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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2006年04月18日

野鳩『なんとなくクレアラシル』(愛蔵版)04/15-23こまばアゴラ劇場

 水谷圭一さんが作・演出される野鳩。私は前回に続いて2度目の観劇になります。2002年初演の代表作の再演だそうです。
 登場人物同様に現役中学生でいらっしゃる藤田一樹くんが、心づくしのレビューを書いてらっしゃいます。
 ⇒藤田一樹の観劇レポート

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 メルヘンチック・漫画チックな学芸会風の舞台で、田舎者まるだしの中学生の男子・女子が友情に恋にケンカにてんやわんや。森の泉からは女神もぶくぶくとお出ましになります。音楽は80年代のちょいダサ系ポップスで、わざとらしく懐かしいし甘酸っぱいし。
 ※藤田くんのレビューにおもしろネタなどの細かい部分もわかりやすく書かれています。

 ダンスを見ているようでした。セリフにも演技にも細かい振付が施されています。これを体現できるようになるには相当なお稽古が必要でしょう。たぶん劇団員だからこそできる、という域まで達しているでしょうね。終演後のトークで水谷さんが「完全に振付をしてしまうとつまらなくなるから、役者によって変化をつけています(というようなこと)」をおっしゃっていました。役者さんもひとつひとつを丁寧に演じてらっしゃいましたし、計算&試演し尽くした結果を見せていただいているんだなと感じ、立派だなと思いました。
 たくさん笑わせていただきました。意味的には苦笑に入りますが、でも体感からいえば爆笑にカテゴライズされる笑いです。

 野鳩を、演劇を知らない人に紹介する場合は・・・いつもどおり「お好みは分かれると思います」と言って済ませられないですね。「好きな人は好きだろうね」という風につき離すべきではない気がします。トークを聞いてから感じたことですが、水谷さん個人のfavorite(お気に入り)世界の探求だとしても、これほど詰めてあるのは凄いと思います。巧いな~って思うところも多かったですし。
 ただ、私がまたこの世界に入り込みたいかというと、そこまでの情熱は掻き立てられなかったです。比較対象にするのは変かもしれないけど、むっちりみえっぱりの方が好きですね。もっと私をガクガク、ゾクゾクさせてくれるような衝撃的な甘酸っぱさとかトキメキが欲しい(笑)。

 ★ポストパフォーマンス・トーク

 出演者=水谷圭一(野鳩)×天野天街(少年王者舘)×堤広志(編集者/演劇・舞踊ジャーナリスト)

 堤さんは私の隣の席に座ってらっしゃって、終演後に突然呼ばれてトークの司会に抜擢されました。・・・びっくりしました(笑)。でもこれが功を奏したようです。アーティストである水谷さんと天野さんの2人きりのトークだったとしたら・・・1時間以上かかっても10分の内容に満たなかったかもしれないなと思いました(苦笑)。それでもまあ楽しめると思いますが。

 水谷さんはずっと柔和な表情で、ゆっくり、ぽつりぽつりとお話になる穏やかな印象の方でした。でも相当なこだわり屋さんなのもわかりました。「これくらいが(僕には)ちょうどいい」という言葉を2回ぐらい繰り返されたんですが、それがすごくしっくり来ました。

 天野さんが「言葉にはできないんだけど」と言いながらたくさんお話しようとされていたんですが、しゃべりながらどんどん意味が付加されていって、途中で断念されることが何度かあり、それがとても素敵でした。

 【質問コーナー】さわりだけです。ネタバレします。

 観客「トリプルキャストになっているのはなぜ?」
 水谷「劇団員が増えたからです」
  →私の質問でした。とっさに指名されてのことだったのでこんな質問で・・・すみません。もしかしたら観客動員増を見込んでの戦略なのかなと思ったので、ちょっと聞きたかったのです。

 観客「『お花畑でつかまえて』から拝見しています。『お花畑・・・』と今作は終わった後に暖かい気持ちになれたのですが、前作『僕のハートを傷つけないで!』はそういう後味ではありませんでした。」
 水谷「『僕のハート・・・』は「寄生獣」と「まんが道」ですね。」
 堤「え、そんなネタバレしていいの!?(笑)」
 水谷「はい、今回はドラえもんの『きこりの泉』で、泉に落ちたジャイアンがきれいなジャイアンになって出てくるっていうのに想を得ています。」

 観客「執筆にいきづまったら何をしてその状況を打開されますか?」
 水谷「なんだかNHKトップランナーみたいな質問が・・・(笑)。劇団員とファミレスで話したり。よく寝ること。あとは漫画読んだりします。」

出演=佐伯さち子/畑田晋事/堀口聡/村井亮介/菅谷和美/山田桐子/佐々木幸子/水谷圭一★ 菅谷和美・山田桐子・佐々木幸子の3名はトリプルキャスト
作・演出=水谷圭一 舞台監督=海老澤栄 照明=増田純一 音響=中村嘉宏(atSound) 舞台美術=仁平祐也 小道具=中島香奈子・當間英之 イラスト=天久聖一 宣伝美術=水谷圭一 制作=山田桐子・佐々木幸子 協力=e+(イープラス)企画制作=野鳩/(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場 主催=(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場
発売開始2月26日(日) 12ステージ 前売2,300円 当日2,600円(全席自由・整理番号付) 4/17昼は平日昼割→前売1,500円 当日1.800円
公式=http://f32.aaa.livedoor.jp/~nobato/
劇場内=http://www.komaba-agora.com/line_up/2006_4/nobato.html

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Posted by shinobu at 2006年04月18日 12:14 | TrackBack (0)