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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2006年07月30日

プレタポルテ『ドアを開けると・・・』07/28-08/06シアターVアカサカ

 アラン・エイクボーンのスリラー・コメディーを板垣恭一さんが演出。大人の役者さんが勢ぞろいのプロデュース公演です。
 岡本麻弥さんが可愛かった~っ♪スタイル抜群で、元気はつらつ!舞台の『サクラ大戦』に出演されているんですね。
 イープラスの得チケで3500円!(チケット代に加えて手配+システム利用料300円がかかります)

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 レビューをアップしました(2006/08/02)。

 ≪あらすじ≫ チラシより。(役者名)を追加。改行を変更。
 近未来のロンドン。高級ホテルの一室に呼ばれたコールガールのSM嬢プーぺイ(岡本麻弥)は、客の老実業家リース(朝倉伸二)からとんでもないことを頼まれる。「自分は友人のジュリアン(水下きよし)に最初の妻と二番目の妻を殺させた。死ぬ前にせめてそのことを懺悔したい。告白書に立会人として署名し、弁護士にとどけてほしい」というのだ。それを知ったジュリアンは、口をふさぐためにプーペイを追う。逃げ込んだ小部屋にあったもうひとつのドアをあけたプーペイが目にしたのは、20年前の同じホテルの同じ部屋。そこにはリースの二番目の妻ルーエラ(円城寺あや)がいた。
 40年の時空を超えて出会った三人の女たちが、ジュリアンの魔の手から逃れるため力をあわせる。はたして彼女たちは自らの運命を変えることが出来るのか?
 ≪ここまで≫

 なんとタイムスリップものだったんですね~。前知識ゼロで伺ったので状況を理解するまでに少し時間がかかりました。でもわくわくできてかえって良かったかも。
 時を越えて同じ場所で出会っていく三人の女の共通点は、ジュリアンという男に殺された(殺されようとしている)ことです。三人一緒にジュリアンに立ち向かっていくという設定は面白いですね。

 アラン・エイクボーン作品は『恋の三重奏』『パパに乾杯!』『コミック・ポテンシャル』等を拝見しています。げらげら笑えるシチュエーション・コメディという印象だったのですが、今作はちょっと怖い目でしたね。特に最初のシーンなんて設定が内戦下のロンドンなんです。銃声が鳴り響く中、きわどい衣裳のSM嬢といかにも悪者っぽい老人が殺人云々の会話をし、黒スーツの冷徹な男がSM嬢を脅し・・・「これ、本当にエイクボーンなの?」と、ちょっぴり戸惑いましたね(笑)。でもプーペイが20年前に移動してからは軽快なやりとりも増え、むやみに元気はつらつなホテルマン(郷本直也)のおバカなリアクション等に笑わせていただきました。

 翻訳ものならではの少々お高くとまったムードを取っ払い、可能な限りわかりやすく作って、場面進行を追いかけやすくしているようでした。私にはちょっと物足りなかったかな~。でも終演後にリピーターズチケットを買われている方は多くいらっしゃいました。

 ここからネタバレします。

 1986年(ジェシカ)、2006年(ルーエラ)、2026年(プーぺイ)の3つの時代を行き来します。娼婦のプーペイと二番目の妻ルーエラは協力してジュリアンを退治し、仲の良い友人同士になりました。事が済んでプーぺイが2006年を去った後、ルーエラは少女時代のプーペイを孤児院に引き取りに行き、養子として育てます。すると2026年に再び戻ってきたプーぺイは、SM嬢ではなく結婚して子供もいる女性になっていました。
 ルーエラが一番目の妻ジェシカを救うために「19○○年まで決して開けないで」と書いた手紙を残したり、よぼよぼのおじいさんだったリースが渋い老紳士に変身したり。映画『バック・トゥ・ザ・フューチー(パートⅠ)』に似てますね。娘と父親という関係になっていたプーペイとリースが、2025年に死んでしまったルーエラのことを話すシーンで、ほろりと来ちゃいました。

 2026年のロンドンが戦禍にあるという設定は・・・残念ながら反発なく受け入れることができてしまいました。最近そういうお芝居が多いです。下記、演出の板垣さんがパンフレットに書かれていることの部分抜粋です。

 ただし劇作家と自分の名誉のためにつけ加えると、
 この劇作家はハッピーエンドを書くのが目的なのではないと思う。
 ラストシーンで、リースが内戦が続くロンドンの街を眺めながら言う台詞
 「少なくとも全員がまだ話し合いを続けている。それが大切なんだ」という部分を読んでそう思った。
 物語は確かにハッピーエンドだが、その外では依然人々のぶつかり合いが続いている。
 解決は困難かもしれないけど、話し合う余地はまだ少し残されている。
 人間に対しての希望とも絶望とも取れるこの台詞がボクは好きだ。この劇作家は人間に期待している。
 ただし一歩間違えるとその期待が原因で血が流れることも知っている。
 だからボクにとってこのハッピーエンドは重い。
 それがこの戯曲を上演台本として選んだ理由のひとつでもある。

出演=円城寺あや/森若香織/岡本麻弥/水下きよし/朝倉伸二/郷本直也
作=Alan Ayckbourn(アラン・エイクボーン) 訳=出戸一幸  演出=板垣恭一 美術=尼川ゆら 照明=正村さなみ(RISE) 音響効果=末谷あずさ(OFFICE my on) 舞台監督=筒井昭善 衣裳=名村多美子 音楽=小林章太郎 演出助手=斎藤栄作 稽古場助手=井村容子 制作助手=こばちえ((有)コマンドエヌ) 大道具製作=(有)イトウ舞台工房 写真・宣伝美術=垣内敏秀((有)コマンドエヌ) 制作=橋本香苗 プロデューサー=赤沼かがみ 企画・製作=プレタポルテ
前売開始:6月24日(土) 前売4,500円 当日4,800円 ※オープニングナイトプライス(7/28)のみ前売3,500円 当日3,800円 リピーターズチケットあり。※小学生未満のお子様のご入場はご遠慮ください。
公式=http://www.pret-a-porter.jp/index.html

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Posted by shinobu at 2006年07月30日 22:16 | TrackBack (0)