2006年10月30日
五反田団『さようなら僕の小さな名声』10/27-11/05こまばアゴラ劇場
前田司郎さんが作・演出される五反田団(過去レビュー⇒1、2、3、4、5)。前田さんは小説家としても活躍されています。
今回は前田さんが前田さん役で主人公でした(劇場サイトより)。思う存分笑った~っ(笑)。気軽に楽めた1時間40分でした。
ポストパフォーマンス・トークのある日(10/30〔月〕、10/31〔火〕)は完売のようですが、後半は残席あるそうです。
※追加公演決定!11/5(日)19:00開演
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ある劇団の主宰である前田(前田司郎)のお話。とにかくおっかしくって、色々笑っちゃいました。チラシより↓
主人公の僕が、小さな名声をえてそれをまずしい人々にあげるため旅立ち、いろいろな事をする話です。私小説ならぬ私演劇。みてもあまり得るものはありません。
前売り・当日とも1500円という低価格公演ですから、それなりの舞台装置と衣裳です。だからこそ面白い演出効果もありますし、笑いにもなります。
これからご覧になる方は前田司郎さんの略歴などを頭に入れて行かれると、さらに楽しめるのではないでしょうか(笑)。
ここからネタバレします。
ある劇作家・前田さんが岸田國士戯曲賞を受賞したという設定でした。しかもなぜか2個もらったことになっており(笑)、賞はへなへなの筆文字で「岸田戯曲賞」と書かれている木の板で表現されていました。
演劇関係の雑誌の記者(後藤飛鳥)と前田さんとの会話のかみ合わなさは、私もよく経験することで、ほとんど笑いっぱなしでした。前田さんが真面目に語れば語るほど陳腐になって、笑えるんですよね。「無意識に言葉の光を当てると、それは消えてしまう」ということもよくわかりました。
前田さんは、恵まれない人に余分な(笑)岸田戯曲賞を分けてあげるため、架空の国マターンを訪れます。大蛇に飲み込まれて解けちゃいそうになってる彼女(望月志津子)を家に置いたまま。
リス、鳥、海(波)などを役者さんがほぼ素の状態で安っぽく見せるのも、意図がきっちり反映されているので、また笑えます。
マターンに暮らすマターン人(?)の親子、特に父(小河原康二)と息子(安倍健太郎)の言葉づかいや間(ま)が可笑しかった~。
息子「(演劇をやる人とは)人の前で嘘の話をする人たちだよ。」
マターン人の娘(立蔵葉子)は大蛇とマターン人とのハーフで、世界を飲み込んでしまうという存在でした。最後は何かをはらんでいる彼女のお腹に前田さんが耳を当てて、ひざ枕状態。ほんのり、まったり、いいムード。「もうっ、前田さんったら超カワイイッ!!」って思っちゃって、すごく悔しかったです(笑)。
≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫ 印象に残ったことの覚書です。
出演=(舞台上手から)坊薗初菜/安倍健太郎/宮部純子/中川幸子/立蔵葉子/前田司郎
前田「自分がちょっと有名になったと思った時、凝り固まって真剣に考えようとしてしまう。でもそれはやめたくて、好き勝手に作ることにしました。一回、息継ぎというか、伸びをする気持ちで。」
前田「今回は生きることを描こうかと思った。それは結合して何かを生むとか。」
前田「本来の生殖活動としてのセックスは何かを取り込んで、身体に入れて、生み出しますが、僕たちが今しているセックスは(笑)子供を生むためではないので、それはガムに似てます。ガムは噛み終わったら出して捨てます。」
宮部(リス役)「なぜヘビなんですか?」
前田「ヘビは飲み込んで、出すという、象徴的な存在。飲み込む、取り込む、食べる、ということを表したかった。自分がヘビを好きなのもある。巳年だし。よくヘビの夢を見る。」
宮部(from 京都)「なぜ前田はヘビに飲み込まれたんですか?」
前田「例えば今回は役者さんにお芝居なのか素なのか、半々の演技をしてもらっている。境界をあいまいにしたかったから(マターンなのか自分の部屋なのか/夢なのか現実なのか)。」
前田「誰にもわからないことだと思いますけど、服を着替えるのはヘビの脱皮を意味しています。」
出演=安倍健太郎(青年団)/小河原康二(青年団)/立蔵葉子(青年団)/坊薗初菜(カムカムミニキーナ)/宮部純子/後藤飛鳥/中川幸子/西田麻耶/前田司郎/望月志津子
作・演出=前田司郎 照明=前田司郎 制作=榎戸源胤/塩田友克/尾原綾 主催=五反田団 提携=(有)アゴラ企画/こまばアゴラ劇場
9月27日より予約開始 予約当日とも1500円 全席ほぼ自由席 ※未就学児童の入場は原則として不可
公式=http://www.uranus.dti.ne.jp/~gotannda/
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2006年10月28日
佐藤佐吉演劇祭2006・自己批判ショー『木曜の男』10/27-30王子小劇場
佐藤佐吉演劇祭2006の4公演目は、主宰の栗原崇浩さんが脚本、演出、プロデュース、そして主演もされる自己批判ショー。私は初見です。
お芝居の形式としては生演奏ありのミュージカルですが、パロディーというかコントというか、個別に思い付いたネタを横に並べてみたような状態で、私にはつまらなかったです。一部、観客参加型ですが、観客の盛り上げ方も決して上手ではなかったですし(意図的かもしれませんが)。
もちろん、大きな声を出して拍手して楽しんでいるお客様もいらっしゃいました。
※佐藤佐吉演劇祭2006レビューブログに公式レビュアー3人(私を含む)、公募モニター4人のレビューが上がっています。こまめにチェックして観劇の参考になさってください!
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あらすじはほとんど覚えていません・・・というか、ストーリーは重要ではないですね。歌&演奏付きのネタの羅列です。どうせならストーリーをなくして、短いネタをオムニバスでやってもらっても良かったんじゃないかなー。
コントと呼べるほど一つ一つが効率よくまとまってはいなかったので、いわば、敢えて下手さを売りにした、だらだら&ぐだぐだ系のミュージカルです。たぶん意図的に“ぬるく”作っていらっしゃるのだと思いますが、当然ながら“ぬるさ”にもさじ加減が必要です。栗原さんが演出に徹することが出来れば、洗練されるんじゃないかしら・・・大きなお世話かもしれませんが。
ここからネタバレします。
開演前の説明がとても長いです。拍手とか踊りとか、自己批判ショーの公演ではお馴染みの“お約束”があるからなんですね。栗原崇浩さんが登場して細かく説明してくださるんですが、その世界に入りたい気持ちになれませんでした。開き直ろうと努力はしたんですが、下ネタでドン引き・・・。
栗原さんご自身が、観客全員に参加してもらいたいとは思っていらっしゃらないように感じました。いわばドン引きの状態、観客が少ない状態、というのも売りにしていらっしゃるので。
例えば“悪の牧場ネタ”がとっても面白かったんですが、残念ながら笑えないんですよね。役者さんが本気で道化になってくれていないからだと思います。カーテンコールの歌も「8時だヨ!全員集合」のパロディで、すごくよく出来てるなぁと思ったんですけどね。
数日間だけらしい、うにたもみいちさんが出演されている回でした。これは当たりだと思っていいんですよね(笑)? KISS風の白塗り&お星様メイクで出てこられてびっくりしました。
※開演前に栗原さんが振付の説明をされますが、「右手をこうやって・・・」と言われても、観客から見たら栗原さんが挙げているのは左側の手です。こういう場合は「お客様から見て○側の手を・・・」を言ってくださるとわかりやすいです。
出演=栗原崇浩/小菅節男/山本治/川辺健/大久保宏章/松葉祥子/中川稔朗/紺野秀行/うにたもみいち(※数日のみ。出演日程は公式HPにて)
プロデュース=栗原崇浩 脚本&歌詞=栗原崇浩 音楽=小菅節男&川辺健 舞台監督=藤田有紀彦 照明=工藤雅弘(Fantasista?ish.) 音響=大塚信之(PAC) 映像・小道具=橘川巧 アシスタント・プロデューサー=橘川巧/七尾ゆり アシスタント・ディレクター=中川稔朗 音楽監督=川辺健 振付=栗原崇浩 演出=栗原崇浩
9月12日(火)前売開始 全席自由 前売/2300円 当日/2500円 学割/1500円 イギ高割引/2000円 月曜メンズ&レディースDAY/2000円
公式=http://www.zico-hihan.com/
佐藤佐吉演劇祭2006まとめ=http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0830030836.html
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2006年10月27日
ホリプロ『ブロードウェイミュージカル「ペテン師と詐欺師」』10/06-11/05天王洲銀河劇場
ホリプロが運営する天王洲銀河劇場(元・アートスフィア)のこけら落とし公演は、鹿賀丈史さんと市村正親さんが主演するブロードウェイ・ミュージカルです。映画「ペテン師とサギ師/だまされてリビエラ」もありますね。
キャスト・スタッフともに豪華なので伺いました。でも、チケット代が高かったからとは言え、A席9,450円にしたのは失敗だったかも・・・・
⇒「アートスフィア」の新名称が「天王洲 銀河劇場」に(シアターガイド)
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≪あらすじ≫ 公式サイトより
舞台は南仏の楽園、リビエラ。洗練されたルックスと巧みな話術を武器に、休暇を楽しむリッチな女性たちを次々と虜にするひとりのイギリス人詐欺師がいた。彼の名はローレンス(鹿賀丈史)。忠実なる相棒アンドレ(鶴見辰吾)と共に向かうところ敵なしであった彼の縄張りに、ある日、“ジャッカル”の異名を持つアメリカ人ペテン師フレディ(市村正親)が現れる。“自分こそ世界一の詐欺師”と信じるフレディだったが、大金持ちミュリエル(愛華みれ)を華麗に騙すローレンスのテクニックと、その豪奢な生活を目の当たりにし、弟子入りを志願する。フレディの才能に気づいたローレンスは、共謀して新たなカモ、ジョリーン(高田聖子)から大金を巻き上げる。しかし、所詮は生まれも価値観も違うふたり。すぐに「同じ土地に詐欺師は二人いらない」と、純情可憐な旅行者クリスティーン(奥菜恵)をターゲットに、縄張りとプライドを賭けた真っ向勝負が始まったが・・・
≪ここまで≫
私の席は3階席の最後列でした。真ん中ブロックではあったのですが、見下ろす舞台は遠く・・・。私のところまで歌やダンスの躍動感、コメディの楽しさが伝わってくることが、あまりに少なかったのです。前半の中ごろから高田聖子さんが盛り上げてくださったんですが、その後が続かず・・・。残念ながら途中休憩で帰ってきてしまいました。前半のエンディングは後半に向かってストーリーが面白くなるのがよくわかるものだったのですが、私はストーリーにはあまり興味がないんですよね。ごめんなさい。
階段を使ったまわり舞台や、豪華なドレス、タキシードなどの衣裳がとっても良かったです。特に女優さんがお召しの夜会服(っていうのかな?)の布が、踊る時にしなやかに波打つのが美しかった~。
オクラホマの大金持ち・ジョリーン役の高田聖子さん。彼女のシーンは歌も踊りも楽しかった~!心から拍手できました。
【観劇途中で席を立つことについて】
野田秀樹さんが、イギリス留学から帰国された頃のインタビューで、
「日本の観客はつまらなくても最後まで観て拍手までしちゃう。それが日本の演劇が育たない理由(のひとつ)だ。イギリスの観客はつまらなかったら途中で帰るよ。」
という意味のことをおっしゃっていました(どこかの雑誌で読んだおぼえがあります)。
それまで私は「どんな作品も最後まで観るのが礼儀だ」と思っていたのですが、野田さんの言葉に衝撃を受け、自分の考えを改め、イギリスの観客のようになろうと決めました。
※「途中で帰りました」と公表しているレビューは私が観たところまでの感想です。
"DIRTY ROTTEN SCOUNDRELS"
出演=鹿賀丈史/市村正親/奥菜恵/愛華みれ/高田聖子/鶴見辰吾/乾あきお/ひのあらた/野沢聡/小暮清貴/萬谷法英/蝦名孝一/東山竜彦/清野秀美/原慎一郎/ももさわゆうこ/秋園美緒/柏木ナオミ/一倉千夏/浅野実奈子/秋山千夏
演出:宮田慶子 翻訳:常田景子 訳詞:森雪之丞 音楽監督:甲斐正人 振付:前田清実 装置:松井るみ 照明:勝柴次朗 衣裳:小峰リリー ヘアメイク:武田千卷 声楽指導:北川潤 音響:山本浩一 演出助手:小川美也子 舞台監督:渋谷壽久 主催:日本テレビ/ホリプロ/天王洲銀河劇場 企画:ホリプロ 制作:ホリプロ/天王洲 銀河劇場
一般発売6月17日(土) S席12,600円 A席9,450円
公式=http://www.horipro.co.jp/ticket/kouen.cgi?Detail=73
e+Theatrix!=http://eplus.jp/sys/web/theatrix/special/dirty.html
劇場=http://www.gingeki.jp/index.html
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東京デスロック『再生』10/26-31アトリエ春風舎
東京デスロックは多田淳之介さんが作・演出される劇団です(劇団プロフィールはこちら。過去レビュー⇒1)。私は多田さんが演出された公演のポスト・パフォーマンス・トークに、ゲスト出演させていただいたこともあります。
「実験的な作品を創る若手」というイメージが完全に定着したかのように思える多田さんですが、今回も洩れなく“実験的”でした。好みが分かれるというより、嫌いな人は大嫌いかもしれませんね(笑)。私は大好きでした。
レビュー⇒ウイイレ8日記の終わりとハードボイルドワンダーランド(ハイバイ代表の岩井秀人さんのブログ)
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レビューをアップしました(2006/10/27)。
テーマはREBIRTH, REPLAY, RECYCLEということで、タイトルが『再生』。文字通りのことが舞台で起こります。約1時間30分の、全くもって“困っちゃう体験”です。
ポスト・パフォーマンス・トークで観客から「実験的な作品をいつも創られる多田さんですが、お客さんのことは何だと思ってるんですか?」という質問が飛び出したほどです(笑)。そしてそれに対する多田さんの答えは、「(僕の作品を)面白いと思ってくれる観客はいるはずだと思っています。これを面白いと思ってくれる観客に出会いたいと思っています。」とのこと。
生きている一瞬一瞬は決して繰り返すことができないということ。つまり命はかけがえがなくて、だからこそ美しく、人間は幸せを求めて生きて良いということ。死の側から生を見つめることで、それが舞台上に体現されていました。
ここからネタバレします。これからご覧になる方は決してお読みにならないで下さいね!
舞台は畳がびっしり敷かれただだっ広い部屋。奥には大きなスピーカーが2台あり、その間に白いiPodがちっちゃく鎮座しています。行われるのは若者達がノリにノって歌いまくって踊りまくる、どんちゃん騒ぎの大宴会。大音量でガンガンにかかるのはTHE BLUE HEARTS※、RCサクセション 、モーニング娘、電気グルーヴなど。ぶっちゃけてしまうと、そのキチガイじみた熱狂的な飲み会が、3回繰り返されます。舞台で起こるのはそれだけと言ってしまっても良い作品です(幕開けと終幕前に何かしら事件はありますが)。
※ブルーハーツではなくハイロウズ「不死身のエレキマン」 でした。ご指摘くださった方、ありがとうございました!(2006/10/29)
2回目の宴会が始まった時、「これはそのまま繰り返すんだな」とわかります。観客の頭に浮かんだのは「何回繰り返すんだ?」「いったいどうやって“終わる”んだ?」ということだったでしょう。私もそうでした。1回目と同じ動き、同じセリフを繰り返して、どんどん汗だくになっている役者さんを呆然と見つめながら、「私にはこの作品を理解できないかもしれない・・・。」と少し怖くなってきました。
3回目になると話している内容の細かい部分も、次に言うセリフもわかってきます。実は照明が徐々に青白く明るくなっていたんですね。狂喜乱舞する若者に強烈な死の影が映ってはじめて、空間の見え方の変化に気づきました。
そして、1、2回目と同様に「ラストダンスは私に」のゆるやかなリズムに合わせて男女のペアが幸せいっぱいに踊り始めた時、涙がぼろぼろと溢れてきました。なんて、なんて美しいんだろう・・・。何度繰り返しても対話は、触れ合いは、恋愛は、素晴らしい。それは決して同じ瞬間がないからだ・・・。同じセリフだけど違う声、同じ方向の動きだけれど全く違う演技、紅潮した頬、滴る汗、床に増えていくティッシュペーパー・・・。生身の人間が同じ動作を3回繰り返す1時間30分を具体化したことで、命はその時、その場所にしかないこと、人生に同じ瞬間は絶対にないことを観客に示しました。
最後は唐突に全員が血を吐いて死んでしまいます。役者さんの口から血のりが床にボトボトとこぼれ落ちて、取り返しのつかない状態、つまり“覆水盆に帰らず”な事態になります。ここでオープニングを思い出しました。一人の女性が近未来の日本のニュース(ネット心中が増えていること、自殺者が4万人を超えたこと、廃棄物処理場よりも火葬場の方がダイオキシンの発生量が多いこと、代理母出産の失敗・成功、クローン人間の談話など)を読み上げていたのです。舞台は近未来の日本で、若者達は心中するために座敷に集まっており、宴会を繰り返す直前に全員が飲んでいた錠剤(?)は、記憶を消す、もしくは同じことを繰り返させる毒だったのかも、と予想できます。
この演出についてはちょっと残念な気もしました。舞台上の人物全員が血を吐いて死ぬことで、作品に最初と最後が与えられ、1時間30分という時間を描いたお芝居になってしまったからです。永遠に繰り返すとか、時間の概念を飛び越えるとか、もっと挑発的な印象で終わっても良かったんじゃないかと思いました。「他の方法は?」と問われても、私にはアイデアがないんですけどね・・・。
オープニング映像にiPodのCMが使われていたり、舞台上にiPodがあったりしたので、私はデジタル化された音楽の複製(コピー)のイメージから、複製される人間(クローン)、代替可能な人生、消費される単純労働を示唆しているのかと思いました。※ポスト・パフォーマンス・トークで質問したのですが、そういう意図はなかったそうです。残念。
そういえば終演時に白iPodが黒iPodに変わってたのが可愛かったな~。
いつかここで流れていた音楽を耳にしたら、この作品のことばかりを思い出してしまうと思います。映画「時計じかけのオレンジ」みたいですよね(笑)。
≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫
出演=多田淳之介(東京デスロック)/山内健司(青年団) 司会=佐山和泉(東京デスロック)
多田「いろいろ考えたいことがあるんですが、僕は演出家だから、演劇を使って考えようと思った。」
多田「(舞台に居る彼らは)楽しいことだから、やっている。」「死ぬから繰り返す。」「俳優が疲れることを利用しようと思った。」
山内「チェーホフの脚本は、登場人物の名前の下に(死ぬ)って書いているような気がしていて。人間は誰もが死ぬんですけどね。この作品も役の名前の下に(死ぬ)って書いてそう。」
出演=夏目慎也/佐山和泉/石橋亜希子(青年団)/佐々木光弘(猫★魂)/宮嶋美子(風琴工房)/円谷久美子(徒花*)/美館智範/山形涼士/坂本絢
作・演出=多田淳之介 舞台美術=袴田長武(ハカマ団) 照明=千田実(CHIDA OFFICE) 音響=薮公美子 宣伝美術=多田淳之介 運営=斉藤由夏 制作協力=水川奈津美 企画・製作=東京デスロック 協力=(有)アゴラ企画・アゴラ劇場/青年団
9/15予約開始 予約2300円 当日2500円
公式=http://www.specters.net/deathlock/
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2006年10月26日
ONEOR8『電光石火』10/24-31THEATER/TOPS
ONEOR8(ワンオアエイト)は田村孝裕さんが作・演出される劇団です(過去レビュー⇒1、2)。田村さんは外部演出や脚本提供などもされている、今注目の若手劇作家・演出家なんですよね(脚本提供作品のレビュー⇒1)。
小さな材木屋の、ある兄妹たちのお話。ほほえましくも身につまされて、自分のこれからの人生に、じんわりと思いを馳せました。過去からも今からも、絶対に逃れられないんだなーと。だったらそのまんまを愛せばいいんだなーと。
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レビューをアップしました(2006/10/27)。
舞台は八木材木店の事務所兼休憩室。ワンマン社長の八木(木村靖司)はある事故で左足を負傷して、プロ野球選手になる夢を断念しました。社員にも家族にも傲慢に、乱暴に振舞う八木に、起こるべくしてやってきた修羅場だらけの一日を描きます。
どんな人にも夢があって、大切な人がいて、切羽詰った生活がありますよね。自分のことがあまりに大切で、他人のことが見えなくなります。言葉を交わしても交わさなくても、なかなかわかりあえません。そうやって絶望的にかみ合わない身近な人間同士のコミュニケーションを、悲しみながら、いとおしみながら、嘘なく描こうとした作品だと思いました。
個性がはっきりとしたキャストが揃っていましたね。役者さんのキャラを生かして(もしくは特徴のあるキャラを作って)、意図的に笑いを盛り上げていたように感じました。賑々しさがあって良い面もあったと思いますが、全体としてはデコボコしていて、途中でぶつぶつと途切れているように感じました。私が拝見したのが3ステージ目でしたので、きっと徐々に良くなるのだと思います。
ここからネタバレします。
誰かが去ることによって、特定の誰かが残るのがとても自然なんですよね。兄(木村靖司)、姉(藤田記子)、妹(冨田直美)の3人だけが残った瞬間、「あぁ、彼らは、兄妹なんだ!」とまざまざと見せ付けられて、涙がこぼれました。
元・女房(福島まり子)に縁を切られて、同棲していた女(和田ひろこ)にも、一緒に働いていた仲間(野本光一郎&冨塚智)にも去られたのに、八木は凝りずにまた女教師(今井千恵)を連れ込んでいました。野球のユニフォームを着て得意気な八木を見て、「バカは死ななきゃ直らないな~」と苦笑いしながら眺めました。ええ、バカとはすなわち私自身のことですとも(笑)!
チラシの「エイトマン」は八木の社会人野球選手時代のニックネームで、彼の応援歌はその主題歌だったということでした。タイトルと内容とのやんわりとしたつながりが粋ですよね。
出演=野本光一郎/冨田直美/冨塚智/和田ひろこ/平野圭/今井千恵/藤田記子(カムカムミニキーナ)/田口朋子/成瀬功(マーク義理人情)/庄島康哲/福島まり子/木村靖司(ラッパ屋)
作・演出=田村孝裕 舞台美術=松野潤 照明=和田典夫(満平舎) 照明操作=横幕絵美 音響=藤平美保子 舞台監督=村岡晋/藤林美樹 宣伝美術=美香(Pri-graphics) 宣伝写真=岩田えり 制作補=松尾由紀 制作=神野和美
9/20発売 全席指定 前売¥3000 当日¥3300 ☆26日(木)14:30のみ 前売¥2500(当日は通常料金¥3300)
公式=http://homepage2.nifty.com/oneor8/
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2006年10月25日
国際フィジカルシアター・アユリテアトル『ペールギュント・心の旅・トロルと桜』10/24新宿スペース107
パリにあるジャック・ルコック国際演劇学校の卒業生が結成した、国際演劇集団・アユリテアトルの日本初公演。演劇教育(俳優養成)にとっても興味がある私にとっては見逃せない公演でした。
ジャック・ルコック国際演劇学校についてのページ⇒1、2
内容は「桜の森の満開の下」(坂口安吾作)と「ペール・ギュント」(イプセン作)の二部構成。俳優とは、言われたことを上手にできる人ではなく、自ら創り出す職業なんだということを、見せ付けられました。
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レビューをアップしました(2006/10/30)。
この2~3年で海外の舞台作品に触れる機会が多くなり、舞台俳優の演技にもたくさんの種類があることが、最近になってやっとわかってきました。私には上手いとか下手とかはよくわからないのですが、今作での役者さんは身体と感情とが直結している状態が大前提で、その生きた感覚を味わえたことが何よりの収穫でした。
■「桜の森の満開の下」
セリフがなく、身体表現のみで「桜の森の満開の下」の世界を表現します。登場するのは鬼であり桜の妖精でもある女(近藤春菜)と男(ジョージ・マン)のみ。下手では太鼓と鈴、トランペット(のような金管楽器?)の生演奏があり、出演者とアイコンタクトをとりながら息のあった空間を作ります。
手と手が柔らかく触れ合って、互いの身体をいたわり、優しく交わっていく様に目を奪われました。これは目だけで味わうものではないですね。二人の肌触りが私の手にも伝わってくるほど生々しかったです。舞台芸術は全身で観賞するものだなと実感できました。
男と女の出会い、駆け引き、調和、権力争い、戦争、別れ・・・。異性というより異物同士の接触、交流、破壊を見ているようでした。それが男女の恋愛、性愛とも重なって、とてもエロティックです。
男に一度は心を許したかのように見せた女が、何らかの致し方ない理由で男から離れなければならないと判断し、男に背を向けます。そうすると男はもっともっと強い気持ちで女を求め、追いかけるようになるんですよね。うっとりするような男女の甘い恋の駆け引きでした。実はしたたかな生存競争だとも解釈できますよね。言葉(セリフ)を使っていないことで想像はどんどん膨らみました。
■「ペール・ギュント」
イプセンの詩劇『ペール・ギュント』を5人の俳優の身体を使って表現します。「桜の森・・・」とは違って、役者さんが観客の方を向いて物語の説明もします。人物やトロル(精霊・魔物)などの生き物はもちろん、森、海、風などの自然現象や、ドア、船などの物体もすべて身体で表すのは見ごたえがありました。
「ペール・ギュント」は市村正親さんの舞台で拝見したことがあります。今作品では大胆に原作を構成・脚色していますが、その解釈に共感しました。ペール・ギュント(ヨハン・ウェスターグレン)という一人の男の人生を通じて、人間とは、自分とは何かというテーマに迫ります。下記は心に残ったセリフです(正確ではありません)。
「What is normal?」
「自分の外側から出たら、どんな感じがするんだろう?」
「自分は、自分を想ってくれる人の中にある。」
舞台上で演技をしていること自体が、「ここに存在すること」「自分ではない何かを演じること」「ありのままの自分を見せること」などに直接つながっていることが、この作品の大きな意義だと思います。それはペールの自分探しともぴったり重なります。
「お前は自分自身の人生を生きてこなかった。そういう無駄な魂は溶かしてしまうよ。」と、何者かが魂を奪いにやってきますが、ペールは自分をずっと待っていてくれたソルヴェイグ(近藤春菜)のおかげで、自分の在り処に気づきます。その途端に魔物(?)は去っていってしまうのです。自分自身へと戻ることは、神様にも止められないのだなと思いました。
ソルヴェイグが何十年もの間ペールを待っていたという結末は、現代人にとっては信憑性がないかもしれません。でも、実際に恋人や妻が待っていたと思わなくても良いんじゃないかしら。ソルヴェイグとの愛の思い出でもいいし、育った家や土地、愛した場所でもいいと思います。自分自身に帰るきっかけにさえなれば。
≪全体の感想≫
1シーンや演技・演出の一部分を見れば、すごく繊細で美しかったり、躍動感にシビれたりできるところがあるのですが、全体としてはストーリー説明に力を入れすぎているように思いました。また、笑えるであろうシーンで笑えなかったのが残念。
構成・演出は「桜の森・・・」の女役および「ペール・・・」のソルヴェイグ役を演じた近藤春菜さんが手がけられています。演出に徹する人がいらした方が、作品全体の完成度は高くなるのではないでしょうか。ただ、出演する役者さん全員で創作することがアユリテアトルの主旨だとすると、難しいですよね。
ジョージ・マンさん。「桜の森・・・」の男役など。気持ちと身体とが柔らかく結ばれていることがわかりました。愛嬌があって可愛らしい方でした。
中澤聖子さん。トロルの王女役など。長細い手足のきびきび、のびのびとした動きが美しかったです。美人でコメディ・センスも素敵。
"THROUGH PEER GYNT" ノルウェー王国大使館後援 イプセン没後100年記念作品
≪ティアラこうとう・江東区公会堂、新宿スペース107≫
出演=ヨハン・ウェスターグレン(Johan Westergren・アユリテアトル)/近藤春菜(アユリテアトル)/ジョージ・マン(George Mann)/中澤聖子/田坂和歳
構成・演出=近藤春菜(アユリテアトル) 監修=パオラ・リッツァ(Paola Rizza ・ルコック国際演劇学校 講師) 舞台監督=伊東龍彦 照明=佐々木真喜子(ファクター) 音響=上妻圭志(SEED) マスク造形=イングリッド・アスペリ 演出助手=倉井まりこ 宣伝美術=田坂和歳/一ツ橋美和 制作=和田小太郎(不消者〈けされず〉)/一ツ橋美和 制作協力=田中絵美(J-stage Navi) プロジェクト・ディレクター=近藤隆雄 推薦=正嘉昭(演劇教育連名委員長) 後援=ノルウェー王国大使館
全席指定3500円
公式=http://www.ahuritheatre.com
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【お薦めの本】森達也 著「A」角川書店
お友達の作・演出家さんからのお薦めで読みました。ドキュメンタリー映画「A」のことは知っていましたが、その映画作りの現場日記のような本です。「オウム」という言葉には古さを感じますが、「地下鉄サリン事件」は今も私の中では生々しい記憶です。
自分の感じたことをインターネットを通じて世界に発信している私にとって、非常に重要で勇気付けられる言葉がいっぱいでした。
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以下、「A」より引用。
事実と報道が乖離するのは必然なのだ。今日のこの撮影だって、もし作品になったとしたら、事実とは違うと感じる人はたぶん何人も出てくる。表現とは本質的にそういうものだ。絶対的な客観性など存在しないのだから。人それぞれの嗜好や感受性が異なるように、事実も様々だ。その場にいる人間の数だけ事実が存在する。ただ少なくとも、表現に依拠する人間としては、自分が感知した事実には誠実でありたいと思う。事実が真実に昇華するのはたぶんそんな瞬間だ。今のメディアにもし責められるべき点があるのだとしたら、視聴率や購買部数が体現する営利追求組織としての思惑と、社会の公器であるという曖昧で表層的な公共性の双方におもねって、取材者一人ひとりが自分が感知した事実を安易に削除したり歪曲する作業に埋没していることに、すっかり鈍感に、無自覚になってしまっていることだと思う。一人ひとりが異なるはずの感性を携えているのに、最終的な表現が常に横並びになってしまうのは、そんな内外のバイアスに、マニュアルどおりの同じ反応しかしないからだ。(p.171~172)
大切なのは洗脳されないことではなく、洗脳されながらどれだけ自分の言葉で考え続けられるかだ。信者たちの思考停止はある意味で事実だ。そして社会の思考停止も同様だ。鏡面を挟んだように、この二つは見事な相似形を描いている。 なぜ地下鉄サリン事件は起きたのか? ずっと抱き続けてきたこの疑問に対しての答えを、僕は今何となく思い描くことができる。混雑する地下鉄車両の中で、幹部信者たちがビニール袋に傘の先端を突き刺した行為の背景を、今はおぼろげに推察することができる。情愛を執着として捨象することを説く教義に従い、他者への情感と営みへの想像力を幹部信者たちは停止させた。その意識のメカニズムに組織に従属するメカニズムが交錯し、幾つかの偶然に偶然が最悪の形で重なり、その帰結として事件は起きた。しかし情感の否定はオウムの教義にだけ突出した概念ではない。すべての宗教にその素地はある。その意味では非常に宗教的な空白が、この事件の根幹にある。同時に「組織への従属」という、特に日本においては実に普遍的なメンタリティも同量にある。 そして被害を受けた日本社会は、事件以降まるでオウムへの報復のように他社への想像力を停止させ、その帰結として生じた空白に憎悪を充填し続けている。憎悪という感情に凝縮されたルサンチマンを全面的に開放し、被害者や遺族の悲嘆を大義名分に、テレビというお茶の間の祭壇に、加害者という生け贄を日々供え続けている。 狭間に立った僕は、どちらの側にも一歩動けず、いつまでも途方に暮れている。(p.175~176)
「A2」も買ってみます。
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2006年10月23日
アートネットワーク・ジャパン/STスポット横浜「横浜アートプラットフォーム・急な坂スタジオ opening party」10/23急な坂スタジオ(旧老松会館)
横浜に新しい文化施設が誕生しました。その名も「横浜アートプラットフォーム:急な坂スタジオ」(Yokohama Arts Platform : Steep Slope Studio)。可愛い名前だ~っ。
「内覧会、Nibroll新作の稽古場公開、レジデント・アーティスト3名によるトークあり!」とのチラシに惹かれて、オープニング・パーティーにお邪魔しました。
⇒文化芸術創造都市・横浜 クリエイティブシティ・ヨコハマ
⇒fringe TOPIC(2006/10/01)
チラシにあった「サプライズ」とは、なんと4名目のレジデント・アーティストを公募するという発表!!これはスゴイ!稽古場が長期間、無料で使えるんですよーっ!!(利点はそれだけじゃないと思います~)
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レポートは後ほどアップ予定。
急な坂スタジオは、横浜市との協働のもと、NPO法人アートネットワーク・ジャパンとNPO法人STスポット横浜が共同事業体として管理・運営を行う、公設民営の文化施設です(公式サイトより)。
主催=NPO法人アートネットワーク・ジャパン/NPO法人STスポット横浜 共催=横浜市開港150周年・創造都市事業本部
公式=http://kyunasaka.jp/
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2006年10月22日
【お知らせ】kyo.designworks「吉祥寺ちらし会議」に出演します(12/16@吉祥寺)
「吉祥寺ちらし会議」は、青年団をはじめ多くの劇団のチラシ・デザインを手がける京さんの個展「京ちらしアートワーク展『100:』」の関連イベントです。
観客代表(!?)としてパネラー出演することになりました!
受付開始:10月23日(月)~
お申込み先着順(専用フォームにて)
⇒kyo.designworks
⇒fringe TOPIC
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劇場で配布されるものすごい量のチラシに、圧倒された経験はありませんか?「折り込み」というシステムが発明され進化してきた結果が、その束の厚さに表れています。
「吉祥寺ちらし会議」では、チラシ製作およびその折り込み等に深く関わっているパネラーが集まって、チラシ折り込みについて議論します。私はチラシを愛する一観客として、我が家に大量に蓄積される紙の山に苦慮している一都民として(苦笑)、感じていることを率直にお話できたらな~と思っております。
師走のお忙しい時期ですが、会議が終わった後は『ソウル市民 昭和望郷編』の上演時間に間に合いますので、どうぞいらしてください。下記、kyo.designworksより引用。
劇場で受け取る大量のちらし、1枚1枚の情報は本当に伝わっているのでしょうか? 折り込みちらしのコストパフォーマンスは? 紙媒体の利点とは? 印刷技術や宣伝手法の変化に伴い、ちらしを巡る環境も10年前とは大きな違いを見せています。今、演劇関係者のあいだで熱い議論になっている「折り込みちらし問題」を、パネラーと共に緊急討論。ちらしに関心を持つすべての関係者、観客必見です。
・日時:12月16日(土)15:00~18:00
・場所:武蔵野商工会館5F・会議室
・料金:2,000円
・受付開始:10月23日(月)~
お申込み先着順(kyo.designworks専用フォームにて)
・パネラー(50音順・敬称略)⇒プロフィール
郡山幹生(有限会社ネビュラエクストラサポート代表取締役)
笹目浩之(ポスターハリス・カンパニー代表/テラヤマ・ワールド代表)
志賀玲子(舞台芸術企画制作)
清水俊洋(宣伝美術デザイナー)
高野しのぶ(現代演劇ウォッチャー/ライター)
前田司郎(五反田団 主宰)
箕島裕二(武蔵野市立吉祥寺シアター 支配人)
※進行:京/荻野達也(fringe)
主催:kyo.designworks 共催:fringe
公式=http://www.kyodesignworks.com/
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明日図鑑『砂の王国』10/19-22三鷹市芸術文化センター星のホール
明日図鑑は牧田明宏さんが作・演出される劇団です(過去レビュー⇒1)。劇団員は3人だけですので、公演の度に出演者を集める体制のようです。
三鷹市芸術文化センター・星のホールは、なかなか難しい劇場なんですよね・・・。
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≪あらすじ≫
夫が借金を苦に自殺したため、美晴(大久保佳代子)は妹の伸子(山口奈緒子)と二人で暮らしている。夫の工場と自宅を売却しようと、不動産業者(中谷竜)と話を進める美晴のところに、夫の妹・ゆり(仲坪由紀子)が毎日のように訪ねてくる。ゆりはある事情から、兄亡き後の実家に引っ越してきたいと思っており、売却には絶対反対なのだ。
ある日、見知らぬ雑誌記者(遠藤雅)が伸子を訪ねてやってきた。
≪ここまで≫
舞台は美晴と伸子が暮らす家。下手側に工場、中央は玄関および接客スペース、上手側がダイニングというように、三等分に区切られた空間でした。奥には右斜め上へと登る階段があります。パっと見て「おお、すご~い」と思うような、大掛かりで立派な美術でした。
照明の変化があまりなく、少人数(2人か3人)での静かめの会話が続くので、どうしても広い舞台がガランとしています。リアルな装置にもどこか抽象的だったり、破綻していたりする装飾が盛り込まれていたらいいのにな~と思いました。
登場人物の裏の相関関係やしっとり、ねっとりとした対話など、細かい部分をにんまりと味わえる深みの有る脚本だったので、THEATER/TOPSとか駅前劇場とか、もしかするとアゴラ劇場などで観たい作品でした。
一番気になってしまったのは音楽です。弦楽器(ギターだそうです)のドラマティックな曲で、かなりラテン系ムード。曲調は違いますけど、印象は火サスみたいだった・・・。劇場内の音の響き方も原因だと思います。舞台で発せられる役者さんの声と、客席に映画館のように美しく、大迫力で響く音楽・音響とが、同じ作品と思えないほど乖離していました。
ここからネタバレします。
会話からぽとり、ぽとりと明かされていく人間関係は面白いですね。
・伸子は美容師で、ホストクラブ通いにハマって借金を作り、姉の晴美に借りがある。
・ゆりは、息子が学校でいじめに遭っているので、学区を変えるために引っ越したい。
・ゆりの夫・正彦(牧田明宏)は美晴と愛人関係。
・美晴の夫は自殺ではなく他殺。伸子が借金返済のための金欲しさに夫と寝たことが原因。夫を憎んだ美晴、美晴の愛人である正彦、美晴に弱みを握られた伸子が協力して夫を殺した。
不動産業者が髪を切ってもらっている内に伸子に惹かれ、彼女を押し倒してしまうシーンは、「違うんだ!違うんだよ!」と言いながらどんどこ襲うのが可笑しかったです。たまたまその場に訪れた雑誌記者を、不動産業者がハサミで刺し殺してしまいますが、その一連の事件は照明や音響の効果をもっと利用しても良かったんじゃないかなと思います。小さな劇場だったら別ですが。
最後は、雑誌記者が漏らしたのであろう夫の自殺の真相がテレビに取り上げられ、警察が美晴を訪ねてくるシーンでした。タイトル『砂の王国』の文字が上手上方の壁に映写され、ドラマティックな音楽とともに終演。「え?これで終わり!?」ってびっくりしました。映画「太陽がいっぱい」を思い出したりもしたんですが、私は物足りなかったですね。
出演=大久保佳代子/山口奈緒子/牧田明宏/遠藤雅/中谷竜(ラブリーヨーヨー)/仲坪由紀子 声の出演=森元隆樹
作・演出=牧田明宏 舞台監督=杣谷昌洋 舞台美術=田中敏恵 照明=箱崎あや子 音響=田上篤志(atSound) 衣装=小林由香 衣裳協力=イーピン企画 宣伝美術=石曽根有也(らくだ工務店) 宣伝写真=大木啓至 企画・制作=明日図鑑 主催=(財)三鷹市芸術文化振興財団
全席日時指定【前売】一般2,800円/財団友の会会員2,500円 【当日】一般3,000円/財団友の会会員2,700円 ※高校生以下1,000 円(前売・当日とも)
公式=http://www.ashitazukan.com/
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2006年10月21日
THE SHAMPOO HAT『津田沼』10/13-22ザ・スズナリ
赤堀雅秋さんが作・演出されるTHE SHAMPOO HAT。公演の度に必ず伺いたいと思う劇団です。
今回はシャンプーハットならではの1シチュエーション喜劇でした。チラシの写真もそうですが、タバコ、たばこ、煙草・・・(笑)。この匂い、味わいがシャンプーハットなんだよな~とシミジミ。『アメリカ』を思い出します。ただ、物足りなさも感じました。
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レビューをアップしました(2006/10/22)。
≪あらすじ≫
舞台は古いめのアパートの一室。場所は津田沼。美術に変化はないままで、10年前と現在が行き来します。
高校生の哲也(日比大介)は弟と二人暮らし。両親は同じアパートの隣りの部屋に住んでおり、のびのびと好き勝手し放題。哲也は同級生の恵美子(滝沢恵)に告白しようと、友人の伊東(黒田大輔)、栗田(多門勝)の協力を得て彼女を部屋に呼ぶのだが、なぜか不良の先輩・丸山(野中隆光)がやってきて、無関係の中学生2人(大和貴&武田有史)まで連れて来てしまう。何もかもが哲也の予定どおりに立ち行かない中、さらに得体の知れない男(福田暢秀)が部屋に入ってきて・・・。
10年後の哲也は恵美子と結婚して、同じ部屋で二人暮し。哲也は耳鳴りとは違う、小さな音に悩まされており、不動産屋(児玉貴志)と自治会副会長の二瓶(赤堀雅秋)に部屋を調べてもらっている。そこに津田沼から東京へと出て行っていた、伊東(黒田大輔)がやってきて・・・。
≪ここまで≫
“不良”が、いっぱい出てきました・・・懐かしい!(笑) リーゼント(野中隆光)とか短ラン(多門勝)とか、すっごく可愛らしく見えちゃいました。
自堕落なやさぐれムードの中に、せつなさとおかしみがあるのがシャンプーハット作品の大好きなところです。独特の温度と湿度が肌で感じられるのも劇団ならではのものだと思います。今回は下手のベランダの窓から差し込む日光と、柔らかな風に揺れるカーテンも良かったですね。
それにしても登場人物がよくタバコを吸います。日比大介さんがタバコを吸う仕草は『アメリカ』で初めて観た時からすごく印象に残っていて、今回もあの時と同じ感じでした。それもまた懐かしい・・・。
10年前と現在とを行ったり来たりするのですが、照明や音響の変化はおそらくなかったと思います。観客は登場する人物の違いで今か昔かを判断することになるので、きっかけの瞬間に登場する人物の人選や、出てくる場所とタイミングに、転換の全てがかかっているのです。その方法(演出)がかっこ良かった~。
オープニングとエンディングの曲が良かったです。どこかで聞いたことがあるな~と思ったのですが、シャンプーハット公演ではずいぶん昔にしか使っていないそうです。他のお芝居で聞いたのかしら。
ここからネタバレします。
10年前のシーンは、便所に○ン毛を溜めるとか、暴力で脅して恵美子と伊東にセックスさせちゃうとか、部屋にガスを充満させてライターの火を点けられるかどうかを賭けるとか・・・じとじとした部屋で爆発が起こるような、怖い不良(ヤクザ?)の世界でした。対して現在のシーンは同じくじとじとしていながら、いわゆるニートとか引きこもりとか、もっと内面の方へと閉じられているように感じました。これは時代の変化でもありますよね。
哲也も伊東も別々に10年を生きてそれぞれの道を歩んできましたが、お互いパっとしない人生だったようです。哲也は高校時代と変わらず親の世話になっていて、高校時代の彼女と結婚して子供が出来て、ずっと津田沼暮らし。伊東は東京に出て演劇をしているが有名にはなっていません。津田沼に帰ってきても実家には顔を出さないし、おそらく親と会いたくないような生活状況なのでしょう。
二人とも10年前に漠然と夢見ていた未来とは違う人生になってしまっているけれど、でも、まだ今も同じように「夢を見ている」のだ、ということかなと思いました。そしてその「夢を見て生きている今」を肯定するエンディングだったと思います。
哲也は衣裳(上下揃いのスウェット)が変化しないので、彼だけが舞台に居るときは、現在か過去かの判別が難しくなります。もしかしたら彼だけは時空を超えた存在なのかも?と、想像を膨らますことも出来ますよね。最後に哲也が伊東に向かって言う「お前も夢見てるんだよな」というセリフとも意味が重なります(セリフは正確ではありません)。
でも私は、このお芝居全てが哲也の想像(夢)であったとは受け取れませんでした。そんな風に考えられたら、もっと豊潤な舞台体験になったんじゃないかな~。現実だとも夢だとも受け取れるような演出が、そこここに散りばめられていても良かったんじゃないかと思います。
自治会副会長の二瓶(赤堀雅秋)のヘンタイっぷりには唖然、ですね(笑)。あんなに白いブラジャーがハマる人っているのかしら。「ムヒある?」と聞いてそれを胸に塗るという(ブラが痒いのでしょう・笑)、細かいこだわりがまた素敵。
出演=日比大介/児玉貴志/多門勝/野中隆光/福田暢秀/黒田大輔/滝沢恵/赤堀雅秋/大和貴/武田有史/岩堀美紀
作・演出=赤堀雅秋 舞台監督=高橋大輔+至福団 照明=杉本公亮 音響=田上篤志(atSound) 美術デザイン=福田暢秀 舞台製作=F.A.T STUDIO 宣伝美術=斉藤いづみ 宣伝PD=野中隆光 舞台写真=引地信彦 舞台収録=♀GUCCI♂(帝斗創像) 小道具製作=渡邉亜沙子 衣裳協力=戸田京子/山本有子 演出助手=岩堀美紀/大和貴/武田有史 WEB製作=野澤智久 演出部=川除学 当日運営=森千江子(イマジネイション) 制作=HOT LIPS 武田亜樹 三谷郁奈 協力=エースエージェント ダックスープ 東京書籍印刷 西田圭吾 後援=(株)UZアドベックス 企画制作=THE SHAMPOO HAT
9月3日発売 指定席=前売り3,300円 当日3,500円 自由席=前売り3,000円 当日3,200円 *平日マチネ(10/19 14:00の回)指定席=前売り3,000円 当日3,200円 自由席=前売り2,800円 当日3,000円
公式=http://www33.ocn.ne.jp/~shampoohat/
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佐藤佐吉演劇祭2006・smartball『My Legendary Girlfriend』10/20-24王子小劇場
佐藤佐吉演劇祭2006の3公演目は、名執健太郎さんが作・演出・主宰されるプロデュースユニット、smartball(スマートボール)です。名執さんのことは伊トウ本式公演やポツドール公演で役者さんとして拝見したことがあります。
なんと来年9月の次回公演(ユニットとしての第二回公演)は、三鷹市芸術文化センター・星のホールのMITAKA "Next" Selectionに参加されるんですね。
さて、作風はポツドールに似ていると噂に聞いていました。確かに役者さんの肌の露出度の高さという点では、印象が重なるかもしれません。は、激しかった・・・(笑)。お好きな方は上手前方の席がお薦めですよん。
2時間5分強の上演時間は長く感じました。
※佐藤佐吉演劇祭2006レビューブログに公式レビュアー3人(私を含む)、公募モニター4人のレビューが上がっています。こまめにチェックして観劇の参考になさってください!
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≪あらすじ≫
“愛人バンク”などの出会い系(?)ウェブサイトを運営する会社。深夜バイトが出勤すると、オフィスが荒らされている。「移転のための引越しが始まっているのかな?」と待機するが、一向に社長(アントニオ本多)からの指示はない。実は社長は愛人(石澤彩美)のアパートに逃げ込んでおり、社員の岡崎(岩瀬亮)はある裏社会の窓口から、社長を高飛びさせようと画策し始めていた。どうやら会社は相当ヤバイ状態らしい。
≪ここまで≫
ジャンルとしては静か目の現代口語劇で、起承転結のあるストーリー芝居です。小さな声でぼそぼそと日常に近い会話が続いたり、激しいケンカや生々しいからみもあります。サドの変態とか、オプション付きのフィリピン・リゾートの旅とか、聞くに堪えない(かもしれない)話題が、当然のことのようにサラリと語られ、どんよりと暗い気持ちにもなりましたが、最後まで退屈せずに拝見できました。
人物も設定も顛末も、人との出会いや係わり合い、そして社会に対する視点も面白いと思います。かっこいいなーと思うセリフもシーンも沢山あり、名執さんの独特な世界があると思いました。だからこそ、もったいないと思うことが何度もありましたね。たとえば暗転して「あ、これがエンディングかな」と思うことが数回・・・。
見ごたえの有る舞台装置でしたね~。天井の高さが特徴の王子小劇場なのに、間口が広く見えたのは嬉しい驚きでした。ただ、中央にオフィス、下手に中華料理店、上手に愛人宅という具合にきれいに三分割されていたのは、舞台の効果としてあまり良くなかった気がします。私は上手側の席でしたので、下手のシーンがすごく見えづらかったんですよね。反対に上手がよく観えたっていうのは、私にとってはちょっとマイナス・・・(笑)。
ここからネタバレします。
社長は社員の岡崎(岩瀬亮)と組み、今の妻(白神美央)や大社長(米村亮太朗)、取引先(=警察の女・真壁)と縁を切ってとんずらしようとしていました。だから移転なんて嘘で、バイトも社員もオフィスで待ちぼうけになります。それが警察の女にバレて・・・修羅場になるのです。
基本的に岡崎とその恋人の中国人(小倉ちひろ)との会話で、話の裏が明かされていきます。説明的なセリフに頼りすぎな気がしました。もっと色んな人との様々な会話や、言葉でない演出も観たかったですね。
女の子も男の子もセックスシーンで裸になります。これは私には、つらい・・・(汗)。私は裸を観るのが苦手なので、うつむくしかないシーンもあって・・・。特に女の子のブラをはずすのは不快でした。胸に触るにしても、もっと笑えたりドキドキしたりできる工夫をしてもらいたいなと思います。それこそ「もっとやっちゃえ!!」って観客がノっちゃうようなこと、できるんじゃないでしょうか。
童貞のバイトくん達(松本慎平&荒木拓)と社長の愛人とのセックスなんて、普通は観られない貴重な場面だと思います(笑)。微笑ましく可笑しく見られたら良かったのですが、何かと長すぎたり、過剰だったり。狙いは面白いのに、それを伝えられていないように思います。
暗転したまま会話が続くことが何度かありました。回数的にも時間的にも多すぎる気がします。場面転換のための時間なのかな?と邪推したりしてしまいました。ただ、中華料理店で警察の女・真壁の声が最後に聞こえたのは効果的だったと思います。
社長と取引をしている警察の“ヘンタイ”女・真壁(原田優理子)は、豊乳の女が好きな極度のサドで、気に入った女を素っ裸にしてブタと一緒に豚小屋で飼い、三度の食事には残飯に自分の大便を混ぜ合わせたものを与えるという・・・おぞましい設定です。彼女の“プレイ”の内容はとても文章にはできません(汗)。で、そんな女には見えなかったんですよね・・・これはすごく残念。彼女がちゃんと鬼畜に見えないことには、作品全体の説得力が弱くなってしまうんですよね。
社長と大社長はお互いをバース、ゲーリーと呼び合う、いわば竹馬の友でした。でもそんなに仲良しには見えなかったです。ラスト近くのシーンでしか二人の対話がなかったし、それまでに二人の関係を匂わすような演出もなかったし。最後に大社長がつぶやく「(社長の)女は俺が何とかする」というセリフがもっと生きて欲しかったですね。
社長の妻が良いセリフを言うことが多かったです(セリフは正確ではありません)。
「金とファンタジーの他に何がある?他に売れるもんはない。」
ある企画で「観た人が死にたくなるような芝居を作りたい」とおっしゃっていた名執さんですが、この作品においては、そこまでの絶望を描こうとしているようには感じませんでした。登場人物は結局救われないけれど、そこに至るまでのケンカ、セックス、悪あがき、後悔、開き直り(あきらめ)などから、可愛らしくて憎めない人間が見えました。
鳴り終わったら耳がキーンとなっちゃうぐらいの、大音量の音楽で幕開けでした。これは刺激的だったな~。かっこいいと思いましたが、実際に“耳がキーン”状態になったのはチとつらかった(苦笑)。全体の選曲もけっこう好きでした。
サブタイトル:誰か、あの雌豚を殺してくれないか?
出演=小倉ちひろ/アントニオ本多/白神美央/原田優理子(トリのマーク〔通称〕)/石澤彩美/岩瀬亮/松本慎平/荒木拓/米村亮太朗 (ポツドール)
作・演出=名執健太郎 美術:松本翠(翡翠空間) 照明:伊藤孝(ART CORE design) 音響:中村嘉宏(atSound) 音響操作:和田匡史 小道具・衣装:大橋路代(パワープラトン) 舞台監督:西廣奏 宣伝美術:冨田中理(SelfimageProducts) 宣伝写真:曳野若菜 WEB:松井一朗 モデル:小倉ちひろ、原田優理子、石澤彩美 協力:フラッシュアップ、マッシュ 制作助手:安田裕美(タカハ劇団)、福留由記 制作:山田恵理子 製作:Y.e.P
2006.9.10(日) 発売開始 前売2300円/当日2500円【日時指定・整理番号付・全席自由席】高校生以下 2000円(要学生証・Y.e.Pのみ取扱)
公式=http://smartball.yep-web.com/
佐藤佐吉演劇祭2006まとめ=http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0830030836.html
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【購入予定】フィンランド国語教科書
買う予定の本です。
このエントリーは後日、変更・削除します。⇒削除はやめました。
すべて買いました。フィンランドの国語教科書、すばらしいです。
「競争やめたら学力世界一~フィンランド教育の成功~」についてはレビューを書きました。
(2007/06/19加筆)
フィンランド国語教科書 小学4年生
経済界 (2005.11)
通常24時間以内に発送します。
フィンランド国語教科書 小学3年生
経済界 (2006.5)
通常2-3日以内に発送します。
「競争やめたら学力世界一~フィンランド教育の成功~」
2006年10月19日
劇団青年座『ブンナよ、木からおりてこい』10/14-22本多劇場
『ブンナよ、木からおりてこい』は水上勉さんの名作で、青年座の代表作です。1978年から繰り返し新演出、新キャストで上演され続けています。今回でなんと19組め!私は劇団若草の卒業公演鑑賞がこの戯曲との最初の出会いで、青年座版は初見です。演出は黒岩亮さん。
できれば本多劇場よりも小さな劇場で観たかったですね。上演時間は約2時間15分(途中休憩を含む)。
青年座ブログで稽古場&舞台写真が見られます。これぐらい大きな写真がアップされていると嬉しいですね~。
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≪あらすじ・作品紹介≫ 公式サイトより ※トノアマをトノサマに変更
-ブンナ、まっていたよ!-
1978年の初演から1123回、水上戯曲不朽の名作が青年座の舞台に帰ってきます。
トノサマ蛙の子ブンナは、ある日、新しい世界を目指して椎の木のてっぺんに登ります。
しかし、天国だと思っていたそこは、こわい鳶(とんび)のえさ蔵だったのです。
弱肉強食の自然界で壮絶な「生きるための戦い」を繰り広げる小動物たち。
新作「ブンナよ、木からおりてこい」が 今秋 下北沢から世界へ飛翔します。
≪ここまで≫
いかにも悲惨な運命が待ってそうな、オープニングおよび最初の池のシーンが、まず残念でした。今の日本を生きている私たち人間は、十分に暗い毎日を送っていると思うんですよね(苦笑)。だから『ブンナ・・・』の動物たちの世界においてまで、大げさに「現実は恐ろしいのだよぉ~っ!」と声高に教えてもらいたくはなかったな~というのが、演出についての主な感想ですね。
シンプルな抽象舞台でした。ステージ中央に円盤型の大きな台があり、その上が椎の木のてっぺんになります。ダンスというのか群舞というのか、踊りで生き物の生態を表現するのは意外でした。衣装は基本の型が全員ほぼ同じで、特徴を表す装飾と色使いで役柄を区別しています。効果的ではあったと思いますが、魅せられはしませんでした。私は「青年座のあの人も、あの人も踊ってる!!」と、ほとんどミーハーな眼差しで役者さんを追ってしまいました。
暗い舞台に白いスポットライトをバンバン落として、役者さんの顔が光って飛んでしまうほど照らすのは、ちょっと・・・こっちが恥ずかしくなることもありました。
弱肉強食の現実から、つながり続ける命を知るという、偉大な戯曲だと思います。私はかなり好きですね。また新演出・新キャストになったら観てみたいです。
ここからネタバレします。
「いきものは、いきているんだよ」という言葉がよかったな~(セリフは正確ではありません)。椎の木とブンナが語らうところで、動物と植物、地球全体とつながったような気持ちになるのは幸せです。
高義治さん。ブンナ役。2003年の『ビジネスクラス』から注目していたので、大役抜擢が嬉しいなと思っていました。一直線すぎてちょっと物足りなかったかな。
横堀悦夫さん。ヘビ役。いつもながら惚れ惚れするぐらい愛嬌のある悪役ですね。殺気と色気のある母親ヘビでした。
出演=名取幸政/佐藤祐四/横堀悦夫/山賀教弘/山﨑秀樹/高義治/豊田茂/藤夏子/五味多恵子/野々村のん/小暮智美/尾身美詞
作=水上勉 演出=黒岩亮 装置=島次郎 照明=中川隆一 音楽=和田薫 音響=井上正弘 振付=菅尾なぎさ 衣裳 =三大寺志保美 舞台監督=今村智宏 製作=水谷内助義 製作=紫雲幸一
一般前売り:2006年8月15日(火) 一般5,000円 ゴールデンシート(65歳以上)4,000円 ユニバーシート(大学・各種学校生)3,500円 チェリーシート(高校生以下)2,500円 ブンナシート(一般+高校生以下) 7,000円~
公式=http://www.seinenza.com/
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田上パル『報われません、勝つまでは』10/18-23アトリエ春風舎
田上パル(たのうえ・ぱる)は田上豊さんが作・演出される劇団です。第2回公演からいきなりアトリエ春風舎、しかも他地域公演があり、それが北九州演劇祭参加作品なのです。いやおうなしに注目しちゃいますよね。
若さが炸裂する、血気盛んな(笑)、体育会系運動部青春芝居でした。上演時間は約1時間20分。
なんと劇団員の平均年齢は22歳!!!
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≪あらすじ≫ 公式サイトより
200X年。冬。県内トップクラスの名門ハンドボールチームが全国大会予選決勝にて、大敗を喫する。試合会場から意気消沈して部室に帰ってくる選手たち。敗戦の落胆もあり、ミーティングの迷走が、次第にケンカに変わる。今まで心の内に秘めたメンバーに対するそれぞれの思いが徐々に吐露されていく。崩壊寸前のチーム。
そこへ、対戦相手のエースが部室へやってきて・・・
体育会系の汗臭く、熱い芝居が展開する、青春群像熊本弁芝居!!
≪ここまで≫
舞台はうす汚い部室。落書きだらけのロッカーが並び、木製のイス、ベンチ、そして色んなゴミが転がっています。いかにも若い男の子が使ってそうな運動部の部室の雰囲気です。でも、美術全部ががっしりと作りこまれているわけではなく、奥が透けて見える緑色のネットとブルーシートが壁の役割を果たしているので、劇場の黒い壁が露出しています。
燃えたぎる若い心、そして体・・・ですね。血気盛んな運動部員の男の子たちが、狭い部室でガンガンに暴れまわります。最初はちょっと堅い演技が目立ってぎこちなかったですが、徐々に、感情が発火するかのごとくほとばしり出るようになり、それが体の動きに覆いかぶさるように組み合わさって、そこらじゅうで暴発しているように感じました。私は・・・苦手でしたね。感情、言葉、体の動きをコントロールできていないように感じることが多く、その危うさが不安になりました。
でも、若者だからこそ表現できるものには間違いありません。あの無防備でひたむきな、一直線に伸びる思いは、若い身体からこそ感じられるものだと思います。
この公演は劇団の第2回公演で、メンバーが桜美林大学を卒業して以来、初めての公演だったようです。出演者の中には大学生もいらっしゃるそうで、カンパニーの平均年齢が22歳・・・。いわば生まれたての劇団なんですね。それを考えれば充分に丁寧な作品作りをされていると思います。演劇に対する姿勢がすごく真面目ですよね。
チラシのビジュアルや公演規模から、青年団自主企画と同じ(もしくはその上を行く)レベルのような認識で観てしまったため、どうしても粗(あら)が気になってしまいました。制作手腕の凄さが裏目に出た、と言っていいかもしれません。でもそれはこの公演について、ですから。将来、そのパッケージに見合う内容を発表していただけたら嬉しいなと思います。
これからご覧になる方は、若者のまっすぐな熱さを目当てに行かれると良いのではないでしょうか。
ここからネタバレします。
決勝戦で戦った二つの高校は、近いうちに合併されることが決まっています。だから合併後には勝者と敗者が一緒のチームになってしまうんですね。その設定はとても面白いと思いました。また、勝者チームに兄、敗者チームに弟が所属しているという、数奇な運命を背負った(笑)兄弟がいて、勝っていい気になった兄が、負けてやさぐれ状態になっている弟のチームの部室にやってくるのも、わくわくしました。
その兄が、敗者チームの一人から「お前は昔から変わらない。性格が最悪だ」と言われ(セリフは正確ではありません)、舞台中央で観客に背を向けて、静止します。シーンとなって空気が固まったのが良かったですね~。
何かとんでもないことが起こる前に準備のような間(ま)があったり、ここが見せ場(聞かせどころ)だぞ、というシーンで役者さんに力が入っていたり、余分な間(ま)を取っているように感じたのが残念。
結果的に1シチュエーションで、照明の変化もミニマムな会話劇でしたが、客席とすんなり地続きになっているステージ、上手手前に立っている街灯、網目状態の壁などの美術から、もっと冒険的な場面転換を期待していました。できれば破綻して、枠を超えて、飛翔するような感覚が味わいたかったですね。
≪東京、北九州≫
出演=坂田尚樹/星野秀介/金田拓磨/熊木進/松高義幸/安村典久(蜻蛉玉)/中村崇人(獣珍)
作・演出=田上豊 舞台美術=松村知慧 照明=伊藤泰行 舞台監督=佐野功 宣伝美術=金田拓磨 制作=尾形典子/高橋優 企画制作=田上パル
一般 前売1,800円/当日2,000円 学生 前売1,500円/当日1,800円 平日マチネ割引 前売・当日共に1,200円
公式=http://tanouepal.com/
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2006年10月17日
Bunkamura『緒形拳ひとり舞台 白野-シラノ-』10/14-17シアターコクーン内特設小劇場TheatrePUPA(ピューパ)
緒形拳さんがお一人で演じる『シラノ・ド・ベルジュラック』の日本版『白野弁十郎』は、緒形さんの師である新国劇の島田正吾さんの代表作です。演出は鈴木勝秀さん。東京公演は終了。
『シラノ』といえば私はジェラール・ドパルデュー主演の映画が大・大・大好きで、『シラノ』のお芝居となると必ず観に行っちゃうのです。
11月には鈴木忠志さんが構成・演出される新国立劇場の『シラノ』が開幕しますね。あ、江守徹さん主演の文学座公演(兵庫、東京)もあります。
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あらすじは文学座サイトでどうぞ。※有名な作品ですので、ここからネタバレします。
岩波書店 (1983.12)
通常2-3日以内に発送します。
舞台は日本の江戸時代の京都、シラノ(白野)とクリスチャン(来須)は会津藩の隊士で、長州征伐に行くことになります。ロクサーヌは千種という名前になっていました。すべて緒形さんお一人で演じられます。
ひし形のステージで、ごくわずかな家具(イスとネストテーブルなど)を使うだけのシンプルな美術です。そこに茶色い着物(袴)姿の緒形拳さんが登場します。舞台上に、私の目の前に居るのは、緒形拳。「緒形拳」なんですよね、「(かぎかっこ)」付きの。演技が上手いとか下手だとか、そういう判断は私にはできないと常々思っていますが、それ以上にこのお芝居では、自分の感覚がよくわからなくなりました。目の前に居るのは白野なのか、緒形拳さんなのか・・・。
最初はゆったりとしたリラックスムードで、全体が緒形さん個人のペースで流れているように感じ、眠くなっちゃったりも・・・。私の座席が舞台上手側の後方だったせいもあるかもしれません。舞台が遠いので演技もちょっと見えづらいし、声も聞こえにくい。桟敷自由席は体勢的につらいでしょうが、一人芝居の醍醐味を味わうには最高だったかもしれませんね。
でも、白野が千種への思いを告げるバルコニー(?)のシーンで、号泣!!!あぁ、やっぱり『シラノ』は恋ですよ、恋!!緒形さんの、じっくりと搾り出すようにつぶやく「あなたを、あいしています」とか、恋しすぎて切なくて、狂おしくて、息も出来なくなっているような表情とか・・・!もー、ちり紙がいくらあっても足りないぃ~っ(涙・涙・涙)!!・・・という状態でした。※セリフは正確ではありません。
千種が白野と来須のいる戦場までやってきて、来須に「あなたのお顔ではなく、その心を愛しています」と告げるところからは、緒形さんは舞台下手面側にじっと起立した状態で、朗読するように話していました。このシーンはセリフだけでなくト書きありましたね。これが・・・泣けるっ!!
「千種が愛しているのは君だ、そして君も千種を愛している」と白野を励まし、戦線へと突入していった来須。千種の愛を得られたと喜んだのもつかの間、大砲に撃たれた来須に「千種が愛しているのはやっぱりお前だ」と嘘をつく白野。やっと本当に愛した人(=来須)に死なれて、悲鳴を上げる千種・・・。
十数年後、千種は尼寺に入っており、白野は10日おきに彼女を訪れるようになっています。ある日、白野は事故(もしくは暗殺)で重傷を負いますが、いつもどおり千種に会いに行きます。そこでとうとう、彼女に手紙を書き続けていたのが白野だったことがバレてしまうのです。その、バレるまでの、そしてバレてからのやりとりが、もう、凄くって、凄くって・・・(涙)。
千種「やっぱり・・・あなた、だったんですね。」
白野「違う!違う違う!!」
当然ながら舞台には緒形さん一人しか居ません。だから白野のセリフも千種のセリフも、見つめる方向を逆にしながら、緒形さんが一人で語ります。それでもそこにはちゃんと対話があって、交わされる言葉の間(あいだ)があって、ニ人の驚き、葛藤、喜びがぐるぐると渦巻いて、私は全く身動きできずに、ぎゅ~~~っと緒形さんに集中していました。もちろん涙どーどー流れっぱなし状態で(苦笑)。
最初はちょっと入っていけないムードもあったので、ついつい映画のことを思い出していましたが、後半(戦場)以降は『白野』の世界一色になれました。
パンフレットで多数の方が書かれていますが、やっぱりこの作品は緒形拳である、ということなのだと思いました。
会場はシアターコクーン内特設小劇場TheatrePUPA(ピューパ)ということで、コクーンの舞台上に舞台と座席が作られていました。私は『ゴドーを待ちながら』でも体験しました。楽屋口が劇場入り口になっており、細い通路を通って舞台へと向かうのは結構わくわくしますね。ロビーでは戯曲本や緒形さんの本などの物販があり、コクーンのロビーでは緒形さん及び親国劇ゆかりの品々が展示されていました。
STUDIOコクーン・プロジェクトVol.4
≪東京、茨城、山形、岩手2ヵ所、北海道5ヵ所≫
出演:緒形拳 楽師:ウォルター・ロバーツ(チェロ)
原作:エドモンド・ロスタン「シラノ・ド・ベルジュラック」 演出:鈴木勝秀 音楽:朝比奈尚行 訳:楠山正雄/辰野隆 翻案:額田六福/澤田正二郎 構成:島田正吾 美術:二村周作 照明:倉本泰史 音響:井上正弘 舞台監督:眞野純 スーパーバイザー:梶川芳友 演出部:河本昌洋/五木見名子 演出助手:安倍洋平 衣裳協力:松竹衣裳 音楽享禄:鈴木光介 企画・製作:Bunkamura
7/15(土)発売 指定席(椅子)6,000円/自由席(桟敷)5,500円 9/23~追加席発売
公式=http://www.bunkamura.co.jp/
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2006年10月16日
パルコ・東宝芸能『ゴルフ・ザ・ミュージカル ~ゴルフなんて大嫌い!』10/08-29パルコ劇場
マイケル・ロバーツさんが脚本・作詞・作曲されたミュージカルです。福島三郎さんが日本語版台本を手がけ、演出されます。5人しか登場しない約3時間弱(途中休憩15分を含む)ですが、すごく楽しかった♪
東京公演はまだ残席あるようです。やっぱりチケット代が高いのかしら・・・。
東京の後は静岡、名古屋、大阪、福岡、仙台、新潟と全国ツアー。
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私はゴルフ未経験で、もちろん知識もゼロですが、あっけらかんと楽しめました。ゴルフを知っている人の方がもっと楽しめると思いますよ~。やっぱり細かいセリフも拾って笑えますからね♪
≪あらすじ≫
広告代理店の営業マン(相島一之)が、とある食品メーカーの次期社長(池田成志)とゴルフに行く。付き添うのは部下の女子社員(堀内敬子)と、ゴルフ初心者のコピーライター(川平慈英)。うまく接待して新製品“南国納豆”の広告を取りたいと思っているのだ。ちょっとこわもてのキャディー(高橋由美子)をお供に、仕事もプライベートもごったまぜの、波乱万丈の接待ゴルフが始まる。
≪ここまで≫
ゴルフってスポーツとしても面白そうだけど、みんなで一緒に過ごす楽しみもあるんですね。「ゴルフ以外のことを考える時間がある」っていうのは発見。緑に包まれたきれいな空気の中だと、思考もいつもと違う方向に広がりそうですね・・・な~んて、にわかに“ゴルフやりたい病”に感染(笑)。すっかり術中にはまってるってことです。
笑わせてくれるネタが沢山。わざとらしさも面白みになっていて、大人の無邪気なサービス精神も嬉しくなります。
堀内敬子さんが超~~~~~~可愛い!!!歌も踊りもダイナミックで素敵♪エロティックな歌のソロは絶品でした。
ここからネタバレします。
営業マン(相島一之)と女子社員(堀内敬子)が不倫の関係で、社長(池田成志)とコピーライター(川平慈英)はうまがあわず、キャディー(高橋由美子)は下手なサラリーマン・ゴルファーたちにうんざりしていて、さらに社長の会社は傾きかけている・・・という、決して円満とはいえない環境です。ゴルフのミュージカルなのに、ゴルフを差し置いて彼らのプライベートばかりに重点を置くのが面白いんですよね(笑)。
ちょこちょこ腑に落ちない展開はありました。例えば営業マンと女子社員が「社長はいい人だ」と言い切る根拠がよくわからなかったです。でも、そんなのどーでもいーやっ!て思える、つき抜けるようなハッピーな楽しさがありました。
高橋由美子さんがずっとあか抜けないキャディー姿で寂しいなと思っていたら、やっぱり後半でダサイ制服を脱いでくださいました。でも黒いタンクトップっていうのは・・・どう反応したらいいのか迷っちゃいましたねぇ。もっとあからさまに可愛い衣装の方が良かったんじゃないかしら。私の好みの問題ですが。
GOLF:THE MUSICAL~JAPAN ROUND
≪東京、静岡、名古屋、大阪、福岡、仙台、新潟≫
出演=川平慈英/高橋由美子/池田成志/堀内敬子/相島一之 ミュージシャン=加曽利康之(Key/Electone)/長谷川友紀(Percussion)
脚本・作詞・作曲=マイケル・ロバーツ 日本語版台本・演出=福島三郎 音楽監督=加曽利康之 美術=升平香織 照明=吉川ひろ子 音響=矢野二郎 衣裳=藤井享子 ヘアメイク=近藤英雄 歌唱指導=山口正義 稽古ピアノ=飯田緑子 ゴルフ指導=芹澤名人 演出助手=小島靖 舞台監督=菅野将機 宣伝美術=永瀬祐一 宣伝写真=西村淳 楽器協力=YAMAHA 制作助手=中谷文 プロデューサー=佐藤玄/毛利美咲/市村朝一/栗間左千乃 企画・製作=(株)パルコ・東宝芸能(株)
8月20日(日)発売 8,500円(全席指定・税込)○4Bチケット(4名)30,000円 ※未就学児の入場不可 ○学生券(当日指定席引換)/平日4,000円 土日祝5,000円
パルコ劇場=http://www.parco-play.com/web/page/
パルコ劇場内=http://www.parco-play.com/web/page/information/golf/
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2006年10月15日
佐藤佐吉演劇祭2006・劇団チャリT企画『アベベのベ』10/13-17王子小劇場
佐藤佐吉演劇祭2006の2公演目は、chari-T(チャリティー)こと楢原拓さんが作・演出される劇団チャリT企画です。私は早稲田での公演を一度観たっきりで(それも普段とは違うテイストだったらしい)、今回がいわば本当の初対面になるのかなと思っていたのですが、パンフレットに「チャリTとしてはちょっと異色の一幕四場1シチュエーション茶番劇」とありました。また異色なのか・・・。
で、蓋を開けてみたら、なんと立派な社会派演劇だったことか!一般市民の生々しい生活風景に、政治、戦争の隠喩が盛り沢山。堂々とした主張もじんわりと沁み込ませた、とても周到に作られたお芝居でした。上演時間は1時間半弱。
楢原さんの「精魂込めて作った一作です」との言葉に、心から納得です。
※佐藤佐吉演劇祭2006レビューブログに公式レビュアー3人(私を含む)、公募モニター4人のレビューが上がっています。こまめにチェックして観劇の参考になさってください!
その他のレビュー⇒ほぼ観劇日記
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レビューをアップしました(2006/10/16)。
舞台は2011年の10月、とあるコンビニの狭い狭い休憩室。安倍晋三内閣も5年目を向かえ、憲法改正の是非を問う国民投票が行われる前日です。店長候補、店員、新人(全員バイト)、そして向かいのライバル・コンビニの店長などが行き交う、現在と変わらないごく普通の若者の12時間を眺めることになります。たわいもない会話と営為に現日本が凝縮されていました。
敢えて狭く作った舞台が客席に近くて良かったです。舞台の天井際に映写される文字映像には、少しばかり具体的な政治批判が含まれていましたが、おかげでこのお芝居の主張がとてもわかりやすかったです。
ここからネタバレします。
「一生懸命働いたって時給は6年間で100円しか上がらない」という、アルバイターの生活の実態を細かく描写します。「使い捨てにされる労働力」とはまさにこのことです。休憩時間は絶対に働かない(意地でも電話を取らない)社員、ああだこうだ言ってサービス残業(無賃労働)を強いる管理職・・・普通の会社でもよくある風景です。日本社会の全体像が生々しく映されている気がしました。
店長代理(松本大卒)は「美しい職場」から「美しい日本」を作り出そうという高い志を胸に、規則違反する店員に厳しく当たります。彼は安倍晋三首相を表していますね。店長代理と取っ組み合いのケンカをする金髪の店員(高見靖二)の、「自分の美意識を押し付けるな!」っていうセリフで吹き出しちゃいました。
親の後を継いだコンビニ店長(三枝貴志)も安倍晋三首相(父が外相、祖父が首相)ですよね。政治家だけじゃなくて、どんな職業でもあるんじゃないのかな。タレントの子供がタレントになるとか、歌舞伎なんて世襲そのものです(私は世襲制度が悪いとは思っていません)。
改憲か護憲かを、○か×を書き込むことによって決める国民投票。
「どちらにしようかな 天の神様の言うとおり あべべのべ かきのたね・・・」
舞台上の有権者は、憲法を変えたら自分達の生活にどういう変化があるのか(ないのか)がよくわかっていません。友達の薦めに乗っかるか、目先の損得に揺らぐか、「どちらにしようかな」と占うか・・・そんなことでもしない限り決められない状態です。それでも明日は決めなきゃだめなんですよね、白か黒かのどちらかに。
いずれ私達にもそんな決断を迫られる日が来るかもしれません。自分で情報を仕入れて、目を見開いて、自分の頭で考えなければ。
改憲賛成派の店員(伊藤伸太朗)が撒くビラを見て、法学部学生の店員(熊野善啓)が指摘するのが痛快でした。
「憲法は国民が国に命じるものだから、憲法に国民の義務を盛り込もうとするのが、まずおかしい。」
ラストシーンが素晴らしかったです。深夜0時過ぎの休憩室で、指を銃にみたてて「バキューン」と人を撃つ真似をする店長候補(松本大卒)。それに対して撃たれた演技をしてあげる女子店員(米田弥央)と、「バカじゃないの?」という反応だけして去る男子店員(竹内洋介)。沈みかえった部屋に残された店長候補は、自分の頭に指の先を当てて撃つ真似をし、「オウッ」と言って倒れて寝てしまいます。そして店員全員がつっ伏して寝てしまっている休憩室に、店に来たお客様の声が聞こえてきます。「すみませーん・・・すみませーん。店員さん?すみませーん。」誰も起き上がらず、そのまま暗転して終演。
誰かに向けた銃は、実は自分に向けられているんですよね。SMAP『Triangle』の歌詞を思い出します。
そして内部のいざこざは外部に影響を及ぼし、この場合はお客様に迷惑をかけることになりました。結果として店の信用が落ちるという具体的な損害が出るでしょう。因果応報ですよね。また、対応をしてもらえないお客様は、戦争の犠牲になる一般市民であるとも受け取れます。
店長候補は仕事をどたキャンする店員(登場しないが、モデル業もやっている女学生)をクビにし、金髪の店員と取っ組み合いのケンカをして辞めさせてしまい、夜勤を自分ひとりでやるはめになりました。なのに、お客様を放っておいて寝てしまうのです。「自分が働いている店に誇りはないのか?」などと立派なことを店員に言いながら、自分も結局は無責任なアルバイトの立場で居続けているからなんですね。「自分は自衛軍ではない」と思い込んでいるから「北朝鮮に自衛軍を派遣する」というアイデアを口に出すパートタイマー(内山奈々)も同じですよね。
出演=松本大卒/米田弥央(カムカムミニキーナ)/伊藤伸太朗/内山奈々/高見靖二/三枝貴志(バジリコ・F・バジオ)/伊瀬尚子/熊野善啓/竹内洋介/楢原拓/小杉美香
作・演出=楢原拓 (chari-T) 音楽=YODA Kenichi 照明=伊藤孝(ART CORE design) 照明操作=小川英士 音響=島貫聡 舞台装置=高見S二 衣裳=小杉美香 スライドCG=楢原拓 宣伝美術/BLOCKBUSTER 舞台写真=宮木和佳子 舞台監督=甲賀亮 舞台監督補=鴫山知広 制作協力=田中有希子(Carpe Diem) 制作=チャリT企画
前売=2500円(全席自由・日時指定整理番号付き) 当日=2800円 中高校生グループ割引=3名で3900円(要予約・生徒証掲示)
公式=http://www.chari-t.com/
佐藤佐吉演劇祭2006まとめ=http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0830030836.html
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2006年10月14日
劇団、本谷有希子『遭難、』10/12-19青山円形劇場
演劇界でも文芸界でも旬の人、本谷有希子さんの新作です(過去レビュー⇒1、2、3)。メルマガ9月号のお薦め前売り情報でもお伝えしておりました。前売りは完売ですが、当日券は開演1時間前から劇場で販売されます。
『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』は映画化が決定したそうです(2007年7月公開予定)。DVDも発売中。
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≪あらすじ≫ 公式サイトより。(役者名)を追加。
放課後の職員室。
教師達が談笑しているところへ一人の保護者(佐藤真弓)がやってくる。その保護者の息子は数週間前に自殺未遂をはかり今も意識不明の生徒で、母親はそれを担任の責任だと言い張り、こうして毎日学校に乗り込んでくるのだった。
「息子が書いた相談の手紙を隠蔽したはず」とつめ寄られ、本当に知らないと泣き出してしまう担任(つぐみ)をかばうもう一人の教師(松永玲子)だったが、実は人格者と評判の彼女こそ、誰にも知られてはならない秘密を隠しているのだった……。
裏を持つ人間がどんどんと状況に遭難していくさまを描くシリアスコメディ。
≪ここまで≫
登場人物5人全員が、胸に秘めた思いを赤裸々に公表せざるを得ない状況におとしいれられ、自分の保身のために他人を裏切り、利用しまくります。敢えて可笑しく描かれるので笑って観ていられますが、起こっていることの実体は目も当てられない、耳にも入れたくない、人間の醜態です。
自分の罪を隠したり、それを他人になすりつけたり、悪事が世間にバレることを恐れたり(ばらすぞと脅したり)することは、この舞台のように露わになっていないだけで、そこら中で常に行われているのでしょう。その実体を敢えて舞台というまな板の上に乗せて、どう料理されるのかを見せてくださったのだと思います。シミュレーション・ゲームのような展開が面白かったです。
「ここまで説明してもらっていいのかしら?」と思うぐらい、人の気持ちを丁寧に描写した脚本だったと思います。私は言葉や行為ではないところから何かを感じ取れるような演出が、もうちょっと多い方が好みかもしれません。
舞台は中学校の職員室。装置と照明のコンビネーション(って言うのかな)が繊細できれいでした。オープニングの照明&音響も、エンディングの効果音もかっこ良かったですね。
ここからネタバレします。
里見(松永玲子)は自分が起こした悪事すべてを、中学時代の先生(佐藤真弓)に言われた一言(=トラウマ)のせいにして、それを言い訳に自分を支えています。だから石原(吉本菜穂子)から「トラウマをなくしなさいよ」と言われると、即座に「私から理由を奪わないで」と反発・懇願します。そういう里見の気持ちにはちょっと共感しました。自分じゃなくて誰か(何か)のせいにしたいですよね、できることなら。まあ、できないんですけど。
里見の感情をセリフで説明しすぎな気もしました。
「他人の気持ちなんてわかるわけない」のだから、わかる努力もしないし、わかってもらおうとも思わない、というのは、言葉の意味だけだと正論ですよね。でも、だったら何のために言葉があるのか、何のために人は一緒に生きるのかという疑問にぶつかります。
「他人の気持ちはわからない」ということを知り、それを認めて、そこから「わかり合いたい」という気持ちを否定しないで関わり合えばいいんじゃないかしら。徒労に終わることも多いけれど(もしかしたら絶望しかないかもしれないけれど)、でも、生きてる時点で一人じゃないわけだし、その絶望のことは後回しにしながら、勝手に希望を抱いて他人とつながりたいと思ってもいいんじゃないかな~。これは、最後の最後にあくびをしちゃった里美を見て、フフっと笑えた気持ちから出た、私の勝手な結論です。
出演=松永玲子(ナイロン100℃)/つぐみ/佐藤真弓(猫のホテル)/吉本菜穂子/反田孝幸(文学座)
作・演出=本谷有希子 舞台監督=宇野圭一/川上大二郎 舞台美術=中根聡子 照明=中山仁(ライトスタッフ) 音響=秋山多恵子 音響操作=藤森直樹(サウンドバスターズ) 衣裳=山本有子(ミシンロックス) 衣裳製作=上原泰子 演出部=スズキサオリ/秦真祐子/長谷川ちえ 小道具製作=堀越春美 演出助手=福本朝子 大道具製作=C-COM舞台装置 小道具=高津映画装飾株式会社 宣伝美術=佐々木暁 イラスト=瀧波ユカリ 宣伝写真=引地信彦 宣伝衣裳協力=NIBROLL About Street WEB担当=関谷耕一 制作助手=嶋口春香 制作協力=(有)ヴィレッヂ 制作=寺本真美 企画・製作=劇団、本谷有希子 主催=社団法人日本劇団協議会・創作劇奨励公演
2006年9月2日(土)発売 全席指定 前売:3,800円 当日:4,000円
公式=http://www.motoyayukiko.com/index.shtml
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吾妻橋ダンスクロッシング実行委員会『吾妻橋ダンスクロッシング』10/13-14アサヒ・アートスクエア
櫻井圭介さんが企画・構成される『吾妻橋ダンスクロッシング』。シベリア少女鉄道、鉄割アルバトロスケット、地点という劇団も参加しているので、初めて伺いました。※過去にはチェルフィッチュや男子はだまってなさいよ、ペンギンプルペイルパイルズのぼくもとさきこさんも出演しています。
ダンスあり演劇(?)ありの、前後半に分かれたオムニバス。身体に魅せられたり、いい意味でも悪い意味でもあっけにとられたり(笑)。
座席によっては声(セリフ)が聴こえず、意味がわからないこともありました。なるべく舞台に近い正面ブロックの席がお薦めです。※全席自由席で、前売りチケットを持っている人から順番に入場します。当日券の方は立見の可能性あり。
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レビューをアップしました(2006/10/15)。
演劇の劇場とは全然違うムードですね、やっぱり。観客の自由度が大きい。座席についている時さえけっこう自由なので、私はちょっとどぎまぎしちゃいました。珍しくお友達と一緒だったのも原因かも。かしこまらず、very cool! very fool!に楽しむことにしました。
ダンスが良かったのは“休もうと雅子”こと康本雅子さん。シベ少は声が聴こえなくて無念。地点はさすがの存在感そして破壊力(笑)。
※私はダンス公演をそんなに観ていないので、パっと見の観客の感想になります。辛口にならざるを得ませんので、どうぞお許しを。
【SIDE A】
1.岩渕貞太「mint(+)」
振付=岩渕貞太 出演=畦地亜耶加/岩渕貞太
ジーンズを履いた普段着の男女のダンス。なんかゆるかったですね。オープニングの爆発力がなくて残念。前や横には動くんだけど、後ろに反らない。体全体を使っていないように感じました。静止してるのも休んでるように見えちゃった。
2.鉄割アルバトロスケット
作振者=戌井昭人 演出・照明=牛嶋みさを
「ハエハエカカカカ」・・・一体、これは何?と思ったときには終わってた(笑)。
「港町ブルース」あぁ、この人たちはネタをやるんだな、と認識。
3.休もうと雅子「妹」
出演=康本雅子
”休もうと雅子”というのは康本雅子さんの今回の芸名のようです。お布団とパジャマ姿の少女。寝たいんだけど起きなきゃだめだし、起きたら会社に行かなきゃだめだし・・・というのを超キュートにお布団と競演。やっぱり体が違いますね、さすがはダンサー。体だけで満足。
ラストにお布団から顔をちょこっと出して「バイバ~イ」と手を振ってくれたのが可愛かった♪
4.小浜正寛(ボクデス)「エア人間関係」
作・演出・出演=小浜正寛
透明のペットボトルを持って登場。「それは何?」「透明人間になれる薬」から始まる一人芝居。とにかくずーっとしゃべりっぱなし。面白かった~。後半で続きがあるのかなと思ったら、これだけだったので残念。
5.yummy dance「I like blue ?」
振付=yummy dance 出演=宇都宮忍、戒田美由紀、合田緑、高橋砂織、特居幸
女の子のダンス・グループのようなんですが、見栄えがしない・・・。ダンスもつまらなかったですねぇ。
6.鉄割アルバトロスケット
「ドラエもの」青いタオルを被ったやさぐれドラえもん登場。どこでもドアとかタイムマシンとか道具を出すネタ。楽しかった。
「金ジャラ」空っぽの財布をわざと落とし、それを拾おうとしたら、上着から小銭がジャラジャラーーーーっ!と、雪崩のように落ちました。最高。
「生まれたての馬鹿」生まれたばかりの子ヤギのような動作をしつつ、人生のグチ。面白かった。
「LSD」私の座席からはタイトル文字が見えなかったため、意味がわからなかったです。残念。
≪20分間の休憩≫ ドリンク(酒を含む)を飲んだり、おつまみを食べたり。私は緑茶をもらいました(1drink制)。
【SIDE B】
1.鉄割アルバトロスケット
「ゆでたまご」ゆでたまごについて、薀蓄にならない薀蓄を語る博士風の男。話し方が完成されていて良かったです。拍手も起こりましたね。面白かったら拍手をする(面白くなかったら拍手をしない)観客に、ブラボー。
2.砂連尾理「バーテンダー」
振付・出演=砂連尾理
舞台中央面(つら)にシェイカー。スポットが当たってます。その後方に渋い黒スーツ姿のバーテンダー。華麗なシェイカーさばきを見せつつダンス。徐々にバーテンじゃなくなってくる。え?シェイカーの中身?ボーリングとかの個人競技もあったような。戦争関連の音響(爆音・飛行機・ヘリ?)。
ごつごつしたダンスで男らしい力とかは感じたんですが、全体としてはぼんやり。
3.シベリア少女鉄道「ニホンゴチョットワカリマス」
作・演出=土屋亮一 出演=前畑陽平、篠塚茜
日本ハム・ファイターズのヒルマン監督(前畑陽平)のインタビューでした。レポーター兼通訳(篠塚茜)が監督の英語の言葉を日本語で訳すのですが、だんだんと通訳の方が先に勝手な日本語で話し始めます。「俺より先にしゃべるなよ!」と監督は怒りますが(監督のセリフはすべて英語)、徐々に通訳が話す日本語を、監督が英語とジェスチャーで解説するようになり、立場逆転。通訳は野球の話どころか、監督の祖母のお葬式で相続争いが云々・・・という全く関係のない話をし始めます。日本語とジェスチャーが、小さめに流れていたBGMのリズムとばっちり合わさった瞬間は爆笑!
ラストはとうとう通訳の女の子 on STAGE状態になり、河村隆一ばりの流し目をしながらノリノリでLUNA SEA(もしくは河村隆一の歌?)を歌います。同時に監督はその歌詞を走り回ってジェスチャーと英語で解説。曲がほぼフルコーラスあったのは長かったですね。歌の歌詞と英語のセリフが聴こえていたら、その馬鹿馬鹿しさをずっと笑えただろうと思うんですが、残念ながら音楽の音量が大きかったのか、役者さんの声が小さすぎたのか、私の席(下手後方)からは意味がわからず・・・。
4.休もうと雅子「姉」
出演=康本雅子
前半と打って変わってセクシー挑発お姉さん。照明とダンスのコラボで壁に生まれる影が迫力。舞台奥・下方から上を照らすの青い照明、丸いスポットの赤い照明も効果的。手足が長くて細くて引き締まっていて、とにかくかっこいい。ダンサーこうあるべし、と強く思いました。お顔もとってもキュートなんですよね~。ファンになっちゃった。
5.鉄割アルバトロスケット
「わき毛でバイオリン」わき毛でバイオリン演奏、の振り。音は声で出してました。爆笑。
「けいさんさん」小学生が計算?よくわからず。これも声が聴こえなかった。
6.地点「話セバ解カル」
出演=安部聡子 演出・構成=三浦基 演出助手=村川拓也 制作=田嶋結菜×橋本制作事務所
引用テキスト=犬養毅「犬養木堂氏大演説集」/町田康「どぶさらえ」/フランツ・カフカ「彼」
いきなり客席にも照明が点きました。しらじらとした広い空間にエメラルド・グリーン色のウェットスーツで登場した安部聡子さん。足には黄色いフィンも装着。舞台中央面(つら)に立ち、客席に向かって犬養毅が殺される前の演説を語ります。「はなせばわかる」というフレーズを何度もはさみながら、途中で河童についての語りも放送されます。膨大なセリフ量!
彼女は河童なんですね。髪から水もしたたっていました。話しても話しても伝わらない。だって彼女は河童だし、いくら話したって解からないものは解からない(犬養は殺されるし)。もちろん彼女が河童ではなく人間だったとしても、聞く側の人間が相手のことを話を聞くべき人物だと思わない限り、人間でさえないのです。「話セバ解カル!」と力を込めて言うたびに笑えたりしました。だんだん悲しく、そして怖くもなりました。
カーテンコールの後、なぜか透明ビニールシートで照明を保護し始めるスタッフ。最前列のお客様にもビニールが配布されていたようです。なんだなんだ?
鉄割アルバトロスケット恒例(と噂)の「ネギで殴り合い」開始。これは・・・驚いたし、あきれました(笑)。彼らの公演では必ずやると聞いていたけど、ここでもやるか!?って。しかもネギだから目が痛い!!
出演=岩渕貞太、小浜正寛(ボクデス)、シベリア少女鉄道、砂連尾理、地点、鉄割アルバトロスケット、休もうと雅子(康本雅子)、yummydance DJ:RYU KONNO(Super Deluxe/Come on People) VJ:稲葉まり
企画・構成=櫻井圭介 企画協力=紫牟田伸子 デザイン=東泉一郎 ウェブ=ALLIENCE PORT 舞台監督=原口佳子(office モリブデン) 照明=森規幸(balance, Inc.DESIGN) 音響=木下真紀 制作=奥野将徳/中西茜 制作協力=プリコグ 製作=吾妻橋ダンスクロッシング実行委員会
全席自由(チケット記載の整理番号順の入場)・ワンドリンク付き 当日3200円 前売3000円 学生前売 2800円(WEB予約のみ)
公式=http://azumabashi-dx.net/
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2006年10月13日
残波大獅子太鼓・20周年記念公演『ZAMPA 沖縄から』10/06オーチャードホール
残波大獅子太鼓(ざんぱおおじしたいこ)は1986年に結成された沖縄の太鼓集団です。太鼓の公演は初めての体験でした。栗山民也さんの演出で歴史的な意味づけもほどこされた、沖縄三昧の2時間30分。
オーチャードホールの客席がほぼ満席のようでしたね。日本の太鼓の公演は、外国でもとても人気があるそうです。残波大獅子太鼓も海外公演をされています。折り込みチラシにも太鼓公演の情報がいっぱい・・・こんな世界もあるんですね~。
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沖縄と言うと私は必ず、学生の頃に一度だけ行った沖縄旅行を思い出します。いろんな意味で強烈な体験でした。その時に知ったのは「沖縄は外国だ(外国だった)」ということ。日本語が通じるし日本の領土に入っているけれど、その空気、人、文化は、日本とは違うものだと痛烈に感じたのです。それをこの公演でも肌で再確認しました。
なぜ、こんなに、深い憂いを感じるんだろう・・・。若者が飛んで跳ねて演奏して、もっぱら明るいSHOWであるはずなんですが、あの沖縄の独特の旋律に、私は深い闇を感じざるを得ません。きれいな女の子の張り・艶のある声を聴きながら、私の心にぐっとこみ上げてくるのは、大きくこの地平に広がる、悲しみです。そしてその悲しみの大地にしっかり根を張って、足をぐっと踏ん張って、空を向いて大気と一体になって命を謳歌する、ゆるぎないバイタリティです。
こんな風に書くとメランコリックな作風だったと勘違いされるかもしれませんね、ごめんなさい。そんなこと全くなかったですよ。力強い太鼓と太陽のように暖かいもてなしの心で、大きなホールが祝祭ムード満点の活気のある世界になっていました。
太鼓って見ても聴いても楽しいし、なんといっても演奏しながら近くに来てくれた時の、床や体に直接ずんずんと響いてくる、あの振動が気持ちいいんですよね!
●第1部:「かりゆしむらあしび」生きることの喜び、自然、光…
太鼓だけでなくサンシン(沖縄三味線)や歌、エイサー(舞)、シーサー(獅子舞)など、楽しい出し物がいっぱいでした。
シーサーと仮面を被った老夫婦(?)が登場するシーンは微笑ましかったですが、ちょっと長かったかなと思いました。でも仮面は第2部に関連させるための演出だったんですね。
●第2部:「戦争と平和」戦いから、再生へ
沖縄は、戦地になった経験のある土地なんですよね。そして今は米軍基地がある場所です。そのことを今、再び知りなおしました。
大きな太鼓が戦争を鼓舞したり、戦死者を弔ったり。叩き方、音量、音色によってその存在はピンからキリまで様変わりします。
第1部に出てきた仮面を後頭部につけて太鼓を叩くシーンがありました。平和に暮らしていた沖縄の人々が戦争に巻き込まれて行ったことがわかりました。
最後はみんなで踊ったんです~(座ったままですが)。大人の観客がいっぱいのオーチャードホールで、全員が手を挙げて、音楽にあわせて一緒に振りをするって、圧巻です。こんなことがサラリと起こっちゃうことに感動しました。
≪兵庫、富山、東京、ほか≫
出演=残波大獅子太鼓/舞踊団・遊花/エイサー団・真南風(新垣千里/新垣史乃/新垣達志/市来真作/喜久里崇/深澤絢/佐孝千暁/伊敷智也)
演出=栗山民也 照明=勝柴次朗 企画・構成=アニマ・エージェンシー
6/24発売 S席4,800円 A席4,300円 B席3,800円 ※未就学児童入場不可
公式=http://www.chimudon.co.jp/(音が鳴ります)
関連ブログ=http://nantoworld.blog27.fc2.com/blog-entry-102.html
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2006年10月12日
ピチチ5『おさびしもの』10/12-16駅前劇場
福原充則さんが作・演出されるピチチ5(クインテット)。私は大好きで、旗揚げ公演からずっと拝見しています(過去レビュー⇒1、2、3)。
ピチチ5としては初の下北沢進出になるんですね。いつもよりちょっと大きめの空間で、いつもと同じムードを味わわせていただきました(笑)。
⇒STUDIO VOICE 2006年6月号で紹介されました。
⇒fringe blog 大人割引
※「40代のフリーターの大人にも観に来てもらいたい」という意思表示ではないかと思いますっ。
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5話のオムニバス形式でした。イケてないサラリーマンや低賃金のフリーター、そしていじめられっ子という、今の日本社会の底辺を生きる男の子たちの生々しい気持ちを情けな~く、みっともな~く、でもめちゃくちゃアグレッシブに描きます。前回のような劇空間としての感動までは及びませんでしたが、爆笑・苦笑しながら、最後には胸を熱くさせる高みにまで連れて行ってもらえました。
ただ、全体としては完成に至っていないように感じました。役者さんの演技にも転換などの演出にも、もうちょっと余裕が欲しいですね。回を増すごとに進化していかれることと思います。今回は10/16(月)まで公演があっていいですね。
ここからネタバレします。セリフはうろおぼえです。
第一話「oh!よしこ」
よしこちゃん(高橋美貴)に「好きだ」と告白する牧村くん(三浦竜一)。「俺の“好き”が、君の“嫌い”に負けてたまるか!」と、よしこちゃんに告白してるくせに対立する、かなりの勘違い野郎です(笑)。
オープニングの作品としてはちょっと弱かったですね。もっとぎらぎらした熱いものが観たかったです。
第ニ話「隻腕くん」
飲み会が終わって風俗に行こうとする会社員たち。スケベに意味を見出すかどうかの口論。「性欲ってやつは悩ませるばかりで、人生の役にたったためしがない!」等。そしてなぜか右手(野間口徹)が登場。
下ネタ炸裂でしたね・・・(苦笑)。ちょっと苦手でした。だって笑うに笑えないッスよ(涙)。でも、寂しさは痛いほど伝わってきました。彼らと同じだと思うのはヤだけど(笑)。
第三話「魚の生徒」
ある女子生徒が自殺し、その告別式に行く男子生徒たち。仲間はずれにされる地味な男の子たちや、常に発言と行動が支離滅裂な暴力教師(植田裕一)など、ステレオタイプな人物が登場する学園ものです。たくさん笑わせていただきました。
男子生徒(野間口徹)の「行ったことがないところには、行かない」という一言が、現代のひ弱な若者を端的に表していますよね。
実は暴力教師こそが死んだ女子生徒の恋人(=女子生徒が身ごもった子供の父親)だったというのは、ちょっと素敵なラブ・ストーリーになっていました。
第四話「牛丼太郎高円寺店」
吉野家よりも松屋よりも、格安で質の悪い牛丼を出す牛丼太郎(という設定です)。真面目に働く気のないフリーターたちの、ため息まじりな本音の戦い。
下手の壁から、ピチチ5おなじみの“本物の乗り物”が登場(笑)!やっぱりここまでやってくれると爽快です。車に轢かれて天国に行く(でも帰還する)サラリーマン(三土幸敏)の言葉が切ないです。
「俺にも奪われるものがあった!いのちだ!」「死んだままでも良かったのに」
第五話「世界をもっと複雑に」
第一話の牧村くんとよしこちゃんのお話に戻ります。「好きだ」と伝えることだけで満足してしまう、牧村くんの気持ちにちょっぴり共感。「世界は曖昧で複雑だ!」というセリフだけで、もう私の心は温まりました。
そして自転車!!!乗る人間ごと下手天井から吊り下げて、空中にぶらさがります。そしてそのまま運転するごとに少しだけ前に進みましたね(笑)。へなちょこ感、脱力感を大切にしながら、全体としては強引で力任せの演出が面白いです。
出演=植田裕一(蜜)/碓井清喜/オマンキー・ジェット・シティー(ゴキブリコンビナート)/野間口徹(親族代表)/三浦竜一/三土幸敏(くねくねし)/吉見匡雄/横島裕(もざいく人間)/高橋美貴(あなざーわーくす)
脚本・演出=福原充則 照明=中村嘉宏(atSound) 照明=河上賢一 舞台監督=中西隆雄 舞台美術=岩田暁/笹野茂之 宣伝美術=岡屋出海 写真撮影=齋藤ジン 演出助手=永渕倫/迫田環 制作=三村里奈(MRco.) 企画・製作=ピチチ5
全席自由席・日時指定・整理番号付 2,500円(当日2800円) 学生割引2,000円(学生証提示)/大人割引2,000円(40才以上、身分証提示)割引券は劇団予約、または当日券のみでの取り扱いです。
公式=http://www.ne.jp/asahi/de/do/pichi.html
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【ワークショップ】演劇千年計画『創作ワークショップ第2弾』11/15-26早稲田大学学生会館/アトリエ・センティオ
演劇千年計画の創作ワークショップの第2弾です。第1弾が好評だったようですが、残念ながら私は都合がつかず、成果発表会を観に行けませんでした。第2弾の発表会(11/26)には伺う予定です。
⇒演劇千年計画公式サイト
⇒創作ワークショップについて
⇒応募要項 申込〆切:11月10日(金)
講師を担当する演出家:大岡淳(商品劇場)、倉迫康史(Ort-d.d)、鳴海康平(第七劇場)、矢野靖人(shelf)、山田裕幸(ユニークポイント)、横山仁一(東京オレンジ)
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2006年10月11日
松竹『獅童流 森の石松』10/02-26新橋演舞場
新橋演舞場での中村獅童さんの座長公演です。脚本は東京セレソンDXのサタケミキオさん、演出は映画やテレビの監督をされている本木克英さん。小劇場で活躍している役者さんが多数出演されています。
獅童さんが喉をつぶされていて、残念。
お昼の回は12時開演で終演は15時30分ごろでした(途中30分の休憩を挟む)。
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≪あらすじ≫
ある小劇場劇団がはじめて大きな劇場で公演をすることになった。けれど、初日3日前なのに肝心のお芝居『森の石松』は全くできていない。切羽詰った演出家(中村獅童)と脚本家(橋本じゅん)がおでん屋台で口論しているところに、いきなり落雷が!2人はタイムスリップしてしまい、たどり着いたのは江戸時代、まさに『森の石松』の世界だった・・・。
≪ここまで≫
新橋演舞場の公演とは思えなかったですね、いろんな面で・・・。現代劇のシーンはバラバラ、どたばたで観ていられなかったです。役者さんがかつらを被って着物姿で出て来られてから、やっと落ち着いて座っていられるようになりました。
最初からこういうことをやりたかったのかしら・・・(汗)。豪華キャストなのに、誰が誰なんだかよくわからないままでした。
一幕が終わったときに降りてくる“大漁”幕がかっこ良かったです。
ここからネタバレします。
タイムスリップしていった江戸時代で、演出家は石松になっています。石松がたどった人生(=筋書き)どおりに物語は進み、“金毘羅参りの帰りに閻魔堂で殺される”シーンまで演じきったところで、それは全て演出家が作り上げた『森の石松』というお芝居のリハーサルだった、という結末になります。つまり劇中劇だったというわけなんですね。
切られても、切られても、石松が死にません。『浪人街』を思い出しました。獅童さんはそういう殺陣がお好きなのかしら。
最後の最後は“カーテンコールの稽古をする”という名目で、思いっきりバンド演奏。獅童さんが「いしまつぅーっ、いしまつぅ~っ!」って、歌ってました・・・。一曲で終わるかと思ったら、終わらず・・・。
出演=中村獅童/高岡早紀/橋本じゅん/深沢敦/八十田勇一/笹野高史/長谷川朝晴/西牟田恵/角替和枝/高橋和也/ベンガル/吉田日出子/近藤弐吉/石井ひとみ/本田誠人/堀本能礼/西村清孝/吉成浩一/飯島ぼぼぼ/阿南敦子
シナリオ=小国英雄/鷹沢和善(映画「森の石松鬼より恐い」より) 脚本=サタケミキオ 演出=本木克英 美術=堀尾幸男 照明=塚本悟 音楽=周防義和 効果=SBS 殺陣=渥美博 衣裳=ひびのこづえ 演出助手=浅香哲哉 舞台監督=赤羽宏郎/宮川孝/藤森條次 制作事務=桐ヶ谷香 制作=松本康男/高橋夏樹/伊東洋介 主催=松竹/TBS 製作=松竹
8月24日(木)チケット販売開始 1等席10,500円 2等席6,300円 3階席3,150円 桟敷席11,550円
公式=http://www.shochiku.co.jp/play/enbujyo/
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フジテレビジョン『JAIL BREAKERS~ジェイルブレイカーズ~』10/06-23東京グローブ座

エントランスの大看板
TOKIOの松岡昌宏さんが主演するG2さん作・演出作品です。ジャニーズ事務所の方の演劇出演が増えているおかげで、東京グローブ座に行くことが多くなってきました。演劇ファンにとってもスタッフ、キャストともに豪華なキャスティングで、ジャニーズ・ファンじゃなくても観に行きたくなる公演ばかり。チケットが取りづらいのが玉に傷、ですね(苦笑)。
上演時間は約2時間45分(途中15分の休憩を挟む)ですが、劇場を出たらちょうど夜10時ぐらいでしたので、合計3時間だと思って行って良いと思います。
⇒当日券予約
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≪あらすじ≫ 公式サイトより。(役者名)を追加。改行を変更。
目の前で親友を殺され、その罪を着せられた主人公銀平(松岡昌宏)は、親友・京介(河原雅彦)の最後の言葉の秘密を解き明かして無念を晴らすべく、脱獄を決意。バンドを組み、ライブ本番の会場から脱走しようと計画を進める。
難航するメンバー集め、混乱するリハーサル。だが、親友が亡霊になって現れるという奇怪な出来事をきっかけに、いつしかメンバー間に友情と音楽する喜びが芽生えてくる。衣装プランナーの紗耶香(須藤理彩)を巡る主人公と幽霊の不思議な三角関係。
そして、いよいよライブ当日。脱走すれば、ライブ演奏はできない。その狭間に悩む主人公たち。会場に張り巡らされた国家権力の罠。
彼らは無事脱獄し、銀平は親友の謎のラストメッセージを解けるのか?三角関係の恋の行方は? 銀平は冤罪を晴らすことができるのか?
≪ここまで≫
最初のシーンであまりの作り物っぽさに愕然とし、「これは・・・もしかしたら途中休憩で帰らなきゃだめかも!?(涙)」と焦ったのですが、なんてことはない、最後まで楽しんで拝見させていただきました~。予想外のお話だったというのが大きいですね。まさかJAIL(牢屋)とロック・バンドがあんなつながり方をするとは(笑)。“塀の中”のお話もG2さんが作るとこんなに明るい!ってことで。
サービス満点のわかりやすいギャグがいっぱいで、松岡昌宏さんの見せ場が盛りだくさん。ストーリー展開は腑に落ちないことが多かったし、いわゆるネタのための演技も目に付きましたが、私は小劇場出身の役者さんたちが出ていることを主に楽しみました。
私の席は舞台下手側ブロックで、常にお芝居を横から眺める状態でした。役者さんとの距離は近いですけど、舞台面側での演技は後ろ姿しか見えない上に、声も聴こえないことが多々ありました。舞台から遠くても正面の席で観たかったな~。
ここからネタバレします。
カーテンコールでノリノリに歌を歌うのが楽しかったです。出演者全員が順番に、ロックバンドのヴォーカル状態。久保酎吉さんがマイク・スタンドを斜めにして、思いっきりシャウト!っていうだけで面白かった~。
松岡昌宏さん。大きな方だな~というのが第一印象。動きも大きいので目立ちます。バケツやフラインパンでできたドラムセットを叩くシーンが好きでした。歌はあんまり・・・。
河原雅彦さん。女装で着替えまくり。足が細い!!
大高洋夫さん。気持ちいいくらい徹底した悪役で、楽しませていただきました。
≪東京、大阪≫
出演=松岡昌宏/須藤理彩/河原雅彦/篠原ともえ/コング桑田/三上市朗/久ヶ沢徹/植本潤/川原正嗣/前田悟/久保酎吉/大高洋夫
作・演出=G2 美術=古川雅之 照明=倉本泰史 音響=内藤勝博 音楽制作=佐野史朗 衣裳=遠藤百合子 ヘアメイク=児島裕司 殺陣=川原正嗣/前田悟 振付=本山新之助 演出助手=高野玲 舞台監督=榎太郎 宣伝美術=河野真一 宣伝写真=岡田貴之 宣伝衣裳=藤井亨子 宣伝ヘアメイク=平山直樹 宣伝=る・ひまわり 企画・製作:フジテレビジョン 制作協力:ジーツープロデュース 主催:フジテレビジョン
S席:8,800円 A席:7,700円 B席:5,500円(全席指定・税込)※未就学児入場不可
公式=http://www.g2produce.com/index.shtml
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2006年10月10日
【オーディション】新国立劇場演劇研修所第3期生(2007年度4月入所)募集
新国立劇場演劇研修所の第3期生の募集内容が公示されました(第1期生、第2期生募集時の記事⇒1、2)。
まず、「募集要項・願書 請求票」を郵送して、願書を入手してください。請求票はダウンロード(PDF)できます。
願書に必要事項を記入の上、2007年1/15(月)~29(月)までの期間中に『新国立劇場 研修主管 演劇 第3期生募集係』に郵送して(2007年1/29消印有効)、この期間内に受験料も振込みます。これで受験申し込みが完了。
★応募資格、研修概要などをよくお読みくださいね。
新国立劇場演劇研修所がどんな俳優養成所なのかは、公式サイトをお読みいただければ、その片鱗を知ることはできるでしょう。
日本劇団協議会が発行する機関誌ジョイン53号に、第1期生と古城十忍さん(一跡ニ跳/日本劇団協議会専務理事)との検証座談会が掲載されています。
古城「ここほどいろんな意味で環境に恵まれている養成所はないと思いますよ。」(p.47)
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アビコカルピズ『裸足』10/06-10サイスタジオコモネ Aスタジオ
文学座有志による自主企画公演です。ONEOR8の田村孝裕さんの戯曲を、文学座の上村聡史さんが演出されます。『裸足』は2001年に下北沢の「劇」小劇場で初演され、2004年に新宿THEATER/TOPSで再演された、いわば田村さんの代表作のひとつなのでしょう。私は初見です。
サイスタジオコモネ Aスタジオには、たぶん初めて伺ったのですが、けっこう広くていい空間ですね。
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舞台はある幼稚園の職員室。幼稚園らしいカラフルな装飾がほどこされた、ほんわか空間です。
幼稚園の先生たちと、園に出入りする人々の数時間を描きます。園児は出てきません。特にがっちりとしたストーリーがあるわけではなく、交わされる会話、行動などからじわじわとその場の人間模様が浮かんできます。
なんだか・・・バラバラな印象のまま終演してしまいました。
ホワイトボードに“4月の予定”とか書かれていたのですが、季節感が感じられなかったですね。夕方になって暗くなったり、雨が降ったりするんですが、臨場感がありませんでした。
美術が可愛らしかったです。色画用紙で作られたイモムシとか、すごく懐かしいです。色紙を入れるダンボールの箱も細かく飾り付けされていて良かったです。出入り口の枠の色や、事務イスの色がそれぞれ違っていたのもカラフルで楽しかった。特に喫煙スペースにつながる裏口の水色のドアは、板の部分が透明のパネルで少し透けて見えるようになっていて、広がりがあって良かったです。ステージ全体が浮いてるように感じられたのも軽いムードでいいなと思いました。
ここからネタバレします。
村八分状態のしほ先生(上田桃子)に、ひでみ先生(鬼頭典子)が話しかけるシーンが良かったです。「大人なんだから」って言われても、冷静に考えちゃいますよね。本当に私たち、大人なのかしら・・・って。
幼稚園の名前は“あおいとり幼稚園”でした。だから4月の入園式の飾りつけのために、みんなで青い色紙の鳥を作るんですね(2000枚ってことは10人で作ったとしても一人200羽・・・大変だっ!)。今、レビューを書きながらやっと気づいたんですが、青い鳥ってつまり童話『青い鳥』のメタファですね。うーん・・・観てる時にわかりたかったな。
出演=征矢かおる/添田園子/鬼頭典子/片渕忍/上田桃子/藤崎あかね/斉藤祐一/木津誠之/柳橋朋典/中村彰男/岡本正巳/赤司まり子
作=田村孝裕(ONEOR8) 演出=上村聡史 美術=乗峯雅寛 照明=阪口美和 音響=増田翔平 ピアノ=大下友里 チラシ=来住真太 協力=文学座企画事業部/サイスタジオ
前売・予約開始2006年9月4日(月) 全席自由席 3000円
公式=http://www.geocities.jp/kamimu20452000/hadashi
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2006年10月09日
ハイバイ『無外流、津川吾郎』終演後のトーク(岩井秀人&岩井通子)10/08渋谷ギャラリー LE DECO
ハイバイ『無外流、津川吾郎』のポスト・パフォーマンス・トークにお邪魔しました。出演者は主宰の岩井秀人さんと岩井通子さん(岩井さんのお母様)。
岩井秀人さんは4年間のひきこもり経験があるそうです。それを見守ってきたお母様の岩井通子(いわい・みちこ)さんは臨床心理士。一言ひとことに重みがあり、いや、重みがありすぎて、たまんないほど泣けちゃいました。下記、印象にのこった言葉の記録です(言葉は正確ではありません)。敬称略。
通子「臨床心理士という仕事は、やってきた人(患者)の言うことを、ただ聞くこと。その人の気持ちになって。そしてずっとその人のそばにいるということです。」
秀人「16歳から20歳までひきこもっていた。ずっとサッカーのゲームをやっていた。母ちゃんがWOWOWに入ってくれた。」
通子「薄い壁の上を息子は歩いていて、あちら側とこちら側、どちらに落ちるのかな、と。あっちに落ちてしまうのか、こっちに戻ってきてくれるのか(あっちとは“病気”のこと)。もしあちら側に行ったとしたら、私はそのためにこの仕事(臨床心理士)をしてきたんだと思おうと思っていた。」
通子「ただ、待ってました。あぁ、“待つ”ってこういうことを言うんだなと思いました。」
通子「秀人が桐朋学園に入学し、「自画像」という発表を見た。演劇をやっている人は、誰もがトラウマを抱えているんだなと思った。」
通子「息子が演劇を始めて、今、こんなに沢山の人に観てもらえるようになるなんて、思っていなかった。最後まで一人でも(息子がたった一人になり、観客も自分一人だけになっても)観るか、と決めていた。」
通子「息子の芝居を観客として観ています(サイコドラマ的視点などではなく)。(彼が変わったというよりは)観客の自分が成長したなと思います。息子の芝居は決してわかりやすいものではない。最初は一緒にバスに乗って、荒野に降ろされたような気分だった。徐々に、荒野に降ろされても泣かなくなって、今は(荒野からの)帰り道を楽しんで帰れるようになった。」
通子「ひきこもりの子供を持つと、親もひきこもる。気分的に。だって外に出て『息子さん、どう?』などと聞かれたくないから。」
通子「(もしひきこもりの子供を持つことになったら)その時真剣に考えて、これがいいと思ったことをやる。それでいいんだと思います。」
秀人「内にこもっているといわれる(実際そうだ)小劇場の世界で、それには距離を置きたいと思った(だからプレビューをやった)。」
出演:岩井秀人 岩井通子
ハイバイ:http://hi-bye.hp.infoseek.co.jp/
2006年10月08日
演劇集団円『ロンサム・ウェスト』10/05-18ステージ円
マーティン・マクドナーのリーナン三部作の一編です。私はマクドナー作品はこれまでに4回(過去レビュー⇒1、2、3、4)、『ロンサム・ウェスト』はひょうご舞台芸術で上演された時に拝見しました。
ぼろぼろ涙が流れるのに、なぜか笑いがこみ上げてきて止まらなくなる・・・!マクドナーの世界を申し分なく表現しきった上質の舞台だったと思います。小劇場で味わえる極上のストレート・プレイをどうぞお見逃しなく!上演時間は約2時間15分(途中休憩10分を含む)。
カーテンコールで「ブラボー!」の声がかかってました。あぁ、何年ぶりだろう・・・演劇公演で「ブラボー」を聞いたのは・・・♪
後半はまだ残席あるとのことです⇒演劇集団円 TEL 03-5828-0654
※ホームページ割引あり!ご覧になってからお電話してください。
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レビューをアップしました(2006/10/12)。
≪あらすじ≫ 公式サイトより。(役者名)を追加。
リーナンに住む兄弟(石住昭彦&吉見一豊)が、父親の葬儀を終えて神父と共に戻った場面から、この作品は始まる。普段から決して仲の良い二人ではないが、こんな日にもお互いを罵倒し、なじり合う。この地に派遣された神父(上杉陽一)は、父親の死にも平然としている兄弟をはじめこの地の人々の生活になじめず何かというと酒を手にするようになり、今ではすっかりアル中気味。
しかし、なんとか、せめてこの兄弟だけでも救えないものかと思い巡らせる。
兄弟と神父の会話に登場するリーナン住民のとんでもない所業、密造酒を売り歩く娘(冠野智美)の淡い恋もあるが、まっとうな神経では生きていけない気違いじみたこの地に絶望した神父の下した結論は・・・。
≪ここまで≫
"The Lonesome West"は日本語だと『孤独の西部』。アイルランド西部の湖に近い街、リーナンが舞台です。演劇集団円は2004年に『ビューティークィーン・オブ・リーナン』を上演しています。リーナン三部作はこれで2作目になるんですね。もう1作も是非上演していただきたいです。
マクドナー作品では、道徳心のかけらもない発言や行動が連発します。目と耳を覆いたくなるほど残酷なことも起き続けます。それを不愉快に、残念に感じながら、登場人物を心の底から愛らしいと思うことができました。どうしようもなく惨めで情けなくて、涙がぼろぼろと止めどなく流れて、でも同時にプっと吹き出し笑いをしてしまうのです。
演出の森新太郎さんは弱冠30歳。20代後半から30代前半の演出家の作品に、また魅せられました。
美術も音響も素晴らしかったです。
ここからネタバレします。
舞台中央は基本的にコーナー兄弟の家なのですが、上手奥がずーっとがらんどうのように暗く広がっていて、兄弟の家とその外側の世界(街、湖など)の存在を常に感じることができました。また、家と上手奥との境目には小さな台所ぐらいの幅しかない窓が建っているだけなので、奥を誰かが歩いて来るのがそのまま見えます。これがとても効果的でした。たとえば家を出て上手にはける時は、遠い真っ暗闇へと堕ちていくように感じるのです。
湖のシーンでは窓を取り除いてぐんと広い空間にし、窓の裏側にあった小さな水溜まりが見えるようになります。ポトン、ポトンと本当の水が滴り落ちる水溜りを、照明で反射させて(たぶん)下手の壁に映し出し、湿った空気を舞台全体で表現していました。とても洗練されたセンスだと思います。
神父が入水自殺するシーンで、下手の壁に貼り付けてあった十字架に、じんわりとその形どおりに照明が当たっていたのが渋かったですね~。
音響については、選曲も音が鳴るタイミングも良かったです。例えば"Unchain My Heart"がかかりました。ちょーかっこいーっ!!!(選曲は藤田赤目さん)
舞台は次々と近親関係で殺人事件が起こっているリーナン。コーナー兄弟の家でも、父親が亡くなったばかりです。兄弟は異常に仲が悪く、同居しながらお互いをけなし合い、何とかして相手を陥れようと日々たくらんでいます。
ある時、弟が集めているマリア様の小さな立像を兄がオーブンで焼いてしまい、数十体のマリア様はどろどろの熱いプラスティックの塊になってしまいました。
弟「オレのレンジでオレのフィギュアを料理しやがった!」※フィギュアっていう訳は面白いですね。
ますます激しくケンカする兄弟にブチ切れた神父は、そのどろどろの中に自分の両手を突っ込みます。驚いた兄弟はケンカを止めて彼に声をかけるのですが、また名前を間違えるんですよね(苦笑)。“ウェルシュ”なのに、いつまでも“ウォルシュ”と区別がつかない。そこでウェルシュは
「わたしの名前は、ウェルシュだっ!」
と叫び、手に白いどろどろを手にべっとり付け、床にもぽとぽとと落としながら退場します。この姿が情けなくって、可愛らしくって、プッと笑えてしまいました。
残された兄弟は「狂ってる。」「正真正銘の気狂いだ。」と神父のことを半分あきれてののしり、今度は床に落ちた液体を掃除しなければいけないと、恨み言を吐き捨てます。ここで今度は泣けてきたのです。神父の行動は素っ頓狂で突飛だけれど、兄弟への愛情から生まれた行為でした。でも彼らはそれに全く気づかないどころか、神父をきちがい扱いして、何事もなかったように通り過ぎてしまうんですよね。兄弟に悪意はありませんが、敢えて鈍感であることを選んだゆえのディスコミュニケーションだと思います。人間はそういう浅いレベルの対話に甘んじることで、自分のことも他人のこともおとしめています。
神父とガーリーン(密造酒を売り歩く娘:冠野智美)とが二人っきりで会う湖のシーンでは、恥ずかしそうに、でも少しずつ素顔を見せ合っていく二人を微笑ましく見つめることができました。しかしながら自殺を決意した神父と、彼にひそかな恋心を寄せる少女とは、完全にすれ違う運命にあります。うっそうと茂る木々と湖の豊かな水とが、ひんやりと全てを支配する青黒い闇の中に、二人の人間の不器用な、一方通行の愛が灯りました。どうしようもなく不恰好で、愛らしくて、そして悲しくて・・・。私は涙が止まらなくなってしまいました。
ガーリーン「だって……少なくとも、まだ幸せになれるチャンスはあるわけだから、ほんとにちっぽけなチャンスかもしれないけど、死んだやつらよりはいい。(中略)少なくとも、こっちにいる限り、幸せになれる可能性はあるわけで、それは死んだやつらだって知ってるわけで、あたしらに可能性があることを、死んだやつらは喜んでくれている。『がんばれよー』とか言ってくれてる、たぶん。というのが、あたしの考え。」 ウェルシュ「その茶色い目の奥で、おまえはたくさんのことを考えているんだねえ。」
神父のファースト・ネームはロミオで、ガーリーン(俗語で“売春婦”の意味)のはマリアだと話すのが、これまた可笑しかったな~・・・。そういえばポツドール『女のみち』でも、暴走族出身のAV女優さんの本名が“安倍マリア”でしたねぇ(苦笑)。
神父が自殺した後、彼がコーナー兄弟に宛てた長い手紙を読むシーンがあります。神父がシャツの前をはだけて胸を見せていた理由がよくわからなかったな~・・・最初、兄(石住昭彦)が登場したのかと勘違いしちゃったんですよね。入水自殺した直後なので、まさか神父が再登場するとは思わなかったんです。
この手紙を読むシーンついては演出上のさらなる工夫ができるんじゃないかと思いますが、神父のセリフには、再び涙、涙でございました。
ウェルシュ「さて、わたしはこの手紙で何が言いたいのか。それは、あんたたちにもまだ何かできることがあるんじゃないかということだ。一度でいいから、二人ともぐっと身を引いて考え、お互いのアタマに来る点をじっくり聞いてみたらどうだろうか、長い年月相手に対してやった意地悪の数々で、いまだに根に持っていることをリストアップして読み上げ、腹を割って話し合う。それから深呼吸を一つして、互いの意地悪を許し合ったらどうだろう?(中略)やってみてだめならだめなんだけど、少なくとも試したとは言えるわけで、それは二人にとって、もっと事態が悪くなるということではないだろう?(中略)ヴァレンとコールマン。わたしはすべてをあんたたちに賭ける。必ずどこかに愛はあるからね。(後略)」
コーナー兄弟は神父の手紙のとおり、お互いの胸にしまっていた恨みを吐き出して、許し合うことを学びます。でもそんなに簡単にはいかないのが世の常(笑)。兄弟が再びひどいケンカへと戻ってしまうのを、じわじわと笑い一杯に見せてくださいました。
どん底に惨めな人間を愛らしく見せて、さらに笑えてしまうように演出することが、マクドナー作品には不可欠だと思います。そして罵詈雑言の裏に存在する、善も悪も、美も醜も抱え込んだ人間の混沌が表に出てきた時、深い感動が味わえる作品へと昇華されるのだと思います。
"The Lonesome West" by Martin McDonagh ※セリフは上演台本より引用させていただきました。
出演=石住昭彦/上杉陽一/吉見一豊/冠野智美
作=マーティン・マクドナー 翻訳=芦沢みどり 演出=森新太郎 美術=伊藤雅子 照明=佐々木真喜子 音響=藤田赤目 衣裳=Koco 舞台監督=田中伸幸 演出助手=林紗由香 宣伝美術=坂本志保 イラストレーション=キムスネイク 制作=桃井よし子/川部景子
約2時間15分「休憩あり」 8/21前売開始 全席指定4200円 学生3500円 ペアチケット7200円
公式=http://www.en21.co.jp/
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【ワークショップ】芸団協・新国立劇場NNTドラマスタジオ「現役の俳優のためのリフレッシュコース」03/12-23芸能花伝舎(2007年)
現役の舞台俳優向けの、新国立劇場演劇研修所の講師(を含む)によるワークショップです!
参加費は10日間90,000円と安くはありませんが、お値段に替えられるものではないと思います(勝手に力説)。どうぞこのチャンスを逃さないで!! ⇒新国立劇場ニュース(2007/01/04)
【現役の俳優のためのリフレッシュコース】
<俳優の身体を見つめる>
・2007年3月12日(月)~3月23日(金)(ただし、土曜・日曜は休み)
・募集人数 18名まで
・参加資格
1)プロフェッショナルな舞台俳優として5~6年以上の経験のある現役の俳優。
2)原則として、期間中毎日参加できること
・参加費90,000円
≪応募方法≫
1月20日(火)~2月22日(月)の間に郵送必着
書類選考あり(3月1日までに結果が出ます)。
⇒詳細は芸団協サイトでどうぞ(申し込み用紙のダウンロードあり)
⇒fringe TOPIC(2006/10/7)
※fringeには「現役の若手俳優がターゲット」とありますが、「5~6年以上の経験があるプロフェッショナルな舞台俳優対象」ですから、ベテランでももちろんOK!
※私は池内美奈子先生のゼミを見学させていただいたことがありますが、すっばらしい先生です!
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2006年10月07日
佐藤佐吉演劇祭参加・乞局『廻罠(わたみ)』10/04-09王子小劇場
佐藤佐吉演劇祭2006のトップバッターは、下西啓正さんが作・演出される乞局(こつぼね)。私は4度目の観劇になります(過去レビュー⇒1、2、3)。
東京の地下深くの下水道が舞台。リアルにゴミ溜めなステージの視覚的印象から、私は食べ物の腐臭やカビ臭さ、人間の汗臭さなど、想像できる限りのあらゆる悪臭を疑似体感しちゃったので、とにかく息苦しくってつらかったです(涙)。
でも、舞台装置はちゃんと清潔なものを使ってらっしゃるので(確かめました)、匂いは観客の想像に過ぎません。これからご覧になる方は、どうぞ私のように無防備になりすぎないよう(苦笑)お気をつけ下さい。上演時間は約1時間45分。
⇒BACK STAGE REPORT
※公式レビュアー3人(私を含む)、公募モニター4人のレビューが、初日からどんどん上がっています。こまめにチェックして観劇の参考になさってください!
⇒佐藤佐吉演劇祭2006レビューブログ
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≪あらすじ≫
下水道で暮らさざるを得なくなった人々。ゴミ溜めから腐った食物をひろって食べ、汗や尿を飲んで生きつないでいる。地上へ逃げ出そうと出口を探しているが見つからない。数ヶ月、もしかしたら数年間、閉じ込められているのかもしれない。彼らは自ら地下に来たのか、それとも誰か・何かに強いられたのか。
ある日、また一人、新入りが降って来た。
≪ここまで≫
意図的に、際限なく気持ち悪い、乞局ワールド。とにかく今回はゴミ!!・・・でした(汗)。私は開演後30分で限界に達し、普段の感覚で舞台を観られなくなりました。その後はなるべく匂いや湿気を感じないように、感覚を閉じる努力しながら観劇しました。・・・なんて本末転倒な芸術鑑賞なんだっ(笑)!
笑えるところが少なかったのが本当に残念。どんなに暗くても汚くてもお下劣でも、ある飽和点に達し、さらにそれを軽く飛び越えた時、プッと吹き出し笑いができることがあります。それが乞局作品の他にはない持ち味で、私にとっては最大の魅力なのです。
匂いや外見の汚さなどを極力排除して人間の姿にフォーカスしてみると、下流社会が明らかに生まれつつある、今の日本に重なるように思いました。“実力社会”“弱肉強食”などという言葉がそのまま通用してしまう資本主義社会。臭いものに蓋をして、無かったことにしてしまう人間関係。非効率的で課金価値の低いものを捨て去り、見捨ててそのまま放置する世界。
それにしても、タイトルや登場人物の名前に尋常じゃない漢字を使っているのは、毎度のことながら笑えてしまいます。今日も帰りの電車で当日パンフレットのキャスト表を眺めながら、にやにやしてしまいました。だって“似人(にっぴ)”て、おい(笑)!
ここからネタバレします。
ゴミゴミゴミって、ゴミのことばかり書いてしまいましたが、壁の質感や赤いパイプへの汚しの入れ方など、リアルにしっかりと作られた美術でした。劇場の天井の高さとキャットウォークを効果的に使っており、臨場感抜群。それも不快感を増徴させた原因でしょう(苦笑)。
落ちてきた女子大生・通枝子(つえこ:津田湘子)に向かって、破れたスーツ姿の刑辺(おさかべ:田中則生)がつぶやきました。
「出られると思ってる?」「当分無理だよ、捨てられたんだから。」(セリフは正確ではありません)
この“捨てられた”というのは、通枝子が警備員の萬田(まんだ:下西啓正)につき落とされたという意味でもあり、このまま見捨てられるという意味でもあります。さらに私は、社会からつまはじきにされ、関心を払われない、つまり存在しないものにされたという意味もあると思いました。こんな風に扱われている人、いますよね。私達も無自覚にそうされている、いや、そうしているかもしれません。
開演から約1時間後に、警備員の一人・サト(秋吉孝倫)が落ちてきて急展開を迎えます。人間関係に過激な変化が生まれるので楽しめました。でも、そこから終演までは長く感じましたね。
女子大生の女の子たちが妊娠させられて、放置されるのですが、あのお腹の大きさはたぶん妊娠5~6ヶ月じゃないかと思います。そんなに長い期間、あんな方法で生き延びられるのかな~。それに、そんな長時間を経た服装には見えなかったです。
落ちてきた警備員のサトを捕虜(?)にして、中縞(なかじま:石井汐)が腹いせに暴力を振るっていた期間はいったい何ヶ月?出口を見つけた荏崎(えのき:仗桐安)を、中縞が殴ったのはいつ?「中縞がひどいことをしてすみません」と、班長の梯田(はしだ:酒井純)が荏崎にお詫びを言うのは一体どのタイミング??・・・という風に、最後の数シーンについては時系列が不明瞭で、腑に落ちませんでした。
※妊娠ではなく栄養失調だったそうです(2006/10/13加筆)。
結局、自ら進んで地下の生活を満喫している荏崎が、班長の梯田に投げ捨てるように言うセリフで、地下の人々の状態がわかります。
「何がしたいの?お前ら。」「歩き回って、もうここのことは全部わかってるんだろう?(出口を知ってるのに、出る気がない)」「道を探すことが日常になっちまってる。」(セリフは正確ではありません)
いやだいやだと言いながら与えられた状況をそのまま受け入れ、今の自分の環境を全て他人のせいにして、不平不満を垂れ流しながら、自ら変化する気持ちは全くないという、愚かな人間の姿が露わになりました。でも、作・演出の下西さんはそれを愚かだと思っているかしら?きれいだと思っているのかも・・・。
出演=秋吉孝倫/地獄谷三番地(劇団上田)/下西啓正/仗桐安(RONNIE ROCKET)/田中則生/三橋良平/五十嵐操/石井汐/酒井純/津田湘子(経済とH)/古川祐子
作・演出=下西啓正 舞台美術=袴田長武(ハカマ団) 照明=谷垣敦子 音響効果=平井隆史(末広寿司) 演出助手=田中兄弟(田中則生・元一) 舞台監督=岩田和明 衣裳=中西瑞美 宣伝美術=石橋淳子 WEB管理=柴田洋佑(劇団リキマルサンシャイン) 制作=阿部昭義(R-style rofect)/大谷美有希(クロカミショウネン18)製作=乞局(コツボネ)
(日時指定・全席自由)前売り・予約:¥2500 当日:¥2800 学生割引:¥2000(要学生証提示) 喪服割引:¥2000(劇団予約のみ・予約は前日まで受け付けています)(喪服もしくは喪服に準ずる服装でお越し下さい)
公式=http://kotubone.hp.infoseek.co.jp/
佐藤佐吉演劇祭2006まとめ=http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0830030836.html
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ハイバイ『無外流、津川吾郎』10/05-15渋谷ギャラリー LE DECO
岩井秀人さんが作・演出されるハイバイ。STUDIO VOICEに紹介されたり、岩井さんが今年11月の劇団ゲキハロ旗揚げ公演『江戸から着信!?~タイムスリップto圏外!~』(瞬殺で完売だったそうです)の演出を手がけられたり、今注目の小劇場劇団です(過去レビュー⇒1)。
私はオープニングから肩を震わせて爆笑!いろいろ不謹慎と受け取る方もいらっしゃるかもしれませんので、作品全体についてのお好みは分かれるところでしょう。私はお薦めしたいです。
追加公演⇒10/9(月祝)19時~(2000円)&10/13(金) 15時~(2500円)
プレビュー公演の感想&そのお返事が公開されています⇒「無外流、津川吾郎」ご感想ページ!
公演前半のポスト・パフォーマンス・トークのゲストが充実してまして、特に“岩井秀人と岩井通子さん(岩井秀人のお母さん)”っていうのは・・・(笑)。トークだけでも行きたいなっ。
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≪あらすじ≫
定年退職した内田(今井勝法)は公民館の碁会所で津川吾郎なる老人(餅松亮)と出会う。本人曰く、無外流(むがいりゅう)という剣術の名人らしい。サラリーマン生活を終えて抜け殻のようになり、これからの人生をどう生きようか悩み始めたばかりの内田は、齢90を超えながらも若者のように奔放に生きる津川に、ついてまわるようになる。
一方、内田の息子・信治(金子岳憲)はいわばニートの若者で、自分を溺愛する母親(北村延子)とリタイアした内田との三人暮らし。劇団員活動をしながら実家に居座り続けている。
ある偶然の出会いから、内田と信治の生きる世界が接点を持ち始め・・・。
≪ここまで≫
現代口語演劇の部類に入ると思います。舞台も現代日本で、衣裳も今の日本人の普段着です。役者さんは日常会話にごく近い話し方をします。ただ、老人役の役者さんが大げさすぎてギャグとしか思えない“シワ”メイクをしたりすることで、「これは劇ですよ」という断りをしています。
劇団活動を描くのは、ハイバイ作品ではよくあることのようです(私が観た過去作品は1作品のみ)。劇団ネタが苦手な私ですが、ハイバイは例外!めっちゃくちゃ面白いです。演じることや劇団という集団活動について常に客観的な視点から描いており、人間のコミュニケーション・ギャップを明快に示して笑えるところまで作り上げています。役者さんも周到な演技ができていて、狙いの鋭さに唸ります。そして、爆笑・苦笑させてもらえます。
“劇団”と同様に作品共通のテーマは“ひきこもり”のようです。ニートの信治が社会と触れ合っていないことは、彼の生活態度から一目瞭然ですが、実はサラリーマンだった内田も、自分自身と向き合って来なかった実質上の“ひきこもり”なのではないかと、今、回想しています。
ここからネタバレします。
オープニングの映像および生掛け声(ニセ大向こう)に爆笑しました。「津川!」とか「ムガイリュウ!!」とかは納得ですが、「老人!」て!「人殺し!」て!!ただ語尾を追ってるだけなのに、あんなに大威張りに声を張り上げるんですから、たまりません(笑)。
笑いのセンスもすっかり私のツボを刺激しまくってくれましたが、照明の微妙な変化のみで場面転換するシンプルさもかっこいいし、テレビ・モニターを使った夢・回想シーンも面白かったです。
今回、私が一番好きだった演出は、暗転です。特に最後から二番目の。ラストシーン(津川が信治と戦い、無外流の奥儀を披露することになる)も冷静なユルさが痛快でした。
内田家の向かいに住んでいる“身体障害者”のダイゴ君(松本裕亮)が登場したのはすごく怖かったです。妻のミエが暴力を振るわれているのに、内田がしばらく居間に隠れているのが許せなかった。「何やってんだよっ、家族を守れよっ!」って思った。でも、彼は怖かったんですよね。どうしたらいいのかわからなかったのでしょう。いつの間にか気づかない内に、そういう人間になってしまった悲しみがありました。
ダイゴ君に襲われて鼻血を出し、よれよれになった内田(父親)と、同じくダイゴ君にセクハラされてひどく傷ついたのに、バカなことを言って自分をごまかす母親に対して感じたことを、信治が観客に向かって独白します。
「・・・何を感じたらいいのか、結局わからないんだ。」
これは信治だけでなく内田についても、そして現代の日本人についても当てはまることではないかと思いました(もちろん私自身のことも含む)。
■ポスト・パフォーマンス・トーク
出演=前川知大(イキウメ)/岩井秀人(ハイバイ)
「180度作風が違う」(前川さん談)という二人の劇作家・演出家同士の、率直なトークが聞けました。お二人とも1974年生まれの同い年だそうです。ハイバイの作品について「笑いながら、冷やっとする瞬間がある」という前川さんのご感想に、私も共感でした。
前川「最後のシーンは、脚本ではどうなってるんだろうと思ったら『二人(信治と津川)ゆるくからみ合う』としか書いてなくって(客席から笑いが起こる)。何も解決しないのに、納得させられてしまう(そこがハイバイの凄いところ)。」
前川「・・・それで、伝えたいことは何?」
岩井「怒(いか)ってる、怒(おこ)ってる部分で書いている、と思います。」
トークの後に聞いた話ですが、9月のプレビュー公演を観た観客からの意見を取り入れ、いろんなところで改善を試みたそうです。特にオープニングの映像はプレビュー時点にはなかったそうで、「前半が長すぎる」という意見をふまえた新たな演出です。あれは・・・爆笑でした。ほんと凄い。
また、演出の岩井さんが劇団の主宰役として出演されていましたが、本公演では田中伸一さんに変わっていました。
※岩井秀人(ハイバイ)/前川知大(イキウメ)/板垣雄亮(殿様ランチ)/瀧川英次(七里ガ浜オールスターズ)の4人で“贅(ぜい)”というユニットを結成したそうです。楽しみですね。
出演=金子岳憲/餅松亮/今井勝法(幹生)/チャン・リーメイ/浜田信也(イキウメ)/永井若葉/松本裕亮/三浦俊輔/田中伸一(開店花火)/北村延子(蜻蛉玉)
作・演出=岩井秀人 照明=松本大介(enjin light) 照明オペ=崎野怜子 美術=土岐研一 宣伝美術=池田泰幸/西村美博(サン・アド) 制作=大久保亜美 (mon)
5日~9日 前売り2000円 当日2500円 11日~15日 前売り2500円 当日3000円
公式=http://hi-bye.hp.infoseek.co.jp/
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2006年10月05日
【お知らせ】10月7日(土)夜にFM西東京「たけがき2」に出演します
FM西東京の演劇情報番組「たけがき2」に出演いたします。毎月第一土曜日のレギュラーです。
今回は前半に新国立劇場『アジアの女』の感想をお話して、後半は佐藤佐吉演劇祭2006および、10月に観られるお薦めお芝居2本をご紹介します。
西東京市およびその周辺地域でお聴き頂けます。
10月7日(土)21:30~22:00(の内の約10分間)
FM 84.2MHz
⇒PodCastingあり!放送終了後にアップされます(数日後だったりも)。
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M&0playsプロデュース/オリガト・プラスティコ『漂う電球』09/28-10/09本多劇場
映画監督としても有名なウディ・アレンの戯曲をケラリーノ・サンドロヴィッチさんが演出。オリガト・プラスティコはケラさんと広岡由里子さんのユニットです。
ウディ・アレンの映画だと私が観たのは「アニー・ホール」「カイロの紫のバラ」「ハンナとその姉妹」ぐらいですかね。
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≪あらすじ≫ 公式サイトより。(役者名)を追加。
1945年のブルックリン。内気でさえない少年・ポール(岡田義徳)は、自宅アパートの一室に閉じこもって手品の練習をしている。そこはポール一家が暮らしているアパート……貧しさのために絶望と怠惰の空気が漂っている。母親(広岡由里子)と父親(伊藤正之)は喧嘩ばかり。弟(高橋一生)は不良で、父親には若い愛人(町田マリー)がいる。母親は言う。「ポール、あなたは天才なのよ」。この暮らしを何とか脱出したい彼女は、かつてIQテストで高得点を取ったポールに明日の希望を賭けている。
ある日、母親は知人のつてで、芸能界の大物エージェント・ジェリー(渡辺いっけい)と知り合いになる。チャンス到来。彼女はジェリーを自宅に招いて、ポールの手品を見てもらい、彼を芸能界にデビューさせることを計画する。拒否するポール。そしてその日、ジェリーは一家が住むアパートにやって来た。
≪ここまで≫
“ウディ・アレン版「ガラスの動物園」ともいえる、家族の物語”とありますように、たしかにテネシー・ウィリアムズの『ガラスの動物園』と登場人物の設定が似ています。広岡由里子さんが演じる母親はほんっとにウザくて(笑)、『ガラス・・・』に出てくる母親と被りました。
ウディ・アレンの映画では、自堕落で不幸な状態にハマりっぱなしのアメリカ人の生活感がにじみ出てると思うのですが、それと似たムードが感じられました。ただアレンの映画では、どん底なのに“のほほん”としてるのが可愛らしいんですけど、この舞台ではそういう柔らかさがなかったですね。
で・・・すみません、途中休憩で帰って来てしまいました・・・。予定どおり、約束どおりに役者さんが動いているように感じて、退屈してしまったんです。2時間30分という上演時間(休憩が何分だったかは失念)にも萎えちゃったんですよね。
ここからネタバレします。
美術(磯沼陽子)がかっこよかったです。家の中を仕切る壁は斜めだけれど、二階部分のレンガの壁は舞台と平行なんですよね。そういえば『隣りの男』も美術は磯沼陽子さんでした。
最初に“漂う電球”がまさに出てきます。ポール(岡田義徳)が丸くて大きな電球を、手品のように自在に操るのですが、それがとても幻想的できれいでした。全体的に暗いから物悲しくもあり、メガネをかけた岡田さんが可愛らしかったです。
【観劇途中で席を立つことについて】
野田秀樹さんが、イギリス留学から帰国された頃のインタビューで、
「日本の観客はつまらなくても最後まで観て拍手までしちゃう。それが日本の演劇が育たない理由(のひとつ)だ。イギリスの観客はつまらなかったら途中で帰るよ。」
という意味のことをおっしゃっていました(どこかの雑誌で読んだおぼえがあります)。
それまで私は「どんな作品も最後まで観るのが礼儀だ」と思っていたのですが、野田さんの言葉に衝撃を受け、自分の考えを改め、イギリスの観客のようになろうと決めました。
※「途中で帰りました」と公表しているレビューは私が観たところまでの感想です。
~THE FLOATING LIGHT BULB~
≪東京/大阪/名古屋/神奈川/宮崎/福岡≫
出演:岡田義徳 高橋一生 伊藤正之 広岡由里子 町田マリー 渡辺いっけい
作:ウディ・アレン 訳:鈴木小百合 演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ 美術=磯沼陽子 舞台監督=幸光順平 照明=岩品武顕 音響=藤田赤目 衣裳、宣伝衣裳=山本有子(ミシン・ロックス) 衣裳助手=松本夏記(ミシンロックス) 演出助手=相田剛志 演出部=望月有希/村上勇作 ヘアメイク、宣伝ヘアメイク=近藤ゆみえ マジック指導=ヒロサカイ 宣伝美術=坂本志保 宣伝写真=三浦憲治 映像=上田大樹 大道具=C-COM 特殊効果=(株)特効 ダンス振付=長田奈麻 主催=(株)森崎事務所M&Oplays
前売り 5,500円 / 当日 5,800円(東京・大阪)
公式=http://www.morisk.com/
ぴあ=http://info.pia.co.jp/et/promo/play/origato_bulb.jsp
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2006年10月04日
ホリプロ『奇跡の人』10/04-22青山劇場
『奇跡の人』は三重苦の少女ヘレン・ケラーとその家庭教師アン・サリヴァン先生のお話。有名ですよね。ホリプロの『奇跡の人』はキャストを変えながら上演され続けており、今回でもう7演目なんですね(⇒2003年版のレビュー)。上演時間は3時間45分(途中15分、10分の休憩を含む)。
ヘレン役の石原さとみさんはなんと初舞台!超~~かっわいーーーーーっっっ!!もー女の私も萌えまくり!ありゃ~身悶える可愛さだよっっ!!
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演出は鈴木裕美さん。シアターコクーンから青山劇場に移りましたけど、装置も演出もほぼ同じでしたね。運良く(?)上手ブロックの最前列の席だったので、ポンプ(井戸)の真ん前!もーかぶりつき!!※見上げる姿勢になるので、2階のベッドルームのシーンは見えないことも多かったです。
今回は・・・とにかく石原さとみさん!!もー可愛くって可愛くって・・・あんなヘレンなら家族に甘やかされて当然だねっ(笑)!作品全体としては、前回の方が家族の物語であることがはっきりと伝わってきました。
劇書房 (2003.3)
通常2-3日以内に発送します。
前回拝見した時も思ったのですが、とにかく戯曲が素晴らしいです。言葉に涙します。以下は「奇跡の人」(額田やえ子訳)より。
ケート「あの子にまず何を教えるおつもり?」
アニー「最初も最後も、それに---その中間も、言葉です。」
アニー「あんたが抜け出す道はたった一つ、言葉なのよ。」
アニー「教えてあげたかったわ---この地上に満ちあふれているもの、何もかもを---ヘレン、この地上で一瞬あたしたちのものになり、そして消えてしまうものを、あたしたちが地上では何なのかということも---あたしたちがそれで未来を開き、過去を潰してきた光---言葉---そう、人間は五千年昔のことでも言葉の光で見ることができるのよ。人間は言葉によって、感じ、考え、知り---そしてわかちあうことができるの、だから真暗闇の中に沈んでしまったり、忘れ去られてしまう者は一人もいないの、お墓に入ってしまってもよ。」
石原さとみさん。激烈にキュートなヘレンでした。演技もすごく自然。声(うめき声、わめき声)も嘘がなく、声を出す度にどきっとしました。すごい人なんですねぇ、やっぱり。これは不思議な感覚だったんですが、ヘレンを観ているというよりは石原さんを観ている気持ちでした。キャンディーをなめたり、嬉しい時にお尻をふりふりしたり・・・あぁ、もだえるゼっ(笑)。
田畑智子さん。大竹しのぶさんが演じていたサリヴァン先生の真似をしているように見えてしまい、残念。サリヴァン先生は20歳ですから、田畑さんの方が大竹さんよりも役の年齢に近いですよね。田畑さんのままのサリヴァン先生が観たいのになぁと思うことがしばしば。歌うシーンでは声がとってもきれいでした。
ヘレンのお洋服がめっちゃくちゃ可愛かったな~。ヘレンのママ(小島聖)が着るドレスも素晴らしかった。
出演:ヘレン・ケラー=石原さとみ アニー・サリヴァン=田畑智子 ケート・ケラ=小島聖 ジェームス・ケラー=山崎裕太 ヴァイニー=歌川椎子 医師・アナグノス=大鷹明良 エヴ伯母=鷲尾真知子 アーサー・ケラー=梨本謙次郎/田鍋謙一郎/武藤晃子/犬養淳治/押田佐代子/佐藤麻衣子/鈴木美紗/鈴木貴子
作=ウィリアム・ギブソン 翻訳=常田景子 演出=鈴木裕美 装置=堀尾幸男 照明=小川幾雄 衣裳=前田文子 音楽=横川理彦 音響=井上正弘 ヘアメイク=河村陽子 ファイティング=川原正嗣 演出助手=坂本聖子 舞台監督=二瓶剛雄 企画協力=笹部博司 エグゼグティヴ・プロデューサー=金森美彌子
S席8,500円 A席 6,500円
公式=http://www.horipro.co.jp/ticket/kouen.cgi?Detail=76
公式ブログ=http://blog.e-get.jp/mw/
ぴあ=http://info.pia.co.jp/et/promo/play/kiseki_hito.jsp
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七里ガ浜オールスターズ『双魚(そうぎょ)』10/03-09 OFF OFFシアター
七里ガ浜オールスターズは瀧川英次さんと大森智治さんの演劇ユニットです(過去レビュー⇒1、2)。前川知大さん(イキウメ)の脚本を瀧川英次さんが演出されます。
超満員の初日で、私は開演15分前に到着したのに桟敷席でした・・・(涙)。上演時間は1時間30分というアナウンスでしたが、開演前に次回公演の予告編(?)パフォーマンスがあったり、全体としては1時間45分強だったかと思います。開演時間ぴったりにその予告編が始まりますので、これから観に行かれる方はどうぞお早めに。
終演後に舞台上で前回本公演『はばかるな』のDVD、劇中曲がすべて収録されたくものすカルテットのCDを販売。
10/9(月)のシークレット・ゲストは久保田芳之さん(reset-N)でした(パンフレットで公表)。
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レビューは途中までアップ。完成するかどうかは未定・・・ごめんなさい。
劇場の中央に舞台があり、客席がニ方向から挟みます。役者さんがめちゃ近い!!
近未来の日本を舞台にしたSF、でした。前川さんの脚本はストーリーとしても人間ドラマとしても、やっぱり面白いですね。同じ舞台上ではめったに観られないであろう、バラエティーに富んだキャスティングも楽しかったです。
ゲストはネタのための存在ではなく、非常に重要な役柄で登場します。これは数バージョン観たくなりますねぇ。
下北沢OFF OFFシアターで上演される前売り2500円のお芝居としては、とても見ごたえのある作品だと思いました。
ここからネタバレします。後ほどアップ予定。※2011/10/29にアップし忘れていたのを加筆。
舞台は近未来の日本。人類は昼の民“クーリオ”と夜の民“モンド”の二種類の人種に分かれています。クーリオは普通の人間。モンドは死ぬまで若い肉体のままでいられる、いわば進化した人間です。若いクーリオにある手術を施すと、モンドになれます。モンドの体は驚くほど丈夫で、脳細胞も若いまま。でも光に対しては極端に弱く、太陽光を浴びると焼け死んでしまいます。また、生殖機能に問題があって出生率が異常に低いため、モンドがクーリオの子供を養子にとる事が通常化してきました。そんな世界では当然のことながら、差別が生まれます。
登場人物の悲しみに触れ、自分自身のことを振り返りながら、人種差別、民族紛争、種の保存などについて考えをめぐらせました。
玲子(母:荻原もみぢ)が真魚(子:菊川朝子)に話すシーンで、彼女の名前が真魚である所以と、タイトル『双魚』の意味が語られました。
「魚座(双魚宮)はギリシア神話のアフロディーテ(母)とエロス(子)を表している。二人は赤い糸で繋がっていて、離ればなれになってもいつかきっと会えるのだ」
だから娘の名前が真魚(まお)で、タイトルの『双魚』にもつながっているんですね・・・かっこいい!
ラストが「え?これで終わり?」というような少々肩透かしな感じで、私としてはちょっと残念でしたね。思いっきりハッピーな結末になっていたのも腑に落ちなかったです。真魚(菊川朝子)は家族と別れるのがいやだ、モンドの世界に行くのがいやだと思いながらも、“太陽を克服したモンド”である自分の運命を受け入れて、さらし者になることを選んだんだと思います。だからアンハッピーな空気の中での、勇気ある決断が見たかったですね。
開演前に次回公演の予告編が上演されましたが、本当は「次回の小屋も押さえていない」そうです(笑)。本格的な照明演出だったし、ダンスもがっちり作られていて、衣裳も揃ってて・・・あれがただの余興だったと思うと可笑しいです。凝りすぎっ(笑)。
上演中に使用楽曲CDの宣伝コーナーがあったのには驚きました。斬新、というのか・・・あきれました(笑)。で、まんまとハマってCD買っちゃったんですけどねっ!
出演=片岡正二郎/大倉マヤ/菊川朝子(Hula-Hooper)/荻原もみぢ(劇団上田)/平原テツ(reset-N)/野口雄介(神様プロデュース)/盛隆二(イキウメ)/大森智治/瀧川英次
作=前川知大(イキウメ) 演出=瀧川英次 音楽=くものすカルテット 舞台監督=吉田慎一(Y's facory) 美術=土峡研一 照明=松本大介(enjin-light) 照明オペレーター=山崎佳代 音響=荒木まや 音響オペレーター=前田規
※日替わりゲスト=3日(火)板垣雄亮(殿様ランチ)/4日(水)西田シャトナー/5日(木)吉田テツタ/6日(金)多田淳之介(東京デスロック) /7日(土)ブラジリィー・アン・山田(ブラジル) /8日(日)星耕介(Oi-SCALE) /9日(月)シークレット
前売り2500円 当日2800円 トリオ6600円(3枚1組) リピーター1500円
公式=http://stars.moon.st/
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2006年10月03日
ニ兎社『書く女』10/02-15世田谷パブリックシアター
寺島しのぶさんや筒井道隆さんが出演される、永井愛さんの新作です。私は永井さんの大ファン♪喜び勇んで初日に伺いました。
タイトルの『書く女』とは樋口一葉(Wikipedia)のこと。寺島しのぶさんが美しくて、美しくて・・・もう私ってば彼女を見つめながら何度もほろほろと涙を流していました。
当日券は開演の1時間前より劇場受付にて販売開始。上演時間は約3時間15分(途中15分の休憩を挟む)です。
全国ツアーで沢山の町を旅されますので、どうぞチェックしてくださいね!
レビュー⇒マガジンひとり
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レビューをアップしました(206/10/06)。
樋口一葉(寺島しのぶ)が19歳にして作家を志し、半井桃水(なからい・とうすい:筒井道隆)の元に弟子入りしてからの生涯を描きます。
こまつ座『頭痛肩こり樋口一葉』も拝見していたので、一葉の生活について少しは知識はありましたが、ずっとずっと貧しかったんですねぇ・・・。この『書く女』では、明治の時代に女であり小説家であった一葉の姿を、永井さん独自の視点から描き、さらに人間の想像力の豊かさこそが、この世界を世界たらしめていることを舞台で表してくださいました。
初日ということで舞台装置のバタバタとか、役者さんのどぎまぎとか、なんとセリフを飛ばしてしまった人までいらっしゃいました(それが観客にわかるぐらいだった!)。でも、それもこれも、全てが寺島さんの存在のおかげで消し飛ばされました。
こまつ座もそうですが、貧しいし不幸だし、どう考えてもどん底じゃないの?!と思うような人生さえも、笑いいっぱいに描かれます。きっと今も昔もそこは変わらないのかもしれません。誰も皆、人様には知られたくない過去の後ろめたさ、現実のつらさがあります。人間はそれをにっこり笑って隠して、みんな一緒に人生を楽しんで行くのだと思います。
ここからネタバレします。
半井桃水との報われない恋の描写はなんともコミカルで、超胸キュン♪ だからこそとても切ない。パンフレットの森まゆみさんと永井愛さんの対談に書かれています↓
森「あの雪の日のくだりなんか、自らおしるこを作って食べさせてくれた、なんて……。」
永井「あぁもう、私だったら絶対好きになっちゃいます(笑)!」
そう!そうそう!私もね、もーね、たまんかったッスよっ、筒井道隆さんの桃水はっ!!出てくる度に「今度は何をしでかしてくださるのかしらん?」って期待しちゃってました。だって、一葉(寺島しのぶ)の肩を優しく抱き寄せながら「“友達”になりましょう」とかヌカすし、そのくせ「行かないでください、あと30分、20分、あと15分でいいですから!」とか、サラっとした顔で言うんだぜーーーーーっっ!?この女泣かせっ!
そう言われる度に必死で一葉は自制心を働かして、桃水から逃れます。「やっぱダメ!」と言いながら(笑)。
桃水が水ばかりのおしるこを作ってくれるシーン。一葉はひとくち頂いて「夢のように美味しい!」って言うんですよね・・・あの時の寺島さんのお顔ったら!!本当に天にも登るような悦びとときめきがありました。私ね、このシーンで既に涙ぐんでた(苦笑)。
雪をふみしだきながら歩くところ、吉原へと向かう男達を乗せた馬車の音など、一葉は自由に想像をめぐらせます。彼女が感受性豊かに思い描く日本の風景や、人々の生活、そして恋が、一葉のセリフ・演技を通じて観客に伝わります。生活が困窮していても、次々と不幸が降りかかろうとも、人間の想像力はその全てを際限なく超えて、思うままに広がります。
日清戦争(Wikipedia)に勝利し、言論がどんどんと規制されていく当時の日本で、一葉ら文学の世界に生きる人間と一般庶民との間では、埋まらない溝がますます広がっていくようでした。
だから、一葉の母の「だまれ!非国民!!」というセリフで爆笑できたのが、すごく、すごく意義の有ることだと思います。人間にはそれぞれの考えや主張がありますから、常に他人とわかりあって同じ道を進むことは不可能です。でも互いに自由に考えて行動し、ぶつかりあいながらも、相手の存在自体を否定したりしてはいけません。一葉の母に「泊まる人カムイン!」と呼ばれたら、文学者も皆、彼女の家に入って飲み明かすのです。そうやって楽しく共存していきたいです。
川上眉山(細貝弘二)が一葉に言った「本当のあなたをお書きなさい。」という言葉は、一葉だけでなく世界中の人々に向けられているように思いました。もちろん私も含めて。
燐光群の役者さんが3人も出演されているんですね。辛口評論家の斎藤緑雨(向井孝成)と一葉のシーンが良かったです。緑雨は女の一葉と対等でした。一葉もそれに気づき、緑雨に応えました。
一葉「あなたを100年の馴染みのように感じます。」
≪東京、新潟、大阪、名古屋、神奈川、栃木、滋賀、香川、愛知・知立、愛知・長久手、福井、富山、岩手、宮城、山口≫
出演=寺島しのぶ/筒井道隆/八木昌子/小山萌子/石村実伽/粟田麗/江口敦子/小澤英恵/向井孝成/中上雅巳/杉山英之/細貝弘二
作・演出=永井愛 美術=太田創 照明=中川隆一 音響=市来邦比古 衣裳=竹原典子 舞台監督=三上司 所作指導・都々逸=藤間藤三郎 大道具=C-COM/テルミック 小道具=高津装飾美術株式会社 かつら=細野かつら 床山=山田康夫/土瀬戸紘子 プロンプター=日沖和嘉子 宣伝美術=マッチアンドカンパニー 宣伝写真=今井智己 舞台写真=林渓泉 ウェブデザイン=板澤一樹/貝嶋一哉 制作=弘雅美/安藤ゆか 票券=松本恵美子/津田はつ恵 文芸助手=早船歌江子 製作=二兎社
前売開始7月29日 1階席5000円 2階席4500円 3階席3000円 学割1500円
ポスト・パフォーマンス・トーク 10月4日(水)…大石静・永井愛 10月9日(祝)…寺島しのぶ・筒井道隆・永井愛
公式=http://www.nitosha.net/
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2006年10月02日
【お薦めの本】福田誠治 著「競争やめたら学力世界一~フィンランド教育の成功~」(朝日新聞社)
演劇の制作さんのお薦めで拝読いたしました。なんて強烈なタイトル!そして内容はもっともっと衝撃に満ちていました・・・私にとってはページをめくる度に嬉しいショックの連続!本が赤ペンの線だらけになっちゃいましたよ(苦笑)。
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本の中からごく一部を引用します(この本全体の要約ではありません)。
「義務教育期間である十六歳までは、他人と比較するためのテストも競争もない」(p.5)
「フィンランドの教育の特徴は、ひとことで言えば『いやがる者に強制しない』ということだ。あの手この手で促しはするけど、本人のやる気が起きるまで待つのである。」(p.5)
「フィンランドでは、『人間というものは、もともと興味・関心を持っていて、自ら学んでいくものだ」という信念とともに、『強制すれば、本来の学習がぶち壊しになってしまい、教育にならず、かえってマイナスだ。』という判断を多くの大人たちが持っているようだ。」(p.5)
「子どもたちには、『学ぶことは自分のためだ』という意識が徹底しているようだ。」(p.52)
「他人の目をそれほど気にせずに自分のために学べるというのには、自分が社会に受け止めてもらえるという安心感、人権を生かす福祉の思想が社会の根底にあるからだろう。」(p.52)
著者がとらえたフィンランドの教育の特徴↓(p.54)
第一に、一人ひとりを大切にする平等な教育がなされている。
第二に、子どもが自ら学ぶことを教育の基本の据えている。
第三に、学校教育が最大の効果を挙げられるよう、教師を専門家として信頼し、教師が働きやすい職場を作っている。(中略)学力調査などは子どもと教師の支援のために使われ、学校や教師の出来・不出来を公表したりはしない。
第四に、権利としての教育を福祉としての教育が包み込んでいる。小学校から大学までの授業料は無料だが、それだけでなく、高校までは教材や教具(ノート、コンパス、鉛筆などの学用品)、給食、通学費などさまざまな学習環境が無料なのである。
「フィンランドの教育研究者たちは、習熟度別編成は長期的に見て『できる子』にはよい影響を与えず、『できない子』にとっては何らプラスにならないと分析し、習熟度別編成をやめるべきだと判断を下した。」(p.77)
「フィンランドは統合学級でありながら、多様な学力の子どもたちに個別に対応するという難しい教育に突入していったのである。」(p.77)
「フィンランドには、テストがほとんどない。それは、分ける必要がないのであり、分けることをよくないことと考えているからである。」(p.80)
「『異質生徒集団』方式、統合教育が大原則だ。」(p.81)
「テストの点数は一通過地点の一部にすぎず、それをもとにすべてが決まるわけではなく、フィンランドの子どもたちはもっと長期的に人生を判断し、しかも将来の犠牲になることなく、今、人生そのものを生きていると解釈するほかはない。また、その時にベストの道を選択するのであって、それが人生への不利になるとかチャンスを失うなどとは考えられていないということだ。さらに、多様な道が社会の中で意義あるものと認められており、人間を単純な点数で一列に並べたりしないということだ。ここにあいまいさも生まれるが、それが多様な可能性としてこの社会では生きている。」(p.84)
「個人の能力差は認める。しかし、子どもの成長に影響を与える社会的・経済的背景の格差は、何がなんでも埋めていく。そして、子どもたち一人ひとりを社会がしっかり受け止めていく。これがフィンランドである。」(p.192)
「PISAはテストで測りうる生徒の能力を、多用な教科領域の中で諸問題を取り上げ、解決し、解釈する場合に、問題を効果的に分析し、推論し、コミュニケーションするという能力だとして、これを読解力(読解リテラシー)、数学的リテラシー、科学的リテラシー、問題解決力から成る『リテラシー』という概念で呼ぶことにしたのである。」(p.198)
※PISA:programme for International Student Assesment(国際学力調査)
「学力の規定が、教科の知識から、誰もが社会生活で使う実際的な能力へと変わったのである。」(p.199)
※フィンランドは税金が高い国として知られています(例:消費税は22%)
外務省サイトによると、18歳以上の男子に6~12ヵ月の兵役があるんですね。
教師の待遇、地位が日本とは全然違うこともよくわかりました。
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2006年10月01日
青年団自主企画vol.30『World's end』09/25-10/02アトリエ春風舎
サラダボールの鈴木大介さんの脚本を青年団演出部の西村和宏さんが演出されます。青年団の自主企画は次々と新しい顔ぶれでいつも楽しみです。初日に伺えず、本日拝見。
若くて可愛い女優さんたち(+男優1名)の写真つきプロフィール・ページがありました!青年団の役者さんは公式サイトで紹介されていないので、貴重ですよね(笑)。
⇒BACK STAGEの充実のインタビュー・稽古場レポート
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≪あらすじ≫ 公式サイトより。
5人用のシェルターにある日突然、5人の若い女と1人の若い男が閉じ込められた。
彼、彼女たちはどうしてここにいるのかわからない。
わかっているのは、このままだとシェルター内の二酸化炭素濃度が高くなり、全員死ぬということ。
残された時間は無い。
追い詰められた状況で6人がとる行動とは・・・
このシェルターの物語に挿入される、とある国の空港、路上、ホテルのシーン。旅行客であったり、ボランティアだったり、ジャーナリストだったりする日本人がその国で起こっている内戦を傍観しながら、彼女、彼らはくだらない話をし続ける。
≪ここまで≫
開演前の前説に、上演時間が1時間10分(予定)から1時間40分に変更になったとのアナウンスあり。うーん・・・長くなっちゃったんですね(笑)。
舞台は地下のシェルター。今どきの脱力した若者たちが閉じ込められています。いわゆる静かめの演技で、やる気なさそうなムードが漂っており、音楽は一切なかったような。たまに単調なセリフを間髪入れずに受け答えするところがあって、アクセントとして面白かったです。でも無理矢理やってるように見えてしまったので、作品として上手く調和しているようには思いませんでした。中盤でちょっと眠くなっちゃったりも・・・。
「世界が終わるのと自分が死ぬことは同じだと思う」というキャッチコピーに共感します。いつも思い出すんですが、漫画『MONSTER』もそこを描いていたんじゃないかと思うんですよね。自分が助かるために自分以外の誰かが死んでもいいと考えたり、地球のどこかで戦争が起こっていても、自分の国が参戦していない限り自分には関係がないと思ったり・・・。その時点で既に“世界の終わり”なのだと思います。
先月から、若い役者さんが出演・演出される戦争を描いたお芝居(『きらめく星座』、『スタンレーの魔女』)を観て、新しく気づいたことがあり、それをこの作品でも同様に感じました。今を生きる若者が、ありのままの状態(今の身体)で戦争の渦中(舞台上)にいることで、観客は戦争について、今の自分の感覚で考えることができるようになるのです。
役者さんが戦時中の人物になりきっていると、伝記ものとか歴史ものとして受け取りがちです(それもまた重要なことですが)。今の若者のへにょっとした立ち姿で軍服を着ている(戦争について語る)ことによって、かえって「戦争って、ヤだな」とか「戦争って理不尽!」などと、素直な反応ができるようになります。ちょっとバカみたいですけど、これはとても大切なことだと思います。
ここからネタバレします。
シェルターの中の閉塞状態を描きつつ、途中で何度かに分けてシェルターに入る前の出来事が挟まれます。刺激的な演出でしたが、少し構成が散漫な気がしました。セリフに特に必要のない繰り返しがあったようにも思います。
1人を殺せばあとの5人は生き残れると考え、トランプなどを使って死ぬべき1人を選ぼうとするところから、ぐっと舞台の緊張度が増して、「いったいどうなるのだろう?!」と集中できるようになりました。
誰か1人を殺すことで、残りの複数人の命を助けようと考えた瞬間、もう人間じゃなくなってるんですよね。世界(=人間の人生)の終わりなのだと思います。
言葉も通じない、内戦状態の国に勝手に乗り込んでいって「日本人の俺らは関係ない」と思っている若者のバカさ加減が、あまりにひどかったので笑えました。
なぜ、そしてどうやって、6人がこのシェルターに入ったのかがわからなかったです。そこを気にしたらつまらないのかもしれないけど(映画『CUBE』みたいに)、できれば知りたかったな~。
出演=荻野友里/後藤麻美/小林亮子/立蔵葉子/堀夏子/明石修平(bird's-eye view)
作=鈴木大介(サラダボール) 演出=西村和宏(青年団演出部) 照明=岩城保 舞台美術アドバイザー=鈴木健介 舞台美術=濱崎賢二 衣装=兼松光 宣伝美術=吉澤友実 制作=武藤真弓/立蔵葉子 総合プロデューサー=平田オリザ 企画・制作=青年団/(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場 主催=(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場
前売・当日共 一般2,000円/学生1,500円(当日要学生証) 9月27日の回は平日マチネ割引(チケット発売日 8月14日(月) 一般1,500円/学生1,000円) ※日時指定・全席自由 ※未就学児童入場可能
公式=http://worlds.nomaki.jp/
青年団内=http://www.komaba-agora.com/line_up/2006_9/worldsend.html
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スペースノイド『スタンレーの魔女』09/22-10/01シアターグリーンBIG TREE THEATER
ある劇団の制作さんからのお薦めで観に行ってまいりました。松本零士さんの漫画を舞台化なんて・・・すっごく気になっていたんです。でもスペースノイドとは衝撃的な初対面をしてしまっていたので(笑)、ちょっと怖いな~とも思ってたんですよね。
しかしながらそんな心配は全く無用でした。とても真摯な態度で作品と向き合ってらっしゃる劇団でした。美術と照明が素晴らしい!上演時間は約1時間35分です。
劇団サイトで予告編動画を配信中。
毎週月曜更新のSPACENOID FMあり。
レビュー⇒休むに似たり。
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レビューをアップしました(2006/10/06)。
スタンレー山脈を越えた先にある、パプアニューギニアの首都ポート・モレスビーを攻略しようとした日本軍。空軍の若き飛行機乗りたちのお話でした。
開場時間から飛行機の操縦士が、舞台上のコックピットの操縦席にだらりと座っていました。照明でじんわりと装置を照らし、松本零士さんの漫画の世界に特有の、だだっぴろく広がる底なしの暗さを感じました。開演前から圧巻でしたね。
飛行機や車などの乗り物を舞台で表現するのは難しいことだと思います。人が乗るわけですから、実物の大きさを感じさせなければなりません。でも実物を使うのは容易ではありませんし(特に飛行機は難しい)、本物が舞台に存在するのはかえってダサかったりもします。・・・が、この作品の飛行機の表現は絶品でした。
舞台面側の少し上手寄り中央に、コックピット部分のセットだけがあり、最初は飛行機の機体はありません。でも後半で兵士たちが飛行機に搭乗することになると、舞台後方にあったパーツを組み合わせて機体を作るのです。それがぴったりドッキングしないで少しずれているのが、機体のポンコツ感を表現できています。さらに演劇的効果が高いのは、下手天井から吊られた巨大なプロペラです。飛行機が飛び始めるときに初めて、そのプロペラが回るんですよ~。それで観客は自然に、大きな飛行機が飛んでいることを想像できるのです。
はじめ、若い兵士たちはとにかく暇そうに休みまくっています。彼らは一式陸上攻撃機(いちしきりくじょうこうげきき)の乗り込み員で、いつも失敗ばかりしている落ちこぼれです。罰として今回の襲撃には参加させてもらえず、不名誉ながら自堕落な時間をむさぼっています。
いわゆる“戦士の休息”タイムが長く続くのですが、その会話がとても可愛らしいです。ギャグもけっこうありますが、笑わせるためというよりは彼らの穏やかな関係を表すためのものであり、人間同士のごく自然なコミュニケーションとして書かれた脚本であるように感じました。ただ、演技と演出についてはあまり効率がよくなかったように思います。セリフとセリフの間が不自然に長く感じたりして、ちょっと退屈しました。
だらだらしている男の子たちは、今どきのごく普通の若者なんですよね。彼らが深緑色のつなぎとベストを着ていることに、大きな違和感を感じました。また右上腕部に鮮やかな日の丸の旗が縫い付けられているのも、不快でした。だって今の若者は「日本国万歳!」とか言うようには教育されていないですから。
「みんなが戦っているのに、俺らはただぼーっとしていたただけ。情けない。俺達も加勢したい」
「俺達はただ飛びたかっただけ。でも時代が時代だから、その飛行機がゼロ戦だっただけだ。」
こんな言葉(セリフは正確ではありません)を男の子たちがサラリとつぶやくので、ズキっと胸が傷みました。舞台は太平洋戦争時代ですが、演じているのは今を生きている若者です。だから戦時中の常識と今とのギャップを肌で実感し、戦争というものを自分のものとして受け止めることができました。先日の『きらめく星座』でも感じたことです。リアルな歴史ものとしての戦争演劇も大切ですが、若者が若者のままで舞台に立つからこそ伝わることがあるんですね。
ここからネタバレします。
ゼロ戦のエリート飛行士たちが、落ちこぼれたちが乗る一式陸上攻撃機を、自らの命を捨てて守るシーンで、私はどーどーと号泣。だってだって・・・ドラム缶にぽつんと一人っきりで腰掛けた男の子(ゼロ戦に乗っている)が、真っ赤な照明と爆撃音を浴びると、そのまま背後にばったん、ごろり!と倒れて落ちるんだもの!!
漫画「スタンレーの魔女」は20ぺージぐらいの短編だそうです。私はたぶん昔に読んだ気がするんだけど、すっかりストーリーは忘れていました。今作品では設定や結末は変えずに、兵士達の交流場面が追加されたようです。
スタンレー山脈を越えるためには、飛行機の重量を減らさなければならない。だから操縦士以外の全員が飛び降りた・・・。なんという悲惨な結末。操縦士がたった一人だけ残されたエンディングの風景は、オープニングと重なりました。
私は小学生の頃、松本零士さんの漫画『銀河鉄道999』が大好きで、今は文庫本のコミックを全部持っています(大人買いしたの♪)。松本さんの描く世界はギャグもあるし美女も登場しますが、社会風刺が効いていて、全体のイメージはとてつもなく暗いですよね。オープニングとラストに、その世界に通じる重厚なムードがあったと思います。
出演=矢崎進/鈴木啓文/魚住和伸/清水洋介/清水嘉邦/藤代和真/浅倉洋介(風琴工房)/藤枝直之/船生光
原作=松本零士 脚本・演出=御笠ノ忠次 音楽=佐々木久夫〔Sean North〕 照明=津村裕子(アート・ブレーン・カンパニー) 音響=前田真宏 美術=魚住和伸 美術協力=エンドレスファクトリー 舞台監督=伊東龍彦 演出助手=岡崎龍夫 映像=渡辺一樹 撮影協力=月川翔/池永亘/伊藤諒/片岡亮 宣伝美術=藤野和美 CG製作=池田始 衣裳協力=中田商店 制作=伊藤蔵人 企画・製作=スペースノイド
〔全席指定〕3,000円
公式=http://s-noid.com/
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メルマガ 2006年10月のお薦め舞台

お薦めお芝居をご紹介しています
2006年10月のお薦め舞台10本+αをご紹介します。
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“しのぶの演劇レビュー” Vol. 29 2006.10.1 1,038部 発行
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今、面白い演劇はコレ! 年200本観劇人のお薦め舞台♪
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◎一雨ごとに秋になる、東京です。芸術は今が本番!
劇場でとっておきの瞬間をつかんでくださいね♪
舞台には、あなたの心を揺さぶり、
人生の輝きを増してくれる奇跡があります。
“今から観られる面白い演劇”をご紹介します。
お友達、ご家族、恋人と一緒に、どうぞ劇場を訪れてください♪
◎メルマガのバックナンバー↓は全て公開しています。
http://blog.mag2.com/m/log/0000134861
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○○ 今回のもくじ
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◆1【今月のお薦め10本+α】
◎No.1→ニ兎社『書く女』
10/02-15世田谷パブリックシアター
http://www.nitosha.net/kakuonna/
◆2【先月のベスト3】
◎No.1→新国立劇場演劇『アジアの女』
09/28-10/15新国立劇場小劇場
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0928230441.html
◆3【Yahoo!の今月のオススメに取り上げられました!】
◎“魅惑の舞台芸術! 演劇&ミュージカル特集”
http://picks.dir.yahoo.co.jp/weeklypicks/20060918.html
◆4【佐藤佐吉演劇祭2006が開幕します!】
◎これから2ヶ月、毎週、王子小劇場に通います。
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0830030836.html
◆5【年末のお薦め芝居をチェックしておきましょう!】
◎鬼が笑うかもしれないけど、12月のお薦めお芝居をご紹介。
◆6【編集後記】
◎12/16(土)“吉祥寺ちらし会議”にパネラーとして参加します。
◎10月7日夜にFM西東京『たけがき2』に出演します。
◆7【このメルマガについての注意事項(毎月同じ内容です)】
◎はじめての方はどうぞお読みくださいね♪
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◆1 【今月のお薦め10本+α】
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▽★印がいちおし公演です(3本)。
▽初日の早い順に並べています。
▽掲載内容:主催/冠名・『題名』・日程・会場・コメント・価格・URL
▽座種の記述がない公演は全席指定。
★1.ニ兎社『書く女』
10/02-15世田谷パブリックシアター
≪東京、新潟、大阪、名古屋、神奈川、栃木、滋賀、香川、
愛知・知立、愛知・長久手、福井、富山、岩手、宮城、山口≫
☆出演=寺島しのぶ/筒井道隆/他 作・演出=永井愛
1階席5000円 2階席4500円 3階席3000円 学割1500円
http://www.nitosha.net/kakuonna/index.html
●お薦めポイント●
永井愛さんの新作に、寺島しのぶさんが主演されます。
多地域公演は続々と完売しているそうで↓、富山では追加公演が決定!
http://blog.eplus.co.jp/nitosha06/2006-09-24
永井さん作・演出のニ兎社『歌わせたい男たち』は
昨年度の朝日舞台芸術賞グランプリを受賞しています↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/1010220803.html
2.ホリプロ『奇跡の人』
10/04-22青山劇場
☆出演=石原さとみ/田畑智子/小島聖/山崎裕太/ほか
作=ウィリアム・ギブソン 翻訳=常田景子 演出=鈴木裕美
S席8,500円 A席6,500円
http://blog.e-get.jp/mw/
大竹しのぶさんが演じて来られたサリヴァン先生役が、
7演目にして田畑智子さんに。2003年版のレビュー↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2003/0305231752.html
3.フジテレビジョン『JAILBREAKERS~ジェイルブレイカーズ~』
10/06-23東京グローブ座
≪東京、大阪≫
☆出演=松岡昌宏/須藤理彩/河原雅彦/篠原ともえ/三上市朗/他
作・演出=G2
S席8,800円 A席7,700円 B席5,500円 未就学児入場不可
http://www.g2produce.com/index.shtml
TOKIOの松岡昌宏さんが主演。楽器演奏あり?
4.ホリプロ『ブロードウェイミュージカル「ペテン師と詐欺師」』
10/06-11/05天王洲 銀河劇場
☆出演=鹿賀丈史/市村正親/奥菜恵/愛華みれ/高田聖子/他
演出:宮田慶子 翻訳:常田景子 訳詞:森雪之丞
S席12,600円 A席9,450円
http://www.horipro.co.jp/ticket/kouen.cgi?Detail=73
天王洲 銀河劇場のこけら落とし公演は、豪華キャストのミュージカル。
★5.パルコ・東宝芸能
『ゴルフ・ザ・ミュージカル ~ゴルフなんて大嫌い!』
10/08-29パルコ劇場
≪東京、静岡、名古屋、大阪、福岡、仙台、新潟≫
☆出演=川平慈英/高橋由美子/池田成志/堀内敬子/相島一之
脚本・作詞・作曲=マイケル・ロバーツ 台本・演出=福島三郎
一般8,500円 4Bチケット(4名)30,000円 ※未就学児の入場不可
学生券(当日指定席引換)平日4,000円 土日祝5,000円
http://www.parco-play.com/web/page/information/golf/
1ラウンド18ホールを18曲の音楽に載せて描くミュージカル。
福島三郎さんの作品は見逃せないです!
★6.劇団、本谷有希子『遭難、』
10/12-19青山円形劇場
☆出演=松永玲子/つぐみ/佐藤真弓/吉本菜穂子/反田孝幸
作・演出=本谷有希子
前売:3,800円 当日:4,000円
http://www.motoyayukiko.com/index.shtml
本谷有希子さんの新作。追加公演も決まりましたね。
メルマガ9月号のお薦め前売り情報でもお伝えしました。
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0901001003.html
7.THE SHAMPOO HAT『津田沼』
10/13-22ザ・スズナリ
☆作・演出=赤堀雅秋
指定席=前売り3,300円 当日3,500円
自由席=前売り3,000円 当日3,200円
*平日マチネ(10/19 14:00の回)
指定席=前売り3,000円 当日3,200円
自由席=前売り2,800円 当日3,000円
http://www33.ocn.ne.jp/~shampoohat/
赤堀雅秋さんの新作を劇団員キャストで。
8.劇団青年座『ブンナよ、木からおりてこい』
10/14-22本多劇場
☆作=水上勉 演出=黒岩亮
一般5,000円 ゴールデンシート(65歳以上)4,000円
ユニバーシート(大学・各種学校生)3,500円
チェリーシート(高校生以下)2,500円
ブンナシート(一般+高校生以下)7,000円~
http://www.seinenza.com/
登場するのは動物達。その壮絶な弱肉強食のドラマ。
昔、演劇学校の発表会で観たきりなので、とても楽しみです。
9.Bunkamura『緒形拳ひとり舞台 白野-シラノ-』
10/14-17シアターコクーン内特設小劇場TheatrePUPA(ピューパ)
STUDIOコクーン・プロジェクトVol.4
≪東京、茨城、山形、岩手2ヵ所、北海道5ヵ所≫
☆出演:緒形拳 楽師:ウォルター・ロバーツ
原作:エドモンド・ロスタン「シラノ・ド・ベルジュラック」
演出:鈴木勝秀
指定席(椅子)6,000円 自由席(桟敷)5,500円
http://www.bunkamura.co.jp/
緒形拳さんがお一人で演じる「シラノ」。
10.ONEOR8『電光石火』
10/24-31THEATER/TOPS
☆出演=野本光一郎/藤田記子(カムカムミニキーナ)/
福島まり子/木村靖司(ラッパ屋)/他
作・演出=田村孝裕
前売¥3000 当日¥3300
26日(木)14:30のみ 前売¥2500(当日は通常料金¥3300)
http://homepage2.nifty.com/oneor8/
田村孝裕さんが作・演出されるONEOR8(ワンオアエイト)の新作。
★★★――――――――――――――――――――――――――――――
前売り2500円以下(!)のお薦め作品を5本ご紹介します。
――――――――――――――――――――――――――――――★★★
【1】七里ガ浜オールスターズ『双魚(そうぎょ)』
10/03-09 OFF OFFシアター
☆作=前川知大(イキウメ) 演出=瀧川英次
※日替わりゲストあり
前売り2500円 当日2800円
トリオ6600円(3枚1組) リピーター1500円
http://stars.moon.st/
話題の若手劇作家・演出家の前川知大さんの新作。
【2】ハイバイ『無外流 津川吾郎』
10/05-10渋谷ギャラリー LE DECO
☆作・演出=岩井秀人
10/5~9 前売り2000円 当日2500円
10/11~15 前売り2500円 当日3000円
http://hi-bye.hp.infoseek.co.jp/
前回のレビュー
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0203222553.html
【3】ピチチ5(クインテット)『おさびしもの』
10/12-16駅前劇場
☆脚本・演出=福原充則
全席自由席・日時指定・整理番号付 2,500円(当日2800円)
学生割引2,000円(学生証提示)
大人割引2,000円(40才以上、身分証提示)
※割引券は劇団予約、または当日券のみでの取り扱い。
http://www.ne.jp/asahi/de/do/pichi.html
前回のレビュー
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/1022171123.html
【4】東京デスロック『再生』
10/26-31アトリエ春風舎
☆作・演出=多田淳之介
予約2300円 当日2500円
http://www.specters.net/deathlock/
多田さんが演出される青年団リンク・二騎の会『直線』の
ポスト・パフォーマンス・トークに出演しました。
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0905153938.html
【5】五反田団『さようなら僕の小さな名声』
10/27-11/05こまばアゴラ劇場
☆作・演出=前田司郎
予約当日とも1500円 全席ほぼ自由席
※未就学児童の入場は原則として不可
http://www.uranus.dti.ne.jp/~gotannda/
小説も執筆されている前田司郎さんの新作。1500円は破格!
≪ダンス≫
○吾妻橋ダンスクロッシング実行委員会
『吾妻橋ダンスクロッシング』
10/13-14アサヒ・アートスクエア
☆企画・構成=櫻井圭介
全席自由(整理番号順の入場)・ワンドリンク付き
当日3200円 前売3000円/学生前売2800円(WEB予約のみ)
http://azumabashi-dx.net/
シベリア少女鉄道、地点、鉄割アルバトロスケットなどの劇団も出演。
≪ミュージカル・音楽劇(私は観られないかも・・・)≫
○文化庁舞台芸術国際フェスティバル
『歌舞劇 song & dance 田園に死す』
10/04-08新国立劇場 中劇場
http://www.majorleague.co.jp/
http://www.tv-tokyo.co.jp/event/stage/denen.html
○アミューズ『冬のソナタ ザ・ミュージカル』
10/04-29新宿コマ劇場
http://www.fuyusona-musical.com/
○TSミュージカルファンデーション『AKURO』
10/19-29サンシャイン劇場
http://www.tsmusical.com/
◎しのぶの今月の全予定(29本+α)はSCHEDULEに掲載しています。
http://www.shinobu-review.jp/schedule.html
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◆2 【先月のベスト3】
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1.新国立劇場演劇『アジアの女』
09/28-10/15新国立劇場小劇場
☆長塚圭史さんが描いた、絶望の廃墟の中の、幻のような奇跡。
舞台から地続きの客席へ、そして世界へと祈りがつながりました。
10/15まで上演中!
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0928230441.html
2.渡辺源四郎商店『背中から40分』
09/24-10/04こまばアゴラ劇場
☆ホテルの一室ではじめて出会った男女の、“生きる”ことへの道程。
笑えて泣けて、そしてエロスまで堪能できる贅沢な1時間35分です。
10/4まで上演中!
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0928041638.html
3.Ort-d.d U-30プロジェクトvol.2『サド侯爵夫人』
08/30-09/03アトリエ・センティオ
☆若い女優さんの演技対決に、ここまで心を揺り動かされたのは初めて。
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0902112246.html
次点.中野成樹+フランケンズ『暖かい氷河期』
09/08-18 横浜STスポット
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0912010647.html
◎メルマガのバックナンバーはこちら↓で全て公開中!
http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000134861
メルマガ号外は誰が観ても楽しめそうなものを選んで発行しています。
9月(観劇数は33作品)は残念ながら発行しませんでした。
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◆3 【Yahoo!の今月のオススメに取り上げられました!】
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◎「しのぶの演劇レビュー」が、
Yahoo!の今月のオススメに取り上げられました!
“魅惑の舞台芸術! 演劇&ミュージカル特集”
http://picks.dir.yahoo.co.jp/weeklypicks/20060918.html
特集ページに書かれた、舞台芸術を紹介する文章が素晴らしいです↓
「見る人は見る、見ない人には敷居が高そうな舞台芸術。
でも、素晴らしい作品に接したときの感動は、
ほかでは得がたいものがあります。何しろ、それは
まさに眼前で起こり、立ち現れる出来事なのですから。
今上演中の芝居は、今しか見られないもの。
魅惑の舞台を求めて、この秋は劇場へ!」
おかげさまで新しく私のサイトを発見してくださった方も増えて、
掲載当初はアクセス数が4倍に!ありがとうございます!!
これからもこつこつ観劇を続け、正直に、愛情を込めてレビューを
書き続けていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
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◆4 【佐藤佐吉演劇祭2006が開幕します!】
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◎王子小劇場が、自信を持ってお薦めする劇団が集まった時だけ行う
佐藤佐吉演劇祭2006が開幕します。およそ2ヶ月にわたる演劇祭です。
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0830030836.html
私はフェスティバル参加作品のすべてを観て、そのレビューを書く
公式レビュアーになりました。今月のラインナップは4本。
1.乞局『廻罠(わたみ)』
10/04-09王子小劇場
☆作・演出=下西啓正
前売り・予約:¥2500 当日:¥2800(日時指定・全席自由)
学生割引:¥2000(要学生証提示)
喪服割引:¥2000(喪服もしくは喪服に準ずる服装でお越し下さい)
※喪服割引は劇団予約のみ・予約は前日まで
http://kotubone.hp.infoseek.co.jp/
2.劇団チャリT企画『アベベのベ』
10/13-17王子小劇場
☆作・演出=楢原拓 (chari-T)
前売=2500円(全席自由・日時指定整理番号付き) 当日=2800円
中高校生グループ割引=3名で3900円(要予約・生徒証掲示)
http://www.chari-t.com/
3.smartball『My Legendary Girlfriend』
10/20-24王子小劇場
☆作・演出=名執健太郎
前売2300円/当日2500円(日時指定・整理番号付・全席自由席)
高校生以下2000円(要学生証・Y.e.Pのみ取扱)
http://smartball.yep-web.com/
4.自己批判ショー『木曜の男』
10/27-30王子小劇場
☆脚本&歌詞&振付&演出&プロデュース=栗原崇浩
全席自由 前売2300円 当日2500円 学割1500円
イギ高割引2000円 月曜メンズ&レディースDAY2000円
http://www.zico-hihan.com/
私を含めて3人の公式レビュアーによるレビューが、公演期間中に
王子小劇場のホームページにアップされることになっています。
http://www.en-geki.com/sakichi/
どうぞ参考になさってくださいね。
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◆5 【年末のお薦め芝居をチェックしておきましょう!】
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◎「まだ10月なのに、もう年末の話!?」と笑われるかもしれません。
でも12月は何かと忙しくなってしまい、観たいと思った時には
もう予定がいっぱい・・・ということがありませんか?
私のイチオシ公演を3本ご紹介します。
クリスマス時期のお楽しみに、ぜひ舞台観賞を追加してください♪
■新国立劇場『エンジョイ』
12/07-23新国立劇場 小劇場
THE LOFT 小空間からの提案
http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/10000119.html
チェルフィッチュの岡田利規さんが新国立劇場に初登場。
http://chelfitsch.net/
発売日⇒10/22(日)10:00~
■グリング『虹』
12/20-24紀伊國屋ホール
http://www.gring.info/
劇団の座付き脚本・演出家の青木豪さんの新作を見逃すなかれ。
発売日⇒10/23(月)10:00~
■ロシア国立ボルコフ記念劇場来日公演
『検察官』12/13-17東京芸術劇場 小ホール2
『「熊」/「結婚申込」』12/20-23東京芸術劇場 中ホール
http://www.ints.co.jp/volkov/
ロシア演劇は、役者さんの佇まいに触れるだけで感動できたりします。
チケットは発売中です。
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◆6 【編集後記】
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◎“吉祥寺ちらし会議”にパネラーとして参加します。
12月16日(土)15:00~18:00@武蔵野商工会議所会議室
吉祥寺シアターで12月に行われる、
青年団『ソウル市民』三部作連続上演12/06-17吉祥寺シアター
http://www.seinendan.org/
の関連企画として開催される、
グラフィックデザイナー・京さんの100作品達成記念個展
「京ちらしアートワーク展『100:』」内の企画です。
http://www.kyodesignworks.com/
◎毎月第一土曜日は、FM西東京の演劇情報番組「たけがき2」に
レギュラー出演させていただいております。
http://takegaki.k-free.net/
今月は10月7日(土)の夜に出演します。
※PodCastingが始まっています↓
http://www.voiceblog.jp/takegaki842/
◎地方新聞に掲載される新作邦画DVDの紹介記事を書いています。
「これは面白いよ!」というお薦め邦画情報モトム!
お問い合わせフォーム↓
http://www.shinobu-review.jp/contact/
9月は下記の4作品を拝見しました。
・「おいしい殺し方」★面白かった!
http://www.gyao.jp/drama/delicious/
・「間宮兄弟」
http://www.mamiya-kyoudai.com/
・「陽気なギャングが地球を回す」
http://www.yo-gang.com/
・「雪に願うこと」★地味だけどすごく良い映画でした。
http://www.yukinega.com/
◎9月にポスト・パフォーマンス・トークに出演しました。
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0905153938.html
◎2005年11月にセミナーにゲスト出演いたしました。
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/1107002836.html
セミナー開催を希望される方は、是非ひとこと↓お寄せください!
http://www.shinobu-review.jp/contact/
◎新聞・雑誌などに執筆する仕事をしています↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0331235959.html
お仕事のご依頼はこちらへ↓お気軽にどうぞ♪
http://www.shinobu-review.jp/contact/
◎「劇場に足を運ぶことが、日本人の習慣になって欲しい」
それが私の望みです。
これからもこつこつ、地道に進んで行きたいと思っております。
皆様、どうぞよろしくお願いいたします♪
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