『The Slab Boys』はスコットランドのアーティスト・劇作家のジョン・バーンの自伝的作品だそうです。三部作まであるんですね(第二部『Cuttin' A Rug』、第三部『Still Life』)。
700人超の中からオーディションで選ばれた若手俳優が出演し、俳優の千葉哲也さんが初演出されました。上演時間は2時間40分(10分間の休憩を含む)。
膨大なセリフと慣れない外国の風俗に埋もれながら必死で戦っているように見えました。
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≪あらすじ≫ パンフレットより引用。
1957年冬、ある金曜日。ここはスコットランド、グラスゴー近郊の絨毯製造会社。A・F・ストーボ社のデザインルームに隣接する小さな部屋「スラブ・ルーム」。ここで働く若者たちは、来る日も来る日もせっせとデザイナーのために絵具を挽き、こね、皿に移すのくり返し。手に届きそうで届かない色とりどりの世界にあこがれ、「監獄」脱出を渇望する「スラブ・ボーイズ」たち。
≪ここまで≫
舞台は汚いスラブ・ルーム。スラブ(Slab)とは、絵具の顔料と粘着性のあるガムと水等をこね合わせる際に使う、まな板のような厚板のこと。スラブ・ボーイズ(進藤健太郎、倉本朋幸、山﨑雄介)は絨毯工場の低賃金・肉体労働者です。不幸なことに家庭環境も良い方ではなく、彼らは常に悪態をつき仕事もさぼり気味。
彼ら以外でスラブ・ルームを訪れるのは、鬼のような上司(千葉哲也)、かつては同じスラブ・ボーイだったデザイナー(池下重大)、購買部のおばさん(安奈淳)、ナイスバディの可愛い女子社員(大貫杏里)、そしてお坊ちゃんタイプの新人アラン(河合龍之介)。真冬の仕事場の一日を描きます。
世界は階級社会だ。こつこつがんばれば報われることもあるが、何をやったって届かないクラスもある・・・って、信じがちですよね。不平不満、憤り、反発などの感情が強く、まっすぐに暴発している状態でした。おバカさんだな~、可愛らしいな~と愛でるように見つめさせて欲しいんですが、そういう余裕がなかったようです。
リアルな装置なのに小道具の扱いがぞんざいなのが気になりました。観ていて一番困ったのは流し(シンク)のお皿です。ルシール(大貫杏里)は全く汚れていないお皿を汚れているかのように扱い、シンクに山積みで放置されている汚い皿を見ながら「ここではお皿を洗わないの?!」と怒ります。そして自分が持っていた真っ白な皿を水もつけないでタワシでこすります。その所作も途中でやめちゃうんですよね。ルシールの社内での存在位置が曖昧でした。
スラブ・ボーイズを演じた男優さん達(進藤健太郎、倉本朋幸、山﨑雄介、河合龍之介)は、とにかく必死なんだろうな~と思いました。セリフの発し方が一辺倒。感情も一直線。抑揚がありません。相手のセリフや演技を受けて、そして自分からも発して・・・というコミュニケーションが少なかったです。セリフが膨大ですし、海外戯曲ですし、高いハードルですよね。全力だってことが伝わってきたので、2時間40分の長時間、寝ないで済んだのかも。
大貫杏里さん。ヒロインのルシール役。ずっとしかめっ面でしたね・・・。決まった何かに自分を当てはめようとしているように見えました。カーテンコールのにっこり笑顔が一番可愛かったなんて、残念至極。黒のミニ・タイト・ドレスに編みタイツと赤いハイヒールなんていう着こなしが完璧にできる抜群のスタイル。
池下重大さん。ニキビ面のデザイナー・ジャック役。やっぱり上手いわ~っ。頭から湯気が噴き出すんじゃないかっていうぐらい怒るし、ゆるみすぎて溶けちゃうんじゃないかって思うぐらいにんまり笑います。柔軟ですよね。
流れた音楽は「モッキンバードヒル」「ケ・セラ・セラ」「ハウンド・ドッグ」など。楽しかったです。
13年前に男闘呼組(岡本健一、高橋一也〔現在は高橋和也〕、成田昭次、前田耕陽)主演、ロバート・アラン・アッカーマン演出で上演されたそうです。スパンキー役が高橋和也さんだったってことは、フィル=岡本健一、ヘクター=成田昭次、アラン=前田耕陽って感じかな~(笑)。
"Slab Boys" by John Byrne
出演=進藤健太郎/倉本朋幸/大貫杏里/河合龍之介/山﨑雄介/池下重大/安奈淳/千葉哲也
作=ジョン・バーン 演出=千葉哲也 訳=薜珠麗 美術=萩野緑 照明=深瀬元喜 音響=木暮拓矢 衣裳=原まさみ ヘア&メイクアップ=鎌田直樹 舞台監督=三上司
前売り発売開始 4月28日(金) 全席指定4,200円/学生料金3,150円※学生料金はTPTのみのお取り扱い
公式=http://www.tpt.co.jp/
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