寺島しのぶさんや筒井道隆さんが出演される、永井愛さんの新作です。私は永井さんの大ファン♪喜び勇んで初日に伺いました。
タイトルの『書く女』とは樋口一葉(Wikipedia)のこと。寺島しのぶさんが美しくて、美しくて・・・もう私ってば彼女を見つめながら何度もほろほろと涙を流していました。
当日券は開演の1時間前より劇場受付にて販売開始。上演時間は約3時間15分(途中15分の休憩を挟む)です。
全国ツアーで沢山の町を旅されますので、どうぞチェックしてくださいね!
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レビューをアップしました(206/10/06)。
樋口一葉(寺島しのぶ)が19歳にして作家を志し、半井桃水(なからい・とうすい:筒井道隆)の元に弟子入りしてからの生涯を描きます。
こまつ座『頭痛肩こり樋口一葉』も拝見していたので、一葉の生活について少しは知識はありましたが、ずっとずっと貧しかったんですねぇ・・・。この『書く女』では、明治の時代に女であり小説家であった一葉の姿を、永井さん独自の視点から描き、さらに人間の想像力の豊かさこそが、この世界を世界たらしめていることを舞台で表してくださいました。
初日ということで舞台装置のバタバタとか、役者さんのどぎまぎとか、なんとセリフを飛ばしてしまった人までいらっしゃいました(それが観客にわかるぐらいだった!)。でも、それもこれも、全てが寺島さんの存在のおかげで消し飛ばされました。
こまつ座もそうですが、貧しいし不幸だし、どう考えてもどん底じゃないの?!と思うような人生さえも、笑いいっぱいに描かれます。きっと今も昔もそこは変わらないのかもしれません。誰も皆、人様には知られたくない過去の後ろめたさ、現実のつらさがあります。人間はそれをにっこり笑って隠して、みんな一緒に人生を楽しんで行くのだと思います。
ここからネタバレします。
半井桃水との報われない恋の描写はなんともコミカルで、超胸キュン♪ だからこそとても切ない。パンフレットの森まゆみさんと永井愛さんの対談に書かれています↓
森「あの雪の日のくだりなんか、自らおしるこを作って食べさせてくれた、なんて……。」
永井「あぁもう、私だったら絶対好きになっちゃいます(笑)!」
そう!そうそう!私もね、もーね、たまんかったッスよっ、筒井道隆さんの桃水はっ!!出てくる度に「今度は何をしでかしてくださるのかしらん?」って期待しちゃってました。だって、一葉(寺島しのぶ)の肩を優しく抱き寄せながら「“友達”になりましょう」とかヌカすし、そのくせ「行かないでください、あと30分、20分、あと15分でいいですから!」とか、サラっとした顔で言うんだぜーーーーーっっ!?この女泣かせっ!
そう言われる度に必死で一葉は自制心を働かして、桃水から逃れます。「やっぱダメ!」と言いながら(笑)。
桃水が水ばかりのおしるこを作ってくれるシーン。一葉はひとくち頂いて「夢のように美味しい!」って言うんですよね・・・あの時の寺島さんのお顔ったら!!本当に天にも登るような悦びとときめきがありました。私ね、このシーンで既に涙ぐんでた(苦笑)。
雪をふみしだきながら歩くところ、吉原へと向かう男達を乗せた馬車の音など、一葉は自由に想像をめぐらせます。彼女が感受性豊かに思い描く日本の風景や、人々の生活、そして恋が、一葉のセリフ・演技を通じて観客に伝わります。生活が困窮していても、次々と不幸が降りかかろうとも、人間の想像力はその全てを際限なく超えて、思うままに広がります。
日清戦争(Wikipedia)に勝利し、言論がどんどんと規制されていく当時の日本で、一葉ら文学の世界に生きる人間と一般庶民との間では、埋まらない溝がますます広がっていくようでした。
だから、一葉の母の「だまれ!非国民!!」というセリフで爆笑できたのが、すごく、すごく意義の有ることだと思います。人間にはそれぞれの考えや主張がありますから、常に他人とわかりあって同じ道を進むことは不可能です。でも互いに自由に考えて行動し、ぶつかりあいながらも、相手の存在自体を否定したりしてはいけません。一葉の母に「泊まる人カムイン!」と呼ばれたら、文学者も皆、彼女の家に入って飲み明かすのです。そうやって楽しく共存していきたいです。
川上眉山(細貝弘二)が一葉に言った「本当のあなたをお書きなさい。」という言葉は、一葉だけでなく世界中の人々に向けられているように思いました。もちろん私も含めて。
燐光群の役者さんが3人も出演されているんですね。辛口評論家の斎藤緑雨(向井孝成)と一葉のシーンが良かったです。緑雨は女の一葉と対等でした。一葉もそれに気づき、緑雨に応えました。
一葉「あなたを100年の馴染みのように感じます。」
≪東京、新潟、大阪、名古屋、神奈川、栃木、滋賀、香川、愛知・知立、愛知・長久手、福井、富山、岩手、宮城、山口≫
出演=寺島しのぶ/筒井道隆/八木昌子/小山萌子/石村実伽/粟田麗/江口敦子/小澤英恵/向井孝成/中上雅巳/杉山英之/細貝弘二
作・演出=永井愛 美術=太田創 照明=中川隆一 音響=市来邦比古 衣裳=竹原典子 舞台監督=三上司 所作指導・都々逸=藤間藤三郎 大道具=C-COM/テルミック 小道具=高津装飾美術株式会社 かつら=細野かつら 床山=山田康夫/土瀬戸紘子 プロンプター=日沖和嘉子 宣伝美術=マッチアンドカンパニー 宣伝写真=今井智己 舞台写真=林渓泉 ウェブデザイン=板澤一樹/貝嶋一哉 制作=弘雅美/安藤ゆか 票券=松本恵美子/津田はつ恵 文芸助手=早船歌江子 製作=二兎社
前売開始7月29日 1階席5000円 2階席4500円 3階席3000円 学割1500円
ポスト・パフォーマンス・トーク 10月4日(水)…大石静・永井愛 10月9日(祝)…寺島しのぶ・筒井道隆・永井愛
公式=http://www.nitosha.net/
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