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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2006年05月04日

寿団『おとこたちのそこそこのこととここのこと』05/03-07萬スタジオ

 鈴木田竜二さんが主宰する寿団の7年5ヶ月ぶりの公演。脚本・演出は鈴江俊郎さん(劇団八時半)です。
 けっこう有名な大人の小劇場男優が、走る!叫ぶ!登る!脱ぐ!・・・激しいかった~(笑)。廃部になった社会人野球部を舞台に、社会派なんだけどちょっぴりメルヘンで、男の本音を素っ裸にしたセリフが、熱く飛び交います。もちろん汗も唾も飛ぶ!(笑) 渋い男優たちの演技合戦を堪能しました。面白かった!!

 ※BACK STAGEでチケットプレゼント実施中!(最終締切日:5/5)
 ※5/5(金)マチネのトークショーは、ゲストが鈴江俊郎さんとマキノノゾミさん(劇団M.O.P.主宰)です。
 ※鈴江俊郎BLOGが面白い! ※出演者ブログもあります。

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 ≪あらすじ≫
 廃部が決まった造船会社の社会人野球部の部室。備品をすべて処理したら明日には工事が始まり、球場ともどもスーパー銭湯になってしまう。ノンプロの野球選手も明日から普通の会社員だ。「この年になるまで野球しかやってこなかったのに!」「すんなりあきらめていいんですか?」「社長に直談判だ!」・・・などと、それぞれに熱い思いや悩みを持った、いい大人の男達がジタバタするお話。
 ≪ここまで≫

 社会人野球部の廃部って、野球選手として入社した人にとっては存在意義がなくなるってことですから、のっぴきならない人生の土壇場なんですよね。違うチームから声が掛かる才能の有る若手もいれば、そもそも活躍の場がないのにただひたすら続けていたベテラン選手もいて・・・。

 ここからちょっとだけネタバレします。でも読んでから観に行かれても大丈夫じゃないかな。熱くて渋い男達と出会って一緒にいることが面白いので、ストーリーがわかっていても問題ないと思います♪

 どうやったら廃部をやめてもらえるか、野球部の人気を復活させられるかなどと必死で話し合いをするシーンは、「野球部」を「劇団」に置き換えてもばっちりはまる内容でした。40歳のベテラン選手(荒谷清水)が鍛え上げられた肉体を震わせながら言う「魂が魂らしくふるえることが人生なんじゃないのか」というセリフ(正確ではありません)が良かった・・・。大真面目で純粋なセリフをそのままストレートに言ってしまわず、人物の複雑なキャラクターを大胆に形作って、おおげさに語らせます。これが面白い!役者さんは全身全霊かけて個性の激しい役柄を演じてくださいました。それにしても凄い演出だったな~・・・大声でしゃべりながらロッカーの上に登るって、やっぱり強烈です(笑)。

 荒谷清水さん(南河内万歳一座)と保村大和さんの2人芝居のシーンは必見!特に保村さんの緻密な演技に感動しました。保村さん演じる二塁手の田辺は超エリートなのにマイナス思考というひん曲がった性格で、しかもゲイという難しい役どころ。必死さがこっけいになるほど走って叫んで、でもセリフが全くブレないので、言葉の意味が熱い思いと一緒にガツンと伝わってきます。もちろん相方のたけ(荒谷清水)との会話では存分に笑わせてくださいました。舞台俳優・保村大和に魅せられましたね。


 ≪終演後のトークショー≫ 出演者=鈴江俊郎/土田英生(MONO主宰)

 鈴江さんと土田さんは京都在住の劇作家・演出家で、お2人とも劇団の主宰でいらっしゃいます。10年以上前からの親しいお友達だそうです。まるでお笑いコンビの絶妙な漫才のようなトークで、客席は爆笑の渦でした。これなら「トークショー」と言われても納得ですね(笑)。
 質問タイムがありませんでした。うん、なくて良かったかも。もうおなか一杯だったし(笑)、万が一、出た質問で良いムードが壊れても残念ですしね。下記、憶えていることを私なりの言葉で書いておきます。

 土田「(鈴江さんと)出会ったのは93年。『カラーのチラシなんか作るな!』って朝まで説教されました(笑)。」

 鈴江「京都はどう?」
 土田「ひどい時は週に3回も東京に出てきたりするので(仕事は東京にしかないから)、ぶっちゃけ移って来たい(笑)。でも、もう引っ込みがつかないっていうのがあります。京都に住み続けると言い過ぎた。」
 土田「東京に来ると商品化されるっていう感覚がやはりありますね。食べたことない麻婆豆腐とか食べさせてもらって(笑)、持ち上げられてシンデレラ気分になったり。序列に乗っかりだすといういか、今までやってきたことを捨てて東京になじもうとする。でも京都に住んでいる限りそんな勘違いをしなくて済むと思う。京都には普通の生活があって、そこに戻ってこられますから。」
 鈴江「シンデレラでいうと、かぼちゃなのに馬車とかん違いする、みたいな?馬車気分?(笑)」
 土田「まあ、そうかな(笑)。まさにこの芝居と同じじゃないですか、舞い上がってしまって後で落ち込んだりせずに、堅実に暮らせる。」(トークの最後に「今は東京に移る気持ちはない」と明言。)

 鈴江「脚本を書きたい!って思うことはありますか?またそれはどんな時?(聞けと言われたので)」
 土田「まあ、依頼されて褒められた時ですね。本当に褒められた時はスキップして帰ります。」
 鈴江(or 土田?)「阪急電車で踊ってたとかね(笑)」
 土田「人から求められるしかないですからね、モチベーションをあげるのは。興奮するって言うか。」
 土田「あとは、ものすごく落ち込んだ時。以前、ネット上に書かれた自分の悪口をプリントアウトして、それを壁に貼って打ち勝とうとしたんだけど・・・立ち上がれなくなってしまって(笑)。落ち込み切ると『この苦しい気持ちを書いてみよう』とか『誰かにわかってほしい、この悩みは自分だけの悩みじゃない』とか考えるんですよね。自分の救済のために書き始めます。」

 土田「今日の芝居みたいな、(鈴江さんの)自意識が溢れかえってる芝居はほんっとに息苦しい(笑)。」
 鈴江「まあ、舞台に乗ってるのは全員、僕の分身みたいなもんだからね(笑)」。

 その他、京都の24時間営業の喫茶店でいつも話していたことや、「もう距離をおきたい」と言って一度“別れた(笑)”ことなど。

出演=荒谷清水(南河内万歳一座)/保村大和/平野勲人(TEAM発砲・B・ZIN)/工藤順矢(TEAM発砲・B・ZIN)/上瀧昇一郎/康ヨシノリ(唐組)/鈴木田竜二/小林高之(TOON BULLETS!)
脚本・演出=鈴江俊郎 演出助手=主浜はるみ 演出部=徳本憲治/中村貴彦/米谷有理子 美術=池田ともゆき(TANC!池田意匠事務所) 照明=柿嵜清和 音響=田上篤志(atSound) 音響=橋本剛 衣裳協力=石川俊一 小道具協力=高津映画装飾 宣伝美術=東學(188) 制作=森内倫子/安部忍/一ツ橋美和 企画・製作=寿団
前売¥3,300 当日¥3,500(全席指定) ※特定日の14時の回終演後にトークショーあり。5/4(木)ゲスト=土田英生(MONO主宰)5/5(金)ゲスト=マキノノゾミ(劇団M.O.P.主宰)
公式=http://www.kotobuki-dan.net/

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Posted by shinobu at 2006年05月04日 17:24 | TrackBack (0)