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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2006年08月05日

ひょっとこ乱舞『水』07/27-30ザ・ポケット

 チョウソンハさんをはじめ、力のある役者さんが揃っているひょっとこ乱舞。主宰・作・演出の広田淳一さんは若手演出家コンクール2004で最優秀賞を受賞されています。過去作品のレビューはこちら
 演出も脚本も部分を見ればとても魅力的なのですが、いかんせん長すぎました。1時間15~30分にまとまっていたら、全く違う印象になったのではないかと思います。

 レビュー⇒踊る芝居好きのダメ人間日記ほぼ観劇日記

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 公演が終了していますので、ここからネタバレします。

 シンプルな抽象舞台。基本イメージは黒。腰から頭までがちょうど隠れるぐらいの幅の長細い板が、舞台奥に横長に設置されています。役者はその板の下をくぐって入退場し、板の後ろで出番を待っている間は、足元だけがうっすらと見える状態です。
 黒を基調にした衣装を着た役者さんが、ものすごく長いセリフを堂々と話します。ほとんどが独白と二人の対話で構成されており、言葉による説明とパントマイム的な動きで物語が形作られていきます。音楽も少ないし、照明もそれほど奇抜な変化はしません。

 オープニングの「ハッピーエンドって何?」と問いかけるシーンを見て小鳥クロックワーク『わが町』に似てるな~と思い、口語で客席にゆるゆる話しかけるのを見てチェルフィッチュに似てるな~と思い、同じセリフを繰り返し叫ぶのを聞いて第三舞台に似てるな~と思いました。一緒に観ていた方は「昔の(早稲田時代の)双数姉妹に似てる」とおっしゃっていました。そういえばヒバリ(草野たかこ)の立ち姿を見て、カムカムミニキーナ『真昼の大回転』の明星真由美さんを思い出しました。役の配置が似てるんですよね。

 私は新規性、独自性が劇団の存在価値を決めるとは全く思っていません。でも、ここまで既存の演劇手法と被っているように感じる瞬間が多いのは、損だよな~と思います。ただ、私が以前に拝見した時よりは、作品全体のまとまりがあるように感じました。劇団の作風を模索し、一つの世界観を生み出そうとしている過渡期なのかもしれません。そういう視点で考えると、役者さんの技量も演出も、これからぐんぐんレベル・アップして面白くなる可能性が高い劇団だと思います。

 お話は二組のカップルを軸に展開していく悲劇でした。犯罪を犯して金をもらう職業、ロープウェイで移動しながら、もみがらでゲロを洗う職業、死にそうな人に死ぬことを告知する職業、水を飲みすぎると湖になってしまう奇病、お笑い芸人兼業大臣など、現実にはないものがいっぱい登場します。ありえない設定の中からドラマが生み出されるのがとても面白いと思いました。
 また、マイクロフォンの中から飛び出してお笑い芸人をたまごの殻の中に閉じ込めるなどという、アニメーションじゃないと表現できないんじゃないの?と思うようなシーンが、お芝居でも成立していたのも良かったです。

 そういった部分々々を見れば面白いんですけど・・・長いんですよね。省けるところがいっぱいあったんじゃないかな。
 湖になってしまった妻(酒井彩子)を追って、夫(チョウソンハ)がバルコニーから飛び降りるクライマックスは、何もかもが集約されてもっと感動的なシーンになるはずじゃないかしら。前置きが長すぎたせいじゃないかと思います。

 特に良いなーと思った役者さんはチョウソンハさんと伊東沙保さん。先にも書きましたとおり、他の役者さんのレベルも高い目だったと思います。

出演=チョウソンハ/伊東沙保/橋本仁/酒井彩子/高橋恵/草野たかこ/西光カイ/笠井里美/泉光典/松下仁/中村早香/遠藤径至 ※広田淳一は都合により交番。代役は遠藤径至。
作・演出=広田淳一 舞台監督=竹内磯六 舞台=高岸れおな 池谷聡史 窪田千恵 志波裕樹 森貴裕(猫ノ手) 音響=鏑木知宏( SoundGimmick ) 照明=三浦あさ子(賽【sai】) 衣装=林莉江 荒井晴香 ヘアメイク=増田加奈 写真=大倉英揮 宣伝美術=山代政一 内藤真代 Web=うさぎ事務所 演出助手=遠藤径至 制作=ツカネアヤ 砂田麻里子 清水建志 田中沙織 加茂みかん 金子優子
[前売]一般:2500円 学生:2000円 ペア:4600円 ☆平日昼間:2300円 [当日]2800円 全席自由(整理番号あり)
公式=http://hyottoko.sub.jp/index2.html

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Posted by shinobu at 2006年08月05日 19:19 | TrackBack (0)