演劇の制作さんのお薦めで拝読いたしました。なんて強烈なタイトル!そして内容はもっともっと衝撃に満ちていました・・・私にとってはページをめくる度に嬉しいショックの連続!本が赤ペンの線だらけになっちゃいましたよ(苦笑)。
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本の中からごく一部を引用します(この本全体の要約ではありません)。
「義務教育期間である十六歳までは、他人と比較するためのテストも競争もない」(p.5)
「フィンランドの教育の特徴は、ひとことで言えば『いやがる者に強制しない』ということだ。あの手この手で促しはするけど、本人のやる気が起きるまで待つのである。」(p.5)
「フィンランドでは、『人間というものは、もともと興味・関心を持っていて、自ら学んでいくものだ」という信念とともに、『強制すれば、本来の学習がぶち壊しになってしまい、教育にならず、かえってマイナスだ。』という判断を多くの大人たちが持っているようだ。」(p.5)
「子どもたちには、『学ぶことは自分のためだ』という意識が徹底しているようだ。」(p.52)
「他人の目をそれほど気にせずに自分のために学べるというのには、自分が社会に受け止めてもらえるという安心感、人権を生かす福祉の思想が社会の根底にあるからだろう。」(p.52)
著者がとらえたフィンランドの教育の特徴↓(p.54)
第一に、一人ひとりを大切にする平等な教育がなされている。
第二に、子どもが自ら学ぶことを教育の基本の据えている。
第三に、学校教育が最大の効果を挙げられるよう、教師を専門家として信頼し、教師が働きやすい職場を作っている。(中略)学力調査などは子どもと教師の支援のために使われ、学校や教師の出来・不出来を公表したりはしない。
第四に、権利としての教育を福祉としての教育が包み込んでいる。小学校から大学までの授業料は無料だが、それだけでなく、高校までは教材や教具(ノート、コンパス、鉛筆などの学用品)、給食、通学費などさまざまな学習環境が無料なのである。
「フィンランドの教育研究者たちは、習熟度別編成は長期的に見て『できる子』にはよい影響を与えず、『できない子』にとっては何らプラスにならないと分析し、習熟度別編成をやめるべきだと判断を下した。」(p.77)
「フィンランドは統合学級でありながら、多様な学力の子どもたちに個別に対応するという難しい教育に突入していったのである。」(p.77)
「フィンランドには、テストがほとんどない。それは、分ける必要がないのであり、分けることをよくないことと考えているからである。」(p.80)
「『異質生徒集団』方式、統合教育が大原則だ。」(p.81)
「テストの点数は一通過地点の一部にすぎず、それをもとにすべてが決まるわけではなく、フィンランドの子どもたちはもっと長期的に人生を判断し、しかも将来の犠牲になることなく、今、人生そのものを生きていると解釈するほかはない。また、その時にベストの道を選択するのであって、それが人生への不利になるとかチャンスを失うなどとは考えられていないということだ。さらに、多様な道が社会の中で意義あるものと認められており、人間を単純な点数で一列に並べたりしないということだ。ここにあいまいさも生まれるが、それが多様な可能性としてこの社会では生きている。」(p.84)
「個人の能力差は認める。しかし、子どもの成長に影響を与える社会的・経済的背景の格差は、何がなんでも埋めていく。そして、子どもたち一人ひとりを社会がしっかり受け止めていく。これがフィンランドである。」(p.192)
「PISAはテストで測りうる生徒の能力を、多用な教科領域の中で諸問題を取り上げ、解決し、解釈する場合に、問題を効果的に分析し、推論し、コミュニケーションするという能力だとして、これを読解力(読解リテラシー)、数学的リテラシー、科学的リテラシー、問題解決力から成る『リテラシー』という概念で呼ぶことにしたのである。」(p.198)
※PISA:programme for International Student Assesment(国際学力調査)
「学力の規定が、教科の知識から、誰もが社会生活で使う実際的な能力へと変わったのである。」(p.199)
※フィンランドは税金が高い国として知られています(例:消費税は22%)
外務省サイトによると、18歳以上の男子に6~12ヵ月の兵役があるんですね。
教師の待遇、地位が日本とは全然違うこともよくわかりました。
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