから眺めるその川の景色が好きだった。街の灯りが川面に映り、ゆらゆらと揺れる川の景色が好きだった。
 ある日、彼女は近所のスーパーで女性(大久保佳代子)が万引きするのを目撃した。缶入りのミートソースだった。一瞬、目が合ったが気付いていないふりをした。その日から彼女の生活は少しすつ変化していく。ヒモのような男(谷川昭一朗)と暮らす元教え子(山口奈緒子)との再会。同僚教師(牧田明宏)のストーカーまがいな誘い。狭い路地を猛スピードで走る車との接触事故。そして、2ヵ月後に結婚を控えた彼氏(野中隆光)の裏切り。やがて、それらがしだいにつながり、彼女は自分に迫るある人間の悪意に気付き始める。そして彼女は・・・。
 - 明日図鑑がおくる愛と復讐の物語。
 ≪ここまで≫

 今どきのきれいなワンルーム・マンションの一室。主人公のさゆりの家です。フローリングの床に茶色い木製のクローゼット風押入れ。ベランダもちゃんとあって、玄関は廊下の先にあります。勉強机、テーブル、ソファ、そして本棚の雑誌や小物など、一人暮らしの女性が住んでいるのにふさわしいリアルなセットでした。
 しっかり作られたセットで自然な会話劇をするとなると、役者さんの演技の質はもちろん、効果音や小道具などの細かい演出もすごく気になります。その段階で色々ひっかかってしまいました。また、設定や会話の進み方にも疑問が沸いてしまい、残念ながら「リアリティ」の面では楽しめませんでしたね。でもリアリティがないことを敢えて楽しむような、奇抜な演出もありだと思います。今作についてはそういう意図ではなかったようです。

 初日だというのもあるかもしれませんが、演技が全体的におぼつかなかったです。登場人物のほぼ全員がイカれてる(大人気ない・社会性がない・常識がない・コミュニケーション下手・等)というお芝居はよくあるのですが、そういう作品世界が成立するか否かは役者さんの演技にかかっているんですよね。特にこの作品はダイアローグ(対話)のシーンが多く、難しいことにチャレンジされていると思いました。

 暗転中にかかる音楽が個性的だなと思いました。クラシック音楽をポップ(ロック?)調にアレンジした、ちょっとうるさい目の曲をかなりの大音量で流します。個人的には「ハバネラ」がかかった時はヤでしたね。私のお気に入りの曲なのに、ものすごくいや~なシーンでかかるんだもの(苦笑)。元からそういう意図なのでしょうね、私がそれにすっかりハマったということです。

 ここからネタバレします。

 さゆりと結婚するはずだった啓介(野中隆光)と、さゆりの元生徒でキャバクラ嬢の恵美(山口奈緒子)は、実は既にキャバクラで知り合っている仲でした。さゆりが居ない内に2人で一緒に暮らす相談をし、そして軽いキスまで交わしてしまいます。そのシーンがすごく良かったです。
 恵美はさゆりを恨んでわざとそのフィアンセに近づいたのか、偶然に出会っただけのかはわからないままですが、疲れて気弱になっている男に優しく接する水商売の若い女という構図を、リアルに感じられる演技で見せてくださいました。フィアンセの知らないところで浮気をしてる、しかもフィアンセの元教え子ですごく若い女の子と・・・っていうだけでかなり罪悪感があって萌えますよね(笑)。

 さゆりを怪我させ、さゆりの同僚教師(牧田明宏)を轢き殺してしまった、細い通路を猛スピードで走りこんでくる白いワゴンの正体は不明のままでした。また、さゆりと啓介とのベランダでのセックスを盗撮して、そのビデオを同僚教師に渡したのが誰なのかもわかっていません。ここが謎のままなのは余韻があっていいなと思いました。

 セリフでは、夫の浮気相手に恐喝行為をする万引き女(大久保佳代子)の「メンゴ、メンゴ」が最高でしたね(セリフは正確ではありません)。

 細かいつっこみになってしまうのですが、ここからは私が気になったところを書いておきます。

 最初のシーンで酔っ払った田宮(谷川昭一朗)が、間違ってさゆり(中込佐知子)の部屋に入ってくるのですが、さゆりもフィアンセの啓介(野中隆光)もそんな危険な見知らぬ侵入者を全然追い出そうとしないのがヘンでした。啓介が「警察に電話しろ!」とさゆりに言うのですが、今さっき啓介が使ったばかりの携帯を使えばいいのにと思いました。

 スーツのデザインや着方から、さゆりも啓介も新入社員のカップルだとばかり思っていたんです。だけどさゆりは10年以上教師をやってるってことで、30歳を超えてますよね。

 終盤でさゆりが思い余って田宮(谷川昭一朗)を包丁で切りつけてしまいます。私には左手の腕が傷ついたように見えたのですが、血が流れ始めたのは右手でした。

 最後の最後にさゆり(中込佐知子)がなぜ、元教え子の恵美(山口奈緒子)に恨まれていたのかがわかります。さゆりが当時中学生だった恵美に、「あなた、カンニングしたでしょう?それから、あなたのお父さんは単身赴任じゃなくて、蒸発したんでしょう?なぜ先生に本当のことを言ってくれないの?~云々(セリフは正確ではありません)」と言ったことになっていました。信憑性に欠けました。

 舞台下手がお風呂や玄関に続く廊下であるという設定なのですが、その廊下が舞台奥へと伸びているのか、客席側に伸びているのかが曖昧でした。役者さんが登場する時の体の方向や、部屋から廊下の方を見る演技が定まっていないせいだと思います。

出演=中込佐知子/大久保佳代子/山口奈緒子/牧田明宏/野中隆光(THE SHAMPOO HAT)/谷川昭一朗
作・演出=牧田明宏 舞台監督=松下清永 舞台美術=田中敏恵 照明=箱崎あや子 音響=田上篤志(atSound) 演出助手=菅井哲生 宣伝美術=登内雄司 宣伝写真=大木啓至 制作=明日図鑑 
前売開始3月12日(日) 7ステージ 前売3,200円 当日3,500円(全席指定) 
公式=http://www.ashitazukan.com/index_f.html

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Posted by shinobu at 23:59 | TrackBack

2006年04月25日

ホリプロ『ライフ・イン・ザ・シアター』04/12-30世田谷パブリックシアター

 市村正親さんと藤原竜也さんが初共演する二人芝居で、脚本がデヴィッド・マメットという必見の公演だったのですが・・・残念な出来上がりでした(マメット作品のレビュー⇒)。
 立見席にずらりとお客様が並び、本番中は笑いが耐えませんでした。出演者のファンの方は楽しめたようです。

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 ≪あらすじ≫ 公式サイトより
 特にストーリーはない。二人の男優…1人は老境にさしかかりつつあり、1人は俳優になったばかりの若手…が、劇場の中のさまざまな場所…楽屋や舞台袖…で交わす会話や、舞台の上での様子などがオムニバス風につづられる。
 二人は同じ劇団に属しているのかもしれない。この劇団は、古典劇から現代劇まで比較的広範な演目をレパートリーで上演していると思われる。
 ≪ここまで≫

 出演者が2人だけのバックステージものです。舞台俳優の裏話がずっと綴られるのですが、豪華な衣装を何度も舞台袖に隠れて着替えたり、場面転換の度に大掛かりな舞台装置が移動したり、とにかく休み時間が多すぎます。転換中の音楽も大げさだったな~・・・転換自体も不要だと思いましたし、音も耳障りでした。
 衣装を頻繁に変えてくれるのは見た目に嬉しいですが、もっと言葉と体だけで見せられる脚本だと思います。市村さんと藤原さんのお2人ともが大スターだから、こんな演出になっちゃったのかしらねぇ。もったいないことです。

 私が一番悲しかったのは、舞台俳優という職業がみすぼらしく見えてしまったことです。役者ってこんなんじゃないよ!って言いたくなっちゃう。
 また「普通に生活しているのも人生で、舞台上で演技をしている時も人生なんだ」ってことをロバート(市村正親)が真剣な面持ちで力説していましたが(その演技は悪くないと思いました)、お2人ともが劇中劇のシーンでその劇中人物の人生を全然生きていないので、説得力がありませんでした。ウケ狙いのネタばっかりなんだもの(涙)。
 これは芝居なのか現実なのか?果たして私たちはロバートとジョンの劇中劇を観ている観客なのか、市村正親と藤原竜也の『ライフ・イン・ザ・シアター』を観ている観客なのか?・・・という風に、観客の私たちが自分の立場について迷いを感じるような、メタ芝居の要素が必要だったんじゃないでしょうか。でないとあんなにいっぱい劇中劇をやる意味が・・・少ないですよね。

 市村正親さんは観客サービスを目的とした演技をされているように見えて、ロバートを演じているようには感じられませんでした。何かにつけウケてましたけど、それを楽しめるのは“市村正親”を観に来たお客様です。『ライフ・イン・ザ・シアター』を観に来た観客は寂しい限り。
 藤原竜也さんはきれいだったな~。劇中劇のシーンで声を張って演技する時はあんまりでしたが、楽屋で自然な演技をされている時はとてもかっこ良かったです。声もきれい。でももっともっと演劇的世界の広がりを作れるはずだったと思います。

≪北千住、三軒茶屋、大阪、仙台、新潟、愛知、北九州、長崎≫
"A life in the theater" by David Mamet
出演=ロバート:市村正親/ジョン:藤原竜也
作=デイヴィッド・マメット 翻訳=小田島恒志 演出=ポール・ミラー 美術=堀尾幸男 照明=沢田祐二 音響=高橋巖 衣裳:=小峰リリー ヘアメイク=河村陽子 舞台監督=青木義博
26ステージ(月)休演 2月4日(土)前売開始 S席9,000円 A席7,000円 学生席5,000円
公式=http://www.horipro.co.jp/ticket/kouen.cgi?Detail=69

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Posted by shinobu at 21:59 | TrackBack

2006年04月24日

劇団鹿殺し『SALOMEEEEEEE!!!』04/22-05/03タイニイアリス

 去年の4月に大阪から東京に進出し、週6回の路上パフォーマンスで生計を立てているという噂の劇団鹿殺し。劇団員全員で一軒家に住んでいるというのも話題になっています。
 新宿の路上で一度出会ったことがあったのですが、その時は残念ながら時間がなくてパフォーマンスは観られませんでした。今回は東京初の劇場での公演です。

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 最初の30分は観ていられなかったですね・・・。とりあえず男の子が裸に近い格好で舞台に出てきます。そして、やみくもに動いて跳ねる。叫ぶ。ウケを取る。下ネタや演劇ネタを言う。“若いからこそ出来ること”が満載です。全力投球であることは大切だと思いますが、私はそういうがむしゃらな熱さだけでは不満です。
 
 30分後からは、けっこうお話に入っていくことが出来るようになりました。2050年の日本を舞台にしてオスカー・ワイルドの「サロメ」を脚色したストーリーでしたが、終わるかな~と思っても終わってくれなかったことが3度あり、いろいろ冗長でした。上演時間は約2時間10分です。
 音楽劇というよりはコントの間にライブが挟まってるという感じですね。裸同然の路上音楽ライブなら面白いかもしれませんが、劇場でお芝居となると勝手が違うのでしょう。

 ここからネタバレします。

 オレノグラフィティさんの学校コントが面白いなーと思ったり、スキンヘッドの山本聡司さんのヴォーカルがかっこいいーなーと思ったり、ヨカマン役の渡辺プレラさんのつか芝居っぽい目力炸裂の見得の切り方に見ほれたり、サロメ役で紅一点のヒロイン、菜月チョビさんのブリッ子演技が可愛いと思ったり、色っぽい歌声に聴き惚れたり。ところどころ面白く拝見いたしました。劇団員一人一人は魅力の有る方々なんだろうと思います。

 劇中曲はすべてオリジナルで今作のために作曲されたそうです。菜月チョビさんが歌われた主題歌(だと思う)「七色の光」はムードがあって良かったです。

 舞台中央奥には水槽(という設定の)スペースがあり、その床に水を溜めていて、役者さんがバチャバチャ浸かります。終盤では天井から水が雨のように降ってきたりもして、がんばってるなーと思って眺めていました。

出演=山本聡司/JIRO・J・WOLF/渡辺プレラ/オレノグラフィティ/丸尾丸一郎/菜月チョビ
原作=オスカー・ワイルド 脚本=丸尾丸一郎 演出=菜月チョビ 作曲・フライヤー&ホームページデザイン=李 舞台監督=杣谷昌洋 佐藤恵 舞台美術=加藤まゆこ 照明=工藤雅弘(Fantasista?ish.)  音響=高橋秀雄(SOUND CUBE) 衣装=赤穂美咲 舞台写真撮影=溝添真紀 宣伝写真ヘアメイク=みかん(Jufeam Parfait) 宣伝写真撮影=すえぞう 制作=内藤玲奈 企画製作=劇団鹿殺し 主催=オフィス鹿
前売2,800円 当日3,300円(全席指定・日時指定)17ステージ
公式=http://shika564.com/indexpc.html

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Posted by shinobu at 23:21 | TrackBack

青空美人プロデュース『怪力』04/15-23吉祥寺シアター(2度目)

 ドッキドキの初日の後、千秋楽にももう一度伺いました。
 細かい部分で色んな演出が追加されていましたね。おぼつかなかったところがきちんとした見せ場になっていたり。
 ただ、全体的にはきれいにまとまってしまった印象で、私は初日の方が好きだったかも・・・。難しいものですね。

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 物語の途中に突然はじまった踊り(若松智子)は、水門番が観た念願の「洪水」だったんですね。舞台奥で寝転んでダンサーを見ている水門番がいました。これは初日にはなかった演出で、すごく感動しました。水門番は三本の短編全てに登場する大切な人物です。彼のことを少しでも深く知ることができて良かった。

 マイクを持って『怪力』の解説をするシーンで、初日は脳がひっくりかえるぐらいの(笑)衝撃を受けたのですが、内容がわかってから観たのもあって、千秋楽では驚くことはありませんでした。さらに鶴牧万里さんの演技がすごく上手になっているので、スムーズに過ぎ去ってしまいました。わがままな観客ですね、私(苦笑)。

 同じお芝居を二度観たいと思うなんて、私にはほんっとに珍しいことです。そういう作品に出会えたことが嬉しいです。

出演=久松信美/石橋けい/木村健三/金崎敬江/沖田乱/坪井美奈子/瀧川英次/由地慶伍/片岡正二郎/鶴牧万里/若松智子(dance)/大森智治
作・演出=木内宏昌 美術=深瀬元喜 照明=増田隆芳 音響=藤田赤目 振付=若松智子 舞台監督=桑原淳 宣伝美術=森山真人 宣伝イラスト=深瀬元喜 音楽監修=片岡正二郎 衣装製作=砂田悠香里/萩野緑 小道具=栗山佳代子 装置協力=青木拓也/桑原勝行/富士川正美 制作=青空美人制作部・日原国子
発売開始 10ステージ 前売3,500円 当日3,800円(全席指定)
公式=http://www.din.or.jp/~azr-bjn/2006site/

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Posted by shinobu at 12:31 | TrackBack

2006年04月23日

クレネリ・ZERO FACTORY『春と爪』04/19-23駅前劇場

 文学座浅野雅博さんが出演されるとのことで駆けつけました~。
 クレネリ・ZERO FACTORYは初見です。女優の本多真弓さんが主宰で、劇作家の大岩真理さんの脚本を上演するプロデュースユニットのようです。今回の演出は文学座の森さゆ里さんです。
 土曜日ソワレは立見が出るほどの満員でした。駅前劇場ではあまり見られないちょっと豪華なキャスティングですよね。

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 ≪あらすじ≫
 場末のスナック「つくしんぼう」が舞台。茂木有子(山本郁子)と篠原紗代(高橋理恵子)の2人が住み込みで切り盛りしている。常連の客・千葉(平川和宏)と茂木の昔の教え子(佐藤里真)がいつものとおり入り浸っているところに、ギターを抱えた流しのミュージシャン・尾頭(浅野雅博)がやってきた。そして次々と奇妙な客が訪れて・・・。
 ≪ここまで≫

 けっこう有名な役者さんが揃っているのですが、残念ながら設定にも展開にも信憑性を感じられないまま終わってしまいました。
 女性の脚本家らしい、ちょっと一人よがり気味で詩的なセリフが個性的で良いと思うのですが、それが気持ちよく溶け込まなかったんですよね。新劇っぽい(いわばベタな)演出にはハマりにくいんじゃないかしら。もっと奇抜な(異常な)ことをやらかしても良かったんじゃないかなと思います。

 舞台下手での会話が終わったところで、上手の女優さんが「さあ次は私のセリフだ!」って感じでセリフを言い始めちゃうとか・・・そういう芝居の段取りが露呈してしまっている間(ま)が多かったですね。残念。
 終盤近くで秘密が明かされ、そこからぐっと面白くなります。でももっと厚みと刺激のある作品になる可能性があったと思います。

 流しのミュージシャンが可笑しかったです。空気を読まない迷惑な奴らが、居心地の悪~いムードから爆笑を生んでいく演出が成功していました。

 ここからネタバレします。

 例えば“流しのミュージシャン”などという不気味極まりない存在を、すんなりと受け入れてしまうスナックのママおよび客にリアリティを感じられませんでした。携帯電話を地蔵にあげたとか寝ぼけたことを言う女・ココ(本多真弓)も、追い出されずに居続けるのに無理がありました。
 茂木有子(山本郁子)が篠原紗代(高橋理恵子)のことをそんなに愛してるようには見えなかったんですよね・・・。一緒に住んでるんですし、肉体関係もあるんじゃないか?って想像させるぐらいの色気があっても良かったと思います。でないとあの急展開には見合わない気がします。

 実は紗代は7年前に過失致死事件をおこしており、警察から逃げていたのを茂木がかくまっていたのです。流しのミュージシャンの尾頭は、コンビを組んでいる恋人の真木(明樹由佳)をスナックに連れてきますが、実は真木の夫こそが、紗代に暴行を受けて死んでしまった被害者でした。紗代は昔、真木の夫の愛人だったのです。真木は残酷な復讐を果たすために興信所を使って紗代の居場所を突き止めており、時効が成立した日にわざわざやってきた・・・ということでした。

 浅野雅博さん。自称流しのミュージシャン・尾頭役。いつも期待通り魅せてくださいます。笑いのセンスが本当に素晴らしい。登場するなりギターの弾き語りで中島みゆきの「世情」っていうのも可笑しかった(笑)。尾頭(浅野雅博)と恋人の真木(明樹由佳)のデコボコ具合も“女王様と奴隷”という構図に見えて笑えました。

出演=山本郁子(文学座)/高橋理恵子(演劇集団円)/平川和宏/明樹由佳(La Compagnie A-n)/浅野雅博(文学座)/ほりすみこ/根本博成(大沢事務所)/佐藤里真/本多真弓
作=大岩真理 演出=森さゆ里(文学座) 美術/u-rec-a 照明/橋本剛(colore) 音響/小笠原康雅(OFFICE my on) 舞台監督/筒井昭善 宣伝美術/yana 写真/小柳宏(VIVOT) 企画製作/クレネリゼロファクトリー
前売開始 2006.3.19(日)6ステージ 全席指定 前売3500円 当日3800円 レディースステージ(4/20、15:00の回女性のみ割引)前売3000円 当日3300円<クレネリのみ取扱い>
公式=http://www.kureneri.com/

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Posted by shinobu at 00:16 | TrackBack

2006年04月22日

【情報】ナチュラルローソン@中野ザ・ポケット横

20060413 natural lawson.JPG
ナチュラルローソン

 先日中野ザ・ポケットに行ったら、可愛らしいお店が出来ていました。スーパーかしら?と思ったらコンビニだったんです。その名もナチュラルローソン。なんとコンビニ内にベーカリーがあって、焼きたての美味しそうなパンが並んでいます。開演まで時間があったので次の日の朝食用にメロンパンを買いました♪
 店の前にも店内にもテーブルとイスがあって、簡単な食事ならできます。これから中野ザ・ポケットと劇場MOMOに行く時は、ちょっと早めに出ようかなと思います。

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Posted by shinobu at 10:53 | TrackBack

2006年04月20日

少年王者舘・夕沈ダンス『アジサイ光線』04/20-23シアターグリーン小劇場

 少年王者舘の振付家としてご活躍の夕沈さんのダンス公演(と銘打った少年王者館公演)です。東京に初お目見えということで、早々とチケット完売でした。
 当日券はかろうじて出るのか出ないのか・・・という満員ぶり。当日券でとお考えの方は、行く前に問い合わせた方がいいかも。⇒シアターグリーン:TEL 03-3983-0644

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 上演時間は約1時間30分だと思います。でも開演時刻が15分遅れだったので体感時間としては1時時間45分。これは長かったですね・・・ぎゅうぎゅう詰めのベンチシートはつらい(涙)。これからご覧になる方はどうぞ動きやすい格好で臨んでください。客席はすべてベンチシートで整理番号付き・自由席です。荷物は受付預かりで、劇場入り口で靴を入れるためのビニール袋が手渡しされます。いわゆる小劇場の空間・・・久しぶりでした。

 天野天街さんの演出作品(レビュー⇒)によく観られるモチーフや仕掛けが健在でした。何枚も組まれた障子に、舞台奥と客席奥の両方から映写される動画の効果も、古い日本家屋とその周辺の路地をあらわす装置に仕込んであるアナログなイリュージョンも、いつもどおり面白いです。もうちょっと上演時間が短かったら、心地よい帰り道になったと思うんですけどね~。これもまたいつもの少年王者館ってことなのかしら。

 ここからネタバレします。

 古家、アジサイ、ランドセル、白い半袖ワンピース、学校に行けない少女。大人数での単純な振付が、ぐるぐるまわって繰り返し・・・。「あした」から「ワタシアシタハ(私、明日は)」の回文になり、そこから文字を入れ替えて文章を作っていくのが楽しかったな~。

 夕沈さんのソロダンスをずーっと観ていて気になったのは、重心があまり移動しないことです。腰の位置がほぼ一定なんですよね。カキカキッとロボットみたいに動くのは面白いんですが、あまり長すぎると・・・飽きちゃいますね。意図的なのかもしれませんが。

≪名古屋(2004年)、東京≫
出演=夕沈/珠水/白鴎文子/虎馬鯨/中村榮美子/蓮子正和/ひのみもく/日与津十子/黒宮万理/水元汽色/小林夢二/いちぢくジュン(てんぷくプロ)/ばんたろ左衛門(てんぷくプロ)/和倉義樹/大西おに(スエヒロ アンド ザ スローモースローガンズ)/中野麻衣(千夜二夜)/藤沼茂人(千夜二夜)/池田遼 ※帆足知子は都合により降板。
構成・演出=天野天街 舞台美術=田岡一遠、小森祐美加 美術製作=羽柴英明、枝松千尋 映像=浜嶋将裕 照明=小木曽千倉 音響=戸崎数子(マナコ・プロジェクト) 音楽=珠水、FUMICO 舞台監督=井村昂 小道具=田村愛 宣伝美術=アマノテンガイ 制作=西杢比野茉実 協力=髭枕れもん、山崎のりあき、須田卓志、ヨコヤマ茂未 振付=夕沈+アジサイダンス部
前売・予約3500円 当日4000円(日時指定・全自由席) 6ステージ 未就学児童はご入場をお断りします。
公式=http://www.oujakan.jp/

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Posted by shinobu at 23:00 | TrackBack

2006年04月19日

新国立劇場演劇『マテリアル・ママ』04/19-05/04新国立劇場 小劇場

 シリーズ「われわれは、どこへいくのか」の第2弾は岩松了さんの新作で、仲村トオルさんが新国立劇場に初登場です。岩松さんといえば不条理劇とか、日本のチェーホフなどと呼ばれたりされていますが、今作はいかに?・・・と期待して伺ったのですが、まだまだ役者さんに迷いがあるようで、満足とはいえない初日でした。
 前売り完売ですので当日券(Z席)をご利用ください。

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 ≪あらすじ≫ 公式サイトより。(役者名)を追加。「都会で」を「海外で」に変更。
 その初老の女性(倉野章子)は郊外の一軒家にひとり住んでいる。彼女の一番大切な日課は“車の世話”。その車とは、今は海外で働く一人娘が置いていったものなのだ。そんな彼女のもとに足繁く通う車のセールスマン(仲村トオル)は、いつしか新車のセールスを忘れてその車の面倒をみるようになり・・・ ※サイトのあらすじと内容が異なるようですので、引用はここまでにします。
 ≪ここまで≫

 出演者は作・演出の岩松さんを含めて5人。残念ながら役者さんの戸惑いが前面に出てしまっていました。意味や意図がわからなくても楽しめる岩松さんの作品ですが、今日は未完成であることが露呈してしまっているように感じ、私は集中しづらかったです。
 意味的に不連続な言葉や意外なアクションがあふれ、素っ頓狂な演技がよく見られましたが、役者さんの個性を生かそうとしている演出(アイデア?)もありました。ただ、それが上手く舞台上に現れていなかったです。もうちょっと後の方で観に行く方がいいかもしれませんね。

 当日パンフレットの冒頭に岩松さんとチェルフィッチュ岡田利規さんとの対談が掲載されています。読み応えがありました。THE LOFT企画はパンフレットが薄いので300円です。お買い得。

 ここから少しネタバレします。読んでから観に行かれても問題ない程度に。

 舞台はこげ茶色の木造の一軒家。本来ならガレージにあるはずの車が、畳の部屋の中に置かれています。回り舞台になっており、畳の部屋の裏側は赤いソファとテーブル&イスがある居間です。2つの部屋がぐるぐる回って転換します。小さな空間なので回るスピードがすごく早く感じました。

 何度も繰り返されるメランコリックな音楽と、それに合わせて語られる独白に近いダイアローグ(対話)は、観客の方を向いてしゃべらない唐組みたいでした。途中でギャグなのかな?と思ったのですが、繰り返すことが多かったのでそうでもないのかな。

 ここからネタバレします。

 初老の女性の隣りに住んでいる中年の男(岩松了)は母親の介護をして暮らしています。女性に片思いをしているので、セールスマンの存在をあまり快く思っていません。セールスマンの妹(伊藤歩)は、女性に兄を取られたように感じ、兄を取り戻すために女性の家に訪れます。どうやら兄と妹は近親相姦の関係のよう。女性は娘と連絡を取っていると言いますが、いっこうにその娘は現れないので、もしかしたら嘘なのかもしれません。そう考えると、何が本当なのかは全然わからずじまいな作品でした。

 パンフレットで岡田さんが「岩松さんの舞台は、観たあとに話の内容を憶えてられないんです。憶えやすい形をしていない」とおっしゃっていますが、確かにそうですね。断片的なイメージや一言のセリフが、なぜか消えずに心に残っていたりしたら、それだけでいいと思います。近作は残念ながら特にコレといったものは残りませんでしたが、敢えて言うなら仲村トオルさんと伊藤歩さんのかみあわない近親相姦関係は眺めていて可笑しかったですね。あと、倉野章子さんがセクシーでした。

※追加公演チケット発売日:4月2日(日)10:00~
THE LOFT シリーズ「われわれは、どこへいくのか」(2) "MATERIAL MAMA"
出演=仲村トオル/伊藤歩/早船聡/岩松了/倉野章子
作・演出=岩松了 美術=池田ともゆき 照明=沢田祐二 音響=藤田赤目 衣裳=勝俣淳子 舞台監督=藤崎遊
20ステージ (月)休演 2/25(土)前売開始 全席指定5,250円 Z席=1,500円/当日学生券=50%割引
公式=http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/10000100.html

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Posted by shinobu at 23:34 | TrackBack

コクーン歌舞伎『東海道四谷怪談』(南番)03/18-04/24シアターコクーン

 『東海道四谷怪談』は12年前にコクーン歌舞伎第一弾として上演された演目で、7回目となる今回は北番(新演出)・南番(第一回公演の再演)の2ヴァージョン公演です。私は南番に伺いました。

 ★舞台上で告知がありました。来年の夏に2度目のニューヨーク公演が決まったそうです。

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 『四谷怪談』は何度かお芝居で拝見しておりますし、Ort-d.d版については劇評を書いたこともあり、歌舞伎に慣れない私でもストーリーや登場人物については問題なく理解できました。そのためか前半はちょっと退屈しちゃって・・・でも後半は水の出番(笑)。これでもか、これでもか!というサービスにまた大拍手を送ってしまいました。

 あらすじや登場人物解説は、こちらのサイトがとてもわかりやすいです。
 ここからネタバレします。これからご覧になる方は読まないでくださいね。

 前半だけで2時間あるのは特に歌舞伎ファンではない私には長すぎました・・・。お岩(中村勘三郎)が毒薬のせいでバケモノの様相になっていくのを、じわじわ、ねっとりと演じていたのが素敵。怖いしおどろおどろしいんだけど見とれちゃいました。

 戸板に打ちつけられて川に流されたお岩と小仏小平を、中村勘三郎さんが一人二役で演じるシーンの早替え(?)は圧巻。しかも水中ですからね~(笑)。詳しいことはイープラスでどうぞ。

 舞台以外でもサービス満点です。後半は仕掛けや水上(水中)の殺陣などで客席沸きまくり。1等平場席の床下から勘三郎さんが出てきた時は唸りましたね~。やっぱりカーテンコールではスタンディング・オベーションでした。

 私は『夏祭浪花鑑』、『三人吉三』がすっごく好きだったので、今回はあんまりだったかも。

北番(新演出)・南番(第一回公演の再演)の2ヴァージョン公演。
≪南番≫出演=お岩・小仏小平・佐藤与茂七:中村勘三郎/民谷伊右衛門:中村橋之助/お梅:中村七之助/按摩宅悦:片岡亀蔵/伊藤喜兵衛・お熊・舞台番:笹野高史/直助権兵衛:坂東弥十郎 /お袖・お花:中村扇雀
≪北番≫出演=お岩・直助権兵衛:中村勘三郎/民谷伊右衛門・小汐田又之丞:中村橋之助/お袖:中村七之助/お梅:坂東新悟/秋山長兵衛:片岡亀蔵/伊藤喜兵衛・按摩宅悦・お熊:笹野高史/四谷左門・仏孫兵衛:坂東弥十郎/佐藤与茂七・小仏小平:中村扇雀
作=四世鶴屋南北 演出・美術=串田和美 補綴=竹柴徳太朗 照明=齋藤茂男 演出助手・美術助手=眞野純 舞台監督=藤森條次 制作=我孫子正 主催=松竹株式会社/Bunkamura 製作=松竹株式会社
1等平場席¥13,000 1等椅子席¥13,000 2等席¥8,500 3等席¥4,500
公式=http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/event/kabuki7/index.html
イープラス=http://eee.eplus.co.jp/theatrix/special/cocoonkabuki06.html

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Posted by shinobu at 17:41 | TrackBack

2006年04月18日

野鳩『なんとなくクレアラシル』(愛蔵版)04/15-23こまばアゴラ劇場

 水谷圭一さんが作・演出される野鳩。私は前回に続いて2度目の観劇になります。2002年初演の代表作の再演だそうです。
 登場人物同様に現役中学生でいらっしゃる藤田一樹くんが、心づくしのレビューを書いてらっしゃいます。
 ⇒藤田一樹の観劇レポート

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 メルヘンチック・漫画チックな学芸会風の舞台で、田舎者まるだしの中学生の男子・女子が友情に恋にケンカにてんやわんや。森の泉からは女神もぶくぶくとお出ましになります。音楽は80年代のちょいダサ系ポップスで、わざとらしく懐かしいし甘酸っぱいし。
 ※藤田くんのレビューにおもしろネタなどの細かい部分もわかりやすく書かれています。

 ダンスを見ているようでした。セリフにも演技にも細かい振付が施されています。これを体現できるようになるには相当なお稽古が必要でしょう。たぶん劇団員だからこそできる、という域まで達しているでしょうね。終演後のトークで水谷さんが「完全に振付をしてしまうとつまらなくなるから、役者によって変化をつけています(というようなこと)」をおっしゃっていました。役者さんもひとつひとつを丁寧に演じてらっしゃいましたし、計算&試演し尽くした結果を見せていただいているんだなと感じ、立派だなと思いました。
 たくさん笑わせていただきました。意味的には苦笑に入りますが、でも体感からいえば爆笑にカテゴライズされる笑いです。

 野鳩を、演劇を知らない人に紹介する場合は・・・いつもどおり「お好みは分かれると思います」と言って済ませられないですね。「好きな人は好きだろうね」という風につき離すべきではない気がします。トークを聞いてから感じたことですが、水谷さん個人のfavorite(お気に入り)世界の探求だとしても、これほど詰めてあるのは凄いと思います。巧いな~って思うところも多かったですし。
 ただ、私がまたこの世界に入り込みたいかというと、そこまでの情熱は掻き立てられなかったです。比較対象にするのは変かもしれないけど、むっちりみえっぱりの方が好きですね。もっと私をガクガク、ゾクゾクさせてくれるような衝撃的な甘酸っぱさとかトキメキが欲しい(笑)。

 ★ポストパフォーマンス・トーク

 出演者=水谷圭一(野鳩)×天野天街(少年王者舘)×堤広志(編集者/演劇・舞踊ジャーナリスト)

 堤さんは私の隣の席に座ってらっしゃって、終演後に突然呼ばれてトークの司会に抜擢されました。・・・びっくりしました(笑)。でもこれが功を奏したようです。アーティストである水谷さんと天野さんの2人きりのトークだったとしたら・・・1時間以上かかっても10分の内容に満たなかったかもしれないなと思いました(苦笑)。それでもまあ楽しめると思いますが。

 水谷さんはずっと柔和な表情で、ゆっくり、ぽつりぽつりとお話になる穏やかな印象の方でした。でも相当なこだわり屋さんなのもわかりました。「これくらいが(僕には)ちょうどいい」という言葉を2回ぐらい繰り返されたんですが、それがすごくしっくり来ました。

 天野さんが「言葉にはできないんだけど」と言いながらたくさんお話しようとされていたんですが、しゃべりながらどんどん意味が付加されていって、途中で断念されることが何度かあり、それがとても素敵でした。

 【質問コーナー】さわりだけです。ネタバレします。

 観客「トリプルキャストになっているのはなぜ?」
 水谷「劇団員が増えたからです」
  →私の質問でした。とっさに指名されてのことだったのでこんな質問で・・・すみません。もしかしたら観客動員増を見込んでの戦略なのかなと思ったので、ちょっと聞きたかったのです。

 観客「『お花畑でつかまえて』から拝見しています。『お花畑・・・』と今作は終わった後に暖かい気持ちになれたのですが、前作『僕のハートを傷つけないで!』はそういう後味ではありませんでした。」
 水谷「『僕のハート・・・』は「寄生獣」と「まんが道」ですね。」
 堤「え、そんなネタバレしていいの!?(笑)」
 水谷「はい、今回はドラえもんの『きこりの泉』で、泉に落ちたジャイアンがきれいなジャイアンになって出てくるっていうのに想を得ています。」

 観客「執筆にいきづまったら何をしてその状況を打開されますか?」
 水谷「なんだかNHKトップランナーみたいな質問が・・・(笑)。劇団員とファミレスで話したり。よく寝ること。あとは漫画読んだりします。」

出演=佐伯さち子/畑田晋事/堀口聡/村井亮介/菅谷和美/山田桐子/佐々木幸子/水谷圭一★ 菅谷和美・山田桐子・佐々木幸子の3名はトリプルキャスト
作・演出=水谷圭一 舞台監督=海老澤栄 照明=増田純一 音響=中村嘉宏(atSound) 舞台美術=仁平祐也 小道具=中島香奈子・當間英之 イラスト=天久聖一 宣伝美術=水谷圭一 制作=山田桐子・佐々木幸子 協力=e+(イープラス)企画制作=野鳩/(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場 主催=(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場
発売開始2月26日(日) 12ステージ 前売2,300円 当日2,600円(全席自由・整理番号付) 4/17昼は平日昼割→前売1,500円 当日1.800円
公式=http://f32.aaa.livedoor.jp/~nobato/
劇場内=http://www.komaba-agora.com/line_up/2006_4/nobato.html

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Posted by shinobu at 12:14 | TrackBack

2006年04月17日

ナイロン100℃『カラフルメリィでオハヨ~いつもの軽い致命傷の朝~』04/07-30本多劇場

 “ケラリーノ・サンドロヴィッチ一生に一本の私戯曲、改訂を加えて9年振り、4回目の上演。”だそうです(公式サイトより)。初演は1988年8月@ザ・スズナリなんですね。4回目ってスゴイですよね~、人気作品なんですね。
 シアターガイドの上演時間情報には約2時間40分(10分の休憩を含む)とありますが、劇場に貼られた紙では3時間(休憩10分を含む)でした。でも私が観た回は、14時開演で全てが終わったのは17時15分・・・。これからご覧になる方はお時間に余裕を持たれることをお薦めします。女性は開演前にお化粧室に行っておくと吉!休憩時間には長蛇の列になります。

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 ≪作品紹介≫ 公式サイトより
 海に囲まれた病院からの荒唐無稽な脱走劇、人生の最期を迎えた老人と彼の家族のスケッチ、2つのドラマが重層的に絡みあいながらそっと生と死をみつめる一。ケラリーノ・サンドロヴィッチ一生に一本の私戯曲、改訂を加えて9年振り、4回目の上演。
 ≪ここまで≫

 なんだか・・・私は楽しめませんでした・・・。ルールどおり、型どおりに繰り出される演技に退屈しちゃったんです。昔は楽しめたはずなんですけどね。客席はかなりウケていましたよ。爆笑の連続でした。
 私がナイロン100℃を初めて観たのは1999年の『テクノ・ベイビー~アルジャーノン第二の冒険~』で、その時の感覚に似てました。

 ここからネタバレします。

 すっごい豪華キャストで皆さん演技が上手いというか、呼吸をわかっている方々ばかりが揃っているので、ナンセンスな笑いもベタな笑いも、手練手管で確実に見せてくださいます。でも役者さんが舞台上で余裕であることが退屈だったんですよね。必死さがないというか、決まりごとをこなしているように見えてしまって・・・。

 オープニング映像に感動しました。白っぽい壁でできた、ある意味固定遊具のような舞台にばっちり合わせて撮影をして、映像を作られたんですね。ナイロン100℃と言えば映像がスゴイ!って思ってますけど、そのレベルをさらに上回るものを見せてくださいました。

 私が一番面白かったのは、父役の大倉孝二さんがすべり台をすべったこと。あそこは奥様役の峯村リエさんと一緒にはちゃめちゃになって、ライブ感がありました。ライブ感といえばラストのダンスシーンで、着ぐるみを着た人が舞台から落ちちゃったのが最高に笑えましたね。そのまま退場しちゃったから、着ぐるみさんのダンス・スペースがぽっかり空いたままだったのにも苦笑。あ、ほんとに落ちてましたからね、最前列のお客さんにそのままぶつかってました。怪我されてないかしら、ちょっと心配。いや、笑っちゃったんですけどね(笑)。

 1997年の2度目の再演時のケラさんの文章はこちら。そんな時に書かれて上演された作品なんですね・・・。死へと向かっていくおじいちゃんの外面(=山崎一)と内面(=みのすけ)が、土砂降りのように降り注ぐギャグの中で交錯していき、最後には「人の死ぬ確率100%~」と歌って踊って謎の大団円。肝が据わっていてかっこいいです。

≪東京、大阪、松本、広島、北九州、仙台、新潟≫
出演=みのすけ/犬山イヌコ/三宅弘城/大倉孝二/峯村リエ/廣川三憲/村岡希美/安澤千草/喜安浩平/植木夏十/眼鏡太郎/廻飛雄/馬渕英俚可/三上市朗/小松和重/市川しんぺー/山崎一
作・演出=ケラリーノ・サンドロヴィッチ 舞台監督=福澤諭志+至福団 舞台美術=礒田ヒロシ 照明=関口裕二(balance,inc.DESIGN) 音響=水越佳一(モックサウンド) 映像=上田大樹(INSTANT wife) 衣装=前田文子 演出助手=山田美紀(至福団) 宣伝美術=山口崇 宣伝写真=中西隆良 舞台写真=引地信彦 票券・広報=土井さや佳 制作助手=市川美紀、寺地友子、安藤隼一 制作=花澤理恵
発売開始2月26日 5,800円・全席指定(当日券:6,300円)
公式=http://www.sillywalk.com/nylon/

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Posted by shinobu at 00:11 | TrackBack

2006年04月16日

青空美人プロデュース『怪力』04/15-23吉祥寺シアター

 tptで多数の翻訳や演出をされて大活躍の木内宏昌さんが作・演出する青空美人プロデュース。私は初見です。ベテランの俳優やスタッフとよくお仕事をされている木内さんが、若手の俳優と一緒にいったい何をやらかしてくれるんだろう?と、とっても期待して初日に伺いました。

 公式サイトより「時も場所も異なるエピソード3話」ということで、3話のオムニバス形式です。「表現する力のやわらかなアドベンチャー」という言葉のとおり、私は脳内で波乱に富んだ豊かな旅をしました。その世界はとても不可思議で、そして広大でした。
 面白かった・・・(恍惚のため息)。吉祥寺シアターで初めて“吉祥寺シアターでないどこか”に連れて行ってもらえました。観終わった後になってまたじわじわと来ますね~。余韻の残り方が強いです。上演時間は約2時間です。

 レビュー⇒ほぼ観劇日記踊る芝居好きのダメ人間日記休むに似たり。

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 誰も近寄らない彼方の小国で水がしたたかに溢れている・・・。ポトン、ポトンと水が滴る深い洞窟のような、はたまたピラミッドの頂上のような舞台に、洞察力と機知に富んだ、知性あふれるセリフが注ぎ込まれ、tptっぽいスノッブなムードが劇場に満ちます。なのに突然その世界をひっくりかえし、さらに横に転がしちゃうぐらいに壊して、変質させてしまうのです。何度唖然とさせられたことか・・・!(笑)

 「これは何を意図しているんだろう?」とがんばって考えたり予想したりするのですが、すぐにそんな思考を超える何かが起こって、頭が真っ白になっちゃうのです。なので私は、言葉にひっかかって留まったり、考えたりすることをやんわり放棄して、大人の粋な遊び心にゆらりと身を任せて、美しい水、恐ろしい水で飽和状態の吉祥寺シアターを漂うことにしました。

 全く違う時代の違う場所での3つのエピソードはうっすらとリンクしています。形式としては確かに3つの短編集なのですが、その間に挟まれるシーンも多彩で個性が強く、全体の印象としては奇妙な調和の取れた異種格闘技のよう(笑)。出演者の年齢層の幅が比較的に広いことも、作品のデコボコ感を増しています。全部ひっくるめて『怪力』だと感じ取って良いのでしょう。

 前に見たかもしれない風景、聞いたことがあるかもしれない言葉を少しずつ頭の隅っこにキープしながら、普通に悲しんだり笑ったり、驚いたりして観劇を続けました。そして最後のシーンで「ああぁ~・・・そういうことだったのか~・・・」と作品の構造に気づき、終演後の座席で『怪力』の世界に浸りこみました。どこかで感じたことがあるこの感触は・・・白井晃さんが演出されたポール・オースターの世界に、少しだけ似てるのかも。

 吉祥寺シアターの広い空間を埋めることができない公演が多い中、今作は舞台上に俳優がたった一人で座っているだけでその空間を支配できていました。役者さんの演技というよりも、演出およびスタッフワークの勝利だと思います。劇場を知り尽くしている音響・照明さんがついているって凄いことなんですね。あの空間を前売り3500円で味えるのはお得な気がします。

 ここからネタバレします。続きをアップしました(2006/04/20)。

 各エピソードの⇒以下の一文は当日パンフレットより引用。
 セリフは完全に正確ではありません。

●第1のエピソード
 ⇒過去。タイガの国は、ヒガシの国の忘れられた植民地。降り続く雨のなか、水門番の屋敷にヒガシの国の軍人がやってくる。

 舞台は雨が降り続ける国。ものすごい湿気を感じました。「しっとり」ではなく不快感をともなうほどの湿度です。水によって外界とのつながりを遮断された辺境の地で、野蛮な水門番(木村健三)と、男として育てられたその娘(坪井美奈子)、そして彼らを捨てる美しい妻(金崎敬江)が一年に一度の再会を果たします。

 軍人の未亡人アンナ・カレーニナ(石橋けい)と通訳(鶴牧万里)とのアヴァンチュールで登場する「トラム・タム・タム」というセリフは、チェーホフの『三人姉妹』でマーシャとヴェルシーニンが交わす合言葉ですね。

 透明の巨大なビニール・シートによる転換は、死を呼ぶほどの大量の水とはかない夢のイメージが重なりました。ただ、初日だったからでしょうが、転換要員の役者さんの所作に戸惑いが見えたのは残念。
 物語の途中に挿入された踊り(若松智子)は「なぜここで踊りが?」と奇妙に思いましたが、流線型の女性の体が美しかったです。

 悲しいお話がひと段落したのかな・・・というところで、通訳の男(鶴牧万里)が舞台つら中央に立ち、マイクを持って説明を始めました。これが衝撃的!マイクってマイクロフォンですよ!?水に沈む異郷の切ない物語を詩情たっぷりに描ききったところで、マイク! イメージぶち壊し(笑)。そして次のエピソードではまったく違う世界になりました。※マイクで説明された内容は、この時は理解できませんでした。


●第2のエピソード
 ⇒現代。水門のある公園。羊のベンチは人気のスポット。さまざまな二人組が行き交う雨上がりの午後。なにかがおかしい。

 サーモンピンクと水色の羊と牛(?)のイス兼用オブジェが置かれています。それに座って話す、主婦2人、男女、そして水門番とニートの若者。語られる内容は第1のエピソードと部分的に重なります。
 主婦を男優さんが演じていることに驚きました。しかも女装がとても中途半端(笑)。演技についても言葉が少々女らしいぐらいで、本気で女性になろうとはしていません。主婦の娘役を沖田乱さんが演じてらっしゃることも考えると(この衣装がまた強烈!)、不特定多数の人間の集まり(=この世界)をあらわす奇抜な演出だったのでしょう。

 政治的・社会的・歴史的に挑発的な発言がどんどん出てきますが、ちょっとしゃれた音楽のように滞ることなく流れていきました。
 しゃべりすぎる理数系の女(金崎敬江)とただ待つ姿勢でいるずるい男(由地慶伍)の対話が面白かったです。

○歌とダンスの小景
 なんと、ここで歌とダンス!意味わかんない!でも楽しい!


●第3のエピソード
 ⇒現代。あるオーディションの風景。翻訳家が出席している。なにも始まっていないはずなのに、覚えのある人、モノ、言葉。

 ハンス・リー・シュメールという作家の、数ヶ国語の言語が使われている戯曲『怪力』を上演するにあたり、出演者のオーディションを行っています。いきなり「オーディション」の風景になる、この意外さ・・・ここまで来るともう「何でもかかって来い!」って気分でした(笑)。

 プロデューサー、演出家、翻訳家、キャスティング担当者、助手、主演女優に続いてスポンサー夫人が登場したところで、世界のヒエラルキー構造がはっきりします。オーディションを受けにやってくる俳優たちは、その世界にとっては異邦人です。

 他人、他人、他人・・・ちゃんと気遣いをするのは助手の若者(瀧川英次)だけ。誰もが自分の世界を崩すつもりも誰かに合わせるつもりも、無論、心を通じあわせるつもりもありません。でもひとつの目的を持った空間の中に複数の人間がいて、次々と知らない人が訪れる環境では、誰もが何かしらに反応しないわけにはいきいません。誰かが来る度、言葉を発する度、ポコっと何かが生まれているのです。それはまるで化学反応のように突発的で鮮やかな質的変化でした。それが人間のコミュニケーション風景なんじゃないかな。

 主演女優(石橋けい)の「この言葉、歌みたいね」という一言で、翻訳家(鶴牧万里)の脳裏にはタイガの国のビジョンが浮かびます。最後のシーンで翻訳家の空想世界として第1のエピソードのリプリーズ(reprise)が現れ、最初と最後がぐるりとつながって、『怪力』がひとつの世界になるのです。第1のエピソードは、第3のエピソードでオーディションが行われていた戯曲『怪力』の舞台そのものだったんですね。
 第1のエピソードで歌と音楽の生演奏が始まった時は妙な感じだったのですが、戯曲『怪力』のオープニングだったとわかって納得。スポンサーの依頼どおりミュージカルだったかもしれないんですから(笑)。

 ただ『怪力』が本当に舞台化されたとは限らないので、すべてが翻訳家の空想であったとも言えます。第2のエピソードは翻訳家の頭の中なんじゃないかしら。ハンス・リー・シュメールの世界にひたって翻訳をしている時によぎった、さまざまな言葉、意味、イメージの断片の集合だったような。

 最終的にストーリー・テラーとなった翻訳家であり通訳である男は、つまり木内さんご自身なんですよね。木内さんはロシアやドイツ、スウェーデン、アメリカの戯曲を翻訳されています。幻の作家ハンス・リー・シュメールも架空の人物で、翻訳家と同じく木内さんご自身でもあるのでしょう。第1、第2、第3のエピソードがところどころで重なっているのはそのためだと思います。

 劇中で何度も話題にのぼる創世記のノアの箱舟のお話について、当日パンフレットの木内さんの文章から引用します。
 「洪水伝説は差別と暴力を最初に正当化した歴史ではないか、そんなことを思って『怪力』を構想しました。洪水から逃れることができたの山頂は、じつは、「差別」と「争い」と「選び」の場所だった- そんな仮説が、3つのエピソードと舞台づくりの出発点です。」

出演=久松信美/石橋けい/木村健三/金崎敬江/沖田乱/坪井美奈子/瀧川英次/由地慶伍/片岡正二郎/鶴牧万里/若松智子(dance)/大森智治
作・演出=木内宏昌 美術=深瀬元喜 照明=増田隆芳 音響=藤田赤目 振付=若松智子 舞台監督=桑原淳 宣伝美術=森山真人 宣伝イラスト=深瀬元喜 音楽監修=片岡正二郎 衣装製作=砂田悠香里/萩野緑 小道具=栗山佳代子 装置協力=青木拓也/桑原勝行/富士川正美 制作=青空美人制作部・日原国子
発売開始 10ステージ 前売3,500円 当日3,800円(全席指定)
公式=http://www.din.or.jp/~azr-bjn/2006site/

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Posted by shinobu at 02:19 | TrackBack

2006年04月15日

デス電所『音速漂流歌劇団~燃ゆる帝都バージョン』04/13-16駅前劇場

 デス電所は竹内佑さんが作・演出(少し出演)される大阪の劇団です。今回が第14回公演で東京公演は2年ぶりなんですね。私は2度目です(1度目のレビューはこちら)。
 かなりインパクトが強いし内容にも合っている、素敵なチラシですよね。劇団☆新感線のいのうえひでのりさんの推薦文も載っています。東京であまり配られていなかったのが残念。
 上演時間は2時間というアナウンスでしたが、今日は終演後に時計を見たら21時20分でした。おそらく2時間15分ぐらいでしょうね~、長すぎてお腹一杯状態になっていまいました・・・もったいない。でも前に観た時よりは面白かったです。

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 オリジナルの派手な歌と踊りが満載で、それが見所です。ナンセンス系ギャグも漫才みたいなベタな笑いもあります。演技はまっすぐ声を張るタイプになったり、ちょっとアングラテイストになったりも。
 お話は・・・うーん、結局のところよくわからなくなってしまいました。失踪した息子(王子)の捜索、ゴスロリ少女の悲惨、アニメおたくの日常などの独立したエピソードがバラバラと交互に現れて、最後には・・・(ネタバレするので控えます)。

 装置は白黒のモノトーン+α(ゴールドやパープルが少々)で、大きなドア(引き戸)が3つある抽象舞台。重たそうな引き戸をダーン!という音が鳴るぐらい勢いを付けて、開けたり締めたりするのが良かったですね。上手の引き戸を開けた時に映写される映像(特にジェットコースター)は最高にかっこ良かったなー。
 おたくがハマっている萌え系アニメ(イメージはこちら)については、テーマソングまで細かく作られていて楽しかったです。あぁ、そういう各エピソードのこだわりとかセリフとかはとっても面白かったんだよな~。でも作品全体としては計算して作られているようには感じられず、それで2時間以上あるのはつらかったかな、と。

 奥田ワレタさん。マントっぽい学生服を着ていた王子役など。クロムモリブデンで観て気になってたんですが、やっぱりかわいいですね~。
 田嶋杏子さんと羽鳥名美子さん(毛皮族)のおっぱいが悩ましかった(笑)。
 丸山英彦さん。アニメヲタク役。前回同様やっぱり目が行きがち。好みなのかしらん。

 Tシャツのデザインがかっこ良かったです。作品が好みだったら買ってたかも。 

≪大阪、東京≫
出演=山村涼子/豊田真吾/丸山英彦/田嶋杏子/米田晋平/福田靖久/松下隆/奥田ワレタ/羽鳥名美子(毛皮族)/竹内佑
作・演出=竹内佑 音楽・演奏=和田俊輔 舞台美術=清花也 照明=西山茂 音響=藤森暖生 衣装=遊光 映像=松下隆/本郷崇士 振付=豊田真吾 舞台監督=中村貴彦 宣伝美術=米々米子 撮影=イトウユウヤ 制作=小林みほ/西川悦代 企画製作=デス電所
5ステージ 全席自由 前売¥2,500 当日¥2,800 学割あり 
公式=http://deathtic.727.net/

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Posted by shinobu at 01:08 | TrackBack

2006年04月14日

モダンスイマーズ『ゆきてかえらず~稲上荘の寄るべない日々~』04/11-16中野ザ・ポケット

 蓬莱竜太さんが作・演出されるモダンスイマーズの公演です。八十田勇一さんに六角精児さんという豪華キャスト。折り込みチラシに5月『ユタカの月』@THEATER/TOPS(作)、6月『第23進海丸』@グローブ座(作)、7月『仰げば尊くなし』@ザ・ポケット(作・演出)と、蓬莱さんの新作情報が3つも入っていて圧巻でした。すごーい。

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 ≪あらすじ≫ 公式サイトより。(役者名)を追加。
 東京のはずれにある古木造アパート稲上荘。
 その一室に三十代半ばにして今も引き篭もっている男(六角精児)がいる。
 男は何故、部屋を出ないのか。
 入室してきた日。活気あふれた大学時代。
 たくさんの仲間達。挫折。転落。
 そして現在。十数年で出て行く者と去っていく者。
 男は自分の人生を取り戻す事が出来るのか。
 現代と過去が交錯しながら織りなすある男の年代記。
 ≪ここまで≫

 自主映画を作っている若者のお話ですが、演劇をしている人にもそのまま当てはまるな~・・・と、身につまされる思いでの観劇となりました。私も学生劇団で役者をやっていたので、その頃とぴったり重なるんですよ、いやはや懐かしいよりも息苦しいというか(苦笑)。それぐらいリアリティがあったし、それぐらい正しいことが語られていたということです。
 よくできた脚本で、じっくり味わえる密度の高い空気があって、役者さんも問題ない具合にお上手です。誰にでもお薦めできる傑作!とまでは思いませんでしたが、前売3,000円だと考えると文句なしのクオリティでしょう。
 ただ、前に観たものと同様にやっぱり私の好みではないんですよね・・・。あまり心に迫っては来てくれないというか・・・。まあ好みじゃないっていうだけのことですね、充分に面白かったですから(なんだかえらそうな書き方ですみません)。

 ここからネタバレします。

 舞台の様子を全くと言っていいほど変えずに過去と未来に場面転換するのは、THE SHAMPOO HAT『アメリカ』(2001年)を思い出します。今作では昔の自分と今の自分が同じ空間に現れるのですが。

 石井竜也監督の映画「河童」(1994年)の話が出てきますので、1994年から2006年にわたるお話と考えて良いのでしょう。2006年の今、携帯電話さえ見たことがないというのは時代遅れもはなはだしいですね(笑)。“引き篭もり”といってもインターネットを知らないタイプなのは面白いなー。

 後輩が撮った大作映画のエンドロールに自分の名前がちゃんと原作者として載っていたことで、やっと主人公の男は部屋から出る(引き篭もりを辞める)決意をします。良いお話だな~とは思いましたけど、ちょっとお涙頂戴なにおいがするエンディングで私は感情移入できなかったですね。

 横柄で不遜な態度をとっていたために仲間が去っていったり、夢を追うのと仕事をこなすのとの狭間で悩んだりする主人公の男の姿を見ながら、私は数々の自分の知り合いのことを思い出しました。そっくりな人、居たんですよねー・・・。いや、今も居ますね。もしかすると私自身も・・・・なーんて恐ろしい思考も、観劇中にめぐりました。やっぱりかなり身近なお話でした。

"Chronicle of INAGAMI apartment"
出演=古山憲太郎/津村知与支/小椋毅/西條義将(以上モダンスイマーズ)/西山聡(クロム舎)/成瀬功(マーク義理人情)/加藤亜矢子(モンゴルパーマ)/棚橋幸代/高橋麻理(扉座)/新田めぐみ/八十田勇一/六角精児(扉座)
作・演出=蓬莱竜太 美術=伊達一成 音響=今西工 照明=松本由美(東京舞台照明) 舞台監督=清水すみか 宣伝美術+衣装協力=小原敏博(衣匠也) 
全9回 発売日=3月10日 前売3,000円(指定)・2,800円(自由) 当日3,300円 学生割引2,000円(要学生証提示・Habanera取扱いのみ) 特別割引/2,800円※13日昼のみ(Habanera取扱いのみ・前売、当日共通・全席指定)
公式=http://www.japan-pr.com/habanera/
劇団=http://www.japan-pr.com/habanera/modern_swimmers/next.html

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Posted by shinobu at 00:00 | TrackBack

2006年04月12日

フジテレビジョン・博報堂DYメディアパートナーズ主催『びっくり箱―姉妹編―』04/11-23紀伊國屋ホール

 向田邦子さん の原作を中島淳彦さん が脚本化し、福島三郎さん が演出されます。豪華キャストです。
 老若男女問わずお薦めできる、心温まる昭和のラブ・コメディーですね。あぁ、やっぱり福島さんの演出は優しい!何もかも素直に受け取れて、笑って泣けました。
 前売り券は完売していますので当日券をどうぞ!

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 ≪あらすじ≫ ネタバレが少々含まれています。読んでから観ても問題ない程度だと思います。
 時は昭和後期。舞台は木造の一軒家。母亡きあとの実家で暮らす姉(余貴美子)の元には、甲斐性の無さそうな男(永島敏行)が転がり込んでいる。そこに東京から突然、妹(沢口靖子)が帰ってくるのだが、彼女も男(佐藤重幸)を連れていた。
 ≪ここまで≫

 “向田邦子的昭和のエンターテイメント!”ということで、超リラックスした、ほんわか観劇となりました。長い間離れて暮らしていた姉妹が久々に再会し、お互いの変貌振りや母の秘密など、驚きの事実が次々と飛び出てきます。隣の家ではお通夜&お葬式が執り行われており、そこからさらにトラブルとドラマが生まれます。お約束といえばお約束ですが、うまくできた脚本です。

 「あ~、こんなの今は絶対ありえないな~」と、ものすごく冷静になりながら、昭和の温かいカップル像を眺めていたんですが、すっごく幸せだった・・・。それはきっと福島三郎さんの優しい視線が感じられたからだと思います。ささやかな星空のオープニングからすっかり胸が温まりました。場面転換の暗転中に柔らかいジャズが流れるのですが、そこでジーンと来るんですよね~。

 沢口靖子さんは・・・演技がお上手なわけじゃないんですよね(苦笑)。でもキレイなんですよ、とにかく。それで許される女優さんでした。三谷幸喜さんの宛て書き が凄いんだってことを再確認。
 余貴美子さんはやっぱり素敵!普通に聞いたらきっと怖かったり憎たらしいであろうセリフを、可愛らしく、可笑しくしてくださいました。飛んだり跳ねたりも楽しかったです。
 永島敏行さん。予想の範疇を超えなかったですけど、さすがに安定されていました。いやらしいのがグッド。
 佐藤重幸さん(TEAM NACS)。本気のバカっぷりが可愛かったです。体のバネがすごい。演技の瞬発力も気持ちいい。TEAM NACSの方って本当に演技が上手いんですね。
 小宮孝泰さんはお約束を確実に果たしてくださって、ストンと笑わせていただきました。
 草村礼子さん。絵に描いたようなおばあさんといえば草村さん。確実です。

≪札幌、幕別町、士別市、厚木、名古屋、広島、大阪、東京≫
出演=沢口靖子/永島敏行/佐藤重幸/草村礼子/小宮孝泰/琵琶弓子/余貴美子
原作=向田邦子 脚本=中島淳彦 演出=福島三郎 主催=フジテレビジョン/博報堂DYメディアパートナーズ  企画・製作=フジテレビジョン/ジェイ.クリップ
発売開始1月28日(土) 4/19(水)休演 18ステージ 6,800円(全席指定)
公式=http://www.j-clip.co.jp/bikkuribako.html
稽古場日誌=http://blog.excite.co.jp/bikkuribako

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Posted by shinobu at 21:58 | TrackBack

2006年04月11日

オペレッタ『Trois valses』03/16-04/09 Opera-Comique

 パリ滞在中に一度だけ観劇をして参りました。フランス語ですからストーリーは全然わからず・・・(涙)。
 オペレッタの割には演劇のシーンが比較的多い作品だったようです。思いのほかバレエが多かったですね。役者さんは本格的に踊るし、歌うし、演技します。

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 オスカー・シュトラウスシュトラウス一家の音楽でつづる、恋愛ものの3つの短編集でした。バレエ踊る踊る!踊りながら歌う歌う!装置もどんどん変わるし登場人物も結構多いです。なんといっても衣装が素敵!めっちゃくちゃおしゃれで豪華でした。私は30ユーロ(約4500円)ぐらいのチケットで拝見したのですが、安すぎると思いましたね。あのオペラ・コミックという劇場で、あのクオリティー。きっと助成金とか充実してるんだろうなー・・・。

 ←こちらのバレエ・シーンは笑いがいっぱいで、バレリーナはもちろん天井から吊られています(手の上に乗ってるわけじゃないですよ!それがおバカで笑えるんですが~)。吊られてる女優さんはこの作品の主役で、爪先立ちで踊りながら思いっきり歌ったりもされていました。あんなの初めて見たよ~。超人~。

 言うまでもないのですが劇場がめちゃくちゃ美しいです。オペラ座(ガルニエ)より規模が小さいですが、ロビーも劇場内もその豪華な装飾に見とれちゃいます。またまた天井を見上げて呆けた顔しちゃってましたよ~・・・。
 チケットはそれぞれ、自分の座席のあるフロアでもぎってもらう形式でした。劇場内に入るだけなら誰でも入れちゃうよね(笑)。
 お年を召したお客様が多かったです。奥様方の社交場にもなっているようで、パリの街と人々の歴史にグっと根付いた劇場なんだな、としみじみ感じました。日本でもこういう劇場が育って、そして残っていって欲しいです。東京だと歌舞伎座がそれにあたるのかしら。

公式=http://www.opera-comique.com/


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Posted by shinobu at 15:55 | TrackBack

tpt『皆に伝えよ!ソイレント・グリーンは人肉だと』03/29-04/16ベニサン・ピット

 映画「ソイレント・グリーン(Soylent Green) 」と「ブギーナイツ(Boogie Nights) 」をもとにドイツ人のルネ・ポレシュさんが作・演出された作品です。これからご覧になる方は、この2作品の情報を頭に入れておく方がいいと思います。

 強烈でした・・・入り口からすごく戸惑わされるし、首が痛くなるし(苦笑)。形式としては明らかに演劇ですが、演劇を観に行くつもりで劇場に行くと、裏切られること間違いなし(笑)。
 好き嫌いは激しく分かれる作品です。でもこの2時間のことを、私はきっと一生忘れないと思います。舞台(?)を観ながら、私はただただ考えて、考えて、考えて・・・考えることを強いられ続けました。ポツドールを初めて観た時の感覚と、もしかしたら似てるかも。
 前売り5250円っていうのは普段のtptよりも少し安い目だと思います。この作品ならリーズナブルです。4/16(日)まで。

 ※tptブログが充実しています。特にネットラジオはものすごい情報量!初日乾杯時のインタビュー長すぎ(笑)。でも聞く価値ありです。

 ↓2014年11/25にツイート追加。⇒中川安奈さんのお別れの会


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 開演時刻の5分前から客席への誘導が開始されます。一歩劇場内に足を踏み入れた途端に私に起こった感情は「は、は、恥ずかしい!!」ってこと。自分の人生のダークサイドというか、表舞台にはあまり出したくないもの(出さない方が無難なもの)ばかりが並べ立てられていて、しかも私はその中に入らなければならなかったんです(客席に座らなきゃだめだから)。ものすごい居心地の悪さ、というかバツの悪さでした。

 現代のあらゆるモノ・コトが並列に、同等に、そこに在りました。裏表、善悪、男女など二律背反するものが同居していることはよく見られる演出ですが、そういったものではありませんでした。セックス、資本主義、テレビ、愛、モラル、生態系、ゴミなどが等間隔に陳列されているというか・・・。でもカオスではなかったです。ひとつひとつが独立、自立しており、相互関係を持っているというよりは、しらっと他人行儀なたたずまいで、ただ、そこに在りました。
 劇場は(私たちの生きる世界は)当然ながら三次元ですが、それがぺしゃっと縮んで限りなく二次元に近くなったような、ものすごい平ぺったさを感じました。無数の突起物が延々と広がっていくカラフル&ポップな平原のイメージ。そこに生身の俳優(=三次元の存在)がほけら~っと寝てたり、演技をしたりしなかったり、決まったルール(演出)どおりに動いていたりして、とてつもない違和感でした。

 白い垂れ幕に書かれていたピンク色の文字の「Post Human(ポスト・ヒューマン)」ってすごい表現ですね。ライブドア事件が起こったことからもわかるように、今の日本は実質的には下克上な資本主義社会です。子供が売春し、若い上司と年寄りの部下が誕生し、同性愛者の結婚が認められ(世界の一部で)、子供のためのアニメは大人の快楽となり、愛の秘め事であったセックスは今やファッションです(数年前なら杉本彩さんのご活躍など考えられなかったことです)。
 それを“差別からの開放”とか“モラルの低下”などと呼び、過去と今との変化を表す言葉として簡単に表現してきましたが、人類は階段を登るようにひとつのステップを上がったのではなく、過去とは不連続な、全く新しい地平にやってきてしまったのかもしれません。

 ポルドール『夢の城』と似てると思ったのは、お芝居を観ている時に思考を強いられたことと、私が漠然と信じ、頼ってきた“愛”という神様のような存在について、疑わざるを得なくなったことです(演出方法も作品の意図も全く別のものなのですが)。
 パンフレットは脚本が全編掲載されて1000円です。ルネ・ポレシュさんのインタビューも充実しており、お買い得だと思います。

 ここからネタバレします。

 いわばフリースペース形式の劇場空間でした。客席はL字型に設置され、それに挟まれた舞台の中央にあるのは小さな山小屋のような天蓋つきベッド。普段のプロセニアム形式時だと舞台になっている空間は、青いビニールシートが壁およびカーテンにとなって覆っており、その奥の部屋の中が見えない状態になっています。
 その他、劇場の中に散在するのは、実物大の鹿の剥製を囲む白い柵スペース、L字型の客席の真ん中のお立ち台、萌え系アニメキャラの絵が貼り付けられた座布団。ピンク、緑などの節操のない色の蛍光灯照明。客席上方キャットウォークには「おかえりなさいませ」の文字。

 俳優たちは見えない部屋の中で演技をし、その一部始終をデジタルビデオカメラを持った男が撮影します。撮影されている映像がオンタイム(生放送)で、部屋の外側(客席側)にある巨大スクリーンに映し出されるという仕組みです。俳優が部屋の外にはあまり出てこないので、お芝居が進行するのを目で見るなら、スクリーンを見続けなければなりません。最初は平気だったのですが、だんだんとカメラの揺れに酔って気持ち悪くなったり、俳優を見ることが重要だとは思わなくなってきたので、私は目の前の小屋(ベッド)やカーテン自体を見つめたり、目をつぶったりして、声と言葉に集中力を傾けるようにしました。
 俳優はマイクを持って声を発さずに(息声で)ささやくようにセリフを話します。基本的に独白です。声を出すこともありますが、演技をしているというよりは“演技をする演技”をしています。またはただただ怒鳴りまくったり。ノリノリの音楽はおよそシーンに合ってはいないし、突然ブチっと切られます。俳優が火を点けるねずみ花火の乱暴な音も唐突です。プロンプターが居て、セリフを忘れた俳優にマイクで次のセリフを教えているのがスクリーンに映っていました(プロンプターもカメラマンもカーテンコールに出てきました)。

 セリフから引用します。
 「おカネは不滅でなければならない、なぜならおカネは、いつでも、どんなときでも、この世のあらゆる商品と等しい価値を、持ち続けるべき存在だから。おカネとはそもそも、存在しないものから、不滅のマテリアルからできてるに違いない。あなたと同じように。あなたも不滅のマテリアルからできてるに違いない。わたしはあなたを愛してる。あなたは傷つき破れてる、傷つき破れたお札は、銀行で取り替えてくれる。お札そのものに価値はない、価値があるのは、その上に表示されてることだけ。ソイレント・グリーンは人間だって、みんなに伝えて。」
 「わたしたちがここで語るのは大まかなストーリーで、実際に起こることとはほとんど関係がない、このズレこそわたしたちの意識であり、ここではそれを、ポスト・ヒューマンと呼ぼう!」
 「あなたを愛してる、そしてポルノでは愛なんてクリアな概念じゃない、それっていい!」

 「お金で買えないものはない」とライブドア元CEOが言ったらしいってことは、私も聞いたことがありました。あの時は「ふーん」って聞き流してましたけど、実は「本当にそうかもしれない」って感じてました。私はそれを意図的に無視していたのでしょう。愛って何?親子って何?愛のあるセックスと愛のないセックスの違いって? 疑問につぐ疑問があふれかえって、この繋がりのないポルノのセットの前で、私はただただ考え続けました。答えはまだ出てません。でも漠然とですが何かの形にはなりかけています。

 終盤近くのシーン→映画「ソイレント・グリーン」のエンドロール(だと思う)が何度も繰り返し映し出される巨大スクリーンの前で、緑色の紙ふぶき(=人工食物「ソイレント・グリーン」)を送風機で吹き散らしながら、ストロボ照明の中で俳優たちがコマ送りに踊り狂います。これもまた突然終わるんだけど。
 どうやら私は体力的にも精神的にも、脳の中も飽和点に達してしまったらしく、この何もかもが一緒くたになった地獄のような、奇跡のようなシーンで、涙がぼろぼろ流れました。胸が焼けて、のどが熱くて、後頭部がじんじんして、上半身が固まってしまったような感覚。

 パンフレットのインタビューより抜粋します。
 ポレシュ「もしもこのテキストに引用された哲学自体について理解したければ、どうかフーコーの著書を買って読んでほしい。そこにすべて書いてあるから。」
 ポレシュ「われわれがやろうとしているのは、フーコーの哲学を理解することではなく、彼の理論を、あくまでも利用するのが目的なんだ。それは要するに、舞台に立っている俳優と、演出家と、それを見に来ている観客とが、演劇という素材を、自分自身の生活にどう応用するかを考える、とういうこと。応用することを分かち合う場が、私の演劇なんだ。」

 劇場ロビーの壁に貼ってあったミシェル・フーコーの言葉です。
 「私が望んだのは、つねに実在する者に関わることだった。つまり、場所と日付を付与し得ること、もはや何も語らない氏名の背後、大体において誤認や虚偽、不当、誇張となりがちなそれらの敏速な語群の背後に、ともあれ確実にそれらの語群が示しているものの背後に、生き、死んでいった者たち、苦悩や悪意、嫉妬、怒号が存在したこと。それ故私は、空想や文学となりうるものを一切排除した。」

出演=池田有希子/木内みどり/中川安奈/長谷川博己 カメラ=河内崇 プロンプ=熊林弘高
作・演出=ルネ・ポレシュ 美術=ヤニーナ・アウディック 訳=本田雅也 日本語台本=木内宏昌 照明=笠原俊幸 音響=熊野大輔 ヘア&メイクアップ=鎌田直樹 衣装スーパーバイザー=原まさみ 美術アシスタント=松岡泉 通訳=岡本美枝 舞台監督=増田裕幸 主催・製作=TPT 共同主催=東京ドイツ文化センター
発売開始2月25日(土)から。17ステージ。(火)休演。全席指定5,250円 学生料金3,150円(TPTのみのお取り扱い)
公式=http://www.tpt.co.jp/

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Posted by shinobu at 10:37 | TrackBack

2006年04月09日

売込隊ビーム『よせばいいのに』04/06-08駅前劇場

 東京公演が今回で5度目になる大阪の劇団・売込隊ビーム。山田かつろうさんを『ゴーストライター』で拝見した時からちょっと気になっていたのですが、やっとこさ初見です。
 作・演出の横山拓也さんが当日パンフレットの一部に「変な劇団名の割に、真っ当な会話劇をやるんです」と書かれていたので、「そっか、パフォーマンスとかコントとかじゃないのね~」という程度の予備知識を持って拝見いたしました。
 いわゆるストーリーもののお芝居で、筋立て自体はあまり重要ではない、まあまあドタバタなコメディーでした。残念ながら私の好みではなかったです。

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 私が観た回(千秋楽)の日替わりゲストは中野英樹さん(グリング)でした。今は映画「UDON」の撮影中で、香川県からわざわざこの公演のために東京に帰って来られたそうです。

 ≪あらすじ≫
 ある農村の喫茶店が舞台。長年の経営者だったマスターが亡くなり、その跡を継ぎたいと考える親類が集まってくる。誰がこの喫茶店を継ぐのにふさわしいのか、喧々諤々の話し合いが始まる。そこに招かれざる客(?)がやってきて・・・。
 ≪ここまで≫

 おそらく劇団の中に「演技っていうのはこういうものなんだ」という決まった感覚があるんでしょうね。セリフを土台に感情の型を作って、自分のキャラを生かしつつ、その型どおりに声を張り上げて演じるというか・・・そこに関西っぽい笑いがドカドカと入ってくるんですけどね。私はわざとらしく感じてしまって、入り込めませんでした。笑っているお客様は大勢いらっしゃいました。

 横山さんが「キャッチーと言っても、その表面に隠された裏側には、いつもの通り、歯がゆい人間関係や心にチクリとくる毒っ気を盛り込んでおります」(当日パンフレットより)と書かれている通り、たしかに表面をサラっと通り過ぎるだけのストーリーではなかったです。でも、今作については大事な問題(喫茶店経営で食べていけるのか等)が放置されたまま終幕しちゃってたので、それだと説得力に欠ける気がします。

 ここからネタバレします。

 はちゃめちゃな話し合いがなんとなく収まり(本当は全然解決してないのだけれど)、とりあえず集まった人々で共同経営をすることになります。店の売りも「マグカップが選べるアップルパイの店」に決まりました。そこで「カップが選べるパイの店」というキャッチコピーでスポーツ新聞に広告を出したところ、読者には「女性のおっぱいのサイズが選べる風俗店」と伝わってしまいます。このオチにはクスっと笑えました。でもその後の色々は長かったな~。

 日替わりゲストが演じるのは風俗ライター役で、最後のオチ部分に登場します。中野英樹さんの演技は自然で良かったですが、キャラクターはちょっとまとも過ぎたような気がします。もっとエロエロでも良かったんじゃないかな(笑)。ロリータ男爵の大佐藤崇さんの回も観たかったな~。

≪大阪、東京≫
出演=山田かつろう/三谷恭子/梅本真里恵/宮都謹次/太田清伸/小山茜/菊地秀之/草野憲大/杉森大祐(Wキャスト)/西田和輝(Wキャスト)
日替わりキャスト=4月6日(木)19:30 腹筋善之介(Piper)/4月7日(金)15:00/19:30 大佐藤崇(ロリータ男爵)/4月8日(土)14:00/18:00 千代田信一(拙者ムニエル)/4月9日(日)14:00 中野英樹(グリング)
作・演出=横山拓也 舞台美術=清花也 音響=左藤真弓 照明プラン=葛西健一(クセノス) 舞台監督=相内唯史(大阪)/中村貴彦(東京) 宣伝美術=下元浩人 webデザイン=揚佳樹 制作部=指田カナ子/他 サポート=松本佳則 企画・製作=ビーム企画
5ステージ 前売2800円 当日3000円(整理番号付 自由席)
公式=http://www.urikomitai.com/index.html

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Posted by shinobu at 18:37 | TrackBack

2006年04月08日

映画「空中庭園」(アスミック・エース)

20060408 kuchu-teien.jpg
空中庭園

 メルマガで何度もお願いしておりましたら、ご親切にもお薦め日本映画を教えてくださった方がいらっしゃいました!!映画の国のチヒルカさん、ありがとうございます!!
 さて、はりきって観てみた「空中庭園」ですが・・・残念ながら私の好みではなかったですね。でもカメラワークは面白かったし、終始一貫して作り手の本気が感じられる作品でした。

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 しっかしキッツイ話ですね~(笑)!もーヘラっと笑うしかないってぐらいのドロ沼ですよ。こういうの多いのね、演劇も映画も。
 こんな嘘っこ家族や恋人(愛人)関係は実際に存在すると思いますが、ここまで状況がことごとくハードなのって、少々くどい気も・・・。私には小説で読むとちょうどいいのかも。

 ここからネタバレします。

 “家族間では秘密を作らない”というのをルールにして、父と母がどこでセックスしたかまで子供にしゃべっちゃうっていうのは・・・みっともないなーと思いました。貧しいなー、とも。

 「赤ん坊は血まみれになって泣き叫びながら生まれてくる」っていうのは、病院出産が常識だとされている現代の思い込みなんじゃないかな~。わざわざ泣かなくても肺呼吸を始めるきっかけさえあればいいわけで、泣きながら生まれない子もいるんですよ。そういう意味でラストとかは・・・がんばってるシーンだけど私には響かなかったですね。単純に気持ち悪いし(笑)。

 あと、ハッピーエンドになる展開が、速くてあっけなさ過ぎるんじゃないかなと思いました。まあハッピーって言っても一時的なものかもしれませんが。

 思い出を夢で書き換えていくっていうのには共感しました。そうやって人間はやっとこさ生きていけるんですよね。そして、思い出ってけっこう思い込みで勝手に作っちゃってますよね(苦笑)。
 ケーキのろうそくを吹き消しながらつぶやく、さっちゃんの「やり直し。繰り返し。」という言葉が素敵でした。

 さっちゃん役の大楠道代さんは迫力がありました。ソニンさんもめちゃヤな女で良かった。
 「学芸会」ってのは言いえて妙でしたね。しかも幼稚園の、だし。

 さて、勝手に5つ星評価。

  ★☆☆☆☆ お薦めできない
  ★★☆☆☆ 好みじゃないけど観てよかった
  ★★★☆☆ 面白かった
  ★★★★☆ お薦めです
  ★★★★★ 人生変わるほど感動!

 「空中庭園」は★★☆☆☆です。

出演=小泉今日子/鈴木杏/板尾創路/広田雅裕/國村隼/瑛太/今宿麻美/勝地涼/ソニン/永作博美(特別出演) /大楠道代/ほか
監督=豊田利晃 プロデューサー=菊地美世志 企画=孫家邦/森恭一 原作=角田光代『空中庭園』(文藝春秋刊) 脚本=豊田利晃 撮影=藤澤順一 美術=原田満生 衣装=宮本まさ江 編集=日下部元孝 主題歌=UA『この坂道の途中で』 ヘアメイク=小沼みどり/徳田芳昌 照明=上田なりゆき 録音=柿澤潔 助監督=宮城仙雅
公式=http://kuutyuu.com/
情報=http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=322414

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Posted by shinobu at 22:49 | TrackBack

小指値『ツェラーシュバルツカッツ』(コミック編)4/8, 15, 22, 29渋谷LE DECO 4F

 小指値(こゆびち)は北川陽子さんが作・演出される多摩美術大学出身のユニット・・・だと聞いています(公式サイトで確認できない・・・)。演劇というよりパフォーマンス寄りの作品を創作されているようですね。私は初見です。

 4/1(土)の初日後に急遽会場が変更になったということで、渋谷の方に伺いました(もともとはSAIスタジオ)。大変ですよねー・・・。
 3ヶ月変則連続公演ということで4月は「コミック編」、5, 6月は「論文編」ですが、「論文編」については会場が決まっていないそうです。詳細はこちら

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 あらすじには作、演出の北川陽子さんが
 「小指値のパフォーマンスというのは、技術ではありませんコンセプトです。どうやって世界を見るのか、ただそれだけです。」(改行を変更)
 と書かれています。あくまでも「コンセプトであって技術ではない」とのこと。たしかに技術はなかったです。だったらコンセプトが面白くないとね~・・・。
 いやいや、「コンセプトが面白ければ技術はなくていいのか?」というと、もちろんそうではないと思います。パフォーマンスって難しいですよね。起承転結のある物語だったら、脚本の面白さだけでけっこう観ていられるんですよね。

 今、自分達が感じていることや、個人的に興味を持っていることを、ただ吐き散らしているだけのように見えました。若いな~と思いながら普通に眺めてましたけど、前売り2000円の公演だと考えると若いとか年寄りとか関係ないんですよね。上演時間は1時間足らずで良心的だと思いました。

 ここからネタバレします。

 雄猫、ハト、ハエ、小学生、石、TORIO under wear 東京支社 営業部(の女)、雌猫が登場します。
 雄猫はほぼ全裸だったのに、観るに堪えないという状態でなかったことは素晴らしいと思います(何人かは「観るに堪えない」状態でしたが)。しかしながら、全員、“観る必要性”は感じませんでした。

 パンフレットの【ご挨拶】に、TORIO under wear 東京支社 営業部を演じた篠田千明さんが
 「意味を捨てた体が否応なしに意味を獲得した時
  そこにある体は圧倒的で美しく、生きている事の絶対の肯定がある。」
 と書かれています。もしそれを目指してらっしゃるのでしたら、今作はその目的からは遠いところにあると言わざるを得ません。

 TORIO under wear 東京支社 営業部役の篠田さんが、携帯電話で「パンツ買って!だってあんた友達でしょ?」などと、ほぼ脅すような口調で営業活動をしていました。そしてラスト近くでは登場していた役者さんが全員パンツ(おそらくTORIO under wearの商品?)を見せたんです。「なんだ、みんな履いてるのね」「けっこうかわいいパンツだなー」ぐらいに思ってたんですが、なんと当日パンフレットにTORIO under wearの宣伝が載っていました・・・興ざめです。芝居全体をパンツ販売の宣伝に使っちゃったってことですよね。
 「コンセプト」とか「意味を捨てた」とか書かれていますが、宣伝しちゃったらそれはちゃんとした宣伝ですし、しっかりとした意味があります。

 全裸でじっと座っている石役の大道寺梨乃さん、足を怪我されているようにお見受けしました(汚れかもしれないけど)。どうぞ皆さん、熱演しすぎて怪我をされませんように。

 ※今作のような作品をいつも上演されているわけではなさそうなので、一度見ただけでは真価はわからないかもしれません。

"ZELLER SCHWARZE KATZ" キャッチコピー「世界はお前じゃないけどお前は世界なんだよ、バーカ」
原案=小指値 作・演出=北川陽子 振付=野上絹代 ダンス指導=大道寺寿文 美術=佐々木文美 衣装=藤谷香子 音響=篠田千明/北川陽子 照明=篠田千明/北川陽子 撮影=高田寛之/小玉哲也 写真=加藤和也 制作=木元太郎/佐藤すずみ/戸田なつこ 宣伝美術=天野史朗/鶴松理恵
出演=天野史朗 /篠田千明 /大道寺梨乃 /辻村優子 /中林舞 /野上絹代 /山崎皓司
前売開始3月12日 毎週土曜日夜20時開演
学生1,500円 学生当日2,000円 前売2,000円 当日2,500円
公式=http://www.koyubichi.com/
渋谷LE DECO=http://home.att.ne.jp/gamma/ledeco/

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Posted by shinobu at 22:32 | TrackBack

2006年04月07日

新国立劇場演劇『カエル』04/01-13新国立劇場 小劇場

 新国立劇場演劇2005/2006シーズンの幕開けです。シリーズ「われわれは、どこへいくのか」の第1弾は中国人の過士行さんの書き下ろし新作で、鵜山仁さんが演出されます。
 不条理劇だということを噂に聞いていましたので、それなりの心構えで伺いました。でも描かれていたことは、それほどわかりづらいことではなかった気がします。
 美術が大胆で、一見の価値ありですね。役者さん・・・大変だと思います(笑)。

 レビュー(順不同)⇒GRASSHOPPERSomethig So Rightリタイア人-団塊の明日-藤田一樹の観劇レポート散策する見物つれづれ珍島犬江上剛のブログ友紀子の記録からすうり

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 ≪あらすじ≫ 公式サイトより。(役者名)を追加。
 舞台は水没の危機に瀕する理髪店です。時は、現在でもあり未来でもあります。そこでは、理髪師(千葉哲也)と客(有薗芳記)が話し合っています。そばには女(宮本裕子)がいますが、いったい何者なのかはわかりません。
 彼らは“一番現代的なヘアスタイルとは何か”を研究しています。交わされる会話は、天災、人災、世の中が悪化している現象についてばかり。
 そこに旅人(今井朋彦)が現れ、散髪を頼みますが……
 ≪ここまで≫

 深刻になっている地球の環境・社会問題についての、今の私はよく聞いている話が繰り返されて少々退屈してしまいました。あと、役者さんが戸惑っているように見えてしまって(敢えてそういう演出なのかもしれませんが)、引き込まれなかったんですよね。もっとどっしりとした厚みというか、落ち着きが欲しかったな~。ぎこちなさが抜けていないように見えました。

 「よく聞いている話」とサラっと書き終えてしまってますが、今、生きていて、そしてこれからも生きる私たちにとって、ものすごく重要なことが沢山語られていました。先にリンクを貼らせて頂いたレビューにしっかり書かれているので、ぜひそちらでご覧いただければと思います。
 でも、その部分が一番大事なところだとしたらつまらないなーと思うのです。きっと違うと思います。GRASSHOPPERに書かれている解釈がとっても面白くって、今日の私はちゃんと受け取れなかったんだな~と反省・・・。

 パンフレットおよび公式サイトで作家の過士行さんが「ところで、この舞台を見ようとしているあなた、あなたはカエルの鳴き声を聞いたことがありますか。カエルは、あなたのところにまだいますか? 」と問われています。
 それに対する私の答えは→「私はカエルの鳴き声を聞いたことがあります。昔は家の庭でもその姿を見たり声を聞いたりしていました。でも今は見かけないし、声なんて全く聞こえません。そしてカエルは私の中に・・・居る時と、居ない時があります。悲しいことですが。」

 ここからネタバレします。

 何度失敗しても、いつまで経っても、学ばない私たち人類。毎日、毎年、季節が巡って来てくれるように、自分達も同じことを繰り返しているつもりですが、実は確実に地球は蝕まれていて、同じことができなくなってきています。いつも聞こえていた夏のカエルの鳴き声がぱったりと消えてしまったのは、いつからだったでしょうか。

 衣装も美術も加藤ちかさんですね。美術はとっても面白かった!どこかの孤独な砂の星にポツンと男が2人居て、よくわかんない野蛮な女がいつも走りこんでくるっていうイメージ。そこに異邦人(旅人)が周期的に訪れます。
 舞台は理髪店なのですが壁も柱も全くなくて、天井にはトタン屋根がありますが、ほとんど穴だらけなので役に立っていません。理髪店のまわりの客席には汚れたキューピー人形や古雑誌、空き瓶などのゴミが置いてありました。
 どんどん水浸しになっていく理髪店。その床は地球柄のタイルなので、温暖化で水没しつつあるってことなんですね。天井からは氷が降ったり雪(雪なのか埃なのか、はたまた有害物質なのか)が降ったり、かなりアグレッシブな仕掛けが準備されています。理髪店の奥の小山から稲が生えてくるのが可笑しかったですね。その後ろには丸い玉が・・・。私が観た回では残念ながら下手側に転がってしまって理髪店の湖には落ちませんでした。
 衣装は旅人役の今井朋彦さんの変貌振りが笑えました。最後は浦島太郎か仙人か。いつものくりくりパーマが健在で可愛いらしいです。

シリーズ「われわれは、どこへいくのか」①
出演=千葉哲也/有薗芳記/宮本裕子/今井朋彦
作=過士行 翻訳=菱沼彬晁 演出=鵜山仁 美術・衣裳=加藤ちか 照明=小笠原純 音響=上田好生 演出助手=E-RUN 舞台監督=北条孝
12ステージ 4/3休演 2月25日(土)発売 A席5,250円 B席3,150円 Z席=1,500円/当日学生券=50%割引
公式=http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/10000094.html

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Posted by shinobu at 23:03 | TrackBack

【情報】ヘア・サロンBARQUE LA TE(バークェラッテ)

 原宿駅から竹下通りを表参道方面に下って行って、明治通りとぶつかった辺りのビルの3Fにあるヘアサロン“BARQUE LA TE(バークェラッテ)”に行きます。なぜって・・・それは安いから!
 原宿にあるんですよ、なのにシャンプー&カット3150円!腕も悪くない!今日は会員割引とかいうよくわからない割引で500円引きだったから2650円だよ!
 なんだかお得すぎて雄たけびを上げたくなったので、書き込んじゃいました。

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Posted by shinobu at 15:32 | TrackBack

2006年04月06日

あなんじゅぱす『んぐまーま』04/06-12こまばアゴラ劇場

 「ことばをうたうバンド」あなんじゅぱすの二本立てライブ公演です。『んぐまーま』は、初の こまばアゴラ劇場支援会員限定プレミアム公演ということで、わくわくしながら初日に伺いました。もう1本の『夏の夜の音』は、あなんじゅぱすの代表作だそうです。

 上演時間は1時間弱でした。最初の20分ぐらい、私は泣きっぱなしでしたね。ハンカチ忘れて参っちゃった。ティッシュで代用しましたけど対面客席だったから恥ずかしかったな~(苦笑)。

 こまばアゴラ劇場支援会員についての詳細はこちらメルマガ3月号でも宣伝しておりましたが、この機会にぜひ会員になっちゃってください!

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 当日パンフレットによると構成・演出の平田オリザさんの提案は
 「人が言葉を話し始める瞬間の驚きと寂しさを、人が立ち上がり歩き始める瞬間の危うさと冒険心を、ひとつのかたちに」
 だったそうで・・・私、こういうのに弱いんです・・・。もーダンサーの岩下徹さんが登場した途端、涙がボロボローっ!!まさに平田さんの提案どおりの世界が立ち現れていました。
 
 谷川俊太郎さんの詩は昔からあまり好きじゃないので、特に言葉だけに感動したわけではなかったです。音楽と言葉と歌声と、そしてダンスが、目の前に在ったってことが良かったんじゃないかしら。いや、どんな舞台でも「在る」といえば当然「在る」のですが、在り方がもっと観客に近いといういか・・・あぁどう言えばいいのか・・・。
 目の前のパフォーマンスが、私のことなんだって感じちゃったんです。それは岩下さんが現れた、あの瞬間に、既に。そして岩下さんは私と同じ人間だけど、私自身ではなく“他人”であるっていうことも同時に感じていて、その嬉しさと悲しさがまた、同時に起こっていたんですよね。

 ここからネタバレします。

 ダンスを踊る岩下さんが観客とアイコンタクトを取ったり普通に会話をしたり、咳をしてる観客の背中をさすったり、一緒に踊っちゃったりするのも、そんな岩下さんを眺める演奏者の只野展也さんがふんわり自然体だったことも、私が空間に溶け込めた大きな要因だったと思います。

 そして観客が支援会員限定だったことも影響してると思いますね。ライブパフォーマンスっていうものを進んで親しもうとする人がほとんどだったのではないでしょうか。だから岩下さんに気軽に話しかけたりする人もいたし、一緒に手を振ってイスに座ったまま踊ってた人もいたし。ものすごく幸せなアゴラ劇場でした。

 ただ、音楽のライブとしては私の好みではなかったですね。ひらたよーこさんが歌を歌われている姿が生々しすぎて、あまり見ていられなかったです。声はすごく自由で、よく伸びてステキでした。

 劇場中央に丸いステージがあり、客席はそれを囲みます。ピアノとキーボードは対角線上に配置されています。
 作品の流れとしては、まずひらたよーこさんがピアノの伴奏とともに弾き語りを始めて、キーボードの只野展也さんもそれに続きます。2曲目ぐらいで、ピアノの下から這いつくばって岩下徹さんが登場。
 下記、ダンスについての私の勝手な解釈です。かなりひとりよがりです。ご了承ください。

 ・まさに生まれたばかりの赤ん坊。何でも見て、触って、確かめる。
 ・生きるってことは面白い。楽しい。笑う。
 ・そして自分と同じ形をしている何かに気づく。それは他人。驚き。恐怖。好奇心。
 ・他人との係わり合い。喜怒哀楽。人生。
 ・そして死。
 死ぬ直前に地団太を踏むようにじたばたするダンスが良かったです。少しずつ動かなくなっていく体の部位を感じ、悲しみながら、必死でもがきます。そしてばったり。
 ・また生まれる。
 ・何かを手に入れようとする。上から垂れ下がったロープをひっぱり、高みを目指す。でも手に入らない。
 ・ステージに盛られた砂山の中を探る。何か宝が眠っていないか?山を掘る度に黄色や赤の小さくてきれいな粒々が吹き出す。そしてとうとう山の奥から何かを掴んで出してきたが・・・砂ばかり。手の指から空しく零れ落ちていく。

 最後は中央で、手を天に向けて少しずつ伸ばしながら立ち上がっていきました。
 何かを得ようとして、必死で生きること。得られるかどうかは問題ではなく、生きている瞬間そのものが人間だ、ということなのかなと思いました。

『んぐまーま』原作=谷川俊太郎 構成・演出=平田オリザ 出演=即興ダンス:岩下徹/作曲・歌・ピアノ:ひらたよーこ/音楽監督・キーボード:只野展也
※こまばアゴラ劇場支援会員の方に限定公演です。
『夏の夜の音』構成・演出 平田オリザ 出演=即興ダンス:岩下徹/作曲・歌・ピアノ:ひらたよーこ/音楽監督・キーボード:只野展也/ギター:サイトウミノル/朗読:福士史麻
『夏の夜の音』2月10日(金)予約開始 予約・当日共 一般2,500円/中学生以下1,500円(日時指定・全席自由・整理番号付き)
【両作品のスタッフ】音響=緒方春英・薮久美子 照明=岩城保 舞台美術=杉山至×突貫屋 舞台監督=熊谷祐子 あなんじゅぱすロゴデザイン=吉村麻衣子 写真=田中流 記録撮影=深田晃司 宣伝美術=秋+太田裕子 制作=足立誠《(有)レトル》・一條智子
公式=http://www.komaba-agora.com/line_up/2006_4/anapa.html

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Posted by shinobu at 23:10 | TrackBack

文学座アトリエの会『エスペラント~教師たちの修学旅行の夜~』03/25-04/09文学座アトリエ

 グリングの青木豪さんが文学座に書き下ろされた今作は、高校の修学旅行のお話で、登場人物の年齢層が10代から80代(?)に渡る群像劇です。文学座のレパートリーとしてぜひ末長く上演していっていただきたい、秀作でした。
 エスペラントとは1887年にポーランドの眼科医・ザメンホフ氏が創案された国際語です(日本エスペラント学会より)。

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 ≪あらすじ≫ 公式サイトより。(役者名)を追加。
 舞台は東北にある旅館。東京の私立高校の生徒たちが修学旅行でやって来ている。
 消灯時間が過ぎ、教師たちは生徒の見張りやら、明日のミーティングに出掛けるやらで廊下をウロウロしている。この高校の卒業生である数学教師・星(高橋克明)は、恩師・笹木(田村勝彦)の紹介で中途採用されて来たが、笹木の評判は教師たちの間であまり芳しくないようだ。
 その理由を探るうちに星は、笹木や他の教師との会話から、やがて自分自身の抱える問題と向き合う羽目になり・・・・・
 ≪ここまで≫

 さらりと流れる会話の一言一言が実は胸にグサっとくるほど露骨で、そして助平です(笑)。そのさじ加減が心地よくって笑えます。大人だな~。
 平日マチネだったせいもあると思いますが、客席の年齢層がすごく高かったです。私が泣けてきそうなセリフでドカっと笑いが起きたりして、ものすごく新鮮でした。

 日本人・・・老いも若きも絶望してますね(笑)。他人事じゃないので私も笑ってる場合じゃないんですけど、それが笑えてしまうんです。こんな脚本を書かれる青木さんは深い洞察力と優しさのある、そして世代を超えたユーモアのわかる劇作家だと思います。おおらかに笑ってらっしゃったご年配のお客様も、人生の先輩として頼り甲斐があるなぁと、不遜ながら思っちゃいました。

 演出が青木さんではないし、客層がグリングのそれとは明らかに違いますので、グリングっぽい雰囲気ではありません。全体的に少々平板すぎる感じで物足りないことは否めません。でも、老若男女問わず観られる群像劇としては大成功なのではないかと思います。

 高校生、若手教師、中堅教師、定年間近の教師、サラリーマン(添乗員)、旅館のベテラン女将、若女将、おそらく年金生活であろう老人という、幅広い年齢層の役者さんが必要な作品です。例えば「前回は高校生役だった○○さんが、次は中堅教師役で出演する」など、役者さんが年を重ねながら出演していく作品として、新劇の劇団のレパートリーにぴったりなのではないでしょうか。ぜひ何年か後にキャストを変更して再演していただきたいです。

 ここからネタバレします。

 タイトルの“エスペラント”は一体どういう落としどころになるんだろう・・・?と待っていたら、最後の最後に9.11とつながって、じーんと来ました。イラクでもないアメリカでもない、どこの国の言葉でもないエスペラント語を学んでみたいという、女子高生の幼いながらも真摯な気持ちに触れて、涙が出そうになりました。明るい未来など微塵も期待できない人々が集まる小さな旅館から、世界の平和を祈る心がほのかに見えた気がしました。

 いつもはちょっと怖い目の役が多い(という印象の)高橋克明さんが、37歳の煮え切らない教師役を情けなく演じてらっしゃって、とても良かったです。
 旅館の常連客のおじいさん役の飯沼慧さんはすっごくしっくりきてましたけど、他の少々お年を召した役者さんの演技は紋切り型なことが多く、違和感がありました。

≪文学座アトリエ、桜美林大学≫
出演=飯沼慧/田村勝彦/吉野正弘/高橋克明/横山祥二/椎原克知/松尾勝久/寺田路恵/太田志津香/佐古真弓/上田桃子/頼経明子
脚本=青木豪(グリング) 演出=坂口芳貞 美術=神田真 照明=古川幸夫 音響効果=望月勲 衣裳=中村洋一 舞台監督=寺田修 制作=伊藤正道 票券=最首志麻子
18ステージ 2月25日(土)発売 前売・電話予約4000円 当日4300円(全席指定・税込) ユースチケット(25歳以下)2500円(取り扱い文学座のみ)
公式=http://www.bungakuza.com/about_us/p2k6/2k06-esperanto.html

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Posted by shinobu at 17:51 | TrackBack

風琴工房『砂漠の音階』04/05-12ザ・スズナリ

 ネット上に観劇レビューが上がっているので(→休むに似たり。藤田一樹の観劇レポート)急いで予約をしたら、なんと初日でした。あれ?なぜ??・・・と思ったら、そういえば稽古場での通し稽古を公開されていたんですね!すごいなーっ。新しい試みですよね。
 なんだか時差ボケな私でしたが(苦笑)、初日に拝見して良かったです。だってきれいなセリフがいっぱい・・・♪ 清らかな、温かい心で劇場が飽和状態でした。戯曲(1000円)が販売されていたので、すかさず購入いたしました。

 北海道新聞に掲載されています(2006/04/07追加)。

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 レビューをアップいたしました(2006/04/07)

 雪氷学者、中谷宇吉郎さんのお話なのですが全然難しくないです。あぁ、私の解説なんて必要ないんですよ、公式サイトがめちゃくちゃ充実してますから!企画書、取材旅行、作・演出家&出演者へのインタビュー、そして公開稽古場リポート等、痒いところに手が届く情報満載の特集ページをとくとご覧ください。そして、BACK STAGEのレポート・インタビューもいつもながら素晴らしいです。
 ※平日マチネ(6日/11日14時)に昼ギャザあり!
  昼ギャザ=動員数によって最大1,200円(←今公演の場合)まで割引になるギャザリングシステム。

 1936年3月12日の1日間を描く1幕劇。上演時間は約1時間45分ですが、もっと短く感じましたね。
 少し八百屋舞台になったセピア色ムードの研究室。白く細い柱で部屋は形作られ、壁は黒幕になっていますので、全体的には少々暗い目の空間です。机やイス、小道具は非常にリアルにそろえてあり、出演者の衣装も時代をよく表しています。男優さんのスーツに帽子がステキ。
 
 研究室が舞台になった研究者のお話ですから、当然のことながら登場するのは研究者です。研究者役の方は皆さん、ちゃんと研究者に見えました。これってとても大切なことですよね。特に中谷教授役の杉山文雄さんは他の人物にいっぱい噂をされてから登場するのですが、上手の入り口からスタタっと入ってきた瞬間、「あ、中谷教授だ!」ってはっきりとわかりました。しかもそれがまぶしいくらいにかっこ良かったんです。「あぁ、彼こそがあの、皆が慕う中谷教授なんだな、さすがだな」と思いながら、憧れのまなざしで眺めてしまいました。

 BACK STAGEのインタビューで作・演出の詩森ろばさんが「私が本当に、中谷先生に恥ずかしいくらい夢中になってしまって、本当に素敵だと思って書いたので、その気持ちが伝わるものになればいいなって思いますね。」とおっしゃっています。めちゃくちゃ伝わってきましたよーっ。私も中谷教授にぞっこんになりそうです(本買ってないけどね・・・)。
 脚本の中から私が泣いちゃったセリフを一部ご紹介いたします。文章で読むとあまりにストレートで簡単で、ちょっと恥ずかしくなるぐらいな言葉に見えるかもしれません。でもね、これがね、役者さんの演技で魔法のように変わるんです!特に中谷教授(杉山文雄)は素晴らしいです。
 ※ネタバレしてます。これからご覧になる方はご注意ください。

 中谷「うつくしいほうが正解なんじゃないか?」
 山崎「は?」
 中谷「これはうつくしい、と思うところまで、やらないと意味がない。科学も芸術も。」

 中谷「たいせつなのは研究にどれほど心を注ぎ、知恵を巡らせ、愛したかということです。それはわたしのこころのなかにしかないものですから、誰にも見せることはできません。だからこそ、そこに曇りがあってはならない。そしてね・・・静子さん。」
 静子「はい。」
 中谷「雪の結晶がもし今日という日にできたとして、それはその瞬間から、ぼくのものでも誰のものでもない、科学のものです。」

 中谷「寺田先生がいつもおっしゃってました。『ほんとうにたいせつなのは役に立つことだよ』と。線香の火を絶やさず研究しつづけることも困難ですが、そちらの教えを守ることは、さらに難しい。」

 笑いもいっぱいありました。特に中谷教授の妻・静子(松岡洋子)の作ったおはぎをみんなで食べるシーンは、まるでお茶の間テレビドラマのような筋書きなのですが、それがばっちりハマるのです。ツンケンした山崎(増田理)が、あまりの美味しさにほっこりと笑顔をこぼしてしまうところなんて、可愛いくて可笑しくて仕方なかったな~。

 そして最後にはラブシーンまで用意されていました。助手の佐田くん(岩崎裕司)が秘書の津島さん(笹野鈴々音)を好きだったなんてね~、あぁん、胸キュン(笑)。しっかし煮え切らない奴なんだな、コレが!「あなた!なぜそこで抱きしめないのっ!?」ってイライラしましたね、私(笑)。研究者で、しかも昭和の男ですものね、シャイで奥手なんですよね、うむ。またそれをサラリとかわしつつ、余韻を残してあげる津島さんはツワモノ!

 役者さんでは中谷教授役の杉山文雄さん、中谷教授の旧友の山崎役の増田理さん、助手の佐田役の岩崎裕司さんがとても良かったです。他の役者さんも皆さん、役柄の個性をしっかり掴んでらっしゃって充分良かったですけどね。早口すぎて言葉が流れてしまったり、セリフを文節ごとに切ってしまっている(ように聞こえる)役者さんもいらっしゃいましたけど、それはまあ初日クオリティってことでしょう。4/12までのロングラン公演ですから、ぐんぐん良くなられると思います。

 なんだかノリノリ・ベタボメのレビューになっちゃってますが(苦笑)、気にかかったところもありました。舞台で誰かが会話している最中に、他の誰かが部屋に入ってくる(戻ってくる)時、「あぁ、きっとここで誰かが来るんだろうな」と先に予想がついてしまうことが多かったのは残念でした。また、照明が点くタイミングがフィットしていないように感じることもありました。照明については好みの問題なだけかもしれません。

出演=杉山文雄(グリング)/増田理(バズノーツ)/岩崎裕司/宮崎新之助/松岡洋子(風琴工房)/宮嶋美子(風琴工房)/笹野鈴々音(風琴工房)/浅倉洋介(風琴工房)※山ノ井史は急病のため降板。代役は宮崎新之助。
作・演出=詩森ろば 舞台美術=杉山至(突貫屋) 照明=森規幸(balance.inc DESIGN) 音響=青木タクヘイ(STAGE OFFICE) 舞台監督=松下清永 宣伝美術=岡田邦栄 票券管理=大木孝司 制作=森岡鞠子 企画・製作=ウィンディ・ハープ・オフィス
11ステージ 発売日= 前売3200円 当日3500円 平日マチネ(6日/11日14時)昼ギャザあり。大学生2200円(前売のみ 枚数限定 劇団のみ取扱)高校生以下1500円(前売のみ 枚数限定 劇団のみ取扱) 障害者券150円0(前売・当日共 劇団のみ取扱)
劇団=http://www.windyharp.org/
公式=http://www.windyharp.org/desert/

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Posted by shinobu at 11:39 | TrackBack

2006年04月04日

青年団若手自主企画vol.27多田企画『別』03/31-04/04アトリエ春風舎

 東京デスロック主宰で青年団演出部所属、そして動物電気の役者さんでもある多田淳之介さん の、青年団若手自主企画内・多田企画。帰国直後で観に行けないかと思っていたのですが、けっこう元気だったので千秋楽に間に合いました!
 すっごく面白かった~♪上演時間が85分と短めなのも気持ちいいです。アトリエ春風舎はほんとにハズレが少ないですね。

 多田淳之介さんのJNSK OFFICIAL DIARYでこのレビューをご紹介いただきました!超うれしー!!使用楽曲も公開されています。(2006/04/06追記)

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 ≪あらすじ≫ 当日パンフレットより。改行を変更。(役者名)を追加。(夫の)を追加。
 とある地域に、信じられないくらい雨が降った。たかが雨でも家屋は沈み死者も出た。人々は仮設住宅への入居を余儀なくされ、復興へ向けての生活を始めた。
 その数年後。仮設住宅の撤収も決まり、入居者も近田夫婦(永井秀樹&山村崇子)・津久井みどり(75歳)の二世帯のみとなっている。近田夫婦は被災直前に離婚を決めていた。原因は夫の浮気。(夫の)再婚相手は被災して死んでいる。明日は近田夫婦の退去日。今日はお別れ会が予定されている。
 その日の朝。津久井みどり(75歳)が自分の部屋で首を吊って死んだ。お別れ会は津久井さんの通夜の後行われる事になった。
 ≪ここまで≫

 本日夜公演で千秋楽なのでネタバレします。

 舞台は仮設住宅の中の畳の部屋。殺風景な壁に折り紙などで“お別れ会”の飾りつけが施されています。低いテーブルにはお酒もおつまみも用意されていて、親しい人たちが集まるのであろう歓待のムードが漂ってはいるのですが、役者さんが話している言葉(方言)が全く理解できない・・・どうやら造語?? 

 わからないながらも声の種類や大きさ、身ぶり手振り、話す相手とのアイコンタクトなどを見ていると、徐々にどの言葉がどの意味を指すのかがわかってきました。でも、意味がわかってから初めて面白くなったのではなく、全然わからないままに、ただ人々がコミュニケーションを取っているのを眺めているだけでも、面白かったんですよね。
 特に怒鳴り合うところなんて、たくさんの人が同時に、バカみたいに大きな声でしゃべり出すものだから、それだけでプっと吹き出して笑っちゃいました。言葉がわからなかったおかげで、発せられた声の種類をより多様に味わえた気がします。これは表情や動きなどにも当てはまりますね。

 開幕したばかりの時は露骨な悪口が矢継ぎ早に出てきて、乱暴なしゃべり方が多いように感じましたが、そういう方言なんだな、と徐々に受け入れられるようになり、親しみも沸いてきました。独自に作り出した言葉をその域まで自然に表現できていたのは、役者さんと演出の力だと思います。

 最初は菊川真子(荻野友里)と金髪の幟喜一(山本雅幸)がいちゃいちゃしていたので、彼らは恋人同士なのかしら?と思っていたら、実は喜一には寺井りく(後藤麻美)という彼女がいたんですよね。だから真子とはただの浮気なのです。お別れ会の主賓である近田夫婦は、夫の浮気で離婚することを決めているし、仮設住宅の職員の三田雅巳(山田伊久磨)と、祖母が死んだばかりの津久井由布(村井まどか)は、お互い恋人が居るのに濃厚にキスしちゃうし。終盤ではりくと真子が喜一を挟んで三角関係になりますが、三田がりくに手を出した(と、喜一が誤解した)のが原因だったのかな?どちらにせよ、あの修羅場はめちゃくちゃ面白いですね。他人の不幸は密の味です。
 若くても大人でも、田舎でもどこでも、たとえ被災地でも、やっぱり恋愛が人生を振り回します。結局、意味がわかろうがわかるまいが、あの仮設住宅の一室で話されていた内容って、男と女の痴話げんかでしかなかったんですよね。それが愚かだし可愛いです。

 幕開けや途中で、舞台を覆う緞帳のように閉められた黒幕に映像が写されます。実際に水害にあった地域のニュース映像だと思うのですが、画質や編集が荒くてちょっと不満でした。でも最後に流された映像(=お別れ会が終わってから、職員の増村と三田が部屋をどんどん片付けていきます。すっかりきれいになって2人が去ったら、バチっと砂嵐に切り替わり、しばらくして終演)で、腑に落ちました。
 素直に解釈すると、このお芝居はニュースで報道されていた被災地の数年後の出来事だったということなのですね。傍観者である私たちは事件が起こった時だけ大騒ぎしますが、事件後も現地で生活は続いています。被災地に居ない者には知り得ない人間の営みが、ちゃんとそこにあるということなんですね。
 しかしながら、実は黒幕がかけられた舞台の額縁は四角い枠で囲まれていました。お芝居全編がテレビの中の出来事だったとも受け取れるのではないでしょうか。フィクション(テレビドラマや映画)とドキュメンタリーの、どちらとしてでも解釈可能だと思います。お芝居という嘘の中にもう一つ嘘の枠を作って、流暢な造語による生き生きしたコミュニケーションを、敢えてヴァーチャルな(嘘っぽい)ものに変質させてしまう過激なラストシーンだったと思います。
 
 使われていた言葉は日本のどこか架空の地域の方言になりますよね。笑っちゃうほど下品な言葉に変更していましたね~(笑)。例えば、男=ちん、女=まん、彼氏なんてちんこですからねっ(うわ、書いちゃった)。他には、呑む=やる、関係ない=つながらない、浮気する=またぐ、帰る=き(帰)る、等。初演の時は全編標準語だったそうです。今回のために新しい方言を作ったんですね。

 カラオケに行ってきた人たちが部屋に帰ってきても歌っちゃう歌は、「別れても好きな人」「氷雨(飲ませてください もう少し~)」「嵐の素顔」など。ありきたりすぎて最高です。乾杯する時に長淵剛の「乾杯」(省略版)を歌うのも可笑しかった。“君に幸せあれ~”の最後は「いとしのエリー」のラストみたいになってなかったかしらん?
 合間にかかる音楽(曲)も良かったです。オープニングの曲は何かな~、すっごく合ってたな~。最後の「ラストダンスは私に」は誰が歌ってるヴァージョンかしら。聞き惚れました。

 山内健司さん。丸いメガネをかけた仮設住宅の職員、増村役。何をやってもやらなくても、面白かった・・・あぁしみじみ。突然怒鳴りだすことがめちゃくちゃ多かったのですが、全然いやな気がしませんでした。タッパーの蓋をわざわざ持ち出したのに、人を指すこと以外に使わなかったのが可笑しかった。
 山田伊久磨さん(エッヘ)。上半身裸で寝てた時「やっぱり・・・」ってちょっと思いました(笑)。寝てる演技は本当に寝てるみたいだった。津久井由布(村井まどか)とのキスシーンも本気でいいわー。ほんとかっこいー人だわー。白ブリーフ姿よりもエッチでセクシーでした。

出演=山内健司/山村崇子/永井秀樹/村井まどか/山本雅幸/荻野友里/後藤麻美/山田伊久磨(エッヘ)
作・演出・音響・宣伝美術=多田淳之介 照明=伊藤泰行 舞台美術=濱崎賢二 舞台美術アドバイザー=鈴木健介 総合プロデューサー=平田オリザ
終演後にポストパフォーマンストーク有りの回あり。31日:牧田明宏(明日図鑑主宰)/2日:三浦大輔(ポツドール主宰)
予約・当日共2,000円 日時指定・全席自由・整理番号付 発売=2月14日
劇場=http://www.komaba-agora.com/line_up/2006_3/tada.html

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Posted by shinobu at 20:52 | TrackBack

2006年04月03日

【つぶやき】パリに行ってきました~♪(2006/03/27~04/02)

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オペラ座(ガルニエ)外観

 はじめてヨーロッパに行ってまいりました。といっても滞在はパリのみ。同じホテルでずーっと暮らしてました。歩いて歩いて歩いた、約6日間でした。

 フランス語は大学の第二外国語で取っただけで、ほとんど話せない・聞こえないという状態でしたが、英語とフランス語の片言の単語でなんとかなりました。でもフランスはフランス語が必要な国ですね。今度行く機会があったらもっと勉強して行きたいです。

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オペラ座の前の道(デモ中)

 パリの街・・・めちゃきれい。何を見ても「ふわーーーっ」「うほぉーーっ」というため息に近い感嘆の声の連続でした。左の写真のような建物ばっかりなんですね。街自体が文化遺産状態。
 あ、デモとかストとか鳥インフルエンザとか、危険な話題には事欠かなかったこの時期のパリですが、現地の旅行者だった私はほぼ何事もなかったように無事でした。デモには出会いましたが学生が雄たけびを上げていただけで(楽しかったし)、ストは電車の本数が少なくなって待ち時間がちょっと増えたかな~という程度でした。パリの人はすっかり慣れっこという感じでしたね。

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像のコスチュームを着た先生と生徒

 今回のパリ旅行の第一の目的はとにかく美術館!ルーブル美術館オルセー美術館ピカソ美術館ロダン美術館マルモッタン美術館に行きました。
 ※左の写真はルーブル美術館内です。

 私は絵画や彫刻が好きなのですが、実は“美術館”が好きなんだってことにも気づきました。なんかね、劇場に似てるなって思ったんです。モネの絵を見たいと思って美術館に行くのは、ある役者さんに会いたいと思って劇場に行くのと似ています。たっくさんの人々がそれぞれの目的を持って自主的に集まり、見たいものを見て(会いたい人に会って)自由に解釈をして共に語らう、そんな人間の営みが、一つの場(=美術館)で生まれてグルグルうごめいているんですよね。

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マネの「草上の昼食」を解説(オルセー)

 中世の宗教画やエジプトの遺跡、ギリシャの彫刻などがそこら中にボロボロ落っこちているかのように展示された贅沢な空間で、昔と今が同時に呼吸をしているような、密度の高いコミュニケーション空間。それがルーブル美術館なんだなと感慨深い心持ちになりました。オルセー美術館でも同じような感覚を覚えました。
 ※公的な美術館の中は撮影がほとんどOKだったことに驚きました(フラッシュは禁止のことが多いです)。

 電車を使ってちょこっと遠出もしました。サン・ラザール駅から電車でヴェルサイユに行き、徒歩7分ぐらいでヴェルサイユ宮殿へ。朝から行ったんですが、入り口にはものすごい長蛇の列。並ぶのに1時間かかったのに館内見学はたったの30分で終了でした・・・(涙)。補修中のところが多かったし。残念。
 飛行機の中で「ダ・ヴィンチ・コード」を読んでいたので(笑)、ノートルダム寺院からサン・シュルピス教会にも行きました。他にも有名な名前のところだとサン・ジェルマン・デ・プレ教会、パレ・ロワイヤル、コンコルド広場、ヴァンドーム広場・・・てゆーか、チョコっと歩くだけで必ず何らかの史跡にぶち当たるんですよね。

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オペラ座(ガルニエ)内

 オペラ座(ガルニエ)はチケットが取れず、『フィガロの結婚』観劇を断念。でもポスターを観る限りではかなり現代風の演出っぽかったので、行けなくても後悔はなかったです(私はクラシカルな演出が好きなので)。オペラ座の中の見学はできましたよ~。装飾が豪華すぎ。天井画を見すぎて後ろに倒れそうになりました(苦笑)。ドレスアップしてこの劇場でオペラとかバレエとかを観られたらどんな気分だろっ!?
 代わりに、というわけではないのですが、オペラ・コミックでオペレッタを鑑賞してきました。後ほどレビューをアップできれば・・・と思っています(予定)。

 パリ初心者の観光客ならではのコースにも行きました。エッフェル塔はベストショットが取れるポイントで写真を撮り、凱旋門は272段の階段を登り(途中で足がガクガクになり、登るんじゃなかったと後悔)、シャンゼリゼ大通りを歩いてルイ・ヴィトン本店でお土産を買い、そしてラデュレ(←音が鳴ります)でマカロンを買いました。マカロン、めちゃうま!

 日本食がやっぱり恋しくなったので、雑誌でよく見かけた手打ち蕎麦屋さんの「円(YEN)」に伺いました。高かったけど本物のおいしいお蕎麦がいただけました。今更ですが、ヨーロッパの通貨ってユーロになったんですよね(イギリスなど一部を除く)。日本に置き換えると、円やウォン、元などが一緒になって、アジアの通貨が出来るってことですよね。う~ん刺激的!そうなるとこのお店の名前に新たな意味が付加されますね~。
 日本食街(かと思うぐらい日本食屋さんが多い地域)では、来々軒というお店に行って、ラーメンと餃子を食べた(笑)!あ、一回だけ朝マックもしちゃいました(笑)。日本と同様に朝マック・メニューしかなくて残念だったけど。
 百貨店(プランタン、ラファイエット)、スーパーマーケット(MONOPRIX)、パッサージュ(PASSAGE)での買い物も楽しかったです。お洋服は日本のものよりカラフルですね。お値段は全然安くなかったな。パリだからかな。

 良かったことばかり書いちゃったので、マイナスに感じたこともサラリと。ヴェルサイユへ向かう電車では、ずっと車窓からの景色を眺めていたのですが、お世辞にも美しいとは言えない町並みでした。パリは綺麗だけど周りはそうでもないんですね。あと、壁の落書きがすごく多いです。メトロなんて落書きが途絶えることがないほど。そして歩きタバコをしている人が多いですね。もちろんポイ捨てされちゃいます。ゴミは分別されないし・・・。
 一番弱ったのがお風呂(水道)の水です。フランスは硬水なんですよね。髪の毛がガキガキになっちゃった(苦笑)。日本に帰ってきて一番嬉しかったのが、蛇口から軟水が出てくることでした。

 あぁ、なんだか全然まとまってませんが、初のパリ旅行のレポートはこのへんで~。


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Posted by shinobu at 21:35 | TrackBack