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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2006年07月26日

流山児★事務所『無頼漢 BU-RAI-KAN』07/12-30ベニサン・ピット

 寺山修司さんの映画シナリオをもとに佃典彦さんが脚本を書かれて、流山児祥さんが演出(出演も)されています。佃さんは第50回岸田國士戯曲賞を受賞されたばかりですよね。

 「下総源太朗さんファンなら見逃すべからず」というクチコミもあって伺ったのですが、ほんっとに、ちょ~~~~かっこ良かった!!!
 終盤の30分間(上演時間は約2時間)はガンガンに盛り上あがって涙が出そうになりました!ベニサンピットという小さな空間で観られるのも贅沢だと思います♪

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 レビューを最後までアップしました(2006/08/14)。

 本多劇場(キャパ約400席)で8日間10日間よりも、ベニサン・ピット(キャパ約100~200席?)で19日間という方が、観客にとっては贅沢なことです。fringeの提言にもありますが、こういうベテラン劇団が敢えて小さな劇場でのロングランをしてくださるおかげで、フリンジ(小劇場)ならではの醍醐味、楽しさを観客が味わえるのです。
 以下、fringe「ロングラン定着で小劇場演劇から〈負の連鎖〉を断ち切れ!」より部分抜粋。

小劇場という概念は、客席のキャパシティで語られるのではなく、そのスタイルで語られるべきだ。すでに中劇場進出を果たしている著名カンパニーでも、作品によっては敢えて小劇場ロングランをしていただきたい。それが本当の贅沢だし、小劇場はそういう空間であってほしい。
 塩野谷正幸さん、下総源太朗さんら、渋めの社会派大作にも出演される実力派俳優さんが、至近距離でチャンチャンバラバラ、踊って歌って、見得切っての大サービスです。も~~~、かっこ良すぎ!!
 能楽師で観世流シテ方の観世榮夫さんが、演出の流山児祥さんとのダブルキャストで出演されています。私が拝見したのは流山児バージョンでした。観世さんがあの役を・・・と思うとちょっと笑っちゃう(笑)。

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより。(役者名を追加)
 犯罪長屋に狂い咲く 悪の花形六人衆 極彩色で描く「傾き者」たちの情念の世界 時は現在(いま)・・・処はオエドという名のアジアの片隅。ここは文化文芸、色事賭事、映画演劇、舞踏見世物、花火に祭り、どらっぐせっくすろっくんろーる・・・21世紀のハーレムとして観光業で生き延びてきたまるで日光江戸村のような小国である。長引く不況と官僚汚職が蔓延するオエドは貧富格差が広がり、あちこちでデモや内紛が巻き起こっている。 そして今ここに、理想をもった一人の政治家がオエドの実権を握った。<改革>を声高に叫び、<小さな政府>を目指して治安及び軍拡に走る・・・まるでどこかの首相のような政治家だ。オエドはありとあらゆる楽しみが禁じられ、国民おしなべて勤勉画一、憲法改正して兵役教育を施す。映画館、芝居小屋、ストリップ劇場、カジノ、パチスロ、ゲーセン、Hサイト、AV産業、高級料理店・・・次々と潰されていく。 そんな中、狂喜乱舞の花のオエドを取り戻すべく権力に立ち向かうアウトサイダー、ソウシュン(下総源太朗)とナオジ(池下重大)。真っ向勝負の大チャンバラ!ひと癖もふた癖もある悪党達の百鬼夜行の下克上である!
 ≪ここまで≫

 ちょっぴりネタバレします。でも読んでから観に行かれても問題はないと思います。

 舞台はオエド、つまり江戸時代の風俗が全体の背景になっています。でも妖怪人間ベロや暗黒舞踏の踊り手が登場したり、劇団○○や有名演出家N氏をおちゃめに風刺したり、現代の要素がどんどこ盛り込まれて、今と昔の日本が混ざった状態です。
 映画シナリオも読んだことがないし、もちろん今作の脚本も読んだことがないので想像にすぎないのですが、脚本がとても良くできているんじゃないかと思います。時代劇でよく聞く難しい日本語と江戸のべらんめえ言葉、そして現代口語がいい感じに混ざっていて、物語の最初と最後がしっかりシンクロする構成です。『無頼漢』というタイトルどおり、ならず者・ごろつきが男っぷりを存分に発揮し、最後はとにかくカッコいい!!スカっとします。

 アングラが苦手な私ですが、うつむいたりすることなく(笑)2時間きっちり観られました。役者さんの体の露出は多い目ですが、それはそれとして受け入れられる堂々とした明るさがありました。

 出演者の数を数えてみたら、なんと33名。多っ(笑)!大人数だからこそ出来る演出を楽しめたのはありがたかったですが、演技の技術の格差は気になりました。メインの役者さんが本当に演技が上手い方ばかりなのでね・・・。同じことをしてもこれほど違うのか、と愕然とします。そういうことも含めたカオスであることが演出意図なのかもしれませんが。

 ここからネタバレします。2006/08/14にアップしました。

 映像を舞台の壁全面に映し出します。花火が良いです。白黒の春絵にぴったり色が重なるのが渋い。あと、宗俊と葬旬(下総源太朗の二役)のほくろがどんどこと映し出されるのもかっこ良かった。

 「その時」というセリフきっかけで、大人数の出演者が一斉に舞台袖などから体を乗り出し、「目ぇを覚ませ~♪」と声をそろえて歌います。照明が白く明るく光って客席の方も照らし、物語の世界からすっかり外に出てしまいます。たしか6回あったんじゃないかしら?最初の2~3回はちょっと引いちゃったんですが、5、6回目は快感!

 ケレン味に富んだセリフまわしで、かっこ良さばかりに気を取られがちでしたが、意味的に深く味わえるセリフも沢山ありました。
 松江(さとうこうじ)「権力は倒れない。それは交替するだけだ。」(セリフは正確ではありません)

 下総源太朗さん。クチコミどおり、悩殺されました・・・。色んな舞台で下総さんを拝見してきましたが(レビュー⇒)、ここまで見とれたのは初めて!
 塩野谷正幸さん。ちょーかっこえー!!殺陣が渋い!
 深山洋貴さん(Studio Life)。女の姿が板についています。さすがです。
 池下重大さん(劇団桟敷童子)。やっぱりステキ~。おもいっきりキザな振りも、何でもかんでもほんと上手いです。

寺山修司作品連続上演企画Vol.1「テラヤマ★歌舞伎 無頼漢」寺山修司映画シナリオより
出演=塩野谷正幸/伊藤弘子/青木砂織/木内尚/横須賀智美/上田和弘/甲津拓平/小林七緒/里美和彦/阿川竜一/冨澤力/柏倉太郎/平野直美/木暮拓矢/坂本アツシ(阪本篤篤改め) /流山児祥(観世榮夫と交互出演) /下総源太朗/さとうこうじ/深山洋貴(Studio Life)/池下重大(劇団桟敷童子)/奈佐健臣(快飛行家スミス)/沖田乱/大谷真一/稲増文/眞藤ヒロシ/立原麻衣/悪源太義平/観世榮夫(特別出演)/李周源/藤村一成/武田智弘/石井澄/北山佳奈/笠原祥子
原作=寺山修司 脚本=佃典彦(第50回岸田國士戯曲賞受賞) 音楽=宇崎竜童 映像=天野天街 演出=流山児祥 美術=水谷雄司 照明=金英秀 音響=藤田赤目 舞台監督=杣谷昌洋  振付=北村真実 殺陣=岡本隆 衣裳=鈴木真紀子 演出助手=畝部七歩  宣伝美術=アマノテンガイ 制作=米山恭子 製作=流山児★事務所 主催=(社)日本劇団協議会
全席指定 前売:4,200円 当日:4,700円 学生割引:2,500円 ☆プレビュー 公演 :2,500円
公式=http://www.ryuzanji.com/
公演公式=http://ryuzanji.okoshi-yasu.com/ (音が鳴ります)

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Posted by shinobu at 2006年07月26日 01:31 | TrackBack (0)