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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2006年06月29日

シス・カンパニー『ヴァージニア・ウルフなんかこわくない?』06/16-30シアターコクーン

 アメリカの劇作家エドワード・オルビーの戯曲(Amazon)を、ケラリーノ・サンドロヴィッチさんが演出されます(翻訳戯曲の演出は初めてだとか)。キャストが大竹しのぶさん、稲垣吾郎さん、ともさかりえさん、段田安則さんという豪華な四人芝居。千秋楽前日にやっと伺えました。
 オールビー作品の過去レビュー⇒

 上演時間は約2時間50分(途中15分&10分の休憩を含む)。全く退屈せず、長さも苦にならず、気軽に楽しめました。
 しっかし最後の最後のすっごく良いシーンで、携帯の着信音が・・・・・(涙)。鳴らしちゃった人、つらかったでしょうねぇ。これからは気をつけていただきたいです。

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 ≪あらすじ≫ 公式サイトより。
 結婚23年目を迎えた大学教授夫妻ジョージとマーサ(段田&大竹)。
 結婚生活の惰性と幻滅の毎日の中で、二人はある刺激を求めていた。
 ある夜、マーサの父である学長主催のパーティから泥酔気味で帰宅した二人は、パーティで知り合ったばかりの新任の助教授夫妻ニックとハネー(稲垣&ともさか)を自宅に招き入れる。
 この初対面同然の若いゲストの面前で、ジョージとマーサはお互いの不満を爆発させ、激しく罵りあい、その露悪的な振る舞いはエスカレート。
 やがて、その矛先は若夫婦にも向けられ、否応なくこの狂気のゲームに巻き込まれていく。
 眠りを忘れた長い夜に繰り広げられる壮絶な戦い。果たして、彼らに夜明けは訪れるのか?!
 ≪ここまで≫

 インテリ同士が本気の罵詈雑言を飛び交わさせる修羅場つづきの会話劇で、セレブなムードがちょいと鼻につく(のがまた楽しい)というのが、この作品を最初に観た時の印象でした。でも今作は全然違いましたね。少しはエリートかもしれないけど、男2人は普通のサラリーマンのようでしたし、奥様2人にしても今どきの活動的な働く女性の姿と重なりました。そんな現代的な大人の男女4人が、プロのサービス精神をもってしたたかに演技を繰り出す、一種のショウを観ている気分でした。

 ここからネタバレします。

 四方を客席に囲まれた舞台には、下着やゴミなどが散乱した居間。荒れた夫婦生活が見て取れます。
 平たいステージは中央部分が回り舞台になっていて、お話が進行している最中にときどき回り、見える角度が変わっていきます。これは観客にとっても親切だと思いましたし、良い刺激にもなりました。

 照明と音響が良かったですね~。役者の演技だけで魅せてくれるストレートプレイも大好きですけど、それ以外の面で見せ場があると、さらにウキウキします。
 第三幕では、オープニングから青い明かりがステージを部分的に照らしており、二幕までのシンプルな照明使いとの差が歴然でした。真上からステージの床に動画を映したのも、ケラさんらしい演出でした。血がしたたるのと黒い点が広がるとの2種類だったかしら。思わず乗り出して見ちゃいましたね。
 音については、時々マイクで声をひろったり、チャイムの音が大きく響いたり、きれいなはずのメロディーがどんどん不協和音に混ざっていったり・・・え?と疑問に思ったり、ハッ!と驚かされたりして、すごく楽しかったです。

 ジョージとマーサは明日21歳になる息子・ジムの話をするのですが、それは子供が欲しかったのにできなかった二人の作り話でした。セリフや演技がわかりやすくて助かりました(初めて観た時は意味がわからなかったのです)。でも最後の最後に行き着いたのがそこだったのには、少々物足りなさも感じました。孤独や悲しみに落ち着かずに、もっともやもやした苛立ちやムカつき等も残っていて欲しいなと、個人的には思いました。

 大竹しのぶさん。余裕もひしひしと感じられる貫禄。私が大竹さんの作品を観すぎてるのかもしれませんが、いつもの大竹さんだな~と眺めて終わった感じでした。不満があるわけじゃないんですが、ただ、もっともっと意外な一面も見たいな~って思っちゃうのです。わがままなのですが。
 段田安則さん。どっしりと安定していて手堅い印象。稲垣さんとのやりとりがスリリングでした。
 稲垣吾郎さん。とぼけた返しが自然できれい!品があるし、背格好もセクシーでした。かなり好きになっちゃったです♪
 ともさかりえさん。イケてないメガネ・ギャル姿が可愛かったです。色々はじけて緊張したムードの緩和剤になったり、またその逆にもなったり。でも、ちょっと作りすぎかな~とも思いました。

"Who's afraid of Virginia Woolf?" by Edward Albee
出演=大竹しのぶ/稲垣吾郎/ともさかりえ/段田安則
演出=ケラリーノ・サンドロヴィッチ 翻訳=徐賀世子 美術=金井勇一郎 照明=小川幾雄 衣装=前田文子 音響=水越佳一 美粧=柘植伊佐夫 演出助手=坂本聖子 舞台監督=瀧原寿子 プロデューサー=北村明子 提携=Bunkamura 企画・製作=シス・カンパ二―
公式=http://www.siscompany.com/03produce/14virginia/

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Posted by shinobu at 2006年06月29日 23:57 | TrackBack (0)