コメディア・デラルテとはイタリアの伝統的な仮面喜劇のこと。私は箱根ガラスの森ではじめて「コメディア・デラルテ」という言葉を知ったんですよね。本場のものを観られるということで初日に伺いました。
上演時間は約1時間35分。日本語、イタリア語、英語がまざった環境で字幕やイヤホンガイドはありません。英語がわかるとかなり楽しめると思います。
舞台に登場するのはプルチネッラ役のアントニオ・ファーヴァさん、共演者(さまざまな女性を演じる)の光瀬名瑠子さん、そしてピアノとアコーディオンを演奏する紳士(お名前を失念)の3人のみ。とにかくいっぱい笑わせようとしてくださいます。最初はノリについていけなくて構えてしまったのですが、徐々にアントニオさんの愛嬌にすっかりほだされて(笑)、楽しく嬉しく過ごさせていただきました。
昨日『やわらかい服を着て』を観たばかりなので、こういう海外の人との交流の大切さが身に沁みます。言葉が通じなくても笑いは共通なんですよね。同じ空間で一緒に笑ってるこの平和・・・感謝です。
コントだし、漫談だし、レビュー(歌)だし、パントマイムだし、一人芝居だし、対話演劇だし・・・アントニオさんの芸の素晴らしさが徐々にわかってきました。声のバリエーションがすごく豊かです。口をつかった擬音もいっぱい。
下記、構成を簡単に。ネタバレしますが、お読みになってから観に行っても大丈夫だと思います。
●第1景 はじまりはじまり (音楽ではじまる。)
最初にさっそうと登場した紳士がいきなりピアノの横でつまづきました。ほんっと、そういう細かいところから笑いを盛り上げてくれます。
●第2景 理想の女性 (カネリアを想うプルチネッラの悲恋)
アントニオさんがイタリア語、光瀬さんが日本語で話すので少々戸惑いました。この世界に慣れるまで時間が掛かりましたね。お下品だし(笑)。でも観客は最初っからすごく笑ってたな~。イタリア語がわかる人が多かったんでしょうね。
●第3景 いつもの女 (ツァッツァが愛人と戯れる。夫のプルチネッラがそれを目撃して惨劇に。)
寝取られ男=プルチネッラは角の生えた帽子を被っていました。やっぱり角が生えるんだねー。
妻を殺して自分も死ぬという恐ろしい結末だったのですが、手法自体を笑いにしていくので悲しさとか全く感じないんですよね。冷静に眺めてジョークやコントとして楽しみました。
●第4景 いんちきナポリタン (ナポリ方言の歌。でも本当にナポリタン?)
アントニオさんがお一人で歌うんですが、めっちゃくちゃ素敵でした!歌う前に英語でお話してくださったのも面白かった~。パッション(情熱)!
●第5景 カピターナとプルチネッラ (戦争だ。女が命令すれば、仕事なんだ。)
幸せな結婚をしたと思ったら無理やり仕事に行かされ、戦争が始まったら有無を言わさず兵隊にならされ、不在中に妻は浮気するし、プルチネッラの人生はふんだりけったりです。そんな悲惨な状況をほぼ形骸化させてしまって、どたばたな笑いを作っていきます。「いっぱい笑ったけど、冷静に考えたら悲しい話だよね」って、観終わってから想像するような感覚です。
「死ぬ前に何をしたいですか?」と聞かれた観客の男の子が「おなか一杯ご飯を食べたい」と言ってました。なんて素朴な(笑)。
●第6景 井戸 (ある男と女と井戸の悲惨な物語)
井戸のお話の間に漫談のようなものが入っていて、それがめっちゃくちゃ面白かった!
イタリア(アントニオさんの故郷のカラブリア)、フランス、ドイツ、イギリス、アメリカ、スペインなど、それぞれの国の言葉で「I KILL YOU」コントを見せてくれます。最後に日本版を観客とやろうとしたのですが、英語がわからない方だったのでアントニオさんが四苦八苦。申し訳ないですが爆笑しちゃいました。ヨーロッパの三大不思議も面白かったな~。
井戸のお話とは、30年間口をきかず別居中の夫婦がケンカして、夫が妻を深い井戸に落として殺してしまうという恐ろしいものでした。でも笑えるんだな~。
●第7景 死神~フォスカ
ガイコツの仮面をかぶった黒装束の女=フォスカが登場。これはプルチネッラに死が訪れたってことなんですね、今、書てて気づきました。そう、それぐらいにストーリーや設定が表に出てこないんです。あくまでも楽しく笑える見世物なんですね。
●エピローグ プルチネッラたちの祈り
アントニオさんがイタリア語で話されるのを光瀬さんが日本語で同時通訳する形でした。感動しました。
「この街の、この劇場に、このイスを作ってくれてありがとう。そしてそこに座ってくれるお客様、ありがとう」
「私はあなた(神)がいるとわかる場所にいるようにする。それがここ(劇場)です。」
作・演出・主演=アントニオ・ファーヴァ(Antonio Fava) 共演 con/with=光瀬名瑠子(Naruko Misse)/ピアノAl piano/at the piano=クラウディオ・マッティオーリ(Claudio Mattioli) ※演奏者は交代した可能性あり(未確認)。
製作=TEATRO DEL VICOLO - Dina Buccino 制作=テアトロ・デル・ヴィコロ/デラルテ舎 後援=イタリア文化会館/財団法人日伊協会/社団法人国際演劇協会(ITI/UNESCO日本センター) 協力=アリタリア航空/財団法人セゾン文化財団 主催=デラルテ舎
3月25日(土)一般前売開始 前売り4,500円 当日5,000円(全席自由・税込)
公式=http://www.dellarte-c.com
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