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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2006年09月01日

青年団リンク・二騎の会『直線』08/31-09/06アトリエ春風舎

 青年団リンク・二騎の会は、青年団演出部に所属する宮森さつきさん(脚本)と、多田淳之介さん(演出)のユニットです。⇒過去作品のレビュー

 TOPページおよびメルマガ8月号9月号でも宣伝中ですが、9/3(日)18:30開演の回終了後のポスト・パフォーマンス・トークに出演し、演出の多田淳之介さんとお話します!多田さんの作・演出作品のレビュー⇒
 まだチケットはあるようですので、ぜひいらしてください♪⇒オンライン予約

 さて、わっくわくの初日を拝見してまいりました。三人芝居を5人の出演者で演じる・・・予想通りのトリッキーな演出でしたが(笑)、初日ということで、まだ手探りをされているように感じました。9/3(日)ソワレが楽しみです。

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 レビューをアップしました(2006/09/07)。

 【関連記事(2006/09/08追加)】
  ⇒二騎の会の紹介
  ⇒初日のレビュー(このエントリーです)
  ⇒2回目のレビュー
  ⇒ポスト・パフォーマンス・トーク

 ≪あらすじ≫
 地下鉄での自爆テロ事件から、模倣犯による爆破事件が断続している東京。富田京子(石橋亜希子)の家の前で、山根(永井秀樹)とあや(村井まどか)が数年ぶりにばったり再会した。ふたりとも何かわけがありそうないでたちだ。
 京子がテロの被害者の合同葬儀から帰ってきて、3人は京子の部屋で共通の友人・佐伯について話し始める。佐伯は1ヶ月前のテロの被害者で、京子は今も佐伯の死のショックから立ち直れていない。テロをおこしたのは一心会(いっしんかい)という宗教団体に所属していた男で、山根の友人だった。
 ≪ここまで≫

 舞台はフローリングの床に白い壁の、こぎれいな部屋。女の子らしい小物がざくざく転がっているのに、生活感はあまりありません。
 公式ページのあらすじを読んで、もっときな臭いもの(爆弾とか戦争とか)を想像していたのですが、いつどこで死ぬかわからないという危機的状況は、あまり重要ではなかったようです。むしろ役者さん5人が代わる代わる紡いでいく奇妙な会話を、それぞれの人物像を探りながら慎重に受け止めていくことに集中した1時間30分でした。私は目の前で起こることの最終的な着地点を待つことで精一杯でしたね。

 脚本を購入してチラっと読んでみたのですが、実際のお芝居と全然印象が違います。こんなに平易な言葉だったっけ?って、驚きました。普通に三人芝居をしても、解釈の違いだけでものすごい種類の展開が作られる、厚みのある脚本だと思いました。また、意外にロマンティックなセリフが多いんですね(サラっと軽く読んだ時の印象です)。これをダサくなく、クサくなく表現するためにはかなりの工夫が必要なんじゃないかしら、と。素人ですがそんな風に思いました。

 ここからネタバレします。

 夫および姑との仲がうまくいっていない(そして山根に心を寄せている)あや、自爆テロをおこした一心会の同志・津田との関係で警察に追われている(そして京子のことが好きな)山根、テロで死んだ佐伯のことを思い続け、自暴自棄な生活をしている京子。8年ぶりに出会った三人の心はすれ違い続けます。

 山根役は永井秀樹さんお一人ですが、あや役は村井まどかさんと松田弘子さん、富田京子役は石橋亜希子さんと天明留理子さんが演じられます。1人を2人で演じる、しかも同一人物なのに同時に舞台上に存在するという、明らかに不条理な世界で三人芝居が描かれます。・・・観客はすごく戸惑いますよ、最初は(苦笑)。

 徐々に慣れてくると、なぜ2人なんだろう、何の意味があるんだろうと、演出意図が知りたくなりました。
 山根「俺だったのかもしれない。(自爆テロは)俺がやってたのかもしれない。」(上演台本より引用)
 この言葉をきっかけに、ボロボローッと涙が流れました。初日を観た限りでは、このシーンで2人1役の効果が最も鮮やかに表れていたように思います。
 “あや”と“京子”はそれぞれ1人の人物ですが、2人で演じることによって、今の日本を生きる不特定な誰かを表す存在だと思えるようになっていました。だから山根のこのセリフで、津田と山根が重なり、同時に舞台上の5人全員がテロ実行犯であるようにも見えてきて、そして「私自身も津田なのかもしれない(自爆テロを起こした張本人かもしれない)」と、強く思い知らされることになったのです。

 山根は津田が持っていた爆弾と全く同じものをポケットにしのばせていました。その爆弾が出てきてからはもー、私、ドキドキで、「爆発したらどーすんのっ!?」と、登場人物以上にナーバスになってました(苦笑)。だから、会話劇を楽しめる精神状態ではなかったですね。爆弾は・・・つらかったな。

 それにしても・・・あの、あやっていう女性、ムカつきましたっ(笑)。「超無神経!もーだまっててよっ!」とか思っちゃったよ。「山根さんは」「山根さんは」って、“山根さん”連呼してウザイしさー、「佐伯さんの話しないで」って京子が怒ってるのに、その後も次々と「佐伯さん」「佐伯さん」って持ち出すしさーも~っ!・・・熱くなっちゃった、すみません(苦笑)。
 そういえば「○○さん」という呼び方がすごくいっぱい出てきて、誰が誰のことなんだかわかりづらかったです。どしゃぶりの野音でいっぱい暴れてたんなら、あだ名で呼び合ったりする仲なんじゃないかと思ってたんですけどね。それほど仲良しじゃなかったのかな。

 あと、これは重大な勘違いだったんですが、私はてっきり、あやと京子は昔から佐伯さんを取り合うライバル同士だったと受け取ったんですが、あやは山根さんが好きなはずなんですよね(あらすじにはそう書いてあります)。だから色々と腑に落ちないセリフ、展開が多かったです。

 ⇒9/3(日)18:30の回のレビューに続く。

★9/3(日)18:30の回のポスト・パフォーマンス・トークに出演いたします。
出演=松田弘子/永井秀樹/天明留理子/石橋亜希子/村井まどか/他
作=宮森さつき(青年団演出部) 演出=多田淳之介(青年団演出部) 照明=岩城保 舞台美術=鈴木健介 宣伝美術=多田淳之介 演出助手=玉邑浩二 制作=二騎の会 総合プロデューサー/平田オリザ 主催=(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場
日時指定・全席自由・整理番号付 予約2,000円 当日2,300円(9月5日15:00の回は平日マチネ割引 予約1,700円 当日2,000円)
公式=http://www.seinendan.org/jpn/infolinks/infolinks060717.html

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Posted by shinobu at 2006年09月01日 13:06 | TrackBack (0)