明日図鑑は牧田明宏さんが作・演出される劇団です(過去レビュー⇒1)。劇団員は3人だけですので、公演の度に出演者を集める体制のようです。
三鷹市芸術文化センター・星のホールは、なかなか難しい劇場なんですよね・・・。
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≪あらすじ≫
夫が借金を苦に自殺したため、美晴(大久保佳代子)は妹の伸子(山口奈緒子)と二人で暮らしている。夫の工場と自宅を売却しようと、不動産業者(中谷竜)と話を進める美晴のところに、夫の妹・ゆり(仲坪由紀子)が毎日のように訪ねてくる。ゆりはある事情から、兄亡き後の実家に引っ越してきたいと思っており、売却には絶対反対なのだ。
ある日、見知らぬ雑誌記者(遠藤雅)が伸子を訪ねてやってきた。
≪ここまで≫
舞台は美晴と伸子が暮らす家。下手側に工場、中央は玄関および接客スペース、上手側がダイニングというように、三等分に区切られた空間でした。奥には右斜め上へと登る階段があります。パっと見て「おお、すご~い」と思うような、大掛かりで立派な美術でした。
照明の変化があまりなく、少人数(2人か3人)での静かめの会話が続くので、どうしても広い舞台がガランとしています。リアルな装置にもどこか抽象的だったり、破綻していたりする装飾が盛り込まれていたらいいのにな~と思いました。
登場人物の裏の相関関係やしっとり、ねっとりとした対話など、細かい部分をにんまりと味わえる深みの有る脚本だったので、THEATER/TOPSとか駅前劇場とか、もしかするとアゴラ劇場などで観たい作品でした。
一番気になってしまったのは音楽です。弦楽器(ギターだそうです)のドラマティックな曲で、かなりラテン系ムード。曲調は違いますけど、印象は火サスみたいだった・・・。劇場内の音の響き方も原因だと思います。舞台で発せられる役者さんの声と、客席に映画館のように美しく、大迫力で響く音楽・音響とが、同じ作品と思えないほど乖離していました。
ここからネタバレします。
会話からぽとり、ぽとりと明かされていく人間関係は面白いですね。
・伸子は美容師で、ホストクラブ通いにハマって借金を作り、姉の晴美に借りがある。
・ゆりは、息子が学校でいじめに遭っているので、学区を変えるために引っ越したい。
・ゆりの夫・正彦(牧田明宏)は美晴と愛人関係。
・美晴の夫は自殺ではなく他殺。伸子が借金返済のための金欲しさに夫と寝たことが原因。夫を憎んだ美晴、美晴の愛人である正彦、美晴に弱みを握られた伸子が協力して夫を殺した。
不動産業者が髪を切ってもらっている内に伸子に惹かれ、彼女を押し倒してしまうシーンは、「違うんだ!違うんだよ!」と言いながらどんどこ襲うのが可笑しかったです。たまたまその場に訪れた雑誌記者を、不動産業者がハサミで刺し殺してしまいますが、その一連の事件は照明や音響の効果をもっと利用しても良かったんじゃないかなと思います。小さな劇場だったら別ですが。
最後は、雑誌記者が漏らしたのであろう夫の自殺の真相がテレビに取り上げられ、警察が美晴を訪ねてくるシーンでした。タイトル『砂の王国』の文字が上手上方の壁に映写され、ドラマティックな音楽とともに終演。「え?これで終わり!?」ってびっくりしました。映画「太陽がいっぱい」を思い出したりもしたんですが、私は物足りなかったですね。
出演=大久保佳代子/山口奈緒子/牧田明宏/遠藤雅/中谷竜(ラブリーヨーヨー)/仲坪由紀子 声の出演=森元隆樹
作・演出=牧田明宏 舞台監督=杣谷昌洋 舞台美術=田中敏恵 照明=箱崎あや子 音響=田上篤志(atSound) 衣装=小林由香 衣裳協力=イーピン企画 宣伝美術=石曽根有也(らくだ工務店) 宣伝写真=大木啓至 企画・制作=明日図鑑 主催=(財)三鷹市芸術文化振興財団
全席日時指定【前売】一般2,800円/財団友の会会員2,500円 【当日】一般3,000円/財団友の会会員2,700円 ※高校生以下1,000 円(前売・当日とも)
公式=http://www.ashitazukan.com/
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