西森英行さんが作・演出されるInnocentSphere(イノセント・スフィア)のシアタートラム初進出公演です。チラシの情報から聖徳太子に関係したSFかしらと思っていたのですが、ある社会問題を取り上げたシリアスなお話でした。上演時間は約1時間45分。いつもより短めですね。
BACK STAGEに充実のレポートあり。いつものことながら美しい写真がいっぱい!取材される劇団は幸せですね。
≪あらすじ≫
男(狩野和馬)が警官を人質に寺に立て篭もった。名は児島真治。2年前に殺人事件を起こしたが、精神に異常を来たしていたと診断されて無罪になった男だ。警察は人質解放に向けて万全の体制を整えるが、興奮・錯乱状態の児島との交渉は難航を極めた。児島の妻・夕貴(黒川深雪)が「彼のことは私にしかわからない。私に話をさせて」と主張するが、彼女は2年前に児島を診断した精神科医で、彼と獄中結婚していた。警察側としては凶悪犯をかばう妻を信用などできない。そこに児島を執拗に追いかけ続けている記者(盛隆二)が現れ・・・。
≪ここまで≫
InnocentSphereは2003年4月から拝見させていただいています。どんどん大きな劇場へと進出されて、今回はとうとうシアタートラム。次回(2007年3月)は青山円形劇場で、次々回(2007年10月)は紀伊國屋サザンシアターだそうです。すごいですね~。
シアタートラムは大御所の劇団や大手プロデュース公演でもよく使われる、私の大好きな劇場の一つです。だからどうしても観る目が厳しくなってしまうんですよね・・・。若手の劇団が使いこなせるかというと、とても難しいのです。今作は工夫が凝らされた美しい美術で健闘していましたが、やはりあの空間を自在に操ることはできていなかったように思います。演出についても役者さんの技量についても、おぼつかない印象でした。
InnocentSphereは毎回、重たいテーマに真面目に取り組まれています。今作は人間ドラマ、ラブ・ロマンス、サスペンス、映像やダンスなどの視覚的な娯楽要素、そして社会への問題提起・・・と、盛りだくさんな内容でしたが、あまりバランスが良くなかったように感じました。小劇場から中劇場へと規模が拡大していく時に必然的にぶつかる、質的な向上の過渡期なのではないでしょうか。
児島(狩野和馬)と夕貴(黒川深雪)のラブ・ストーリーとしては胸に響くものがありました。特に“手紙”のところは泣けちゃいましたね。
狩野和馬さん。寺に立て篭もる児島真治役。幻覚を見たり、錯乱したり、正常になりかけたり・・・精神状態がぐるぐる変化する大変な役ですよね。ちゃんとその役として舞台に居らっしゃるように感じられました。
出演=狩野和馬/倉方規安/坂根泰士/日高勝郎/足立由夏/四十八願智子/黒川深雪/三浦知之/間野健介/八敷勝/たにざわすみえ/こうのゆか/久野一洋(劇がく杜の会)/今林久弥(双数姉妹)/春日井一平(劇団上田)/菅野宏則(優企画)/高倉大輔(エメルパス)/三嶋義信/盛隆二(イキウメ)/伊藤尚子/小澤恵(劇がく杜の会)/蒻崎今日子
作・演出=西森英行 照明=斎藤真一郎(A.P.S.) 音響=ヨシモトシンヤ(Sound Cube) 選曲=高橋秀雄(Sound Cube) 美術=松本わかこ 大道具製作=イトウ舞台工房 小道具=蕪木久枝 衣裳=村瀬夏夜 ヘア・メイクプランナー=泉淑 ヘアスタイリスト=竹内絋己(Hair Make C's) 宣伝美術・映像=冨田中理(SelfimageProdukts) スチール=坂田峰夫 ビデオ撮影=キューインタラクティブ株式会社 演出助手=宮永琢生(ZuQnZ)/吉田武寛(劇団ひろぽん) 演出協力=田村友佳(KAKUTA) 舞台監督=筒井昭善/田中政秀 票券管理=安田有希子(axis) 制作補佐=柳悠美/筧尚子/竹内啓/中田豪一/風見尚子 制作=佐竹香子 企画製作=InnocentSphere 協力=田中浩補 ライドアウト 助成=財団法人UHJ信託文化財団
4月29日(土)一般発売開始 前売=一般3200円/ペア6000円 大学・専門学生:2000円 中・高校生:1000円 劇場会員割引あり 当日=一般:3500円 大学・専門学生:2000円 中・高校生:1000円 6/15の14時の回は前売・当日ともに 2800円 大学・専門学生:2000円 中・高校生:1000円
公式=http://www.innocentsphere.com/
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
●●●人気blogランキングに参加中!ポチっとクリックしていただけると嬉しいです。●●●
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
★“しのぶの演劇レビュー”TOPページはこちらです。
Posted by shinobu at 2006年06月14日 01:45 | TrackBack (0)