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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2006年06月26日

フジテレビ『第32進海丸』06/19-07/09東京グローブ座

20060626 dai32kaishinmaru.JPG
会場玄関の大看板

 V6の三宅健さん主演のお芝居です。といってもジャニーズ・ファンだけが飛びつく企画ではありません。脚本が蓬莱竜太さん、演出は鈴木裕美さん、そして三宅さん以外の出演者も超豪華なんです。自転車キンクリーツカンパニーのDM枠のおかげでチケットが取れました。演劇ファンのことも考えてくださって、本当にありがたいです。

 高知は土佐の漁師たちのお話。暑っ苦しい(笑)男ばかりの中にか弱い主人公が一人。笑って泣ける、一幕ものの良いお芝居した。上演時間は約2時間15分(休憩なし)。

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 ≪あらすじ≫
 時代はダイアナ妃(Wikipedia)が死んだ年(1997年)。舞台は土佐の港に併設されたBAR Marina。9ヶ月のカツオ漁から帰ってきた進海丸の乗組員たちが、階下で宴会をしている。Marinaでアルバイトをしているサトル(三宅健)は、この漁の間に病院で亡くなった進海丸の伝説の船頭・清四郎の次男だ。長男のヒロシ(伊崎充則)は父親と共に船に乗っていたが、サトルは父親の稼ぎで遊び暮らしてきたのだ。
 Marinaに上がってきた船首の息子(大石継太)にサトルは言う。「俺は進海丸に乗りたいんだ。船頭(阿南健治)に口をきいてくれないか」。
 ≪ここまで≫

 2時間強みっちりの一幕ものの会話劇で、登場人物は男ばかり。しかもかなり熱いタイプの(笑)。場面転換も照明の変化もほぼない状態でしたが、何かと躍動感のある見せ場が作られていました。演技も緩急がしっかりあってワンパターンにならず、手堅い演出だったと思います。

 一般社会とはかけ離れた独特のルールがあり、厳しい上下関係と力がものを言う海の男たちの世界で、10人それぞれの個性・生き方がきちんと書かれた脚本だったと思います。特に父と息子の関係については、観ていてじーんと来る男性も多いのではないでしょうか。※いつもより男性が多い客席だった気がします。

 ここからネタバレします。

 サトルがなぜ進海丸に乗りたいのか、その本当の理由が最後の最後にわかります。「父も死んで、自分もいい大人の年齢だ。いつまでも遊んで入られない」→「実は借金を抱えていた。漁師になるぐらいしか大きく儲けることはできない」→「借金は父が死ぬ前に完済してくれた。本当は昔から父のような漁師になりたかった。でも父は兄にしか声をかけなかった。自分からはどうしても言えなかった。でも、父はもう居ない・・・」という風に、徐々にサトルの本心が表れてくるのです。うまい脚本だな~と思いつつも、着々と段階を踏んでいくあざとさも感じたり・・・細かいことなんですけどね。大感動というところまではいかなかったです。

 役者さんではサトルの兄(伊崎充則)、千葉から来た舵取り(大鷹明良)、船首の息子(大石継太)が良かったです。特に私は大石さんのセリフにグっと来ました。お腹を触る癖まで作ってらっしゃいましたよね。
 サトルのライバル(山崎裕太)も気の利いたリアクションでリズムを生んでくださいました。船頭(阿南健治)は後半の乱暴なところで本領発揮という感じ。船首(菅野菜保之)にはホンッとに驚かされました。「んちゃ!」「バイちゃ!キーン!」とか(笑)。三宅健さん、かなり叩かれてましたね(笑)。優しそうな人だなーと思いました。

 違う船の若者二人(小椋毅&西條義将)が魅せてくれましたね~っ。なんと客席から何度も拍手が沸き起こりました。私も思わず手を叩いちゃった!だって、逃げればいいのにケンカを止めるところなんて・・・あれは見事!

 “お約束”の「兄弟船」(←音が鳴ります)のカラオケが鳴るタイミングはちょっと・・・いただけなかったですね、。少し前から他の歌が聞こえてきて、たまたま話題に出たときに「兄弟船」がかかって・・・という感じだったら、まだ受け入れられたと思うのですが。

 カーテンコールになるやいなや、なんとスタンディング・オベーション。うーん・・・さすがに私は立てませんでした。でも、舞台上で本当に熱くなってくれた出演者の方々には感謝感謝です。

≪東京、大阪≫
出演=三宅健/山崎裕太/伊崎充則/大石継太/大鷹明良/西條義将/小椋毅/菅野菜保之/天宮良/阿南健治
作=蓬莱竜太(モダンスイマーズ) 演出=鈴木裕美 舞台美術=川口夏江 照明=中川隆一 音響=城戸智行 衣裳=宮本宣子 ヘアメイク=河村陽子 演出助手=島崎文 舞台監督=伊達一成
5/14(日)一般前売り開始 S¥8,500 A¥7,500 B¥5,500(税込・全席指定)
フジテレビ内=http://www.fujitv.co.jp/events/stage/st060619shinkai.html

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Posted by shinobu at 2006年06月26日 23:57 | TrackBack (0)