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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2006年07月13日

シベリア少女鉄道『残酷な神が支配する』07/06-15吉祥寺シアター

 土屋亮一さんが作・演出されるシベリア少女鉄道(略してシベ小)。吉祥寺シアターの左右のロフト席まで満員でした。当日券あり。※シベ少作品の過去のレビューはこちらからご覧ください。

 今回も大仕掛けにあっけに取られて、笑わせていただきました。吉祥寺シアター公演後には初の大阪公演が控えています。関西の方、ぜひぜひ「語り継ぐべき意味をまるで持たない舞台」をご堪能くださいませ(笑)。前知識ゼロでご覧になることをお薦めします。

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 ★★★ここからネタバレします★★★

 登場人物は山内(藤原幹雄)、誘拐された山内の妹(出来恵美)、刑事の桜井(前畑陽平)、同じく刑事の草壁(横溝茂雄)、桜井と草壁の上司・原田(吉田友則)、桜井の学生時代からの友人で、事件が起こった大学のセキュリティー管理をしている瀬名(篠塚茜)、そして山内を操ってる誘拐犯・江藤(加藤雅人)。

 装置が回り舞台になっており、大学内の古びた部室、セキュリティー管理室、カフェの3箇所がぐるぐる回転して転換します。狂言誘拐の犯人探しをものすごく緻密な会話劇として作り上げておきながら、その世界を終盤でぶち壊しちゃいます。

 回り舞台は全面的に観客の想像力に頼る演出方法です。冷静に考えたら回り舞台ってけっこうばかばかしいんですよね(笑)。だって裏側で人が手動で回してるし、不連続な空間だと思わせている部屋同士は、本当は隣り合わせなんですもの。今回はその回り舞台の嘘を利用したオチでした。

 瀬名「あの短い時間内に、江藤が妹さんを部室のロッカーに入れることができたのは・・・江藤が居たカフェの“隣り”が部室だったからよっ!!」(セリフは正確ではないです)

 役者さんが止まらずに回り続ける3つの部屋をどんどこ横断しながら、それまでの世界を踏襲したセリフを話します。舞台上で起こっていることと、話している内容とのズレが可笑しいです。いつもながらよく計算された脚本だなあ~と感心します。
 私が一番笑ったのは、山内が回り舞台の一歩外に出てしまい「(人生を)踏み外してしまった」と言って立ち止まったところ。回転する舞台の上で必死で歩いて中央に居つづける人たちと、立ち止まっているのに中央に居られる山内とが重なり、お互いに腑に落ちない顔をして見つめ合うのに爆笑しました。
 ただ、セリフが聴こえないことが多くて、笑う機会を何度も逸してしまったのはすっごく残念。

 舞台下手の壁に映写されたアントニオ猪木さんの映像の意味は、私にはよくわかりませんでした。あれは年末のカウントダウンイベントで、猪木さんが観客の顔を一人ずつ殴って「気合を入れ」ている様子だそうです。殴る動作と舞台が動く瞬間が一致して、まるで猪木さんが舞台を回しているように見えることもありました。猪木さんがしゃべる言葉の意味と舞台で起こっていることが重なる面白さもありましたね。それでいいのかな。

≪東京、大阪≫
出演=前畑陽平/篠塚茜/藤原幹雄/吉田友則/横溝茂雄/出来恵美/加藤雅人(ラブリーヨーヨー)
作・演出=土屋亮一 舞台監督=谷澤拓巳+至福団 音響=中村嘉宏(atSound) 照明=伊藤孝(ART CORE design) 映像=冨田中理(Selfimage Produkts) 美術=秋山光洋 衣裳=坂倉香子 小道具=畠山直子(TEXAS) 大道具=C-COM舞台装置 宣伝美術=チラシックス 制作=保坂綾子・安元千恵 製作=高田雅士 企画=シベリア少女鉄道・吉祥寺シアター 助成=財団法人 地域創造 制作協力=サンライズプロモーション大阪 主催/シベリア少女鉄道・精華小劇場活用実行委員会・精華演劇祭実行委員会・ニッポン放送 製作=シベリア少女鉄道
6月3日(土)一般前売開始 前売3,200円 当日3,500円(全席指定) ★若者割引★(25歳以下限定):2,500円
公式=http://www.siberia.jp/

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Posted by shinobu at 2006年07月13日 12:12 | TrackBack (1)