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REVIEW

2006年06月28日

TOKYOSCAPE『第2回東京ワークショップ成果発表』06/27森下スタジオ

 第2回TOKYOSCAPE東京ワークショップの成果発表会です。入場料500円で上演時間はなんと約2時間30分でした。
 ⇒紹介記事 ⇒第1回のレポート
 ひとつの戯曲(鈴江俊郎・作『髪をかきあげる』)を元にした6種類の短編が観られるのは本当に面白いです。

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 ★内藤達也クラス(bird's-eye view
 ダンボールやカップ麺のゴミ、目覚まし時計などが散らばるステージ。最初のカップルが積み木をぶちまけて、さらに歩く場所もない状態。
 男女一組ずつがほぼ順番にステージに出てきて会話をするのですが、たぶん戯曲からではなく創作したセリフのようです。見どころ(危険?)なのは、二人とも黒いアイマスクをしているので目が見えていないこと。足元がおぼつかないのに手探りでお互いを探しあったり、ダンボールを放り投げたり。客席もハラハラです。※全部のカップルがアイマスクをしていたわけではありません。
 そういうハプニングを楽しみ、役者単体としても魅力を発揮し、さらに対話を成立させて作品全体にも貢献する・・・というのは至難の業ですよね。あともう一歩踏み込んだものが観たかったです。


 ★長谷基弘クラス(劇団桃唄309)
 第1回と同様、ワークショップ期間はじっくりと戯曲解釈をされたそうです。2間×2間の舞台で『髪をかきあげる』を上演。子供を亡くした夫婦がほたるを探して散歩しているシーンが多かったですね。前回の『knob』は全体を見事に濃縮還元されたと思いましたが、今回は断片のつながり・・・だったのかな。役者さんの静かで落ち着いた存在感に安心できました。


 ★詩森ろばクラス(風琴工房)
 8組のカップル(男女&男男)が子供を亡くした夫婦の短い対話を順番に演じます。やっぱり風琴工房の所属役者さん(松岡洋子/宮嶋美子/山ノ井史)が目立ってしまうんだな~。まあ仕方ないですが。
 松岡さんと男性のカップルと山ノ井さんと男性のカップルが、同じセリフなのに全然違う会話になっていたのが面白かったですね。山ノ井さんの相手役の男性がものすごくキュートで、上目遣いな女の子っぽさが成宮寛貴さんみたいでした。もちろん山ノ井さんもすっごく可愛かったですけど。


 ★明神慈クラス(ポかリン記憶舎)
 人間の発語が“声”になる前のため息やあえぎ声、舞台に立つということの前段階・・・を土台に創作された、のでしょうか(明神さんの前説はそのようなことだったと記憶します)。作品としてダントツに面白かったです。
 出演者全員が黒および黒に準じた色のスーツ姿で、シーンの合間にナースが2人登場します。セリフはほぼなし。動きはパントマイムに近いような。テーマは求愛行動、かな。爆笑&うっとり&しっとりできて、すっかり発表会であることも忘れて見入ってしまいました。
 あと、懐中電灯を首からぶら下げていた女性2人は・・・なぜナースなんだっ?!ナースである必然性ゼロですよね?ナースぼたる??無駄にエッチで私のツボ(爆笑)!!


 ★山田裕幸クラス(ユニークポイント)
 『髪をかきあげる』が書かれたのが、阪神淡路大震災があった1995年だったことなどをモチーフに、創作されたそうです。出演者が震災の時に何をしていたのかを実名・実年齢込みで話したりしました。本人と戯曲とをつなぐってことだったのかな。劇団の姿勢がうかがえますよね。
 その他は戯曲の中から抜き出してきたセリフを、わざと会話にならないやりとりとして話したり。うーん・・・とってつけた感じがしちゃって苦しかったです。


 ★夏井孝裕クラス(reset-N)
 作品づくりにあまり時間が取れなかったとの前説あり。集まった生徒が面白すぎたそうです。
 鈴江戯曲は静かな演劇だととらえられがちだけれど、本当は「もっと吠えたい」と思って書かれているのではないかと解釈し、“喧騒の中で叫んでいる”状態をイメージして創作した、とのこと(うろ覚えです)。
 前回同様、役者さんが舞台に立つ、その在りかたが問われた時間だったように思います。セリフを発する直前、話している間、そして話し終わった瞬間と余韻。この一連の演技で役者さんの状態が完全にバレちゃうんですよね。そこに、本当に、居るかどうか。やっぱり「役者の品評会」になっていました。なので、目立つ人もちらほらと見つけられました。


 《全体の感想》
 ひとつの戯曲を6種類の演出で、というのがこの成果発表会の最大の魅力であり、アイデンティティだと思います。
 参加人数は延べ55名だったそうです。紹介記事にも書きましたが、このワークショップは複数クラス受けた方がお得です。世界が広がります。

 《心に残った役者さん》
 残念ながらステキだな~と思ったり心に残った出演者は、講師のカンパニーに所属している役者さんばかりでした。仕方ないというよりは、そうなるべくしてなった結果ですよね。

公式=http://www.tokyoscape.org/
東京ワークショップ=http://www.tokyoscape.org/products/tokyows2/

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Posted by shinobu at 2006年06月28日 00:56 | TrackBack (0)